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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】野菜加工食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/10 20060101AFI20220414BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20220414BHJP
【FI】
A23B7/10 A
A23L19/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019226751
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021093939
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2020-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】301075569
【氏名又は名称】株式会社やまへい
(73)【特許権者】
【識別番号】391001619
【氏名又は名称】長野県
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】塩川 正徳
(72)【発明者】
【氏名】塩川 操子
(72)【発明者】
【氏名】荻原 一晃
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-079534(JP,A)
【文献】特開2009-050208(JP,A)
【文献】化学と生物, 1988年,Vol.26, No.5,p.325-329
【文献】モダンメディア, 2015年,61巻, 11号,p.330-337
【文献】調理科学, 1982年,Vol.15, No.4,p.38-40
【文献】日本海水学会誌,2017年,第71巻, 第4号,p.211-221
【文献】日本食品工業学会誌,1987年,第34巻, 第6号,p.356-361
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 7/00-9/34
A23L 19/00-19/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野沢菜を用意することと、
前記野沢菜にラクトバチルス・プランタルムを添加することと、
前記ラクトバチルス・プランタルムの濃度が1000000個/g以上になるまで、かつ、pHが5.0未満になるまで、前記野沢菜を発酵させることと、
を含み、
前記ラクトバチルス・プランタルムが、予め用意された野沢菜の発酵液に含まれており、
少なくとも前記野沢菜の発酵を止めるまで前記野沢菜に塩分を添加せず、
前記野沢菜に前記ラクトバチルス・プランタルムを添加する前に、前記野沢菜を湯通しする、
野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項2】
55℃以上75℃以下の湯で、前記野沢菜を湯通しする、請求項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項3】
15秒以上45秒以下、前記野沢菜を湯通しする、請求項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項4】
野沢菜を用意することと、
前記野沢菜にラクトバチルス・プランタルムを添加することと、
前記ラクトバチルス・プランタルムの濃度が1000000個/g以上になるまで、かつ、pHが5.0未満になるまで、前記野沢菜を発酵させることと、
を含み、
前記ラクトバチルス・プランタルムが、予め用意された野沢菜の発酵液に含まれており、
少なくとも前記野沢菜の発酵を止めるまで前記野沢菜に塩分を添加せず、
前記野沢菜に前記ラクトバチルス・プランタルムを添加する前に、前記野沢菜を除菌剤で処理し、前記野沢菜を湯通ししない、
野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項5】
前記除菌剤が次亜塩素酸ナトリウムである、請求項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項6】
前記野沢菜を発酵させる前に、前記野沢菜の煮汁を前記野沢菜に添加する、請求項1からのいずれか1項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項7】
嫌気的条件で前記野沢菜を発酵させる、請求項1からのいずれか1項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項8】
20℃以上40℃以下で前記野沢菜を発酵させる、請求項1からのいずれか1項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項9】
前記ラクトバチルス・プランタルムの濃度が1000000個/g以上になり、かつ、pHが5.0未満になった後、前記野沢菜が変色する前に前記野沢菜の発酵を止める、請求項1からのいずれか1項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項10】
20時間以内、前記野沢菜を発酵させる、請求項1からのいずれか1項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【請求項11】
温度を下げることにより、前記野沢菜の発酵を止めることをさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の野沢菜加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品技術に関し、野菜加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
野沢菜漬けは、野沢菜を塩漬けにしたものである。野沢菜は、塩漬けにされることによって、自己消化が活発になり、青臭さやアクが低下する。また、野沢菜が塩漬けにされることによって、細胞内の成分が漬け汁中に浸出する。漬け汁中に浸出した細胞内の成分は、乳酸菌や酵母の栄養素となり、乳酸菌や酵母からアミノ酸や有機酸が産生される。そのため、野沢菜漬けは、美味な健康食品として愛好されている(例えば、特許文献1ないし4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-17649号公報
【文献】特公平4-12932号公報
【文献】特許3699605号公報
【文献】特開2014-11979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
野沢菜等の野菜をより美味にする加工食品の製造方法が望まれている。そこで、本発明は、美味な野菜加工食品を製造可能な野菜加工食品の製造方法を提供可能することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によれば、野菜を用意することと、野菜に乳酸菌を添加することと、乳酸菌の濃度が1000000個/g以上になるまで、かつ、pHが5.0未満になるまで、野菜を発酵させることと、を含み、少なくとも野菜の発酵を止めるまで野菜に塩分を添加しない、野菜加工食品の製造方法が提供される。
【0006】
上記の野菜加工食品の製造方法において、野菜に乳酸菌を添加する前に、野菜を湯通ししてもよい。
【0007】
上記の野菜加工食品の製造方法において、55℃以上75℃以下の湯で、野菜を湯通ししてもよい。
【0008】
上記の野菜加工食品の製造方法において、15秒以上45秒以下、野菜を湯通ししてもよい。
【0009】
上記の野菜加工食品の製造方法において、野菜に乳酸菌を添加する前に、野菜を除菌剤で処理し、野菜を湯通ししなくともよい。
【0010】
上記の野菜加工食品の製造方法において、除菌剤が次亜塩素酸ナトリウムであってもよい。
【0011】
上記の野菜加工食品の製造方法において、乳酸菌が野菜由来の乳酸菌であってもよい。
【0012】
上記の野菜加工食品の製造方法において、乳酸菌が、用意された野菜と同じ種の野菜由来の乳酸菌であってもよい。
【0013】
上記の野菜加工食品の製造方法において、乳酸菌が、予め用意された野菜の発酵液に含まれていてもよい。
【0014】
上記の野菜加工食品の製造方法において、乳酸菌が、予め用意された野菜と同じ種の野菜の発酵液に含まれていてもよい。
【0015】
上記の野菜加工食品の製造方法において、乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタルム及びラクトバチルス・カルバータスから選択される少なくとも1種であってもよい。
【0016】
上記の野菜加工食品の製造方法において、野菜を発酵させる前に、野菜の煮汁を野菜に添加してもよい。
【0017】
上記の野菜加工食品の製造方法において、嫌気的条件で野菜を発酵させてもよい。
【0018】
上記の野菜加工食品の製造方法において、20℃以上40℃以下で野菜を発酵させてもよい。
【0019】
上記の野菜加工食品の製造方法において、乳酸菌の濃度が1000000個/g以上になり、かつ、pHが5.0未満になった後、野菜が変色する前に野菜の発酵を止めてもよい。
【0020】
上記の野菜加工食品の製造方法において、20時間以内、野菜を発酵させてもよい。
【0021】
上記の野菜加工食品の製造方法が、温度を下げることにより、野菜の発酵を止めることをさらに含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の野菜加工食品の製造方法。
【0022】
上記の野菜加工食品の製造方法が、野菜を発酵させた後、野菜における乳酸菌の濃度が1000000個/g以上であることを保つように、野菜を洗浄することをさらに含んでいてもよい。
【0023】
上記の野菜加工食品の製造方法が、野菜を発酵させた後、野菜を熟成させることをさらに含んでいてもよい。
【0024】
上記の野菜加工食品の製造方法において、塩を含む熟成液を用いて、野菜を熟成させてもよい。
【0025】
上記の野菜加工食品の製造方法において、液糖を含む熟成液を用いて、野菜を熟成させてもよい。
【0026】
上記の野菜加工食品の製造方法が、野菜を発酵させた後、野菜を乾燥させることをさらに含んでいてもよい。
【0027】
上記の野菜加工食品の製造方法において、乾燥が、フリーズドライ乾燥及び熱風乾燥から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0028】
上記の野菜加工食品の製造方法が、野菜を発酵させた後、野菜をジュース又はピューレに加工することをさらに含んでいてもよい。
【0029】
上記の野菜加工食品の製造方法において、野菜が緑黄色野菜であってもよい。
【0030】
上記の野菜加工食品の製造方法において、野菜が野沢菜であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、美味な野菜加工食品を製造可能な野菜加工食品の製造方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例の結果を示す表である。
図2】実施例の結果を示す表である。
図3】実施例の結果を示す表である。
図4】実施例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態を説明する。なお、本開示の一部をなす記述は、本発明を限定するものであると理解するべきではない。本開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【0034】
本発明の実施形態に係る野菜加工食品の製造方法は、野菜を用意することと、野菜に乳酸菌を添加することと、乳酸菌の濃度が1000000個/g以上になるまで、かつ、pHが5.0未満になるまで、野菜を発酵させることと、を含み、少なくとも野菜の発酵を止めるまで野菜に塩分を添加しない。
【0035】
用意される野菜は、例えば、生の未加工の野菜である。用意される野菜は、例えば、緑黄色野菜である。野菜は、野沢菜であってもよい。
【0036】
用意された野菜は、任意でカットされてもよい。
【0037】
野菜に乳酸菌を添加する前に、野菜を湯通ししてもよい。湯通しのことを、ブランチングという場合がある。湯通しの際に用いられる湯の温度は、例えば、55℃以上75℃以下、60℃以上70℃以下、あるいは60℃以上65℃以下である。湯通しの時間は、例えば、15秒以上45秒以下、20秒以上40秒以下、あるいは25秒以上35秒以下である。
【0038】
野菜に乳酸菌を添加する前に、野菜を除菌剤で処理してもい。この場合、野菜を湯通ししなくともよい。野菜を湯通ししないことにより、野菜の食感を保つことが可能である。除菌剤の例としては、次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。野菜を除菌剤で処理した後、野菜を水洗して、除菌剤を野菜から除去する。
【0039】
野菜を発酵させる際には、野菜を密封可能な容器に入れる。容器の例としては、袋及びタンクが挙げられる。野菜を発酵させるために、野菜に乳酸菌が添加される。乳酸菌は、例えば、植物性乳酸菌である。乳酸菌は、培養された乳酸菌であってもよい。乳酸菌は、精製された乳酸菌であってもよい。乳酸菌は、例えば、野菜由来の乳酸菌であってもよい。乳酸菌は、例えば、これから発酵させる野菜と同じ種の野菜由来の乳酸菌であってもよい。
【0040】
乳酸菌は、例えば、予め用意された野菜の発酵液に含まれていてもよい。乳酸菌は、例えば、これから発酵させる野菜と同じ種の野菜の発酵液に含まれていてもよい。本実施形態に係る方法で発酵された野菜の発酵液を、次回以降の本実施形態に係る方法の実施において、野菜に微生物を添加するために用いてもよい。
【0041】
乳酸菌の例としては、ラクトバチルス・プランタルム、及びラクトバチルス・カルバータスが挙げられる。
【0042】
野菜を発酵させる前に、野菜の煮汁を野菜に添加してもよい。野菜の煮汁は、これから発酵させる野菜と同じ種の野菜の煮汁であってもよい。野菜の煮汁は、これから発酵させる野菜を湯通しした際の煮汁であってもよい。
【0043】
野菜に乳酸菌と、任意で煮汁を添加した後、容器を密閉して、嫌気的条件で野菜を発酵させる。野菜を発酵させる際の温度は、例えば、20℃以上40℃以下、25℃以上40℃以下、あるいは30℃以上35℃以下である。野菜の発酵時間は、例えば、50時間以内、45時間以内、40時間以内、35時間以内、30時間以内、25時間以内、20時間以内、15時間以内、10時間以内、9時間以内、8時間以内、7時間以内、6時間以内、あるいは5時間以内である。野菜を発酵させる際、これから発酵させる野菜と同じ種の野菜由来の乳酸菌を野菜に添加すると、発酵が速く進む傾向にある。
【0044】
従来、野菜を発酵させる際には、野菜に塩分を添加していた。これに対し、本実施形態に係る方法においては、野菜に塩分を添加しないで、野菜を発酵させる。そのため、本実施形態に係る方法によれば、塩分を含まない、健康によく美味な発酵食品を提供可能である。なお、発酵後に、野菜に塩分を添加して味を調整してもよい。その場合も、発酵時に塩分を添加するより、減塩された発酵食品を提供可能である。
【0045】
発酵野菜において乳酸菌の濃度が1000000個/g以上になり、かつ、pHが5.0未満になった後、野菜が変色する前に野菜の発酵を止めてもよい。発酵を長時間続けると、葉緑素が分解し、野菜が茶褐色に変色する場合がある。野菜の発酵は、例えば、温度を下げることにより、止めることが可能である。
【0046】
野菜を発酵させた後、野菜における乳酸菌の濃度が1000000個/g以上であることを保つように、野菜を洗浄してもよい。野菜の洗浄は、例えば、微酸性電解水で行ってもよい。野菜の洗浄を低温の水で行うことにより、野菜の発酵を止めてもよい。
【0047】
野菜を発酵させた後、野菜を熟成させてもよい。野菜を熟成させる際に、塩化ナトリウム等の食塩、ピュアトゥース、グルタミン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、アルコール、及液糖等を含む熟成液を野菜に添加してもよい。
【0048】
発酵野菜と熟成液全体に対する食塩の濃度は、例えば1%である。発酵野菜と熟成液全体に対するピュアトゥースの濃度は、例えば5%である。発酵野菜と熟成液全体に対するグルタミン酸ナトリウムの濃度は、例えば1%である。発酵野菜と熟成液全体に対する酢酸ナトリウムの濃度は、例えば1%である。発酵野菜と熟成液全体に対するアルコールの濃度は、例えば1%である。
【0049】
熟成液は、粉体調味料、難水溶性デキストリン、及びトレハロース等を含んでいてもよい。粉体調味料は、例えば、AM-B、トレハロース、アラニン、及びコハク酸ナトリウム等を含んでいてもよい。
【0050】
グルタミン酸ナトリウム、粉体調味料、及び酢酸ナトリウムを添加することにより、野菜加工食品の旨みを向上させることが可能である。酢酸ナトリウムには、pH調整作用、抗カビ、抗菌作用、及びまろやかな酸味を与える作用もある。
【0051】
また、難水溶性デキストリンを添加することにより、野菜加工食品の食物繊維含有量を増加させることが可能となる。さらに、難水溶性デキストリンを添加することにより、野菜加工食品の水分含有量を低下させ、野菜加工食品にしゃきしゃきとした食感をもたらすことが可能となる。
【0052】
また、トレハロースを添加することにより、野菜加工食品の緑色保持能、水分保持能、及び冷凍後の復元能を向上させることが可能である。
【0053】
野菜を発酵させた後、野菜を乾燥させて、乾燥食品としてもよい。乾燥方法は、フリーズドライ乾燥であってもよいし、熱風乾燥であってもよい。あるいは、野菜を発酵させた後、野菜をジュース又はピューレに加工してもよい。
【0054】
(実施例1)
生で未加工の野沢菜を用意し、水道水で洗浄した。次に、野沢菜をカットした。その後、野沢菜を65℃の湯に30秒浸し、野沢菜を湯通しした。袋に湯通しした野沢菜と煮汁を入れた。また、培養乳酸菌であるラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・カルバータスA株、及びラクトバチルス・カルバータスB株のそれぞれを袋に入れた。袋の中において、固形分と液体分との比は、2:1となるようにした。その後、袋口をシールして袋を密閉し、袋に重石を載せて、30℃で野沢菜を発酵させた。
【0055】
野沢菜を発酵させながら、pHの測定を行った。ラクトバチルス・プランタルムを添加した野沢菜においては、約8時間の発酵でpHが4.6になった。また、野沢菜を発酵させた後の菌数を測定した。衛生試験検査指針に従い、一般生菌数は、標準寒天培地を用いる平板培養法により測定した。また、乳酸菌数は、BCP加プレ-トカウント寒天培地を用いる平板培養法により測定した。pH及び菌数の測定結果を図1に示す。
【0056】
(実施例2)
乳酸菌単体を野沢菜に添加する代わりに、実施例1で野沢菜を発酵させた際に生じた発酵液を野沢菜に添加した以外は、実施例1と同様に野沢菜を発酵させた。その結果、約4時間の発酵でpHが4.6になった。
【0057】
(実施例3)
野沢菜を湯通しする代わりに、100ppmの次亜塩素酸ナトリウムに野沢菜を10分間浸し、その後、野沢菜を水洗いした以外は、実施例2と同様に野沢菜を発酵させた。実施例2、3で製造した野沢菜の発酵食品の菌数を測定したところ、図2に示すように、大きな差は認められなかった。また、実施例2、3で野沢菜の発酵食品を製造した際に生じた発酵液の組成を有機酸分析システム(SCL-10Avp、島津製作所)で分析したところ、図3に示すように、大きな差は認められなかった。
【0058】
実施例2、3で製造した野沢菜の発酵食品の歯ごたえを定量化するために、実施例2、3で製造した野沢菜の発酵食品の茎の部分の応力をクリープメーター(山電)で測定した。試料長辺に対し垂直方向で、試料中心に対して底面長さ30mm、底面幅1mm、角度30度のくさび型プランジャー(P49、山電)を用いて、圧縮速度0.5mm/秒で試料を圧縮し、試料の応力を継時的に測定した。その結果、図4に示すように、湯通ししないほうが野沢菜のしゃきしゃき感が残ることが示された。
図1
図2
図3
図4