(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】飲料を調製するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20220413BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20220413BHJP
A47J 31/40 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A47J31/36 122
A47J31/06 220
A47J31/36 124
A47J31/06 323
A47J31/40 105
A47J31/40 107
A47J31/06 320
(21)【出願番号】P 2019505036
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(86)【国際出願番号】 NL2017050516
(87)【国際公開番号】W WO2018026276
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-30
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】オジンク,ジューディス マーグリート ハネケ
(72)【発明者】
【氏名】コルネリッセン,マルヤン
(72)【発明者】
【氏名】リジスカンプ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】コーイケル,クラース
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533565(JP,A)
【文献】特表2012-501781(JP,A)
【文献】特開2015-171537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費するのに適した所定量の飲料を調製するためのシステムであって、
前記システムは第1の交換可能カプセルを任意選択で備えるように構成されており、
前記第1の交換可能カプセルよりも大きな第2の交換可能カプセルと、
前記第1又は第2の交換可能カプセルのうちの1つを選択的に保持する淹出チャンバを形成する第1の淹出チャンバ部及び第2の淹出チャンバ部を備える装置であって、所定量の水などの流体を、圧力下で、前記第1又は第2の交換可能カプセルのうちの1つを選択的に保持するためのキャビティを有する前記第1の淹出チャンバ部に供給する流体分配デバイスを備える装置と、を含み、
前記第1の淹出チャンバ部は、前記淹出チャンバが前記第2のカプセルを保持する場合、前記第2の交換可能カプセルによって占有されない第2のボリュームを備え、前記第2のボリュームは、前記淹出チャンバが前記第1のカプセルを保持する場合、前記第2の淹出チャンバ部を受容するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記第1の淹出チャンバ部は、前記淹出チャンバが前記第1の交換可能カプセルを保持する場合、前記第1の交換可能カプセルによって占有されない第1のボリュームを備え、前記第1のボリュームは、前記第2のカプセルを保持する場合、前記第2の交換可能カプセルの一部を保持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1及び第2のカプセルは、実質的に同じ長さ対直径比を有する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の淹出チャンバ部は、第1又は第2の位置に移動可能であり、前記第1の位置では、前記第1及び第2の淹出チャンバ部は、前記第1のカプセルを保持する前記淹出チャンバを形成し、前記第2の位置では、前記第1及び第2の淹出チャンバ部は、前記第2のカプセルを保持する前記淹出チャンバを形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記装置は、前記第2のカプセルを保持するときに前記第1及び前記第2の淹出チャンバ部を封止するための第2の封止部材を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2のカプセルは、前記第2の封止部材を封止するための封止表面を有し、前記封止表面は、前記第1のカプセルの本体の外径よりも大きな内径を有する、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のカプセルは、前記第2の封止部材との流体封止係合を提供するように構成された第2のフランジ状リムを有する、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記装置は、前記第1のカプセルを保持するときに前記第1及び第2の淹出チャンバ部を封止するための第1の封止部材を備え、前記第1のカプセルは、前記第1の封止部材との流体封止係合を提供するように構成された第1のフランジ状リムを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の淹出チャンバ部は、前記第1のカプセルと協働するために前記キャビティ内に配置された第1の環状当接面を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記キャビティは底部及び1つ以上の周壁を備え、前記第1の環状当接面は、前記底部から少なくとも前記第1のカプセルの長さの距離で、少なくとも1つの前記周壁に配置されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記キャビティは、前記第2のボリュームを画定する第2の部分を備え、前記第2の部分は、前記第1の環状当接面の直径よりも大きい、又は等しい断面を有する、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の部分の少なくとも一部は、
前記第2のカプセルの本体の形状に追従するために前記第2のカプセルに対応するように成形されており、前記本体
の断面は、前記第2のボリュームを最小にするために、前記第1の環状当接面の前記直径よりも大きい、又は等しい、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の淹出チャンバ部は、前記第2のカプセルと協働するための第2の環状当接面を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記キャビティは、前記第1のボリュームを画定する第1の部分を備え、前記第1の部分は、前記第2のカプセルを前記第1の部分の中に受容するために、前記第2のカプセルに対応する形状及びサイズを有する、
請求項2および請求項2に従属する場合の請求項3~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1及び前記第2のカプセルは各々、傾斜周壁を有するカップ形状の本体を備え、前記傾斜周壁は、前記本体の底部に向かう方向に漸減する断面を呈し
、前記第1及び前記第2のカプセルの前記傾斜周壁は、前記カプセルの軸線方向に対して実質的に同じ角度で傾斜している、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1のカプセルは第1のフランジ状リムを備え、前記第2のカプセルは第2のフランジ状リムを備え、前記本体
の長さと前記第1のフランジ状リムの直径との比は、前記本体
の長さと前記第2のフランジ状リムの直径との比と実質的に同じである、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の交換可能カプセルを更に備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の淹出チャンバ部によって受容可能であるように、かつ前記第1のボリュームを備える前記キャビティを部分的に充填するように適切に成形された本体を有する第3の交換可能カプセルであって、前記第1のカプセルと実質的に同じ長さを有する第3の交換可能カプセルと、
前記第2のカプセルと実質的に同じ形状及び断面を有するが前記第2のカプセルの前記長さよりも短い長さを有する本体を備える第4の交換可能カプセルであって、前記第4の交換可能カプセルの前記本体は、前記第1の淹出チャンバ部に挿入する前に、手動で又は機械的に底部で開口されるように任意選択で構成されている、第4の交換可能カプセルと、
前記第1又は前記第2のカプセルのうちの1つと同一の形状及びサイズを有する第5の交換可能カプセルであって、その中に飲料原材料を補充することを可能にするため、開閉するように構成されている第5の交換可能カプセルと、
淹出チャンバアダプタと組み合わせた第6の交換可能カプセルであって、前記淹出チャンバアダプタは、それと協働するために前記第1の淹出チャンバの内部形状に対応する外部形状を備え、前記淹出チャンバアダプタは、前記第6のカプセルを前記第1の淹出チャンバ部に挿入することを可能にするために、前記第6のカプセルの外部形状に対応する内部形状を備える、第6の交換可能カプセルと、
第1の淹出チャンバ部によって受容されるように適切に成形された本体を有する第7の交換可能カプセルであって、前記第7の交換可能カプセルの中に飲料原材料の補充を可能にする開口区分を備える第7の交換可能カプセルと、
本体の上端部が
前記第2のボリュームを少なくとも部分的に充填するように成形されたカップ形状
の前記本体を有する第8の交換可能カプセルと、
カップ形状の本体を有する第9の交換可能カプセルであって、前記本体の上端部が、前記キャビティに少なくとも部分的に対応するように、かつ前記第2のボリュームを少なくとも部分的に充填するように成形された第9の交換可能カプセルと、
前記淹出チャンバが前記第1の交換可能カプセルを保持する場合、前記第1のボリュームを充填若しくは閉鎖するように適切に成形された第1のカプセル相補形淹出チャンバアダプタ、又は、
前記淹出チャンバが前記第2の交換可能カプセルを保持する場合、前記第2
のボリュームを充填若しくは閉鎖するように適切に成形された第2のカプセル相補形淹出チャンバアダプタと、
を含む群のうちの少なくとも1つの要素を更に備える、
請求項2および請求項2に従属する場合の請求項3~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
第1又は第2の交換可能カプセルのうちの1つを選択的に保持する淹出チャンバを形成するように互いに協働するように構成された第1の淹出チャンバ部及び第2の淹出チャンバ部を備える淹出チャンバアセンブリであって、
前記アセンブリは、所定量の水などの流体を、圧力下で、前記第1の淹出チャンバ部に供給するための流体分配デバイスと協働するように構成されており、
前記第1の淹出チャンバ部は、前記第1及び第2の交換可能カプセルのうちの前記1つを選択的に保持するためのキャビティを有し、
前記淹出チャンバが前記第1の交換可能カプセルを保持している場合、前記第1の淹出チャンバ部は、前記第1の交換可能カプセルによって占有されない第1のボリュームを含むように成形されており、
前記第1のボリュームは、前記淹出チャンバが前記第2のカプセルを保持しているときに、前記第2の交換可能カプセルの一部を保持するように構成されており、
前記淹出チャンバが前記第2のカプセルを保持している場合、前記第1の淹出チャンバ部は、更に、前記第2の交換可能カプセルによって占有されない第2のボリュームを含むように成形されており、
前記第2のボリュームは、前記淹出チャンバが前記第1のカプセルを保持しているときに、前記第2の淹出チャンバ部を受容するように構成されている、淹出チャンバアセンブリ。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一項に記載のシステムで使用するためのカプセルのセットであって、前記セットは第1の交換可能カプセル及び第2の交換可能カプセルを備え、前記第2のカプセルは前記第1のカプセルよりも大きく、
前記第1及び第2のカプセルの各1つは、第1の淹出チャンバ部のキャビティ内に受容可能であるような、かつ前記キャビティが淹出チャンバを形成するために前記第1の淹出チャンバ部と協働する第2の淹出チャンバ部によって閉鎖可能であるような形状及びサイズを有し、
前記第1及び第2の淹出チャンバ部は、前記第1又は第2のカプセルのうちの1つを選択的に使用することによって消費するのに適した所定量の飲料を調製するように構成された装置に包含されており、
前記第1のカプセルは、前記第1のカプセルが前記キャビティ内に存在するとき、前記第1のカプセルの本体と前記第1の淹出チャンバ部の周壁との間の前記キャビティ内に第1のボリュームを画定するように成形されており、
前記第1のボリュームは、前記淹出チャンバが前記第1のカプセルの代わりに前記第2のカプセルを保持する場合、前記第2のカプセルの一部を保持するように構成されており、
前記第2のカプセルは、前記第2のカプセルが前記キャビティ内に存在するとき、前記第2のカプセルの本体と前記第1の淹出チャンバ部の周壁との間の前記キャビティ内に第2のボリュームを画定するように成形されており、
前記第2のボリュームは、前記淹出チャンバが前記第2のカプセルの代わりに前記第1のカプセルを保持する場合、前記第2の淹出チャンバ部を受容するように構成されている、カプセルのセット。
【請求項21】
消費するのに適した所定量の飲料を調製する方法であって、
第1の交換可能カプセル又は前記第1の交換可能カプセルよりも大きな第2の交換可能カプセルのうちの少なくとも1つを選択するステップと、
第1又は第2のカプセルのうちの前記選択された1つを装置の第1の淹出チャンバ部に挿入するステップであって、前記装置は、前記第1の交換可能カプセル又は前記第2の交換可能カプセルのうちの選択された1つを保持するように構成されている淹出チャンバを形成する前記第1の淹出チャンバ部及び第2の淹出チャンバ部を備える、ステップと、
流体分配デバイスを用いて、所定量の水などの流体を、圧力下で、前記第1及び前記第2の交換可能カプセルのうちの前記選択された1つを保持するキャビティを有する前記第1の淹出チャンバ部に供給するステップと、を含み、
前記挿入するステップは、
前記第1のカプセルが選択されたとき、前記第1の淹出チャンバ部に第1のボリュームを形成するステップであって、前記第1のボリュームは、前記淹出チャンバが前記第1の交換可能カプセルを保持する場合、前記第1の交換可能カプセルによって占有されず、前記淹出チャンバが前記第2のカプセルを保持する場合、
前記第1のボリュームは、前記第2の交換可能カプセルの一部を保持するように構成されている、ステップと、
前記第2のカプセルが選択されたとき、前記第1の淹出チャンバ部に第2のボリュームを形成するステップであって、前記第2のボリュームは、前記淹出チャンバが前記第2の交換可能カプセルを保持する場合、前記第2の交換可能カプセルによって占有されず、前記淹出チャンバが前記第1のカプセルを保持する場合、
前記第2のボリュームは、前記第2の淹出チャンバ部を受容するように構成されている、ステップと、を含む、方法。
【請求項22】
請求項2および請求項2に従属する場合の請求項3~18のいずれか一項に記載のシステムで使用するためのカプセル相補形淹出チャンバアダプタであって、第1又は第2のカプセルと組み合わせて使用するのに適しており、
前記カプセル相補形淹出チャンバアダプタは、前記淹出チャンバが前記第1の交換可能カプセルを保持している場合、前記第1のボリュームを充填又は閉鎖するように成形されており、又は、
前記カプセル相補形淹出チャンバアダプタは、前記淹出チャンバが前記第2の交換可能カプセルを保持している場合、前記第2のボリュームを充填又は閉鎖するように成形されている、カプセル相補形淹出チャンバアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、飲料を調製するためのシステムに関する。本発明は、淹出チャンバアセンブリ、そのような淹出チャンバアセンブリを備える装置、カプセルのセット、飲料を調製する方法、カプセル、及び複数の淹出チャンバアダプタにも関する。より具体的には、本発明は、カプセルを用いて飲料を調製するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カプセルベースの飲料調製マシンは、主にユーザが、様々なタイプと味の飲料を典型的には高品質で淹出することを可能にするため、非常に普及している。この観点で、これらのタイプの飲料調製マシンは、そのような飲料を調製する旧式の手動の方法と比較して大きく前進している。
【0003】
しかし、これらの利点にかかわらず、タイプ(例えば、ロングドリンク、ショートドリンク、異なるサイズのカップ)に応じて異なる量で異なるタイプ及び味の飲料を調製することができるカプセル飲料調製マシンを設計することは依然として困難である。異なるサイズのカプセル又は異なる量の充填物を有するカプセルを適用する様々な解決策が知られている。これらのうちの後者は、飲料の品質が単一のサイズのカプセルに異なる量の飲料原材料を貯蔵することにより悪影響を受ける多くの要因に依存するので、最適な解決策を提供することができない。
【0004】
異なる量に対して異なるサイズのカプセルを使用することは、品質問題を克服するのに役立つが、それ自体の欠点をもたらす。例えば、遭遇する最初の課題は、そのような異なるサイズのカプセルを受容することができるマシンを設計することである。更に、カプセルの製造業者は、典型的には、カプセルが同じ外観、すなわち、同じルックアンドフィールを有することを望み、これにより、カプセルは店舗においてユーザにとって認識可能になる。これらの2つの課題を組み合わせることで、解決すべき更なる困難が生じる。例えば、同じ外観と異なるサイズを組み合わせることの要件は、製造された飲料の品質を損なうことはないが、すべてのカプセルを受容することができる単一の淹出チャンバを有するマシンを設計することを困難にする。例えば、より小さなカプセルが淹出チャンバ内に適切にしっかり包含されず、このより小さなカプセルと密閉部材との間の空間に廃水が蓄積されることがある。これは、製造された飲料の品質を損なう可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点を克服し、記載された課題を解決することである。具体的には、本発明の目的は、製造された飲料の品質を損なうことなく、同じ全体的外観を有する異なるサイズのカプセルを使用するのに適した、所定量の飲料を調製するためのシステムを提供することである。
【0006】
この目的に対し、消費するのに適した所定量の飲料を調製するためのシステムであって、システムは第1の交換可能カプセルを任意選択で備えるように構成されており、第1の交換可能カプセルよりも大きな第2の交換可能カプセルと、第1又は第2の交換可能カプセルのうちの1つを選択的に保持する淹出チャンバを形成する第1の淹出チャンバ部及び第2の淹出チャンバ部を備える装置であって、所定量の水などの流体を、圧力下で、第1又は第2の交換可能カプセルのうちの1つを選択的に保持するためのキャビティを有する第1の淹出チャンバ部に供給する流体分配デバイスを備える装置と、を含むシステムが本明細書によって提供される。第1の淹出チャンバ部分は、淹出チャンバが第1の交換可能カプセルを保持する場合、第1の交換可能カプセルによって占有されない第1のボリュームを備えることができ、第1のボリュームは、淹出チャンバが第2のカプセルを保持する場合、第2の交換可能カプセルの一部を保持するように構成されている。第1の淹出チャンバ部分は、淹出チャンバが第2のカプセルを保持する場合、第2の交換可能カプセルによって占有されない第2のボリュームを備えることができ、第2のボリュームは、淹出チャンバが第1のカプセルを保持する場合、第2の淹出チャンバ部分を受容するように構成されている。
【0007】
本発明によれば、淹出チャンバは、第1のカプセル及び第2のカプセルの両方に対して、2つのカプセルのうちの一方だけに廃水が存在するのではなく、ある程度の廃水がこのチャンバ内に存在するように構成されている。したがって、第1又は第2のカプセルのいずれか一方を使用して、両方の操作モードに対して廃水容量を最小限に抑えることができる。
【0008】
具体的には、第2のカプセルが第1のカプセルよりも大きい場合、第1のカプセルは淹出チャンバを完全に充填することができない。したがって、第1のカプセルが第1の淹出チャンバ部分のキャビティ内に装填される場合、ボリュームは空きのままになる。しかし、本設計では、第1の淹出チャンバ部分は、淹出チャンバが(より小さい)第1のカプセルを装填している場合、第2の淹出チャンバ部分を受容するように構成されたキャビティ内に第2のボリュームを備える。これにより、キャビティ容積に第1のカプセルが装填され、第2の淹出チャンバ部分によって閉鎖される場合、キャビティ容積を減少させることができる。しかし、本発明によれば、キャビティ容積の減少は、全キャビティ容積と第1のカプセルによって占められる容積との間の容積差を部分的に克服するだけである。これは、生成される飲料の品質を、モード間で廃水の蓄積量が均衡されている場合、すべてのタイプの飲料及び動作モードに対して最適化することができるからである。
【0009】
したがって、本発明によれば、キャビティに第2のより大きなカプセルが装填される場合には、キャビティ内にある程度のデッドスペースが意図的に許容される。これは、動作モード間の廃水量を均衡させるように、キャビティに第1のカプセルが装填された場合のデッドスペースを低減するためである。したがって、淹出チャンバが第1のカプセルを保持する場合、そうでなければ第2のカプセルによって占められることになる第1のボリュームがキャビティ内に存在する。更に、淹出チャンバが第2のカプセルを保持する場合、第2のカプセルは、第1のボリュームがこのカプセルによって占められるようにキャビティを充填するが、キャビティ内の第2のボリュームは空きのままである。この第2のボリュームは、淹出チャンバが第1のカプセルを保持する場合、第2の淹出チャンバ部分に対して経路を与える容積である。
【0010】
好ましくは、いくつかの実施形態によれば、第1及び第2のカプセルは、実質的に同じ長さ対直径比を有する。具体的には、これらの実施形態によれば、第1及び第2のカプセルは、「同系統」のルックアンドフィールを有するように設計される。カプセルは、例えば、類似する高さ対幅比を有する。外観上、第2のカプセルは、飲料原材料を保持するための追加の収容量を提供するために、第1のカプセルのサイズ及び形状の(真の)拡大であってよい。
【0011】
これらの実施形態では、第1の淹出チャンバ部分は、第2のカプセルを保持するように設計しなければならないので、小さな第1のカプセルにより淹出チャンバ部分を装填すると、第1のカプセルの本体の周りの円周方向に容積を生じさせることがあり、この容積はキャビティの内側で空のままである。したがって、これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1のボリュームは、第1の淹出チャンバ部分の第1のカプセルの本体の周りの円周容積となる。これらの実施形態では、第1のカプセルは、第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ部分と協働することによって形成される内部、すなわちキャビティの適切な設計によって位置を保持することができる。例えば、第1のカプセルは、第1の淹出チャンバ部分の内部により深く位置することができるが、一方、第2の淹出チャンバ部分は、キャビティの一部、すなわち第2のボリュームを含む部分に拡張される。過剰の水又は廃水を受容することができるデッドスペースは、第2のボリュームを含まない。
【0012】
システムが、第1のボリューム及び第2のボリュームをカプセルの形式に依存して提供することができるようにするため、いくつかの実施形態によれば、例えば、第2の淹出チャンバ部分は、第1又は第2の位置に移動可能であり、第1の位置では、第1及び第2の淹出チャンバ部分は、第1のカプセルを保持する淹出チャンバを形成し、第2の位置では、第1及び第2の淹出チャンバ部分は、第2のカプセルを保持する淹出チャンバを形成する。
【0013】
更にいくつかの実施形態では、装置は、第2のカプセルを保持する場合、第1及び第2の淹出チャンバ部分を封止するための第2の封止部材を含む。第2のカプセルは、第2の封止部材を封止するための封止表面を有し、封止表面は、第1のカプセルの本体の外径よりも大きな内径を有することができる。第1のカプセルの外径よりも大きな内径を有する封止面を設けることによって、第1のカプセルを、第1の淹出チャンバ部分の同じ開口端部を通して第1の淹出チャンバ部分に挿入することができるような設計が達成される。第2の淹出チャンバ部分は、例えば、第1又は第2のカプセルの出口面に当接するための抽出プレートを備えることができる。例えば、抽出プレートは、中央部分及び周辺部分を含むことができ、中央部分は、周辺部分に対して第2の位置から第1の位置まで移動可能である。第2の位置では、抽出プレートは第2のカプセルの出口面に当接する。第1のカプセルが挿入された場合、抽出プレートの中央部分は更に第1の位置に向かって延びる。例えば、中央部分は、周辺部分に対して軸方向に移動可能であってもよい。システムは、キャビティが第1のカプセルを保持するときに、第1の位置に若しくはその近傍に、又は第2の位置よりも第1の位置に近い位置に中央部分をロックするためのロック機構を含むことができる。
【0014】
第1又は第2のカプセルのいずれか1つを保持する場合の淹出チャンバの封止は、淹出チャンバ内に十分な圧力を蓄積し、漏出を防止するために比較的重要である。これは様々な方法で達成することができる。しかし、特に、本発明に係るシステムでは、封止係合を達成することのできるフランジ状リムをカプセルに設けることが有利であり得る。フランジ状リムは、同時に、飲料の調製中にカプセル、例えばより小さな第1のカプセルの位置を淹出チャンバ内に保持することができる。例えば、いくつかの実施形態によれば、第2のカプセルは、第2の封止部材との流体封止係合を提供するように構成された第2のフランジ状リムを有する。いくつかの更なる実施形態によれば、装置は、第1のカプセルを保持するときに第1及び第2の淹出チャンバ部分を封止するための第1の封止部材を含み、第1のカプセルは、第1の封止部材との流体封止係合を提供するように構成された第1のフランジ状リムを有する。
【0015】
更に又はあるいは、第1の封止部材は、第2の交換可能カプセルを保持するための淹出チャンバを形成するときに、中央部分と周辺部分との間に自己補強型の封止係合を提供するように構成された弾性リップを含むことができる。この場合、第2の封止部材は、例えば、例えば水などの液体をある程度漏出させて、第1の封止部材の弾性リップを膨張させることができる。
【0016】
第1の淹出チャンバ部分を1つ以上の環状当接面に適合させることによって、飲料の調製中のカプセルの固定又は不動化、及び上述の封止を達成することができる。フランジ状リムを有するカプセルは、第1の淹出チャンバ部分への挿入中に、そのような環状当接面に当接するように作製することができる。例えば、いくつかの実施形態によれば、第1の淹出チャンバ部分は、第1のカプセルと協働するためにキャビティ内に配置された第1の環状当接面を備える。第1の淹出チャンバ部分のキャビティが底部及び1つ以上の周壁を含む場合、いくつかの実施形態によれば、第1の環状当接面は、底部から少なくとも第1のカプセルの長さの距離で周壁の少なくとも1つに配置してもよい。上記のように、第1のフランジ状リムは、第1の環状当接面に当接するように配置してもよい。これにより、第1のカプセルを、第2のカプセルよりも第1の淹出チャンバ部分に比較的深く位置する適所に保持することが可能になる。したがって、第1のカプセルの周りで空にされた第1のボリュームが減少し、更なる設計によって最小にすることさえできる。例えば、カプセルは、画定されたフランジ状リムを有する実質的に切頭円錐形であり、第1及び第2のカプセルが実質的に同じ長さ対幅比を有する場合、切頭円錐形カプセルの傾斜壁の角度は、第1のボリュームのサイズを、第1のカプセルに対する第2のカプセルのサイズ比と共に決定する。カプセルの傾斜周壁の角度が大きければ大きいほど、第1の淹出チャンバ部分の第1のボリューム、すなわちデッドスペースが小さくなる。
【0017】
同様に、いくつかの実施形態によれば、第1の淹出チャンバ部分は、第2のカプセルと協働するための第2の環状当接面を備える。これらの実施形態のいくつかでは、第2の環状当接面は、第1の淹出チャンバ部分の開放端部に、又はその近傍に配置される。理解されるように、代替の実施形態は、キャビティ内の他の場所、例えばキャビティの内側の何れかに第2の当接面を含むことができ、それによって追加の当接面のための空間を提供して、追加の更に大きなカプセル形式を抽出チャンバに挿入できるようにする。第2のカプセルが第2のカプセル状リムを備える実施形態では、第2のフランジ状リムは、第2の環状当接面に当接するように配置してもよく、例えば飲料の調製中にカプセルの不動化を可能にする。第2の環状当接面は、第1のカプセルの外径、例えば第1のカプセルのフランジの外径よりも大きな内径を有することができである。
【0018】
更に、いくつかの実施形態では、第2のカプセルは、第2の環状当接面に当接する当接エリアを有することができる。当接エリアは、第1のカプセルの外径よりも大きな内径を有する。第1のカプセルの外径よりも大きな内径を有する当接エリアを設けることによって、第1のカプセルが、第1の淹出チャンバ部分の同じ開口端部を通って第1の淹出チャンバ部分に挿入される設計を達成することができる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、キャビティは、第2のボリュームを画定する第2の部分を備え、第2の部分は、第1の環状当接面の直径よりも大きい、又は等しい断面を有する。これにより、第1のカプセルの挿入が容易になる。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、第2の部分の少なくとも一部は、本体の形状に追従するために第2のカプセルに対応するように成形されており、本体の断面は、第2のボリュームを最小にするために、第1の環状当接面の直径よりも大きいか、又は等しい。具体的には、第1のカプセルを容易に挿入することに加えて、更に、第2のボリュームの大きさを、淹出チャンバへの第1のカプセルの挿入を容易にするのに必要な最小限の大きさに制限することができ、それによって、飲料の調製中に生成される廃水量を減らすことができる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、キャビティは、第1のボリュームを画定する第1の部分を備え、この第1の部分は、第2のカプセルを受容するために第2のカプセルに対応する形状及びサイズを有する。この実施形態では、第2のカプセルの形状及びサイズは、第1の淹出チャンバ部分の第1の部分にうまく適合するように作製されており、それによって、第2のカプセルが淹出チャンバ内に保持される場合には、淹出チャンバ内のデッドスペースを第2のボリュームだけに制限する。第1のカプセルが淹出チャンバ内に保持される場合に第1のボリュームを最小にするように成形されたカプセルを使用することは、上述したように利点を提供する。これは、例えば、第1及び第2のカプセルが各々、本体の底部に向かう方向に漸減する断面を呈する傾斜周壁を有するカップ形状の本体を備えるいくつかの実施形態によって達成され得る。これには、切頭円錐形、切頭角錐形、及び同様の形状のカプセルが含まれる。切頭円錐形の代替物として、これらの実施形態に係るカプセルは、湾曲した周壁を有する形状の、例えば弾丸形状又は切頂弾丸形状のカプセルも含む。本実施形態から逸脱することなく、カプセルの周壁は平滑な表面を含むことができ、あるいは鋸歯状の壁、ノッチ又はディンプルを有する壁、コルゲート壁、などの表面構造を含むことができる。当業者は、この説明に基づいて他の実施形態を特定することができる。
【0021】
好ましくは、上記実施形態の特定の1つによれば、第1及び第2のカプセルの傾斜周壁は、カプセルの軸方向に対して実質的に同じ角度で傾斜している。これにより、同じ外観を有するカプセルが提供され、第1のカプセルが確実にキャビティ内に収まることが保証にされる。
【0022】
第1のカプセルが第1のフランジ状リムを備える実施形態では、第1のカプセルと第2のカプセルとの間に同じ外観を提供することからわずかに逸脱しており、第2のカプセルの本体の上端部分は円筒形状であり、任意選択で第1のカプセルの第1のフランジ状リムの断面に対応する断面を有する。これにより、植木鉢状形状を有する第2のカプセルが得られる。これの利点は、第2のカプセルの断面が第1のカプセルの第1のフランジ状リムの断面直径に対応するので、第2のカプセルの本体の円筒状上端部が、第1の淹出チャンバ部分に挿入されるときに、第2のボリュームを充填することである。したがって、その場合、生成される廃水がより少なくなる。理解されるように、本実施形態から逸脱することなく、この植木鉢状カプセルの断面が、第1のカプセルの第1のフランジ状リムの断面直径に対応することは任意選択である。この場合、廃水が生成されないことが必ずしも確かめられるわけではないが、より小さな又はより大きな直径を有する円筒状の上端部分を有するカプセルも適用することができる。
【0023】
カプセルが円筒形でなくてもよいという事実を考慮して、いくつかの実施形態によれば、本体の長さと本体の底部直径との比は、第1及び第2のカプセルに対して実質的に同じであると定義することができる。更に、いくつかの実施形態によれば、第1のカプセルは第1のフランジ状リムを含み、第2のカプセルは第2のフランジ状リムを備え、本体の長さと第1のフランジ状リムの直径との比は、本体の長さと第2のフランジ状リムの直径との比と実質的に同じである。
【0024】
任意選択で第1の淹出チャンバ部分のキャビティは、第1又は第2のカプセルを受容するように構成される。第1の淹出チャンバ部分のキャビティは、第1又は第2のカプセルを保持するように構成された所定のキャビティであることができる。キャビティは、第1又は第2のカプセルを保持するために不変の形状を有することができる。第1の淹出チャンバ部分は、第1の淹出チャンバ部分の構成を変更することなく、第1のカプセル又は第2のカプセルを保持するように構成することができる。第1の淹出チャンバ部分は一体的部材であることができる。
【0025】
本明細書で定義されるように、第1の交換可能カプセルの使用は、第2のタイプのカプセルのみで十分に実用的であるため、システムに対して任意選択である。したがって、いくつかの実施形態では、システムは、第2のタイプのカプセルのみを含むが、いくつかの他の実施形態によれば、システムは、任意選択の第1の交換可能カプセルを更に含む。更に、いくつかの実施形態によれば、システムは、第1及び第2の交換可能カプセル以外の他のタイプのカプセルを含むことができる。例えば、上述の植木鉢状カプセルが既に言及されており、これは、カプセルの追加的タイプ又は代替タイプとして使用することができる。更に、実施形態によれば、システムは、第1の淹出チャンバ部分によって受容可能であるように、かつ第1のボリュームを備えるキャビティを部分的に充填するように適切に成形された本体を有する第3の交換可能カプセルであって、第1のカプセルと実質的に同じ長さを有する第3の交換可能カプセル、又は、第2のカプセルと実質的に同じ形状及び断面を有するが第2のカプセルの長さよりも短い長さを有する本体を備える第4のカプセルであって、第4のカプセルの本体は、第1の淹出チャンバ部分に挿入する前に、手動で又は機械的に底部で開口されるように構成されている、第4の交換可能カプセルと、第1又は第2のカプセルのうちの1つと同一の形状及びサイズを有する第5のカプセルであって、その中に飲料原材料を補充することを可能にするため、開閉するように構成されている第5の交換可能カプセルと、淹出チャンバアダプタと組み合わせた第6のカプセルであって、淹出チャンバアダプタは、それと協働するために第1の淹出チャンバの内部形状に対応する外部形状を備え、淹出チャンバアダプタは、第6のカプセルを第1の淹出チャンバ部分に挿入することを可能にするために、第6のカプセルの外部形状に対応する内部形状を備える、第6の交換可能カプセルと、第1の淹出チャンバ部分によって受容されるように適切に成形された本体を有する第7の交換可能カプセルであって、その中に飲料原材料の補充を可能にする開口部分を備える第7の交換可能カプセルと、本体の上端部が第2のボリュームを少なくとも部分的に充填するように成形されたカップ形状本体を有する第8の交換可能カプセルと、カップ形状の本体を有する第9の交換可能カプセルであって、本体の上端部が、キャビティに少なくとも部分的に対応するように、かつ第2のボリュームを少なくとも部分的に充填するように成形された第9の交換可能カプセルと、淹出チャンバが第1の交換可能カプセルを保持する場合、第1のボリュームを充填若しくは閉鎖するように適切に成形された第1のカプセル相補形淹出チャンバアダプタ、又は、淹出チャンバが第2の交換可能カプセルを保持する場合、第2のボリュームを充填若しくは閉鎖するように適切に成形された第2のカプセル相補形淹出チャンバアダプタと、を含む群のうちの少なくとも1つの要素を更に又は代替的に含む。上述の第1のカプセル淹出チャンバアダプタ及び第2のカプセル淹出チャンバアダプタの利点は、これらのアダプタが淹出中に生成される廃水量を更に低減できることである。
【0026】
第1の淹出チャンバ部分のキャビティは、使用されるカプセルに応じて相応に成形することができ、規定された第1及び第2のボリュームを含む。いくつかの実施形態によれば、キャビティは、切頭円錐形、切頭角錐形、円筒形、立方体、ブロック形状、階段状円筒形、階段状切頭円錐形、階段状切頭角錐形、階段状立方体、階段状ブロック形状、弾丸形状、又は切頂弾丸形状を備える群の要素に対応する形状を有する。
【0027】
いくつかの態様によれば、システムは、記載された装置のみを含むことに限定されず、特定のタイプ又は特定のタイプのカプセルを保持するように特に適合された更なる装置又は淹出チャンバを含むことができる。この目的に対し、いくつかの実施形態によれば、システムは、第1又は第2のカプセルのうちの1つを専用に受容するように構成された更なる装置を更に含むことができ、更なる装置は、第1又は第2のカプセルのうちの1つを専用に保持するための更なる淹出チャンバを形成する第3の淹出チャンバ部分及び第4の淹出チャンバ部分と、所定量の水などの流体を、圧力下で、第1又は第2のカプセルのうちの1つを専用に保持するように成形されたキャビティを有する第3の淹出チャンバ部分に供給するための流体分配デバイスと、を含む。例えば、第1の交換可能カプセルを保持するためにだけ適した淹出チャンバを有する追加の装置を設けることができる。更に又はあるいは、上記の装置に加えて、第2の交換可能カプセルを保持するのにだけ適した淹出チャンバを有する装置を設けることができる。更に、本発明から逸脱することなく、上述の第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9又は植木鉢状カプセルの1つ以上を保持する装置を追加することができる。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、第1又は第2の交換可能カプセルのうちの1つを選択的に保持する淹出チャンバを形成するように互いに協働するように構成された第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分を備える淹出チャンバアセンブリであって、アセンブリは、所定量の水などの流体を、圧力下で、第1の淹出チャンバ部分に供給するための流体分配デバイスと協働するように構成されており、第1の淹出チャンバ部分は、第1又は第2の交換可能カプセルのうちの1つを選択的に保持するためのキャビティを有し、淹出チャンバが第1の交換可能カプセルを保持する場合、第1の淹出チャンバ部分は、第1の交換可能カプセルによって占有されない第1のボリュームを含むように成形されており、第1のボリュームは、淹出チャンバが第2のカプセルを保持する場合、第2の交換可能カプセルの一部を保持するように構成されており、淹出チャンバが第2のカプセルを保持する場合、第1の淹出チャンバ部分は、更に、第2の交換可能カプセルによって占有されない第2のボリュームを含むように成形されており、第2のボリュームは、淹出チャンバが第1のカプセルを保持する場合、第2の淹出チャンバ部分を受容するように構成されている、淹出チャンバアセンブリが提供される。
【0029】
淹出チャンバアセンブリの実施形態は、上記のシステムについて説明した特定の実施形態と一致するか、対応することができる。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、第2の交換可能カプセルを使用し、任意選択で第1の交換可能カプセルを使用して、消費するのに適した所定量の飲料を調製するための装置であって、第2のカプセルは第1のカプセルよりも大きい、第2の態様に係る淹出チャンバアセンブリを含む装置が提供される。
【0031】
更に、本発明の第4の態様によれば、請求項1~23のいずれか一項に記載のシステムで使用するための、又は請求項25~40のいずれか一項に記載の淹出アセンブリで使用するための、又は請求項41に記載の装置で使用するための、カプセルのセットであって、セットは第1の交換可能カプセル及び第2の交換可能カプセルを備え、第2のカプセルは第1のカプセルよりも大きく、第1及び第2のカプセルの各1つは、第1の淹出チャンバ部分のキャビティ内に受容可能であるような、かつキャビティが淹出チャンバを形成するために第1の淹出チャンバ部分と協働する第2の淹出チャンバ部分によって閉鎖可能な形状及びサイズを有し、第1及び第2の淹出チャンバ部分は、第1又は第2のカプセルのうちの1つを選択的に使用することによって消費するのに適した所定量の飲料を調製するように構成された装置に包含されており、第1のカプセルは、第1のカプセルがキャビティ内に存在するとき、第1のカプセルの本体と第1の淹出チャンバ部分の周壁との間のキャビティ内に第1のボリュームを形成するように成形されており、第1のボリュームは、淹出チャンバが第1のカプセルの代わりに第2のカプセルを保持する場合、第2のカプセルの一部を保持するように構成されており、第2のカプセルは、第2のカプセルがキャビティ内に存在する場合、第2のカプセルの本体と第1の淹出チャンバ部分の周壁との間のキャビティ内に第2のボリュームを形成するように成形されており、第2のボリュームは、淹出チャンバが第2のカプセルの代わりに第1のカプセルを保持する場合、第2の淹出チャンバ部分を受容するように構成されている、カプセルのセットが提供される。この態様に係る本発明の特定の実施形態では、第1及び第2のカプセルは、実質的に同じ長さ対直径比を有する。具体的には、カプセルは、例えば、同様の高さ対幅比を有する。外観上、第2のカプセルは、飲料原材料を保持するための追加の収容量を提供するために、第1のカプセルのサイズ及び形状の(真の)拡大であり得る。これは、単に同じ外観のカプセルを提供するのではなく、説明したように、廃水量を最小限に抑え、均衡させながら任意のタイプのこれらのカプセルを保持するのに適した淹出チャンバを可能にする利点を更に提供する。
【0032】
本発明の第5の態様によれば、消費するのに適した所定量の飲料を調製する方法であって、第1の交換可能カプセル又は第1の交換可能カプセルよりも大きな第2の交換可能カプセルのうちの少なくとも1つを選択するステップと、第1又は第2のカプセルのうちの選択された1つを、装置の第1の淹出チャンバ部分に挿入するステップであって、装置は、第1の交換可能カプセルと第2の交換可能カプセルのうちの選択された1つを保持するように構成されている淹出チャンバを形成する第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分を備える、ステップと、流体分配デバイスを用いて、所定量の水などの流体を、圧力下で、第1及び第2の交換可能カプセルのうちの選択された1つを保持するキャビティを有する第1の淹出チャンバ部分に供給するステップと、を含み、挿入するステップは、第1のカプセルが選択されたとき、第1の淹出チャンバ部分に第1のボリュームを形成するステップであって、第1のボリュームは、淹出チャンバが第1の交換可能カプセルを保持する場合、第1の交換可能カプセルによって占有されず、淹出チャンバが第2のカプセルを保持する場合、第2の交換可能カプセルの一部を保持するように構成されている、ステップと、第2のカプセルが選択されたとき、第1の淹出チャンバ部分に第2のボリュームを形成するステップであって、第2のボリュームは、淹出チャンバが第2のカプセルを保持する場合、第2の交換可能カプセルによって占有されず、淹出チャンバが第1のカプセルを保持した場合、第2の淹出チャンバ部分を受容するように構成されている、ステップと、を含む方法が提供される。
【0033】
更に、本発明の第6の態様によれば、第5の態様に係る方法で使用するための、又は第4の態様に係るカプセルのセットにおいて使用するための、又は第2の態様に係るアセンブリにおいて、又は第3の態様に係る装置内で使用するための、カプセルが提供される。
【0034】
更に、本発明の第7の態様によれば、第5の態様に係る方法で使用するための、又は第4の態様に係るカプセルのセットで使用するための、又は第1の態様に係るシステムで、若しくは第2の態様に係るアセンブリで、若しくは第3の態様に係る装置で使用するための、又は第6の態様に係るカプセルと組み合わせて使用するための、淹出チャンバアダプタであって、それと協働するための第1の淹出チャンバの内部形状に対応する内部形状を備え、淹出チャンバアダプタは、淹出チャンバアダプタと組み合わせて使用するための第6のカプセルの外部形状に対応する内部形状を備え、第6のカプセルが第1の淹出チャンバ部分に挿入されることを可能にする、淹出チャンバアダプタが提供される。理解されるように、この第7の態様に係るアダプタを使用することにより、様々な形状の多種多様なカプセルと組み合わせて使用可能である本発明のシステムを使用することが可能になる。
【0035】
更に、第8の態様によれば、第5の態様に係る方法で使用するための、又は第4の態様に係るカプセルのセットで使用するための、又は第1の態様に係るシステムで、若しくは第2の態様に係るアセンブリで、若しくは第3の態様に係る装置で使用するための、又は第6の態様に係るカプセルと組み合わせて使用するための、カプセル相補的淹出チャンバアダプタであって、第1又は第2のカプセルと組み合わせて使用するのに適しており、カプセル相補形淹出チャンバアダプタは、淹出チャンバが第1の交換可能カプセルを保持しているときに第1のボリュームを充填又は閉鎖するように成形されており、又はカプセル相補形淹出チャンバアダプタは、淹出チャンバが第2の交換可能カプセルを保持しているときに第2のボリュームを充填又は閉鎖するように成形されているカプセル相補形淹出チャンバアダプタが提供される。この態様に係る相補形淹出チャンバアダプタは、淹出中に生成される廃水量を更に低減することができるという利点を提供する。
【0036】
システムを考慮して説明された実施形態、態様、特徴及び任意選択肢のいずれも、装置、カプセル及び方法に等しく適用されることが理解されよう。上記の実施形態、態様、特徴及び任意選択肢任意の1つ以上を組み合わせることができることも明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、図面に表される例示的な実施形態に基づいて更に説明される。例示的な実施形態は、非限定的な例示として与えられる。図面は、非限定的な例として与えられる本発明の実施形態の概略的な表現に過ぎないことに留意されたい。
【0038】
図において,
【
図1A】飲料を調製するためのシステムの断面図を示す。
【
図1B】飲料を調製するためのシステムの断面図を示す。
【
図2A】それぞれ、淹出チャンバを閉鎖するためのレバー機構の斜視図及び部分透視図を示す。
【
図2B】それぞれ、淹出チャンバを閉鎖するためのレバー機構の斜視図及び部分透視図を示す。
【
図3A】第1のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
【
図3B】第1のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
【
図4A】第2のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
【
図4B】第2のカプセルが挿入されたときのロック機構の機能の断面図を示す。
【
図6A】淹出中に淹出チャンバ内に第1又は第2のカプセルが存在することを示す。
【
図6B】淹出中に淹出チャンバ内に第1又は第2のカプセルが存在することを示す。
【
図7A】カプセルの排出を促進するために、第1の淹出チャンバ部分がどのように下向きに旋回できるかを示す。
【
図7B】カプセルの排出を促進するために、第1の淹出チャンバ部分がどのように下向きに旋回できるかを示す。
【
図8A】それぞれ、淹出チャンバに挿入された第1又は第2のカプセルを示す。
【
図8B】それぞれ、淹出チャンバに挿入された第1又は第2のカプセルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1A及び1Bは、飲料を調製するためのシステム1の概略断面図を示す。システムは、装置2及び交換可能カプセルを含む。ここで、システム1は、第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bと協働するように構成されている。
図1A及び
図1Bに示す装置2は、1つの同一の装置である。装置2は、第1のカプセル4A(
図1A参照)又は第2のカプセル4B(
図1B参照)のいずれかと選択的に協働するように構成されている。システム1は、装置2、第1カプセル4A及び第2カプセル4Bを含むことができることが理解されよう。
【0040】
第1及び第2のカプセル4A、4Bは異なるタイプである。この例では、第2のカプセル4Bは、第1のカプセル4Aよりも大きい。第2のカプセル4Bの軸方向長さLBは、第1のカプセル4Aの軸方向長さLAよりも大きい。第2のカプセル4Bの直径DBは、第1のカプセル4Aの直径DAよりも大きい。相違にもかかわらず、この例では、第1及び第2のカプセル4A、4Bは同様の視覚的印象を与えるように設計されている。第1及び第2のカプセル4A、4Bは、同系統のルックアンドフィールを有するように設計されている。ここで、第1のカプセル4Aの軸方向長さと直径との比LA/DAは、第2のカプセル4Bの軸方向長さと直径との比LB/DBと実質的に同じである。好ましくは、第1及び第2のカプセルの長さ対直径比は、20%以内、好ましくは10%以内、例えば同一である。
【0041】
類似性を考慮して、両方のカプセル4A、4Bをここで同時に説明する。この例では、カプセル4A、4Bの両方がカップ形状本体6A、6Bを含む。ここで、カップ形状本体6A、6Bは、底部8A、8B及び周壁10A、10Bを含む。ここで、周壁10A、10Bは、カプセル4A、4Bを通る軸線方向に対して所定の角度で傾斜している。例えば、傾斜壁10A、10Bの角度は、両方のカプセル4A、4Bに対して同じであってもよい。傾斜周壁10A、10Bは、カプセルの底部8A、8Bに向かう方向に漸減する断面を呈する。底部8A、8B及び周壁10A、10Bは、一体部品を形成することができる。カプセル4A、4Bは共に蓋12A、12Bを含む。蓋12A、12Bは、カップ形状本体6A、6Bの開放端部を密封する。蓋12A、12Bは、後述するように飲料をカプセルから排出することができる出口エリア13A、13Bを含む。この例では、蓋12A、12Bは、カプセル4A、4Bのフランジ状リム14A、14Bに接続されている。ここでは、リム14A、14Bは外側に延びるリムである。底部8A、8B、周壁10A、10B及びリム14A、14Bは一体部品を形成することができる。ここで、出口エリア13A、13Bは、飲料が潜在的にカプセル4A、4Bを出ることができる蓋12A、12Bのエリアを画定する。したがって、リム14A、14Bに対して封止された蓋12A、12Bのエリアは、出口エリア13A、13Bの一部を構成しない。この例では、カプセル4A、4Bは、底部8A、8Bから蓋12A、12Bに延びる軸の周りに実質的に回転対称である。カップ形状本体6A、6B及び蓋12A、12Bは、カプセルの内部空間16A、16Bを取り囲む。内部空間16A、16Bは、抽出可能又は可溶性物質などの所定量の飲料原材料を含む。飲料原材料は、例えば、ロースト及び挽いたコーヒー、紅茶、などであり得る。飲料原材料は粉末コーヒーであってもよい。飲料原材料は液体であってもよい。カプセル4A、4Bのサイズの違いを考慮すると、第2のカプセル4Bは第1のカプセル4Aよりも多量の飲料原材料を含み得ることが理解されよう。この例では、第2のカプセル4Bの内部空間16Bは、第1のカプセル4Aの内部空間16Aの約2倍である。例えば、第1のカプセル4Aは4~8グラム、例えば約6グラムの挽いたコーヒーを含むことができる。例えば、第2のカプセル4Bは、8~16グラム、例えば約12グラムの挽いたコーヒーを含むことができる。
【0042】
カップ形状本体6A、6Bは、アルミニウム箔、ポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのプラスチック材料、又はそれらの組み合わせなどの金属箔から製造することができる。カップ形状本体6A、6Bは、プレス、深絞り、真空成形、射出成形等により製造することができる。蓋は、アルミ箔等の金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、又はこれらの組み合わせから製造することができる。この例では、カプセル4A、4Bは、いわゆる閉じたカプセルである。これは、装置に挿入する前に密閉して閉じられたカプセルを指す。閉じたカプセルは、以下に記載した装置によって開放することができる。
【0043】
装置は、第1の淹出チャンバ部分18及び第2の淹出チャンバ部分20を含む。第1及び第2の淹出チャンバ部分18、20は、互いに閉じることができ、チャンバ22A、22Bを形成する(
図1A、1Bには示されていない)。
【0044】
第1の淹出チャンバ部分18は、キャビティ24を含む。キャビティ24は、第1又は第2のカプセル4A、4Bを受容するように構成されている。ここでは、第1の淹出チャンバ部分18のキャビティ24は、第1又は第2のカプセル4A、4Bを保持するように構成された所定のキャビティ24である。ここでは、キャビティ24は、第1又は第2のカプセル4A、4Bを保持するために不変の形状を有する。ここで第1の淹出チャンバ部分18は、第1の淹出チャンバ部分18の構成を変更することなく、第1又は第2のカプセル4A、4Bを保持するように構成されている。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は一体的部材である。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第1の当接面26を含む。第1の当接面は、キャビティ24の内側に配置されている。第1の環状当接面26は、第1の淹出チャンバ部分18の内面46を形成し、キャビティ24を画定する周壁46に形成される。ここでは、第1の当接面26は、第1の略環状の当接面である。第1の略環状の当接面26は、連続して環状であってもよく、又は、環状に沿って複数のセグメントを備えるように、断続した環状であってもよい。第1の当接面26は、1つ以上の形状、例えばキャビティ22の中に突き出たアーチ状の隆起部の形状をとることができる。ここで、第1の当接面26は、キャビティ22に階段状の形状を付与する。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の当接面28を含む。第2の当接面は、キャビティ24の開口端部の近くに配置されている。ここで、第2の当接面28は、第2の略環状の当接面である。第2の略環状の当接面28は、連続して環状であってもよく、環に沿って複数のセグメントを含むように、断続的な環状であってもよい。第2の当接面28は、1つ以上の形状、例えばアーチ状の隆起部の形状をとることができる。第1の当接面26と第2の当接面28とは、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向に相互に離間して配置されていることが理解されよう。第1の当接面26と第2の当接面とは一定の間隔で配置されている。第1の当接面26と第2の当接面は、互いに不動である。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、エジェクタ38を含む。エジェクタ38は、円錐形リング及び/又は弾性要素42、ここでは螺旋バネを含むことができる。第1の淹出チャンバ部分18は、カプセルの底部を穿孔するための穿孔手段44を含む。ここで、穿孔手段は、3つのナイフなどの複数のナイフを含む。
【0045】
第2の淹出チャンバ部分20は抽出プレート30を含む。この例では、抽出プレート30は、中央部分32及び周辺部分34を含む。中央部分32は、周辺部分34に対して移動可能である。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。
【0046】
そのようなシステム1は、以下のようにして飲料を調製するために使用することができる。システム1の更なる特徴を途中で説明する。
【0047】
図1A及び
図1Bの例では、装置2は、カプセルを受容する準備ができている状態にある。
図1A及び
図1Bにおいて、カプセル4A、4Bは、第1の淹出チャンバ部分18のキャビティ内にちょうど挿入されている。第1淹出チャンバ部分18は、傾斜した位置にある。キャビティ24の開放端部は上向きに配置される。
【0048】
図1Aに示すように、第1のカプセル4Aは、重力の影響でキャビティ24内に落下することができる。ここで、第1のカプセル4Aのリム14Aは、第1の淹出チャンバ部分18の内面36によって案内される。第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38に当接するまでキャビティ24内に下降する。ここで、第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38の中心にある。第1のカプセル4Aのリム14Aは、第1の当接面26と第2の当接面28との間に配置されることが理解されよう。この状態では、第1のカプセル4Aの底部8Aはまだ穿孔されていない。
【0049】
図1Bに示すように、第2のカプセル4Bも、重力の影響でキャビティ24内に落下することができる。ここで、第2のカプセル4Bの周壁10Bは、第1の淹出チャンバ部分18の内面46によって案内される。第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38に当接するまでキャビティ24内に下降する。ここで、第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38の中心にある。第2のカプセル4Bのリム14Bは、穿孔手段44から見て第2の当接面28を越えて配置されていることが理解されよう。第2のカプセル4Bの底部8Bはこの状態ではまだ穿孔されていない。
【0050】
カプセル4A、4Bが、
図1A及び
図1Bに示すようにキャビティ24内に挿入されると、第1の淹出チャンバ部分18は、カプセル4A、4Bの周囲の淹出チャンバを閉じるために第2淹出チャンバ部分20に向かって移動することができる。第1の淹出チャンバ部分18は、装置のフレーム48において案内される。
【0051】
この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、
図2A及び
図2Bに示すように、第1のボス50及び第2のボス52を含む。第1のボス50は、フレーム48の第1の溝54内で案内される。第2のボス52は、フレーム48の第2の溝56内で案内される。ボス50、52及び溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18が追従する経路を決定することが理解されよう。ここで、第1の溝54及び第2の溝56は、フレーム48の側壁57に設けられている。第1の溝54は、第1の深さまで側壁57内に延びている。第2の溝56は、第2の深さまで側壁内に延びている。第2の深さは第1の深さよりも大きい。第1のボス50は、第2のボス52よりも大きな直径を有する。第1の溝54は、第2の溝56よりも広い幅を有する。第1の溝54の幅は、第1のボス50の直径に対応する。第2の溝56の幅は、第2のボス52の幅に対応する。第1の溝54は、第2の溝56とは異なる軌道に沿って延びることが理解されよう。異なる幅及び深さの溝は、第1及び第2のボス50、52が異なる軌道をたどることを可能にする。この構造により、第1及び第2のボス50、52を案内するための非常にコンパクトな構造が可能になる。
【0052】
装置2は、レバー58を含む。レバーは、ユーザが手動で作動させることができる。レバーは、レバー軸60の周りにフレーム48に枢動可能に接続されている。第1の淹出チャンバ部分18は、膝継手62を介してフレーム48に接続されている。膝継手62は、プッシュロッド64及びクランク66を含む。プッシュロッド64は、膝軸68でクランク66に枢動可能に接続されている。クランク66は、クランク軸70でフレーム48に枢動可能に接続されている。レバー58は、膝継手62に接続されており、第1の淹出チャンバ部分18を作動させる。ここで、レバー58は、レバーリンク74を介して膝継手62に連結されている。レバーリンク74は、レバーリンク軸76においてレバー58に枢動可能に接続されている。レバーリンク74は、膝リンク軸78でプッシュロッド74に枢動可能に接続されている。
【0053】
拘束リング80は、第1の淹出チャンバ部分18を取り囲むように構成されている。拘束リング80は、第1の淹出チャンバ部分18に対して軸方向に移動可能である。ここで、拘束リング80は、第1淹出チャンバ部分18の外面によって案内される。拘束リングは、1つ以上の弾性要素82、ここでは螺旋バネを介して第1の淹出チャンバ部分に接続されている。プッシュロッドは、プッシュロッド軸72で拘束リング80に枢動可能に接続されている。したがって、ここでは、膝継手62は、第1の淹出チャンバ部分18に、すなわち拘束リング80及び1つ以上の弾性要素82を介して間接的に接続されている。拘束リングの機能については以下に説明する。
【0054】
レバー58が下向きに移動されると、膝継手62は、第1淹出チャンバ部分18を第2淹出チャンバ部分20の方に押し出す。同時に、第1及び第2の溝54、56の形状に起因して、第1の淹出チャンバ部分18は、上向きの傾斜方向から、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向が第2の淹出チャンバ部分20の軸方向と整列した整列方向に回転する。
【0055】
上述のように、装置2は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bのいずれかと選択的に協働するように構成されている。ここで、システム1は、第1又は第2のカプセルが挿入されたかどうかに応じて、淹出チャンバを自動的に調節するように構成されている。これは、第1又は第2のカプセルの適切な取り扱いを選択するためにユーザ入力が必要とされないという利点を提供する。したがって、エラーのリスクは大幅に低減される。
【0056】
上述のように、第2の淹出チャンバ部分20は、中央部分32及び周辺部分34を有する抽出プレート30を含む。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。この例の中央部分32は、フレーム48に対して軸方向に摺動可能に移動可能なシャフト32’を含む。中央部分32は弾性部材84、ここでは螺旋バネを介してフレーム48に接続されている。弾性部材84は、中央部分を
図1A及び
図1Bの準備位置に付勢する。準備位置は、この例では拡張位置である。中央部分32は、第1のカプセル4Aと協働するために第1の淹出位置に配置することができる。中央部分は、第2のカプセル4Bと協働するために第2の淹出位置に配置することができる。この例では、システム1は、キャビティ24が第1のカプセル4Aを保持するときに、第1の淹出位置に又はその近傍に中心部分32をロックするように構成されたロック機構86を含む。
【0057】
ロック機構86はロッカー88を含む。ここで、ロッカー88は、旋回可能な指として設計され、旋回軸90を中心に旋回可能である。ロッカー88は、シャフト32’から離れて旋回される位置に付勢されている。ロッカーは、任意の他の適切な位置に付勢することもできる。ロック機構86はプッシャ92を更に含む。プッシャは、第2淹出部分20の本体94内で摺動可能に案内される。プッシャ92は、ここでは螺旋バネである弾性部材96を介して本体94に接続されている。弾性部材96は、プッシャを拡張位置に付勢する。第1の淹出チャンバ部分18は、アクチュエータ98を含む。ここで、アクチュエータは、第1の淹出チャンバ部分18の前面によって形成されている。
【0058】
図3A及び
図3Bは、キャビティ24が第1のカプセル4Aを保持するときのロック機構86の機能を示す。この例では、蓋12A、出口エリア13A及び/又はリム14Aによって形成された第1のカプセル4Aの最も外側の部分は、アクチュエータ98に対して後方に、すなわち更に穿孔手段44に向けて配置される。その結果、第1のカプセル4Aを第2の淹出チャンバ部分20に向けて前進させるとき、アクチュエータ98は、第1のカプセル4Aの最外部分が中央部分32に接触する前に、プッシャ92に接触する。プッシャは、弾性部材96の付勢力に抗して押される。プッシャ92のリップ100は、ロッカー88の傾斜面102に沿って摺動し、ロッカー88をシャフト32’に向けて枢動させる。その結果、ロッカー88の親指104は、中央部分32(
図3B参照)の部分106の移動経路内に配置される。第1のカプセル4Aが更に第2の淹出チャンバ部分20に向かって前進すると、第1のカプセル4Aは中央部分32に当接する。これにより、中央部分が弾性部材84の付勢力に抗して押し出されるようになる。枢動したロッカー88は、中央部分が、部分106が親指104に当接する位置を越えて移動することを防止する。これは、本明細書では、第1の淹出位置として定義される。したがって、第1のカプセル4Aは、中央部分32を準備位置から第1の淹出位置に移動させるように整列される。第1のカプセル4Aは、第1及び第2の淹出チャンバ部分18、20の間に淹出中に保持され、中央部分32は第1の淹出位置にある。
【0059】
図4A及び
図4Bは、キャビティ24が第2のカプセル4Bを保持するときのロック機構86の機能を示す。この例では、ここでは蓋12B、出口エリア13B及び/又はリム14Bによって形成される第2のカプセル4Bの最外部分は、アクチュエータ98に対して前方に、すなわち更に第2の淹出チャンバ部分20に向けて配置される。その結果、第2のカプセル4Bを第2の淹出チャンバ部分20に向け前進させるとき、アクチュエータ98がプッシャ92に接触する前に、第2のカプセル4Bの最外部が中央部分32に当接する。中央部分32は、弾性部材84の付勢力に抗して押され、ロッカー88は、依然としてシャフト32’から離れるように旋回される。その結果、部分106は親指104の下を通過する。部分106が親指104を通過した後にのみ、プッシャは、アクチュエータ98によって弾性部材96の付勢力に抗して押される。プッシャ92のリップ100は、依然としてロッカー88の傾斜面102に沿って摺動し、ロッカー88をシャフト32’に向けて枢動させる。しかしながら、部品106はその瞬間に既に親指104を通過している。この例では、第2のカプセル4Bは、本体94に当接する中央部分32を押す。これは、本明細書では、第2の淹出位置として定義される。したがって、第2のカプセル4Bは、中央部分32を準備位置から第2の淹出位置に移動させるように整列される。第2のカプセル4Bは、淹出している間、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間に保持され、中央部分32は第2の淹出位置にある。
【0060】
したがって、ロック機構86は、キャビティ24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32を第1の淹出位置にロックするように整列される。ロックは片面であってもよく、すなわちキャビティ24が第1のカプセル4Aを保持するとき、ロック機構は、中央部分32が第1の淹出位置を越えて移動することを防止することができることに留意されたい。しかし、中央部分32の第1の淹出位置から準備完了位置への移動は妨げられなくてもよい。ロックユニット86は、第2のカプセル4Bが淹出チャンバに含まれているとき、中央部分32が第1の淹出位置に又はその近傍に固定されるのを選択的に防止するように整列される。ロックユニット86は、第2のカプセルが淹出チャンバに含まれているときに、中央部分32を第2の淹出位置に移動させることを選択的に可能にするように整列される。
【0061】
図3A及び
図4Aと比較すると、第1の淹出チャンバ部分18を第2の淹出チャンバ部分20に向けて前進させている間、第1のカプセル4Aは、第2のカプセル4Bよりも第1の淹出チャンバ部分内に更に陥没していることが理解されよう。次いで、第1の蓋12A、出口エリア13A及び/又はリム14Bは、第2の蓋12B、出口エリア13B及び/又はリム14Bよりも第1の淹出チャンバ部分18内に更に陥没していることが理解されよう。
【0062】
図3B及び
図4Bと比較すると、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するとき、中央部分32はキャビティ24内に延びることが理解されよう。中央部分32は、第2のカプセルが第1の淹出チャンバ部分18に含まれていれば、第2のカプセル4Bの蓋12B、出口エリア13B及び/又はリム14Bが存在したであろう位置を越えて、第1の淹出チャンバ部分18内に延びる。
【0063】
上述のように、膝継手62は、第1淹出チャンバ部分18に、すなわち拘束リング80及び1つ以上の弾性要素82を介して間接的に接続されている。
図5A~
図5Cは、拘束リング80の機能を示す。
【0064】
図5Aにおいて、第1のカプセル4Aは、第1の淹出位置にある中央部分を有する中央部分32に当接する。拘束リング80は、依然として後方位置にある。レバー58は、まだその端部位置に達していないことが理解されよう。第1の淹出チャンバ部分18は、突起部108を含む。ここで、突起部108は、実質的に環状の突起部である。突起部108は、外側に向かって延びる。ここで、突起部108は、第1の淹出チャンバ部分18の最外縁部を形成する。第2の淹出チャンバ部分20は、リテーナ110を含む。ここで、リテーナ110は、リテーナリップの円周リングとして設計されている。リテーナ110は、本体94に旋回可能に接続されている。ここで、リテーナ110は、弾性体であり、本体94に枢動可能に接続される。リテーナ110は歯112を含む。ここでの歯は、第1の傾斜面114及び第2の傾斜面116を有する。
【0065】
レバー58を下げると、拘束リング80は、第2淹出チャンバ部分20に向かって前進する。1つ以上の弾性要素82は、第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ20部分に当接するまで、例えばカプセル4A、4Bを間に挟んで、第1の淹出チャンバ部分18を阻止リング80の前方に押し出す。この移動中、突起部108は第1の傾斜面114に向かって前進する。これにより、リテーナ110を外側に枢動させる(
図5A参照)。更に前進すると、突起108を第2の傾斜面116を越えて通過させ、リテーナ110を内側に旋回させる(
図5B参照)。レバー58を更に下げると、第2の淹出チャンバ20部分への第1の淹出チャンバ部分の当接により、1つ以上の弾性要素82を圧縮させる。その結果、拘束リング80は、第2淹出チャンバ部分20に向かって前進する。レバー58を完全に下げると、拘束リング80がリテーナ110とロックリング118との間に挿入される(
図5C参照)。リテーナ110を取り囲む拘束リング80は、リテーナ110が外向きに枢動することを防止する。したがって、第1の淹出チャンバ部分は、第2淹出チャンバ部分20に対してロックされる。第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20にロックされる。
【0066】
装置は、流体、例えば熱湯などの液体を、加圧下で、第1の淹出チャンバ部分18に供給するための流体供給システムを含むことができる。淹出チャンバが飲料を淹出するために流体により加圧されると、第1及び第2の淹出チャンバ部分18、20は、流体圧力によって互いに押し離される。リテーナ110及び拘束リング80、並びに任意選択でロックリング118は、流体圧力によって印加される力の全部又は一部を支持する。リテーナ110とロックリング118との間に介在する拘束リング80は機械的安定性を高める。拘束リング80は、係止リング118に当接し、ロックリング118に少なくとも一部の力を伝達することができるので、リテーナ110によってその上に印加される全ての力を支持する必要はない。ロックリング118は不動であり、したがって容易に強化することができる。第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20にロックされているので、フレーム48及び作動機構、例えば、膝継手は、この力、又は少なくともその力のより小さな部分を支持する必要はない。したがって、フレーム及び/又は作動機構は、より弱く及び/又はより安価に設計することができる。
【0067】
拘束リング80の機能は、第1のカプセル4Aに関して
図5A~
図5Cに示されているが、拘束リング80は、第2のカプセル4Bに関して同様に機能し得ることが理解されよう。
図6Aは淹出中の淹出チャンバ内の第1のカプセル4Aを示す。
図6Bは淹出中の淹出チャンバ内の第2のカプセル4Bを示す。
【0068】
穿孔部材44は、カプセル4A、4Bの底部8A、8Bを穿孔するように構成されている。
図5A~
図5Cにも見られるように、この例では、穿孔部材44は、カプセル4A、4Bの蓋12A、12Bが第1又は第2の淹出位置で中央部分32に当接するまで、底部8A、8Bを穿孔しない。それに対して、弾性要素42及び弾性要素84の剛性は選択することができる。この例では、弾性要素42の剛性は、弾性部材84の剛性よりも大きくなるように選択される。しかし、弾性要素42の剛性が弾性部材84の剛性に等しいか、又は弾性要素42の剛性が弾性部材84の剛性よりも小さいことも可能であることが理解されよう。
【0069】
カプセル4A、4Bが淹出チャンバに含まれ、底部8A、8Bが穿孔されると、流体、この例では熱湯を加圧下で、淹出チャンバに供給することができる。したがって、淹出チャンバは耐漏洩性であることが望ましい。中央部分32には、第1の封止部材120が設けられている。周辺部分34には、第2の封止部材122が設けられている。飲料調製装置2は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bのいずれかを使用して、消費するのに適した所定量の飲料を調製するように構成されている。この量は、予め規定した量とすることができる。この量は、ユーザ選択可能、ユーザ設定可能、又はユーザプログラム可能な量であってもよい。
【0070】
図3Bを参照すると、第1のカプセル4Aに関する封止が記載されている。第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aを保持するために淹出チャンバを形成するときに、中央部分32と第1の淹出チャンバ18部分との間に流体封止係合を提供するように構成されている。この例では、第1のカプセル4Aが淹出チャンバに含まれるとき、第1の封止部材120は第1の淹出チャンバ部分18に当接する。これは、カプセル4Aの外側のキャビティ24内に存在する水に対して封止を提供する。このようにして、淹出チャンバ22Aに注入された淹出流体は、カプセル4Aの外側の周りを迂回することを防止される。
図3Bの例では、第1の封止部材120は、弾性リップ121を含む。弾性リップ121は、淹出チャンバ内の流体圧力の影響下で、中央部分32と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己補強型の封止係合を提供するように構成されている(例えば、19又は20bar程度に高くなり得る)。この例では、第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aのリム14Aに当接する。リム14Aは、第1の当接面26によって第1の封止部材120に押し付けられている。これは、出口エリア13Aを介してカプセル4Aを出る飲料に対して中央部分32とカプセル4Aとの間に封止係合を提供する。ここでは、カップ形状本体6Aとは反対側を向くリム14Aの側部が、第2の淹出チャンバ部分20に対して封止されていることが理解されよう。あるいは又は更に、リム14Aのカップ形状本体6Aに向いた側部を第1の淹出チャンバ部分18に対して封止することができる。そこには、第1の淹出チャンバ部分18上に、例えば第1の当接面26上に、及び/又はカプセル4A上に、例えばリム14A上に、追加の封止を設けることができる。カプセル上の封止は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の封止に対して付加的であることが明らかであろう。これは、第1の封止部材120による封止作業を減ずることができる。
【0071】
図4Bを参照すると、第2のカプセル4Bに関する封止が説明されている。第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bを保持する淹出チャンバを形成するときに、周辺部分34と第1の淹出チャンバ18との間に流体封止係合を提供するように構成されている。この例では、第2のカプセル4Bが淹出チャンバに含まれるとき、第2の封止部材122は第1の淹出チャンバ部分18に当接する。これは、カプセル4Bの外側のキャビティ24内に存在する水に対して封止を提供する。
図4Bの例では、第2の封止部材122は、弾性リップ123を含む。弾性リップ123は、淹出チャンバ内の流体圧力の影響下で、周辺部分34と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己補強型の封止係合を提供するように構成さている。この例では、第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bのリム14Bに当接する。リム14Bは、第2の当接面28によって第2の封止部材122に押し付けられている。これは、出口エリア13Bを通ってカプセル4Bを出る飲料に対して周囲部分34とカプセル4Bとの間に封止係合を提供することができる。
図4Bでは、第2のカプセル4Bを保持するために淹出チャンバを形成するときに、第1の封止部材120が中央部分32と周辺部分34との間に封止係合を提供する。中央部分32と周辺部分34との間のこの封止係合は自己補強的であり得る。それに対して、周辺部分34と第2のカプセル4Bとの間の係合は、淹出流体が第1の封止部材120へと通過することを可能にすることができる。したがって、第1の封止部材120は、出口エリア13Bを通ってカプセル4Bを出る飲料に対して、中央部分32とカプセル4Bとの間に封止係合を提供する。ここで、蓋によって、例えば箔によって覆われていてもいなくてもよい、カップ形状本体6Bとは反対側を向いているリム14Bの側面は、第2の淹出チャンバ部20に対して封止されていることが理解されよう。あるいは又は更に、カップ形状本体6Bの方に向いているリム14Bの側面は、第1の淹出チャンバ部18に対して封止することができる。そこには、第1の淹出チャンバ部分18上に、例えば第2の当接面28上に、及び/又はカプセル4B上に、例えばリム14B上に、追加の封止を設けることができる。カプセル上の封止は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の封止に対して付加的なものであることが明らかであろう。これにより、第2の封止部材122による封止力を低減することができる。
【0072】
更に又はあるいは、第1の封止部材は、第2の交換可能カプセルを保持するための淹出チャンバを形成するときに、中央部分と周辺部分との間に自己補強型の封止係合を提供するように構成された弾性リップを含むことができる。次いで、第2の封止部材は、例えば水などの液体をある程度漏出して、第1の封止部材の弾性リップを膨張させることができる。
【0073】
加圧流体が淹出チャンバ内のカプセル4A、4Bに供給されると、出口エリア13A、13Bを抽出プレート30に対して開くことができる。この例における抽出プレート30は、複数のレリーフ要素124を含む。ここで、レリーフ要素124は切頂角錐形である。カプセル4A、4B内の圧力が上昇すると、出口エリア13A、13Bがリリーフ要素に対して引き裂かれ、飲料はカプセル4A、4Bから出ることができる。
【0074】
飲料は、抽出プレートの開口部を通って抽出プレート30を通過することができる。次に、飲料は出口126に流れることができる。出口126から、飲料はカップなどの容器に流れ込むことができる。
【0075】
飲料が淹出されたら、レバー58を上向きに動かすことができる。これにより、拘束リング80がリテーナ110から離れて移動する。次に、第1の淹出チャンバ部分18を後方に移動させる。リテーナ110の第2傾斜面116は、リテーナが突起部108を通過するようにすることができる。第1の淹出チャンバ18部分は第2の淹出チャンバ部分20から離れるように移動する。中央部分32は準備位置に戻る。ボス50、52及び溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18がたどる経路を決定する。
図7A及び
図7Bに示すように、第1の淹出チャンバ部分は下向きに旋回する。このことは、重力の影響下で、使用済みのカプセル4A、4Bのキャビティ24からの排出を促進する。エジェクタ38は、穿孔部材44及びキャビティ24からのカプセル4A、4Bの押し出しを支援することができる。使用済みのカプセル4A、4Bは装置2の廃棄物バスケットに落下することができる。
【0076】
この例では、第1及び第2のカプセル4A、4Bは、同様の視覚的印象を与えるように設計されている。
図8Aは、第1の淹出チャンバ部分18及び第2の淹出チャンバ部分20によって形成される淹出チャンバ22Aに挿入された第1のカプセル4Aの例を示す。周壁10Aは、図示の位置でキャビティ24よりも細いことが理解されよう。結果として、キャビティ24の内側に第1のカプセル4Aを囲む第1のボリューム126が存在する。第1のボリューム126はキャビティ24の第1の部分に配置されている。
図8Bは、第1の淹出チャンバ部18及び第2の淹出チャンバ部20によって形成される淹出チャンバ22Bに挿入された第2のカプセル4Bの例を示す。周壁10Bの一部分128は、図示の位置でキャビティ24よりも細いことが理解されよう。この部分128は、第1当接面26を越えて延びる周壁10Bの部分によって形成されている。結果として、キャビティ24の内側に第2のカプセル4Bを囲む第2のボリューム130が存在する。第2のボリューム130はキャビティ24の第2の部分に配置されている。
【0077】
淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持する場合、第1のボリューム126は第1のカプセル4Aによって占有されないことに留意されたい。しかしながら、この第1のボリューム126は、淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持する場合、第2のカプセル4Bの一部によって占有される。淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持する場合、第2のボリューム130は第2のカプセル4Bによって占有されない。この第2のボリューム130は、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持する場合、抽出プレート30の中央部分32を受容する。
図8Bに見られるように、第2のボリューム130の断面は、第1の環状当接面26の直径よりも大きく、実際には、第1のカプセル4Aの挿入を可能にするために、典型的には第1の環状当接面26の直径と少なくとも同じ大きさである。第2のボリューム130は、円筒形の内面36(
図1A)を画定する壁を有してもよく、又は壁は、第1の淹出チャンバ部18の開放端部に向かって徐々に広がってもよい。
図8Bに見られるように、第1のボリューム126は、第2のカプセル4Bに対して対応した形状であってもよい。
【0078】
第1のカプセル4Aを使用して飲料を淹出するとき、第1のボリューム126は水などの流体で充填され、その流体は飲料を淹出するのには使用されない。この流体は、淹出後に廃棄物バスケットに排出することができる。第2のカプセル4Bを使用して飲料を淹出するとき、第2のボリューム130は水などの流体で充填され、その流体は飲料を淹出するのには使用されない。この流体は、淹出後、容器、例えば廃棄物バスケットに排出することができる。この例では、第1のボリューム126は、第2のボリューム130と実質的に等しい。したがって、第1のカプセル4Aを使用して飲料を淹出し、第2のカプセル4Bを使用して飲料を淹出する場合、廃棄物バスケットに導かれる流体の容量は実質的に等しい。
【0079】
ここで本発明は、本発明の実施形態の特定の例を参照して記載されている。しかし、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正及び変更が行われ得ることは明らかであろう。明瞭さ及び簡潔な説明の目的のために、本明細書では同一又は別々の実施形態の一部として特徴を説明するが、これら別々の実施形態に記載の特徴の全部又は一部の組み合わせを有する代替実施形態も考えられる。
【0080】
この例では、抽出プレートの中央部分は、複数のレリーフ要素を含む。周辺部はレリーフ要素を含まない。しかし、周辺部分がレリーフ要素を含んでも良いことが理解されるであろう。抽出プレートと第2の出口エリアは、開放されたときの第2の出口エリアの流動抵抗が、開放されたときの第1の出口エリアの流動抵抗よりも小さくなるように互いに適合させることができる。抽出プレートと第2の出口エリアは、第2の出口エリアが第1の出口エリアよりも大きな表面積にわたって抽出プレート上で裂けるように互いに適合させることができる。抽出プレートと第2の出口エリアは、第2の出口エリアが第1の出口エリアよりも多くの位置で、抽出プレート上で裂けるように互いに適合させることができる。外側リリーフ要素は、第1及び第2の出口エリアの両方を引き裂くように設計してもよく、第2の出口エリアは、第1の出口エリアよりも大きな表面積にわたって外側のリリーフ要素を引き裂く。抽出プレートは、第1のタイプ及び第2のタイプの少なくとも1つのレリーフ要素を含むことができ、第1のタイプのレリーフ要素は、第1の出口エリアに対応するエリア内に配置され、第2のタイプの少なくとも1つのレリーフ要素は、第2の出口エリアに対応するエリア内であり、かつ第1の出口エリアに対応するエリア外に配置される。第2のタイプのレリーフ要素は、第1のタイプのレリーフ要素よりも鋭い縁部を有してもよい。第2の出口エリアは弱化領域を含んでも良い。弱化領域は、第2の出口エリアの周辺エリアに配置してもよい。
【0081】
実施例では、第1及び第2のカプセルは実質的に同じ形状を有する。異なる形状を有する第3のカプセルを提供することも可能である。第3のカプセルは、例えば、中央部分が第1の淹出位置にあるとき、淹出チャンバを実質的に充填するように成形することができる。異なる形状を有する第4のカプセルを提供することも可能である。第4のカプセルは、例えば、中央部分が第2の淹出位置にあるとき、淹出チャンバを実質的に充填するように成形することができる。
【0082】
実施例では、第1のカプセルは外向きに延びるフランジ状のリムを有する。第1のカプセルは、外向きに延びるリムを含まなくても良いことが理解されよう。実施例では、第2のカプセルは、外向きに延びるフランジ状のリムを有する。第2のカプセルは、外向きに延びるリムを含まなくても良いことが理解されよう。
【0083】
実施例では、カプセル本体及び蓋はアルミニウム箔、好ましくは本体への蓋の容易な溶接を可能にするためのポリマー被覆アルミニウム箔から作製されている。カプセル本体及び/又は蓋は、当業者によって適切であると考えられ、押出し、共押出し、射出成形、ブロー成形、真空成形、などの当該分野で従来公知の技術を使用して、シート、フィルム又は箔に加工され得る多種多様な材料で作製され得ることが理解されよう。カプセル本体及び/又は蓋のための適切な材料としては、プラスチック材料、具体的には、熱可塑性材料、例えばポリオレフィンポリマー、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、PVC、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム、ステンレス鋼、金属合金などの金属箔、又は、紙、ポリエステルなどのような織布若しくは不織布若しくは他の方法で処理された繊維材料のシート、又はそれらの組み合わせ、例えば多層、が挙げられるが、これらに限定されない。カプセル用の材料は、生分解性ポリマー又は他の生分解性材料であり得る。当業者は、カプセルの使用中の食品材料との想定される使用及び他の関連する状況を考慮して、適切な材料を選択することができるであろう。シート又は箔の厚さは、形状安定なカプセルが提供されるように選択され得る。シート又は箔の厚さは材料の性質によって変わり得る。
【0084】
実施例では、カプセルは密閉カプセルである。システムに開放カプセルを設けることも可能である。開放カプセルは装置への挿入前に開放されている。開放カプセルは予め穿孔することができる。開放カプセルは、開放カプセルを装置に挿入する前に取り出す必要がある気密封止パッケージに包装することができる。実施例では、カプセルは穿孔手段によって穿孔される。穿孔手段によって穿孔されていないカプセルをシステムに設けることも可能である。そのようなカプセルは、例えば入口フィルタを含むことができる。実施例では、カプセルは抽出プレートに対して開放する。抽出プレートに対して開放しないカプセルをシステムに設けることも可能である。そのようなカプセルは、例えば出口フィルタを含むことができる。
【0085】
更に、他の種類のカプセルが同様に考えられる。例えば、第3の交換可能カプセルは、第1の淹出チャンバ部によって受容可能であるような適切な形状の本体を有してもよい。第3のカプセルの本体は、第1のボリューム126を含むキャビティ24を部分的に充填することができる。第3の交換可能カプセルは、例えば、第1のカプセル4Aと実質的に同じ長さを有することができる。したがって、第1及び第2のカプセル4A、4Bを除いて、第3のカプセルについては同様の長さ対幅比に従わなくてもよい。あるいは、第4のカプセルは、第2のカプセル4Bと実質的に同じ形状及び断面を有する本体を有してもよい。しかしながら、第4のカプセルの長さは第2のカプセルの長さよりも短くてもよい。第4のカプセルの本体は、第1の淹出チャンバ部分への挿入前に、底部が手動で又は機械的に開放されるように構成することができる。あるいは、第4のカプセルは、ユーザに配送されたときに封止包装内に存在しても良い。代替の第5のカプセルタイプは、第1又は第2のカプセル4A、4Bのうちの1つと同一の形状及びサイズを有してもよい。第5のカプセルは、その中に飲料原材料を補充することを可能にするために、開閉するように構成することができる。例えば、第5のカプセルは補充用開口部を備えていてもよく、補充用開口部はロック手段により又は膜ないし他の層により閉鎖可能とすることができる。更なる代替として、第6のカプセルを淹出チャンバアダプタと組み合わせて使用することができる。第6のカプセルと共に使用される淹出チャンバアダプタは、第1の淹出チャンバと協働するために第1の淹出チャンバの内部形状と一致する外部形状を備えることができる。これにより、淹出チャンバアダプタを第1の淹出チャンバ部分に挿入することができる。更に、淹出チャンバアダプタは、第6のカプセルの外部形状に対応する内部形状を備える。これにより、第6のカプセルを淹出チャンバアダプタ内に挿入することができ、それによって第1の淹出チャンバ部分内に挿入することができる。その利点は、アダプタが他のカプセルのいずれとも異なる形状を有する第6のカプセルの挿入を可能にすることである。更に、更なる代替として、第7の交換可能カプセルは、第1の淹出チャンバ部分によって受容可能であるように適切に成形された本体を有することができる。第7のカプセルは、その中に飲料原料を補充することを可能にするための開口部を含む。したがって、この第7の交換可能カプセルは既に開放しており、所望のタイプの焙煎物を充填することができる。更なる代替として、第8の交換可能カプセルはカップ形状の本体を有することができ、本体の上端部は、第2のボリュームを少なくとも部分的に充填するように成形されている。これは、廃水量を低減するために、第2のボリュームを低減するか、又はおそらく完全に充填する。更に、更なる実施形態は、カップ形状の本体を有する第9の交換可能カプセルを含み、本体の上端部は、キャビティに少なくとも部分的に対応するように、第2のボリュームを少なくとも部分的に充填するよう成形されている。第8のカプセルと同様に、第9のカプセルも、生成される廃水量を低減する。本明細書に記載の代替の植木鉢型カプセルと同様に、第8及び第9の交換可能カプセルも植木鉢の外観を有するように成形することができる。
【0086】
更に、更なる実施形態によれば、本発明のシステムは、淹出チャンバが第1の交換可能カプセルを保持する場合、第1のボリュームを充填するか又は閉鎖するように適切に成形されている第1のカプセル相補形淹出チャンバアダプタと組み合わせて使用することができる。更に、このシステムは、淹出チャンバが第2の交換可能カプセルを保持する場合、第2のボリュームを充填するか又は閉鎖するように適切に成形されている第2のカプセル相補形淹出チャンバアダプタと組み合わせて使用することもできる。上述の第1のカプセル淹出チャンバアダプタ及び第2のカプセル淹出チャンバアダプタの利点は、これらのアダプタが、淹出中に生成される廃水量を更に低減できることである。
【0087】
実施例では、カプセル自体は封止部材を含まない。カプセルに封止部材、例えば弾性封止部材を設けることが可能であることが理解されよう。封止部材は、リム上に、例えばカップ形状本体の方を向いている側に、又はカップ形状本体とは反対の側に例えば配置することができる。あるいは又は更に、封止部材を周壁及び/又は底部に設けることができる。
【0088】
実施例では、拘束リング及びリテーナは、第1及び第2の淹出チャンバ部分のほぼ全周に沿って延びる。これにより、2つの淹出チャンバ部分を互いに良好にロックすることができる。しかし、拘束リング及びリテーナが、周囲に沿った1つ以上の別々の位置、例えば2つ、3つ、4つ、6つ又は8つの位置に、拘束手段及び保持手段を含むことも可能であることが理解されよう。
【0089】
第1及び第2の淹出チャンバ部分は、提案されたカプセルタイプのいずれとも一致するキャビティを提供することができる。例えば、キャビティは、切頭円錐形、切頭角錐形、円筒形、立方体、ブロック形状、階段状円筒形、階段状切頭円錐形、階段状切頭角錐形、階段状立方体、階段状ブロック形状、弾丸形状、又は切頂弾丸形状であってもよい。
【0090】
第1のカプセルを使用して飲料を淹出することができるが、第2のカプセルを使用しては飲料を淹出することができないように構成されている第1の装置を提供することも可能であることが理解されよう。そのような第1の装置は、図面及び第1のカプセル及び任意選択で第2のカプセルに関連して記載された装置を有するシステムに含むことができる。
【0091】
第2のカプセルを使用して飲料を淹出することができるが、第1のカプセルを使用しては飲料を淹出することができないように構成されている第2の装置を提供することも可能であることが理解されよう。そのような第2の装置は、図面及び第2のカプセル及び任意選択で第1のカプセルに関連して記載された装置を有するシステムに含むことができる。
【0092】
しかしながら、他の修正、変形、及び代替物も可能である。したがって、明細書、図面及び実施例は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。
【0093】
明確にするために、また簡潔な説明のために、特徴は同一又は別々の実施形態の一部として本明細書に記載されているが、本発明の範囲は説明した特徴の全部又は一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解され得る。
【0094】
請求項において、括弧内に配置されたいかなる参照符号も請求項を限定するものとしては構成されない。「含む、備える(comprising)」という言葉は、請求項に記載されたもの以外の他の特徴又はステップの存在を排除するものではない。更に、単語「a」及び「an」は、「ただ1つ」に限定されると解釈されるべきではなく、代わりに「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を除外しない。特定の手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。