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特許7057820ハイパースペクトルイメージングを用いた検体評価方法及び検体評価装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】ハイパースペクトルイメージングを用いた検体評価方法及び検体評価装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20220413BHJP
【FI】
G01N35/00 E
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020502195
(86)(22)【出願日】2018-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 US2018042344
(87)【国際公開番号】W WO2019018314
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】62/534,648
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507269175
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS HEALTHCARE DIAGNOSTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスマン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,ベンジャミン エス.
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-280814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0044098(US,A1)
【文献】特表2000-500578(JP,A)
【文献】国際公開第2016/133900(WO,A1)
【文献】特表2017-506342(JP,A)
【文献】特表2013-501937(JP,A)
【文献】特表2003-502631(JP,A)
【文献】特表2013-521900(JP,A)
【文献】国際公開第2012/060353(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0193589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0171591(US,A1)
【文献】特開2015-219122(JP,A)
【文献】特開2017-110931(JP,A)
【文献】特開2010-276552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00,
G01N 15/00,
G01N 21/00,
G01J 3/04,3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を収納した検体容器を受け取るように構成された撮像位置と、
前記撮像位置を照射するように構成された光源と、
壁構造に形成されたスリット開口と、第1のレンズと、スペクトル分解素子と、スペクトル画像撮像装置と、レンズシステムとを有するハイパースペクトル画像撮像装置であって前記第1のレンズは前記撮像位置における前記検体容器及び前記検体の一部の画像を前記スリット開口の平面上に焦点を結ぶように構成された焦点長を含み、前記スペクトル画像撮像装置は前記撮像位置における前記検体容器及び前記検体の前記一部のスペクトル分解画像を撮像する、前記ハイパースペクトル画像撮像装置と、
前記スペクトル画像撮像装置によって撮像されたスペクトル分解画像を処理し、
前記検体のセグメンテーション、
前記検体容器のセグメンテーション、
前記検体容器と前記検体のセグメンテーション、および
干渉物質の存在の有無、
の少なくとも1つを決定する
ように構成されて動作可能なコンピュータと、
を備える特性評価装置。
【請求項2】
前記光源が、300nm~2000nmの範囲内の少なくとも100nmの帯域幅の広帯域光源を有する、請求項1に記載の特性評価装置。
【請求項3】
前記光源が、300nm~2000nmの範囲内の離散波長範囲を有する複数のスペクトル帯域を含む、請求項1に記載の特性評価装置。
【請求項4】
前記光源が、複数の白色光源を含む1つ以上の光パネルアセンブリを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項5】
前記光源が、白色光源と近赤外線源又は中赤外線源との組合せを有する1つ以上の光パネルアセンブリを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項6】
前記1つ以上の光パネルアセンブリの各1つが、
取付フレームと、
導光板と、
前記導光板内に光を発し、広帯域又は多帯域の光を前面から放出するように構成された
複数の光源と、
を有する、請求項5に記載の特性評価装置。
【請求項7】
前記1つ以上の光パネルアセンブリが、前記ハイパースペクトル画像撮像装置と反対側の撮像位置の裏側に位置し、前記検体容器及び前記検体の裏面から照射するように構成された、請求項5に記載の特性評価装置。
【請求項8】
前記1つ以上の光パネルアセンブリが、前記ハイパースペクトル画像撮像装置と同じ側の撮像位置の前面側に位置し、前記検体容器及び検体の前面から照射するように構成された、請求項5に記載の特性評価装置。
【請求項9】
前記ハイパースペクトル画像撮像装置は、前記検体容器及び前記検体の前記一部の前記画像を、前記スペクトル分解素子上に投影するように構成されたレンズ及びスリット開口アセンブリを有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項10】
前記スペクトル分解素子がプリズムを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項11】
前記スペクトル分解素子が回折格子を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項12】
前記スペクトル分解素子がリニアバンドパスフィルタを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項13】
前記スペクトル画像撮像装置は第1の辺および第2の辺を有し、
前記第1の辺は、前記スリット開口の長辺と平行に延び、
前記第1の辺は、前記スペクトル画像撮像装置の前記第2の辺よりも長い、請求項1~12のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項14】
記スペクトル画像撮像装置は、前記スペクトル分解画像を、前記スペクトル分解画像の両方の次元について少なくとも100ピクセル/インチのスペクトル分解能で撮像し、
前記スペクトル画像撮像装置は第1の辺および第2の辺を有し、
前記スペクトル分解画像は、前記第2の辺の方向で、スペクトル分解され、
前記スペクトル分解画像内の前記検体容器及び前記検体の前記一部の高さの方向は、前記第1の辺の方向に、延びている、
請求項1~13のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項15】
前記スリット開口の長辺は、前記検体容器の高さの方向と平行に延びており、
前記スリット開口の短辺は、前記検体容器の幅の方向と平行に延びている、請求項1~14のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項16】
前記スリット開口及び前記レンズシステムが、
前記検体容器及び前記検体の前記画像を前記スペクトル分解素子上に投影するように構成されたレンズ及びスリット開口アセンブリを形成する、請求項15に記載の特性評価装置。
【請求項17】
前記レンズシステムはのレンズ及び第のレンズを有し
記スペクトル分解素子が、前記検体容器及び前記検体の前記一部の前記画像を、スペクトル分解し、
前記第3のレンズが、前記スペクトル分解画像を、前記スペクトル画像撮像装置へ投影する、
請求項1~16のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項18】
前記コンピュータが、
スペクトル分解画像に基づく溶血、
黄疸、
脂血症、および
検体の正常性、
の1つ以上を決定するように構成された、請求項1~17のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項19】
前記コンピュータが、前記スペクトル分解画像に基づいて
前記検体前記検体容器、および、前記検体容器と前記検体、
の少なくとも1つのセグメンテーションを決定するように構成された、請求項1~18のいずれか1項に記載の特性評価装置。
【請求項20】
前記検体、前記検体容器、および、前記検体容器と前記検体、の少なくとも1つのセグメンテーションが、
検体中の血清又は血漿部分
前記検体の沈降した血液部分
ゲル分離器、
検体容器内の空気、および
キャップ
の1つ以上の垂直位置を決定することを含む、請求項19に記載の特性評価装置。
【請求項21】
前記検体、前記検体容器、および、前記検体容器と前記検体の少なくとも1つのセグメンテーションが、
管-キャップ界面、
液体-空気界面、
血清-血界面、
血清-ゲル界面、および
血液-ゲル界面
の1つ以上の垂直位置を決定することを含む、請求項19または20に記載の特性評価装置。
【請求項22】
検体検査装置であって、
搬送路と、
前記搬送路上を移動可能であり、検体を収納した検体容器を支持するように構成されたキャリアと、
前記搬送路上に位置する特性評価装置であって
前記キャリアによって搬送された検体を収納した検体容器を受け取るように構成された撮像位置
前記撮像位置を照射するように構成された光源
スリット開口と、第1のレンズと、スペクトル分解素子と、スペクトル画像撮像装置と、レンズシステムとを有するハイパースペクトル画像撮像装置であって、前記第1のレンズは前記検体容器及び前記検体の一部の画像を前記スリット開口の平面上に焦点を結ぶように構成された焦点長を含み、前記スペクトル画像撮像装置は前記撮像位置における前記検体容器及び前記検体の前記一部のスペクトル分解画像を像する、前記ハイパースペクトル画像撮像装置
前記スペクトル画像撮像装置によって撮像されたスペクトル分解画像を処理し、
前記検体のセグメンテーション、
前記検体容器のセグメンテーション、
前記検体容器と前記検体のセグメンテーション、および
干渉物質の存在の有無
の少なくとも1つを決定するように構成されて動作可能なコンピュータと、
を有する、前記特性評価装置と、
を備える、検体検査装置。
【請求項23】
検体容器又は検体の特性評価方法であって、
前記検体を収納した前記検体容器を撮像位置に供給し、
スリット開口と、第1のレンズと、スペクトル分解素子と、スペクトル画像撮像装置と、レンズシステムとを有するハイパースペクトル画像撮像装置であって、前記第1のレンズは前記検体容器及び前記検体の一部の画像を前記スリット開口の平面上に焦点を結ぶように構成された焦点長を含み、前記スペクトル画像撮像装置は前記撮像位置における前記検体容器及び前記検体の前記一部のスペクトル分解画像を撮像する、前記ハイパースペクトル画像撮像装置を設け、
前記撮像位置を照射するように構成された1つ以上の光源を設け、
前記1つ以上の光源で前記撮像位置を照射し、
前記ハイパースペクトル画像撮像装置で前記検体容器及び前記検体の前記一部スペクトル分解画像を撮像し
前記スペクトル分解画像を処理して
前記検体のセグメンテーション、
前記検体容器のセグメンテーション、
前記検体容器と前記検体のセグメンテーション、および
干渉物質の存在の有無
の少なくとも1つを決定する、特性評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年7月19日に提出された米国仮出願番号62/534,648に対する優先権を主張するものであり、その内容全体を参照として本明細書で援用する。
【0002】
本開示は、生物検体の特性評価方法及び装置、具体的には、生物検体中の干渉物質の存在の有無を判定する方法及び装置、及び/又は生物検体を分割する方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
自動化された検査システムは、1つ以上の試薬を用いて臨床化学又はアッセイを実施して、血清、血漿等の生物検体中の被検体又は他の成分を同定することができる。便宜上及び安全性上の理由から、これらの検体は検体容器(例えば、採血管)に収納してもよい。
【0004】
自動化された検査技術の向上に伴い、バッチ作成、生物検体の遠心分離による検体成分分離、検体へのアクセスを容易にするキャップ取外し、自動予備分析検体作成システムによる自動分注等の予備分析検体作成及び取扱い操作がそれに対応して進歩し、搬送システム(LAS)の一部となる可能性がある。LASは、検体容器に収納され、キャリア上に裁荷された検体を、上記に列挙した多数の予備検体処理ステーション、並びに臨床化学分析装置及び/又は分析機器を含む分析ステーション(本明細書では「分析装置」と総称する)に自動的に搬送することができる。
【0005】
LASは、バーコードラベルを含む可能性のある、全ての異なるサイズ及び種類の検体容器を取り扱うことができる。バーコードラベルは、病院の臨床検査情報システム(LIS)に入力される人口統計情報に関連付けることができる受託番号を、検査の順番及び他の情報と共に含んでいてもよい。操作者又はロボットは、バーコード標識された検体容器をLASシステム上に置くことができ、LASシステムは、そのような分析前操作のための検体容器を自動的に搬送することができ、全ての検体は、実際に臨床分析されるか、又は1つ以上の分析装置により分析される。
【0006】
特定の検査では、分画(例えば、遠心分離)により全血から得られた検体の血清又は血漿部分の量を吸引し、使用してもよい。場合によっては、沈降した血液部分を血清又は血漿部分から物理的に分離するのを助けるために、ゲル分離器を検体容器に追加してもよい。幾つかの実施形態において、分画及びその後のキャップ取外し工程の後、ピペットを用いた吸引によって、検体容器から血清又は血漿部分を抽出することができるLAS上の適切な分析装置に搬送され、そして血清又は血漿部分を、反応容器(例えば、キュベット)内の1つ以上の試薬、希釈剤、及びおそらく他の物質と化合させることができる。分析測定は、例えば、照会放射のビームを使用して、又は測光若しくは蛍光測定吸収読み取りなどを使用して実行されることが多い。測定値は、エンドポイント、速度又は他の値の判定を可能にし、そこから、周知の技術を用いて被検体又は他の成分の濃度を決定することができる。
【0007】
幾つかの検体検査装置において、検体容器は異なるサイズであってもよく、また、そこに含まれる検体の総量、並びに沈降した血液部分及び血清又は血漿部分の相対量は、検体容器ごとに実質的に変化するかもしれない。これにより、ロボットやピペットの動きや位置決めの点で不確実になる可能性がある。
【0008】
さらに、検体処理又は患者の疾状の結果として検体中に1つ以上の干渉物質が存在すると、1つ以上の分析装置から得られる被検体又は成分測定の検査結果の精度に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、溶血(以下、「H」)、黄疸(以下、「I」)及び/又は脂血症(以下、「L」)の存在は、総称してH、I及び/又はL(以下、「HIL」)であり、検体検査結果に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、HILを決定することは、計算負荷が非常に重い可能性がある。
【0009】
異なるサイズの検体容器をLASで使用する場合に遭遇する問題のため、存在する血清又は血漿の位置及び/又は量を知る必要性、並びに分析すべき検体中のHILを予備検査する必要性のために、このような検体を容易かつ自動的に撮像し、分析するように適合させた計算的に効率的な方法及び装置に対する満たされない要求が存在する。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様によれば、特性評価装置を提供する。検体を収納した検体容器をセットするように構成された撮像位置と、撮像位置を照射するように構成された光源と、スペクトル画像撮像装置と、スペクトル画像撮像装置で検体容器と検体の一部のスペクトル分解画像を生成して撮像するように構成されたハイパースペクトル画像撮像装置と、スペクトル画像撮像装置で受け取ったスペクトル分解画像を処理し、検体の細分化、検体容器と検体の細分化、干渉物質の存在の有無の少なくとも1つの細分化を決定するように構成され、動作可能なコンピュータとを備える特性評価装置。
【0011】
別の態様では、検体検査装置を提供する。検体検査装置は、搬送路と、搬送路上を移動可能であり、かつ検体を収納した検体容器を支持するように構成されたキャリアと、搬送路上に位置する特性評価装置とを備え、特性評価装置は、キャリアによって搬送された検体を収納した検体容器をセットするように構成された撮像位置と、撮像位置を照射するように構成された光源と、撮像位置における検体容器及び検体の一部のスペクトル分解画像を生成・撮像するように構成されたスペクトル画像撮像装置とを備えるハイパースペクトル画像撮像装置と、スペクトル画像撮像装置で受信したスペクトル分解画像を処理し、検体の細分化、検体容器と検体の細分化、干渉物質の存在の有無の少なくとも1つを決定するように構成され動作可能なコンピュータとを備える特性評価装置とを備える。
【0012】
別の態様によれば、検体容器及び/又は検体の特性評価方法を提供する。この方法は、撮像位置に検体を収納した検体容器を設け、撮像位置で画像を撮像するように構成されたハイパースペクトル画像撮像装置を設け、撮像位置を照射するように構成された1つ以上の光源を設け、撮像位置を1つ以上の光源で照射し、検体容器及び検体の一部のスペクトル分解画像をハイパースペクトル画像撮像装置で撮像し、スペクトル分解画像を処理して検体の細分化、検体容器及び検体の細分化、干渉物質の存在の有無の少なくとも1つを決定することを含む。
【0013】
さらに、本開示の他の態様、特徴、及び利点は、本発明を実施するために意図されたベストモードを含む、多数の例示的な実施形態を例示することによって、以下の説明から容易に明らかになる。本開示は、他の実施形態及び異なる実施形態も可能であり、その詳細は、全て本開示の範囲から逸脱することなく、様々な点で変更することができる。従って、図面及び説明は、事実上、例示的であると見なすべきであり、限定的とみなすべきではない。本開示は、添付の特許請求の範囲内に含合される全ての変更、均等物、及び代替形態を網羅する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下に説明する図面は、説明のためのものであり、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図面は、決して開示の範囲を限定するものではない。
図1図1は、1つ以上の実施形態によるハイパースペクトルイメージングを用いた特性評価装置を備える検体検査装置の上部概略図を示す。
図2図2は、検体を収納した検体容器の側平面図を示す。
図3図3は、検体及びゲル分離器を含む検体容器の側面図を示す。
図4A図4Aは、実施形態によるハイパースペクトル透過画像を含む特性評価装置の等軸測視図を示す。
図4B図4Bは、1つ以上の実施形態による、図4Aの特性評価装置の光パネルアセンブリの等軸測視図を示す。
図4C図4Cは、1つ以上の実施形態による図4Bの光パネルアセンブリの様々な構成要素の分解等尺性図を示す。
図4D図4Dは、実施形態によるハイパースペクトル透過撮像を含む特性評価装置の概略側面図(収納装置を点線で示す)を示す。
図4E図4Eは、1つ以上の実施形態によるハイパースペクトル透過撮像を含む、図4Dの特性評価装置の概略上面図(収納装置を点線で示す)を示す。
図5A図5Aは、検体及びゲル分離器を含む検体容器の側面図を示し、1つ以上の実施形態による撮像領域IRの例を示す。
図5B図5Bは、1つ以上の実施形態による、その上の撮像ユニットを示すスペクトル画像撮像装置の正面図である。
図6A図6Aは、1つ以上の実施形態による、検体容器及び検体の様々な部分に対する正規化強度I(ノルム)対波長λのグラフ図を示す。
図6B図6Bは、1つ以上の実施形態による検体の種々HIL条件についての正規化強度I(ノルム)対波長λのグラフ図を示す。
図7図7は、1つ以上の実施形態によるハイパースペクトル屈折撮像を含む別の特性評価装置の上面概略図(収納装置を点線で示す)を示す。
図8A図8Aは、1つ以上の実施形態によるハイパースペクトル屈折撮像及び/又は透過撮像を含む別の特性評価装置の上面概略図(収納装置を点線で示す)を示す。
図8B図8Bは、1つ以上の実施形態による複数のハイパースペクトル透過画像撮像装置を備える別の特性評価装置の上面概略図(収納装置を点線で示す)を示す。
図9図9は、実施形態によるハイパースペクトルイメージングを含む特性評価装置の機能的構成要素の模式図を示す。
図10図10は、1つ以上の実施形態によるハイパースペクトルイメージング検体を用いて、検体容器及び/又は検体の特性評価方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の広い態様において、本開示の実施形態は、ハイパースペクトルイメージングを用いて、検体容器に収納した検体を撮像し、特性評価するように適合された方法及び装置を提供する。1つ以上の実施形態において、特性評価方法の最終結果は、検体容器に収納した検体の定量化であってもよい。例えば、定量化は、血清又は血漿部分の最上部、最下部、さらには深さの位置、及び/又は分画血液検体の上部、下部、又は沈降血液部分の深さの位置の特性評価を含みうる。これらの細分化値は、後の処理において使用することができる。例えば、これらの細分化値は、患者の病態を決定するため(例えば、血清又は血漿部分と沈降血液部分との間の比)、及び/又は空気又は沈降血液部分の吸引を避けるためのより正確なプローブ先端の配置のために、オーダーされた検査のために、血清又は血漿部分の十分な量が存在するかどうかを決定するために使用し得る。
【0016】
さらに、1つ以上の実施形態によれば、本装置及びハイパースペクトルイメージングを含む方法を用いて、検体容器の1つ以上の幾何学的特徴を決定してもよい。例えば、容器の高さ、及び/又はキャップの高さ等の容器の寸法特徴を決定することができる。これらの寸法特徴は、プローブ(別名「ピペット」と呼ばれる)の位置決めをその後の吸引工程中に正しく案内するために使用し得る。このような情報は、ロボットグリッパー及び/又はプローブによる操作中に、検体容器とロボットグリッパー又はプローブとの接触又は衝突を避けるために使用し得る。
【0017】
幾つかの実施形態において、ハイパースペクトルイメージングを含む特性評価装置及び方法は、検体の血清又は血漿部分における溶血(H)、黄疸(I)、及び/又は脂肪血(L)の存在のような干渉物質の存在の有無を決定するため、又は検体が正常である(N)と判定するのに使用し得る検体画像強度を撮像することができる。ハイパースペクトルイメージングを含む本方法及び装置は、細分化及び/又は干渉物質の検出の各々に対して計算的に有効である。
【0018】
本明細書に記載するように、検体は採血管等の検体容器に採取され、分離後(例えば、遠心分離を用いた分画)に沈降した血液部分と血清及び血漿部分を含むことができる。沈降した血液部分は、白血球、赤血球、血小板等の血液細胞で構成され、これらが凝集して血清や血漿部分から分離される。沈降した血液部分が検体容器の底部に沈降/充填されていることがわかる。血清又は血漿部分は、沈降した血液部分の一部ではない血液の液体成分である。これらは沈降した血液部分の上方に存在する。血漿と血清は主に凝固成分、主にフィブリノーゲンの含量が異なる。血漿は凝固していない液体であるが、血清は内在性酵素又は外在性の構成要素の影響下で凝固させた血液血漿を指す。一部の検体容器では、ゲル分離器(例えば、小さなプラグ)を使用することができ、これは、分画中に沈降した血液部分と血清又は血漿部分との間に自身を配置する。それは2つの部分の間の障壁として働き、それらの再混合を最小限にする。
【0019】
1つ以上の実施形態によれば、本明細書に記載された特性評価方法は、予備検査又は予備検査方法として実施することができる。例えば、1つ以上の実施形態では、特性評価方法は、1つ以上の分析装置で分析(臨床化学又はアッセイ)に供される検体の前に実施することができる。1つ以上の実施形態において、検体の特性評価特は、1つ以上のハイパースペクトル画像撮像装置を備える1つ以上の特性評価装置で決定することができる。1つ以上のハイパースペクトル画像撮像装置の各々は、側方視点から検体容器及び検体の1つ以上のスペクトル画像を撮像するように構成されている。画像撮像中は、検体容器と検体を照射してもよい。照明は、1つ以上の光パネルアセンブリを用いてもよい。特に、幾つかの実施形態において、1つ以上の光パネルアセンブリによるバックライトによって照射することができる。他の実施形態では、1つ以上の光パネルアセンブリによる前面照明によって照射することができる。ハイパースペクトル画像撮像装置は、検体容器及び/又は検体の特性を評価するために処理されるスペクトル画像を撮像する。これには、検体中にHIL等の干渉物質が存在するかどうかの判定が含まれる。
【0020】
他の実施形態では、ハイパースペクトルイメージングを含む方法及び装置を用いて、容器の種類(その高さの同定により)など、検体容器の他の特性を同定することができ、キャップの種類及び/又はキャップの色の特性をさらに評価することができる。
【0021】
本明細書に記載した方法及び装置による特性評価の後、血清又は血漿部分がH、I、又はLの1つ以上を含むことが分かった場合、検体はさらなる処理を受けてもよい。例えば、検体を収納した検体容器は、さらなる処理のために別のステーション(例えば、遠隔ステーション)に、又は、H、I、又はLのためのインデックスの追加特性評価のために採取し得る。このようなさらなる処理の後、検体は、幾つかの実施形態において、1つ以上の分析装置による日常分析を継続し、受けることが許される。それ以外の場合は、検体を廃棄して再描写してもよい。予備検査で検体が正常(N)であることが判明した場合、検体を直接送って、1台以上の分析装置でオーダーされた検査を受けるようにしてもよい。
【0022】
1つ以上の実施形態において、特性評価装置は、搬送路が検体を1つ以上の分析装置に搬送するLASの一部として画像撮像を行うように構成されており、特性評価装置は、搬送路上の、又はそれに沿った任意の適切な位置に設置し得る。例えば、特性評価装置は、検体及び検体容器が1つ以上の分析装置で受け取る前に特性評価できるように、裁荷ステーション、搬送路上、又は搬送路の他の場所に設置することができる。しかしながら、明確化のために、ハイパースペクトルイメージングを含む特性評価装置は、搬送路上以外の検体を収納した検体容器をセットすることができ、検体を収納した検体容器は、手動又はロボットグリッパーのいずれかによって、そこから裁荷及び脱荷することができる。
【0023】
特性評価方法では、検体及び検体容器の一部の空間像がスペクトル画像に光学変換され、スペクトル画像撮像装置によって受け取られるハイパースペクトル画像を用いることによって、1つ以上の実施形態において使用し得る。空間像からスペクトル像への変換は、レンズの配置、プリズム又は格子のようなスペクトル分解素子、及びスリット開口によって達成し得る。スリット開口は、検体容器幅の小さな中央部分のように、検体容器の小部分のみを撮像する。幾つかの実施形態において、光源は広帯域光源であってもよい。例えば、広帯域光源は、300nm~2000nmの波長範囲の光を放出することができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、光源は400nm~750nmの波長発光範囲を有する白色光源であってもよい。
【0024】
垂直増分部分ごとにスペクトル画像撮像装置が受け取ったスペクトルシグネチャはコンピュータによって処理される。1つの実施形態において、処理は、検体及び/又は検体容器に関する細分化情報を提供してもよい。例えば、検体を細分化することにより、検体中の血清又は血漿部分、検体の沈降血液部分、ゲル分離器、検体容器中の空気、及びキャップの1つ以上の垂直位置を決定することができる。さらに、又は任意に、検体を細分化することにより、管-キャップ界面、液体-空気界面、血清-血液界面、血清ゲル界面、及び血液-ゲル界面の1つ以上の垂直位置を決定することができる。さらに、いったん画像において垂直方向血清又は血漿部分の位置が判明すると、他の細分化領域を無視しつつ、その細分化領域に対してHIL又はNの判定を行うことができる。
【0025】
1つ以上の特性評価装置を含む特性評価方法、特性評価装置、及び検体検査装置の更なる詳細は、図1-10を参照して、本明細書で詳しく説明する。
【0026】
図1は、検体容器102の複数のもの(例えば、採血管-(図2及び3参照))を自動的に処理することができる検体検査装置100を示す。検体容器102は、検体検査装置100の周囲に配置された1つ以上の分析装置(例えば、それぞれ第1、第2、第3の分析装置106、108、110)への搬送前及び分析前に、裁荷領域105において1つ以上のラック104に収納してもよい。多少の数の分析装置を使用できることは明らかである。分析装置は、臨床化学分析装置及び/又は検査器具等の任意の組合せでよい。検体容器102は、採血管、検査管、又は検体212を収納するように構成された他の透明なガラス又はプラスチック容器など、透明又は半透明の任意の容器とすることができる。
【0027】
通常典、撮像される検体212(図2及び3)が、キャップ214で蓋をする検体容器102内に収納し得る。キャップ214は、複数の高さ及び/又は色(例えば、赤色、ローヤルブルー、ライトブルー、青、灰色、黄色、又は複数の色の組合せ)を有していてもよく、これは、検体容器102がどのような検査に使用されるか、そこに含まれる添加物の種類などに関して意味を持つことができる。これ以外の他の色を使用してもよい。一態様によれば、キャップ214に関する情報の特性を評価するためにキャップ214を撮像することが望ましく、これは、オーダーされた検査に正しい検体容器102が使用されたことを確認するために、検査オーダーとのクロスチェックに使用することができる。
【0028】
検体容器102の各々は、検体検査装置100の周囲の様々な位置で機械的に読み取ることができるバーコード、アルファベット、数字、英数字、又はそれらの組合せ等の識別情報218(すなわち、標識)を付与することができる。識別情報218iは、臨床検査情報システム(LIS)147により、例えば、患者の識別、並びに検体212に対して行われる検査、又は他の情報を識別したり、又は相関させることができる。このような識別情報218iは、検体容器102の側面に貼付したラベル218上に記録しても、そうでなければ記録しなくともよい。ラベル218は、検体容器102の全周囲、又は検体容器102の全高さに沿って貼付することはできない。幾つかの実施形態において、複数のラベル218を、接着していてもよく、互いにわずかに重なり合っていてもよい。従って、ラベル218は検体212の一部の視野を隠すことになるが、検体212の一部は少なくとも1つの側方から見ることができる。
【0029】
図2及び3に最も良く示されているように、検体212は、血清又は血漿部分212SP及び管215内に含まれる沈降血液部分212SBを含むことができる。空気216は、血清及び血漿部分212SPの上方に供給することができ、空気216と血清及び血漿部分212SPとの間の境界線は、ここでは液体-空気界面LAと定義される。血清又は血漿部分212SPと沈降した血液部分212SBとの間の境界線を、本明細書では血清-血液界面(SB)として定義する。空気216とキャップ214との間の界面を、本明細書では管-キャップ界面(TC)と呼ぶ。血清又は血漿部分212SPの高さはHSPであり、血清又は血漿部分212SPの上部から沈降血液部分212SBの上部までの高さ、すなわちLAからSBまでの高さと定義する。沈降血液部分212SBの高さはHSBであり、SBで沈降血液部分212SBの下部から沈降血液部分212SBの上部までの高さと定義される。図2のHTOTは、検体212及びHTOT=HSP+HSBの全高さである。
【0030】
ゲル分離器313を使用する場合(図3参照)、血清又は血漿部分212SPの高さはHSPであり、LAにおける血清又は血漿部分212SPの上部からSGにおけるゲル分離器313の上部までの高さと定義する。沈降血液部分212SBの高さはHSBであり、BGで沈降血液部分212SBの底部からゲル分離器313の底部までの高さと定義する、図3のHTOTは検体212の全高さであり、HTOT=HSP+HSB+ゲル分離器313の高さと定義する。いずれの場合においても、管HTの高さは、ここでは、管215の最下部からキャップ214の底部までの高さと定義する。
【0031】
より詳細には、検体検査装置100は、基部120(例えば、フレーム又は構造)を備えることができ、その上に搬送路121を設置又は裁置することができる。搬送路121は、レール付搬送路(例えば、単一レール又は複数レール付搬送路)、コンベヤベルト、コンベヤチェーン又はリンク、可動プラットフォーム、又は他の適切な種類の搬送機構の集合体であってもよい。搬送路121は、円形、蛇行形、又は任意の他の適切な形状であってよく、幾つかの実施形態において閉じた搬送路(例えば、無限搬送路)であってよい。搬送路121は、作業中に、検体容器102の個々のものをキャリア122内の搬送路121の周囲に間隔を空けた目的地に搬送することができる(少数のキャリア122が標識されている)。
【0032】
キャリア122は、受動でモーターの付いていないパックであってもよく、このパックは、移動可能である搬送路121上に単一の検体容器102を搬送するように構成してもよい。必要に応じて、キャリア122は、搬送路121の周囲を移動し、予め設定された位置で停止するようにプログラムされているリニアモーター等の内蔵駆動モーターを含めて自動化してもよく、ここで、搬送路121は静止している。いずれの場合においても、キャリア122は、それぞれ、規定された直立方向に検体容器102を保持し支持するように構成されたホルダー122H(図4A)を有することができる。ホルダー122Hは、検体容器102をキャリア122内に固定する複数のフィンガー、板バネ、又はそれらの組み合わせを含むことができるが、そこでは、裁荷される異なるサイズの検体容器102を収容するために、少なくとも一部が横方向に移動可能又は伸縮自在である。
【0033】
幾つかの実施形態において、キャリア122は、そこで段状の1つ以上のラック104を有する裁荷領域105から出ることができる。幾つかの実施形態において、裁荷領域105は、分析が完了した後に、キャリア122からの検体容器102の脱荷を可能にする2つの機能を果たすことができる。そうでなければ、適切な脱荷レーン(図示せず)を、搬送路121の他の場所に設けることができる。
【0034】
再び図1を参照すると、ロボット124を裁荷領域105に設けてもよく、検体容器102を1つ又は他のラック104から把持し、検体容器102を、入力レーン上や搬送路121の他の位置等のキャリア122上に裁荷するように構成してもよい。ロボット124は、X及びZ、Y及びZ、X、Y、及びZ、r及びθ、又はr、θ、及びZ移動が可能な1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)ロボットアーム又は構成要素を含むことができる。ロボット124は、直交ロボット、関節アームロボット、R-θロボット、又は他の適切なロボット型であってもよく、ロボット124は、検体容器102を取り上げて配置するためにサイズ調節可能なロボットグリッパーフィンガーを備えることができる。1つ以上の実施形態では、検体218が検体の直視を隠さないように(図4A図4D、及び図6に示すように)撮像される正面側から離れた検体容器102の裏側に検体218がくるように、検体をキャリア122内に所定の回転方向に配置してもよい。
【0035】
この方向にするために、操作者は、検体をラック104内の規定の回転方向に設置するか、又はロボット124が、検体容器102を取り上げ、識別情報218iをスキャンして、ラベル位置を決定し、次に検体容器をラベル218上のバーコードの固定位置を知ることで、予め規定された方向のキャリア122内に配置することができる。ラベル218が裏側に位置する検体容器102を適切に配置するための他の手段を使用してもよい。
【0036】
搬送路121に裁荷されると、キャリア122によって搬送された検体容器102は、遠心分離機125(例えば、検体212の分画を行うように構成された装置)に移動することができる。検体容器102を搬送するキャリア122は、流入レーン又は適切なロボット(図示せず)によって遠心分離機125に方法を転換することができる。遠心分離された後、検体容器102は、流出レーンから出るか、さもなければロボットによって移動され、搬送路121上で移動を継続することができる。例示の実施形態では、キャリア122内の検体容器102は、次に、本明細書でさらに詳しく説明する特性評価装置130に移送してもよい。
【0037】
特性評価装置130は、ハイパースペクトルイメージングを使用して、検体容器102に収納される検体212の特性を評価するように構成されており、検体容器102の特性を評価するように適合してもよい。検体212の定量化には、HSP、HSB、又はHTOTさえも含めることができ、LA、SB及び/又はSG、及び/又はBGの位置の決定を含めることができる。ハイパースペクトルイメージングを含む特性評価装置130は、検体212に含まれる1つ以上の溶血(H)、黄疸(I)、及び/又は脂血症(L)等の干渉物質の存在を判定するために構成してもよい。
【0038】
幾つかの実施形態では、検体容器102の1つ以上の物理的属性の定量化は、HT、TC、又はキャップの色やキャップの高さを決定する等の特性評価装置130で行ってもよい。検体212の特性が評価され、予備検査基準に合格した後、検体212を前方へ移動させて、1つ以上の分析装置(例えば、第1、第2、及び第3の分析装置106、108、及び/又は110)で分析してもよい。
【0039】
さらに、遠隔ステーション132が搬送路121に直接結合されていないが、1つ以上の遠隔ステーション132を検体検査装置100上に設けることができる。遠隔ステーション132は、溶血レベルのような特定の成分を検査するために使用しても、又は、例えば、1つ以上の追加物により脂血レベルをより低くするため等のさらなる処理のために使用してもよい。他の検査又は処理は、遠隔ステーション132で行ってもよい。例えば、別の特性評価装置130は、遠隔ステーション132に配置してもよい。独立したロボット133(点線で示す)は、検体212を収納した検体容器102を遠隔ステーション132に搬送し、検査/処理後にそれらを戻すことができる。必要に応じて、検体容器102は、手動で取り出して戻してもよい。さらに、幾つかの実施形態では、追加の特性評価装置130、キャップ取外しステーション等の種々の所望の位置で、追加ステーション(図示せず)を搬送路121の周囲に配置することができる。
【0040】
検体検査装置100は、搬送路121の周囲の1つ以上の適切な位置にセンサ116を備えることができる。センサ116は、検体容器102上に貼付された識別情報218i(図2及び3参照)を読み取ることによって、搬送路121に沿った検体容器102の位置、又は各キャリア122上に設けられ、コンピュータ143と情報交換する同様の情報(図示せず)を検出するのに使用することができる。幾つかの実施形態において、バーコード又はRFIDチップをキャリア122上に設けて、例えば、追跡動作を支援することができる。キャリア122の位置を追跡するための他の手段、例えば、近接センサなどを使用してもよい。全てのセンサ116は、各検体容器102の位置を常時知ることができるように、コンピュータ143と接続することができる。
【0041】
検体検査装置100は、コンピュータ143によって制御することができ、コンピュータ143は、適切な記憶及び適当な調節電子機器、ドライバー、並びに種々の計算を実行し、種々の構成要素を動作させるためのソフトウェアを内蔵している。コンピュータ143は、基部120の一部として、又は基部120から分離して収容してもよい。コンピュータ143は、キャリア122の裁荷領域105へ及び裁荷領域105からの移動、搬送路121周辺の移動、遠心分離機125へ及び遠心分離機120からの移動、特性評価装置130へ及びそれからの移動を制御するように動作することができる。コンピュータ143はまた、特性評価装置130の動作を制御することもできる。コンピュータ143又は別のコンピュータは、遠心分離機125の動作、及び各分析装置106、108、110への移動を制御することができる。幾つかの実施形態において、別の統合コンピュータは、各分析装置106、108、110の動作を制御することができる。
【0042】
特性評価装置130を除き、コンピュータ143は、ニューヨーク、タリータウンのシーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティクス社から販売されているディメンション(登録商標)臨床化学分析装置上で使用されるもソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウエア命令又は回路に従って、検体検査装置100を制御することができ、そのような制御は、コンピュータベースの電気機械的制御プログラミングの当業者に一般的であり、本明細書ではそれ以上説明しない。しかしながら、他の適切な装置を使用して、検体検査システム100を制御してもよい。特性評価装置130は、コンピュータ143によって制御してもよいが、本明細書に記載した方法に従って制御される。
【0043】
実施形態は、ユーザが様々な状態及び制御ディスプレイ画面への容易なアクセスする可能にするコンピュータインターフェースモジュール(CIM)145を使用して実施することができる。これらの画面で、検体212の調製及び分析に使用する複数の相互に関係する自動化装置のいくつか又はすべての態様を説明することができる。CIM145は、複数の相互に関連した自動化装置の作動状態に関する情報、並びに任意の検体212の位置、並びに検体212上で実施される、又は検体212上で実施されている検査状態を記述する情報を提供するために使用し得る。従って、CIM145は、操作者と検体検査装置100との間のやり取りを容易にするように適合させることができる。CIM145は、操作者が検体検査装置100とやり取りをするアイコン、スクロールバー、ボックス、及びボタンを含むメニューを表示するように構成された表示画面を有していてもよい。メニューは、検体検査装置100の機能的態様を表示するようにプログラムされた多数の機能ボタンを含んでいてもよい。
【0044】
本明細書に記載したような検体212及び定量化の予備検査は、オーダーされた検査を実施するのに利用可能な血清又は血漿部分212SPの量が不十分であれば、検体212が1つ以上の分析装置106、108、及び110に移動するのを確実に止めることができる。また、好都合なことに、LA及びSB又はSGの物理的な位置を正確に定量化する能力は、空気を吸引する可能性を最小限にするだけでなく、沈降した血液部分212SB又はゲル分離器313のいずれかを吸引する可能性を最小限にする(ゲル分離器313が存在する場合)。従って、分析装置106、108、110又は他のステーションのための血清又は血漿部分212SPを吸引するのに使用する検体吸引ピペットの詰まり及び異物混入を回避又は最小限にすることができる。
【0045】
それでは、図を参照して。4A~4Eは、ハイパースペクトルイメージングを含む特性評価装置130の第1の実施形態の説明をする。特性評価装置130は、検体212(例えば、血清又は血漿部分212SP、沈降血液部分212SB、又はその両方)を自動的に特性評価及び/又は定量化するように構成しても、また/又は検体容器102の幾何学的特徴を定量化してもよい。特性評価装置130によって得られた情報は、検体212のH、I、及び/又はL、及び/又はNの同定を可能にすることもできる。従って、特性評価装置130を使用することで、1つ以上のグリッパーの衝突、ピペットの詰まり、ピペットによる空気吸引を回避し、貴重な分析装置資源が無駄にならないようにHILNを同定し、検査結果の信頼性を向上するのに役立てることができる。
【0046】
ここで、図4A、4D及び4Eを参照すると、ハイパースペクトル画像を含む特性評価装置130の第1の実施形態が示されている。特性評価装置130は、検体212を収納した検体容器102、撮像位置441を照射するように構成された光源450、及び撮像位置441における検体容器102及び検体212の一部のスペクトル分解像を生成・撮像するように構成されたハイパースペクトル画像撮像装置440を備えることができる。
【0047】
光源450は、切替可能な光学素子を含む光パネルアセンブリとして実施することができる。幾つかの実施形態において、光源450は、広帯域光源を含む。例えば、光源450は、複数の光源を含む1つ以上の光パネルアセンブリを備えることができる。光源は、同時に発光し、広帯域光スペクトル又は多帯域スペクトルを放出することができる。ここで、多帯域スペクトルの場合には、多帯域の発光の全てが同時に放出される。
【0048】
幾つかの実施形態において、広帯域光源は、300nm~2000nmの範囲の何処でも広帯域発光を放出することができる。例えば、幾つかの実施形態において、約400nm~750nmの間の発光範囲を有する1つ以上の白色光源を使用することができる。他の例では、近赤外線を放出する広帯域光源(近赤外線(NIR)及び/又は中赤外線(MIR))を使用することができ、例えば、約750nm~2,000nmの範囲でスペクトル出力を放出することができ、ここでNIRは約750nm~約1200nmの波長範囲とみなすことができ、MIRは約1200nm~約2,000nmの波長範囲とみなすことができる。幾つかの実施形態において、白色光及びNIR光の発光の組合せを使用することができる。幾つかの実施形態において、300nm~2000nmのスペクトル範囲内の100nmを超える広帯域スペクトル範囲を使用することができる。
【0049】
さらに、幾つかの実施形態において、300nm~2000nmのスペクトル範囲の離散波長範囲を有する多帯域を使用することができる。例えば、光源450は、300nm~2000nmの範囲内の複数の異なるスペクトルで同時に照射することができる。例えば、複数の異なる離散照明素子から一度に照射することができる。例えば、照明素子460は、複数の公称波長で光スペクトルを発する赤色LED(R)、緑色LED(G)、及び青色LED(B)等の複数の着色LEDであってもよい。光源450は、例えば、634nm+/35nmで赤色光、537nm+/-35nmで緑色、455nm+/-35nmで青色光を同時に照射することができる。特に、光アレイ456L、456Rは、R、G、及びB LEDのクラスタを、光アレイ456L、RGB、RGB等の高さに沿って繰り返し配置される照明素子460として有することができる。例えば、ドイツのレーゲンスブルグのオスラムオプトセミコンダクターズGmbHから入手可能な高出力オスロンSSLモデルLEDを使用することができる。異なる色のLEDは、それぞれ一度に照射することができる。例えば、各LED、又は照明素子460としてのRLED、GLED、BLEDを同時にオンにして、光源450からの多帯域照射を行って、その撮像中に検体212を収納した検体容器102を照射することができる。なお、R、G及びBは単なる例であり、R、G、B、UV、白色光源、NIR(波長範囲約750nm~約1,200nm)、及び/又はMIR(波長範囲約1,200nm~2,000nm)等の任意の組合せのように、300nm~2,000nmのスペクトル範囲において、別個の光素子の他の組合せを同時に照射してもよいことを認識しなければならない。
【0050】
従って、光パネルアセンブリの1つ以上の実施形態は、異なる発光スペクトルを有する少なくとも2つの切替可能な照明素子を含むことができる。幾つかの実施形態において、切替可能なR、G及びB照明素子が提供される。幾つかの実施形態において、切替可能なR、G、B、及び白色の照明素子が設けられる。さらに他の実施形態では、切替可能なR、G、B、及びUV照明素子が設けられる。さらに別の実施形態では、切替可能なR、G、B、及びNIR又はMIR照明素子が設けられる。切替可能なR、G、B、白色光源、UV、NIR、及びMIR照明素子の2つ以上の任意の組合せを、光パネルアセンブリ内に設けることができる。NIRについては、波長850nm+/50nmのLEDを一部の実施形態で使用してもよい。このような実施形態では、切替可能な照明素子の組合せは、導光板454の高さに沿って等量かつほぼ均等に間隔を空けて設けることができる。
【0051】
図4A~4Cを参照すると、ハイパースペクトル画像を含む特性評価装置130は、図示されているように、光源450をアクティブバックドロップとして、すなわち、バックライトから照射するために光パネルアセンブリによって提供し得るものを備えることができる。すなわち、1つ以上の光パネルアセンブリは、ハイパースペクトル画像撮像装置440とは反対の撮像位置441の裏側に位置し、撮像位置441で検体容器102及び検体212をバックライトから照射するように構成されている。
【0052】
光源450は、図4A図4Cに示すような光パネルアセンブリとして実施することができ、ここで、各光パネルアセンブリは、フレーム452、導光板454、及び導光板454に発光し、光源450の前面450からの発光するように構成された光アセンブリ456を備えることができる。例示された実施形態では、光アセンブリ456は、図4Cに最もよく示すように、導光板454の側辺L、R(例えば、側端)に光を放出することができる。光源450は、さらに、拡散板457を備えることができ、ここで、拡散板457の1つのパネル面は、パネル前面450Sとすることができる。保護フィルムは、拡散板457上又はそれと併用して使用することができる。
【0053】
フレーム452は、プラスチック等の硬質材料でできていてもよく、固定取付けロッド455R上に取り付けられるように構成された穴455等の適切な締結構造を備えていてもよい(図4A)。他の適切な取付け機能は、光源450を撮像位置441に対し固定方向に取り付けるために備えることができる。フレーム452は、図示のように、開いた前面及び上面と閉じた後面458B及び下面とを有することができる空洞458を備えることができ、光アセンブリ456、導光板454、及び拡散板457(使用した場合)をそこに収納して配置するように構成してもよい。光アセンブリ456、導光板454、及び拡散板457は、上部から空洞458に挿入され、固定部材459を用いて所定の位置に固定してもよい。フレーム452内の光アセンブリ456、導光板454、及び拡散板457を固定するため他の手段を使用することができる。
【0054】
導光板454は、内部光拡散粒子又は内部光拡散の他の手段を含むプラスチック板によって提供されるような、光拡散能力を有する任意の適切に透明な導光板材料で作られてもよい。1つの適切な材料は、Evonik Industries AG(Essen、Germany)から入手可能な製品であるAcrylite LED(登録商標)EndLightenである。導光板454は、例えば、約60mm~約150mmの幅、約120mm~180mmの高さ、及び約3mm~約5mmの厚さを有する板で構成し得る。他の適切なサイズ及び厚さを使用してもよい。
【0055】
図4A~4Cに例示の実施形態において、導光板454は、光アセンブリ456の光アレイ456L、456R(LEDストリップモジュール)によって、導光板454のバルク材料を通って側面に放出される光を案内し、その中の光拡散粒子との光相互作用により、導光板454の前面454F及び後面454Rに放出することで機能できる。幾つかの実施形態において、導光板454の後表面454Rは、背表面458Bに向かって通過する任意の光透過を反射又は後方散乱し、次いで前表面454Fから放出されるように導光板454のバルク材に戻すために、その上に形成される高反射性材料を含むことができる。必要に応じて、フレーム452の裏面458B上に、又は裏面458Bと導光板454との間の個々の要素として、高反射性材料を設けることができる。高反射性材料は、鏡又は白色プラスチック要素として、又は他のプラスチック又はガラス要素として、例えば、銀、金、クロム、スズ、又はそれらの組合せの金属皮膜を施してコ設けることができる。前面454Fから放出された光は、導光板454の全面にわたって実質的に均一に放射され、撮像位置441で検体容器102及び検体212を照射することができる。
【0056】
光アレイ456L、456Rは、導光板454の側辺L、Rに沿って直線的に配置された個々の光源部材(例えば、発光ダイオード-LED)の線形アレイを有するLEDストリップモジュールであってもよい。光アレイ456L、456Rは、例えば、約8~80個のLEDのような複数のLEDを有することができ、これらのLEDは、コンピュータ143との電気的接続及びコンピュータ143による動作を可能にするために設けられた接続部456Cを備えた回路基板上に配置することができる。光アレイ456L、456Rは、空洞458のそれぞれの側面に沿って設けることができ、各々の発光部分(例えば、LED)が外辺L、Rに直接隣接して設けられ、可能であれば外辺L、Rに接触さえするように構成されている。
【0057】
光アレイ456L、456Rは切替可能であってもよく、すなわち、撮像位置441を照射するために速やかにスイッチをオン及びオフすることができる。照明素子460は、適切な電源及びドライバーと接続したコンピュータ143上で動作可能なソフトウェアによって切り替えることができる。照明素子460は、画像撮像と同時に切り替えてもよい。
【0058】
拡散特性を含む任意選択の拡散板457は、幾つかの実施形態において、ドイツ、エッセンのエボニック社から入手可能なアクリライト(登録商標)サティンスの板として設けることができる。0D010DF無色は良好に機能することが分かった。拡散板457は、例えば、導光板454とほぼ同じ高さ及び幅の寸法を有し、約2mm~約4mmの厚さを有する板でよい。他の寸法を用いてもよい。拡散板457は、それを通過する光を散乱することによって機能することができる。拡散板457と導光板454とは、その間にわずかな隙間を形成して互いに間隔を空けて設けてもよい。隙間は、例えば、約1mm~約5mmの間であってもよく、幾つかの実施形態では約2.4mmであってもよい。これ以外の他の隙間を用いてもよい。
【0059】
特性評価装置130は、搬送路121及び撮像位置441を少なくとも部分的に囲んだり覆ったりできるハウジング446(点線で示す)を備えることができる。ハウジング446は、外部照明の分散を最小限に抑えるために設けられる箱状構造であってもよい。ハウジング446は、キャリア122がハウジング446に出入りすることを可能にするための1つ以上のドア(図示せず)を備えることができる。幾つかの実施形態において、天井は、検体容器102を把持するように適合されたグリッパーを有するロボットによって、検体容器102のキャリア122上の裁荷を可能にする開口を含むことができる。
【0060】
ハイパースペクトル画像撮像装置440を、ここで、図4D及び4Eを参照して詳細に説明する。超音波画像撮像装置440は、検体容器102及び検体212の前面表面FS(図5Aも参照)の画像をスリット開口462の面上に集束させるように構成された光学特性(例えば、焦点長)を有する、凸レンズとして示される第1のレンズ461を備えることができる。第1のレンズ461は、単一レンズとして示されている。しかし、この機能を達成するために、複数のレンズの組合せを含む他のレンズシステムを使用してもよい。スリット開口462は、図4Dに示すような、検体容器102の長さの寸法に一致させた広い寸法Lを有する壁構造のスリット状の開口であり、かつ、図4Eに示すような狭い寸法Wが検体容器102の幅の寸法に一致される。ここで、大きな寸法Lは狭い寸法Wよりもはるかに大きい。限定としてではなく例として、広い寸法Lは約5mm~20mmの間、また、狭い寸法Wは約0.05mm~1mmの間であってもよい。これ以外に他のスリット寸法を使用してもよい。第1のレンズ461の焦点長は、例えば、約5mm~50mmの間でよい。他の適切な焦点長を用いてもよい。このように、スリット開口462から出射する光は、図5Aに示すように、狭い幅の領域(撮像領域-IR)のみを示すものである。スリット開口462のサイズは、検体容器102及び対象検体212の領域の適切なサイズの画像になるように選択することができる。例えば、撮像領域IRの幅は約1mm~5mmの間であってもよく、検体容器102の幅のほぼ中心に位置してもよい。幅領域の寸法は、検体容器102の全体の幅よりも小さい。これ以外に他の適切な幅を用いてもよい。撮像領域IRの長さLは、幾つかの実施形態において、血清又は血漿部分212SPのみを含むことができるが、他の実施形態では、キャップ214の一部又は全部、空気216、血清又は血漿部分212SP、及び沈降血液部分212SBを含む領域の一部又は全部を含むことができる。他の実施形態では、撮像領域IRの長さLは、血清又は血漿部分212SP及び沈降血液部分212SBのみを含むことができる。血清又は血漿部分212SPの位置は、任意の適切な分割法によって決定することができる。
【0061】
ハイパースペクトル画像撮像装置440は、さらに、第2のレンズ463及び第3のレンズ465を含むレンズシステムを備えることができ、これらのレンズの各々は、凹レンズであってもよく、第2のレンズ463は、第1の側面に位置してもよく、第3のレンズ465は、スペクトル分解素子464の第2の側面に位置してもよい。第2のレンズ463及び第3のレンズ465を備えるレンズシステムは、スリット開口462の面の画像をスペクトル画像撮像装置468上に投影するように構成され、動作可能である。このように、第2のレンズ463は、スリット開口462を通過する光をスペクトル分解素子464上に集束させるように動作し、第3のレンズ465は、分散したスペクトル画像をスペクトル画像撮像装置468上に集束させる。これらの機能を達成するために、任意の適切なレンズ又はレンズシステムを使用することができる。
【0062】
スペクトル分解素子464は、そこで受けた入射光を、より広い光スペクトル、すなわち、光スペクトルを構成する波長成分(例えば、色又は他の成分)が(虹のように)連続波長又は離散波長に分離される、スペクトル分散する装置である。
【0063】
第2のレンズ463の焦点長は、例えば、約5mm~50mmの間であってもよい。第3のレンズ465の焦点長さは、例えば、約5mm~50mmの間であってもよい。これ以外に他の焦点長を用いてもよい。
【0064】
スペクトル分解素子464は、例えば、プリズム、回折格子、リニアバンドパスフィルタ等の空間的に変化するフィルタなどでよい。プリズムは、プリズム状のガラス又は他の透明な物体であり、特に、互いに鋭角の屈折面を有する三角形であり、広帯域光を分離するものである(例えば、白色光を色のスペクトルに分離する)。回折格子は周期構造をもつ光学素子であり、光を分割し、回折して、異なる方向に進む幾つかのビームにする。回折格子は、透過性であっても、反射性であってもよい。スリット開口462から通過する光を狭い寸法Wに沿ったそのスペクトル成分に分離するための他の適切な装置を使用することができる。
【0065】
プリズムの場合には、直角又は他の任意のプリズムを用いることができる。プリズムは、例えば、NBK-7ホウケイ酸ガラス、B270クラウンガラス、N-SF1ガラス、又は溶融シリカガラスなどを含むことができる。リニアバンドパスフィルタのような空間的に変化するフィルタの場合、フィルタのある領域は、特定の波長範囲のみを送信/通過するように動作する。従って、フィルタの異なる物理的領域が異なる波長範囲を通過することがあり、その結果、フィルタ上の入射光は、スペクトル画像撮像装置468上に投影されるものよりも多くの離散波長帯域に空間的に分解される。
【0066】
スペクトル画像撮像装置468は、対象スペクトル波長範囲の光を検出することができる、すなわちスペクトル分散光を検出することができる任意の適切な検出器であってもよい。例えば、スペクトル画像撮像装置468は、光検出器、電荷結合素子(CCD)、光検出器アレイ、フォトトランジスタアレイ、フォトダイオードアレイ、1つ以上のCMOSセンサなどであってもよい。分解能は、あらかじめ定義された出力スペクトル分解能に適合するように十分なければならない。例えば、スペクトル画像撮像装置468は、例えば、Z方向(スリット開口462の広い寸法Lに対応する)に約640画素のスペクトル画像サイズ、及びY方向(スリット開口462の狭い寸法Wに対応する)に約480画素のスペクトル画像サイズを生成するのに十分な解像度を有することができる。L/Y寸法における他の画素密度及びサイズ比を使用することができる。特に、L次元に関連する方向におけるスペクトル画像撮像装置468の長さは、Y次元に関連する方向におけるスペクトル画像撮像装置468の幅よりも大きくともよい。さらに、スペクトル画像撮像装置468は、Y次元において少なくとも100ピクセル/インチのスペクトル解像度を有していても、L次元において少なくとも100ピクセル/インチのスペクトル解像度を有していてもよい。スペクトル画像撮像装置468の長さは、例えば、1mm~30mmの間でよい。これ以外の他の大きさを用いてもよい。
【0067】
スペクトル画像撮像装置468は、スペクトル分解画像の撮像画像データをコンピュータ143に通信し、コンピュータ143は、スペクトル画像撮像装置468で受信したスペクトル分解画像のデータを処理し、検体及び/又は検体容器の細分化、及び検体212(例えば、細分化検体)の血清又は血漿部分212SPにおける干渉物質の存在の有無の判定の少なくとも1つを判定するように構成され、動作可能である。
【0068】
スペクトル画像撮像装置468の一例は、図5Bに示されており、検体容器102のZ(高さ)寸法に関連する約640ピクセル単位の分解能と、スペクトル寸法であるY寸法に関連する約480ピクセル単位の分解能とを含むことができる。求められる測定精度の程度によっては、他の単位数も可能である。垂直Z寸法のキャリブレーションは、光学及びZ方向への画像の広がりの量に応じて達成し得る。いずれにしても、必要であれば、キャリブレーションにより、ビジョンシステムとZ次元の検体容器102に沿った実際の物理座標位置との間の直接的な相関が可能となる。
【0069】
超音波画像撮像装置440は、図に示すように、検体容器102及び検体212の画像が単一の側方視点から得られるように、第1のレンズ461、スリット開口462を含む開口アセンブリ、第2のレンズ463、第3のレンズ465、スペクトル分解素子464、及びスペクトル画像撮像装置468など、その様々な構成要素を任意方向に収納し支持するように構成された囲い469を備えることができる。図4Dは、第3のレンズ465及びスペクトル画像撮像装置468が明瞭になるように他の構成要素と平行に示されるようにするための座標ブレーク467を含む。
【0070】
撮像位置441は、検体容器102の予想される位置を含むハウジング446内の位置である。幾つかの実施形態では、検体容器102は、搬送路121上のキャリア122を停止させるか、又はロボット(又は手動)によって検体容器を撮像位置441に配置するなどして、撮像位置441に配置又は停止させることができ、その結果、ハイパースペクトル画像撮像装置440の画像ウィンドウの中心にほぼ位置する。
【0071】
図5A、5B及び図5G図6A及び6Bを用いて、スペクトル画像撮像装置468で受け取ったスペクトル画像データの処理を示す。スペクトル画像撮像装置468上に焦点を合わせた画像は、Y次元でスペクトル分解された画像であるが、依然としてZ次元における検体容器102の高さと空間的に相関している(図5B参照)。撮像領域IR(図5A)は、検体容器102の幅の小さな部分、例えば、その中央付近であってもよいが、検体容器102の全幅よりも小さい。撮像領域IRは、検体容器102の高さ(Z寸法)の少なくとも一部に沿って延び、一部の実施形態ではキャップ214のわずか上方及び/又は管215の底部の下方まで延びることさえある。各垂直位置において、Z次元に沿った画像ユニット570の各行と相関し、画像はY次元でスペクトル対象範囲内にスペクトル分解される。このように、Y次元におけるスペクトルユニット572の一部又は全部が、スペクトル画像撮像装置468で受け取ったスペクトルの全体範囲又は範囲の異なる小さなスペクトル部分で、それぞれそれを受け取る。各スペクトルユニット572で受信されるスペクトル部分は、Y寸法におけるスペクトル画像撮像装置468の分解能に依存し、光源が広帯域であるか多帯域であるかにも依存する。スペクトル分解能は、Y寸法の幅にわたる約100ピクセル単位から1000ピクセル単位の間、及び/又は例えばZ寸法の高さにわたる1000ピクセル単位の間である。他のスペクトル分解能を用いてもよい。
【0072】
対象スペクトル範囲は、幾つかの実施形態において、光源450の発光スペクトルと同じであってもよく、約300nm~2000nmの間であってもよい。しかしながら、白色光を使用する幾つかの実施形態では、放出されるスペクトル範囲、すなわち対象スペクトル範囲は、約400nm~750nmの間であってもよい。計算に使用するZ次元の範囲は、細分化の結果によって異なる。細分化工程は、ハイパースペクトル画像撮像装置440の出力を用いて、又は任意に何らかの他の分割方法によって実行し得る。例えば、幾つかの実施形態において、細分化は、例えばUS9,322,761で教示されているような別の方法を用いて実施することができる。細分化が完了すると、計算に使用されるZ次元の範囲を決定することができる。特に、Z次元における血清又は血漿部分212SP以外の領域と関連するデータを、干渉物質の存在の有無の判定のために無視し得る(例えば、HILNを判定するため)。従って、血清又は血漿部分212SPの上下に撮像領域IRの部分を使用しなくともよい。
【0073】
画像ユニット570に関連する各垂直Z位置において、スペクトル画像撮像装置468で受け取った分解スペクトル範囲にわたるスペクトルユニット572からのスペクトルデータをコンピュータ143に送ることができる。ここで、光を受信するスペクトル画像撮像装置468のY次元(幅)に沿った各スペクトルユニット572は、スペクトル画像撮像装置468で受信したスペクトル範囲の小部分に対応する。
【0074】
ハイパースペクトル画像撮像装置440及び光源450によるバックライトを含む特性評価装置130からの種々の材料のための代表的なスペクトルプロットを図6Aに示す。プロットは、沈降血液部分212SBのための代表的な近似血液スペクトルデータシグネチャ674、ゲル分離器スペクトルデータ675、正常Nである血清又は血漿部分212SPの場合の正常スペクトルデータ677、空気スペクトルデータ678、及びキャップスペクトルデータ680を含む。このように、Z次元における画像単位570の各々について、分解スペクトル範囲にわたる標準化強度I(ノルム)対各波長λの代表的な強度データプロットが得られることがある。このように、各画像に対して、大量のスペクトル情報が撮像される。撮像された画像データは、スペクトル画像撮像装置468によって測定された強度I(ノルム)を各波長で表した後、1.0に標準化することができる。このデータは、関連するZ次元に位置する物質について、対象関波長スペクトルにわたる強さ-反応を提供する。
【0075】
画像ユニット570のそれぞれの垂直列に対して、同様のデータセットを生成することができる。このように、データマトリクスの形態であってもよい複数のデータサブセットが、画像ユニット570の一部又は全部について、強度対波長λの強度を得ることができる。上述したように、データの各サブセットは、スペクトルシグネチャ(例えば、図6Aのプロットのようなデータ)を含み、ここで、各々は、その垂直方向Z位置に関連する特定のクラスの物質を示す。従って、代表的なシグネチャを識別するためにコンピュータ143でデータを処理して、1つ以上の実施形態において、細分化のために使用することができる。本明細書で定義された細分化は、スペクトル分解像のデータを用いて、少なくとも検体212の各クラスの物質、及びおそらく垂直方向Z寸法に沿った検体容器102も決定することである。
【0076】
検体容器102及び/又は検体212の細分化は、任意の適切な分析方法によってZ次元の関数として種々のスペクトル特徴を分析することによって達成することができる。例えば、分類は、一実施形態において、一組のエキストパートルールに基づくことができる。エキストパートルールは、特定の周波数範囲又は範囲、閾値限界、極値(例えば、最小値及び/又は最大値)、又は特定の材料スペクトルシグネチャを示すそれらの周波数範囲又は複数周波数範囲内のみを処理し、調べるための波長フィルタに基づくことができる。エキストパートルールとして、1つ以上の傾き又は他の特性を用いることもできる。
【0077】
例えば、セグメンテーション分析の間、広いZ寸法の撮像領域IRは、撮像位置441にセットされる最も背の高い検体容器102の全高をカバーするのに十分な長さLを有するように選択し得る。再び図6Aを参照すると、スペクトルシグネチャは、上から下に向かって、画像ユニット570に沿って分析し得る。キャップ214は最初に遭遇するであろうが、これはその非常に低い透過率によって認識することができる。例えば、キャップ214のキャップスペクトルデータ680のスペクトルシグネチャを650nmで分析することができ、強度が強度閾値681未満であれば、キャップ214はエキストパートルールによって決定される。画像ユニット570に沿って撮像されたスペクトルデータ内を下方に移動すると、遭遇する次の要素は、空気(検体容器215を通して見られるような空気)であり、これは、空気216のクラスを代表する空気スペクトルデータ678の空気スペクトルシグネチャを含む。これは、例えば、空気閾値最小682に対して450nmでのシグネチャを比較することによって識別し得る。空気閾値最小682を上回る場合、その画像ユニット570は空気216であると決定される。次に液体―界面LAが予想される。従って、種々のHILN条件を例示する図6A又は6Bに示すような関連するスペクトルシグネチャへの変化が存在し得る。正常なNは、任意の形態のエキスパートルールを使用することによって、正常なNであることを示す正常なスペクトルデータ677のスペクトル特徴を同定することによって決定し得る。例えば、二重液体閾値は、例えば、450nm及び550nmで使用することができる。このように、最大液体閾値683が450nmで超えなかった一方で、550nmでは最小閾値684も超えなかった場合には、垂直Z方向の特定の画像ユニット570に対して正規なNの判定を行うことができる。
【0078】
スペクトル中の極値(最小値及び/又は最大値)の位置、又は1つ以上の波長又は波長間でのスペクトルシグネチャの1つ以上の傾きを調べることを含む、他の適切なエキスパートルールを使用することができる。次に予想されるのは、ゲル分離器313又は沈降血液部分212SBのいずれかである。この場合も、専門家の規則を用いて、これらのクラスを決定することができる。例えば、シグネチャの急激な変化は、沈降した血液部分212SBの透過率が非常に低いため、血清又は血漿部分212SPから沈降した血液部分212SBに向かうことが予想できる。従って、傾き及び/又は強度I(ノルム)のいずれかに関する1つ以上の閾値を使用することができる。検体容器102の底部の大部分は、以前の機械空間較正又は機械空間-画像空間較正に基づき、それによってキャリア122内の検体容器102をセットする容器の底部記録表示器122B(図4D参照)の正確な位置を知ることによって、明らかにすることができる。ゲル分離器675の識別は、例えば、傾き又は強度閾値の組合せに基づいて決定し得る。他の種類のエキスパートルールは、各画像ユニット570及びそのサブセットにおけるスペクトルデータを分析することによって、細分化のために使用し得る。
【0079】
スペクトル画像データを使用する細分化のための他の手段は、モデルに基づくアプローチを使用することを含み、ここで、画像ユニット570及びスペクトルユニット572内の各撮像位置の一部又は全部に関する種々のスペクトルデータは、モデルへの入力として供給され、次いで、それは、その細分化を生成する。例えば、一実施形態では、細分化は、本明細書に記載されているように、適切に訓練されたニューラルネットワークを用いて実施することができる。
【0080】
背面照明及びハイパースペクトル画像撮像装置740を設けるように構成された光源450を含む特性評価装置730の別の実施形態を、図7を参照して示し、説明する。特性評価装置730は、スペクトル分解素子764が回折格子であり、反射構成で実施されるのに対し、図4A~4Bの実施形態は透過構成として実施される点を除いて、図4A及び4Bの実施形態と類似している。スペクトル画像撮像装置468で受け取った画像データの処理は、本明細書に記載したものと同じでよい。この場合、スペクトル分解素子764が回折格子であり、スペクトル成分への分離は回折によるものである。
【0081】
光源450は、上述のように構成することができ、導光板454の高さに沿って配置されたLED又は他の適切な照明素子460は、白色光LED又は他の白色光発光素子のような広帯域光源、又は多帯域光要素(例えば、R、G、B)であってよい。スリット開口462は、上述のようにしてもよい。
【0082】
特性評価装置130と同様の特性評価装置830Aの別の実施形態を図8に示す。特性評価装置830Aは、撮像位置441の前面照明によって照射するように構成された複数の光源450A、450Bと、上述のようにハイパースペクトル画像撮像装置440とを含む。スペクトル画像撮像装置468で受け取った画像データの処理は、本明細書に記載するようにしてもよい。一部の構成要素のスペクトル含量は、前面照明の場合とわずかに異なっている。しかしながら、処理は、エキスパートルール、又はスペクトルデータの特定の特徴を認識又はテストするように構成されたモデルに基づく方法によって達成し得る。代替実施形態では、前面照明撮像と組み合わせて透過撮像を行うことができるように、別の光源450Cを特性化装置830Aに含めることができる。
【0083】
図8Aは、複数のハイパースペクトル画像撮像装置430A~C及び撮像位置441の周囲に配置された複数の光源450A、450B、450Cを備えることができるハイパースペクトルイメージングを含む特性評価装置830Bのさらに別の実施形態を示す。3つのハイパースペクトル画像撮像装置430A~430Cは等間隔で配置されているが、3つ以上を使用することができる。この特性評価装置830Bの構成は、ラベル218が血清又は血漿部分212SPの視界を隠すように一方の視点で正面に位置することができる場合、血清又は血漿部分212SPを少なくとも1つの他の側面視点で撮像するためのオープンビューウィンドウがある。ここで、血清又は血漿部分212SPは、完全に見えるか、背面でのみ隠される。各ハイパースペクトル画像撮像装置430A~Cは、図4A、4B、及び図7に示すような、本明細書に記載される実施形態のいずれにおいて教示される構成を有することができる。
【0084】
別の態様によれば、本明細書に記載された特性評価装置(例えば、特性評価装置130、730、830A、830B)のいずれも、検体212の血清又は血漿部分212SPの垂直位置を決定するために、細分化工程に続いて、血清又は血漿部分212SPにおけるHIL等の干渉物質の存在の有無を判定するために使用することができる。図9に示すように、ブロック901において、特性評価装置130、730、830A、830Bの機能的構成要素の概略図900を示し、検体212(例えば、分割検体)を収納した検体容器102が、撮像位置441にセットされる。検体212を収納した検体容器102は、例えば、図4Aに示すように、キャリア122内で直立方向に支持してもよい。キャリア122は、図に示すように、検体検査装置100の搬送路121上を移動するように構成してもよい。
【0085】
ステップ902では、検体212を含む検体容器102の一部(例えば、撮像領域IR -図5A参照)のスペクトル分解画像が、スペクトル画像撮像装置468によって撮像される。必要に応じて、ステップ902Aでは、検体212を収納した検体容器102の非スペクトル画像を、902内のスペクトル分解画像に加えて撮像することができる。これらのいずれかからの画像データは、検体212及び/又は検体容器102の細分化を実行するために、又は細分化ステップ903においてその両方を実行するために使用することができる。特に、細分化ステップ903における細分化の目標は、ステップ907における血清又は血漿部分212SPの垂直位置を決定することである。特に、細分化ステップ903における細分化は、任意の出力として、ステップ904における管-キャップ界面TCを決定することができる。これを用いて、検体容器102の高さを決定することができる。細分化ステップ903における細分化はまた、出力として、ステップ905における液体-空気界面LAを決定することができ、そしてステップ906における血清-血液界面SB又は血清-ゲル界面SGを決定することができる。細分化ステップ903における細分化が完了すると、対象領域をステップ909において分離することができ、これは、血清又は血漿部分212SPのみに対する任意のさらなる分析を分離することができるが、これは、その上限及び下限が現在知られているからである。
【0086】
ステップ910では、ステップ902で得られたスペクトル分解画像データの解析に基づいて、干渉物質の存在の有無を判定することができる。特に、干渉物質は、H、I、及びLの1つ又は複数であり得る。ここで、図6Bを参照して、血清又は血漿部分212SP中のH、I、L、及びNの各2つのレベルのスペクトルシグネチャの例を示す。例えば、比較的低いレベルの透過率を有する高レベルの脂血症Lを示す高脂血症スペクトルデータ685、及び比較的低いレベルの脂血症Lを示し(点線で示す)、比較的高いレベルの透過率を有する低脂血症スペクトルデータ686を図6Bに示す。同様に、比較的低いレベルの透過率を有する黄疸Iの比較的高いレベルを示す高い黄疸スペクトルデータ687と、比較的低いレベルの黄疸I(点線で示す)を示し、比較的高いレベルの透過率を有する黄疸スペクトルデータ688を図6Bに示す。さらに、比較的高いレベルの溶血Hを示し、比較的低いレベルの透過率を有する低溶血スペクトルデータ689、及び比較的低いレベルの溶血Hを示し(点線で示す)、比較的高いレベルの透過率を有する高溶血スペクトルデータ690を図6Bに示す。正常Nである検体212の正常スペクトルデータ677のスペクトルプロットも図6Bに示す。
【0087】
スペクトルシグネチャのいくつかは、検体212が正常なNであるかどうかなど、上述のように、エキストパートルールを用いて同定することができる。同様に、脂肪血Lの存在は専門家のルールを用いて判定してもよい。例えば、あるレベルの脂血症に対しては、強度I(ノルム)及び/又は傾きに基づく1つ以上の閾値、及び/又は1つ以上の波長における極値(最小値、最大値)を使用することができる。
【0088】
他の実施形態では、ステップ910中のH、I、及び/又はLの判定は、適切な機械学習方法によってスペクトルシグネチャを分析することによって行うことができる。機械学習方法は、特性評価装置130、730、830A、830AにおいてH、I、及びLの複数の構成及びレベルの十分な数の注釈付きサンプル(例えば、数百又は数千)が評価され、分類器を形成するために実行される学習段階を含むことができる。
【0089】
アノテーションは、種々の検体条件を有する検体容器102の多数の例において、種々の領域を図式表示することを含むことができる。これは、例示検体を検査することから得られるスペクトル情報と共に、分類器を形成するために学習段階で得られる。分類器は、空気216の位置、ラベル218によって隠された領域、血清又は血漿部分212SPの位置、沈降血液部分212SBの位置、ゲル分離器313の位置(含まれる場合)、及びH、I、L及びNのような干渉物質の種類及びレベルに関する情報を注釈することによって学習することができる。HILを含む検体のレベルの数は、出力として分類器から望まれるだけの増分で提供することができる。従って、背面又は前面にさえもラベル218の異なる配置、血清又は血漿部分212SPの異なるレベル、沈降血部分212SBの異なるレベル、ゲル分離器313の異なる位置、及びHILの異なるインデックスレベルを含む例は、特性評価装置130、730、830A、830Bにおいて検査によって得られるZ次元の関数として強度I(ノルム)対波長情報を含む各々のスペクトル行列とともに学習入力として提供し得る。ホルダー122Hの領域、並びにそれにバーコードが貼付されている領域は無視してよい。
【0090】
例えば、機械学習分析は、ニューラルネットワークに基づくアプローチを含み、ここで、903内の以前の細分化によって決定された血清又は血漿部分212SPを含む検体容器102のスペクトル分解部分のデータが、H、I、及び/又はLのような干渉物質の種類を分類するために、又は検体212が正常なNである場合に、ニューラルネットワークに入力されるデータマトリクスとして提供し得る。ニューラルネットワークはまた、H、I、及び/又はLの1つ以上に関連するインデックス(レベル)を出力することができる。ニューラルネットワークへの入力は、検査される各検体212のためのデータマトリックスとして、血清又は血漿部分212SP入力に関連するユニット570の各々についての波長λの関数として、強度又は透過情報を含むことができる。
【0091】
本明細書に記載された特性評価装置130、730、830A、830Bの各々において、画像撮像は、コンピュータ143によって送られるトリガ信号に応答して起動され、撮像され、コンピュータ143が撮像位置441に位置する信号を受信したときに通信回線で提供し得る。単一画像を撮像してもよく、その画像は、各画像ユニット570におけるスペクトル内容情報を含み、非常に情報密度が高い。
【0092】
図10は、検体容器102及び/又は検体212の特性評価方法のフローチャートを示す。方法1002は、1002において、撮像位置(例えば、撮像位置441)に検体(例えば、検体212)を含む検体容器(例えば、キャップ付き採血管等の検体容器102)を配置することを含む。撮像位置441は、特性評価装置130、730、830A、830Bの内部にあってもよい。検体容器(例えば、検体容器102)は、搬送路(例えば、搬送路121)上に搬送することによって、ロボット(例えば、ロボット124など)によって配置されることによって、又は手動で搬送することによって、画像撮影位置(例えば、画像撮像位置441)に配置してもよい。
【0093】
この方法1000は、ステップ1004内で、撮像位置(例えば、撮像位置441)で画像を撮像するように構成されたハイパースペクトル画像撮像装置(例えば、ハイパースペクトル画像撮像装置440、740)を備える。方法1000は、ステップ1006において、撮像位置441を照射するように構成された1つ以上の光源(例えば、光パネルアセンブリ450、450A、450B)を設けることを含む。図4A~4Bに示すような背面照明、又は図8Aに示すような前面照明、又はそれらの組合せによって照射することができる。また、照明は、広帯域照明とすることができ、約300nm~2000nmの範囲の1つ以上の部分範囲を含むことができる。幾つかの実施形態において、複数の光源を組み合わせて使用することができる(例えば、白色光源、NIR、及び/又はMIR)。1つの実施形態において、白色光源(例えば、400nm~750nm)によって照射し得る。少なくとも100nmに及ぶ他の広帯域スペクトル照射範囲を用いることができる。これ以外にさらなる多帯域光源を使用してもよい。
【0094】
方法1000は、1010内で、検体容器102及び検体212の一部(例えば、撮像領域-IR)のスペクトル分解画像をハイパースペクトル画像撮像装置で撮像し、1012内で、スペクトル分解画像を処理して、検体及び/又は検体容器の細分化、及びHIL等の干渉物質の存在の有無の少なくとも1つを決定する。撮像領域IRは、検体容器102の全体的な幅のわずかな部分であるY寸法の幅を有する小さな領域であってもよい。さらに、撮像領域IRの長さLは、少なくとも血清及び血漿部分212SP、並びに沈降血液部分の少なくとも一部を包含することができる。
【0095】
図1には、特性評価装置130は、予備検査した特性が遠心分離後直ちに実施されるように配置されている様子が示されているが、特性評価装置(例えば、特性評価装置130、730、830A、830B)を用いて、分析装置(例えば、分析装置106、108、及び/又は110)上で直接、又は検体検査装置100の他の場所で、このHILNの予備検査を含めることが有利かもしれない。さらに、幾つかの実施形態では、特性評価装置130、730、830A、830Bが裁荷領域105に位置するように、裁荷領域105にラック104を裁荷する前に遠心分離をすることができ、検体容器102がキャリア122上に裁荷されるとすぐに予備検査を実施することができる。
【0096】
本開示は、様々な変更及び代替形態が可能であるが、特定のシステム及び装置の実施形態及びその方法は、図面の例として示されており、本明細書で詳細に説明してきた。しかしながら、本発明を開示した特定の装置、システム、又は方法に限定することを意図しておらず、それと反対に、本明細書の範囲内にある全ての変更、均等物、及び代替形態の網羅を意図することは理解すべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10