(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】自動車の手動式運転補助装置
(51)【国際特許分類】
G05G 1/54 20080401AFI20220413BHJP
B60K 26/02 20060101ALI20220413BHJP
B60T 7/10 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
G05G1/54
B60K26/02
B60T7/10 Z
(21)【出願番号】P 2018216612
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507369936
【氏名又は名称】ホンダ太陽株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日根野 恭佑
(72)【発明者】
【氏名】奥田 康正
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 陽平
(72)【発明者】
【氏名】山口 修平
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-16212(JP,A)
【文献】特開2008-204421(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2281955(GB,A)
【文献】特開2000-134558(JP,A)
【文献】特公昭29-1008(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/54
B60K 26/02
B60T 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に運転者が把持する把持部が設けられた操作杆と、該操作杆の他端側に設けられて自動車のペダルに連結されるペダル連結部とを備える自動車の手動式運転補助装置において、
前記ペダル連結部は、
前記ペダルの表側面に当接する第1当接部材と、
該第1当接部材を支持する基体と、
該基体に進退自在に設けられた進退部材と、
該進退部材に支持されて該進退部材の進退動作に応じて前記ペダルの裏側面に当接する第2当接部材と、
前記操作杆に連結されて前記進退部材の進退方向に沿って移動自在の移動部材と、
該移動部材と前記進退部材とを接続して前記移動部材の移動方向と反対方向に前記進退部材を進退させるリンク部材と、
前記進退部材を介して前記第2当接部材を前記ペダルの裏側面に当接させる方向への前記移動部材の移動を許容すると共に前記第2当接部材を前記ペダルの裏側面から離反させる方向への前記移動部材の移動を解除自在に規制するラチェット機構と
を備えることを特徴とする自動車の手動式運転補助装置。
【請求項2】
前記ラチェット機構は、
前記移動部材の外面に設けられて該移動部材の移動方向に沿って並ぶ複数の歯と、
該歯に係脱する爪を備えて前記移動部材の移動方向に直交する方向にスライドするスライド部材と、
該スライド部材を前記爪が前記歯に係合する方向に付勢する付勢部材と、
該付勢部材に抗して前記スライド部材をスライドさせて前記爪と前記歯との係合を解除させる解除部材と
を備えることを特徴とする請求項1記載の自動車の手動式運転補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のペダルに連結することにより、足の不自由な人でもペダルの手動操作が可能となる自動車の手動式運転補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の手動式運転補助装置は、棒状の操作杆と、自動車のペダルに連結されるペダル連結部とを備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
操作杆は、一端側に把持部を備え、自動車を運転する際には運転者が把持する。ペダル連結部は、ブレーキペダルに連結するものと、アクセルペダルに連結するものとで、同一構成のものが2つ設けられている。
【0004】
ペダル連結部は、ペダルの表側面に当接する板状の第1当接部材と、ペダルの裏側面に当接する板状の第2当接部材とを備え、第1当接部材と第2当接部材とでペダルを挟むことによりペダルに連結される。
【0005】
第1当接部材には、一対の貫通孔の夫々にボルト軸が挿通されている。ボルト軸の先端には、第2当接部材が支持されており、第1当接部材の貫通孔を通って第2当接部材の反対側に突出しているボルト軸の基端部には、締め付けナットが設けられている。
【0006】
ペダル連結部にペダルを連結する時には、第1当接部材と第2当接部材との間隔を十分に広げておき、第1当接部材と第2当接部材との間にペダルを位置させ、締め付けナットを回転させて第1当接部材と第2当接部材との間隔を狭めることによりペダルを挟み込む。これにより、ペダルが第1当接部材と第2当接部材とに挟持された状態でペダル連結部にペダルを連結され、操作杆の操作がペダルに伝達可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の手動式運転補助装置では、ペダル連結部をペダルに連結するときに、締め付けナットの回転作業が必要となる。このため、第1当接部材と第2当接部材との間隔を狭めるために比較的長い時間が必要になり効率が悪い。
【0009】
更に、自動車のペダルは、運転席前方下部の比較的狭い箇所に設けられている。よって、ペダル連結部にペダルを連結する時には、作業者(主に運転者)は、かがみこんだ姿勢での締め付けナットの回転作業が強いられ、足の不自由な人にとっては、体に大きな負担がかかる不都合があった。
【0010】
上記の点に鑑み、本発明は、簡単な作業で迅速にペダルに連結することができる自動車の手動式運転補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、一端側に運転者が把持する把持部が設けられた操作杆と、該操作杆の他端側に設けられて自動車のペダルに連結されるペダル連結部とを備える自動車の手動式運転補助装置において、前記ペダル連結部は、前記ペダルの表側面に当接する第1当接部材と、該第1当接部材を支持する基体と、該基体に進退自在に設けられた進退部材と、該進退部材に支持されて該進退部材の進退動作に応じて前記ペダルの裏側面に当接する第2当接部材と、前記操作杆に連結されて前記進退部材の進退方向に沿って移動自在の移動部材と、該移動部材と前記進退部材とを接続して前記移動部材の移動方向と反対方向に前記進退部材を進退させるリンク部材と、前記進退部材を介して前記第2当接部材を前記ペダルの裏側面に当接させる方向への前記移動部材の移動を許容すると共に前記第2当接部材を前記ペダルの裏側面から離反させる方向への前記移動部材の移動を解除自在に規制するラチェット機構とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、第2当接部材は、進退部材と一体的に進退する。進退部材は、リンク部材を介して移動部材に接続されている。リンク部材は、移動部材の移動方向と反対方向に進退部材を進退させる。移動部材の移動は、操作杆を介して行われる。
【0013】
これにより、操作杆を介して移動部材を基体に押し込むように操作すると、進退部材は移動部材と相対的に基体の方向に後退し、第1当接部材と第2当接部材とが互いに近接する方向に移動する。
【0014】
即ち、第1当接部材と第2当接部材との間にペダルを位置させて、基体の第1当接部材をペダルの表側面(運転席を向く側の面)に当接し、操作杆により移動部材をペダルの方向に押すと、リンクを介した進退部材の動作により、ペダルの裏側面に第2当接部材が当接する。
【0015】
そして、ラチェット機構によって移動部材の移動が規制されることにより、第2当接部材は、ペダルの裏側面から離反させる方向に移動することがなく、第1当接部材と第2当接部材とでペダルを挟持した状態が確実に維持される。
【0016】
このように、本発明によれば、ペダル連結部をペダルに連結するときには、第1当接部材と第2当接部材との間にペダルを位置させ、操作杆を操作して移動部材の押し込み動作を行う(移動部材を運転席側からペダルに向かう方向に移動させる)だけで、第1当接部材と第2当接部材との間にペダルが確実に挟持される。これにより、ペダル連結部をペダルに連結する際の作業者(主に運転者)の負担を飛躍的に軽減することができ、簡単な作業で迅速にペダルに連結することができる。
【0017】
また、本発明において、前記ラチェット機構は、前記移動部材の外面に設けられて該移動部材の移動方向に沿って並ぶ複数の歯と、該歯に係脱する爪を備えて前記移動部材の移動方向に直交する方向にスライドするスライド部材と、該スライド部材を前記爪が前記歯に係合する方向に付勢する付勢部材と、該付勢部材に抗して前記スライド部材をスライドさせて前記爪と前記歯との係合を解除させる解除部材とを備えることが好ましい。
【0018】
本発明におけるラチェット機構は、移動部材の外面の歯に、スライド部材の爪が係合するようになっている。スライド部材は、爪が移動部材の歯に係合する方向に付勢部材により付勢されている。そして、解除部材は、爪と歯との係合を解除させるために、付勢部材の付勢に抗してスライド部材を爪が移動部材の歯から離反する方向に移動させる。ラチェット機構は、解除部材により爪と歯との係合が極めて容易に解除できるので、作業者(主に運転者)の負担が小さく、ペダル連結部をペダルから簡単且つ迅速に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る手動式運転補助装置を示す平面図。
【
図3】ペダル連結部の一部を切除して示す説明的側面図。
【
図4B】ペダル連結部をペダルに連結した状態を示す説明図。
【
図7】解除部材を用いたラチェット機構の解除動作を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の手動式運転補助装置1は、操作杆2と一対のペダル連結部3とを備えている。
【0021】
操作杆2の後端には、運転者が把持する把持部4が設けられている。操作杆2は、その先端に、搖動アーム5を備えている。搖動アームは、搖動軸6を介して操作杆2に連結されている。更に、搖動アーム5には、一対のペダル連結部3が夫々枢軸7を介して搖動自在に連結されている。
【0022】
図示しないが、一方のペダル連結部3は自動車のブレーキペダルに連結され、他方のペダル連結部3は自動車のアクセルペダルに連結される。なお、本実施形態においては両ペダル連結部3は同一の構成を有しているので、図中同じ符号を付している。また、ブレーキペダルとアクセルペダルとの何れにおいても、ペダル連結部3が姿勢は違うが同様の状態で連結される。そこで、本実施形態においては、ブレーキペダルとアクセルペダルとを、何れも単にペダル(
図3において符号Pで示している)として説明する。また、以下の説明において、把持部4が設けられている側(運転席側)を後方とし、ペダル連結部3が設けられている側(ペダル側)を前方とする。
【0023】
本発明の要旨となるペダル連結部3の構成について詳説する。ペダル連結部3は、
図2及び
図3に示すように、基体8と、基体8に設けられた第1当接部材9と、基体8の後方から基体8の内部に延びるラチェットロッド10(移動部材)と、基体8から前方に延びて前後方向に進退自在の一対の進退ロッド11(進退部材)と、両進退ロッド11の前端(先端)に支持された第2当接部材12とを備えている。
【0024】
また、
図1及び
図2においては図示省略したが、
図3に示すように、第1当接部材9と第2当接部材12とには、夫々、クッション部材9a,12aが設けられている。本実施形態においては、クッション部材9aは、シリコン製チューブで第1当接部材9を挿入することで第1当接部材9に取り付けられており、クッション部材12aは、エチレンプロピレンジエンゴム製ブロック材で第2当接部材12に接着されている。なお、クッション部材9a,12aの材質や形状はこれに限るものではないが、弾力を備えていてペダルPに対する密着力の高い材質のものを採用することが好ましい。
【0025】
基体8は、空隙を存して互いに対向する一対の矩形状の側板部13と、両側板部13の後端側を閉塞する底板部14とで構成されている。
【0026】
底板部14には、案内筒15が取り付けボルト16により固定されている。ラチェットロッド10は、案内筒15に挿通され、底板部14を貫通する。ラチェットロッド10は、後端が操作杆2の搖動アーム5に連結され、基体8の案内筒15に挿通された状態で基体8を支持している。
【0027】
ラチェットロッド10の先端には、リンク部材17を介して進退ロッド11の後端が連結されている。リンク部材17は、基体8の側板部13に設けられたリンク案内ピン18にリンク長孔19を介して支持され、リンク案内ピン18を支点としてラチェットロッド10側と進退ロッド11側とで反対方向に搖動するように設けられている。これにより、
図4A及び
図4Bに段階的に示すように、ラチェットロッド10が後方から前方へ移動すると、進退ロッド11は逆方向に(前方から後方へ)移動する。
【0028】
第1当接部材9は、板状に形成されており、両進退ロッド11の間の基体8の前端に設けられている。第2当接部材12は、板状に形成されており、両進退ロッド11の前端に支持されて第1当接部材9に対向する。
【0029】
図3に示すように、両進退ロッド11は、夫々、ロッド案内ピン20を備えている。基体8の側板部13にはロッド案内ピン20を前後方向に案内するロッド案内用長孔21が形成されている。両進退ロッド11は第2当接部材12によって一体的に連結状態とされているので、進退ロッド11同士は夫々長手方向を前後に向けた姿勢で互いに平行となる位置関係が維持されている。
【0030】
基体8の内側には、スライド部材22がスライド自在に設けられている。スライド部材22は、基体8の底板部14の内面に重合する底板重合部23と、基体8の各側板部13の夫々の内面に重合する一対の側板重合部24とを備えている。
【0031】
スライド部材22の側板重合部24には、基体8の側板部13に設けられたスライド案内ピン25に案内される横長のスライド案内長孔26が形成されている。スライド案内長孔26とスライド案内ピン25とが設けられていることにより、左右方向の所定範囲にわたり精度よくスライド部材22をスライドさせることができるだけでなく、スライド部材22の基体8からの外れも防止されている。
【0032】
スライド部材22の底板重合部23には、ラチェットロッド10及び案内筒15の取り付けボルト16との干渉を避けつつスライドさせるために、切欠き部27が形成されている。スライド部材22は、切欠き部27の一方内縁(図中左側の内縁)をラチェットロッド10の外面に突き当てる方向に付勢するばね部材28(付勢部材)を備えている。
【0033】
図5に示すように、ラチェットロッド10の外面には、ラチェットロッド10の移動方向に沿って並ぶ複数の歯29が形成されている。スライド部材22の切欠き部27の一方内縁(図中左側の内縁)には爪30が形成されており、この爪30がラチェットロッド10の歯29に係合する。ラチェットロッド10の歯29はのこぎり刃形状とされ、スライド部材22の爪30はラチェットロッド10の歯29に対応する形状とされている。
【0034】
即ち、歯29の前面側には、後方に向かって次第に拡径する傾斜面が形成されており、歯29の後面側には、ラチェットロッド10の軸線に直交する面(垂直面)が形成されている。これにより、ラチェットロッド10を前方に移動させると、歯29の傾斜面がばね部材28の付勢に抗して爪30の傾斜面を押し、ラチェットロッド10の移動が許容される。しかし、ラチェットロッド10を後方に移動させようとしても、歯29の垂直面と爪30の垂直面とが当接するので、ラチェットロッド10の後方への移動が規制される。
【0035】
図3に示すように、ラチェットロッド10には、案内筒15からの露出量の変化によって第1当接部材9と第2当接部材12とによるペダルPの挟み込み量(連結度合い)を確認可能としたインジケータ表示M(赤色表示部Mr、黄色表示部My、青色表示部Mb)が設けられている。第1当接部材9と第2当接部材12とがペダルPから離間しているときには、
図3に示すように、案内筒15から赤色表示部Mr、黄色表示部My、及び青色表示部Mbが露出する。
図4Aに示すように、ペダルPの挟み込み量が足りない状態では、案内筒15から黄色表示部My、及び青色表示部Mbが露出する。
図4Bに示すように、ペダルPが十分に挟み込まれた状態(ペダルPへの連結状態)では、案内筒15から青色表示部Mbのみが露出する。
【0036】
また、ラチェットロッド10の移動規制は、
図6に示す解除操作棒31(解除部材)によって解除することができるようになっている。解除操作棒31は、先端案内部32と、先端案内部32に隣接する窪み部33とが形成されている。ペダル連結部3は、
図2に示すように、基体8の底板部14に形成された第1差込孔34と、スライド部材22の底板重合部23に形成された第2差込孔35とを備えている。
【0037】
第1差込孔34と第2差込孔35は同径の丸孔である。ラチェットロッド10の歯29にスライド部材22の爪30が係合しているとき、
図3に示すように、第1差込孔34と第2差込孔35とが合致しておらず、位置ずれした状態となる。
【0038】
図7に示すように、第1差込孔34と第2差込孔35とに解除操作棒31の先端案内部32を差し込むと、第1差込孔34と第2差込孔35とが合致する方向にスライド部材22がスライドし、スライド部材22の爪30がラチェットロッド10の歯29から離反する。
【0039】
また、
図7に示すように、第1差込孔34と第2差込孔35とに解除操作棒31を差し込むと第2差込孔35が窪み部33に入って、解除操作棒31の差し込み状態が維持されるようになっている。これにより、解除操作棒31が抜け止めされて、スライド部材22の爪30がラチェットロッド10の歯29から離反した状態が維持される。これにより、ペダルからペダル連結部3を取り外す作業が容易となる。そして、第1差込孔34と第2差込孔35とから解除操作棒31を引き抜けば、ばね部材28の付勢により、スライド部材22の爪30がラチェットロッド10の歯29に係合する。
【0040】
なお、ラチェットロッド10とその歯29、スライド部材22とその爪30、ばね部材28、及び解除操作棒31は、本発明のラチェット機構を構成している。
【0041】
また、本実施形態における解除操作棒31は、ペダル連結部3を自動車のペダルPに連結するときにも用いることができる。即ち、解除操作棒31は、窪み部33により第1差込孔34と第2差込孔35とへの差し込み状態を維持しておくことができるので、一方の手で操作杆2を操作するときに他方の手で解除操作棒31を持ってその操作を補助することで、ペダルPをペダル連結部3の第1当接部材9と第2当接部材12との間に位置させる作業が容易となって作業者(運転者)の負担を軽減することができる。
【0042】
上記の構成によるペダル連結部3を自動車のペダルPに連結するときには、
図3に示すように、先ず、互いに離間させた状態の第1当接部材9と第2当接部材12との間に、ペダルPを位置させる。次いで、操作杆2を介してラチェットロッド10を基体8の内部へ押し込み操作し、ラチェットロッド10を前方に移動させる。このときのラチェットロッド10の移動によりリンク部材17が作用し、
図4Aに示すように、進退ロッド11が後退移動する。即ち、第1当接部材9と第2当接部材12とが互いに近接する方向に(ペダルPに向かって)移動する。
【0043】
この時点では、案内筒15から黄色表示部My、及び青色表示部Mbが露出する状態にあるため、作業者(運転者)は、ペダルPの挟み込み量が足りない状態であることを目視により確認することができる。
【0044】
続いて、作業者(運転者)が案内筒15から青色表示部Mbのみが露出する状態となるまでラチェットロッド10を前方に移動させると、
図4Bに示すように、第1当接部材9と第2当接部材12との間にペダルPが挟み込まれ、ペダル連結部3がペダルPに連結された状態となる。この状態で、ラチェット機構のスライド部材22の爪30がラチェットロッド10の歯29に係合しているので、ペダルPへのペダル連結部3の連結状態が強固に維持される。
【0045】
以上のように、ペダル連結部3をペダルPに連結するときには、操作杆2を介してラチェットロッド10を基体8の内部へ押し込むように操作するだけでよいので、作業者(主に運転者)の負担を飛躍的に軽減することができ、簡単な作業で迅速にペダルPに連結することができる。しかも、ラチェットロッド10のインジケータ表示Mにより連結状態を確認しながら連結作業を行うことができる。
【0046】
その後、ペダル連結部3をペダルPから取り外す際には、
図7に示すように、解除操作棒31を第1差込孔34と第2差込孔35とに差し込めばよく、この作業も、作業者(主に運転者)に対して負担を強いることがない。
【0047】
なお、本実施形態においては、
図4に示すように、ラチェットロッド10の平滑な周面にインジケータ表示M(赤色表示部Mr、黄色表示部My、青色表示部Mb)を設けた例を示したが、これに替えて、歯29をラチェットロッド10の露出部分にも設け、この歯29にインジケータ表示M(赤色表示部Mr、黄色表示部My、青色表示部Mb)を設けてもよい。
【0048】
これによれば、ラチェットロッド10の平滑な周面にインジケータ表示Mを設けた場合に比べて、歯29の動きによって、赤色表示部Mr、黄色表示部My、及び青色表示部Mbの移動量を一層明確に目視判断することができる。しかも、赤色表示部Mr、黄色表示部My、及び青色表示部Mbが歯29の溝内に着色されているため、摩耗等によるインジケータ表示Mの視認性の低下が防止できて有利である。
【符号の説明】
【0049】
1…手動式運転補助装置、2…操作杆、3…ペダル連結部、4…把持部、8…基体、9…第1当接部材、10…ラチェットロッド(移動部材)、11…進退ロッド(進退部材)、12…第2当接部材、17…リンク部材、22…スライド部材、28…ばね部材(付勢部材)、29…歯、30…爪、31…解除操作棒(解除部材)、P…ペダル。