(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】浴槽用吐水装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20220414BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
A47K3/28
E03C1/042 B
(21)【出願番号】P 2017242018
(22)【出願日】2017-12-18
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】P 2017161908
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】小松 布美恵
(72)【発明者】
【氏名】川原 健一
(72)【発明者】
【氏名】川村 昌之
(72)【発明者】
【氏名】西坂 献太郎
(72)【発明者】
【氏名】中田 龍
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-226628(JP,A)
【文献】特開2009-223196(JP,A)
【文献】特表2016-540359(JP,A)
【文献】特開2008-219405(JP,A)
【文献】特開2015-122207(JP,A)
【文献】米国特許第08328403(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-4/00
E03C 1/00-1/10
A47K 1/00-1/14
F21V 1/00-15/04
F21K 9/00-45/70
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向において凹状に湾曲した内壁面を有する浴槽の前記内壁面側の上部に設けられ、前後方向において凹状に湾曲した前端部を有する浴槽用吐水装置であって、
前記前端部に設けられた吐水口を有し、前記吐水口から左右方向に延びた幅広状の湯水を吐出可能な吐水部と、
前記前端部に設けられた光出射口と、左右方向に延び、前記光出射口に向かって前方に横長状の照射光を照射する光源部と、
前記光源部の前方に設けられた導光板と、を有する照明部と、
を備え、
前記照明部は、前記光源部と前記光出射口との間に設けられ、前記光源部から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる光学機能部をさらに有
し、
前記導光板は、前記照射光の光入射面となる後端と、前記照射光の光出射面となる前端と、を有し、
前記導光板の前記前端は、前後方向において凹状に湾曲し、
前記光学機能部は、前記照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる複数の傾斜面を有する前記導光板の前記後端であり、
前記導光板の前記後端の左右方向の中央部と前記光源部との間の前後方向の距離は、前記導光板の前記後端の左右方向の両側部と前記光源部との間の前後方向の距離よりも長いことを特徴とする浴槽用吐水装置。
【請求項2】
前記導光板は、前記後端の一端と前記前端の一端とを接続する側端を有し、
前記側端は、前記後端によって進行方向が変化した前記照射光の一部の進行方向を前方側に向けて変化させる反射部を有することを特徴とする請求項
1記載の浴槽用吐水装置。
【請求項3】
前記光学機能部は、前記導光板に設けられ、前記照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる傾斜面を有する空隙であることを特徴とする請求項
1記載の浴槽用吐水装置。
【請求項4】
前記空隙は、左右方向に並べて複数設けられており、
前記複数の空隙において、左右端部側に配置された1つの前記空隙の前記傾斜面の傾斜に沿う長さは、前記1つの空隙よりも中央部側に配置された別の1つの前記空隙の前記傾斜面の傾斜に沿う長さよりも長いことを特徴とする請求項
3記載の浴槽用吐水装置。
【請求項5】
前記空隙は、左右方向に並べて複数設けられており、
前記複数の空隙において、左右端部側に配置された1つの前記空隙の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度は、前記1つの空隙よりも中央部側に配置された別の1つの前記空隙の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度よりも大きいことを特徴とする請求項
3又は4に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項6】
前記光学機能部は、前記照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる傾斜面を有する反射部材であることを特徴とする請求項
1記載の浴槽用吐水装置。
【請求項7】
前記反射部材は、左右方向に並べて複数設けられており、
前記複数の反射部材において、左右端部側に配置された1つの前記反射部材の前記傾斜面の傾斜に沿う長さは、前記1つの反射部材よりも中央部側に配置された別の1つの前記反射部材の前記傾斜面の傾斜に沿う長さよりも長いことを特徴とする請求項
6記載の浴槽用吐水装置。
【請求項8】
前記反射部材は、左右方向に並べて複数設けられており、
前記複数の反射部材において、左右端部側に配置された1つの前記反射部材の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度は、前記1つの反射部材よりも中央部側に配置された別の1つの前記反射部材の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度よりも大きいことを特徴とする請求項
6又は7に記載の浴槽用吐水装置。
【請求項9】
前記光源部の左右方向の幅は、前記光出射口の左右方向の幅よりも短いことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1つに記載の浴槽用吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴槽用吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽に取り付けて使用される浴槽用吐水装置(以下、「吐水装置」と称す)が知られている(例えば、特許文献1)。吐水装置は、浴槽の上端(リム)に取り付けられ、前端部に設けられた吐水口から入浴者の肩や首に向かって幅広状の湯水を吐出する。これにより、入浴時のリラクゼーション効果を高めることができる。こうした吐水装置は、例えば、肩湯装置などと呼ばれる場合もある。
【0003】
また、吐水装置では、照明部を設け、照明部から照射された光により、吐水口の近傍を明るく照らすことが行われている(特許文献1参照)。照明部は、前端部に設けられた光出射口と、光出射口に向けて光を照射する光源部と、を有する。これにより、例えば、浴室全体を暗くして高級感を出そうとした場合などにも、吐水口から吐出される幅広状の湯水を見え易くすることができる。
【0004】
一方、浴槽においては、入浴感を向上させるために、浴槽の背もたれ面(内壁面)を凹状に湾曲させることが行われている。この場合、背もたれ面の上端の縁も凹状に湾曲するため、吐水装置の前端部も凹状に湾曲させる必要が生じた。
【0005】
しかしながら、吐水装置の前端部を凹状に湾曲させると、中央部と左右端部とで光源部から光出射口までの距離が変化してしまう。このため、光源部から光出射口までの距離が遠い左右端部において、光源部から光出射口までの距離が近い中央部よりも照度が低くなってしまう場合がある。従って、照明部を設けた場合であっても、高級感を出すために浴室全体を暗くした際に、吐水口から吐出される幅広状の湯水の左右端部側が見え難くなり、使い勝手の低下を招いてしまう可能性があった。
【0006】
このため、浴槽用吐水装置においては、前端部を凹状に湾曲させた場合にも、照明部から照射される光の照度の均一性を向上させることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、前端部を凹状に湾曲させた場合にも、照明部から照射される光の照度の均一性を向上させた浴槽用吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、前後方向において凹状に湾曲した内壁面を有する浴槽の前記内壁面側の上部に設けられ、前後方向において凹状に湾曲した前端部を有する浴槽用吐水装置であって、前記前端部に設けられた吐水口を有し、前記吐水口から左右方向に延びた幅広状の湯水を吐出可能な吐水部と、前記前端部に設けられた光出射口と、左右方向に延び、前記光出射口に向かって前方に横長状の照射光を照射する光源部と、を有する照明部と、を備え、前記照明部は、前記光源部と前記光出射口との間に設けられ、前記光源部から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる光学機能部をさらに有することを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0010】
この浴槽用吐水装置によれば、光源部から光出射口に向かって照射された照射光の一部の進行方向を、光学機能部によって左右端部側に向けて変化させることができる。これにより、前端部を凹状に湾曲させた場合にも、左右端部側が中央部よりも暗くなってしまうことを抑制することができる。従って、前端部を凹状に湾曲させた場合にも、照明部から照射される光の照度の均一性を向上させることができる。これにより、例えば、左右端部側から吐出される湯水が見え難くなり、左右端部側において、吐水開始時に流速の高い湯水が誤って入浴者の目など、入浴者の意図していない身体部位にかかってしまうことで、入浴者に不快感を与えてしまう可能性などを低減することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記照明部は、前記光源部の前方に設けられた導光板をさらに有し、前記導光板は、前記照射光の光入射面となる後端と、前記照射光の光出射面となる前端と、を有し、前記導光板の前記前端は、前後方向において凹状に湾曲していることを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0012】
この浴槽用吐水装置によれば、光学機能部を設けるだけでなく、導光板を設け、照射光の光出射面となる導光板の前端を凹状に湾曲させることで、光学機能部によって左右端部側に進行方向を変化させた光を、より確実に光出射面の左右端部側に導くことができ、左右端部側が中央部よりも暗くなってしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記光学機能部は、前記照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる複数の傾斜面を有する前記導光板の前記後端であることを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0014】
この浴槽用吐水装置によれば、照射光の光入射面となる導光板の後端に複数の傾斜面を設けることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、前記導光板の前記後端の左右方向の中央部と前記光源部との間の前後方向の距離は、前記導光板の前記後端の左右方向の両側部と前記光源部との間の前後方向の距離よりも長いことを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0016】
この浴槽用吐水装置によれば、照射光の光入射面となる導光板の後端の左右方向の中央部と光源部との間の前後方向の距離が、導光板の後端の左右方向の両側部と光源部との間の前後方向の距離よりも長いため、光入射面の左右方向の中央部に入射する光の量が、光入射面の左右方向の両側部に入射する光の量よりも少なくなる。これにより、導光板の後端の中央部と光源部との間の距離が、導光板の後端の両側部と光源部との間の距離と同じである場合と比べて、光源部からの距離が短い導光板の前端の左右方向の中央部から出射される光の量を少なくすることができる。これにより、光出射面の左右方向における照度のムラを抑制し、横長状の照明光の左右方向における照度の均一性を向上させることができる。従って、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0017】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、前記導光板は、前記後端の一端と前記前端の一端とを接続する側端を有し、前記側端は、前記後端によって進行方向が変化した前記照射光の一部の進行方向を前方側に向けて変化させる反射部を有することを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0018】
この浴槽用吐水装置によれば、導光板の側端に反射部を設けることで、導光板の後端により進行方向が左右端部側に向けて変化した照射光の一部を、より確実に前方側に導くことができる。照射光の一部をより適切に前方側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0019】
第6の発明は、第2の発明において、前記光学機能部は、前記導光板に設けられ、前記照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる傾斜面を有する空隙であることを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0020】
この浴槽用吐水装置によれば、導光板の内部に傾斜面を有する空隙を設けるという極めて簡単な構成で、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて適切に変化させることができる。照射光の一部を適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0021】
第7の発明は、第6の発明において、前記空隙は、左右方向に並べて複数設けられており、前記複数の空隙において、左右端部側に配置された1つの前記空隙の前記傾斜面の傾斜に沿う長さは、前記1つの空隙よりも中央部側に配置された別の1つの前記空隙の前記傾斜面の傾斜に沿う長さよりも長いことを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0022】
この浴槽用吐水装置によれば、左右端部側に配置された空隙の傾斜面の長さを、中央部側に配置された空隙の傾斜面の長さよりも長くすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0023】
第8の発明は、第6又は第7の発明において、前記空隙は、左右方向に並べて複数設けられており、前記複数の空隙において、左右端部側に配置された1つの前記空隙の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度は、前記1つの空隙よりも中央部側に配置された別の1つの前記空隙の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度よりも大きいことを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0024】
この浴槽用吐水装置によれば、左右端部側に配置された空隙の傾斜面の傾斜の角度を、中央部側に配置された空隙の傾斜面の傾斜の角度よりも大きくすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0025】
第9の発明は、第1又は第2の発明において、前記光学機能部は、前記照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる傾斜面を有する反射部材であることを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0026】
この浴槽用吐水装置によれば、傾斜面を有する反射部材を設けるという極めて簡単な構成で、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて適切に変化させることができる。照射光の一部を適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0027】
第10の発明は、第9の発明において、前記反射部材は、左右方向に並べて複数設けられており、前記複数の反射部材において、左右端部側に配置された1つの前記反射部材の前記傾斜面の傾斜に沿う長さは、前記1つの反射部材よりも中央部側に配置された別の1つの前記反射部材の前記傾斜面の傾斜に沿う長さよりも長いことを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0028】
この浴槽用吐水装置によれば、左右端部側に配置された反射部材の傾斜面の長さを、中央部側に配置された反射部材の傾斜面の長さよりも長くすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0029】
第11の発明は、第9又は第10の発明において、前記反射部材は、左右方向に並べて複数設けられており、前記複数の反射部材において、左右端部側に配置された1つの前記反射部材の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度は、前記1つの反射部材よりも中央部側に配置された別の1つの前記反射部材の前記傾斜面の前後方向に対する傾斜の角度よりも大きいことを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0030】
この浴槽用吐水装置によれば、左右端部側に配置された反射部材の傾斜面の傾斜の角度を、中央部側に配置された反射部材の傾斜面の傾斜の角度よりも大きくすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0031】
第12の発明は、第1~第11のいずれか1つの発明において、前記光源部の左右方向の幅は、前記光出射口の左右方向の幅よりも短いことを特徴とする浴槽用吐水装置である。
【0032】
この浴槽用吐水装置によれば、光源部から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる光学機能部を設けつつも、光源部の幅を光出射口の幅よりも短くすることにより、光源部の部材コストを抑えることができるとともに、光源部を浴槽上端の比較的狭い空間に配置し易くすることができる。従って、光源部の幅を光出射口の幅よりも短くすることで光源部の部材コストを抑え、且つ、光源部を浴槽上端の比較的狭い空間に配置し易くしつつも、光学機能部を設けることにより、左右端部側が中央部よりも暗くなってしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の態様によれば、前端部を凹状に湾曲させた場合にも、照明部から照射される光の照度の均一性を向上させた浴槽用吐水装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施形態に係る浴槽及び浴槽用吐水装置を模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る浴槽及び浴槽用吐水装置を模式的に表す平面図である。
【
図3】実施形態に係る浴槽用吐水装置を模式的に表す分解斜視図である。
【
図4】実施形態に係る浴槽用吐水装置を模式的に表す断面図である。
【
図5】実施形態に係る浴槽用吐水装置の光源モジュールを模式的に表す分解斜視図である。
【
図6】実施形態に係る浴槽及び浴槽用吐水装置を模式的に表すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る浴槽用吐水装置を模式的に表す平面図である。
【
図8】実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
【
図9】実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
【
図10】実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
【
図11】実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
【
図12】実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴槽及び浴槽用吐水装置を模式的に表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る浴槽及び浴槽用吐水装置を模式的に表す平面図である。
図1及び
図2に表したように、浴槽用吐水装置10(以下、吐水装置10と称す)は、浴槽100に取り付けて使用される。
【0036】
浴槽100は、浴槽本体102を備える。浴槽本体102は、内壁面104を有する。内壁面104は、入浴者の背中を支持する背もたれ面106を有する。背もたれ面106は、前後方向において凹状に湾曲している。従って、背もたれ面106に連なる上端106aも、同様に、前後方向において凹状に湾曲している。
【0037】
ここで、本願明細書においては、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者からみて上方を「上方」とし、下方を「下方」とし、前方を「前方」とし、後方を「後方」とし、右側を「右側方」とし、左側を「左側方」とする。
【0038】
吐水装置10は、浴槽本体102の背もたれ面106側の上部に設けられる。このため、吐水装置10は、前後方向において凹状に湾曲した前端部12を有する。前端部12の湾曲は、背もたれ面106の上端106aの湾曲に対応する。前端部12は、例えば、上端106aに沿って湾曲する。
【0039】
浴槽本体102は、背もたれ面106に設けられた一対の噴射口108を有する。各噴射口108は、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者の腰などに向けて湯水を噴射する。各噴射口108は、例えば、入浴者の抗重力筋である脊柱起立筋の位置を狙って湯水を噴射する。これにより、入浴者の腰などに刺激を与え、入浴時のリラクゼーション効果をより高めることができる。この例において、浴槽本体102は、左右に並ぶ2つの噴射口108を有する。噴射口108の数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0040】
図3は、実施形態に係る浴槽用吐水装置を模式的に表す分解斜視図である。
図4は、実施形態に係る浴槽用吐水装置を模式的に表す断面図である。
図4は、
図2のA1-A2線断面を模式的に模式的に表す。
図3及び
図4に表したように、吐水装置10は、吐水部14と、照明部16と、を備える。吐水部14は、前端部12に設けられた吐水口14aを有する。吐水口14aは、左右方向に延びたスリット状の開口である。前端部12に設けられることにより、吐水口14aも、前後方向において凹状に湾曲している。
【0041】
吐水部14は、吐水口14aから左右方向に延びた幅広状(帯状)の湯水を吐出する。吐水部14は、浴槽本体102の内方に向けて湯水を吐出する。すなわち、吐水部14は、前方に向けて湯水を吐出する。吐水部14は、例えば、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者の首や肩に向けて湯水を吐出する。これにより、例えば、入浴者の首や肩をより温めたり、入浴者の首や肩にマッサージ効果を付与したりすることができ、入浴時のリラクゼーション効果をより高めることができる。
【0042】
吐水口14aの左右方向の長さは、例えば、20cm以上である。吐水口14aの左右方向の長さは、例えば、人間の首の平均的な幅よりも長い。これにより、背もたれ面106に背中を当接させた入浴者の首や肩に適切に湯水を当てることができる。また、吐水口14aの左右方向の長さは、例えば、浴槽本体102の内部の空間の左右方向の幅よりも短い。これにより、浴槽本体102内に適切に湯水を吐出することができる。
【0043】
照明部16は、前端部に設けられた光出射口16aを有する。光出射口16aは、左右方向に延びたスリット状の開口である。前端部12に設けられることにより、光出射口16aも、前後方向において凹状に湾曲している。照明部16は、光出射口16aから前方に向けて横長状の光を照射する。これにより、例えば、浴室全体を暗くした場合などにも、吐水部14から吐水される湯水を見易くすることができる。例えば、浴槽100の外観を向上させることができる。
【0044】
吐水部14は、例えば、下側ケース20と、上側ケース22と、を有する。下側ケース20は、板状のケース本体20aと、ケース本体20aから下方に向かって延びる配管部20bと、を有する。配管部20bは、例えば、円筒状である。配管部20bは、ケース本体20aを上下に貫通し、ケース本体20aの下方側と上方側とを連通させる。
【0045】
下側ケース20は、浴槽本体102の背もたれ面106側の上部に取り付けられる。配管部20bは、浴槽本体102の背もたれ面106側の上部に設けられた貫通孔106bに挿通され、浴槽本体102の背もたれ面106側の上部の下方の空間に連通する。配管部20bの外周面には、雄ネジが形成されている。配管部20bには、下方から円筒状のフランジ24が挿通される。フランジ24の内周面には、配管部20bの雄ネジに対応する雌ネジが設けられている。フランジ24は、内周面に設けられた雌ネジを配管部20bの雄ネジに螺合させ、下側ケース20のケース本体20aとともに浴槽本体102の一部を挟み込む。これにより、吐水部14が、浴槽本体102の背もたれ面106側の上部に取り付けられる。
【0046】
上側ケース22は、下側ケース20の上に取り付けられ、下側ケース20とともに吐水口14aを形成するとともに、配管部20bから吐水口14aへと到る内部流路14bを形成する。これにより、配管部20bから湯水を供給することにより、吐水口14aから湯水が吐水される。
【0047】
照明部16は、例えば、光源モジュール30と、導光板32と、カバー34と、を有する。光源モジュール30は、光出射口16aに向けて光を照射する。導光板32は、光源モジュール30の前方に設けられ、光源モジュール30から照射された光を光出射口16aに導く。
【0048】
カバー34は、吐水部14、光源モジュール30、及び導光板32の上に設けられる。カバー34は、例えば、吐水部14の上に取り付けられ、光源モジュール30及び導光板32の上方、両側方、及び後方を覆う。カバー34は、吐水部14の上側ケース22とともに光出射口16aを形成する。これにより、カバー34は、光源モジュール30から出射された光が、光出射口16a以外の部分から外部に漏れ出ることを抑制する。これにより、浴槽100の外観をさらに向上させることができる。
【0049】
この例では、照明部16が、吐水部14の上に設けられている。上記とは反対に、照明部16の上に吐水部14を設けてもよい。この場合、カバー34は、省略してもよい。カバー34は、必要に応じて設けられ、省略可能である。また、この例では、下側ケース20と上側ケース22とカバー34とによって、吐水装置10の前端部12が形成されている。前端部12の構成は、上記に限ることなく、吐水装置10の前端部分を形成する任意の構成でよい。
【0050】
図5は、実施形態に係る浴槽用吐水装置の光源モジュールを模式的に表す分解斜視図である。
図4及び
図5に表したように、光源モジュール30は、光源部40と、放熱板44と、収納ケース46と、を有する。光源部40は、左右方向に延び、光出射口16aに向かって前方に横長状の照射光を照射する。光源部40は、例えば、基板41と、発光素子42と、を有する。
【0051】
基板41は、左右方向に延びている。基板41は、例えば、矩形状である。基板41の形状は、任意の形状でよい。この例では、光源部40が、1枚の基板41を有している。例えば、光源部40は、配線などを介して電気的に接続された複数枚の基板41を有してもよい。
【0052】
発光素子42は、電力の供給に応じて光を照射する光源である。光源部40は、左右方向に並べて設けられた複数の発光素子42を有する。各発光素子42は、基板41の表面41aに並べて設けられている。これにより、光源部40は、左右方向に延びた直線状の発光面LSを形成する。この例において、発光面LSは、換言すれば、基板41の表面41aである。この例において、発光面LSは、平面状である。これにより、光源部40は、浴槽本体102の内方に向けて横長状の光を照射することができる。
【0053】
複数の発光素子42は、例えば、複数の第1発光素子42aと、複数の第2発光素子42bと、を有する。各第1発光素子42aは、基板41の表面41aに左右方向に並べて設けられる。各第2発光素子42bは、基板41の表面41aに左右方向に並べて設けられるとともに、上下方向において各第1発光素子42aと並ぶ。すなわち、この例では、左右方向に並ぶ複数の発光素子42の列が、上下に2列設けられている。
【0054】
各第1発光素子42aの照射する光は、例えば、黄色光(電球色)である。各第2発光素子42bの照射する光は、例えば、白色光(昼白色)である。光源部40は、各第1発光素子42aを点灯させ、各第2発光素子42bを消灯させることにより、黄色光を照射する。光源部40は、各第1発光素子42aを消灯させ、各第2発光素子42bを点灯させることにより、白色光を照射する。そして、光源部40は、各第1発光素子42a及び各第2発光素子42bを点灯させるとともに、各第1発光素子42a及び各第2発光素子42bのそれぞれの発光強度を調整することにより、黄色光と白色光との間の色の光を照射する。
【0055】
各発光素子42には、例えば、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、又はOLED(Organic Light Emitting Diode)などが用いられる。各発光素子42の種類は、上記に限ることなく、任意の素子でよい。各発光素子42の数や列などの構成は、上記に限ることなく、横長状の光を照射可能な任意の構成でよい。
【0056】
例えば、光源部40の光源として有機EL(Electro-Luminescence)素子などの面発光型の素子を用いる場合には、光源は、1つでもよい。また、光源部40の光源は、例えば、蛍光灯や光ファイバなどを用いたものでもよい。光源部40の光源は、横長状の光を照射可能な任意の光源でよい。例えば、直管型の蛍光灯を光源部40の光源とする場合には、蛍光灯の外表面を直線状の発光面LSとすればよい。この場合、発光面LSは、曲面状(円柱面状)である。このように、光源部40の直線状の発光面LSは、平面状に限ることなく、左右方向に直線状に延びる曲面状(円柱面状)などでもよい。光源部40の構成は、横長状の光を照射可能な任意の構成でよい。
【0057】
放熱板44は、基板41を支持する。放熱板44は、基板41及び各発光素子42と熱的に結合し、各発光素子42の点灯にともなって発生する熱を放熱する。放熱板44には、例えば、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い金属材料などが用いられる。例えば、光源に蛍光灯などを用いる場合には、放熱板44は、省略可能である。このように、放熱板44は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0058】
収納ケース46は、中空状であり、内部の空間に基板41、各発光素子42、及び放熱板44を収納する。収納ケース46は、例えば、内部の空間を密閉することにより、基板41及び各発光素子42の被水を抑制する。
【0059】
収納ケース46は、各発光素子42から照射された光を透過させる光透過窓46aを有する。光透過窓46aは、収納ケース46の前端部分に発光面LSの少なくとも一部と対向するように設けられている。光透過窓46aは、例えば、各発光素子42から照射された光に対して光透過性を有する板状の部材である。光透過窓46aには、例えば、透明な樹脂材料などが用いられる。これにより、収納ケース46の内部の空間を密閉しつつ、収納ケース46の内部に設けられた各発光素子42から照射された光を収納ケース46の外部に出射させることができる。収納ケース46の光透過窓46a以外の部分は、各発光素子42から照射された光に対して光反射性でもよいし、光透過性でもよい。
【0060】
放熱板44は、収納ケース46の内底面に取り付けられる第1板部44aと、第1板部44aの後端から上方に向かって延び、基板41を支持する第2板部44bと、を有する。第2板部44bの上端は、前方側に傾斜している。第2板部44bは、基板41の上端を前方側に傾斜させた状態で、基板41を支持する。これにより、例えば、複数の発光素子42を2列に並べて設けた場合などにも、光源モジュール30の厚さ(上下方向の長さ)を抑えることができる。例えば、光源部40から照射される光の強さ(明るさ)を高めつつ、光源モジュール30の厚さを抑えることができる。
【0061】
第1板部44aは、基板41の表面41aと直交する方向において、基板41の表面41aと対向する。換言すれば、第1板部44aは、発光面LSと対向する。前述のように、放熱板44には、金属材料が用いられる。放熱板44は、各発光素子42から照射された光に対して光反射性である。第1板部44aは、各発光素子42から斜め下方に向けて照射された光を反射させ、前方に向かわせる。これにより、基板41を傾斜させて配置した場合にも、各発光素子42から照射された光を適切に前方に向かわせることができる。
【0062】
放熱板44及び収納ケース46は、光源モジュール30に必要に応じて設けられ、省略可能である。光源モジュール30は、少なくとも光源部40を有していればよい。光源部40は、少なくとも横長状の光を照射可能な光源を有していればよい。
【0063】
図6は、実施形態に係る浴槽及び浴槽用吐水装置を模式的に表すブロック図である。
図6に表したように、浴槽100は、例えば、電動ポンプ110と、切替弁112と、ジェットポンプユニット114と、制御部116と、操作部118と、をさらに備える。また、浴槽本体102は、浴槽本体102内に溜められた湯水を吸い込むための吸込み口120を有する。
【0064】
電動ポンプ110は、配管122を介して吸込み口120と接続されている。電動ポンプ110は、吸込み口120から浴槽本体102内の湯水を吸引し、下流側に供給する。電動ポンプ110は、例えば、吸引した湯水に圧力をかけて圧送する機能を有する。電動ポンプ110は、例えば、電気的に駆動される電動モータ(図示せず)に直結されたインペラ(図示せず)の回転により、浴槽本体102内の湯水を吸引し、吸引した湯水を下流側に圧送する。
【0065】
切替弁112は、配管124を介して電動ポンプ110に接続されている。切替弁112は、電動ポンプ110から供給された湯水を吐水装置10の吐水部14側に送る経路と、各噴射口108側に送る経路と、に切り替える。
【0066】
各噴射口108は、配管126を介して切替弁112と接続されている。配管126は、例えば、途中で二股に分岐し、各噴射口108のそれぞれと接続される。これにより、浴槽100では、電動ポンプ110を駆動し、切替弁112を各噴射口108側に切り替えることにより、各噴射口108から湯水が噴射される。
【0067】
ジェットポンプユニット114は、吐水装置10の吐水部14と切替弁112との間の経路上に設けられる。ジェットポンプユニット114は、例えば、吐水部14の直下に設けられる。
【0068】
ジェットポンプユニット114は、貯水部130と、ノズル部132と、を有する。貯水部130は、容器状であり、内部の空間に湯水を貯水可能とする。貯水部130は、配管134を介して吸込み口120と接続されている。これにより、貯水部130には、吸込み口120を介して浴槽本体102から湯水が供給される。すなわち、浴槽本体102に湯水を溜めることにより、貯水部130にも湯水が溜められる。貯水部130は、吸込み口120及び配管134を介して浴槽本体102から供給された湯水を内部に貯水する。貯水部130への湯水の供給は、電動ポンプ110の吸込み口120とは別の吸込み口から供給してもよい。また、貯水部130に供給される湯水は、浴槽本体102内に溜められた湯水に限ることなく、別の給水源から供給された湯水でもよい。
【0069】
また、貯水部130は、配管136を介して切替弁112と接続されるとともに、配管138を介して吐水部14と接続されている。配管136は、例えば、貯水部130の下部に接続される。配管138は、例えば、配管136と対向して貯水部130の上部に接続される。配管136は、貯水部130から上方に向かって延び、吐水部14の配管部20bと接続される。
【0070】
ノズル部132は、貯水部130と配管136との接続部に設けられる。ノズル部132は、切替弁112及び配管136を介して電動ポンプ110から供給された湯水を配管138内に向けて噴射する。これにより、電動ポンプ110から供給された湯水が吐水部14に供給されるとともに、貯水部130内に貯水された湯水が、ジェットポンプ作用によって配管138内に引き込まれ、貯水部130内に貯水された湯水も吐水部14に供給される。これにより、電動ポンプ110を比較的小型にした場合にも大流量の湯水を吐水部14に供給することができる。例えば、電動ポンプ110の最大流量以上の流量の湯水を吐水部14に供給することができる。
【0071】
このように、浴槽100では、電動ポンプ110を駆動し、切替弁112を吐水部14側の経路に切り替えることによって、吐水部14から湯水が吐水される。また、浴槽100では、切替弁112によって吐水部14側及び各噴射口108側の双方を電動ポンプ110と連通させることにより、吐水部14からの湯水の吐水及び各噴射口108からの湯水の噴射を同時に行うことができる。
【0072】
制御部116は、電動ポンプ110、切替弁112、及び操作部118と接続されている。操作部118は、例えば、浴槽本体102や浴室の壁面などに取り付けて使用される。操作部118は、スイッチやセンサなどを有し、入浴者などの操作に応じて、制御部116に種々の操作指示を入力可能である。操作部118は、いわゆるリモコンである。制御部116と操作部118との間の電気的な通信は、有線でもよいし、無線を介して行ってもよい。
【0073】
制御部116は、操作部118から入力された操作指示に応じて、電動ポンプ110及び切替弁112の動作を制御する。制御部116は、各噴射口108からの湯水の噴射を操作部118から指示された場合、電動ポンプ110の駆動を開始し、切替弁112を各噴射口108側に切り替えることにより、各噴射口108から湯水を噴射させる。
【0074】
制御部116は、吐水部14からの湯水の吐水を操作部118から指示された場合、電動ポンプ110の駆動を開始し、切替弁112を吐水部14側に切り替えることにより、吐水部14から湯水を吐水させる。
【0075】
また、制御部116は、吐水部14及び各噴射口108からの同時吐水を操作部118から指示された場合、電動ポンプ110の駆動を開始し、吐水部14側及び各噴射口108側の双方を電動ポンプ110と連通させるように切替弁112を切り替えることにより、吐水部14から湯水を吐水させるとともに、各噴射口108から湯水を噴射させる。
【0076】
そして、制御部116は、吐水部14からの湯水の吐水の停止、又は各噴射口108からの湯水の噴射の停止を指示された場合に、電動ポンプ110の駆動を停止させる。
【0077】
また、制御部116は、吐水装置10の照明部16(光源部40)と接続されている。制御部116は、操作部118から入力された操作指示に応じて、照明部16の点灯及び消灯を切り替える。
【0078】
図7は、実施形態に係る浴槽用吐水装置を模式的に表す平面図である。
図7では、吐水装置10において、カバー34を取り外した状態を模式的に表している。
図7に表したように、導光板32は、光源部40から照射された照射光の光入射面となる後端32aと、照射光の光出射面となる前端32bと、を有する。導光板32の後端32aは、例えば、左右方向に直線状に延びる。一方、導光板32の前端32bは、前後方向において凹状に湾曲している。前端32bは、例えば、前端部12に対応して湾曲する。換言すれば、前端32bは、光出射口16aに対応して湾曲する。前端32bは、光出射口16aに沿って湾曲する。前端32bの外形形状は、光出射口16aの外形形状と実質的に同じである。光出射口16aは、導光板32の前端32bのみを露出させる。前端32bは、例えば、光出射口16aを塞ぎ、光出射口16aから内部への湯水の浸入を抑制する。
【0079】
後端32aは、例えば、微細な凹凸を有する。後端32aには、例えば、プリズムカットが施されている。これにより、後端32aにおける照射光の反射を抑制し、照射光を効率良く導光板32内に入射させることができる。前端32bは、例えば、微細な凹凸を有する。前端32bには、例えば、シボ加工が施されている。これにより、前端32bにおける照射光の反射を抑制し、照射光を効率良く導光板32から出射させることができる。
【0080】
照明部16は、導光板32に設けられた空隙50をさらに有する。空隙50は、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる傾斜面52を有する。傾斜面52は、例えば、反射により、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる。これにより、空隙50は、光源部40と光出射口16aとの間に設けられ、光源部40から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる光学機能部PFUとして機能する。
【0081】
空隙50は、照射光の一部の進行方向を反射によって左右端部側に向けて変化させるとともに、照射光の別の一部を透過させる。換言すれば、空隙50は、照射光の一部を反射させ、一部を透過させることにより、直進する強い光を減衰させつつも、光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる。光学機能部PFUは、光源部40から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させるとともに、照射光の別の一部を透過させる。これにより、空隙50(光学機能部PFU)の前方の部分が、暗くなり過ぎてしまうことを抑制することができる。従って、吐水装置10において、前端部12を凹状に湾曲させた場合にも、照明部40から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0082】
照明部16は、例えば、導光板32に左右方向に並べて設けられた複数の空隙50を有する。この例において、空隙50の数は、6つである。空隙50の数は、これに限ることなく、任意の数でよい。空隙50は、1つでもよい。
【0083】
複数の空隙50において、左右端部側に配置された1つの空隙50aの傾斜面52の傾斜に沿う長さL1は、1つの空隙50aよりも中央部側に配置された別の1つの空隙50bの傾斜面52の傾斜に沿う長さL2よりも長い。複数の空隙50の傾斜面52の傾斜に沿う長さは、例えば、中央部側から左右端部側に向かうに従って徐々に長くなる。但し、複数の空隙50の傾斜面52の傾斜に沿う長さは、それぞれ実質的に同じでもよい。
【0084】
複数の空隙50のうち、導光板32の中央よりも右側に配置された空隙50の傾斜面52は、右側に向かうほど、光源部40からの距離が離れるように傾斜する。反対に、導光板32の中央よりも左側に配置された空隙50の傾斜面52は、左側に向かうほど、光源部40からの距離が離れるように傾斜する。これにより、傾斜面52での反射により、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させることができる。
【0085】
この例において、各空隙50の傾斜面52の前後方向に対する傾斜の角度θ(劣角)は、実質的に同じである。傾斜面52の角度θは、例えば、45°(30°以上60°以下)である。これにより、傾斜面52において照射光の一部を適切に反射させ、左右端部側に向かわせることができる。
【0086】
各空隙50は、例えば、前後方向に対して傾斜した方向に延びるスリット状である。各空隙50の形状は、スリット状に限ることなく、傾斜面52を有する任意の形状でよい。各空隙50の形状は、例えば、三角形状などでもよい。各空隙50の形状は、それぞれ異なってもよい。
【0087】
各空隙50は、例えば、間隔を空けて配置される。各空隙50のそれぞれは、前方から見た時に、重ならないように配置される。これにより、各空隙50の間において照射光の一部を透過させ、各空隙50の前方の部分が暗くなり過ぎてしまうことを抑制することができる。
【0088】
図7に表したように、光源部40の左右方向の幅W1は、光出射口16aの左右方向の幅W2よりも短い。このため、導光板32の左右方向の幅は、前方に向かって広がっている。後端32aの左右方向の幅W3は、前端32bの左右方向の幅W4よりも短い。後端32aの左右方向の幅W3は、例えば、光源部40の左右方向の幅W1と同程度に設定される。また、前端32bの左右方向の幅W4は、例えば、光出射口16aの左右方向の幅W2と実質的に同じである。
【0089】
導光板32は、側端32c、32dを有する。側端32cは、後端32aの一端と前端32bの一端とを接続する。側端32dは、後端32aの他端と前端32bの他端とを接続する。側端32c、32dは、前方に向かって幅を広げるように傾斜している。側端32c、32dには、導光板32の取り付けに用いられる取付部32e、32fが設けられている。取付部32e、32fは、側端32c、32dから側方に突出するように設けられている。取付部32e、32fは、例えば、下側ケース20への取り付けに用いられる。導光板32は、取付部32e、32fを介して下側ケース20に取り付けられる。
【0090】
また、導光板32は、内部に入射した光の一部が取付部32e、32fに入り込んでしまうことを抑制する空隙54、55を有する。空隙54、55は、例えば、凸状の取付部32e、32fと側端32c、32dとの境界部分に沿って延びるスリット状である。換言すれば、空隙54、55は、側端32c、32dの延長線に沿うように延びるスリット状である。このように、空隙54、55を設けることにより、取付部32e、32fの部分から光が漏れ出てしまうことを抑制することができる。例えば、光出射面である前端32bのうちの取付部32e、32fの前方の部分が、暗くなってしまうことを抑制することができる。
【0091】
以上、説明したように、本実施形態に係る吐水装置10によれば、光源部40から光出射口16aに向かって照射された照射光の一部の進行方向を、光学機能部PFUによって左右端部側に向けて変化させることができる。これにより、前端部12を凹状に湾曲させた場合にも、左右端部側が中央部よりも暗くなってしまうことを抑制することができる。従って、前端部12を凹状に湾曲させた場合にも、照明部16から照射される光の照度の均一性を向上させることができる。これにより、例えば、左右端部側から吐出される湯水が見え難くなり、左右端部側において、吐水開始時に流速の高い湯水が誤って入浴者の目など、入浴者の意図していない身体部位にかかってしまうことで、入浴者に不快感を与えてしまう可能性などを低減することができる。
【0092】
また、吐水装置10では、光学機能部PFUを設けるだけでなく、導光板32を設け、照射光の光出射面となる導光板32の前端32bを凹状に湾曲させることで、光学機能部PFUによって左右端部側に進行方向を変化させた光を、より確実に光出射面の左右端部側に導くことができ、左右端部側が中央部よりも暗くなってしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0093】
また、吐水装置10では、導光板32の内部に傾斜面52を有する空隙50を設けるという極めて簡単な構成で、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて適切に変化させることができる。照射光の一部を適切に左右端部側に導き、照明部16から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0094】
また、吐水装置10では、左右端部側に配置された空隙50aの傾斜面52の長さL1を、中央部側に配置された空隙50bの傾斜面52の長さL2よりも長くすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部16から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0095】
また、吐水装置10では、光源部40から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる光学機能部PFUを設けつつも、光源部40の幅W1を、光出射口16aの幅W2よりも短くすることにより、光源部40の部材コストを抑えることができるとともに、光源部40を浴槽上端の比較的狭い空間に配置し易くすることができる。従って、光源部40の幅W1を光出射口16aの幅W2よりも短くすることで光源部40の部材コストを抑え、且つ、光源部40を浴槽上端の比較的狭い空間に配置し易くしつつも、光学機能部PFUを設けることにより、左右端部側が中央部よりも暗くなってしまうことを抑制することができる。
【0096】
図8は、実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に表したように、この吐水装置10aでは、複数の空隙50において、左右端部側に配置された1つの空隙50aの傾斜面52の前後方向に対する傾斜の角度θ1(劣角)が、1つの空隙50aよりも中央部側に配置された別の1つの空隙50bの傾斜面52の前後方向に対する傾斜の角度θ2(劣角)よりも大きい。複数の空隙50の傾斜面52の前後方向に対する傾斜の角度の劣角は、例えば、中央部側から左右端部側に向かうに従って徐々に大きくなる。
【0097】
このように、左右端部側に配置された空隙50aの傾斜面52の傾斜の角度θ1を、中央部側に配置された空隙50bの傾斜面の傾斜の角度よりも大きくすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部16から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0098】
図9は、実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
図9に表したように、この吐水装置10bでは、照明部16が、導光板32の空隙50を省略し、反射部材60をさらに有している。反射部材60は、照射光の一部の進行方向を反射によって左右端部側に向けて変化させる傾斜面62を有する。これにより、反射部材は、光源部40と光出射口16aとの間に設けられ、光源部40から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる光学機能部PFUとして機能する。
【0099】
反射部材60は、例えば、光源部40と導光板32との間に設けられる。この例において反射部材60は、光源モジュール30と導光板32との間に設けられている。換言すれば、反射部材60は、収納ケース46の外側に設けられている。
【0100】
反射部材60には、例えば、ガラス板が用いられる。この場合、反射部材60は、照射光の一部の進行方向を反射によって左右端部側に向けて変化させるとともに、照射光の別の一部を透過させる。光学機能部PFUは、光源部40から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させるとともに、照射光の別の一部を透過させる。これにより、反射部材60(光学機能部PFU)の前方の部分が、暗くなり過ぎてしまうことを抑制することができる。従って、吐水装置10において、前端部12を凹状に湾曲させた場合にも、照明部40から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0101】
反射部材60は、例えば、金属板などでもよい。この場合、反射部材60は、光透過性を有しない。このように、反射部材60は、少なくとも光反射性を有していればよい。反射部材60の形状は、例えば、平板状である。反射部材60の形状は、これに限ることなく、傾斜面62を有する任意の形状でよい。
【0102】
照明部16は、例えば、左右方向に並べて設けられた複数の反射部材60を有する。この例において、反射部材60の数は、8つである。反射部材60の数は、これに限ることなく、任意の数でよい。反射部材60は、1つでもよい。
【0103】
複数の反射部材60のうち、光源部40の中央よりも右側に配置された反射部材60の傾斜面62は、右側に向かうほど、光源部40からの距離が離れるように傾斜する。反対に、光源部40の中央よりも左側に配置された反射部材60の傾斜面62は、左側に向かうほど、光源部40からの距離が離れるように傾斜する。これにより、傾斜面62での反射により、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させることができる。
【0104】
この例において、各反射部材60の傾斜面62の傾斜に沿う長さは、実質的に同じである。また、各反射部材60の傾斜面62の前後方向に対する傾斜の角度(劣角)は、実質的に同じである。
【0105】
各反射部材60は、例えば、間隔を空けて配置される。各反射部材60のそれぞれは、前方から見た時に、重ならないように配置される。これにより、各反射部材60の間において照射光の一部を透過させ、各反射部材60の前方の部分が暗くなり過ぎてしまうことを抑制することができる。
【0106】
このように、光学機能部PFUは、反射部材60によって構成してもよい。これにより、傾斜面62を有する反射部材60を設けるという極めて簡単な構成で、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて適切に変化させることができる。照射光の一部を適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0107】
図10は、実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
図10に表したように、この吐水装置10cでは、複数の反射部材60において、左右端部側に配置された1つの反射部材60aの傾斜面62の傾斜に沿う長さL11は、1つの反射部材60aよりも中央部側に配置された別の1つの反射部材60bの傾斜面62の傾斜に沿う長さL12よりも長い。複数の反射部材60の傾斜面62の傾斜に沿う長さは、例えば、中央部側から左右端部側に向かうに従って徐々に長くなる。
【0108】
また、吐水装置10cでは、複数の反射部材60において、左右端部側に配置された1つの反射部材60aの傾斜面62の前後方向に対する傾斜の角度θ11(劣角)が、1つの反射部材60aよりも中央部側に配置された別の1つの反射部材60bの傾斜面62の前後方向に対する傾斜の角度θ12(劣角)よりも大きい。複数の反射部材60の傾斜面62の前後方向に対する傾斜の角度の劣角は、例えば、中央部側から左右端部側に向かうに従って徐々に大きくなる。
【0109】
このように、左右端部側に配置された反射部材60aの傾斜面62の長さL11を、中央部側に配置された反射部材60bの傾斜面62の長さL12よりも長くすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部16から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。但し、
図9に関して説明したように、各反射部材60の傾斜面62の傾斜に沿う長さは、実質的に同じでもよい。
【0110】
また、左右端部側に配置された反射部材60aの傾斜面62の傾斜の角度θ11を、中央部側に配置された反射部材60bの傾斜面62の傾斜の角度θ12よりも大きくすることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて、より適切に変化させることができる。照射光の一部をより適切に左右端部側に導き、照明部16から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。但し、
図9に関して説明したように、各反射部材60の傾斜面62の前後方向に対する傾斜の角度(劣角)は、実質的に同じでもよい。
【0111】
図11は、実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
図11に表したように、この吐水装置10dでは、反射部材60が、光源モジュール30に設けられている。換言すれば、反射部材60が、収納ケース46内に設けられている。
【0112】
このように、反射部材60を設ける位置は、光源部40と光出射口16aとの間の任意の位置でよい。反射部材60は、例えば、導光板32に埋め込むようにして設けてもよい。また、反射部材60を光学機能部PFUとする場合、導光板32は、省略してもよい。導光板32は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0113】
図12は、実施形態に係る浴槽用吐水装置の変形例を模式的に表す平面図である。
図12に表したように、この吐水装置10eでは、導光板32が設けられている。照射光の光入射面となる導光板32の後端32aは、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる複数の傾斜面33aを有する。各傾斜面33aは、後端32aにおいて左右方向に並べて設けられる。各傾斜面33aは、後端32aに入射する照射光の進行方向に対して上下方向を軸に傾斜する面である。各傾斜面33aは、例えば、前後方向に対して上下方向を軸に傾斜する面である。
【0114】
導光板32の後端32aは、例えば、複数の第1傾斜面TS1と、複数の第2傾斜面TS2と、を有する。各第1傾斜面TS1と各第2傾斜面TS2とは、左右方向において交互に並べて設けられている。各第2傾斜面TS2の傾斜角度は、各第1傾斜面TS1の傾斜角度と異なる。このように、複数の傾斜面33aは、傾斜角度の異なる複数の傾斜面を含んでもよい。
【0115】
互いに隣接する1つの第1傾斜面TS1と1つの第2傾斜面TS2とを上方から見た形状は、略三角形状である。すなわち、後端32aは、左右方向に並べて設けられた複数の凹部又は凸部を有しているということもできる。また、
図12においては、上面視において直線状に傾斜した傾斜面33aを示している。各傾斜面33aは、直線状の傾斜面に限ることなく、凹状又は凸状に湾曲していてもよい。各傾斜面33aの形状は、少なくとも前後方向に対して上下方向を軸に傾斜した成分を含む任意の形状でよい。後端32aが複数の凹部又は凸部を有すると表現する場合、各凹部は、凹状に湾曲した形状でもよく、各凸部は、凸状に湾曲した形状(例えば円柱面状)でもよい。凹部又は凸部は、少なくとも前後方向に対して上下方向を軸に傾斜した成分を含む任意の形状でよい。
【0116】
複数の傾斜面33aは、例えば、照射光の一部を屈折又は反射させ、一部を透過させることにより、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる。これにより、後端32aは、光源部40と光出射口16aとの間に設けられ、光源部40から照射された照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて変化させる光学機能部PFUとして機能する。
【0117】
複数の傾斜面33aは、例えば、後端32aの少なくとも左右方向の両側部に設けられる。これにより、後端32aの左右方向の両側部に照射された照射光の一部の進行方向を、左右端部側に向けて変化させることができる。複数の傾斜面33aは、後端32aの全面に設けられてもよい。これにより、後端32aに照射された照射光の一部の進行方向を、左右端部側に向けてより適切に変化させることができる。
【0118】
各傾斜面33aの傾斜方向に沿う長さTLは、例えば、0.1mm以上2.0mm以下(例えば、約0.9mm)である。このような範囲内であれば、照射光の一部の進行方向を、左右端部側に向けてより適切に変化させることができる。また、第1傾斜面TS1の傾斜方向に沿う長さTL1は、第2傾斜面TS2の傾斜方向に沿う長さTL2と実質的に同じである。互いに隣接する第1傾斜面TS1と第2傾斜面TS2とを上方から見た形状は、例えば、二等辺三角形状である。長さTL1は、長さTL2と異なってもよい。
【0119】
また、導光板32の後端32aの左右方向の中央部と光源部40との間の前後方向の距離D1は、導光板32の後端32aの左右方向の両側部と光源部40との間の前後方向の距離D2及びD3よりも長い。距離D1~D3は、より詳しくは、後端32aと発光面LSとの間の前後方向の距離である。光源部40が複数の発光素子42を並べて発光面LSを形成している場合、距離D1~D3は、例えば、後端32aと発光素子42との間の前後方向の距離としてもよい。
【0120】
光源である発光素子42から照射された光は、上下左右に円錐状に広がる。従って、発光素子42からの距離が遠いほど、単位面積あたりの入射する光の量が少なくなる。換言すれば、発光素子42からの距離が遠くなるほど、照度が低くなる。従って、導光板32の後端32aの左右方向の中央部に入射する光の量は、後端32aの左右方向の両側部に入射する光の量よりも少なくなる。
【0121】
導光板32の前端32bの左右方向の中央部と光源部40との間の前後方向の距離は、前端32bの左右方向の両側部と光源部40との間の前後方向の距離よりも短い。従って、後端32aを発光面LSと平行な直線状とした場合には、前端32bの左右方向の中央部から出射する光の量が、前端32bの左右方向の両側部から出射する光の量よりも多くなってしまう場合がある。すなわち、入浴者などに、前端32bの左右方向の中央部が、両側部よりも明るく視認されてしまう場合がある。
【0122】
そこで、上記のように、距離D1を距離D2及びD3よりも長くし、後端32aの左右方向の中央部に入射する光の量を少なくする。これにより、前端32bの左右方向における照度のムラを抑制することができる。前端32bが均一に光っているように入浴者などに視認させることができる。
【0123】
導光板32の後端32aは、例えば、前端32b側に向かって凹状に湾曲している。これにより、上記のように、距離D1を距離D2、D3よりも長くすることができる。
【0124】
導光板32は、側端32c及び32dを有する。側端32cは、後端32aの一端と前端32bの一端とを接続する。側端32dは、後端32aの他端と前端32bの他端とを接続する。側端32cは、例えば、後端によって進行方向が変化した照射光の一部の進行方向を前方側に向けて変化させる反射部を有する。これにより、導光板32の後端32aにより進行方向が左右端部側に向けて変化した照射光の一部を、より確実に前方側に導くことができる。側端32dは、例えば、側端32cと同様の反射部を有する。以下、側端32cの反射部を例に挙げて説明するが、側端32dの反射部も、側端32cの反射部と同様の構成とすることができる。
【0125】
側端32cの反射部は、例えば、後端32aによって進行方向が変化した照射光の一部の進行方向を前方側に向けて変化させる複数の傾斜面33cである。各傾斜面33cの構成は、上記の各傾斜面33aの構成と同様とすることができる。従って、各傾斜面33cに対する詳細な説明は省略する。各傾斜面33cは、側端32cの少なくとも一部に設けられていればよく、側端32cの略全体に設けることが、より好適である。
【0126】
各傾斜面33cの傾斜方向に沿う長さは、各傾斜面33aと同様に、例えば、0.1mm以上2.0mm以下(例えば、約0.9mm)である。このような範囲内であれば、後端32aによって進行方向が変化した照射光の一部の進行方向を、前方側に向けてより適切に変化させることができる。各傾斜面33cの傾斜方向に沿う長さは、各傾斜面33aの傾斜方向に沿う長さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0127】
このように、光学機能部PFUは、各傾斜面33aを有する後端32aによって構成してもよい。これにより、各傾斜面33aを後端32aに設けるという極めて簡単な構成で、照射光の一部の進行方向を左右端部側に向けて適切に変化させることができる。照射光の一部を適切に左右端部側に導き、照明部から照射される光の照度の均一性をより向上させることができる。
【0128】
実施形態において、光学機能部PFUは、上記のような導光板32の後端32aと前述の空隙50とを組み合わせたものであってもよいし、上記のような導光板32の後端32aと前述の反射部材60とを組み合わせたものであってもよい。
【0129】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、吐水装置10、10a~10eなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0130】
10、10a~10e 吐水装置、 12 前端部、 14 吐水部、 16 照明部、 20 下側ケース、 22 上側ケース、 30 光源モジュール、 32 導光板、 34 カバー、 40 光源部、 41 基板、 42 発光素子、 44 放熱板、 46 収納ケース、 50、54、55 空隙、 52 側面、 60 反射部材、 62 側面、 100 浴槽、 102 浴槽本体、 104 内壁面、 106 背もたれ面、 108 噴射口、 110 電動ポンプ、 112 切替弁、 114 ジェットポンプユニット、 116 制御部、 118 操作部、 120 吸込み口、 122、124、126、134、136、138 配管、 130 貯水部、 132 ノズル部