IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヒーリー,エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】超高容量性能電池セルの構築物
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20220413BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20220413BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20220413BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/48
H01M4/13
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020516547
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 US2018052286
(87)【国際公開番号】W WO2019060773
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】62/562,253
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518172439
【氏名又は名称】ヒーリー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ペイジ・エル
(72)【発明者】
【氏名】フリートウッド,ジェームズ・ディーン
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/087404(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用電極を形成する方法であって、
ナノ粒子サイズの金属酸化物の懸濁液を調製すること、
懸濁液を集電体表面に噴霧し、噴霧懸濁液を硬化させて、第1の活物質層を生成すること、ここで硬化後に、ナノ粒子サイズの金属酸化物が、第1の活物質層の20~40重量%である、および
第1の活物質層に隣接して、20重量%~40重量%の範囲のカーボンナノ粒子を含有する第1の導電性カーボン層を設けること
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの導電性カーボン層を設ける工程が、活物質層の上に導電性カーボン層を噴霧することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の導電性カーボン層に隣接して第2の活物質層を設けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2の活物質層を設ける工程が、第1の導電性カーボン層の上に懸濁液を噴霧して、第2の活物質層を生成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
硬化後に、ナノ粒子サイズの金属酸化物が、活物質層の20~25重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
硬化後に、ナノ粒子サイズの金属酸化物が、活物質層の21重量%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ナノ粒子が実質的に単分散となるよう、ナノ粒子サイズの金属酸化物の懸濁液を調製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
金属酸化物が酸性化される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
金属酸化物が酸性化されない、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
金属酸化物が、少なくとも4000mAhr/gのリチウム化容量をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
懸濁液を噴霧して、10μm厚未満の厚さを有する第1の活物質層を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
懸濁液を噴霧して、少なくとも50%の多孔度を有する第1の活物質層を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
電池用電極を形成する方法であって、
それぞれが20~40重量%の金属酸化物ナノ粒子を含有する、複数の活物質層を形成すること、および
複数の活物質層のうちの少なくとも2つの間に少なくとも1つの導電性カーボン層を形成することを含み、
複数の活物質層のうち少なくとも1つが、表面に金属酸化物の懸濁液を噴霧し、噴霧懸濁液を硬化させることにより形成される、方法。
【請求項14】
複数の活物質層がそれぞれ、表面に金属酸化物ナノ粒子の懸濁液を噴霧し、噴霧懸濁液を硬化させることにより形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
複数の活物質層のうち少なくとも1つが、噴霧により形成されない、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
金属酸化物ナノ粒子の懸濁液を調製して、酸性金属酸化物ナノ粒子を含有させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
酸性金属酸化物ナノ粒子が、乾燥の後に5重量%で水中に再懸濁させると、0~7の間のpHを有しており、かつ少なくともナノ粒子の表面において、-12より大きなハメット関数Hを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
酸性金属酸化物ナノ粒子が酸化スズを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
表面に金属酸化物の懸濁液を噴霧し、噴霧懸濁液を硬化させることが、1nm~100μmの液滴サイズを有する金属酸化物の懸濁液を噴霧するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
0.01~10mg/cmの固形分を含有するよう、懸濁液を調製することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連事例の相互参照
本出願は、2017年9月22日に出願の米国仮特許出願第62/562,253号の利益を主張するものであり、この点において完全に説明されているかのごとく、この仮特許出願を参照により本開示に組み込むものとする。
【0002】
本発明は、以下に限定されないが、電池などの化学的エネルギー貯蔵および出力デバイスに有用な材料の分野にある。より詳細には、本発明は、噴霧法によって少なくとも部分的に構築された電極を備える電池セルに関する。噴霧構築電極は、酸性化金属酸化物(「AMO」)ナノ材料を含み得る、金属酸化物ナノ材料を含むことができる。このようなAMO材料が、本明細書に記載される。一部の実施形態では、リチウムアノードが、噴霧構築カソードと共に利用され得る。一部の実施形態では、リチウムアノードは、リチウムからなるか、またはリチウムから実質的になる。
【背景技術】
【0003】
金属酸化物は、一般式Mを有する、酸素が金属に結合した化合物である。これらの金属酸化物は、天然に見いだされるが、人工的に合成することもできる。合成金属酸化物では、合成方法は、その酸/塩基特徴を含めた、表面の性質に幅広く影響を及ぼし得る。表面の性質の変化により、酸化物の特性が改変されて、その触媒活性および電子移動度などのものに影響を及ぼす。しかし、表面が反応性を制御する機構は、必ずしも十分に特徴付けられておらず、理解もされていない。光触媒作用では、例えば、表面ヒドロキシル基は、伝導バンドから化学吸着した酸素分子への電子移動を促進すると考えられている。
【0004】
表面特徴が重要であるにも関わらず、金属酸化物に関する文献は、科学論文および特許のどちらも、エネルギー貯蔵および電源用途の改善を行うために、新規なナノスケールの結晶形態にある金属酸化物を創製することに多大な努力が向けられている。金属酸化物表面の特徴には目も向けられず、化学的触媒作用に関する文献以外では、既知の金属酸化物の表面を制御または改変して、性能目標を実現することを指向した革新的技術はほとんどない。
【0005】
化学的触媒作用に関する文献は、炭化水素のクラッキングなどの大規模反応に使用されることが多い、純粋な硫酸(18.4M HSO)の酸性度よりも高い酸性度である「超酸」の創製に多大な努力が払われている。超酸性度は、従来のpHスケールでは測定され得ず、代わりに、ハメット数によって定量される。ハメット数(H)は、pHスケールを0未満の負の数にまで拡張したものとして考えることができる。純粋な硫酸は、-12となるHを有する。
【0006】
しかし、超酸性度が高すぎる、多数の反応系および多数の用途が存在する。例えば、超酸性は、系の構成成分を分解して、望ましくない副反応を触媒する恐れがある。しかし、酸性は、これらの同じ用途において、反応性および速度特徴の増大、または電子移動度の改善をもたらすよう依然として有用となり得る。
【0007】
電池に関する文献は、電池には、酸性基が有害であることを教示しており、酸性基は、金属製集電体および筐体を腐食することがあり、他の電極構成成分の劣化を引き起こす可能性がある。さらに、先行技術は、活性な触媒電極表面は、電解質の分解をもたらし、この分解は、セル内部にガスを発生させて、最終的にセルの不具合をもたらす恐れがあると教示している。
【0008】
酸性ではあるが、少なくともその表面は超酸性ではない合成金属酸化物を有する実装電池が必要とされている。
【0009】
SnOの報告されている最初のサイクルの充電および放電の最高容量は、それぞれ、2358mAh/gおよび1303mAh/gであった。 SnOナノ粒子は、この粒子が中空空間内部に球体として配列している二次構造である中間層に配列していた。他の論文は、サイズが10nm未満のSnOナノ粒子を報告した。6~10nmのサイズのナノ粒子の場合、J.Chenは、100回の充電/放電サイクル後に、631mAh/gの容量となることを報告した。 Kimは、3nm SnOのナノ粒子の場合、740mAh/gの容量となることを報告している。 ナノフラワーおよびナノロッド5-6などの高容量を有する他の幾何形状のいくつかが文献に報告された。これらの幾何形状の報告された最高容量は、アンチモンがドープされたナノロッドであった。 Sbドープしたナノロッドは、それぞれ、最初のサイクルで、1213mAh/gおよび1128mAh/gとなる充電/放電容量を有した。
【0010】
多孔質c-Siの場合のケイ素をベースとする材料において報告されたリチウム化(lithiation)容量は、2800mAh/gにおけるものであり、これは、100サイクルにわたり、99%の容量を保持した。 Si/G NPの最初のサイクルは、3200mAh/gであり、150サイクルにわたり、その理論容量の83%を維持した。
鉄をベースとする材料の報告されている最初のサイクルの充電は、1426mAh/gの容量を有する、多孔質酸化鉄のリボンであった。それらのリボンは、130サイクル後に1000mAh/gを維持した。
参照文献
1. Deng, D.; Lee, J. Y., Hollow Core-Shell Mesospheres of Crystalline SnO2 Nanoparticle Aggregates for High Capacity Li+ Ion Storage. Chemistry of Materials 2008, 20 (5), 1841-1846.
2. Chen, Y.-C.; Chen, J.-M.; Huang, Y.-H.; Lee, Y.-R.; Shih, H. C., Size effect of tin oxide nanoparticles on high capacity lithium battery anode materials. Surface and Coatings Technology 2007, 202 (4-7), 1313-1318.
3. Kim, C.; Noh, M.; Choi, M.; Cho, J.; Park, B., Critical Size of a Nano SnO2 Electrode for Li-Secondary Battery. Chemistry of Materials 2005, 17 (12), 3297-3301.
4. Ning, J.; Dai, Q.; Jiang, T.; Men, K.; Liu, D.; Xiao, N.; Li, C.; Li, D.; Liu, B.; Zou, B.; Zou, G.; Yu, W. W., Facile Synthesis of Tin Oxide Nanoflowers: A Potential High-Capacity Lithium-Ion-Storage Material. Langmuir 2009, 25 (3), 1818-1821.
5. Wu, F. D.; Wu, M.; Wang, Y., Antimony-doped tin oxide nanotubes for high capacity lithium storage. Electrochemistry Communications 2011, 13 (5), 433-436.
6. Wang, Y.; Lee, J. Y., Molten Salt Synthesis of Tin Oxide Nanorods: Morphological and Electrochemical Features. The Journal of Physical Chemistry B 2004, 108 (46), 17832-17837.
7. Huajun Tiana., Fengxia Xina, Xiaoliang Wanga, 1, Wei Hea, Weiqiang Han., High capacity group-IV elements (Si, Ge, Sn) based anodes for lithium-ion batteries 2015, 1 (3) 153-169.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352847815000477
8. Shubin Yang, Yi Sun, Long Chen, Yenny Hernandez, Xinliang Feng & Klaus Mullen., Porous Iron Oxide Ribbons Grown on Graphene for High-Performance Lithium Storage
https://www.nature.com/articles/srep00427.
9. Graphene Science Handbook: Electrical and Optical Properties.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、電池用電極材料などの電池におけるものを含め、触媒として、光起電力構成成分または光活性構成成分、およびセンサーとしての、酸性化金属酸化物(「AMO」)に対応する材料、およびAMOを使用する用途を記載する。AMO、およびAMOを含むデバイスを調製する技法がさらに開示される。開示されるAMOは、任意に酸性化学種と組み合わせて使用され、その利用性を高める。
【0012】
本出願は、金属酸化物を含む電極を含む、高容量電気化学セルをさらに記載する。金属酸化物、および金属酸化物を含む電化学セルを調製する技法がさらに開示される。任意に、開示される金属酸化物は、導電性材料と共に使用されて、電極を形成する。形成された電極は、対応する対電極として、金属リチウム電極および従来のリチウムイオン電極に有用である。開示される金属酸化物は、任意に酸性化学種と組み合わせて使用され、その利用性を高める。
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、活物質(すなわち、金属酸化物)の添加量が少ない層化電極構築物を提供する。一部の場合、80重量%の活物質が電極に利用される。これは、活物質の添加量を最大化するよう試みられたものであり、約80重量%以上、例えば、90%または95%または99%となり得る従来の電気化学セルの技術と対照的である。活物質の添加量が多いことは、従来の電気化学セル技術では、容量の向上に有用となり得るが、本出願の発明者らは、活物質の添加量を減量しても、本開示による様々な実施形態を用いて、一層高いセル容量が実際に可能となることを見いだした。活物質の添加レベルがより少ないと、追加的な物理体積を利用することが可能となり得るので、シャトルイオン(すなわち、リチウムイオン)の取り込み量を多くすることが可能になることによって、このような容量の向上が少なくとも部分的に実現され得る。このような容量の向上は、シャトルイオンの取り込みのための活性部位を一層多くすることを可能にし、さらなる材料塊によって活性部位がそれほど遮断されないことによって、代替としてまたは追加的に、少なくとも部分的に実現され得る。
【0014】
記載されるAMOは、単分散され得る、または実質的に分散され得るナノ微粒子形態であって、例えば、100nm未満の粒子サイズを有するナノ微粒子形態などのナノ材料の形態にあるものを含む。開示されているAMOは、特定の濃度(例えば、5重量%)における場合などにおいて、水中に懸濁させると、または乾燥後に水中に再懸濁させると、7未満(例えば、0~7の間)などの低いpHを示し、少なくともAMOの表面において、-12より高いハメット関数H(すなわち、超酸性ではない)をさらに示す。
【0015】
AMOの表面は、酸性化学種または他の電子吸引性化学種などによって、任意に官能化され得る。合成および表面官能化は、金属酸化物の表面が、金属酸化物が適切な前駆体から合成される際に官能化される、「単ポット」水熱法で行われ得る。一部の実施形態では、この単ポット法は、金属酸化物自体を合成するために必要な工程よりも多くなる、酸性化のための追加の工程(単数または複数)をなんら必要とせず、所望の表面酸性度(超酸性ではない)を有するAMO材料をもたらす。
【0016】
任意に、表面官能化は、SO、POまたはハロゲン(Br、Clなど)などの強力な電子吸引基(「EWG」)を単独で、または互いにいくつかを組み合わせるかのどちらか一方で使用して行われる。表面官能化はまた、SO、POまたはハロゲンよりも弱いEWGを使用して行うこともできる。例えば、合成された金属酸化物は、酢酸イオン(CHCOO)、シュウ酸イオン(C)およびクエン酸イオン(C)基により表面官能化されてもよい。
【0017】
酸性化学種は、金属製集電体および筐体を腐食して、他の電極構成成分の劣化を引き起こす恐れがある、ならびに活性な触媒電極表面は、電解質の分解、セル内部でのガスの発生をもたらし、最終的にセルの不具合をもたらす恐れがあるので、酸性化学種は、電池に望ましくないということが従来の認識であるにも関わらず、本発明者らは、酸性化学種および構成成分が、電池用電極にAMO材料を使用する電池に有利となり得ることを発見した。
【0018】
例えば、AMOと酸性化学種とを組み合わせること、またはこれらを一緒に使用することにより、得られた材料、系またはデバイスの性能が向上し、デバイスの容量、サイクル性および寿命の改善をもたらすことができる。一例として、AMO材料を酸性電解質または本明細書に記載されている酸性化学種を含有する電解質と組み合わせて使用した電池は、最大で100mAh/gまたはそれより高いなど、または非酸性化電解質または酸性化学種のない電解質を用いた類似電池よりも高い、大きな容量増加を示す。一部の実施形態では、50~300mAh/gの間の容量改善が実現され得る。さらに、酸性電解質または酸性化学種を含む電解質を有する電池を使用すると、最大で1000mAh/gまたはそれより高い絶対容量が実現可能である。さらに、電池のサイクル寿命が最大で100回、またはそれより多い充電-放電サイクルまで延長されるなどの、電池のサイクル寿命が、酸性電解質または酸性化学種を含有する電解質の使用により改善され得る。
【0019】
例となる電池セルは、金属酸化物(任意に、AMOナノ材料)、導電性材料およびバインダを含む第1の電極などの第1の電極、金属リチウムを含む第2の電極などの第2の電極、および第1の電極と第2の電極との間に位置する電解質を備える。任意に、金属酸化物は、第1の電極の80重量%未満を構成する。例となる電解質は、溶媒に溶解した金属塩、固体電解質およびケル状電解質を含むものを含む。任意に、セパレータは、第1の電極と第2の電極との間に位置する。
【0020】
追加的にまたは代替として、それ自体が酸性であるかもしくは有機酸などの酸性化学種を含むカソードまたはアノードなどの電極を含む電池も有益となり得、電池技術における従来的な教示とはやはり対照的となり得る。例えば、酸性電極または電極内に酸性化学種を組み込んだ電池は、特に、AMO材料を含む電極に使用される場合、性能を向上し、容量、サイクル性および寿命の改善をもたらすことができる。最大で100mAh/gまたはそれより高い容量増加が実現可能である。電池のサイクル寿命が最大で100回またはそれより多いサイクルに延長される場合などの、電池のサイクル寿命も、酸性電極または酸性化学種を含有する電極の使用により改善され得る。例として、酸性電極または酸性化学種を含む電極は、電極の構成成分を5重量%で水中に懸濁させると(または、乾燥後に水中に再懸濁させると)、7未満のpH(しかし、超酸性ではない)を示し得る。
【0021】
本開示に対応する電極は、導電性材料を含む第1の組の層、および酸性化金属酸化物(AMO)ナノ材料などの金属酸化物を含む第2の組の層を含む、層化構造体を含んでもよい。任意に、第1の組の層と第2の組の層は、交互構成で設けられてもよい。任意に、第1の組の層と第2の組の層は、独立して、1~20の間の層を含む。任意に、第1の組の層および第2の組の層は、1μm~50μmの間、2μm~25μmの間、3μm~20μmの間、4μm~15μmの間、または5μm~10μmの間の厚さを独立して有する。任意に、金属酸化物は、第2の組の層の、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85または90重量%などの5~90重量%を構成する。任意に、導電性材料およびバインダはそれぞれ、第1の組の層の、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85または90重量%などの5~90重量%を独立して構成する。
【0022】
第1の電極は、第1の電極の最大で95重量%、第1の電極の最大で80重量%、第1の電極の最大で70重量%、第1の電極の1~50重量%の間、第1の電極の1~33重量%の間、第1の電極の15~25重量%の間、第1の電極の55~70重量%の間、第1の電極の20~35重量%の間、第1の電極の5~15重量%の間となる金属酸化物を任意に含む。第1の電極に関する金属酸化物の重量%の具体例としては、1%、5%、11%、12%、13%、14%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、60%、61%、62%、63%、64%、65%などが挙げられる。任意に、導電性材料およびバインダは、それぞれ独立して、第1の電極の残りの大部分を構成する。例えば、導電性材料およびバインダは、それぞれ独立して、第1の電極の10~74重量%の間を構成する。任意に、導電性材料およびバインダは、それぞれ一緒にして、第1の電極の20~90重量%の間を構成する。任意に、AMOナノ材料が、1~10重量%のドーパントとして、グラファイト、コバルト酸リチウムなどの従来のリチウムイオン電極に添加される。
【0023】
様々な材料が、本明細書に記載されている電極に有用である。例となる金属酸化物としては、以下に限定されないが、リチウム含有酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ビスマス、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。任意に、これらの酸化物は、AMOの形態にある。本明細書に記載されている通り、金属酸化物は、Cl、Br、BO、SO、PO、NO、CHCOO、C、C、CまたはCから選択される1つまたは複数の電子吸引基により官能化された表面を任意に含む、および/または任意に上記の表面となる。例となる導電性材料は、グラファイト、導電性カーボン、カーボンブラック、ケッチェンブラック、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSSコンポジット、ポリアニリン(PANI)もしくはポリピロール(PPY)などの導電性ポリマーのうちの1つまたは複数を含む。
【0024】
一部の実施形態では、AMOナノ材料を含む電極は、他の電極と一緒に使用されて、セルを形成する。例えば、このようなセルの第2の電極は、グラファイト、金属リチウム、ナトリウム金属、コバルト酸リチウム、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リン酸鉄リチウム、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)、AMOナノ材料、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。具体的な実施形態では、第1の電極は、SnOのAMOを含み、第2の電極は金属リチウムを含む。
【0025】
様々な材料が、本明細書に記載されている電極に有用である。例となる金属酸化物としては、以下に限定されないが、リチウム含有酸化物、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ビスマス、またはこれらの任意の組合せが挙げられる。任意に、これらの酸化物は、AMOの形態にある。本明細書に記載されている通り、金属酸化物は、Cl、Br、BO、SO、PO、NO、CHCOO、C、C、CまたはCから選択される1つまたは複数の電子吸引基により官能化された表面を任意に含む、および/または任意に、上記の表面となる。例となる導電性材料は、グラファイト、導電性カーボン、カーボンブラック、ケッチェンブラック、またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSSコンポジット、ポリアニリン(PANI)もしくはポリピロール(PPY)などの導電性ポリマーのうちの1つまたは複数を含む。
【0026】
様々な実施形態では、高容量電池セルは、酸性化金属酸化物(AMO)ナノ材料、導電性材料およびバインダを含む第1の電極、第2の電極、ならびに第1の電極と第2の電極との間に位置する電解質を備え、AMOナノ材料は、第1の電極の第1の電極と第2の電極との間に位置する電解を備え、AMOナノ材料は、第1の電極の5~15重量%、20~35重量%または55~70重量%を構成し、AMOナノ材料は、0~15重量%の酸化鉄、および85~100重量%の酸化スズを含み、AMOナノ粒子材料は、1つまたは複数の電子吸引基により官能化された表面を含む、および/または上記の表面となり、導電性材料は、グラファイト、導電性カーボン、カーボンブラック、ケッチェンブラック、およびポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSSコンポジット、ポリアニリン(PANI)またはポリピロール(PPY)などの導電性ポリマーのうちの1つまたは複数を含み、第2の電極は金属リチウムを備えるかまたはこれを含む。このような高容量電池セルは、不具合なしに、100~1000の充電-放電サイクルとなる寿命サイクル、および組み立て時に2V~4Vの間の開回路電圧を示すことができる。任意に、第1の電極は、第1の組の層および第2の組の層が交互構成で設けられているなどの、第1の組の層である導電性材料、およびAMOナノ材料を含む第2の組の層を含む層化構造体を含み、第1の組の層が1~20の間の層を含み、第2の組の層が1~20の間の層を含み、第1の組の層および第2の組の層は、1μm~50μmの間の厚さを独立して有しており、AMOナノ材料は、第2の組の層の5~70重量%の間を構成する。
【0027】
さらなる例として、電極がスラリーを使用して形成された電池も有益となり、電池技術における従来の教示と対照的となり得る。本明細書に記載されている通り、AMO材料は、AMO材料とバインダ化合物、溶媒、添加剤(例えば、導電性添加剤または酸性添加剤)および/または他の湿式加工用物質のうちの1種または複数とのスラリーを最初に形成させることにより、電池用電極に任意に形成され得る。スラリーは、電極を形成させるために、導電性材料または集電体表面に堆積させてもよい。このようなスラリーおよび/または溶媒は、任意に、酸性であってもよく、または酸性化学種を含んでもよく、得られた電池の容量、サイクル性および寿命の改善をやはり可能にする。任意に、溶媒のすべてまたは一部が蒸発されて、AMO材料、バインダ、添加剤などを後に残すことができる。得られた材料は、例えば5重量%で水中に懸濁させた(または、乾燥後に水中に再懸濁させた)場合、7未満のpHを有する(しかし、超酸性ではない)などのそれ自体が酸性を任意に示すことがある。
【0028】
金属酸化物を作製するために、様々な技法が使用されてもよい。任意に、金属酸化物を作製するステップは、金属塩、エタノールおよび水を含む溶液を形成するステップ、この溶液に酸を添加することにより溶液を酸性にするステップ、この溶液に塩基水溶液を添加することにより溶液を塩基性にするステップ、溶液からの沈殿物を採集するステップ、沈殿物を洗浄するステップ、および沈殿物を乾燥するステップを含む。
【0029】
任意に、電極を作製するステップは、電極層の上に、第2の導電性材料を含む導電性層などの、さらなる導電性層を堆積するステップをさらに含む。任意に、導電性層を堆積するステップは、第2の導電性材料、第2のバインダおよび第2の溶媒を使用して導電性スラリーを形成するステップ、導電性スラリー層を電極層表面に堆積するステップ、および第2の溶媒の少なくとも一部を蒸発させて、導電性層を形成するステップを含む。任意に、電極を作製するステップは、導電性材料を含む1~20のさらなる導電性層、および金属酸化物を含む1~20の追加の電極層を形成させるステップを含む。例えば、電極は、第1の組の層および第2の組の層が交互構成で設けられているなどの、第2の導電性材料を含む第1の組の層、および金属酸化物を含む第2の組の層を含む層化構造体を含んでもよい。例となる層は、1μm~50μmの間の厚さを独立して有する層を含む。例となる層は、10~90重量%の間の金属酸化物を含む層を含む。例となる層は、5~85重量%の間の導電性材料および/またはバインダを独立して含む層を含む。
【0030】
この態様の方法を使用して形成された電極は、最大で80重量%の金属酸化物含有率を有することができる。この態様の方法を使用して形成された電極は、電極の10~70重量%の間の導電性材料および/またはバインダ含有率を有することができる。
【0031】
上記の通り、酸性化学種が、添加剤として、電極または電解質などの電池の構成成分のいずれかに任意に含まれていてもよい。任意に、AMOを含む電池は、酸性化学種が溶媒中に溶解している、電極間に位置する電解質を含んでもよい。このような電解質または、酸性化電解質と本明細書では呼ばれることもある。電解質は、溶媒に溶解した、LiPF、LiAsF、LiClO、LiBF、LiCFSOおよびこれらの組合せなどの1種または複数のリチウム塩を任意に含んでもよい。電解質は、電極を隔離する空間(すなわち、両電極間)に位置することができるだけではなく、電極の細孔に浸透して通過するもしくは細孔内へと浸透することができる、および/あるいはセパレータなどの電極間に任意に位置する任意の物質もしくは構造体の細孔に浸透して通過する、または細孔内へと浸透することができることが理解されよう。
【0032】
本明細書に記載されているAMO、電極および電解質に有用な例となる酸性化学種には、以下に限定されないが、カルボン酸などの有機酸が含まれる。例となる酸性化学種は、水中で、-10~7の間、-5~6の間、1~6の間、1.2~5.6の間、または約4のpkaを示す酸性化学種を含む。具体例となる有機酸には、例えば、シュウ酸、炭酸、クエン酸、マレイン酸、メチルマロン酸、ギ酸、グルタル酸、コハク酸、メチルコハク酸、メチレンコハク酸、シトラコン酸、酢酸、安息香酸が含まれる。例となる、有機酸は、
【0033】
【化1】
(式中、Rは、置換もしくは無置換アルキル基、置換もしくは無置換アルケニル基、置換もしくは無置換芳香族または複素芳香族などの置換または無置換のC1~C20炭化水素、置換もしくは無置換アミンなどである)である式を有するものなどの、ジカルボン酸を含む。例となる、有機酸はまた、
【0034】
【化2】
(式中、Lは、置換もしくは無置換アルキレン基、置換もしくは無置換アリーレン基、置換もしくは無置換ヘテロアリーレン基などの置換または無置換の二価C1~C20炭化水素、置換もしくは無置換アミンなどである)の式を有するものを含む。有機酸は、
【0035】
【化3】
(式中、RおよびRは、独立して、置換もしくは無置換アルキル基、置換もしくは無置換アルケニル基、置換もしくは無置換芳香族または複素芳香族基などの置換または無置換C1~C20炭化水素、置換もしくは無置換アミンなどである)の式を有するものなどの有機酸無水物を含む。任意に、RおよびRは、環を形成することができる。例となる有機酸無水物は、上記の有機酸の無水物のいずれかを含む。具体的な有機酸無水物には、以下に限定されないが、グルタル酸無水物、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸およびイタコン酸無水物が含まれる。
【0036】
電解質とAMO電極のどちらか一方またはそれらの両方における酸性化学種の有用な濃度は、0重量%~10重量%、0.01重量%~10重量%、0.1重量%~10重量%、1重量%~5重量%または3重量%~5重量%を含む。
【0037】
有用な溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、フルオロエチレンカーボネートおよびそれらの混合物などのリチウムイオン電池系に使用されるものを含む。他の有用な溶媒は、当業者に認識されているであろう。任意に、酸性化学種および金属塩が、電解質を形成する溶媒に溶解される場合、電解質これ自体が、酸性状態(すなわち、pHが7未満である)を示す。
【0038】
本明細書に記載されている電池および電極に有用な例となるバインダには、スチレンブタジエンコポリマー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアミドイミド(PAI)、およびこれらの任意の組合せが含まれる。任意に、導電性ポリマーは、バインダとして有用になることがある。
【0039】
本明細書に記載されているAMOおよび電極に有用な他の例となる添加剤には、以下に限定されないが、導電性添加剤が含まれる。例となる導電性添加剤は、グラファイト、導電性カーボン、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ならびにポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、スルホン酸ポリスチレン(PSS)、PEDOT:PSSコンポジット、ポリアニリン(PANI)およびポリピロール(PPY)などの導電性ポリマーを含む。導電性添加剤は、例えば、0超、および35重量%、40重量%またはそれ超という高い重量%などの任意の好適な濃度で、電極中に存在することができる。任意に、導電性添加剤は、1重量%~95重量%、1重量%~35重量%、1重量%~25重量%、5重量%~40重量%、10重量%~40重量%、15重量%~40重量%、20重量%~40重量%、25重量%~40重量%、30重量%~40重量%、35重量%~40重量%、40重量%~45重量%、40重量%~50重量%、40重量%~55重量%、40重量%~60重量%、40重量%~65重量%、40重量%~70重量%、40重量%~75重量%、40重量%~80重量%、40重量%~85重量%、40重量%~90重量%、または40重量%~95重量%の範囲で、電極中に存在する。
【0040】
電池を作製する方法も、本明細書に記載される。電池を作製する例となる方法は、AMOナノ材料を作製するステップと、AMOナノ材料からなるまたはこれを含む第1の電極を形成するステップと、溶媒に1種または複数の金属塩を溶解させることにより電解質を形成するステップと、第1の電極と第2の電極の間に電解質を配置するステップとを含む。電池を作製する別の例となる方法は、AMOナノ材料を作製するステップと、AMOナノ材料および1種または複数の金属塩からなるまたはこれを含む第1の電極を形成するステップと、第1の電極と第2の電極の間に電解質を配置するステップとを含む。
【0041】
電池に使用するための電解質も、本明細書において開示される。例えば、開示されている電解質は、酸性化金属酸化物(AMO)ナノ材料を含む第1の電極などの、第1の電極および第2の電極を備える電池に有用である。例となる電解質は、溶媒、および溶媒に溶解した1種または複数の金属塩を含む。任意に、1種または複数の金属塩とは異なる、酸性化学種などの酸性化学種が、溶媒に溶解している。
【0042】
上記の通り、様々な酸性化学種が、有機酸および/または有機酸無水物を含む酸性化学種などの開示されている電解質に有用である。例となる有機酸には、以下に限定されないが、シュウ酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、メチルマロン酸、グルタル酸、コハク酸、メチルコハク酸、メチレンコハク酸、シトラコン酸、またはこれらの任意の組合せが含まれる。例となる有機酸無水物には、以下に限定されないが、グルタル酸無水物、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、またはこれらの任意の組合せが含まれる。他の酸性化学種の例は、上に記載されている。有用な酸性化学種は、以下に限定されないが、-10~7の間、-5~6の間、1~6の間、1.2~5.6の間、または約4のpkaを示すものを含む。酸性化学種は、0.01重量%~10重量%、0.1重量%~10重量%、1重量%~5重量%または3重量%~5重量%などの、任意の好適な濃度で電解質中に任意に存在することができる。
【0043】
LiPF、LiAsF、LiClO、LiBF、LiCFSOなどのリチウム金属塩が、開示されている酸性化電解質の有用な構成成分となり得ることが理解されよう。例となる溶媒は、以下に限定されないが、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、フルオロエチレンカーボネートを含む。例となる溶媒は、リチウムイオン電池などの金属イオン電池に有用となり得る。
【0044】
超高容量電池セルの実施形態は、少なくとも4000mAhr/gのリチウム化容量を有し、20重量%~40重量%の範囲のナノ粒子サイズの金属酸化物および20重量%~40重量%の範囲のナノ粒子サイズの導電性カーボンを含む層を含む電極を含む。一部の実施形態では、それぞれが33重量%である。電極は、アノードまたはカソードとして配列され得る。電極は、噴霧組立体法または構築法を有することができる。
【0045】
電池セルは、ナノ粒子サイズの導電性カーボンをやはり含有し、ナノ粒子サイズの金属酸化物を含有する層に隣接して配列されている、少なくとも1つの他の層を含んでもよい。一部の実施形態では、この他の層は、ナノ粒子サイズの金属酸化物を含有する層の上および下の両方に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】例となるリチウムイオン電池セルの単純化した断面図である。
図2】セパレータによって実質的に封じ込まれる電解質を含むリチウムイオン電池セルの別の単純化した断面図である。
図3】複数のセルを含むリチウムイオン電池の概略図である。
図4】Liに対してサイクルした場合、市販の非AMOスズのサイクリックボルタモグラムに対する、本明細書に開示されている方法によって調製したAMOスズのサイクリックボルタモグラムの差異を示すプロットである。
図5】AMO酸化スズの全反射率が、市販の非AMO酸化スズの全反射率とは異なることを示すプロットである。
図6】本明細書に開示されている合成方法から内因的に発生した表面官能化を示すX線光電子分光法(XPS)データを示す図である。示されている数値は、%での原子濃度である。一番右側の列は、水溶液中、5重量%で分散している場合に測定された、合成ナノ粒子の対応するpHを一覧表示している。
図7】官能化に異なる基を使用した以外、同一の条件下で合成したAMOナノ粒子間の幾何形状の差異を示す電子顕微鏡画像を示す図である。
図8】異なる2つの全反応時間を有する以外、同一の条件下で合成したAMOナノ粒子の幾何形状の差異を示す電子顕微鏡画像を示す図である。
図9】リチウムに対してサイクルした際の、球状AMOと細長い(針様またはロッド様)AMOとの間の挙動の差異を示す代表的な半セルデータを示すグラフである。
図10】強い(リン含有)および弱い(酢酸イオン)電子吸引基の両方を使用して合成したAMOナノ粒子の表面のX線光電子分光法分析は、酢酸イオン基に関連する結合よりもリンの原子濃度が高いことを示す図である。
図11A】異なるAMOに関する可視光による活性劣化データを示すデータを示すグラフである。
図11B】異なるAMOに関する紫外光による活性劣化データを示すデータを示すグラフである。
図12】2つのAMOを比較するデータを示すグラフであり、1つが、一次(単回使用)電池用途に使用するためにより高い容量を有しており、もう一方は、二次(再充電可能な)電池用途に使用するためにより高いサイクル性を有する。
図13】充電および放電容量データ、ならびにクーロン効率データを示すグラフであり、AMOは、電池の構成成分の劣化またはガス発生なしに、電池性能を向上することができることを例示している。
図14】標準的な酸性化および塩基性化電解質系における、AMOに関する容量およびサイクルのデータを示すグラフである。
図15】AMO、および同じAMOであって、溶媒洗浄により酸性化が除かれたAMOに関する容量およびサイクルのデータを示すグラフである。
図16】釘刺試験を施した電池セルに関する、時間の関数としての温度および電圧を示すデータのグラフである。
図17A】過充電試験を施した電池セルに関する、時間の関数としての温度および電圧を示すデータのグラフである。
図17B図18Aに示されているデータの、最初の約1400秒間を拡大したグラフである。
図18】例となる電池のカソードの概略図を示す図である。
図19】セルのサイクル中に得られた、充電-放電サイクル数の関数としてのセル容量を示すデータを示すグラフである。
図20】セルのサイクル中に得られた、いくつかの充電-放電サイクルに関する時間の関数としてのセル電圧を示すデータを示すグラフである。
図21】103回の充電-放電サイクル後に、分解したパウチ型セルの構成成分の写真である。
図22】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関するサイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図23】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図24】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図25】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図26】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図27】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図28】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図29】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図30】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図31】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図32】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図33】合成材料の電子顕微鏡画像、および合成材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図34】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図35】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図36】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図37】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図38】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図39】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図40】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図41】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図42】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図43】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図44】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図45】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図46】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図47】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図48】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図49】AMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示すグラフである。
図50】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図51】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図52】AMO材料の電子顕微鏡画像、およびAMO材料を含む電極を含む電池セルに関して、サイクル中に測定された、容量対サイクル数のプロット、および時間の関数としての電圧のプロットを含むデータを示す図である。
図53図53Aは、本開示の態様による層化構築体を含む例となるカソードの側面図である。
【0047】
図53Bは、本開示の態様による層化構築体を含む代替的な例となるカソードの側面図である。
【0048】
図53Cは、本開示の態様による層化構築体を含む第2の代替的な例となるカソードの側面図である。
図54】標準組み立てセルと比べた、本開示の超高容量セルのリチウム化容量のプロットである。
図55】非層化構築体に対する、層化構築体に基づいた様々な活物質の第1の放電容量を比較するグラフである。
図56】以前に報告された、理論的に計算した、非層化構築体において本開示により構築した、および層化構築体において本開示により構築した、様々な活物質に関する最初の放電容量を比較するグラフである。
図57】超高容量構成体および標準構成体における、本開示によるSnO AMOに関する複数のサイクルにわたる放電容量のグラフである。
図58】本開示による標準構成体および超高容量構成体に関する二次サイクルの比較を示すグラフである。
図59】本開示の態様による、AMOとしてのSnOの噴霧構築電極構築体の性能のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
定義
本開示の目的のため、以下の用語は、以下の意味を有する:
酸性酸化物 - 酸素と非金属元素との二元系化合物を指すために、科学文献に一般に使用される用語である。例は、二酸化炭素、COである。一部のメタロイド(例えば、Si、Te、Po)の酸化物もまた、その純粋な分子状態で、弱い酸特性を有する。
【0050】
酸性化金属酸化物(「AMO」)、AMOナノ材料またはAMO材料 - 酸素と金属元素との二元系化合物であって、金属元素が合成された、またはその天然鉱物状態の酸性度よりも高い酸性度、および-12より大きなハメット関数H(すなわち、超酸性ではない)をやはり有するように修飾されている、二元系化合物を表すために本明細書において使用される用語である。AMOは、5重量%で水に懸濁させた(または、乾燥後に水中に再懸濁させた)場合などに、7未満の表面pHを有することができることが理解されよう。任意に、AMOは、6未満、5未満、4未満または3未満の表面pHを示し得る。本明細書において開示されているAMOの平均粒子サイズは、天然鉱物状態の平均粒子サイズよりもやはり小さい。例えば、AMOは、100nm未満、20nm未満、10nm未満となる少なくとも1つの寸法を有する、または1~100nmの間に収まる粒子などのナノ材料を含むことができる。天然の鉱物形態は、本発明のAMO材料の範囲内に収まらない。しかし、(等価な化学量論の)その最も多量に存在する天然の鉱物形態よりも高い酸性であるが、超酸性ではない合成金属酸化物は、本開示の境界内に収まり、AMO材料と言うことができるが、ただし、本開示において議論したある種の他の条件を満足することを条件とする。
【0051】
酸性 - 水溶液中で、7未満のpHを有する化合物を指すために、科学文献において一般に使用されている用語である。
【0052】
電子吸引基(「EWG」) - 電子密度をそれ自体の方向に引き付ける原子または分子群である。EWGの強度は、化学反応におけるその既知の挙動に基づく。例えば、ハロゲンは、強力なEWGであることが知られている。酢酸イオンなどの有機酸基は、電子吸引性が弱いことが知られている。
【0053】
ハメット関数 - 非常に高濃度酸溶液中、および超酸中の酸性度を定量するさらなる手段であり、酸性度は、以下の式によって定義される:HBH++log([B]/[BH])。このスケールでは、純粋な18.4モル濃度のHSOは、-12のH値を有する。純粋な硫酸の場合の値H=-12は、pH=-12として解釈してはならず、代わりに、これは、弱塩基をプロトン化するその能力によって測定すると、存在する酸化学種が、1012mol/Lという架空(理想)濃度において、Hに等価なプロトン化能を有することを意味する。ハメット酸性度関数は、その式中に水を回避する。ハメット酸性度関数は、AMO材料と超酸とを区別する定量的手段を提供するよう本明細書において使用される。ハメット関数は、比色指示薬試験および温度プログラム化された脱着結果と相関し得る。
【0054】
金属酸化物 - 酸素と金属元素との二元系化合物を指す、科学文献に一般に使用される用語である。周期表における金属元素の位置に応じて、金属酸化物は、その純粋な分子状態において、弱塩基性から両性(酸特性と塩基性特性の両方を示す)までの範囲となる。弱塩基金属酸化物は、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、ルビジウム、ストロンチウム、インジウム、セシウム、バリウムおよびテルルの酸化物である。両性酸化物は、ベリリウム、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、アスタチン、スズ、アンチモン、鉛およびビスマスの酸化物である。これらおよび他の金属酸化物は、任意にAMO材料として有用となり得る。
【0055】
金属リチウム - その中性原子状態(すなわち、非イオン性状態)にあるリチウムを指す用語である。金属リチウムという用語は、リチウムイオンおよびリチウム化合物を含めたリチウムの他の形態から区別することが意図されている。金属リチウムという用語は、リチウム、および他の元素、化合物または物質の混合物などの、リチウム原子を含む混合物中に存在する中性のリチウム原子を指すことがある。金属リチウムという用語は、リチウムおよび1種または複数の他の金属を含めた、金属混合物などのリチウム合金中に存在する中性のリチウム原子を指すことがある。金属リチウムという用語は、リチウムおよび1種または複数の他の物質を含めた、コンポジット構造体に存在する中性のリチウム原子を指すことがある。金属リチウムを備えるまたはこれを含む電極は、リチウムに加えて他の物質を含んでもよいが、金属リチウムは、このような電極の活物質に対応し得る。一部の場合、電気化学セルにおけるアノードは、金属リチウムを含む。
【0056】
単分散 - 実質的に互いに分離されているが、より大きな粒子の粒として凝集されていない、均質サイズの粒子を特徴とする。単分散粒子は、粒子サイズの分布の少なくとも90%が、メジアン粒子サイズの5%以内に入るなどの均質なサイズ分布を有することができる。
【0057】
pH - 水溶液の酸性度またはアルカリ性度を規定するため、科学文献中で一般に使用されている機能的数値スケールである。pHは、ヒドロニウムイオン[H]の濃度の対数を負にしたものである。本明細書で使用する場合、pHは、水溶液中で懸濁したナノ粒子の相対酸性度を記載するために使用されてもよい。
【0058】
表面官能化 - 材料の表面への小さな原子または分子群の結合である。実施形態では、AMO材料は、EWGがAMO材料の表面に共有結合することにより、官能化された表面とすることができる。
【0059】
超酸 - -12未満のハメット関数Hを有する、100% HSOよりも酸性の高い物質である。
詳細な説明
高容量電気化学セル、およびこのようなセル用の電極などのセル構成成分が本明細書に記載される。開示される電気化学セルおよび電極は、酸性化金属酸化物(「AMO」)ナノ材料を含み、高容量を示す。実施形態では、AMOナノ材料が、電極中に、30重量%未満などの比較的低い添加量(重量%)で供給され、電極の残りの大部分は、導電性材料およびバインダを含む。このように添加量が低い場合でさえも、10,000mAh/gを超えるAMOナノ材料の容量が観察された。電極は、層化構成体または非層化構成体で提供され得る。例となる層化構成体には、AMOナノ材料を含む個別の層、および添加量が低い層または非AMO含有層が含まれる。電極の層形成は、完全に任意選択的なものであるが、層化電極および非層化電極のどちらでも、高容量が観察される。
【0060】
これより図1を参照すると、リチウム電池セル100が、単純化した断面図に例示されている。セル100は、ケーシングまたは容器102を含むことができる。一部の実施形態では、ケーシング102は、ポリマーまたは合金である。ケース102は、隣接セルから、混入から、およびセル100が装着されるデバイスの他の構成成分によって損傷をもたらすまたは損傷がもたらされることから、セル100の内容物を化学的および電気的に隔離する。電池全体は、直列および/または並列構成で配列された複数のセルを含有し得るが、任意に、単一セルしか含み得ないことがある。電池は、当分野で公知の通り、複数のセルを一緒にまとめるさらなるケーシングまたは固定機構を有してもよい。
【0061】
セル100は、カソード104およびアノード106を設ける。セル100の内容物は、導電通路が、エレメント115など、カソード104とセル100の外部に存在するアノード106との間に設けられている場合、化学反応を受ける。化学反応の結果として、電子は、アノード106で供給され、エレメント115(時として、負荷と称される)から、セルの外部に設けられた回路を経てカソード104に流れる。基礎レベルでは、セル100の放電中、アノード106を含む材料は酸化されて、回路を流れる電子を供給する。アノード106によって与えられた電子の受け手として、カソード104を含む材料が還元される。
【0062】
放電の間、セル100の内部では、金属陽イオンが、アノード106からカソード104まで、電解質108を移動する。リチウム系電池の場合、金属陽イオンは、リチウム陽イオン(Li)とすることができる。電解質108は、有機溶媒中のリチウム塩などの液体電解質とすることができる(例えば、エチレンカーボネート中のLiClO)。当分野において公知の、他のリチウムをベースとする電解質/溶媒の組合せが使用されてもよい。一部の場合、電解質108は、ポリエチレンオキシド中のリチウム塩などの固体電解質であってもよい。任意に、電解質は、ポリマー電解質を含んでもよい。例となる電解質は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2017/0069931号に記載されているものを含む。
【0063】
セパレータ110は、電極104、106の間の接触を防止するように使用され得る。セパレータ110は、セル100の内部短絡を防止するよう、リチウムイオンおよび電解質108に透過性であるが、特に電気伝導性ではなくてもよい材料からなる多孔質層であってもよい。当分野で公知の通り、セパレータ110は、ガラス製線維を含んでもよいか、または可能性として、半結晶性構造を有するポリマーを含んでもよい。集電体などの追加の構成成分も、セル100に含まれてもよいが、図1には示されていない。
【0064】
カソード106、電解質108およびセパレータ110は、アノード104と共に、完成セル100を形成する。セパレータ110は多孔質であるので、電解質108は、セパレータ110内に流れ込むことができるか、またはこれによって封じ込まれ得る。通常の作動条件下では、セパレータ110が多孔質であるため、電解質108を介して、電極104、106の間にイオン(Li)が流れるのが可能となる。当分野で公知の通り、セパレータは、過熱または発熱反応の暴走にさらされる事象では、融解して内部細孔構造体を閉じ、セルを閉じ込めるよう構築され得る。
【0065】
大部分のリチウム系セルは、いわゆる二次電池である。二次電池は、セルの化学的または構造的完全性が許容限界を下回るまで、何度も放電と再充電が行われ得る。本開示によるセルおよび電池は、一次電池(例えば、単回使用)および二次電池のどちらも考えられる。
【0066】
セル100が二次セル(または二次電池の一部)である場合、セル100は、単独で、または完全系の構成成分としてのどちらか一方で再充電され得、後者の場合、複数のセルが同時に(および可能性として、同じ並列回路または直列回路中で)再充電されることを理解すべきである。
【0067】
充電を行うため、逆電圧がセル100に印加される。リチウム電池の有効な再充電の様々なスキームが、使用され得ることを理解すべきである。定電流、可変電流、定電圧、可変電圧、部分デューティサイクルなどが使用されてもよい。本開示は、特許請求の範囲において明記されていない限り、特定の充電方法に限定されることを意図するものではない。セル100の充電中に、エレメント115は、カソード104とアノード106との間に印加されて、カソード105からアノード106に電子を供給して、化学反応が起こるのを可能にする電源を表す。リチウムイオンは、カソード104から、電解質108およびセパレータ110を通り、アノード106に運ばれる。
【0068】
例として、カソード104またはアノード106は、本明細書において開示されている、AMO材料を独立して含むことができる。AMO材料をカソードとして使用する場合、アノードは、リチウム金属、またはグラファイトなどのリチウムインターカレーション材料に相当することができる。任意に、電解質108は、リチウム塩を含む有機溶媒に溶解しているなどの酸性化学種を含んでもよい。電解質108中での酸性化学種の使用に加え、またはその代替として、電極(すなわち、カソード104またはアノード106)は、AMOおよび酸性化学種を任意に含んでもよい。シュウ酸は、例示的な酸性化学種である。
【0069】
いかなる理論によっても拘泥されることを望むものではないが、カソード104もしくはアノード106、および/または電解質108中に酸性化学種が存在することにより、AMO材料のリチウムイオンへの表面親和性が改善され、酸性化学種がない、または塩基性化電極もしくは電解質(すなわち、塩基性化学種を含む)を有する同様のセルに比べて、放電中のリチウムイオンの取り込み能の改善、および容量の総合的な改善がもたらされると考えられる。代替としてまたはさらに、酸性化学種が存在すると、カソード104内へのリチウムを取り込むための追加的な活性部位をもたらすことが可能となり得る。図1は、原寸通りではないことを理解すべきである。図2に示されている通り、大部分の用途において、セパレータ110は、電極104、106の間の空間の大部分またはすべてを占有し、電極104、106と接触している。このような場合、電解質108は、セパレータ110内に収容されている(しかし、アノードまたはカソードの細孔内または表面に侵入してもよい)。図2はまた、必ずしも原寸大ではない。セルの実際の幾何形状は、比較的、薄く平坦なパウチ構築物から小型缶型の構築物、ボタン型セルなどの範囲とすることができる。巻き型、またはボビン型もしくはピン型組立体などのセル構築技法が使用されてもよい。
【0070】
当分野で公知の集電体および他の構成成分(図示せず)も利用されて、商業的に入手可能なパッケージ内でセル100を形成することができる。全体の形状または幾何形状は様々となり得るが、セルまたは電池は、ある位置または横断面において、通常、電極104、106を、接触してというよりもむしろ隔離して収容し、電解質108、および可能性として両電極の間にセパレータ110を有する。セルは、アノードおよびカソードの多層が存在するよう、構築されてもよい。セルは、2つのカソードが、単一アノードの反対側に存在するよう、またはその反対となるように構築されてもよい。
【0071】
特定の目的のために意図されている機能電池または操作電池は、特定の用途のニーズに応じて配列された複数のセルを備えることができる。このような電池の例が、図3に概略的に示されている。ここでは、電池300は、電圧を高くするため、直列に配列された4つのリチウムセル100を備える。示されている積層体と平行する4つのセル100のさらなる積層体を設けることにより、容量はこの電圧で向上され得る。異なる電圧は、直列に配列したセル100の数を変えることにより実現され得る。
【0072】
正極306は、電池300のケーシング302の外側に設置可能となり得る。負極304も設けられる。電極304、306の物理的な形態因子は、用途に応じて様々になり得る。様々なバインダ、接着剤、テープおよび/または他の固定機構(図示せず)が、電池ケーシング302内部に使用されて、他の構成成分を安定化させることができる。リチウム技術に基づいた電池は、一般に、任意の方向で、操作可能で、再充電可能であり、かつ貯蔵可能である。上で議論した通り、セル100は、様々な異なる幾何形状をとることができる。したがって、図3は、電池300のいかなる特定の物理的形態因子となることが意図されているわけではない。
【0073】
電池300はまた、電池300のケーシング302内部に、正極306に介在する様々な付属回路308、およびリチウムセル100を備えることもできる。他の実施形態では、付属回路は、正極306およびリチウムセル100に介在する代わりに、または介在することに加えて、負極304およびリチウムセル100に介在する。付属回路308は、当分野で公知の通り、回路短絡保護回路、過充電保護回路、過熱停止回路および他の回路を含んで、電池300、セル100および/または電池300に取り付けられている任意の添加剤を保護することができる。
【0074】
カソード104、アノード106および電解質に選択した材料の組成は、セル100、および任意の電池であって、セルがその一部を形成する任意の電池の性能に重要である。本開示の文脈において、AMOの様々な例およびその生成方法が、これに関連して提示される。これらのAMOは、半セル、セルおよび電池における、アノードまたはカソードを形成する際に使用するのに好適である。本開示のAMOは別様に、既存のアノード組成およびカソード組成、電解質配合物およびセパレータ組成を含めた、公知のリチウムセル技法と適合可能である。
【0075】
本開示の文脈において、AMOの様々な例、ならびにその生成方法および使用方法が提供される。これらのAMOは、半セル、セルおよび電池における、カソードまたはアノードを形成する際に使用するのに好適である。開示されているAMOは別様に、既存のアノード組成、カソード組成、電解質配合物およびセパレータ組成を含めた、従来のリチウム電池技術と適合可能である。本開示によるセルまたは電池に選択されるアノード106の材料は、カソード材料を好適に補完するため、カソードの材料ほど電子的に陰性でなくてもよいことが理解されよう。特定の一実施形態では、開示されているAMOは、リチウム金属アノードを有するセルにおいて、カソードとして有用である。
【0076】
本開示の様々な実施形態では、カソード104は、超酸性ではないが、酸性な表面を有するAMO材料を含む。このことは、これまでに知られており、かつリチウムコバルト材料またはリチウムマンガン材料などのカソードとして利用されている材料とは、直接な対比となる。本開示のAMO材料、およびその生成方法が以下に記載されている。他の実施形態では、アノード106は、超酸性ではないが、酸性な表面を有する本開示のAMO材料を含む。
【0077】
金属酸化物の表面は、理想的には、酸化物の結晶性構造に従って秩序よく並んだ、金属中心および酸素中心の並びである。実際には、この並びは不完全であり、空孔、ゆがみおよび表面接着作用を起こしやすい。それとは無関係に、任意の露出金属中心は、陽イオン性(正に帯電している)であり、電子を受容することができ、したがって、定義によって、ルイス酸部位として機能する。酸素中心は、陰イオン性(負に帯電している)であり、ルイス塩基部位として働いて電子を供与する。これにより、金属酸化物表面は、両性に挙動することが可能となる。
【0078】
通常の大気圧条件下では、水蒸気が存在すると、分子として(水和)または解離的(ヒドロキシル化)のどちらか一方で、金属酸化物表面に吸着するであろう。OHおよびH化学種はどちらも、酸化物表面に吸着することができる。負に帯電したヒドロキシル化学種は、金属の陽イオン性(ルイス酸、電子受容性)中心に結合し、Hは、酸素の陰イオン性(ルイス塩基、電子供与性)中心に結合する。どちらの吸着も、金属酸化物表面の、同一官能基、すなわちヒドロキシルが存在することになる。
【0079】
これらの表面ヒドロキシル基は、プロトンを放出するか、またはプロトンを受容するかのどちらかを行うことができるので、この基は、ブレンステッド酸またはブレンステッド塩基のどちらかとして働くことができる。個々のヒドロキシル基がプロトン供与体またはプロトン受容体となる傾向は、プロトンが結合する金属陽イオンまたは酸素陰イオンの配位によって影響を受ける。酸素の空孔などの金属酸化物表面の不完全性、または他の化学種による表面基の配位は、陽イオンおよび陰イオンのすべてが、等しく配位されていないことを意味する。酸-塩基部位は、数および強度が様々となろう。酸化物の表面全体にわたり、幅広く「完全に破壊されている」場合、これは、表面に全体的に酸性または塩基性特性を付与することができる。
【0080】
ルイス酸およびルイス塩基の部位(それぞれ、露出金属陽イオンおよび酸素陰イオンに由来)、ならびにブレンステッド酸およびブレンステッド塩基の部位(表面ヒドロキシル基に由来)の量および強度は、化学反応とデバイス用途の両方において、金属酸化物およびその使用に対して幅広い利用性および機能を与える。これらの部位は、金属酸化物の化学反応性への強力な寄与因子である。これらの部位は、他の化学基、およびさらに追加の金属酸化物が結合し得る、アンカー部位として働くことができる。さらに、それらは、表面電荷、親水性および生体適合性に影響を及ぼし得る。
【0081】
金属酸化物の表面を改変する方法の1つは、表面官能化として公知の方法で、小さな化学基または電子吸引基(「EWG」)に結合させることである。EWGは、水酸化物結合の分極を誘発し、水素の解離を容易にする。例えば、より強力なEWGは、一層分極した結合、したがって一層酸性の高いプロトンをもたらすはずである。有用なEWGは、水酸化物以外の基を含むことが理解されよう。ルイス部位の酸性度は、電子のその部位への供与を容易にする分極を誘発することにより向上され得る。そのように作製された化合物は、水中に入れられた場合、酸性プロトンが解離して、水性のpH測定値を低下させるであろう。
【0082】
固体酸/塩基系を用いて実施した場合、液体の系よりもいくらか不正確となるが、滴定、pH紙およびpHプローブを利用するpH測定の従来法を使用して、水溶液中に分散した金属酸化物の酸性度を評価することができる。これらの測定は、以下に限定されないが、比色指示薬、赤外分光法および温度プログラム化された脱着データを含めた技法の使用によって補助されて、金属酸化物表面の酸性化された性質を確立することができる。表面基は、以下に限定されないが、X線光電子分光法を含めた標準的分析技法によって検討することができる。
【0083】
表面官能化は、以下に限定されないが、所望の官能基を含有する金属酸化物を酸性溶液または蒸気に曝露させることを含めて、合成後に行われ得る。それは、固体法によっても行われ得、この場合、金属酸化物は、所望の官能基を含有する固体と混合および/またはミル粉砕される。しかし、これらの方法はすべて、追加の表面官能化工程、または金属酸化物それ自体を合成するために必要な工程以上の工程を必要とする。
【0084】
AMO材料の合成および表面官能化は、金属酸化物の表面が、金属酸化物が適切な前駆体から合成される際に官能化される、「単ポット」水熱合成法またはその等価物で行われ得る。EWGを含有する前駆体塩が溶解され、得られた溶液は、第2のEWGを含有する酸を使用して酸性化される。この酸性化溶液は、次に、塩基性にされて、この塩基化溶液は加熱されて、次に洗浄される。乾燥工程により、固体AMO材料が生成される。
【0085】
例として、酸化スズの例となるAMO形態を合成し、同時に、以下の単ポット法を使用して表面を官能化した。
【0086】
1.最初に、塩化スズ(II)二水和物(SnCl 2HO)7グラム(7g)を、無水エタノール35mLおよび蒸留水77mLからなる溶液に溶解する。
【0087】
2.得られた溶液を30分間、撹拌する。
【0088】
3.1.2M HCl7mLの滴下添加によって、この溶液を酸性にして、得られた溶液を15分間、撹拌する。
【0089】
4.この溶液のpHが約8.5になるまで、1M水性塩基を滴下添加することにより塩基性にする。
【0090】
5.次に、得られた不透明な白色懸濁液を、撹拌しながら、少なくとも2時間、温水浴(約60~90℃)に入れる。
【0091】
6.次に、この懸濁液を蒸留水および無水エタノールにより洗浄する。
【0092】
7.洗浄した懸濁液を100℃で1時間、空気中で乾燥し、次に、空気中で4時間、200℃でアニーリングする。
【0093】
この方法は、塩素により表面官能化されたスズのAMOをもたらし、そのpHは、5重量%および室温で水溶液中に再懸濁して測定した場合、約2となる。定義によって、そのハメット関数Hは、-12より大きい。フラスコなどの開放系がここでは記載されているが、オートクレーブなどの密閉系もやはり使用されてもよい。
【0094】
上で開示した単ポット法を利用して、いくつかのAMOを合成した。以下の表1は、使用された前駆体および酸を記載しており、表中、Acは、化学式CまたはCHCOOを有する酢酸イオン基を表す。一部の例では、ドーパントも同様に利用される。
【0095】
【表1】
一部の実施形態では、電子吸引基は、6以下および/または200AMU以下の原子質量からなる炭素鎖長を有する。一部の実施形態では、電子吸引基は、8以下もしくは10以下、および/または500AMU以下の原子質量の炭素鎖長を有する。
【0096】
方法パラメーターは様々となり得ることが理解される。これらのパラメーターには、以下に限定されないが、試薬のタイプおよび濃度、酸および塩基のタイプおよび濃度、反応時間、温度および圧力、撹拌速度および時間、洗浄工程数およびタイプ、乾燥および焼成の時間および温度、ならびに乾燥および焼成中のガス曝露が含まれる。変更は、実験設計法を任意に使用して、単独でも組み合わせてもよい。さらに、他の金属酸化物合成法、例えば噴霧熱分解法、気相成長法、電着法、固体法、および水熱加工法またはソルボサーマル加工法が、本明細書において開示されている方法と同じ結果または類似の結果を実現するのに有用となり得る。
【0097】
AMOナノ材料を調製するために、様々なアニーリング条件が有用である。例となるアニーリング温度は、100℃~300℃などの300℃未満とすることができる。例となるアニーリング時間は、約1時間~約8時間またはそれより長い範囲とすることができる。アニーリングは、様々な大気圧条件下で行われ得る。例えば、アニーリングは、空気中、大気圧で行われてもよい。アニーリングは、高い圧力(大気圧より高い)または減圧(大気圧未満または真空中)で行われてもよい。アニーリングは、代替として、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウムまたはアルゴン)下で、または酸化性ガス(例えば、酸素または水)の存在下などの制御雰囲気中で行われてもよい。
【0098】
AMOナノ材料を調製するために、様々な乾燥条件が有用である。例となる乾燥温度は、50℃~150℃とすることができる。例となる乾燥時間は、約0.5時間~約8時間またはそれより長い範囲とすることができる。乾燥は、様々な大気圧条件下で行われ得る。例えば、乾燥は、空気中、大気圧で行われてもよい。乾燥は、高い圧力(大気圧より高い)または減圧(大気圧未満または真空中)で行われてもよい。乾燥は、代替として、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウムまたはアルゴン)下で、または酸化性ガス(例えば、酸素または水)の存在下などの制御雰囲気中で行われてもよい。
【0099】
AMOナノ材料の性能特徴は、非酸性化金属酸化物ナノ粒子の性能特徴とは異なる。一例として、図4は、リチウム金属に対してサイクルした場合、市販の非AMOスズのサイクリックボルタモグラム(CV)に対する、本単ポット法によって調製したAMOスズのサイクリックボルタモグラムの差異を示している。例えば、表面官能化AMO材料は、非AMO材料よりも優れた可逆性を示す。AMO材料のCVにおいて個別のピークが存在することは、複数の電子移動工程が、充電/放電の間に発生していることを示し得る。例えば、より高い電圧でのピークは、AMO材料の直接酸化/還元を示すことができる一方、より低い電圧でのピークは、AMO材料の材料構造が変化(すなわち、合金化)していることに起因し得る。
【0100】
別の例として、図5は、AMO酸化スズの全反射率が、市販の非AMO酸化スズの全反射率とは異なることを示す。このデータは、AMOは、低バンドギャップを有しており、したがって、本開示によるアノードまたはカソードとしての使用に加えて、光起電力系の構成成分として一層望ましい特性を有することを示している。
【0101】
AMO材料は、式M/Gによって任意に表されることがあり、式中、Mは金属酸化物であり、mは、少なくとも1であり、かつ5以下であり、xは、少なくとも1でありかつ21以下であり、Gは、水酸化物ではない少なくとも1つのEWGであり、「/」は、金属酸化物とEWGとの間の区別をなし、これら2つの間に固定した数的関係または比はないことを示す。Gは、単一タイプのEWG、または1種超のタイプのEWGを表すことができる。
【0102】
例となるAMOは、酸性化した酸化スズ(Sn)、酸性化二酸化チタン(Ti)、酸性化酸化鉄(Fe)および酸性化酸化ジルコニウム(Zr)である。好ましい電子吸引基(「EWG」)は、Cl、Br、BO、SO、PO、NOおよびCHCOOである。本開示による特定の金属またはEWGに関わらず、AMO材料は、酸性ではあるが、超酸性ではなく、5重量%で水溶液中に懸濁すると、7未満のpH、および少なくともその表面では、-12より大きなハメット関数Hを生じる。
【0103】
AMO材料の構造は、結晶性またはアモルファス(または、それらの組合せ)であってもよく、単独で、または互いに、非酸性化金属酸化物と、当分野で公知の他の添加剤、バインダもしくは導電性助剤と組み合わせたコンポジットとして利用され得る。言い換えると、本開示のAMOを利用して調製した電極は、他の材料を含んでもよく、または含まなくてもよい。一実施形態では、AMOは、導電性材料上に層化されて、カソード104を形成することができる。一部の実施形態では、AMO材料は、5重量%~90重量%の範囲で、グラファイト、カーボンブラックまたは導電性カーボン(またはそれらの等価物)などの導電性助剤材料に添加される一方、導電性助剤および/またはバインダ材料は、10重量%~95%の範囲で存在することができる。任意に、AMOは、10重量%、33重量%、50重量%または80重量%で添加される。
【0104】
利用可能な活物質の反応のための表面積全体の量および活性部位の量を最大化するため、AMOは、ナノ微粒子形態(すなわち、サイズが1ミクロン未満)で存在し、実質的に単分散され得る。任意に、ナノ微粒子サイズは、100nm未満であり、20nmまたは10nm未満などのさらに一層小さくてもよい。1nm~100nmの範囲、または1000nmのナノ微粒子サイズが、ある種のAMOに有用となり得ることが理解されよう。
【0105】
別の金属または金属酸化物が単一の酸化物または二元系酸化物に加えて存在する混合型金属AMOは、半セル、電気化学セルおよび電池のためのアノードおよびカソード形成に有用である。これらの混合型金属AMOは、式 M/GおよびM/Gによって表すことができ、Mは金属であり、mは、少なくとも1かつ5以下であり、Nは金属であり、nは、0より大きく、かつ5以下であり、Rは金属であり、rは0より大きく、かつ5以下であり、Oは、すべての金属と結合した合計酸素であり、xは少なくとも1であり、かつ21以下であり、「/」は、金属酸化物とEWGとの間の区別をなし、これら2つの間に固定した数的関係または比がないことを表し、Gは、水酸化物ではない少なくとも1つのEWGである。Gは、単一タイプのEWG、または1超のタイプのEWGを表すことができる。
【0106】
そのゼオライトが、最も優れた例である、いくつかの先行技術の混合型金属酸化物系は、単純な酸化物のそれぞれが示さない場合でさえも、強酸性を示す。本開示の混合型金属AMOの好ましい実施形態は、いずれの実施形態も、単純なM/G形態で酸性(しかし、超酸性ではない)である少なくとも1種のAMOを含まなければならない点でそれらの系と異なる。例となる混合型金属および金属酸化物系には、SnFey+dおよびSnTiy+bが含まれ、y+dおよびy+bは、整数値であってもよく、または非整数値であってもよい。
【0107】
任意に、混合型金属AMO材料は、1つの修正による単ポット法により生成される:合成は、1種ではなく、2種の金属前駆体塩を任意の割合で開始する。例えば、上記の単ポット法の工程1は、以下の通り変更されてもよい:最初に、塩化スズ(II)二水和物(SnCl 2HO)3.8gおよび塩化リチウム(LiCl)0.2gを、無水エタノール20mLおよび蒸留水44mLからなる溶液に溶解する。
【0108】
表1に示されているものなどの3種の金属前駆体塩が、任意に、任意の割合で使用されてもよい。金属前駆体塩は、所望の生成物に応じて、同じまたは異なる陰イオン性基を有することができる。金属前駆体塩は、合成において異なる時点で導入されてもよい。金属前駆体塩は、固体として導入されてもよく、または溶媒中で導入されてもよい。一部の実施形態では、第1の金属前駆体塩は、得られたAMOの主要構造(すなわち、大きい方の割合)に使用されてもよく、第2(および任意に、第3)の金属前駆体塩は、ドーパントとして、または得られたAMOにとって少量の構成成分として添加されてもよい。
【0109】
単ポット法による実験は、7つの有用な知見に至った。第1に、すべての場合において、表面官能化および酸性度は両方とも、合成後に生じるよりも、内因的に発生する(図6を参照されたい)。先行技術の表面官能化法とは異なり、単ポット法は、表面官能化のために、金属酸化物自体を合成するために必要な工程よりも多くの追加工程(単数または複数)をなんら必要とせず、ヒドロキシ含有有機化合物または過酸化水素も使用しない。
【0110】
第2に、本方法は、幅広い範囲の金属酸化物およびEWGにわたり、広く一般化可能である。本開示の方法を使用して、鉄、スズ、アンチモン、ビスマス、チタン、ジルコニウム、マンガンおよびインジウムの金属酸化物が、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、ホウ酸イオンおよび臭化物イオンを用いて合成されて、同時に表面官能化もされる。スズおよび鉄、スズおよびマンガン、スズおよびマンガンおよび鉄、スズおよびチタン、インジウムおよびスズ、アンチモンおよびスズ、アルミニウムおよびスズ、リチウムおよび鉄、ならびにリチウムおよびスズの混合型金属AMOも合成される。さらに、表面官能化は、ハロゲンおよびSOよりも弱いEWGを使用して行うことができ、依然として、酸性であるが超酸性ではない表面を生成する。例えば、本方法がやはり使用されて、酢酸イオン(CHCOO)、シュウ酸イオン(C)およびクエン酸イオン(C)により表面官能化されたAMOを合成する。様々な例が、以下に記載されている。
【0111】
第3に、EWGと、サイズ、幾何形状(例えば、板状様、球状様、針状様またはロッド様)、酸化状態および結晶化度(アモルファス、結晶性またはそれらの混合物)などのナノ粒子の他の特性との間の相乗的関係が存在する。例えば、幾何形状の差異は、異なるEWGを使用して生成した2種のAMOの電子顕微鏡画像を示す図7に例示されている通り、表面官能化のために異なるEWGを使用した以外、同一条件下で合成したAMOナノ粒子間に起こり得る。表面官能化は、ナノ粒子の寸法を「ピンで固定する」よう作用して、その成長を停止させることができる。このピンでの固定は、まさに合成条件に応じて、ナノ粒子のたった1つの寸法、または1つ超の寸法に起こり得る。
【0112】
第4に、AMOの特性は、合成条件および手順に非常に敏感である。例えば、AMOナノ粒子の幾何形状および性能の差異は、2種の異なる全反応時間を持たせた以外、同一の条件下で合成した場合に起こり得る。例えば、図8は、異なる全反応時間に反応させた2種のAMOの電子顕微鏡画像を示しており、図9は、容量(mAh/g)対サイクル数のプロットを示しており、異なる全反応時間に反応させた2種のAMOのサイクル性の比較は、異なる幾何形状を示すことを示す。実験設計方法を使用して、最良または最適な合成条件および手順を決定し、所望の特徴または一連の特徴を生じさせることができる。
【0113】
第5に、前駆体中に存在する陰イオンと酸中に存在する陰イオンのどちらも、AMOの表面官能化に寄与する。一実施形態では、塩化スズ前駆体および塩酸が、スズのAMOの合成に使用される。これらの粒子の性能は、塩化スズ前駆体および硫酸が使用される実施形態、または硫酸スズ前駆体および塩酸が使用される実施形態とは異なる。前駆体の陰イオンおよび酸の陰イオンを一致させると、一部の実施形態にとって有利となることがある。
【0114】
第6に、弱いEWGを有する前駆体および強いEWGを有する酸、またはその逆を利用した場合、強力な吸引性陰イオンが、表面官能化に支配的となる。このことは、合成可能性を一層幅広い範囲に解放し、前駆体塩と酸の両方において容易に利用可能ではないイオンによる官能化が可能となる。強いEWGと弱いEWGの両方により、混合型官能化をやはり可能にすることができる。一例において、酢酸スズ前駆体およびリン酸を使用して、スズのAMOを合成する。表面のX線光電子分光法分析により、酢酸イオン基に関連する結合よりも、リンの原子濃度の方か高いことが示される(図10を参照されたい)。
【0115】
第7に、本開示方法は、AMOの合成に関する一般手順であるが、この合成手順および条件は、様々な用途に望ましいと考えられる、サイズ、幾何形状、酸化状態および結晶状態を生じるように調節され得る。一例として、触媒用途には、可視光に一層活性なAMO材料、または紫外光に一層活性なAMO材料が望ましい。図11Aは、2種の異なるAMO材料に曝露すると、メチレンブルーの可視光による曝露の分解時間を示している。図11Bは、4種の異なるAMO材料に曝露すると、メチレンブルーの紫外光による曝露の分解時間を示している。
【0116】
別の例では、AMO材料は、電池用電極として使用され得る。一次(単回使用)電池用途は、最高の容量をもたらす特徴を有するAMOが望ましい一方、二次(再充電可能な)電池用途は、同じAMOであるが、最高のサイクル性をもたらす特徴を有するAMOが望ましい。図12は、塩素含有AMOおよび硫黄含有AMOを含めた、AMO材料から構築された2つの異なる電池のサイクル性を比較したものである。AMO材料は、電池構成成分の劣化またはガス発生なしに、電池性能の向上をもたらすことができる(図13を参照されたい)。これは、先行技術の教示とはまさに反対である。
【0117】
図13では、AMOナノ材料電極対リチウム金属からなるセルとして構築した、電池の充電-放電サイクル性が示されており、有用な容量および並外れたクーロン効率を依然として維持すると同時に、最大で900回の充電-放電サイクルとなるサイクル性を示している。リチウム金属は、低いサイクル数の間でさえも、樹状物に成長することが知られており、これにより、膨張して、電池セルの危険かつ壊滅的な不具合をもたらす恐れがあるので、特に、リチウム金属参照電極に対するこのようなサイクル性の長さは例外的なものである。
【0118】
本開示によれば、完全セルでは、開示されているAMOを含むアノード106は、公知の電解質108、およびコバルト酸リチウム(LiCoO)などの公知の材料を含むカソード104と共に利用され得る。セパレータ110を含む材料は、現在、当分野で公知のものから同様に導き出され得る。
【0119】
完全セルでは、開示されているAMOを含むカソード104は、公知の電解質108、および本開示のAMOほど電子陰性を示さない銅製ホイルに担持したカーボンなどの公知材料を含むアノード106と共に利用され得る。リチウム金属、ナトリウム金属、マグネシウム金属、またはこれらの金属の1種または複数を含有する他のコンポジット材料などの他のアノード材料も有用である。一部の実施形態では、アノード106は、リチウムからなることができるか、またはリチウムから実質的になることができる。セパレータ110および電解質108を含む材料は、上で議論した通り、現在、当分野で公知のものから同様に導き出すことができる。当分野で公知の、様々な層化技法および他の増強技法が展開されて、セル100に電力供給するためのリチウムイオンを保持する容量を最大化することができる。本開示によるAMOカソード104に基づく電池は、一次電池としても働くことが可能であるが、二次(例えば、再充電可能な)電池として配置され得ることがやはり理解されるべきである。本開示のAMOアノードは、それ自体、可逆的な電池化学に役立つが、本明細書に記載されている通りに構築されたセルまたは電池は、一次セルまたは電池として満足に配置され得る。
【0120】
いくつかの文脈では、語「形成」は、電池が使用に利用可能となる前に、製造施設において行われる電池の最初の充電または放電を表すために使用される。この形成過程は、一般に、非常に遅いことがあり、製造されたままの活物質をセルのサイクルにより好適な形態へと変換する際に指向される複数の充電-放電サイクルを必要とすることがある。これらの変換は、活物質の構造、幾何形状、結晶化度および/または化学量論の変化に組み込まれることがある。
【0121】
対照的に、本開示により構築されたセルおよび電池は、一部の実施形態では、最初の形成を必要とせず、したがって、組み立て時に一次セルとしてまたは電池として使用する準備が整っている。他の例では、限定されたまたは迅速な形成が使用されてもよい。さらに、安全性問題は、電池のサイクル中に一層頻繁に起こることが当分野で公知であるため、再充電することが意図されていない一次セルとして本開示のセルおよび電池を配置することによって、リチウム電池化学に固有となり得る安全性問題の一部は、緩和される。しかし、最初の一次放電後、本明細書において開示されているセルおよび電池は、最大で、数十回、数百回、または数千回にもなるサイクルなどの、多数の充電-放電サイクルを受け得る、二次電池系として使用することが場合により好適である。
【0122】
一部の実施形態では、カソード104は、上記のAMOにより酸性化されなかった酸化スズ(SnO)ナノ粒子を含む。既知の電解質108、アノード106、およびセパレータ110、または本開示に特に記載されているものは、このような実施形態に利用され得る。
【0123】
本明細書において開示されているAMO材料を使用して、様々な電池構築体が可能であることが理解されよう。例えば、電池は、AMOナノ材料、第2の電極および第1の電極と第2の電極との間に位置する電解質を含む第1の電極を備えてもよい。例として、リチウムイオン電池では、第1の電極は、カソードまたはアノードとして作動することができる。例えば、カソードとしてAMOに基づく電極の作動では、第2の電極は、リチウム金属、グラファイト、または別のアノード材料に相当することができる。別の例として、アノードとしてAMOに基づく電極の作動では、第2の電極は、LiCoO、LiMn、LiNiO、または別のカソード材料に相当することができる。第2の電極のための有用な材料には、以下に限定されないが、グラファイト、リチウム金属、ナトリウム金属、コバルト酸リチウム、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リン酸鉄リチウム、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0124】
本明細書において開示されているAMO材料はまた、電極に、0.01重量%~10重量%の間の量、または例えば約1重量%、5重量%または10重量%の量のAMO材料などの、従来的なリチウムイオンセルのアノードおよび/またはカソードにドーパントとして添加されてもよいことが理解されよう。開示されているAMO材料は、リチウム原子を貯蔵するための優れた容量を実現し、従来的なリチウムイオンセル電極にこれらの材料を添加することによって、これらのコンポジットがリチウム原子を貯蔵する能力が向上し得る。一具体例として、電極は、LiCoOおよびAMOを含む。別の例として、電極は、グラファイトおよびAMOなどの炭素系材料を含む。
【0125】
有利には、AMO材料は、任意にバインダ、酸性電解質または酸性電解質添加剤などの酸性構成成分と共に使用され得る。これは、アノード、カソード、半セル、完全セル、一体化電池または他の構成成分の文脈における場合になり得る。本発明者らは、AMO材料を含む電池において、有機酸または有機酸無水物などの、酸性構成成分および/または酸性化学種を含ませると、酸性化学種が含まれていない電池よりも、容量の向上をもたらすことを驚くべきことに見いだした。やはり、酸性化学種は、金属製集電体および筐体を分解し、他の電極構成成分における劣化を引き起こす恐れがあるので、先行技術は、これらの化学種の使用を否定して教示している。
【0126】
図14に示されている通り、この図は、標準電解質(1つは、塩基性化電解質を有するものであり、1つは、酸性化電解質を有するものである)を有するもの以外、同じ材料および構造から形成される、AMOに基づく電池に関する比較サイクル性データを示している。電池は、以下の通りの構築体を含んだ:カソードはすべて、同じAMO材料を含んだ。アノードはすべてリチウム金属であった。標準電解質は、1M LiPFを含む、ジメチレンカーボネート、ジエチレンカーボネートおよびエチレンカーボネートの1:1:1のミックスであった。酸性化電解質は、3重量%の無水コハク酸を含む標準電解質であった。塩基性化電解質は、3重量%のジメチルアセトアミドを含む標準電解質であった。電池はすべて、同じ放電速度でサイクルさせた。例示される通り、酸性化電解質系を有する電池は、最良のサイクル能を示して、最大数のサイクルにわたり、最高の容量を維持する。
【0127】
図15は、電池の1つのAMO材料が、溶媒による洗浄によって脱酸性化された以外、酸性化電解質を含む同じ電池構築体を有する2つの異なる電池に関する、さらなる比較サイクル性データを示している。これらの電池は、以下の通りの構築体を含んだ:カソードはAMO材料を含んだ。電解質は、1M LiPFおよび3重量%の無水コハク酸を含む、ジメチレンカーボネート、ジエチレンカーボネートおよびエチレンカーボネートの1:1:1のミックスであった。アノードは、リチウム金属であった。電池は、同じ放電速度でサイクルさせた。酸性化AMO材料を有する電池は、サイクル数に対してより高い容量を保持していることを示し、このことは、AMOの酸性化表面は、酸性化電解質と相互作用して、性能の向上を実現することができることを示す。いくつかの酸性電解質が開発、および/または試験されて、本明細書に記載されているセル化学を有利に作動することが見いだされた。
【0128】
現在、リチウム電池は、ある種の状況では、安全性リスクがあることが認識されている。例えば、貨物庫で運ばれるために、航空会社の規則は、現在、リチウム電池の部分放電を求めている。リチウム電池を利用するデバイスにおいて、発熱反応の暴走に起因する、発火が報告されている。さらに、リチウムによる出火は、広く配備されている出火抑制システムおよび装置で消火するのが困難となり得る。これらの理由のため、金属リチウム以外のリチウム含有化合物が、多数の市販電池セルに使用されている。
【0129】
しかし、アノードに、リチウム金属ではなくリチウム含有化合物を使用すると、反応に利用可能なリチウムの量および放電時のカソードへの取り込みが限定される恐れがあり、したがって、このようなセルの容量も制限され得る。しかし、現在開示されているAMO材料は、放電中のリチウムの取り込み量の多さを示すだけではなく、安全性特徴も向上している。例えば、カソードおよびリチウム金属電極にAMO材料を含む電池セルに、釘刺試験、短絡試験および過電圧試験などの安全性試験が施される場合、セルは、十分に性能を発揮し、出火または爆発という許容されないリスクをもたらさないように思われる。
【0130】
SnO AMOを含むカソード、導電性カーボンブラック(ケッチェンブラック)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリアリールアミド(PAA)を体積基準で63/10/26.1/0.9の比で含むアノードを用いていくつかのセルを構築した。この組成物の両側の層は、1つの側あたり4mg/cmで調製された。これらの層の6つがカソードを構成した。調製されたカソードのサイズは、9cm×4cmであった。ポリプロピレンの25μmの厚さの層は、Targray Technology International,Inc.から得て、セパレータとして使用した。セパレータサイズは、9.4cm×4.4cmであった。電解質は、体積基準で1:1:1の比のエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)およびジメチルカーボネート(DMC)からなる溶媒中の1M LiPFから調製した。アノードは、9.2cm×4.2cmの寸法を有する、50μmの厚さの層のリチウム金属であった。
【0131】
構築したセルの2つは、安全性試験の前に放電させ、1.7Ahとなる実際の容量および1575mAh/g SnOとなる比容量を有することを見いだした。
【0132】
図16は、上記の通りに構築され、釘刺試験を施されたセルに関する、温度および電圧を示すデータを示す。この試験は、室温で行われ、事象(例えば、発火)は、観察されなかった。温度および電圧は安定な状態にあることがやはり観察された。
【0133】
図17Aは、上記の通りに構築され、過充電試験を施されたセルに関する、温度および電圧を示すデータを示す。1Aの電流を印加した。セルからガスがいくらか発生した以外、試験の時間枠にわたり有害事象は観察されなかった。図17Bは、試験の開始時に注視した、図17Aの過充電試験結果の拡大図を示す。
【0134】
カソードとしてAMO材料、および電極としてリチウムを組み込んだ構築後の電気化学セルの実施形態が試験されて、最大で900回、またはそれより多い充電-放電サイクルを壊滅的かつ破壊的な不具合なしに受けることに成功した。別の言い方をすると、カソードとしてAMO材料、および電極としてリチウムを組み込んだ構築後の電気化学セルの実施形態が試験されて、最大で900回またはそれより多い充電-放電サイクルを受けることに成功し、電荷を依然として保持し、有用な容量を維持している。
【0135】
いかなる理論によっても拘泥されることを望むものではないが、リチウムセルにおけるAMOをベースとするカソード材料の使用により実現する安全性の向上は、AMO材料が、リチウム金属を不動態化して、樹状物形成を防止する能力に起因し得る。本発明者らは、リチウム金属のアノードは、サイクル時に、樹状物を成長させない、またはそうでない場合、樹状物を形成しないように思われたが、リチウムアノードは、より軟質かつ結晶性に乏しい見かけ構造をとることを観察した。一部の実施形態では、リチウムアノードは、本明細書に記載されている電気化学セルの構成成分として、サイクルするなどによって、不動態化され得、次に、電気化学セルから取り外されて、異なるカソードを有する新しい電気化学セルにおける電極として使用される。さらに、本開示により構築されたセルは、1~2ボルトの間などの低動作電圧を使用し、これは、一般に、約3~4.2ボルトで作動する、リチウムまたはリチウムイオンの電池セルの典型的な電圧とは対照的である。作動電圧のこのような差異が、一部、開示されているセルの安全性の主な理由になり得る。
【0136】
これより図18を参照すると、本開示の態様によるカソード1800の概略的な例示が示されている。図18は原寸大ではない。カソード1800は、AMO形態にある約33.3%のSnOを含む。AMOは、本明細書に記載されている方法に準拠して調製した。カーボン層1804を形成するため、NMP溶媒を使用してケッチェンブラックEC-300J(SA:約800m/g)のスラリーを調製し、集電体として厚さ10μmの銅製ホイル1802にコーティングした。このスラリー組成は、重量基準で、80%のケッチェンブラックおよび20%のPVDFであった。コーティングしたテープは、真空オーブン中、100℃で乾燥した。
【0137】
カーボン/SnO電極層1806を形成するため、それぞれ33.3重量%のAMO SnO、ケッチェンブラックおよびPVDFの混合物を調製し、NMP溶媒を添加することによりスラリーを形成した。このスラリーをケッチェンブラックコーティングした銅製ホイル(1802、1804)の一部にコーティングした。得られたテープを、真空オーブン中、100℃(一晩)で乾燥し、室温でカレンダー加工した。SnO/ケッチェンブラックコーティング領域、およびケッチェンブラック単独コーティング領域において、マイクロメータを使用してこのテープの厚さを測定した。ケッチェンブラック層1704の厚さは約8μmであると分かった一方、SnO AMO含有層1806は、約2μmの厚さであることが分かった。ホイル層は約10μmの厚さであり、カソード1800の全体の厚さは、約18~20μmをもたらした。
【0138】
カレンダー加工したテープを、ケッチェンブラック単独コーティング領域およびSnO/ケッチェンブラックコーティング領域から、円形ディスクへと型抜きした。ケッチェンブラック単独コーティングディスクの質量は、SnO/ケッチェンブラックコーティングディスクから減算して、電極層の合計質量を得た。試験したセルタイプの1つの場合、電極材料の合計質量は、0.0005g(ケッチェンブラック単独コーティングディスクの質量の等価分を減算した後)であり、合計活物質(SnO)の質量は、約0.000167g(合計質量33.3%)をもたらした。
【0139】
カソード1800の有用な態様は、炭素系層およびAMO含有層の積層化、両方の層中へのケッチェンブラック高表面積導電性カーボンの使用、AMO含有層における33%活物質含有率、AMO含有層の厚さ、バインダとしてPVDFの使用、および集電体としての銅製ホイルの使用を含む。これらの態様はそれぞれ、任意に、変更され得る。
【0140】
例えば、ケッチェンブラック以外のカーボンが使用されてもよい。活物質として使用されるAMO材料は、狭いサイズ分布範囲を有する、1~100nm(例えば、2~5nm)程度などの非常に小さな粒子寸法を有することが理解されよう。グラファイトは、本開示のカソード用のカーボンとして有用となり得るが、ケッチェンブラックは、市販のグラファイト、および一部の他の導電性カーボンよりもAMO粒子サイズにかなり近い粒子サイズを有する。ケッチェンブラック粒子は、例えば、AMO粒子よりも分布が広い、約30~300nmのサイズとなり得る。対照的に、グラファイト粒子は、100μmの程度などのかなり大きなサイズを有する傾向がある。サイズのこのような近い類似性により、ケッチェンブラックとAMOとの混合物は、局所規模では一層の均質性を有することが可能となり、カーボン粒子とAMO粒子との間の、一層完全なまたは良好な混合および接触が可能となる。
【0141】
別の例として、炭素系材料層およびAMO含有層の層の数は、電極形成の場合、様々になり得る。上記の例では、電極は、1つの炭素系材料層および1つのAMO含有層を含む。任意に、追加の炭素系材料層が含まれていてもよい。任意に、追加のAMO含有層が含まれていてもよい。有利には、AMO含有層の上に、炭素系材料層が直接置かれ得、次いで、別の炭素系材料層、次いで別のAMO含有層などが置かれ得る。1~20層の対などの任意の数の対となる層が、電極に含まれ得る例が企図されている。さらに、酸性化学種は、上記の通り、電極および/または電極層に任意に組み込まれ得、炭素系材料、AMOおよび/またはバインダと混合され得る。
【0142】
しかし、一部の実施形態では、別個の層が、AMO含有電極に使用されず、電極は、上記の層化電極の全体的な構造体と類似した組成を有する、単独の混合構造体中に、AMO、炭素系材料、および1つまたは複数のバインダ(例えば、PVDF、PAAなど)を含んでもよい。例えば、電極は、個別の炭素系層(AMOが0%)およびAMO含有層(例えば、AMO33%)を含んでもよく、こうして約21%のAMOを有する全組成をもたらす。代替的に、電極は、炭素系材料(およびバインダ)を含む21%のAMO混合物を含有する単一構造体を含むことができる。任意に、単一混合型電極構造体は、多層として任意に組み立てられてもよく、各層は、混合型構造体の共通組成を有する。
【0143】
別の例として、活物質の割合は、様々になってもよい。例えば、上記の多層電極では、炭素系層はAMOを含まないが、AMO含有層は、約33%を含んだ。全体として見ると、層のこのような組成物は、重量基準で総量が、約21%のAMOになり得る。しかし、全体として、AMO含有層および/または電極は、構成に応じて、重量基準で1%~90%の間のAMOを含むことができる。一部の実施形態では、50重量%以上のAMO量などの高いAMO率が有用となり得る。
【0144】
他の実施形態では、35重量%以下のAMO量などの低いAMO率が有用となり得る。電極を組み込んだセルの最大容量および比容量を可能にするため、電極中の活物質の量が、通常、高く(例えば、80重量%以上)維持されるという従来の考えとは反対に、本発明らは、活物質(AMO)の添加量を一層低くするほど、有利なことに、高い全容量および高い比容量を有する電池を生成することが可能となることを見いだした。いかなる理論によっても拘泥されることを望むものではないが、AMO材料を組み込んだ開示されているセルの高い容量は、リチウム原子に対するAMO材料の特定の親和性によって実現され得る。AMO材料を組み込んだ電極により貯蔵され得るリチウム原子の量が著しく多いと、取り込まれたリチウムを収容するため、余分の空間の必要性が生じ得る。一層低率の活物質を含ませることにより、リチウム原子のための追加の空間が実現され得る。実際、電極全体または層を含有する電極中において、AMO活物質の比率が15%または20%と低いことにより、かなり多量のAMO活物質を添加した電極よりも高い容量および比容量さえ示し得る。さらに、導電性カーボンは、AMO材料の存在により活性化され得、充電および/または放電の間、リチウムを取り込むためのさらなる活性部位を提供することができる。
【0145】
リチウム原子に対する大きな親和性のため、一部の実施形態では、AMOが、従来のリチウムセル電極またはリチウムイオン電極に添加されてもよい。このように、従来の電極は、セルの電気化学をほとんどまたは全く変えることなく、有利にも改善されたそのリチウム化容量を有することができる。一部の例において、AMOは、最大で5%の量で、従来のリチウムセル電極またはリチウムイオン電極に添加されてもよい。
【0146】
別の例として、AMOを含む電極の層の厚さは、性能を改善するため、または活物質の添加量(すなわち、重量%AMO)などの電極の他の特性を改変するため、様々にすることができる。例として、電極の炭素系層の厚さは、0.5μm~50μm、1.0μm~20μmまたは1.5μm~10μmとすることができる。他の例として、電極のAMO含有層の厚さは、0.1μm~20μm、1μm~15μmまたは5μm~10μmとすることができる。電極の厚さに関してこれらの範囲以外の値、または例えば、最大で5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μmまたは50μmの厚さを有する電極などの電極が、任意に使用され得る。しかし、本発明者らは、一部の実施形態の場合、上記の通り、個別の炭素系層およびAMO含有層は必要ではないこと、および電極は、単一もしくは複数のAMO含有層または構造体を任意に含んでもよいことを見いだした。
【0147】
別の例として、電極に含まれるバインダの量およびタイプは、特定の結果を実現するために様々になり得る。一部の実施形態では、多量のバインダが、電極または電極層に含まれ得る。例えば、バインダは、10重量%~50重量%で、または炭素系材料と類似した量で、電極または電極層に存在し得る。本発明者らは、導電性カーボンとして高いまたは同等な量のバインダを含ませると、有用な構造特徴および容量特徴を有する良好な品質の電極の形成に有利となり得ることを見いだした。一部の実施形態では、導電性カーボンは、それ自体に圧縮した構造体を形成するのが困難なことがあり、かなりの量のバインダを含ませることにより、有用な炭素系層およびAMO含有層、ならびに/または電極を形成する能力が改善され得る。
【0148】
別の例として、様々な集電体の構成が使用され得る。上記の通り、銅フィルム集電体が使用されてもよい。アルミニウム、ステンレス鋼、黄銅、チタンなどを含めた、他の金属が代替として使用されてもよい。さらに、AMO含有層および/または炭素系層が、複数の集電体間に配置され得る構成体などにおいて、複数の集電体が使用されてもよい。アノードおよびカソードに異なる集電体が使用されてもよいことが理解されよう。さらに、集電体は、フィルムを含む必要はなく、代替として、任意の好適な厚さまたは寸法を有する、メッシュ、格子、ピンまたは他の構造体として構築されてもよい。集電体はまた、温度制御に有用となることがあり、一部の実施形態では、セルの活物質から過剰な熱エネルギーを除去するための放熱板または熱媒体として働くことができる。
【0149】
コインセル型の電池セルが構築され、放電-充電サイクルの反復による試験を行った。SnO AMOを含有するカソードを、ガラス製セパレータ、1:1:1の体積基準のDEC/EC/DMC中の1M LiPFの電解質、およびリチウム金属アノードを使用して、上記の通り組み立てた。セルは、C/10の速度で、3.19V~0.01Vの組み立て開回路電圧としてセルから放電させた。次に、このセルを、C/10の速度で0.01V~1.5Vで充電した。この後に、セルを、C/5の速度で、1.5V~0.01Vおよび0.01V~1.5Vで繰り返してサイクルを行った。電圧および充電速度は、ここでは、単なる例に過ぎないが、他の充電速度および放電速度を使用することができること、および他の充電電圧および放電電圧を使用することができることが理解されよう。少なくとも111回の充電-放電サイクルについて、セルのサイクルを行い、放電容量(mAh/g SnO AMO)を表形式にした。以下の表2は、各サイクルに関する放電容量および充電容量を示す。
【0150】
【表2-1】
【0151】
【表2-2】
【0152】
【表2-3】
【0153】
【表2-4】
図19は、mAh/gでのSnO AMOにおける観察された充電容量(CC)および放電容量(DC)の関数としてのセルのサイクルを示すテータを示す。表2および図19に示されている通り、10,831mAh/gという非常に高い初期放電容量が観察される。この初期放電容量は、セル内部の非可逆的なリチウム化容量を含む。可逆的な脱リチウム化容量は、表2に反映されている通り、2,662mAh/で始まる。このような非常に大きな初期リチウム化容量は、組み立てられたままの状態からの一次使用のために、セルを配置する任意の系で利用可能と思われることが理解されるべきである。図20は、上で構築したセルをサイクルしている間の経時的な電圧プロットを示す。
【0154】
初期放電は、約3.2ボルト~約0.01Vの開回路電圧から発生する一方、充電および放電のサイクルは、0.01V~1.5Vの間で行われることをやはり理解すべきである。任意に、充電および放電のサイクルは、例えば、2.0V、2.5V、3.0Vまたは3.2Vなどのより高い上限値で行うことができる。一層高い電圧上限値でサイクルを行うことにより、組み立てられたままの開回路電圧をさらに下回るが、非可逆性であると上で特定された容量の量も、可逆的な容量として保持され得る。
【0155】
容量が通常ではないことは、高い初期リチウム化容量であることを利用する非常に長い最初の放電サイクル、その後に、一層低い脱リチウム化容量で、より短いが可逆性のサイクルを行うことを特徴とする、新規な「ハイブリッド」電池系であると結論付けられる。
【0156】
試験により明らになった容量は、サイクルを行うために選択した電圧範囲に応じて、エネルギー密度12,584Whr/kg SnOとなる。これは、ガソリン(12,889Whr/kg)のエネルギー密度に匹敵し、本発明者らが認識する限り、現在のところ、あらゆる電池材料において実現した、最高のエネルギー密度である。
【0157】
図21は、103回のサイクル後に分解した、上記の通りに構築したパウチ型セルの画像を示す。きれいで無傷のセパレータであることは、リチウムメッキが発生していないこと、およびセルが示す過容量の理由にはなり得ないことを示している。AMO SnOを含むカソード(銅集電体上で黒色に見える)は無傷であり、集電体に良好に取り付けられたままであり、機械的劣化を受けていない。この例外的な容量測定値は、酸化物材料における約1000mAh/gという高い容量でさえも、不可避な体積変化、およびその後に、電極の機械的破壊がもたらされると断定している科学文献の教示と直接対比するものである。対照的に、本明細書において開示されている実施形態は、有意な体積変化を示すことなく、かつ機械的な構造変化を伴うことなく、この容量の10×という高い容量を示す。
【0158】
やはり、いかなる理論によっても拘泥されることを望むものではないが、カソードにおける活物質(AMO)が10重量%~30重量%の間などの低いレベルであることが一部、理由になって、リチウム金属アノードおよび高いリチウム化容量を有するAMO材料を含むカソードを有する、開示されているセルの構造が、このような高い容量を可能にすると本発明者らは考えている。活物質の添加量が少ないことにより、多量のリチウム原子が放電中にカソードに取り込まれて貯蔵されるのに十分な空間がもたらされ得る。約20~25%という最適添加量は、添加量がより低いと、リチウム原子の反応および取り込みにとって十分な活物質または十分な活性部位がもたらされないという転移点となる一方、添加量がより高いと、取り込まれるリチウム原子にとって好適な体積が供給され得ない。
【0159】
本明細書に記載している、開示されたAMOに基づく電気化学セルの比エネルギー密度は新規であり、不可能であると科学文献によって教示されている。このような結果は、当業者によって現在教示されている、または理解されているもの以外の新規な機構によって進行するので、このような結果となり得、本明細書において開示されているものよりもさらに高い容量が実現され得るという可能性をもたらす。そのようなエネルギー密度の新規な利用性は必然的に他の電極および電池をもたらす可能性があり、これにより、普通ではない形状およびサイズ、新しい電解質系、セパレータおよび集電体などのものが具現化され得る。開示されて特許請求されている電極、セルおよび電池は、開放市場において現在、入手可能な、または本明細書もしくは文献に開示されている、補助的構成成分に限定されると見なされるべきではない。代わりに、開示されているおよび特許請求されている電極、セルおよび電池は、任意の好適な形状、サイズまたは構成をとることができ、任意の好適な電解質、集電体またはセパレータを組み込むことができ、任意の好適な放電および/または充電プロファイルを使用することができることが理解されよう。
【0160】
本発明は、金属酸化物(すなわち、AMO)を含む第1の電極、および金属リチウムを含む第2の電極を含む電気化学セルのための電極の成形を記載する、以下の非限定例を参照することによってさらに理解され得る。第1の電極は、電池産業において、電気化学セルを形成する従来的な実務に一致する、80重量%の金属酸化物を含むように構築した。上記の通り、このような電気化学セルに関する容量は、第1の電極中の金属酸化物の量を5~15%、20~35%または55~70%などの80重量%未満の量まで低減することによって、有意に改善され得る。以下の実施例は、より少ない重量%の金属酸化物を有する電気化学セルを構築することによって最適化され得る例となる化学的性質の例示である。
【0161】
実施例1:酢酸塩/塩化物により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、塩酸(HCl)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、灰色の軟質材料であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図22は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0162】
実施例2:酢酸塩/硫酸塩により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、硫酸(HSO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、灰色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図23は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0163】
実施例3:酢酸塩/硝酸塩により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、硝酸(HNO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、灰色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図24は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0164】
実施例4:酢酸塩/リン酸塩により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、リン酸(HPO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、褐色の軟質片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図25は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0165】
実施例5:酢酸塩/クエン酸塩により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、クエン酸(C)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、褐色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図26は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0166】
実施例6:酢酸塩/クエン酸塩により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、シュウ酸(C)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、灰褐色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図27は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0167】
実施例7:酢酸塩/塩化物により官能化した、酸化鉄をドープした酸化スズのAMO
ドープした酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸鉄の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸スズ(Sn(CHCOO))を溶解した。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、軟質の片状のクリーム状灰色物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図28は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0168】
実施例8:酢酸塩/硫酸塩により官能化した、酸化鉄をドープした酸化スズのAMO
ドープした酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸鉄の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸スズ(Sn(CHCOO))を溶解した。硫酸(HSO)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、淡い灰褐色の軟質片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図29は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0169】
実施例9:酢酸塩/硝酸塩により官能化した、酸化鉄をドープした酸化スズのAMO
ドープした2種の酸化スズAMO試料は、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸鉄(Fe(CHCOO))の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸スズ(Sn(CHCOO))を溶解した。硝酸(HNO)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色の軟質物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図30は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0170】
実施例10:酢酸塩/シュウ酸塩により官能化した、酸化鉄をドープした酸化スズのAMO
ドープした酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸鉄(Fe(CHCOO))の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸スズ(Sn(CHCOO))を溶解した。シュウ酸(C)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色の軟質物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図31は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0171】
実施例11:酢酸塩/リン酸塩により官能化した、酸化鉄をドープした酸化スズのAMO
ドープした酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸鉄(Fe(CHCOO))の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸スズ(Sn(CHCOO))を溶解した。リン酸(HSO)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図32は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0172】
実施例12:酢酸塩/クエン酸塩により官能化した、酸化鉄をドープした酸化スズ
ドープした酸化スズは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸鉄(Fe(CHCOO))の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸スズ(Sn(CHCOO))を溶解した。クエン酸(C)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られた材料は、粒子を形成せず、黄色のガラス状の硬質物質であり、これを電極に形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図33は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0173】
実施例13:酢酸塩/臭化物により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、臭化水素酸(HBr)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、灰色の軟質粉末状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図34は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0174】
実施例14:酢酸塩/ホウ酸塩により官能化した酸化スズのAMO
酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、酢酸スズ(Sn(CHCOO))をエタノール/水の溶液に溶解し、ホウ酸(HBO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、灰色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図35は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0175】
実施例15:硫酸塩/塩化物により官能化した、酸化マンガンをドープした酸化スズのAMO
ドープした酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化マンガン(MnCl)の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に硫酸スズ(SnSO)を溶解した。硫酸(HSO)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、黄褐色の非常に軟質な物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図36は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0176】
実施例16:塩化物により官能化した、酸化マンガンをドープした酸化スズのAMO
ドープした酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化マンガン(MnCl)の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に塩化スズ(SnCl)を溶解した。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、灰褐色の軟質物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図37は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0177】
実施例17:塩化物により官能化した、酸化鉄および酸化アルミニウムをドープした酸化スズのAMO
ドープした2種の酸化スズAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化鉄(FeCl)および塩化アルミニウム(AlCl)のどちらの量もそれほど含まないエタノール/水の溶液に、塩化スズ(SnCl)を溶解した。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。第1の試料に関して得られたAMOナノ材料は、薄い黄褐色片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図38は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。第2の試料に関して得られたAMOナノ材料は、薄い灰色片状物質であった。
【0178】
実施例18:塩化物により官能化した、酸化スズをドープした酸化鉄のAMO
ドープした酸化鉄AMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化スズ(SnCl)の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に塩化鉄(FeCl)を溶解した。鉄対スズの比率は、95:5であった。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、赤色の軟質物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図39は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0179】
実施例19:塩化物により官能化した、酸化スズをドープした酸化鉄のAMO
ドープした酸化鉄AMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化スズ(SnCl)の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に塩化鉄(FeCl)を溶解した。鉄対スズの比率は、95:5であった。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、黒色のガラス状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図40は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0180】
実施例20:硝酸塩により官能化した酸化鉄のAMO
酸化鉄AMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、硝酸鉄Fe(NOをエタノール/水の溶液に溶解し、硝酸(HNO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、黒色のガラス状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図41は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0181】
実施例21:塩化物塩により官能化した酸化ビスマスのAMO
酸化ビスマスAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化ビスマス(BiCl)をエタノール/水の溶液に溶解し、塩酸(HCl)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色の軟質材料であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図42は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0182】
実施例22:硫酸により官能化した酸化ジルコニウムのAMO
酸化ジルコニウムAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、硫酸ジルコニウム(Zr(SO)をエタノール/水の溶液に溶解し、硫酸(HSO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図43は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0183】
実施例23:硫酸塩により官能化した酸化チタンのAMO
酸化チタンAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、硫酸チタニル(TiOSO)をエタノール/水の溶液に溶解し、硫酸(HSO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色の片状物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図44は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0184】
実施例24:硫酸塩により官能化した酸化アンチモンのAMO
酸化アンチモンAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、硫酸アンチモン(Sb(SO)をエタノール/水の溶液に溶解し、硫酸(HSO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、非常に白色の軟質材料であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図45は、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0185】
実施例25:塩化物により官能化した酸化インジウムのAMO
酸化インジウムAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化インジウム(InCl)をエタノール/水の溶液に溶解し、塩酸(HCl)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図46は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0186】
実施例26:硫酸塩により官能化した酸化インジウムのAMO
酸化インジウムAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、硫酸インジウム(In(SO)をエタノール/水の溶液に溶解し、硫酸(HSO)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、白色物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図47は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0187】
実施例27:臭化物により官能化した酸化インジウムのAMO
酸化インジウムAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、臭化インジウム(InBr)をエタノール/水の溶液に溶解し、臭化水素酸(HBr)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、青白色物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図48は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0188】
実施例28:塩化物により官能化した酸化インジウムのAMO
酸化インジウムAMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化インジウム(InCl)をエタノール/水の溶液に溶解し、塩酸(HCl)を添加することによって酸性にした。得られたAMOナノ材料は、黄色の輪を伴う灰色をしており、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図49は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0189】
実施例29:塩化物/酢酸塩により官能化した、酸化スズをドープした酸化リチウムおよび酸化鉄の混合型AMO
ドープした酸化リチウムと酸化鉄との混合型AMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化スズ(SnCl)の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸リチウム(Li(CHCOO))および塩化鉄(FeCl)を溶解した。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。合成中に、フラスコに緑色の輪を伴う黄褐色のピンク色がかった色を呈した。しかし、最終的なAMOナノ材料は灰色をし、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図50は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0190】
実施例30:塩化物/酢酸塩により官能化した、酸化スズをドープした酸化リチウムおよび酸化鉄の混合型AMO
ドープした酸化リチウムと酸化鉄との混合型AMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化スズ(SnCl)の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸リチウム(Li(CHCOO))および塩化鉄(FeCl)を溶解した。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、淡黄金色物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図51は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0191】
実施例31:塩化物/酢酸塩により官能化した、酸化スズをドープした酸化リチウムおよび酸化鉄の混合型AMO
ドープした酸化リチウムと酸化鉄との混合型AMOは、単一ポット熱水合成法を使用して合成した。手短に言えば、塩化スズ(SnCl)の量をそれほど含まないエタノール/水の溶液に、酢酸リチウム(Li(CHCOO))および塩化鉄(FeCl)を溶解した。塩酸(HCl)を添加することによりこの溶液を酸性にした。得られたAMOナノ材料は、薄クリーム状の白色物質であり、電極を形成した。この電極をリチウム金属に対する電池セルに組み立て、0ボルトまで放電し、次いで1.5ボルトまで充電することによりサイクルを行った。図52は、AMOナノ材料の電子顕微鏡画像、測定した容量対サイクル数のプロット、およびサイクル中の時間の関数としての電圧のプロットを図示している。
【0192】
これより図53A図53Bおよび図53Cを参照すると、本開示の態様によるカソード1700、1700Aおよび1700Bの透視図を示す。図53A~53Cは、原寸大ではない。カソード1700は、AMO形態にある33.3%のSnOを含む。AMOは、上で開示した方法に従い調製した。カーボン層1704を形成するため、ケッチェンブラック(KB)EC-300J(SA:約800m/g)のスラリーを、NMP溶液を使用して調製し、厚さ10μmの銅製ホイル1702にコーティングした。このスラリー組成は、80重量%のKBおよび20重量%のPVDFであった。コーティングしたテープを、真空オーブン中、100℃で乾燥した。
【0193】
カーボン/SnO層1706を形成するため、それぞれ33.3重量%のSnO(AMO)、ケッチェンブラックおよびPVDFを一緒に混合して、NMP溶媒を加えることによりスラリーを調製し、KBコーティングした銅製ホイル(1702、1704)の一部にコーティングした。SnO含有層は、「活物質」層と称されることがある。得られたテープを、真空オーブン中、100℃(一晩)で乾燥し、室温でカレンダー加工した。SnOコーティングした領域およびKB(単独)コーティングした領域において、マイクロメータを使用してこのテープの厚さを測定した。KB層1704の厚さは約8μmである。電極層1706の厚さは約2μmである。ホイル層1702は約10μmであり、カソード1700の全厚さは、約18μmとなる。
【0194】
KB(単独)コーティングした領域およびSnOコーティングした領域のカレンダー加工したテープを円形ディスクへと型抜きした。KBディスクの重量をSnOディスクから減算して、電極材料の合計質量を得た。試験したセルタイプの1つの場合、電極材料の合計質量は、0.0005g(KBディスクの重量を減算後)であり、活物質の含有量は、0.000167g(合計質量の33.3%)である。
【0195】
例示した実施形態において、カソード1700のエレメントは、(1)カーボンアンダーコートを使用した層化、(2)アンダーコートとトップコートの両方におけるKB高表面積カーボンの使用、(3)33%活物質のトップコート、および(4)薄い(<10nm)のトップコート層を含むことに留意されたい。KBまたはその等価物以外のナノ粒子サイズのカーボンブラックが使用されてもよい。非限定例として、Super Pは、代替物であることが示されているが、ある種の用途の場合、それほど好ましいものになり得ない。さらに、30~50nmの範囲の一次粒子サイズを有する導電性カーボンブラックが使用されてもよい。1μm未満の一次粒子サイズを有する、いずれのナノ粒子サイズのカーボンブラックも好適であると考えられる。PVDF以外のバインダが使用されてもよい。カソードは、1つまたは複数の層で構築されてもよい。層の代替的な配列は、カソード1700Aおよび1700Bに関して示されている。
【0196】
混合層中の活物質の割合は、好ましくは33%である。しかし、混合層中の活物質の割合は、ほぼ33%であってもよいことを理解すべきである。例えば、混合層中の活物質の範囲は、10%~80%の間であってもよい。好ましい範囲は、20%~50%の間とすることができる。最も好ましい範囲は、25%~35%の間とすることができる。一部の実施形態では、層化構築体は、アノード、カソード、または両方を形成する。層化カソード系は、(金属リチウムおよびリチウムを含有する組合せ物を含むよう)リチウムアノードと組み合わせてもよい。
【0197】
層化構築体の1つまたは複数の層の厚さは、ほぼ2μmであってもよい。セル構築体を最適化するため、様々な集電体を使用することができる。好ましい層化構築体は、少なくとも1つのカーボン層および少なくとも1つの活物質層および/または混合層を含んでもよい。好ましい配置では、少なくとも1つのカーボン層および添加量の少ない活物質または混合層が含まれる。カーボン層(KB)は、活物質層もしくは混合層の下、活物質もしくは混合層の間、活物質層または混合層の上、またはそれらの任意の組合せで使用され得る。
【0198】
図54を参照すると、非層化混合型構築体を使用して構築した同一活物質を有するセルと比べて、層化構築体を使用して構築した活物質を有する電池セルの3つの例の性能試験の比較グラフが提示されている。非層化した試験セルは、カーボン材料(KB)と混合した活物質の混合型構築体を含む。提示された性能試験は、各実施例に関する最初の放電試験であることを理解すべきである。しかし、同様に、複数のサイクルに対して、容量の増加も観察された。(図54~59を参照されたい)。
【0199】
上記の層化電極構築体は、一般に、AMO材料はもちろん、電池活物質の性能を改善することが見いだされた。図54は、AMO酸化スズ、2つのサイズ範囲の非AMO酸化スズおよびAMO酸化鉄を使用する開示方法に準拠して作製した電池コインセルの性能が改善していることを示す。非層化構築体フォーマットと比較した、層化構築体フォーマットを使用する容量の平均増加率は、314%である。これは、(層)界面におけるリチウムのさらなる貯蔵の結果であり、単に導電効果の結果ではないと考えられる。しかし、とは言いながら、層化構築体は、非層化構築体よりも良好な導電接触をもたらす。これまで試験した電極材料はどれも、非層化構築体または混合型構築体よりも層化構築体において良好に働き得ると言える。
【0200】
一部の実施形態では、電池用電極のための層化構築技法は、スプレーガンまたはエアブラシを利用して行われ得る。混合層および/またはカーボン層のどちらも、スプレーガンまたはエアブラシを利用して塗布することができる。多層化構築体の場合、エアブラシまたはスプレーガン法が、層のすべてに使用されてもよく、または層の一部だけに使用されてもよい。エアブラシまたはスプレーガン法はまた、スプレーガンにより構築した電極と同時に、その次に、またはその上に電解質を送達するために使用されてもよい。
【0201】
本開示の目的のため、スプレーガンまたはエアブラシは、表面に物質の個別の液滴を送達して、(例えば、カーボン層または活性層の)層を形成する機構またはデバイスと見なされる。個別の液滴は小さくてもよいが、この技法は、層が、気体形態からの凝縮とは反対に、液滴の形態で表面に到達して凝集するので、化学蒸着技法とは異なると考えられる。本実施形態では、スプレーガン/エアブラシ法は、操作するクリーンルームまたは注意深く制御されたガス環境を必要としない。液滴が噴射される物理的機構は、空気流もしくはガス流、または機械的動作(例えば、圧電式スプレーガンまたは超音波式スプレーガン)に基づくことができる。一部の実施形態では、材料の液滴の噴霧は、正確な位置決め、流速および層の厚さを制御するためのソフトウェアで制御した機械式アクチュエータを使用する印刷タイプの技法により行われてもよい。噴霧構築法の利用に際し、単層は、1回の通過で塗布されてもよく、または次の隣接層(例えば、カーボン層または活性層)が始まるよう、完成したと見なされる前に複数回の通過をかけて構築されてもよいことを理解すべきである。
【0202】
一実施形態では、本開示によるコロイド状懸濁液などの懸濁液を霧化させて、ガス圧によりノズルから送達される。懸濁液は、0.001~20%の範囲の固体含有率を有することができる。固体は、以下に限定されないが、水およびエタノールを含めた、担体流体として機能する様々な液体中に懸濁されてもよい。この固体はナノ微粒子金属酸化物などの活物質とすることができ、これは、単独で、または導電性カーボン、バインダおよび他の添加剤と組み合わせて送達されてもよい。一部の実施形態では、懸濁液は、その中に2~33%の活物質を有するスラリーとして調製される。噴霧懸濁液中の固体の全量は、0.01~10mg/cmの範囲とすることができる。
【0203】
霧化または噴霧化に使用されるノズルは、様々な幾何形状であってもよく、様々なサイズの開口部および様々な圧力での流速を有することができる。ノズルによる送達系は、コンピュータ(例えば、プリンタを備える)によって制御されてもよい。噴霧の液滴サイズは、約1nm~約100μmの範囲とすることができる。噴射ガスは、標準大気または周囲空気(任意に、ろ過する)とすることができ、一部の他のガスまたはガスの混合物であってもよい。
【0204】
電極は、噴霧化構築技法を使用して、1つの噴霧化層または複数の噴霧化層で構築され得る。電極は、他の手段によって構築した追加の層を含む少なくとも1つの噴霧化層から構成され得る。噴霧化層は、10μm未満の厚さとすることができ、多孔度は、50%以上である。多孔度は、ノズル操作に基づいて制御または調節可能となり得、完成電極の性能に関係することがある。厚さもまた、ノズル操作に基づいて制御または調節可能となり得、完成電極の性能に関係することがある。一部の実施形態では、噴霧化層の全厚さは、6~22μmの範囲となり得る。
【0205】
エアブラシ/スプレーガン技法は、混合層としての基材の幾何形状に依存せず、カーボン材料は、以下に限定されないが、銅製テープ、アルミニウム製テープ、カーボン布、および以下に限定されないが、含金属銅製フィルムおよび含金属アルミニウム製フィルムを含めた含金属製フィルムを含む幅広い表面に塗布することができる。一部の実施形態では、カーボン層および活性層は、電極の土台として導電性ポリマー層に適用される。導電性ポリマー層は、以下に限定されないが、ポリアセチレン、ポリピロールおよびポリアニリンを含むことができる。
【0206】
一部の実施形態では、カーボンの層は、導電性ポリマーフィルムに、エアブラシまたはスプレーガンにより塗布され、その次に、混合層または活性層が塗布される。別のカーボン層およびその後の活性層は、所望の数の層が達成されるまで塗布されてもよい。完成セルは、本開示などによる電解質を利用して構築され得る。別の実施形態では、活性層は、導電性ポリマーまたは含金属フィルムに直接、塗布されてもよい。
【0207】
ガラス製セパレータ、電解質として1:1:1のDEC/EC/DMC、およびリチウムからなるアノードを使用して、上記のカソード1700を用いて構築した(非エアブラシ構築)、AMO SnO活物質を使用するコイン型セルを試験した。他のタイプのセパレータおよび電解質が使用されてもよい。このセルを、C/10の速度で、その開回路電圧3.19V~0.01Vから最大で1.5Vまで、次に(thence)、C/5の速度で、1.5V~0.01Vまでサイクルした。これらより大きな範囲と小さな範囲の両方の他の電圧を使用してもよい。これらより大きな範囲と小さな範囲の両方の他の速度を使用してもよい。以下の表2は、111回のサイクルにわたる、充電容量および放電容量(AMO SnOのmAh/g)を示している。
【0208】
上記のエアブラシ構築法、ガラス製セパレータ、電解質として1:1:1のDEC/EC/DMC、およびリチウムからなるアノードで送達した、AMO SnO活物質を使用するコイン型セルを試験した。図59は、そのサイクル性能を示している。
参照および変更による組込みに関する記載
本出願全体にわたるすべての参照文献、例えば、交付済みもしくは付与済み特許または均等物、特許出願公開を含めた特許書類、および非特許文献書類または他の情報源資料の全体が、あたかも参照により個別に組み込まれているかのごとく、参照により本明細書に組み込まれる。
【0209】
本明細書に明記されている特許および出版物はすべて、本発明が属する当業者の熟練度を示す。本明細書において引用されている参照文献は、一部の場合、その出願日時点での現況技術を示すように、その全体が参照により本明細書に組み込まれており、この情報は、本明細書において使用されて、必要に応じて、先行技術にある具体的な実施形態を除外する(例えば、請求権を放棄する)ことができることが意図されている。例えば、化合物が特許請求されている場合、本明細書に開示されている参照文献(特に、参照される特許書類)に開示されている、ある種の化合物を含めた、先行技術に公知の化合物は、特許請求の範囲に含まれることを意図しているわけではないことを理解すべきである。
【0210】
置換基の群が、本明細書において開示されている場合、それらの群の個々のメンバーのすべて、および置換基を使用して形成され得る部分群およびクラスのすべてが、個別に開示されていることが理解される。マーカッシュ群または他の分類付けが本明細書において使用される場合、群の個々のメンバーのすべて、ならびに群の可能なすべての組合せおよび部分組合せが、本開示に個々に含まれる。本明細書で使用する場合、「および/または」は、「および/または」によって分離されているリスト中の項目の1つ、すべてまたは任意の組合せが、このリスト中に含まれることを意味する。例えば、「1、2および/または3」とは、「「1」または「2」または「3」、または「1および2」または「1および3」、または「2および3」または「1、2および3」」と等価である。
【0211】
特に明記しない限り、記載されたまたは例示された各製剤、または構成成分の組合せを使用して、本発明を実施することができる。当業者は、同一材料を異なって命名し得ることが知られているので、材料の具体名は、例示であることが意図されている。当業者は、具体的に例示されているもの以外の方法、デバイスエレメント、出発原料および合成法が、過度の実験を用いることなく、本発明の実施に使用され得ることを理解しているであろう。このような方法、デバイスエレメント、出発原料および合成法のいずれかの当分野で公知の機能的均等物のすべてが、本発明に含まれることが意図されている。ある範囲、例えば温度範囲、時間範囲または組成範囲が本明細書において示されている場合は常に、中間範囲および部分範囲のすべて、ならびに与えられている範囲に含まれるすべての個々の値が、本開示に含まれることが意図されている。
【0212】
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」または「を特徴とする(characterized by)」と同義であり、包括的またはオープンエンドなものであり、追加の列挙されていない要素または方法工程を排除するものではない。本明細書で使用する場合、「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素に指定されていない、任意の要素、工程または成分を除外する。本明細書で使用する場合、「から実質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基礎的特徴および新規特徴に実質的に影響を及ぼさない、物質または工程を除外しない。特に、組成物の構成成分の記載、またはデバイスの要素の記載において、用語「含む(comprising)」という本明細書におけるいずれの列挙も、列挙された構成成分または要素から実質的になる、およびこれらからなる組成物および方法を包含することが理解される。本明細書において例示的に記載されている本発明は、好適には、本明細書において具体的に開示されていない、任意の要素または限定の非存在下で実施されてもよい。
【0213】
使用されてきた用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用されており、示されているおよび記載されている特徴、またはそれらの一部のいずれの均等物も除外するこのような用語および表現の使用に、意図するものはなにもないが、様々な修正が、特許請求されている本発明の範囲内で可能であると認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および任意選択的な特徴により具体的に開示されているが、本明細書において開示されている概念の修正および変形が、当業者によって利用され得ること、ならびにこのような修正および変形は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると考えられることを理解すべきである。
【0214】
したがって、本発明は、目的を実施するように良好に順応され、上記の結論および利点、ならびにそれらに固有のものを達成する。現在、好ましい実施形態は、本開示の目的に関して記載されているが、多数の変更および修正が当業者に明白となろう。このような変更および修正は、添付の特許請求の範囲により定義されている本発明の趣旨の範囲内に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59