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特許7057790電動工具のユーザインタフェースのためのマルチモーダルセンシング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】電動工具のユーザインタフェースのためのマルチモーダルセンシング
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220413BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019556569
(86)(22)【出願日】2018-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 US2018012265
(87)【国際公開番号】W WO2018129100
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2019-09-02
(31)【優先権主張番号】62/442,349
(32)【優先日】2017-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519005532
【氏名又は名称】インターリンク エレクトロニクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルー チーワイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ワイジェ
(72)【発明者】
【氏名】ロー コックケオン
(72)【発明者】
【氏名】イー チョンソン
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233636(JP,A)
【文献】特開2009-220213(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170448(WO,A1)
【文献】特開2015-223638(JP,A)
【文献】特許第3988055(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2006/0285725(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0309640(US,A1)
【文献】特開2015-130167(JP,A)
【文献】特開2013-255987(JP,A)
【文献】特表2007-518582(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0161241(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F5/00-5/02
B24B23/00-23/08
B25B21/00-23/18
B25C1/00-13/00
B25D1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具に関連付けられた1つ以上のセンシング要素からデータを受け取ることであって、前記センシング要素は、少なくとも1つの圧力センサを含む、データを受け取ること
前記受け取られたデータを測定すること、
1つ以上のデータパラメータを前記測定に基づいて計算することであって、前記計算することは、前記電動工具上でのユーザ把持を含む力プロファイル及び前記電動工具の動作プロファイルを決定することを含む、計算すること
前記データパラメータに基づいて前記電動工具の動作を許可するかを決定すること、
前記データパラメータが少なくとも1人のユーザについての動作条件を満足するとき、前記電動工具の動作を許可すること、及び
前記データパラメータが前記動作条件を満足しないときには、前記データパラメータに基づいてハプティックフィードバック信号を発生してハプティックデバイスを駆動し、ハプティックレスポンスを作ることによって、前記電動工具の動作を変更すること
を含む方法。
【請求項2】
前記電動工具に関連付けられた前記1つ以上のセンシング要素から受け取られた前記データは、前記電動工具のユーザ把持の力入力を含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記電動工具の動作を許可するかの前記決定は、前記電動工具上での前記ユーザ把持についての前記力プロファイルに少なくとも部分的には基づく
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電動工具の動作は、前記力プロファイルがスマートハンドルの適切な把持を示すときに許可される
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スマートハンドルの適切な把持を示す前記力プロファイルに基づいて、第2ハプティックフィードバック信号を発生することをさらに含む
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電動工具上で提示される可聴アラーム又は可視アラームのうちの少なくとも1つを発生することをさらに含む
請求項1に記載の方法
【請求項7】
前記電動工具に関連付けられた前記1つ以上のセンシング要素から受け取られた前記データは、前記電動工具の現在の空間的な向きを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
動作を実行するプロセッサによって実行可能なプログラミングコードが中にエンコードされている非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記動作は、
電動工具に関連付けられた1つ以上のセンシング要素からデータを受け取ることであって、前記センシング要素は、少なくとも1つの圧力センサを含む、データを受け取ること
前記受け取られたデータを測定すること、
1つ以上のデータパラメータを前記測定に基づいて計算することであって、前記計算することは、前記電動工具上でのユーザ把持を含む力プロファイル及び前記電動工具の動作プロファイルを決定することを含む、計算すること
前記データパラメータに基づいて前記電動工具の動作を許可するかを決定すること、
前記データパラメータが少なくとも1人のユーザについての動作条件を満足するとき、前記電動工具の動作を許可すること、及び
前記データパラメータが前記動作条件を満足しないときには、前記データパラメータに基づいてハプティックフィードバック信号を発生してハプティックデバイスを駆動し、ハプティックレスポンスを作ることによって、前記電動工具の動作を変更すること
を含む
非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項9】
前記電動工具に関連付けられた前記1つ以上のセンシング要素から受け取られた前記データは、前記電動工具のユーザ把持の力入力を含む
請求項に記載の非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項10】
記電動工具の動作を許可するかの前記決定は、前記電動工具上での前記ユーザ把持についての前記力プロファイルに少なくとも部分的には基づく
請求項に記載の非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項11】
前記電動工具の動作は、前記力プロファイルがスマートハンドルの適切な把持を示すときに許可される
請求項10に記載の非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項12】
前記動作は、前記スマートハンドルの適切な把持を示す前記力プロファイルに基づいて、第2ハプティックフィードバック信号を発生することをさらに含む
請求項11に記載の非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項13】
前記動作は、前記電動工具上で提示される可聴アラーム又は可視アラームのうちの少なくとも1つを発生することをさらに含む
請求項8に記載の非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体
【請求項14】
前記電動工具に関連付けられた前記1つ以上のセンシング要素から受け取られた前記データは、前記電動工具の現在の空間的な向きを含む
請求項に記載の非一時的コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項15】
システムであって、
命令を記憶するメモリ、及び
前記メモリに動作可能に結合された処理デバイスであって、前記処理デバイスは、前記命令を実行することによって、前記システムが動作を実行するように構成されている、処理デバイス
を備え、前記動作は、
電動工具に関連付けられた1つ以上のセンシング要素からデータを受け取ることであって、前記センシング要素は、少なくとも1つの圧力センサを含む、データを受け取ること
前記受け取られたデータを測定すること、
1つ以上のデータパラメータを前記測定に基づいて計算することであって、前記計算することは、前記電動工具上でのユーザ把持を含む力プロファイル及び前記電動工具の動作プロファイルを決定することを含む、計算すること
前記データパラメータに基づいて前記電動工具の動作を許可するかを決定すること、
前記データパラメータが動作条件を満足するとき、前記電動工具の動作を許可すること、及び
前記データパラメータが前記動作条件を満足しないときには、前記データパラメータに基づいてハプティックフィードバック信号を発生してハプティックデバイスを駆動し、ハプティックレスポンスを作ることによって、前記電動工具の動作を変更すること
を含む、システム。
【請求項16】
前記電動工具に関連付けられた前記1つ以上のセンシング要素から受け取られた前記データは、前記電動工具のユーザ把持の力入力を含む
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
記電動工具の動作を許可するかの前記決定は、前記電動工具上での前記ユーザ把持についての前記力プロファイルに少なくとも部分的には基づく
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記電動工具の動作は、前記力プロファイルがスマートハンドルの適切な把持を示すときに許可される
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記動作は、前記スマートハンドルの適切な把持を示す前記力プロファイルに基づいて、第2ハプティックフィードバック信号を発生することをさらに含む
請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記電動工具に関連付けられた前記1つ以上のセンシング要素から受け取られた前記データは、前記電動工具の現在の空間的な向きを含む
請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで議論される実施形態は、電動工具のユーザインタフェースのためのマルチモーダルセンシングに関する。
【背景技術】
【0002】
モノのインターネット(IoT)は、しばしばユーザの入力なしでデータを集めてやりとりすることを可能にする電子回路、ソフトウェア、センサ、アクチュエータ、及びネットワーク接続が組み込まれた物理的なデバイス、車、建物、及び他の物のネットワークを典型的には含む。IoTデバイスは、スマートデバイスと呼ばれることもある。
【0003】
ここでクレームされた主題は、不利な点を解決する、又は上述の物のような環境でだけ動作する実施形態に限定はされない。むしろ、この背景は、ここで記載された少なくとも1つの実施形態が実施され得る、ある例示的技術分野を示すために提供されているに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
例示的実施形態は、添付の図面を用いて、さらなる具体性及び詳細さで記載され説明される。
図1図1は、電動工具のためのマルチモーダルセンサフュージョンプラットフォーム(「システム」)の例示的システム図を示す。
図2図2は、例示的マルチファンクション電動工具の構成を示す。
図3図3は、マルチモーダルデータ獲得、信号処理及び/又は制御のための例示的計算処理フローを示す。
図4図4は、コンピューティングデバイスの例示的形態における機械の概略的表現を示し、このコンピューティングデバイスの中では、この機械にここで議論されている方法の任意の1つ以上を実行させるための一連の命令が実行され得て、全ての命令は、ここで記載される少なくとも1つの実施形態に従って構成される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
従来の電動工具のユーザインタフェースは、機能パラメータを決定するのに用いられる電気機械的な及び/又は純粋に機械的なスイッチを含み得る。例えば電気ドリルの場合、機能パラメータは、ドリリングスピード及びドリリング方向を含み得る。従来の電気機械及び機械スイッチの制限には、これらには限定されないが、(a)大きな物理的サイズ、体積、及び重量、(b)異なるユーザプロファイルのためにアクティベーション力のカスタマイズが制限されていること、及び(c)不適切な又は意図しない使用法の場合にフェールセーフの特徴が制限されていることが含まれ得る。さらに、従来の電動工具は、かさばり得て、異なるユーザプロファイルのためのアクティベーション力のカスタマイズを許容しない電気機械及び機械スイッチを含み得る。さらに従来の電動工具は、触覚又はハプティックフィードバックを提供できないかもしれない圧力センシングスイッチを含み得る。そして、従来の電動工具は、意図されたユーザ入力、適切な使用法、及び物理力センシングフィードバックのリアルタイムモニタリングを欠き得る。
【0006】
本開示の局面は、電動工具のインタフェースのためのスケーラブルなマルチモーダルセンシングアーキテクチャの設計及びインプリメンテーションを提供することによってこれら及び他の欠点に対応する。電動工具インタフェースは、異なるユーザプロファイルのためのアクティベーション力のカスタマイズを含み得る。さらに、電動工具のインタフェースは、触覚又はハプティックのフィードバックを提供し得る1つ以上の圧力センシングスイッチを含み得る。そして電動工具インタフェースは、意図されたユーザ入力、適切な使用法、及び物理的力のセンシングフィードバックのリアルタイムモニタリングを含み得る。
【0007】
システムの他の特徴は、電動工具の落下、低バッテリレベル、又は電動ドリルの他の形態の不正な使用又は状態の場合において、リアルタイムネットワークデータ送信を提供できる能力である。これは、向上された安全性及び生産性のためのネットワーク(例えばモノのインターネット「IoT」ネットワーク)を活用できる作業現場には特に有用である。
【0008】
方法は、電動工具に関連付けられた1つ以上のセンシング要素からデータを受け取ることを含み得る。この方法は、検出されたデータを測定することも含み得る。この方法は、1つ以上のデータパラメータを測定に基づいて計算することをさらに含み得る。この方法は、電動工具の操作を許可するかをデータパラメータに基づいて判断することを含み得る。この方法は、データパラメータが操作条件を満足するときには電動工具の操作を許可することをさらに含み得る。この方法は、データパラメータが操作条件を満足しないときには、アラームの発生又は電動工具の操作の阻止のうちの少なくとも1つを実行することによって、電動工具の操作を変更することも含み得る。
【0009】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照してさらに説明される。
【0010】
図1は、電動工具(「システム」)100のためのマルチモーダルセンサフュージョンプラットフォームの例示的システムの図を示す。システム100は、さまざまなセンサ、ハプティックデバイス、コントローラ、データ獲得デバイス、信号処理デバイス、表示デバイス、インタフェース、電源管理デバイス等を含み得る。システム100は、安全な機能操作を判断するための、意図されたユーザ入力、適切な使用及び物理的な力センシングフィードバックのリアルタイムモニタリングを提供し得る、スケーラブルマルチモーダルセンシングアーキテクチャを含み得る。不適切な使用の場合には、機能操作は、停止され得て、適当な場合には視覚的インジケータ及びリアルタイムネットワークデータの形態のような1つ以上のアラームが発生され得る。
【0011】
システム100は、1つ以上のひずみセンシング要素105及び/又は1つ以上の力センシング要素105を含み得る。1つ以上のひずみセンシング要素105は、2次元又は3次元ひずみセンシング要素を含み得る。1つ以上の力センシング要素は、1つ以上の力/圧力センサを含み得る。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、システム100は、電動工具及び/又は電動工具のアクティベーションスイッチ又はボタンを含み得て(図2に示されるように)、これらは1つ以上の力センシング要素105を含み得る。1つ以上の力センシング要素105は、アクティベーションスイッチの一部又は全部にわたる力及び/又は圧力の分布を検出及び/又は測定するよう構成され得る。アクティベーションスイッチは、1つ以上のひずみセンシング要素105を含み得る。1つ以上のひずみセンシング要素105は、アクティベーションスイッチの曲げ及び/又は撓みを検出及び/又は測定するよう構成され得る。
【0013】
システム100は、1つ以上の環境センシング要素110を含み得る。1つ以上の環境センシング要素110は、温度及び湿度を含む環境パラメータを検出及び/又は測定するよう構成され得る。環境パラメータのうちの少なくとも一部は、システムのノイズに寄与し得る。この環境パラメータは、システム中のノイズの原因であり得て、及び/又は、これを低減するために、数学的に低減、最小化、又は無視され得る。信号処理アルゴリズムと組み合わせて、1つのタイプより多いセンシング要素を統合することは、ロバストな力及び圧力マッピング及び動き測定ソリューションを提供し得る。
【0014】
システム100は、生理学的モニタリングパラメータを抽出するために用いられ得る慣性測定デバイスのような1つ以上の動き測定センシング要素115も含み得る。1つ以上の動きセンシング要素は、運動(movement)、運動の変化、動き(motion)、慣性等を検出及び/又は測定するよう構成され得る。例示的動きセンシング要素は、加速度計、ジャイロスコープ等を含み得る。生理学的モニタリングパラメータの分析は、電動工具の制御を含む幅広い応用例において用いられ得る。データ分析の結果は、定量的データ及びチャートの形態で携帯デバイス又は遠隔装置上で示され得る。
【0015】
少なくとも1つの実施形態では、システム100は、インターポーザ、1つ以上の力センシング要素105、1つ以上のひずみセンシング要素105、1つ以上の環境センシング要素110、及び1つ以上の動きセンシング要素115を含み得る電動工具又はアクティベーションスイッチの物理的スタックアップトポロジー(stack-up topology)を含み得る。インターポーザは、ソケット又は互いの接続点の間の電気的インタフェース経路を含み得る。例えば、インターポーザは、1つ以上の力センシング要素105、1つ以上のひずみセンシング要素105、1つ以上の環境センシング要素110、及び/又は1つ以上の動きセンシング要素115のうちの任意のものをホストコントローラ120に接続し得る。
【0016】
少なくとも1つの実施形態では、システム100は、少なくとも2つのセンシングレイヤを含み得る。それぞれのレイヤは、それぞれのセンシングレイヤ内で、動的力/圧力検出及び測定を提供し得る1つ以上の力センシング要素を含み得る。それぞれのセンシングレイヤは、1つ以上のひずみセンシング要素及び1つ以上の環境センシング要素も含み得る。
【0017】
少なくとも1つの実施形態では、システム100は、複数の力センシング要素を含み得る。それぞれの力センシング要素は、これらには限定されないが、力/圧力範囲、立ち上がり時間、立ち下がり時間等を含む、最適な動的力/圧力特性のために独立してカスタマイズされ得る。それぞれの力センシング要素には、アクティベーションスイッチに対して特定の位置、アクティベーションスイッチ上の位置、及び/又はアクティベーションスイッチ上の姿勢が割り当てられ得る。それぞれの力センシング要素は、アクティベーションスイッチ内の、又はその上での個々の位置に基づいて、動的力/圧力特性を測定するために、独立してカスタマイズされ得る。システムは、動的曲げ/撓み検出を提供し得る複数のひずみセンシング要素も含み得る。システム100は、動的環境パラメータ測定を提供し得る複数の環境センシング要素も含み得る。
【0018】
同様に、少なくとも1つの実施形態では、システム100は、複数の動きセンシング要素を含み得る。それぞれの動きセンシング要素は、最適な動的動き特性を検出するために独立してカスタマイズされ得る。それぞれの動きセンシング要素には、アクティベーションスイッチ内での又はその上での特定の位置、アクティベーションスイッチ上での位置等が割り当てられ得る。それぞれの動きセンシング要素は、アクティベーションスイッチに対する個々の位置に基づいて動き特性を測定するために独立してカスタマイズされ得る。
【0019】
少なくとも1つの実施形態では、ホストコントローラ120は、マルチモーダルHMIコントローラを含み得る。少なくとも1つの実施形態では、ホストコントローラ120は、力センシング要素からの動的力検出及び測定データの計算処理を実行するよう構成されたプロセッサを含み得る。プロセッサは、例えば、アクティベーションスイッチ表面の一部又は全部にわたる力/圧力マップを求めるために、動的力検出及び測定データを使用し得る。プロセッサは、ひずみセンシング要素からの動的ひずみ検出及び測定データの計算処理を実行するようにも構成され得る。プロセッサは、動的ひずみ検出及び測定データを使用して、アクティベーションスイッチ撓み特性を求め得る。プロセッサは、1つ以上の環境センシング要素から受け取られた動的環境センシングデータの計算処理も実行するよう構成され得る。プロセッサは、環境センシングデータを使用して、力センシング要素及びひずみセンシング要素の動的環境補償を実現することもできる。プロセッサは、1つ以上の動きセンシング要素から受け取られる動的動きセンシングデータの計算処理を実行するよう構成され得る。プロセッサは、動きセンシングデータを使用して、動きセンシング要素、ひずみセンシング要素、及び/又は環境センシング要素の動的動き補償を実現することもできる。ホストコントローラは、センシング要素からデータを受け取るよう構成された回路を含み得る。ホストコントローラは、データを記憶するメモリ、及び操作を実行するプロセッサを含み得る。
【0020】
埋め込みされたホストコントローラは、通信リンク125を介してクライアントデバイス(図1では不図示)に電子的に接続され得る。少なくとも1つの実施形態では、センサは、有線通信リンクを介してクライアントデバイスに結合され得る。通信リンクは、システム及び任意の他のデバイスの間での任意の形態の有線又は無線の通信能力を提供し得る。ある実施形態では、通信リンクは、無線周波数(RF)アンテナを含み得る。限定ではなく例として、通信リンクは、無線のメカニズムを介して、LAN接続性、ブルートゥース接続性、ブルートゥースローエナジー(BLE)、Wi-Fi接続性、NFC接続性、M2M接続性、D2D接続性、GSM接続性、3G接続性、4G接続性、LTE接続性、任意のその他の適切な通信能力、又はそれらの任意の適切な組み合わせを提供するよう構成され得る。電動工具及び/又はアクティベーションスイッチは、任意の個数の通信リンクを含み得る。通信リンクは、アンドロイド(登録商標)/iOS(登録商標)のコントローラ及びディスプレイモジュール、ゲームエンジン視覚化、さまざまなモード(例えばウォーキング及びランニングモード)、ブルートゥースローエナジーインタフェース等のような、さまざまなインタフェース155の機能を提供し得る。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、ホストコントローラ120(例えばプロセッサ)は、センシング要素(例えば力センシング要素105、ひずみセンシング要素105、環境センシング要素110、動きセンシング要素115)をスキャンし得る。プロセッサは、センシング要素を周期的にスキャンし得る。少なくとも1つの実施形態では、プロセッサは、少なくとも一部のセンシング要素については、最適なデータ解像度及び/又は電源消費の利点を提供し得る、さまざまなスキャンレートを使用し得る。例えば、アクティベーションスイッチのいくつかの部分は、アクティベーションスイッチの他の領域と比較して、より頻繁に動き、又は動かされ得て、又はより大きい速度の力又は圧力の変化を受け得る。これら領域は、より高い解像度のためにより頻繁にスキャンされ得る。力又は圧力のより小さい速度の変化を持つそれらの領域は、システムの電源消費を低減し得る、より小さい頻度でスキャンされ得る。
【0022】
プロセッサは、センシング要素から(及びここで記載されるように任意の他のセンサから)受け取られたデータに基づいてさまざまな分析を実行し得る。例えば、プロセッサは、アクティベーションスイッチの力及び/又は圧力マップを生成し得る。力及び/又は圧力マップは、アクティベーションスイッチの現在の状態の瞬時的なスナップショットであり得る。力及び/又は圧力マップは、経時的データも含み得て、マップは、平均値、中央値、又は他の値を表現し得る。マップは、電動工具が正しく保持されているか、電動工具が正しく使用されているか等を決定するのに用いられ得る。マップは、力又は圧力の範囲を異なる色で示し得る「ヒートマップ」として可視化され得る。少なくとも1つの実施形態では、プロセッサは、センサデータを処理のために他のデバイス(例えばサーバ、クライアントデバイス)に送り得る。プロセッサは、スマートフォン又はスマートウォッチのような他の携帯又はウェラブルデバイスにセンサデータを送り得る。
【0023】
システム100は、現在の力の値、力及び/又は圧力マップの一部又は全部、アクティベーションスイッチの現在の状態、バッテリ電圧レベル、電動工具が正しく保持されているかのインジケータのような、さまざまな情報を表示し得るグラフィカルユーザインタフェース(GUI)150を含み得る。
【0024】
システムは、システムの電力を提供及び/又は調整し得る電源管理デバイス130も含み得る。
【0025】
システムは、ハプティックフィードバックをシステムに対して駆動し得るハプティックフィードバックユニット135も含み得る。例えば、埋め込みされたコントローラは、センサ(例えばセンシングアレイ)のうちの任意のものからのセンサデータを受け取り得る。センサデータに基づいて、埋め込みされたコントローラは、命令を生成し、ハプティックフィードバックユニット135に送り、システムを介してハプティックレスポンスを作り得る(例えばユーザが感じることができるアクティベーションスイッチを介したハプティックフィードバックとして)。このハプティックは、ユーザによって感じられ得る、アクティベーションスイッチを介したハプティックデバイスを介して提供され得る。例示的ハプティックフィードバックは、これらには限定されないが、プレス、パルス、ショック、解放を含み得て、これらはいずれも短くても、長くても、又は反復されてもよい。ハプティックフィードバックは、電動工具のさまざまな操作を示すために用いられ得る。例えば、ハプティック放射(haptic emission)は、ユーザに対して、ユーザが電動工具を正しく保持していて、電動工具の動作が始まり得ることを示し得る。
【0026】
ここで記載されるシステム及び方法は、任意の種類の電動工具等と共に、無数の応用例で用いられ得る。
【0027】
図2は、例示的マルチファンクション電動工具200の構成を示す。図示されたドリリングモードの例では、電動工具200は、指の力のセンシング入力プロファイルを求めるための、埋め込みされた力センシングトランスデューサを持つスマートスイッチ/トリガ205を含み得る。電動工具200は、正しい使用を決定し、電動工具の落下を検出し、安全オーバライドをリアルタイムで提供するための、埋め込みされた力センシングトランスデューサ(群)及び/又は慣性測定ユニットを持つスマートハンドル/グリップ210も含み得る。電動工具200は、電動工具200が例えばネジを回すために用いられている時に、リアルタイムドリリング力プロファイルを求めるセンシングトランスデューサ215をさらに含み得る。
【0028】
電動工具200は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)220も含み得る。図示されるように、GUI220は、ドリルスピードを含むリアルタイムドリリングパラメータを示すために1つ以上の発光ダイオード(LED)ディスプレイも含み得る。例示的マルチファンクション電動工具は、図1のシステムの一部又は全部を含み得る。
【0029】
電動工具200は、アクティベーションスイッチ上で人が及ぼす、力、ひずみ、動き、運動、及び他の環境特性を測定するよう構成され得るセンシング要素を含み得る。
【0030】
アクティベーションスイッチは、任意の材料又は材料群の組み合わせから形成され得る。材料は、多孔性の材料、発泡性の材料、プラスチック材料、又は任意の他の天然又は合成材料を含み得る。アクティベーションスイッチは、インターポーザに接着されること(例えば接着剤で付けられる、溶着される、縫製される等)等によって、インターポーザに取付され得る。少なくとも1つの実施形態では、アクティベーションスイッチは、硬い表面(例えばコンクリート)との反復的衝撃に耐えるよう構成される弾性のある材料から形成され得る。
【0031】
インターポーザは、外部ホストコントローラの一部としての外部回路基板に接続され得る。インターポーザは、任意のタイプの回路基板も含み得て、又はその一部であり得る。回路基板は、任意の材料から形成され得る。回路基板は、剛性を有し、又は可撓性を有し得る。
【0032】
1つ以上のセンシング要素は、インターポーザに結合され得る。1つ以上のセンシング要素は、センシングアレイと呼ばれ得る。1つ以上のセンシング要素は、1つ以上の力センシング要素、1つ以上のひずみセンシング要素、1つ以上の動きセンシング要素、及び/又は1つ以上の環境センシング要素を含み得る。1つ以上のひずみセンシング要素は、1つ以上の2次元ひずみセンシング要素を含み得る。センシング要素は、インターポーザ上で空間的に分散され得る。1つ以上のセンシング要素は、インターポーザに結合される個別部品であり得る。代替として、1つ以上のセンシング要素は、インターポーザ上に、直接に形成され、エッチングされ、堆積され、又は印刷等され得る。例えば、センシング要素は、フレキシブル回路基板(すなわちフレキ)上に印刷され得る。
【0033】
システムは、図1と関連してさらに記載されるコントローラも含み得る。コントローラは、センシング要素からのデータを受け取るよう構成される回路を含み得る。コントローラは、データを記憶するメモリ、及び操作を実行するプロセッサを含み得る。コントローラは、通信リンクを含み得る。
【0034】
コントローラは、センシング要素から(及びここで記載されるように任意の他のセンサから)受け取られたデータに基づいてさまざまな分析を実行し得る。例えば、コントローラは、アクティベーションスイッチ上での入力の力、動き、及び/又は圧力マップを生成し得る。
【0035】
システムは、任意の個数のセンサを含み得る。センサは、アクティベーションスイッチの、又はその近傍の任意の特性(動き又は環境を示すデータのような)を検出できる、これらには限定されないが、加速度計、ジャイロスコープ、高度計、全地球測位システム(GPS)、歩数計、磁気計、温度計、湿度センサ、大気圧センサ、GPS受信機、動き、環境、又は人間の状態を検出し得る任意の他のセンサ、又はそれらの任意の組合せを含む、任意のハードウェア又はソフトウェアを表現し得る。センサによって検出された任意の動きは、動き特性と呼ばれ得る。センサは、人間の特定の運動と関連付けられ得るさまざまな動きパターンを検出し得る。センサは、以下の1つ以上のものを検出又は決定できる任意の適切なシステム、装置、デバイス、又はルーチンを含み得て、これらはすなわち、傾き、ぶれ、回転、揺れ、及び任意の他の動きである。ある実施形態では、センサは、電動工具の位置を検出又は決定するよう構成され得る。例えば、センサは、GPS受信機、Wi-Fi信号検出器、携帯電話通信ネットワーク信号検出器、ブルートゥースビーコン検出器、インターネットプロトコル(IP)アドレス検出器、又は電動工具の位置を検出又は決定し得る任意の他のシステム、装置、デバイス、又はモジュールを含み得る。位置は、1つ以上のラベル又は名称(例えば家、勤務先、ジム)含み得る。ある実施形態では、センサは、一緒に集積された2つ以上の異なるセンサを含む集積型センサであり得る。例えば、センサは、3次元(3D)加速度計、3Dジャイロスコープ、及び3D磁気計を組み合わせる集積センサであり得る。
【0036】
電動工具200は、任意の個数のアクティビティトラッカーも含み得る。アクティビティトラッカーは、これらには限定されないが、心拍数モニタ、血圧モニタ、温度計、湿度センサ、呼吸センサ、電気皮膚活性センサ、スリープセンサ等を含む、電動工具を使用している追跡される個人の特性(又は特性を表すデータ)を検出するのに用いられ得る任意のハードウェア又はソフトウェアのセンサ又はデバイスを表現し得る。アクティビティトラッカーは、電動工具を使用している個人の特性を識別するために用いられ得る。ある実施形態では、心拍数モニタは、心拍数又は心拍数の指標を測定又は決定するよう構成され得る。例えば、心拍数モニタは、個人の心拍、皮膚温度等を検出するよう構成された、1つ以上のセンサ(例えばフォトレジスタ又はフォトダイオードのようなもの)を含み得る。
【0037】
これら又は他の実施形態では、アクティビティトラッカーは、検出された指標に基づいて心拍数を決定するよう構成された1つ以上のシステム、装置、デバイス、又はモジュールを含み得る心拍数モニタを含み得る。ある実施形態では、特定の追跡された個人の生活における出来事は、ホストコントローラによって(又は外部計算デバイスによって)、1つ以上の心拍数モニタから又は他のアクティビティトラッカー又はセンサから受け取られたデータに基づいて求められ得る、特定の追跡されている個人の心拍数、特定の期間の間、特定の追跡されている個人によって維持されている心拍数、心拍数の回復時間等を含み得る。
【0038】
電動工具200は、ユーザに任意のタイプのハプティックフィードバックを提供し得る任意の個数のハプティックフィードバックデバイスも含み得る。
【0039】
図3は、マルチモーダルデータ獲得、信号処理、及び/又は制御のための例示的計算処理フロー300を示す。これら機能は、力センシング要素、次元ひずみセンシング要素、動きセンシング要素、及び環境センシング要素、又は他のセンサ又はアクティビティトラッカーからの測定データの分析によって獲得され得る。
【0040】
処理フロー300は、ハードウェア(回路、専用ロジック等)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用機器上で走らされるような)、又は両方の組合せを含み得る処理ロジックによって実行され得て、この処理ロジックは、図1又は2のシステム100及び/又は電動工具200、又は他のコンピュータシステム又はデバイスに含まれ得る。しかし、この方法を実行するためには、他のシステム又はシステム群の組合せも用いられ得る。説明を簡単にするために、ここで記載される方法は、一連の行為として図示及び記載される。しかし、本開示による行為は、さまざまな順番で、及び/又は同時に起こり得て、ここで提示及び記載されていない他の行為と共に起こり得る。さらに、開示されている主題による方法を実現するためには、図示された全ての行為が用いられるわけではない。加えて、当業者には、本方法は、状態図又はイベントを介した相互関連する一連の状態として代替としては表現され得ることが理解及び認識されよう。追加として、本明細書で開示された方法は、そのような方法を計算デバイスに運搬及び転送することを促進するために、非一時的なコンピュータで読み取り可能な媒体のような、製造物品上に記憶されることが可能である。ここで用いられる製造物品という語は、任意のコンピュータ読み取り可能なデバイス又は記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラムを包含するよう意図される。別個のブロックとして図示されているが、さまざまなブロックは、所望の実現例に依存して、追加のブロックに分割され、より少ないブロックに組み合わせられ、又は省略され得る。
【0041】
方法は、処理ロジックが、マルチファンクション電動工具のためにドリリングモードが選択されたことを決定し得るブロック305において開始され得る。
【0042】
ブロック310において、処理ロジックは、電動工具が使用のために正しい向きに向けられているかを決定し得る。例えば、処理ロジックは、スマートハンドル又はアクティベーションスイッチが正しい向きに向けられているかを決定し得る。少なくとも1つの実施形態では、処理ロジックは、電動工具の正しい向きを示すデータにアクセスを有し得る。このデータは、ドリリング力プロファイルのようなセンサデータプロファイルを含み得る。例えば、処理ロジックは、正しい使用及び不正な使用を示すさまざまなセンサ読み取り値を示すデータを有し得る。「正しい」使用は、安全又は最適な使用を示し得る。例えば、ペイント塗装機の正しい使用とは、吸込管が液溜めからペイントを吸うように配置されている時であり得る。不正な使用は、ペイント塗装機が逆さになっていて、ペイントが吸込管を通って流れない時であり得る。
【0043】
電動工具が正しい向きであると処理ロジックが決定するとき(例えばブロック310において「イエス」)、ブロック315において処理ロジックは、アクティベーションスイッチのユーザアクティベーション及びスマートハンドルのユーザの正しい把持を求めてスキャンし得る。例えば、処理ロジックは、アクティベーションスイッチ上で入力力プロファイルを獲得し得る。
【0044】
電動工具が正しい向きにないと処理ロジックが決定するとき(例えばブロック310において「ノー」)、処理ロジックは、複数のアラームがブロック350において発生されるようにし得る。このアラームは、視覚的指示、聴覚的指示の形態であり得て、及び/又はネットワーク上で遠隔デバイスにリアルタイムで送信され得る。ブロック320において、処理ロジックは、電動工具がユーザによって正しく把持されているかを決定し得る。例えば、処理ロジックは、スマートハンドル又はアクティベーションスイッチが正しく把持されているかを決定し得る。少なくとも1つの実施形態では、処理ロジックは、スマートハンドル又はアクティベーションスイッチが正しく把持されていることを1つ以上のセンサを介して決定する。例えば、スマートハンドルは、ユーザの指がスマートハンドルを把持する場所に対応する1つ以上の力センサを含み得る。スマートハンドルの適切な把持を示す1つ以上の力センサから処理ロジックがデータを受け取るとき、処理ロジックは、電動工具がユーザによって正しく把持されていることを決定し得る。スマートハンドルの不適切な把持を示す1つ以上の力センサから処理ロジックがデータを受け取るとき(又はデータを受け取らないとき)、処理ロジックは、電動工具がユーザによって正しく把持されていないことを決定し得る。
【0045】
電動工具がユーザによって正しくは把持されていないと処理ロジックが決定するとき(ブロック320において「ノー」)(例えば把持力プロファイルが不正であるか又は安全ではないとみなされるとき)、処理ロジックは、電動工具が動作することを阻止し、ドリリング動作が停止されるようにし(例えばブロック345において)、及び/又は複数のアラームが発生されるようにし得る(例えばブロック350において)。アラームは、可視指示、可聴指示の形態であり得て、及び/又はネットワークを介して遠隔デバイスへリアルタイムで送信され得る。
【0046】
電動工具がユーザによって正しく把持されていると処理ロジックが決定するとき(ブロック320において「イエス」)、処理ロジックは、ブロック325において電動工具の動作パラメータを決定し得る。例えば、処理ロジックは、電動ドリルのためのドリリングパラメータ(例えばスピード及び方向)を決定し得る。ブロック330において、処理ロジックは、電動工具の動作の間、動きパラメータを制御及び/又は表示し得る。
【0047】
ブロック335において、処理ロジックは、電動工具の動作等の間に動作プロファイルを獲得し得る。処理ロジックは、ここで記載されるセンサ又はセンシング要素のいずれかから動作プロファイル(又は動作プロファイルに寄与するデータ)を獲得し得る。動作プロファイルは、電動工具の向き、動き、スピード、力、環境等を含み得る。動作プロファイルは、電動工具上でのユーザの把持特性も含み得る。
【0048】
ブロック340において、処理ロジックは、動作プロファイルに基づいて、電動工具が安全な範囲又は動作範囲の中に留まっているかを決定し得る。例えば、ペイント塗装機が動作中に吸込管を通ってペイントが容易に流れないように傾けられているときには、処理ロジックは、電動工具が推奨動作範囲の中にないと決定し得る。別の例では、処理ロジックは、ユーザの1つ以上の指が電動工具をもはや把持していないと決定するとき、処理ロジックは、電動工具は動作すると危険であり得ると決定し得る。電動工具が安全な範囲又は動作範囲にないときは、処理ロジックは、ウォーニングを発生するか、又は電動工具に動作を停止させるかのいずれかをし得る。
【0049】
電動工具で釘打ちモードが選択されているときも、同一又は類似の処理フローが適用され得る。このモードでは、もし釘打ち機が硬い壁に正しく押し付けられているなら、釘打ちが実行され得る。もし電動工具が落下したなら、落下検出ロジックは、自動的に動作の「シャットダウン」を行って、潜在的に事故になるような釘打ち動作を防止し得る。
【0050】
図4は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、マルチモーダルアレイに関係する、例としてのコンピュータシステム400のブロック図を示す。上述のホストコントローラは、例としてのコンピュータシステム400のような計算システムとして実現され得る。コンピュータシステム400は、本開示の1つ以上の動作を実現するように構成され得る。
【0051】
コンピュータシステム400は、ここで述べられた1つ以上の方法のいずれをも前記マシンに実行させる1つ以上の命令のセット426を実行する。マシンは、クライアント-サーバネットワーク環境におけるサーバ若しくはクライアントマシンとして、又はピアツーピア(すなわち分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作し得る。マシンは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブ機器、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、そのマシンによって行われる動作を指定する命令のセット(シーケンシャル又は他の)を実行することができるいかなるマシンでもあり得る。更に、単一のマシンのみが図示されているが、「マシン」という用語は、ここに述べられた1つ以上の方法のいずれをも行う命令のセット426を、個々に又は共同で実行するマシンのいかなる集合も含むとも解釈されるものとする。
【0052】
コンピュータシステム400は、プロセッサ402と、主メモリ404(例えば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM)又はラムバスDRAM(RDRAM)等のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)等)と、スタティックメモリ406(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)等)と、データ格納装置416とを含み、これらはバス408を経由して互いに通信する。
【0053】
プロセッサ402は、マイクロプロセッサ、中央処理装置等の1つ以上の汎用の処理装置を表す。より詳しくは、プロセッサ402は、コンプレックス命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、長大命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、又は、他の命令セットを実装するプロセッサ若しくは命令セットの組合せを実装するプロセッサであり得る。プロセッサ402は、特定用途向けIC(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等のような1つ以上の専用の処理装置でもあり得る。プロセッサ402は、ここに述べられた動作及びステップを行う命令を実行するように構成される。
【0054】
コンピュータシステム400は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、又はインターネットのような、ネットワーク418によって他のマシンとの通信を提供するネットワークインタフェース装置422を更に含み得る。ネットワークインタフェース装置422は、いかなる数の物理又は論理インタフェースをも含み得る。ネットワークインタフェース装置422は、ネットワーク内のネットワーク構成要素間の通信を可能に又は容易にするように構成された、いかなる装置、システム、構成要素(component)、又は構成要素の集合をも含み得る。例えば、ネットワークインタフェース装置422は、モデム、ネットワークカード(無線又は有線)、赤外線通信装置、光通信装置、無線通信装置(アンテナのような)、及び/又はチップセット(ブルートゥース装置、802.xx装置(例えば都市域ネットワーク(MAN))のような)、WiFi装置、WiMax装置、携帯通信設備、及び/又はその他を、制限なく含み得る。ネットワークインタフェース装置422は、ネットワーク(いくつかの例を挙げると、携帯電話ネットワーク、WiFiネットワーク、MAN、光ネットワーク等)、及び/又は、遠隔装置を含む、本開示で説明された他の装置のいずれとも、データが交換されることを可能にし得る。少なくとも1つの実施形態において、ネットワークインタフェース装置422は、単一の物理構成要素上の論理的に区別されるもの、例えば、単一の物理ケーブル又は光信号を通る多数の通信ストリームであり得る。
【0055】
コンピュータシステム400は、表示装置410(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は陰極線管(CRT))、英数字入力装置412(例えばキーボード)、カーソル制御装置414(例えばマウス)、及び信号生成装置420(例えばスピーカー)も含み得る。
【0056】
データ格納装置416は、ここに説明された1つ以上の方法又は関数のいずれをも具体化する命令のセット426が格納されるコンピュータ読み取り可能格納媒体424を含み得る。命令のセット426は、また、主メモリ404に、及び/又はコンピュータシステム400による実行中はプロセッサ402に、完全に又は部分的に存在し得る。また、主メモリ404及びプロセッサ402は、コンピュータ読み取り可能媒体を構成する。命令のセット426は、更に、ネットワークインタフェース装置422を経由しネットワーク418を介して、送信又は受信され得る。
【0057】
コンピュータ読み取り可能格納媒体424の例が単一の媒体として示されたが、「コンピュータ読み取り可能格納媒体」という用語は、命令のセット426を格納する単一の媒体又は多数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含み得る。「コンピュータ読み取り可能格納媒体」という用語は、マシンによって実行するための命令のセットを格納、エンコード、搬送することが可能な、本開示の1つ以上の方法のいずれをもマシンに行わせる、いかなる媒体をも含み得る。「コンピュータ読み取り可能格納媒体」という用語は、ソリッドステートのメモリ、光媒体及び磁気媒体を含み得るが、これらには限られない。
【0058】
本開示の範囲を逸脱することなく、コンピュータシステム400に、修正、付加又は省略が行われ得る。例えば、少なくとも1つの実施形態において、コンピュータシステム400は、明示的に図示又は説明されていないかもしれないいかなる数の他の構成要素をも含み得る。
【0059】
本開示で使用されているように、「モジュール」又は「構成要素」という用語は、モジュール又は構成要素の動作を行うように構成された特定のハードウェアの実施、及び/又は、コンピュータシステムの汎用ハードウェア(例えば、コンピュータ読み取り可能媒体、処理装置等)に格納され得る、及び/又はそれによって実行され得るソフトウェアオブジェクト又はソフトウェアルーチンを指し得る。少なくとも1つの実施形態において、本開示において説明されたさまざまな構成要素、モジュール、エンジン、及びサービスは、コンピュータシステム上で実行されるオブジェクト又はプロセスとして(例えば、独立したスレッドとして)実現され得る。本開示で説明されたシステム及び方法のいくつかはソフトウェアに実装されている(汎用ハードウェアに格納され、及び/又は汎用ハードウェアによって実行される)として一般的に説明されたが、専用ハードウェア実装、又はソフトウェアと専用ハードウェア実装との組合せも、可能であり意図される。本開示において、「計算する実体」は、本開示において先に規定されたいかなる計算システムでもあり得るし、コンピュータシステム上で動作するいかなるモジュール又はモジュールの組合せでもあり得る。
【0060】
本開示及び特に添付の特許請求の範囲(例えば添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、「オープンな」用語(例えば、「含んでいる」という用語は、「含んでいるが、それらには限定されない」として解釈され得、「有する」という用語は、「少なくとも有する」として解釈され得、「含む」という用語は、「含むが、それらには限定されない」として解釈され得る等)として一般に意図されている。
【0061】
更に、導入された請求項の記載の特定の数が意図されている場合には、そのような意図は請求項に明確に記載され、そのような記載が存在しない場合にはそのような意図は存在しない。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するために「少なくとも1つ」及び「1つ以上」という導入句の使用を含み得る。しかし、そのような句の使用は、たとえ同一の請求項が、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」という導入句、及び「a」又は「an」のような不定冠詞を含んでいるときでも、「a」又は「an」という不定冠詞による請求項の記載の導入がそのような導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項をもそのような記載を1つのみ含む実施形態に制限することを含意する、と解釈されてはならない(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈され得る)。請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても同様である。
【0062】
加えて、導入された請求項の記載の特定の数が明示的に記載されているとしても、当業者は、そのような記載は記載された数を少なくとも意味すると解釈され得る、と理解するだろう(例えば、修飾語のない「2つの記載」という無修飾の記載は、少なくとも2つの記載又は2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B及びC等のうちの1つ」又は「A、B及びC等のうちの1つ以上」に類似する慣習が使用される場合において、一般にそのような解釈は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、又はAとBとC等を含むことが意図される。
【0063】
更に、明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいても、2つ以上の選択的な用語を表現するいかなる選言的な語又は句も、その用語のうちの1つ、その用語のうちのいずれか一方、又はその用語の両方を含む可能性を予期すると理解され得る。例えば、「A又はB」という句は、「A」、「B」、又は「A及びB」の可能性を含むと理解され得る。
【0064】
本開示において記載された全ての例及び条件付きの語は、技術を進展させるために読者が本発明者によってもたらされた本発明及び概念を理解する助けとなる教育的な目的を意図しており、そのような具体的に記載された例及び条件に限定されないとして解釈されるべきである。本開示の実施形態が詳細に説明されているが、それには、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、さまざまな変更、置換、及び改変が行われ得る。
図1
図2
図3
図4