(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】ヘアスタイリング装置
(51)【国際特許分類】
A45D 2/00 20060101AFI20220413BHJP
A45D 2/36 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
A45D2/00 Z
A45D2/36 Z
(21)【出願番号】P 2020555877
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2019060268
(87)【国際公開番号】W WO2019206852
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-12
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ボーキン ヤニック パルリアン ジュリアン
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/142497(WO,A1)
【文献】特表2017-500937(JP,A)
【文献】特開2019-126452(JP,A)
【文献】特開2018-029815(JP,A)
【文献】特表2006-514037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/04,2/00,2/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛のカーリング及び/又はストレートニングのためのヘアスタイリング装置であって、
発光ダイオード又は有機発光ダイオードを有する光源と、
光放射に毛をさらすためのルミネッセンスユニットと、
を有し、
前記光源は、前記ルミネッセンスユニットに光を発するよう構成され、
前記ルミネッセンスユニットの両端にミラーを持つことによって、前記ルミネッセンスユニットに毛が接触する場所を除いて、前記ルミネッセンスユニットから出る光が妨害される、ヘアスタイリング装置。
【請求項2】
前記ルミネッセンスユニットは、光源からの第1の波長の光を、前記ルミネッセンスユニットから出る第2の波長の脱出光へと変換するよう構成された、請求項1に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項3】
前記ルミネッセンスユニットは散乱要素を備えた、請求項1又は2に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項4】
前記ルミネッセンスユニットの屈折率は、1.3乃至1.7の範囲であり、好適には1.3乃至1.42の範囲である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項5】
前記ルミネッセンスユニットは、複数の処置区画を提供する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項6】
前記ルミネッセンスユニットに光を結合するための光源を持つハンドル部を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のヘアスタイリング装置。
【請求項7】
各々がそれぞれのヘアスタイリングタイプに適合させられた、前記ハンドル部に挿入可能な、複数の交換可能なルミネッセンスユニットを備えた、請求項6に記載のヘアスタイリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光熱的な毛髪の整形のためのヘアスタイリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開WO2017153121(整理番号2016PF00294、参照により本明細書に組み込まれたものとする)は、光エネルギーを毛髪に送達するように構成されたパルス駆動発光ダイオード(LED)又はLEDのアレイを有するヘアスタイリング装置を開示し、ここで出力波長は400乃至900nmの範囲内にあり、400nm乃至650nmの範囲内で良好な結果が得られ、好適には450乃至550nmの範囲内にあり、パルス幅は50乃至300msの範囲内にあり、好適には50乃至200msの間であり、例えば100乃至200msの間であるか、又は50乃至100msの間であり、該装置は更に、LEDを駆動するためのLEDパルスドライバ回路と、特に電圧、パルス持続時間、パルスデューティサイクルを含むパルス電気パラメータを制御する、LEDパルスドライバを制御するための制御システムと、毛髪に接触し、毛髪を予め設定された形状、例えば平面状に保持するように構成された毛髪接触インターフェースと、及びLEDによって提供されるパルス光照射中に迷光を遮断するように構成された光学シールドと、LEDによって提供されるパルス光露光の間、例えば平面状、円筒状、及び毛髪の光露光の間、迷光を遮断するように構成された光学シールドと、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、改善されたヘアスタイリング装置を提供することである。本発明は、独立請求項により定義される。有利な実施例は、従属請求項により定義される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、毛を光放射にさらすためのルミネッセンスユニットを有するヘアスタイリング装置が提供される。好適には、ルミネッセンスユニットは、光源からの第1の波長の光を、ルミネッセンスユニットから出る第2の波長の脱出光に変換するように配置されている。好適には、ルミネッセンスユニットは、例えば、ルミネッセンスユニットの端部にミラーを持つことによって、毛がルミネッセンスユニットに触れる部分を除いて、ルミネッセンスユニットから出る光を妨害するように配置されている。好適には、ルミネッセンスユニットは散乱要素を備える。ルミネッセンスユニットの屈折率は、1.3乃至1.7の範囲、好適には1.3乃至1.42の範囲であっても良い。好適には、ルミネッセンスユニットは、複数の処置区画を提供する。好適には、ヘアスタイリング装置は、ルミネッセンスユニットに光を結合するための光源を有するハンドル部からなり、各々がそれぞれのヘアスタイリングタイプに適合された複数の交換可能なルミネッセンスユニットを提供しても良く、これらの交換可能なルミネッセンスユニット(LU)はハンドル部に挿入可能である。
【0005】
光熱による毛髪の再整形は、設計上の制約及び光源からの固有のパラメータのために、十分に大きな毛束に均質な光強度を提供することが困難であることに悩まされる。本発明では、制限された設計上の制約を受けることなく、毛髪に均質な光を提供する方法を記述する。本発明の実施例は、光を導波路にトラップし、幾つかの設計上の可能性を持って、毛髪に向かって光強度を均一に広げるためのルミネッセンスユニットの使用に基づいている。ルミネッセンスユニットの形状は、好適には、ヘアスタイリング装置によって実施されるヘアスタイリングの種類に適合される。
【0006】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照しながら説明され、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の実施例で使用される原理を示す。光熱的毛髪再整形は、設計上の制約及び光源からの固有のパラメータのために、十分に大きな毛束に均質な光強度を提供することの困難さに悩まされる。本実施例は、設計上の制約に制限されることなく、毛Hに均質な光を提供する。実施例は、光を導波路にトラップするためのルミネッセンスユニットLUの使用に基づいており、幾つかの設計上の可能性をもって毛髪Hに向かって光強度を均一に広げることができる。ルミネッセンスユニットは、光透過体と、1つ以上の放射入力面を構成する光透過体と、光源からの光の少なくとも一部を変換光に変換するように構成された発光材料とから構成されている。
【0009】
図1において、光源Lは、ここではルミネッセンスロッドの形状をとるルミネッセンスユニットLUに光Liを送る。光源Lは、LEDアレイであっても良いし、有機EL素子であっても良いし、レーザであっても良い。ルミネッセンスユニットは、発光色素LDを有し、ルミネッセンスロッドの両端にはミラーMが設けられている。発光色素LDの結果、入射光Liは変換光CLに変換される。毛HがルミネッセンスユニットLUに接触したところでは、ルミネッセンスユニットLUから脱出光ELが出する。
【0010】
光源Lは、ルミネッセンスユニットLUに向かって光Liを出射する。ルミネッセンスユニットLU内の蛍光色素LDは、この光を第2の波長に変換して全方向に出射する。波長変換は、幾つかの実施例の重要な側面であり、十分な光が導光体内に閉じ込められるという利点を提供する。使用する波長のタイプは、潜在的に任意の波長をヘアスタイリングに使用することができるので、ここでは第二の態様である。波長変換の幾つかの例は、UV(<400nm)から青色光(約450乃至520nm)への変換であり得る。UVは、標準的な構成では安全ではないと考えられるが、変換を使用して、該装置から出る光は安全な範囲内となる。代替としては、青色光(約450nm)が、赤外線(>700nm)に変換され、この場合、該装置から出る光はユーザには見えず、青色光LEDは高パワーの入力を提供することができる。ルミネッセンスユニットの屈折率は、1.3乃至1.7の範囲、好適には1.3乃至1.42の範囲である。
【0011】
再放出された光の一部は、全内部反射(TIR)によりルミネッセンスロッド型導波路に捕捉され、この再放出波長に対して材料が透明であるため、ルミネッセンスユニットLUに沿って進む。全内部反射は、エネルギーが失われない現象である。毛髪HがルミネッセンスユニットLUの側面に接触している場合、変換された光CLの一部が妨害された内部反射により毛髪Hに入り込む。
【0012】
ミラーMは、ルミネッセンスユニットLUの両端に配置され、ルミネッセンスユニットLU内を往復移動する光を維持し、主な光の脱出は髪の毛との接触によるものである。このように、毛髪がルミネッセンスユニットLUに接触した際には、光の一部しか逃げないため、表面からの光の潜在的な放出は常に均質なものとなる。換言すれば、このことは、光源からの光の不均一性に関連する問題に対処する。
【0013】
これらの原理から、毛髪の再整形のための幾つかの実施例が導出され得る。例えば、
図2に示すような1つの実施例においては、ルミネッセンスユニットLUは、毛髪Hがロッドから約200μm以上離れて積層されないような態様で、毛Hがロッドの周りに巻き付けられることができる、円筒又はロッドの形をとる。
【0014】
他の実施例においては、ルミネッセンスユニットLUは櫛状構造を形成する。このことは、複数のルミネッセンスロッドのアレイ(
図3)を使用することによって、又はルミネッセンスロッドが複数の分岐(
図4)に分離した状態で、発光ロッドに光が出射される第1の位置を持つことによって、実現され得る。好適には、ルミネッセンスユニットLUの分岐から生じる処置区画は、5乃至15枚、例えば約10枚の毛の層のような積層を可能にするような態様で、寸法決めされている。
図3及び
図4において、毛髪Hは、様々な処置区画内に示されている。
【0015】
幾つかの実施例においては、毛束は光源に対向するよう配置されても良い。斯かる実施例においては、変換された光と光源からの直接光との両方を使用して毛を加熱し、光の損失を低減するという利点がある。
【0016】
他の実施例においては、光変換の間のエネルギーの損失は、毛髪に2種類の加熱(光熱及び拡散)を提供するために、ルミネッセンスロッド全体を加熱するために使用され、装置の効率を最大化する。
【0017】
更に別の実施例においては、毛髪に向かって出射する面は、毛髪と接触することなく光をロッドから強制的に脱出させるために、散乱要素で被覆されていても良い。散乱要素は、材料(例えばテフロン(登録商標))又は微細構造であっても良い。
【0018】
幾つかの実施例においては、光透過体は、好適にはセラミックであるが、ガラス、結晶又はポリマーであっても良い。ドーパントを含まない光透過体内の光の透過率は、好適には、LEDによって放出された光及びドーパントによって変換された光に対して100%に近い。
【0019】
幾つかの実施例においては、ルミネッセンス材料は、蛍光又は燐光材料又は量子ドットであっても良い。典型的なフルオロフォアは、C. Tummeltshammer、A. Taylor、A. J. Kenyon、I. Papakonstantinouによる論文(Solar Energy Materials and Solar Cells、Vol. 144、2016年1月、40乃至47頁)に列記されている。より好適には、発光材料(セラミックガーネット)をドープしたセラミックが最も適した材料であり得る。これら材料は典型的には、A3B5O12:Crの形をとり、Aは特にガドリニウム(Gd)及びイットリウム(Y)であり、Bは特にアルミニウム(Al)又はガリウム(Ga)である。更に、光の吸収を向上させるために、Ce3+などの増感剤が添加されても良い。典型的な材料は、例えば、Gd3Ga5O12:Crであり得る。この材料のηPLQYは、典型的には80%以上であり、フォトルミネッセンスの減衰は300μs未満である。
【0020】
量子ドットも使用することができる。量子ドットは、一般的に数ナノメートルの幅又は直径しか持たない半導体材料の小さな結晶である。量子ドットは、入射光で励起されると、結晶の大きさや材質によって決まる色の光を発する。可視領域で発光する既知の量子ドットの殆どは、硫化カドミウム(CdS)や硫化亜鉛(ZnS)などのシェルを持つセレン化カドミウム(CdSe)に基づくものである。また、インジウムリン酸塩(InP)などのカドミウムを含まない量子ドットや、硫化銅インジウム(CuInS2)及び/又は硫化銀インジウム(AgInS2)を用いることもできる。更に、量子ドットの大きさを調整することにより、発光色を容易に調整することができる。
【0021】
有機蛍光体も同様に使用することができる。好適な有機蛍光体材料の例としては、ペリレン誘導体に基づく有機発光材料、例えばBASF社からLumogen(登録商標)の名称で販売されている化合物が挙げられる。好適な化合物の例としては、Lumogen(登録商標) Red F305、Lumogen(登録商標) Orange F240、Lumogen(登録商標) Yellow F083、及びLumogen(登録商標) F170が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
好適には、変換材料中のルミネッセンスサイトの濃度は、99%以上の変換率を持つのに十分に高い。このことは、入射(LED)光の吸収長が、板厚の0.22倍よりも小さいことを意味する。
【0023】
幾つかの実施例においては、より広いスペクトル範囲を得るために、2種類以上の発光材料が使用されても良い。
【0024】
LEDがUV光を発している場合には、安全上の理由から、出口面に追加のフィルタが配置されても良い。フィルタのない構成においては、光透過体内を伝搬するUV光が100%に近い変換率を持つよう、LEDが出口面から十分に離れて配置される。
【0025】
ストレートナ(straightener)の用途については、ヘアスタイリング装置は、処置区画内で加熱及び再整形が行われる一種の光学的な櫛に過ぎないものとなり得る。カーラ(curler)の用途については、処置区画は湾曲していても良く、例えば内部にLEDを有するロッドの周りに配置される。内部にLEDを有するが処置区画を有しないロッドは、先行の国際出願PCT/EP2018/073508(整理番号2017PF02405、参照により本明細書に組み込まれたものとする)において言及されている。
【0026】
一実施例においては、毛髪のカーリング(curling)及びストレートニング(straightening)の用途のためのそれぞれの特定の形状を有するルミネッセンスユニットLUが、交換可能であっても良い。本体又はハンドル部は光源Lのみを有し、ルミネッセンスユニットLUはアドオンであっても良い。異なるアドオンは、異なる直径を有していても良い。
【0027】
一実施例においては、パルス状のLEDが毛髪のスタイリングのために使用される。出力波長は、好適には400乃至900nmの範囲であり、より好適には450乃至550nmの範囲である。パルス幅は、好適には200ms以上、より好適には100ms以上である。毛髪の損傷を防止するために、毛髪表面の出力エネルギーフルエンスは、好適には1J/cm2から10J/cm2の間の範囲であり、より好適には3J/cm2から7J/cm2の間の範囲であり、最も好適には4J/cm2から6J/cm2の間の範囲である。
【0028】
一実施例においては、光エネルギーだけでなく、LEDからの熱(例えばLEDのヒートシンクからの熱、又はヘアスタイリングに適した波長帯域外の光エネルギーに由来する熱)も、毛髪に接触する接触面を加熱するために使用されるので、先行の国際出願PCT/EP2018/073508(整理番号2017PF02405)においてより詳細に記載されているように、ヘアスタイリングに必要なガラス転移温度以上の温度に毛髪を加熱するために、好適な波長帯域内のLEDから、より少ない光エネルギーしか必要とされない。光放射源(例えば1つ又は複数のLED)は、少なくとも0.1秒の持続時間を有する1つの放射フラッシュを使用して毛髪を放射するように配置されても良い。代替としては、光放射源は、後続のフラッシュ間の間隔が5秒より短く、好適には1秒より短く、より好適には0.3秒より短く、少なくとも2回の放射フラッシュを使用して毛髪を放射するように配置されても良い。
【0029】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。一実施例においては、光源は、スタイリングに必要な温度を上昇させるために必要な光エネルギーを毛髪が受け取ることができるように、光出力を変化させるようパルス波(PW)を形成するためにオン及びオフ(フラッシュ)される。代替としては、動作中にLEDを流れる電流を調節して光出力を制限することにより、毛髪が光エネルギーに過剰にさらされないようにするよう、適切な光源制御と組み合わせて、光源をオン(オフではない)にして連続波(CW)を形成する。請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定することを意図したものではない。「有する(comprising)」なる語は、請求項に記載されたもの以外の要素又は態様の存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」なる語は、複数の斯かる要素の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び/又は適切にプログラムされたコンピュータによって実装されても良い。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。