IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

特許7057750温熱増感放射線療法のための適応治療計画
<>
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図1
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図2
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図3
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図4
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図5
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図6
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図7
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図8
  • 特許-温熱増感放射線療法のための適応治療計画 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】温熱増感放射線療法のための適応治療計画
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20220413BHJP
   A61N 7/02 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A61N5/10 P
A61N7/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018521576
(86)(22)【出願日】2016-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2016074609
(87)【国際公開番号】W WO2017071965
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2019-10-04
(31)【優先権主張番号】62/248,484
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】バラト シアム
(72)【発明者】
【氏名】アーナンド アジャイ
(72)【発明者】
【氏名】スタルッヒ ロベルト ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】セスラマン シュリラム
(72)【発明者】
【氏名】パータサラシー ヴィジャイ
(72)【発明者】
【氏名】デファン マーヴァスト イーシャン
【審査官】安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/067786(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0243200(US,A1)
【文献】特表2012-504977(JP,A)
【文献】国際公開第2014/096993(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0131433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
A61N 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの作動方法であって、前記システムは、放射線治療計画器、温熱療法熱送達システム、温熱療法温度及び持続時間監視システム、及び放射線療法システムを有し、前記方法は、
前記システムが、関心組織のための温熱療法熱計画を生成するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記関心組織のための温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと、
前記温熱療法熱送達システムが、前記温熱療法熱計画に従って前記関心組織に熱を送達するように熱源を制御するステップと、
前記放射線療法システムが、前記温熱療法適応放射線療法計画に従って前記関心組織に放射線を送達するように放射線療法システムの放射線源を制御するステップと
を有する、方法であって、
前記熱は前記放射線の送達の前に前記関心組織に送達され、
前記熱が前記温熱療法熱計画に従って前記関心組織に送達される前に、
前記放射線治療計画器が、非温熱療法放射線療法計画を作成するステップと、
前記温熱療法温度及び持続時間監視システムが、前記関心組織の温度及び前記熱送達の持続時間を監視するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと
を更に有する、
方法。
【請求項2】
前記放射線治療計画器が、前記関心組織の前記監視される温度及び前記熱送達の前記持続時間に基づいて熱増感比を決定するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップは、前記放射線治療計画器が、前記熱増感比によって前記関心組織の前記非温熱療法放射線療法計画の放射線量値をスケーリングするステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
システムの作動方法であって、前記システムは、放射線治療計画器、温熱療法熱送達システム、及び放射線療法システムを有し、前記方法は、
前記システムが、関心組織のための温熱療法熱計画を生成するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記関心組織のための温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと、
前記温熱療法熱送達システムが、前記温熱療法熱計画に従って前記関心組織に熱を送達するように熱源を制御するステップと、
前記放射線療法システムが、前記温熱療法適応放射線療法計画に従って前記関心組織に放射線を送達するように放射線療法システムの放射線源を制御するステップと
を有する、方法であって、
前記熱は前記放射線の送達の前に前記関心組織に送達され、
前記熱が前記温熱療法熱計画に従って前記関心組織に送達される前に、
前記放射線治療計画器が、非温熱療法放射線療法計画を作成するステップと、
前記温熱療法温度及び持続時間監視システムが、前記関心組織の温度及び前記熱送達の持続時間を監視するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の前記持続時間に基づいて、前記温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと
を更に有する、方法。
【請求項5】
前記放射線治療計画器が、前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の前記持続時間に基づいて熱増感比を決定するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて、前記温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと
を更に有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱と前記放射線とが同時に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放射線治療計画器が、前記関心組織のための前記温熱療法適応放射線療法計画を生成する前に、
前記放射線治療計画器が、非温熱療法放射線療法計画を作成するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記温熱療法熱計画における熱送達の計画される温度及び計画される持続時間に基づいて熱増感比を決定するステップと、
前記放射線治療計画器が、前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと
を更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記システムが、関心組織のための温熱療法熱計画を生成する前に、
前記放射線治療計画器が、非温熱療法放射線療法計画を作成するステップと、
前記放射線療法システムが、前記非温熱療法放射線療法計画に従って前記関心組織に放射線を送達するように前記放射線療法システムの前記放射線源を制御するステップと、
前記システムの運動モニタが、前記関心組織の動きを監視するステップと、
前記システムが、前記関心組織に適用される放射線量を監視するステップと、
前記システムが、前記非温熱療法放射線療法計画で計画される線量から逸脱する前記適用される放射線量に応じて前記関心組織のための前記温熱療法熱計画を生成するステップと、
前記温熱療法熱送達システムが、前記温熱療法熱計画に従って前記関心組織に熱を送達するように前記熱源を制御するステップと
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記温熱療法適応放射線療法計画は、分別される放射線療法計画を含む、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記温熱療法適応放射線療法計画は、低分化放射線療法計画を含む、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記関心組織のための温熱療法適応放射線療法計画を生成するように構成される放射線治療計画器と、
前記温熱療法適応放射線療法計画に従って放射線を送達するように構成される放射線療法システムと、
温熱療法熱計画に従って熱を送達するように構成される温熱療法熱送達システムと
を有する、システムであって、
前記放射線療法システムは、前記温熱療法熱送達システムが前記熱を送達した後に前記放射線を送達するように構成され、
温度及び熱送達持続時間を監視するように構成される温熱療法温度及び持続時間監視システム
を更に有し、
前記放射線治療計画器は、前記熱が前記関心組織に送達される前に非温熱療法放射線療法計画を生成し、前記関心組織の温度及び前記熱送達の持続時間を監視し、前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成する、
システム。
【請求項12】
前記放射線治療計画器は、前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の前記持続時間に基づいて前記熱増感比を決定し、前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記放射線療法システムは、前記温熱療法熱送達システムが前記熱を送達した後に前記放射線を送達するように構成され、
温度及び熱送達持続時間を監視するように構成される温熱療法温度及び持続時間監視システム
を更に有し、
前記放射線治療計画器は、前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の前記持続時間に基づいて前記熱増感比を決定し、前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記温熱療法適応放射線療法計画を生成する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記放射線療法システムは、前記温熱療法熱送達システムが前記熱を送達すると同時に前記放射線を送達するように構成され、前記放射線治療計画器は、非温熱療法放射線療法計画を生成し、前記関心組織の計画される温度及び前記熱送達の計画される持続時間に基づいて前記熱増感比を生成し、前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成する、
請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
コンピュータ実行可能な命令で符号化される非一時的コンピュータ可読媒体であって、プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
関心組織のための温熱療法熱計画を生成させ、
前記関心組織のための温熱療法適応放射線療法計画を生成させ、
前記温熱療法熱計画に従って前記関心組織に熱を送達するように熱源を制御させ、
前記温熱療法適応放射線療法計画に従って前記関心組織に放射線を送達するように放射線療法システムの放射線源を制御させ、
非温熱療法放射線療法計画を作成させ、
前記関心組織の温度及び前記熱送達の持続時間を監視させ、
前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成させる、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の前記持続時間に基づいて前記熱増感比を決定させ、
前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成させる、
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
前記関心組織の温度及び前記熱送達の持続時間を監視させ、
前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の前記持続時間に基づいて前記熱増感比を決定させ、
前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記温熱療法適応放射線療法計画を生成させる、
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、
非温熱療法放射線療法計画を作成させ、
前記温熱療法熱計画における熱送達の計画される温度及び計画される持続時間に基づいて前記熱増感比を決定させ、
前記熱増感比及び前記関心組織の前記温度及び前記熱送達の持続時間に基づいて前記非温熱療法放射線療法計画を適応することによって前記温熱療法適応放射線療法計画を生成させる、
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は一般に、放射線療法、より具体的には、温熱増感放射線療法(HT RT)のための適応治療計画に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線療法(RT)は、電離放射線を組織に適用して、例えば悪性癌細胞を制御又は死滅させる治療である。治療計画で規定されている放射線量(線量)は、治療されている細胞のタイプ及びステージに依存する。放射線療法計画は、従来、分別されているか、又は時間の経過と共に分散される。例えば、RT治療計画の総線量は、1日に1回、1週間に5日、6週間にわたって30乃至35回にわたって送達されることができる。
温熱療法(HT)は、治療目的のための高温の使用を指す。標的組織温度を上昇させるためにRTの送達の前又はその間にHTを適用することは、標的組織に対する放射線感受性を高めることに役立つことが知られている。 RTのHT温度範囲は、42.5℃の温度を含む。放射線高感度化効果は、
【0003】
TER=(温熱療法を伴わない生物学的効果Xを生成するための放射線量)/(温熱療法を伴う生物学的効果Xを生成するための放射線量)
のように定義される熱増感比(TER)を用いて数学的に捕捉される。
低分化放射線療法レジメは、各回送達される放射線の量を増加させることによって、従来の分別RT治療を、より短い治療期間、例えば1乃至2週間及び5乃至10分別に圧縮する。残念ながら、1回の高い線量は、正常な組織損傷のリスクを増大させる。したがって、よりコンフォーマルな低分別化RT治療法のアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で説明される態様は、上述の問題及び/又は他の問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本方法は、関心組織のための温熱療法熱計画を生成するステップと、関心組織のための温熱療法適応放射線療法計画を生成するステップと、温熱療法熱計画に従って関心組織に熱を送達するように熱源を制御するステップと、温熱療法適応放射線療法計画に従って関心組織に放射線を送達するように温熱療法システムの放射線源を制御するステップとを含む。
他の態様では、本システムは、関心組織のための温熱療法適応放射線療法計画を生成するように構成される放射線治療計画器と、温熱療法適応放射線療法計画に従って放射線を送達するように構成される放射線療法システムと、温熱療法熱計画に従って熱を送達するように構成される温熱療法熱送達システムとを含む。
他の態様では、非一時的なコンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、関心組織のための温熱療法熱計画を生成させ、関心組織のための温熱療法適応放射線療法計画を生成させ、温熱療法熱計画に従って関心組織に熱を送達するように熱源を制御させ、温熱療法適応放射線療法計画に従って関心組織に放射線を送達するように温熱療法システムの放射線源を制御させる、コンピュータ実行可能な命令でコード化される。
本発明は、様々な構成要素及び構成要素の配置において、ならびに様々なステップ及びステップの配置において形態をとることができる。図面は、好ましい実施形態を説明するためのものにすぎず、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】放射線療法システム、放射線治療計画器、熱送達システム、及び温度及び持続時間監視システムを含む例示的なシステムを概略的に示す。
図2】RT計画をHT適応RT計画に変換するためにTER較正テーブルを使用する放射線治療計画器の一例を概略的に示す。
図3】TER値を計算し、計算されるTERに基づいてRT計画をHT適応RT計画に変換する放射線治療計画器の一例を概略的に示す。
図4】HT適応RT計画を作成するためにTER較正テーブルを使用する放射線治療計画器の一例を概略的に示す。
図5】TER値を計算し、計算されるTERに基づいてHT適応RT計画を作成する放射線治療計画器の一例を概略的に示す。
図6】事前に生成されるRT計画を適応することによって、シーケンシャルなHT及びRT送達のためのHT適応RT計画を作成する方法を概略的に示す。
図7】事前に生成されるRT計画を適応することなく、シーケンシャルなHT及びRT送達のためのHT適応RT計画を作成する方法を概略的に示す。
図8】同時HT及びRT送達のためのHT適応RT計画を作成し、HT送達に基づいてHT適応RT計画を調整する方法を概略的に示す。
図9】シーケンシャルなRT及びHT送達に関連してHT計画を選択的に作成する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、LINAC又は線形加速器などの放射線療法システム100を概略的に示す。放射線療法システム100は、静止ガントリ102と、静止ガントリ102に回転可能に取り付けられる回転ガントリ104とを含む。回転ガントリ104は、治療領域108の周りで回転軸106に対して回転する(例えば180°等)。
静止ガントリ102は、治療放射線を送達する治療(例えば、メガボルト(MV))放射線源112を有する治療ヘッド110と、治療ヘッドを出る放射線場を何れかの形状に成形することができるコリメータ114(例えば、マルチリーフコリメータ)とを含む。放射線源112は、治療領域108の周りで回転ガントリ104と協調して回転する。コリメータ114は、場を形成するために独立して移動することができる顎部のセットを含む。
被験体支持体116は、治療領域108内の被験体の一部を支持する。被験体支持体116は、治療領域108及び基部120の内外に並進するように構成されるテーブルトップ118を含む。計算システムは、治療中に回転ガントリ104の回転及びメガボルト放射線源112による治療放射線の送達を制御するように構成される、RTコンソール122としての役割を果たす。コンソール122上に常駐するソフトウェアは、オペレータがシステム100の動作を制御することを可能にする。
HT熱送達システム126は、RT治療放射線送達の前及び/又はそれと同時に熱を加えるように構成される。この例では、HT熱送達システム126は、高強度集束超音波(HIFU)装置を含む。 HIFU装置は、標的組織に集中され、標的組織を加熱する高強度超音波を生成する。この装置では、加熱は、他の組織領域を加熱することなく、HIFU装置の焦点ゾーンに局在化されることができる。局在化は望ましくは、RTに影響を与えることなく熱によって関心組織の外側の組織に毒性効果を生じる、標的組織の外側の組織を放射線高感度化しないようになされることができる。他の熱源も本明細書で検討される。
HT熱送達システム126及び/又は他の計算装置は、HT計画を生成する。一例では、HT計画は、MR、CT、US及び/又は他のイメージングデータなどのイメージングデータに基づいて生成され、HIFUトランスデューサの配置、トランスデューサ素子の制御(例えば、加熱深度及び加熱ゾーンのサイズの制御)、加熱持続時間、使用温度、ターゲットゾーン等の情報を含む。HIFU計画を作成する例は、「CT-HIFUシステム及び/又は方法」と題される、2013年2月21日出願の米国特許出願公開第2015 / 0011875A1号に記載され、本明細書に参照によって組み込まれる。
HT温度及び持続時間監視システム128は、HTの間及び/又はその後の標的組織の温度、熱送達の持続時間などを監視するように構成される。一例において、HT温度及び持続時間監視システム128は、MR、US、CT及び/又は他のイメージングデータのようなイメージングデータに基づいて温度を監視する。一例では、HT温度及び持続時間監視システム128は、ボクセルに基づいて温度を監視する。他の例では、HT温度及び持続時間監視システム128は、関心領域(ROI)及び/又は輪郭のようなボクセルベースのグループの温度を監視する。
【0008】
例示的なMR体温計ベースのアプローチは、ワイアット(Wyatt)の "温熱療法MRI温度測定:四肢及び乳房腫瘍の測定安定化方式の評価" (Int J Hyperthermia,2009 25(6):422-433)に記載されている。例示的な超音波体温計ベースのアプローチは、「磁気温熱療法のための超音波監視及びフィードバック」と題される、2006年7月12日出願の米国特許出願公開第20090312637A1号記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的なCT温度測定に基づくアプローチは、「イメージング温度測定」と題される、2013年4月26日出願の国際特許出願公開第WO2006164746A1号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
放射線治療計画器124は、陽子線治療計画、低分別化されるRT計画、及び/又は他の計画を含む放射線治療計画を作成する。簡潔さと明快さのために、以下はRT計画に関連して議論される。以下でより詳細に説明するように、一例において、これは、HT適応RT計画を構成するようにTER値及び対応するROI又は輪郭に基づいて非HT RT計画(HTがない場合のRT計画)を適応するステップ、及び/又はTER値及び対応するROI又は輪郭に基づいてHT RT計画を最初に構成するステップを含む。放射線治療計画器124は、シーケンシャルなHT及びRT送達及び同時HT及びRT送達の両方に対してそうするように構成される。シーケンシャルなHT及びRT送達の場合、HT RT計画は、熱送達後の加熱組織の冷却を考慮に入れることができる。得られたHT RT計画は、HTを含まない分別RT計画に対して、より低い線量で低分別RTを可能にするが、HTを含まない分別RT計画と同じ生物学的効果を提供する。例えば、本明細書に記載のアプローチは、正常な組織損傷のリスクを増加させることなく、従来の分別RT治療をより短い治療期間に圧縮することができる。
放射線治療計画器124は、物理的メモリ装置などの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上で符号化されるコンピュータ可読命令を実行するプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、中央演算処理ユニット、コントローラなど)を介して実施されることができる。コンピュータ可読命令は、搬送波、信号及び/又は他の一時的媒体によって搬送されてもよい。放射線治療計画器124は、図1のRTコンソール122とは別個に示されている。他の実施形態では、放射線治療計画器124は、RTコンソール122の一部である。さらに他の実施形態では、放射線治療計画器124は、コンソール122と、RTコンソール122の一部ではない少なくとも1つの他の計算装置との間に分布される。
図2乃至5は、放射線治療計画器124の非限定的な例を示す。
図2において、放射線治療計画器124は、非HT RT計画を生成する、RT計画生成器202を含む。非HT RTを生成するための例示的なシステムは、「放射線療法計画及び大口径ボア核磁気共鳴イメージング又は大口径ボアCT及び磁気共鳴イメージングによるフォローアップシステム」と題される、2001年12月13日出願の米国特許出願第20130267830A1号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
TER決定器204は、監視される温度及び加熱期間、組織タイプなどに基づいて、各関心ボクセル及び/又は関心ボクセルの各グループ(例えば、ROI又は輪郭)に対してTERを決定する。この例では、 TER較正テーブル206が予め決定され、温度及び持続時間をTER値にマッピングする。一般に、より高いTERは、同じ生物学的効果を実現するために、HTの存在下でより低いRT線量が必要とされることを意味する。
RT計画アダプタ208は、HT適応RT計画を生成するために、TER及び加熱される組織に基づいて非HT RT計画を適応させる。一般に、RT計画は、能動的な加熱が行われた局在化される領域に適応され、HT適応RT計画のHT RT線量を生成するために、非HT RT計画の線量をTER値でスケーリングすることを含む。一変形では、RT計画は、リスクのある臓器における生物学的効果を低下させるように適応されてもよい。 1つの例では、標的及び直近の周辺領域のためのより低い線量を含むが、得られたHT適応RT計画は、加熱されていない標的からさらに離れた領域で元の線量が維持される。
図3は、図2の放射線治療計画器124の変形例を示す。この変形例では、TER決定器204は、TERアルゴリズムに基づいてTER値を計算する。アルゴリズムの一例は、オーバーガード(Overgeard)、「単一の同時温熱療法と放射線治療の熱増感比を推定するための式」、(Acru Radiologica Oncology 23(1984)Fusc. 2-3)で議論される。
図4は、図2の放射線治療計画器124の変形を例示し、非HT RT計画は最初に生成されないが、それから適応され、代わりに、HT適応RT計画が、TER較正テーブル206からのTER値を使用してRT計画生成器202によって直接生成される。
図5は、図3の放射線治療計画器124の変形を例示し、非HT RT計画は最初生成されないが、それから適応され、代わりに、HT適応RT計画が、計算されるTER値を使用してRT計画生成器202によって直接生成される。
図6-8は、TER値に基づいてHT適応RT計画を生成するための非限定的な方法を示す。
図6では、HT適応RT計画は、事前に生成される非HT RT計画を適応させることによって、シーケンシャルなHT及びRT送達のために作成される。
602において、非HT RT計画が生成される。
604において、HT計画が生成される。
606において、HT熱送達システム126は、HT計画に基づいて熱を標的領域に送達する。
608において、動作606と同時に、温度及び持続時間監視システム128は、HT送達温度及び加熱期間を監視する。
610において、TERは、温度及び加熱の持続時間に基づいて計算される。
612において、非HT RT計画は、本明細書で説明されるように、TER及び加熱領域に基づいて、及び/又はそうでなければ、HT適応RT計画を生成するように適応される。
614において、RT適応RT計画は、放射線の供給を制御するようにRTコンソール122によって使用される。
図7では、HT適応RT計画は、事前に生成されるRT計画なしでHT適応RT計画を直接作成することによって、シーケンシャルなHT及びRT送達のために作成される。
702において、HT計画が生成される。
704において、HT熱送達システム126は、HT計画に基づいて熱を標的領域に送達する。
706において、動作606と同時に、温度及び持続時間監視システム128は、HT送達温度及び加熱期間を監視する。
708において、TERは、温度及び加熱期間に基づいて計算される。
710において、HT適応RT計画は、本明細書で説明されるように、TER及び加熱領域に基づいて、及び/又はそうでなければ、HT適応RT計画を生成するように生成される。
712において、HT RT計画は、放射線送達を制御するためにRTコンソール122によって使用される。
図8では、HT適応RT計画は、同時HT及びRT送達のために作成され、必要に応じて後でHT送達に基づいて調整される。
802で、非HT RT計画が生成される。
804において、HT計画が生成される。
806において、TERは、計画される温度及び熱送達持続時間に基づいて計算される。
808において、非HT RT計画は、HT適応RT計画を生成するために、TER及び関心組織に基づいて適応される。
810において、HT適応RT計画及びHT計画に従った放射及び熱送達が同時に開始される。
812において、動作810と同時に、温度及び持続時間監視システム128は、HT送達温度及び加熱時間を監視する。
【0010】
814で、監視される温度が計画温度と比較される。熱送達は、例えば組織運動などによって必要とされるように、計画から逸脱することがあることは理解される。
監視される温度が計画される温度から所定の許容値を超えて逸脱する場合、温度及び持続時間監視システム128は、RTコンソール122に放射線送達を終了又は一時停止させる信号をRTコンソール122に送り、動作804乃至 814が繰り返され、新たなTERが計算される。代わりに、HT適応RT計画は、例えば熱送達の予測的変化に基づいて動的に調整される。監視される温度が許容範囲内にある場合、動作810乃至814が繰り返される。
図9は、シーケンシャルなRT及びHT送達に関連してHT計画を選択的に作成する方法を示す。
902において、非HT RT計画が生成される。
904において、放射線は、非HT RT計画に従って送達される。
906において、動作904と同時に、組織運動がトラッキングされる。これは、リアルタイム超音波及び/又は他の方法で実現されることができる。非限定的な例は、「リアルタイム適応線量計算放射線療法」と題される、2013年9月17日に出願された出願番号PCT / IB2013 / 058588、公開番号WO2014096993A1に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれるされている。
908において、動作904及び906と同時に、領域に送達される線量が測定される。非限定的な例は、「リアルタイム適応線量計算放射線療法」と題される、2013年9月17日に出願された出願番号PCT / IB2013 / 058588、公開番号WO2014096993A1に記載されている。
910において、非HT RT計画及び測定される線量に基づいてROIが投与中であるかが決定される。
ROIが投与されていると決定される場合、912でHT計画が作成され、914でHT計画に従って熱が送達され、動作904-910が繰り返される。
ROIが投与されていないと決定される場合、動作904-910が繰り返される。
本明細書の方法は、コンピュータプロセッサによって実行されると、プロセッサに記述される動作を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体にエンコード又は埋め込まれたコンピュータ可読命令によって実施されてもよい。加えて、又は代替的に、コンピュータ可読命令の少なくとも1つは、信号、搬送波又は他の一時的媒体によって搬送される。
本発明は好ましい実施形態を参照して説明された。前述の詳細な説明を読んで理解すると、他の人に修正や変更が行われることがある。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその等価物の範囲内に入る限りにおいて、そのような改変及び変更のすべてを含むものとして構成されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9