(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-12
(45)【発行日】2022-04-20
(54)【発明の名称】ディスクグラインダー及びディスクグラインダーの集塵装置
(51)【国際特許分類】
B28D 7/02 20060101AFI20220413BHJP
B28D 1/04 20060101ALI20220413BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20220413BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20220413BHJP
B24B 55/10 20060101ALI20220413BHJP
【FI】
B28D7/02
B28D1/04 A
B24B55/06
B25F5/00 Z
B24B55/10
(21)【出願番号】P 2021133150
(22)【出願日】2021-08-18
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2021-04-28
【審査請求日】2021-08-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520036156
【氏名又は名称】牧野 嘉宣
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】牧野 嘉宣
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255215(JP,A)
【文献】実開昭57-162052(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/02
B24B 55/10
B28D 1/04
B24B 55/06
B25F 5/00
B23D 43/00
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターを内蔵して前後方向に延びる駆動本体部と、
前記駆動本体部の先端部に側方へ突出するように設けられ、前記モーターにより回転駆動される回転軸部と、
前記回転軸部に取り付けられたディスクカッターと、
前記ディスクカッターの外周の上側を覆う外周カッターカバーと、を備え、
前記回転軸部は前記ディスクカッターを前記外周カッターカバーより下側の前記ディスクカッターの部分が前方から後方に回転するように回転駆動するディスクグラインダーであって、
前記ディスクカッターの後側で開口するように配置された集塵口部と、この集塵口部から後方に延び、吸引装置に接続される集塵パイプと、をさらに有
し、
前記集塵口部は、ゴム製であり、先端開口が前記外周カッターカバーの後側で前記外周カッターカバーの後端を越えて上側に延び、前記外周カッターカバーの後端部から前記外周カッターカバーより下側の前記ディスクカッターの部分の後端部にかけて臨むように形成されていて、
切削時に前記集塵口部の前記先端開口の下端部を被切削材の表面に押し付け、変形させて被切削材の表面に密着できるように構成されている、ことを特徴とするディスクグラインダー。
【請求項2】
前記集塵パイプの角度を調整して固定することにより前記集塵口部の角度を調整して固定し、前記先端開口の下端部の変形量を調整できるように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載のディスクグラインダー。
【請求項3】
モーターを内蔵して前後方向に延びる駆動本体部と、
前記駆動本体部の先端部に側方へ突出するように設けられ、前記モーターにより回転駆動される回転軸部と、
前記回転軸部に取り付けられたディスクカッターと、
前記ディスクカッターの外周の上側を覆う外周カッターカバーと、を備え、
前記回転軸部は前記ディスクカッターを前記外周カッターカバーより下側の前記ディスクカッターの部分が前方から後方に回転するように回転駆動するディスクグラインダーに取り外し可能に取り付けられる集塵装置であって、
前記駆動本体部に取り外し可能に取り付けられる支持部と、
この支持部に支えられて前記ディスクカッターの後側で開口するように配置される集塵口部と、
前記支持部に支えられて、この集塵口部から後方に延び、吸引装置に接続される集塵パイプと、を有し、
前記集塵口部は、ゴム製であり、先端開口が前記外周カッターカバーの後側で前記外周カッターカバーの後端を越えて上側に延び、前記外周カッターカバーの後端部から前記外周カッターカバーよりも下側の前記ディスクカッターの部分の後端部にかけて臨むように形成されていて、
切削時に前記集塵口部の前記先端開口の下端部を被切削材の表面に押し付け、変形させて被切削材の表面に密着できるように構成されている、ことを特徴とする集塵装置。
【請求項4】
前記集塵パイプの角度を調整して固定することにより前記集塵口部の角度を調整して固定し、前記先端開口の下端部の変形量を調整できるように構成されている、ことを特徴とする請求項3記載の集塵装置。
【請求項5】
前記支持部には、前記駆動本体部の上方に位置して前後方向に延びる、使用時に握ってディスクグラインダーを支えるための把持部が設けられている、ことを特徴とする請求項3又は4記載の集塵装置。
【請求項6】
前記集塵口部は前記先端開口に向かって高さが漸次高くなる、ことを特徴とする請求項3、4又は5記載の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンディータイプ又は小型のディスクグラインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクグラインダーを使用して例えば石材やコンクリート面を切削する場合には多量のコンクリートの切削塵が発生する。したがって、発生したコンクリートの切削塵を集塵する集塵装置が必要となる。
【0003】
ディスクグラインダーの集塵装置としては砥石全体をカバーで覆い、このカバー内を吸引するものが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような集塵装置をコンクリート面などの切削に使用されるディスクカッター(ダイヤモンドカッター)にそのまま適用することはできない。そこで、ディスクカッターの集塵装置としては、ディスクカッターの一部を覆うカッターカバーに吸引装置を接続できるように構成したものが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような集塵装置では、カッターカバーから露出しているディスクカッターの部分の回転切削により発生する塵を効果的に集塵できない。
【0006】
そこで本発明は、ディスクグラインダーのディスクカッターによる切削時に発生する切削塵を効果的に集塵でき、しかも切削作業の妨げとならないようなコンパクトな集塵装置を有するディスクグラインダー及びディスクグラインダーのディスクカッターによる切削時に発生する切削塵を効果的に集塵でき、しかも切削作業の妨げとならないようなコンパクトな集塵装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明のディスクグラインダーは、モーターを内蔵して前後方向に延びる駆動本体部と、前記駆動本体部の先端部に側方へ突出するように設けられ、前記モーターにより回転駆動される回転軸部と、前記回転軸部に取り付けられたディスクカッター(例えばダイヤモンドカッター)と、前記ディスクカッターの外周の上側を覆う外周カッターカバーと、を備え、前記回転軸部は前記ディスクカッターを前記外周カッターカバーよりも下側の前記ディスクカッターの部分が前方から後方に回転するように回転駆動するディスクグラインダーであって、前記ディスクカッターの後側で開口するように配置された集塵口部と、この集塵口部から後方に延び、吸引装置に接続される集塵パイプと、をさらに有するものである。集塵口部はディスクカッターによって発生する塵の移動を受けるように開口しているので、小型に形成しても十分な集塵効果を期待できる。切削時(例えば切断したり切り込みを入れたりする時)には、例えばディスクカッターを被切削材に垂直に当てる。
【0008】
集塵口部は、ゴム製であることが効果的であり、例えば、先端開口が外周カッターカバーの後端部から外周カッターカバーよりも下側のディスクカッターの部分の後端部にかけて臨むように形成され、さらに、切削時に先端開口(例えば先端開口の底部又は下端部)が被切削材の表面に密着できるように構成される。また、集塵口部の角度(例えば先端開口の向く角度又は先端開口の上下方向位置)を調整できることが好ましい。
【0009】
また、この目的を達成するための本発明の集塵装置は、モーターを内蔵して前後方向に延びる駆動本体部と、前記駆動本体部の先端部に側方へ突出するように設けられ、前記モーターにより回転駆動される回転軸部と、前記回転軸部に取り付けられたディスクカッター(例えばダイヤモンドカッター)と、前記ディスクカッターの外周の上側を覆う外周カッターカバーと、を備え、前記回転軸部は前記ディスクカッターを前記外周カッターカバーよりも下側の前記ディスクカッターの部分が前方から後方に回転するように回転駆動するディスクグラインダーに取り外し可能に取り付けられる集塵装置であって、前記駆動本体部に取り外し可能に取り付けられる支持部と、この支持部に支えられて前記ディスクカッターの後側で開口するように配置される集塵口部と、前記支持部に支えられて、この集塵口部から後方に延び、吸引装置に接続される集塵パイプと、を有するものである。集塵口部を集塵パイプに取り付け、この集塵パイプを支持部で支えることにより、集塵口部を支持部で支えることができる。
【0010】
集塵口部は、ゴム製であることが効果的であり、例えば、先端開口が外周カッターカバーの後端部から外周カッターカバーよりも下側のディスクカッターの部分の後端部にかけて臨むように支持部に支えられ、さらに、切削時に先端開口(例えば先端開口の底部又は下端部)が被切削材の表面に密着できるように構成される。また、集塵口部は角度(例えば先端開口の向く角度又は先端開口の上下方向位置)を調整できるように支持部に支えられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のディスクグラインダー又は集塵装置を用いれば、ディスクグラインダーの使用時に発生する塵を効果的に集塵できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るディスクグラインダの斜視図である。
【
図2】ディスクグラインダの支持枠体の斜視図である。
【
図4】切削時の集塵口部の密着状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1及び
図2を参照して本発明に係るディスクグラインダーの構成を説明する。
【0015】
ディスクグラインダー1は、モーター2を内蔵し、手で握れる太さに形成されて前後方向に延び、後端部から電源ケーブル3が引き出された駆動本体部5と、この駆動部本体5の先端部に側方に突出するように設けられ、モーター2によって回転する回転軸部7と、この回転軸部7の先端部に取り付けられたディスクカッター9と、駆動部本体5の先端部に設けられ、ディスクカッター9の一部、半分、上側又は上側半分の円弧状外周を覆う円弧状の外周ディスクカバー11及びディスクカッター9の一部、半分、上側又は上側半分の裏面を覆う半円状の裏面ディスクカバー13を一体的に備えた断面L字型のディスクカバー15と、駆動本体部5に取り外し可能に取り付けられた、把持部17及び集塵装置19を有する支持枠体21(支持部)と、を備えて構成され、電源ケーブル3から駆動本体部5のモーター2に電力を供給してディスクカッター9を回転させ、例えばディスクカッター9をコンクリート(被切削材)に垂直に当てコンクリートを切断したりコンクリートに切り込みを入れたりする。
【0016】
ディスクカバー15の外周ディスクカバー11は、ディスクカッター9の外周を覆うことができるような十分な幅を有し、表面側端部がディスクカッター9の中心側に若干折れ曲がって表面側カバー部23を構成している。ディスクカッター9は、ディスクカバー15の外周ディスクカバー11よりも下側の、すなわち外周ディスクカバー11の両端を結ぶ直線よりも下側のディスクカッター9の部分25、又は裏面ディスクカバー13から突出する部分25で切削(例えば切断や切り込みを入れること)を行うが、この部分25は矢印Aで示すように前側から後側に向かって回転する。
【0017】
支持枠体21は、駆動部本体5の先端部の上面に、この上面のネジ孔(図示せず)にボルト27をねじ込んで固定される取り付け部29、取り付け部29の先端から立ち上がる立ち上がり部31及び立ち上がり部31の上端から後方に延びる支え部33から一体的に形成された金属製の帯板状の本体部35と、ボルト27を駆動部本体5の先端部の上面のネジ孔にねじ込むことにより取り付け部29とともに駆動部本体5の先端部の上面に固定される固定部37及び固定部37の外端に接続形成されたディスク通過部39から一体的に形成された金属製の帯板状の集塵支持部41と、を備え、ディスク通過部39は、固定部37の外端から立ち上がる上昇部43、この上昇部43の外端からディスクカバー15の上方を通過するように延びる通過部45及び通過部45の外端から下降する下降部47から一体的に形成されている。すなわち、支持枠体21はボルト27だけで取り付けられている。また、固定部37は取り付け部29に固定又は接着しておくことができる。
【0018】
本体部35の支え部33にはプラスチック製の筒状の把持部17が取り付けられている。
【0019】
ディスク通過部39の下降部47の下端には後方に延びて集塵装置19を支える支持プレート51が固定され、この支持プレート51の後方には固定パイプリング53が取り付けられている。また、支持プレート51の後端と本体部35の支え部33の後端とは連結プレート55で連結され、連結プレート55の上端部には下側に延びる角度調整プレート57が接続されていて、
図3にも示すように、この角度調整プレート57には上下方向に延びる長孔59が形成されている。角度調整プレート57の長孔59には移動パイプリング61に設けられたネジピン63が差し込まれていて、ネジピン63を長孔59に沿って移動させ(矢印C参照)、角度調整プレート57から突出するネジピン63の端部にワッシャ64を介してナット65を取り付けて角度調整プレート57に対して締め付けることにより移動パイプリング61を高さ位置を調節して角度調整プレート57に固定することができる。
【0020】
固定パイプリング53及び移動パイプリング61には集塵装置19のプラスチック製の集塵パイプ67が通されて支えられている。集塵パイプ67の先端部には集塵装置19のゴム製若しくはラバー製又は可撓性を有する集塵口部69が取り付けられていて、この集塵口部69は後端の集塵パイプ67への接続部71から先端開口73にかけて高さが漸次高くなるように形成されている。集塵口部69の先端開口73は、ディスクカバー15又は外周ディスクカバー11の後端部及びディスクカバー11又は外周ディスクカバー11よりも下側のディスクカッター9の部分25の後端部に接近して位置し、集塵口部69の先端開口73の上端はディスクカバー15又は外周ディスクカバー11の後端部の下端より上方に位置していて、集塵口部69の先端開口73の下端は、集塵口部69の下端の延長線Bがディスクカッター9の外側を通過するように位置している。
【0021】
なお、集塵口部69の先端開口73の高さ位置又は角度は、移動パイプリング61の高さ位置を調節して集塵パイプ67の角度を調整することにより変化させることができる(
図2の仮想線参照)。
【0022】
このような構成のディスクグラインダー1は、例えば把持部17を握って使用するが、
図1に示すように、集塵パイプ67の後端を吸引装置(例えば家庭用掃除機)に接続し、集塵口部69の先端開口73から、ディスクカッター9による切削によって発生する塵(例えばコンクリート塵)を吸引して集塵する(矢印D)。より具体的には、
図4に概略的に示すように、被切削材であるコンクリートの面Eに集塵口部69の先端開口73の下端部が押し付けられて変形し、密着して切削塵を効果的に吸引する。
【符号の説明】
【0023】
1 ディスクグラインダー
2 モーター
5 駆動本体部
7 回転軸部
9 ディスクカッター
11 外周ディスクカバー
19 集塵装置
21 支持枠体(支持部)
67 集塵パイプ
69 集塵口部
【要約】
【課題】ディスクカッターによる切削時に発生する切削塵を効果的に集塵できるディスクグラインダーを提供する。
【解決手段】ディスクグラインダー1を、駆動本体部5と、駆動部本体5の先端部に取り付けたディスクカッター9と、ディスクカッター9の上側半分を覆うディスクカバー15と、駆動本体部5に取り付けた、把持部17及び集塵装置19を有する支持枠体21と、から構成する。集塵装置19を、集塵パイプ67と、集塵パイプ67に接続した集塵口部69と、から構成し、集塵口部69の先端開口73が、ディスクカバー15の後端部及びディスクカバー15よりも下側のディスクカッター9の部分25の後端部に接近するように構成する。
【選択図】
図1