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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】戸体の開閉機構
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/02 20060101AFI20220414BHJP
   E05F 3/00 20060101ALI20220414BHJP
   E05F 1/14 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
E05F5/02 E
E05F3/00 A
E05F1/14 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018241491
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020101059
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000113779
【氏名又は名称】マツ六株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391025899
【氏名又は名称】昭和スプリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和芳
(72)【発明者】
【氏名】北村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】尾形 安央
【審査官】藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-069598(JP,A)
【文献】特許第5401511(JP,B2)
【文献】特開2003-214024(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02050908(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00 - 13/04,17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置と受け具との何れか一方の第一部材と、何れか他方の第二部材とを備え、
前記駆動装置の作動アームと前記受け具とが係合することにより、開き戸又は折り戸である戸体が前記作動アーム部に制御されて戸枠との角度を変化させつつ開閉する戸体の開閉機構において、
前記戸体と前記戸枠との何れか一方の開閉構造体の左右方向に沿ってガイド部材が配置され、
前記一方の開閉構造体には、左右両側に配置された左右の前記第二部材と、前記左右の前記第二部材の間に配置された単一の前記第一部材とが配置され、
前記第一部材は、前記ガイド部材に沿って左右方向へスライド可能に取り付けられた単一の前記駆動装置であり、
前記戸体と前記戸枠との何れか他方の開閉構造体と前記第一部材とを繋ぐ連携部材を備え、
前記連携部材は、前記戸体の開閉構造体の開閉に伴い前記第一部材を前記ガイド部材に沿ってスライドさせるものであり、
前記単一の前記駆動装置は、前記作動アームを左右両側に備え、
開閉の付勢力を蓄えるスプリングの左右両側が前記左右両側の前記作動アームに接続され、前記スプリングによって前記左右両側の前記作動アームが作動するものであり、
左右何れか一方の前記作動アームと左右何れか一方の前記受け具とが係合することによって前記戸体の開き動作がなされ、
左右何れか他方の前記作動アームと左右何れか他方の前記受け具とが係合することによって前記戸体の閉まり動作がなされるように構成されたことを特徴とする戸体の開閉機構。
【請求項2】
前記駆動装置は、前記作動アームと、前記スプリングと、保持機構と、ダンパーとを備え、
前記保持機構は、前記作動アームを一方に回動した状態で保持するものであり、
前記ダンパーは、前記作動アームの回転抵抗となることで、前記戸体の開閉の速さを制御するものであり、
前記作動アームが前記受け具に受け入れられることにより、前記保持機構による前記作動アームの保持が外れて前記作動アームが他方ヘ前記付勢力によって回動し、前記スプリングの付勢力が前記戸体に作用するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の戸体の開閉機構。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記左右両側の前記作動アームと前記スプリングと前記保持機構と前記ダンパーとが、ケーシングに納められていることを特徴とする請求項2に記載の戸体の開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸体の開閉機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駆動装置と受け具との何れか一方の第一部材と、何れか他方の第二部材とを備え、前記駆動装置の作動部と前記受け具とが係合することにより、前記戸体が作動部に制御されて開閉する戸体の開閉機構については、先行技術文献に示す構造のものが知られている。
【0003】
具体的には、前記作動部は作動アームであり、前記駆動装置は、前記作動アームと、前記作動アームを回動させるスプリングと、保持機構とを備えたものとして実施される。前記スプリングは、前記作動アームが一方に回動するとき付勢力を蓄え、前記付勢力によって前記作動アームを他方に回動させる。前記保持機構は、前記作動アームを一方に回動した状態で保持するものであり、前記受け具は、前記作動アームを受け入れるものとして実施される。前記作動アームが前記受け具に受け入れられることにより、前記保持機構による前記作動アームの保持が外れて前記作動アームが他方ヘ前記付勢力によって回動し、前記スプリングの付勢力が前記戸体に作用することによって、戸体の開閉が前記スプリングの力によってなされるように構成されている。さらに、スプリングの力を調整したり、人が勢いよく戸体の開閉を行なった時に開閉のスピードを適当な速さに弱めたりするためのダンパーが併設されたものとして実施されている。
【0004】
前記戸体が前記戸枠との角度を変化させつつ開閉する開き戸や折戸にあっては、戸体の重量によって、開閉中にその高さが変化する場合があり、さらに経年変化によって高さの変化が著しくなることもある。このような場合、前記作動アームが前記受け具に良好に受け入れられなかったり、受け入れられても誤動作を起こす恐れがある。
【0005】
さらにまた、戸体の開と閉との双方にて開閉機構を設けようとすると、2組の駆動装置と受け具とが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5690045号公報
【文献】特許第5401511号公報
【文献】特許第5089208号公報
【文献】特開2006-283460号公報
【文献】特許第4460554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は戸体の開閉機構における新たな構造を提供することを課題とする。
また本発明は、開き戸や折戸の開閉の際における高さの変化に、開閉機構が影響されてしまうことを抑制した戸体の開閉機構の提供を図ることにある。
【0008】
さらにまた本発明は、戸体の開閉の双方に対応できる戸体の開閉機構の提供を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、駆動装置と受け具との何れか一方の第一部材と、何れか他方の第二部材とを備え、前記駆動装置の作動部と前記受け具とが係合することにより、戸体が前記作動部に制御されて戸枠との角度を変化させつつ開閉する戸体の開閉機構において、新たな構造を備えた物を提供する。
【0010】
すなわち本発明にあっては、前記戸体は、開き戸又は折り戸として実施できるものであり、前記第一部材と前記第二部材との双方を、前記戸体と前記戸枠との何れか一方の開閉構造体に設けるようにしたものである。前記第一部材は左右方向に沿ってスライド可能であるが、前記第二部材は左右方向に移動不能とされる。
【0011】
そして、前記戸体と前記戸枠との何れか他方の開閉構造体と前記第一部材とを、連携部材を介して繋ぐ。前記連携部材は、前記一方の開閉構造体の開閉に伴い前記第一部材を前記一方の開閉構造体に沿ってスライド移動させる。このスライド移動によって前記駆動装置の前記作動部と前記受け具とが係合して前記戸体が前記作動部に制御されて開閉するように構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は戸体の開閉機構における新たな構造を提供することができたものである。
また本発明は、前記第一部材と前記第二部材との双方を、前記戸体と前記戸枠との何れか一方の開閉構造体に設けるようにしたものであるため、開き戸や折戸の開閉の際における高さの変化に、開閉機構が影響されてしまうことを抑制することができる。
さらにまた本発明は、戸体の開閉の双方に対応できる戸体の開閉機構の提供を図ることができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態に係る開閉機構を示す写真斜視図であり、(A)は全閉状態、(B)は半開状態、(C)は全開状態を示す。
図2】同開閉機構の全閉状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図3】同開閉機構の半開状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図4】同開閉機構の全開状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図5】第2の実施の形態に係る開閉機構の全開状態の平面図である。
図6第3の実施の形態に係る開閉機構の全閉状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図7】同開閉機構の半開状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図8】同開閉機構の全開状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図9第4の実施の形態に係る開閉機構の全閉状態を示すものであり、(A)は要部断面図、(B)は平面図、(C)は正面図である。
図10】同開閉機構の半開状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図11】同開閉機構の全開状態を示すものであり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図12同開閉機構であって、請求項1に係る発明の実施に適する駆動装置と受け具を示す説明図であり、(A)は全閉状態、(B)は半開状態、(C)は全開状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
(概要)
本発明は、前述の通り、受け具31と駆動装置41との何れか一方を第一部材とし、何れか他方を第二部材とし、駆動装置41の作動アーム42などの作動部と受け具31とが係合することにより、戸体11が作動部に制御されて戸枠12との角度を変化させつつ開閉する戸体の開閉機構に関するものである。戸体11は、具体的には開き戸又は折り戸として実施されるものであり、従来受け具31と駆動装置41は、戸体11と戸枠12とに別れて固定されており、戸体11が全閉に近づくなど受け具31と駆動装置41が接近した段階で、受け具31と作動アーム42が係合して、戸体11の動きを制御するようにしていたところ、本発明では、受け具31と駆動装置41との両者を共に、戸体11と戸枠12のいずれか一方に設けるようにした新たな構造の開閉機構を提案するものである。具体的には、受け具31と駆動装置41を共に戸体11と戸枠12のいずれか一方に設けるものであり、その際に受け具31と駆動装置41とのいずれか一方を、左右方向にスライド可能に設けて、連携用ステー21などの連携部材によってスライド移動させて、駆動装置41の作動アーム42などの作動部を受け具31に係合させるものである。
【0015】
(受け具31と駆動装置41)
本発明の実施においては、受け具31と駆動装置41の構造自体は、従来の開閉機構に用いられていたものをそのまま適用することができるものであり、上述の先行技術文献に示されたものや、それ以外の構造のものなど、種々変更して実施することができるが、その単なる一例として、図12を参照しながらその構造を簡単に説明する。
【0016】
駆動装置41は、作動アーム42と、これを回動させるスプリング43と、保持機構44とを備えたものとして実施でき、これに加えてダンパー46をさらに設けて実施することができ、これらがケーシング47に納められている。図12の例では左右2つの作動アーム42を1本のスプリング43で動かすようにしているが、1つの作動アーム42を1本のスプリング43で動かすようにしてもよく、1つの作動アーム42を2本以上のスプリング43で動かすようにしても構わない。
【0017】
作動アーム42は、その先端にローラーなどの係合部分48を備え、その基端がアーム回動軸49によって回動可能にケーシング47に軸支されている。
スプリング43は、その両端が、左右の作動アーム42の基端寄りの力点部分50にそれぞれ固定されているが、一つの作動アーム42のみを備えたものの場合には、スプリング43の一端はケーシング47に固定されて実施される。またこの例では、戸体11の動きを一定速さ以下に抑えるためにダンパー46が用いられており、ダンパー46の両端は、左右の作動アーム42の基端寄りにそれぞれ固定されている。なお、スプリング43とダンパー46の位置関係は入れ替えて実施することもできるし、スプリング43やダンパー46をリンクやカムなどの別部材を介して作動アーム42に接続することもできる。
【0018】
この例ではスプリング43に引っ張りコイルスプリングが用いられているため、図12では(A)及び(C)が、スプリング43とダンパー46とが収縮した状態となっており、(B)が伸長した状態となっている。この伸長した状態でスプリング43には付勢力が蓄えられているが、スプリング43に圧縮コイルスプリングを用いた場合には収縮した状態で付勢力がスプリング43に蓄えられることになる。この蓄えられる力は、人の手によって戸体11が開閉される際に蓄えられるものである。
【0019】
具体的には、図12の(A)において、左側の作動アーム42が、受け具31の保持部32に係合して固定されている状態で、人の手による戸体11の開閉動作で受け具31と駆動装置41との位置関係が変化する時に、作動アーム42が回動するに伴い、スプリング43が伸長して付勢力が蓄えられる。
【0020】
さらに人の手による戸体11の開閉動作が継続されると、図12の(B)に示されるように、左側の作動アーム42が保持部32から抜け出して係合状態が解除されると共に、板バネなどの保持機構44によって作動アーム42が保持される。なお、この状態では、左右のアーム回動軸49と力点部分50がスプリング43とほぼ一直線上となるため、スプリング43の力は作動アーム42を回動させるための力としては大きく作用しておらず、この状態を保持機構44が安定的に保つようにしているものであるが、アーム回動軸49と力点部分50とスプリング43の位置関係のみで保持機構を構成するようにしてかまわない。
【0021】
さらに人の手による戸体11の開閉動作が継続されると、図12の(C)に示されるように、右側の作動アーム42が受け具31の案内部33から保持部32に入り込んで、係止状態となる。これによって、スプリング43の力が戸体11に作用して、スプリング43のみの力でも戸体11が回動する。その際、人の力が大きい場合など戸体11の移動が速すぎる場合には、ダンパー46によって適当な速さに制限される。
なお、受け具31は斜面状の案内部33と凹部の保持部32を備えたものとしているが、これらを溝状のものにしても構わないし、種々の形態のものを採用することができる。
【0022】
(第1の実施の形態:図1から図4
図1から図4を参照して第1の実施の形態に係る開閉機構を説明する。
【0023】
この開閉機構は、戸体11と戸枠12とからなる開閉構造体によって、戸体11の開閉を制御するものである。この例では、戸枠12の縦枠13に回動可能に取り付けられた開き戸を例示したが、折り戸にも適用することができる。戸体11は、常法に従い蝶番(図示せず)によって縦枠13に取り付けられており、回動軸14を中心として回動して開閉する。
【0024】
この例では、受け具31と駆動装置41は共に戸体11に設けられたもので、受け具31が戸体11の左右方向にスライド可能に設けられている。従ってこの例では受け具31が第一部材であり、駆動装置41が第二部材であり、第二部材である駆動装置41は戸体11に固定されている。駆動装置41は、1つであっても構わないが、この例では左右両側に1つずつ合計2つの駆動装置41が設けられている。これによって、開閉機構による制御は、戸体11が開き切る際と、閉まり切る際との両方で行われるものである。
【0025】
受け具31と駆動装置41は、戸体11の外面に露出するように設けても作動するが、戸体11の前後の2面を構成する前板と後板との間の内部空間に配置しておけば、外部からはほとんど見えない状態となるため、居室空間等の意匠性の向上に有利である。
【0026】
受け具31は、戸枠12の上端に設けられたガイド部材22に案内されて左右方向にスライド移動する。この受け具31と戸枠12(この例では上枠15)との間には、連携部材として剛性を有する連携用ステー21が渡されている。連携用ステー21の両端は受け具31と戸枠12のそれぞれに対して連結軸23、24にて回動可能に接続されている。連携用ステー21が連結軸24で接続された受け具31は戸体11の左右方向にスライド可能であるため、戸体11の開閉に伴い受け具31は左右方向に移動する。なお、戸枠12の連結軸23については、戸体11の特定の位置で左右方向には動かないように、その位置が固定されている。
【0027】
戸体11の開閉に伴い、受け具31が一方の駆動装置41に接近すると、受け具31が駆動装置41の作動アーム42と係合する。これによって、一方の駆動装置41が作動してスプリング43の力で作動アーム42が回動する。作動アーム42が回動することによって、連携用ステー21も回動し、これによって戸体11が戸枠12に対して回動する。
受け具31が左右の駆動装置41から遠ざかって両者の中間の位置にあるときは、戸体11にはスプリング43の力は作用しない。
【0028】
なお、連結軸23、24と連携用ステー21との接続は、上下方向に若干の遊びを持たせておくことが好ましく、これによって戸体11が開閉時に上下動しても、この上下動を吸収して受け具31を円滑に左右方向に移動させることができるとともに、受け具31と駆動装置41の作動アーム42との係合に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0029】
図1(A)と図2は、戸体11の全閉状態を示しているもので、この状態では、受け具31は右側(戸先側)へ移動しており、右側の駆動装置41の作動アーム42と係合している。
図1(B)と図3は、戸体11が半開きの状態を示しているもので、この状態では、受け具31は左右方向の中間位置にあり、左右いずれの駆動装置41の作動アーム42とも係合していない。したがって戸体11は普通の扉と同様に自由な状態にある。
図1(C)と図4は、戸体11の全開状態を示しているもので、この状態では、受け具31は左側(吊元側)へ移動しており、左側の駆動装置41の作動アーム42と係合している。
【0030】
なお、駆動装置41は前述の図12のものでは横長のタイプを示したが、この実施の形態における駆動装置41は、縦長のタイプで1つの作動アーム42を備えた駆動装置41を2個用いたが、その形態は適宜変更することができる。また、図12のものでは2個の受け具31を用いていたが、この例では左右それぞれに保持部及び案内部を備えた1個の受け具31を用いて、受け具31が左側に移動した時には左側の保持部及び案内部が左側の駆動装置41の作動アーム42と係合し、受け具31が右側に移動した時には右側の保持部及び案内部が右側の駆動装置41の作動アーム42と係合するようにしているが、その形態は適宜変更することができる。
【0031】
(第2の実施の形態:図5
次に図5を参照して第2の実施の形態について説明する。この実施の形態に係る開閉機構は、第1の実施の形態における戸体11を180度近くまで回動することができるようにしたもので、連携用ステー21の長さやガイド部材22の長さを第1の実施の形態のものに比べて長くしたり、連結軸23の位置を変更したりすることによって、大きな回動範囲にも対応することができるようにしたものである。
【0032】
(第3の実施の形態:図6から図8
図6から図8を参照して第3の実施の形態に係る開閉機構を説明する。
この開閉機構にあっては、受け具31と駆動装置41は共に戸枠12側に設けられたもので、受け具31が戸枠12の上枠15の左右方向にスライド可能に設けられている。従ってこの例でも受け具31が第一部材であり、駆動装置41が第二部材であるが、第1の実施の形態とは異なり両者は共に戸枠12側に設けられている。第二部材である駆動装置41は、1つであっても構わないが、この例では2つが左右に設けられている。これによって、開閉機構による制御は、戸体11が開き切る際と、閉まり切る際との両方で行われるものである。
【0033】
受け具31を左右方向に案内するガイド部材22は、戸枠12の上枠15の下面に設けられており、連携用ステー21の連結軸23は戸枠12側の受け具31に設けられている。
【0034】
図6は、戸体11の全閉状態を示しているもので、この状態では、受け具31は右側(戸先側)へ移動しており、右側の駆動装置41の作動アーム42と係合している。
図7は、戸体11が半開きの状態を示しているもので、この状態では、受け具31は左右の中間位置にあり、左右いずれの駆動装置41の作動アーム42とも係合していない。したがって戸体11は普通の扉と同様に自由な状態にある。
図8は、戸体11の全開状態を示しているもので、この状態では、受け具31は左側(吊元側)へ移動しており、左側の駆動装置41の作動アーム42と係合している。
【0035】
(第4の実施の形態:図9から図12
図9から図12を参照して第4の実施の形態に係る開閉機構を説明する。
【0036】
この開閉機構にあっては、受け具31と駆動装置41は共に戸体11側に設けられたもので、駆動装置41が戸体11の左右方向にスライド可能に設けられている。従ってこの例では、駆動装置41が第一部材であり、受け具31が第二部材であり、両者はともに戸体11側に設けられている。第二部材である受け具31は、1つであっても構わないが、この例では2つが左右に設けられている。これによって、開閉機構による制御は、戸体11が開き切る際と、閉まり切る際との両方で行われるものである。
この例では、駆動装置41は最初に説明した図12の横長タイプのものが採用されているが、縦長タイプのものであっても構わない。
【0037】
図9(A)は、戸体11に受け具31と駆動装置41を収納する形態の一例を示すもので、駆動装置41の上部は前後方向に張り出した被案内部45を備えている。これに対応してガイド部材22を断面コ字状として、被案内部45を受容し、その上下から案内することができるものとしておくことによって、上下方向に安定した作動状態を得るようにしたものである。
なおこの例では、駆動装置41の下方に突出した作動アーム42が、その下方に設けられた受け具31と係合するものであり、戸体11に設けられた凹部内に配置されている。
【0038】
図9(B)(C)は、戸体11の全閉状態を示しているもので、この状態では、駆動装置41は右側(戸先側)へ移動しており、その作動アーム42は右側の受け具31と係合している。
図10(A)(B)は、戸体11が半開きの状態を示しているもので、この状態では、駆動装置41は左右の中間位置にあり、その作動アーム42は左右いずれの受け具31とも係合していない。したがって戸体11は普通の扉と同様に自由な状態にある。
図11(A)(B)は、戸体11の全開状態を示しているもので、この状態では、駆動装置41は左側(吊元側)へ移動しており、その作動アーム42は左側の受け具31と係合している。
【0039】
(変更例)
本発明は上述の実施の形態のように種々の形態で実施することができる。
【0040】
受け具31と駆動装置41とは、いずれか一方を左右方向にスライドする第一部材として実施し、いずれか他方を固定された第二部材として実施することができるものであり、受け具31と駆動装置41のいずれを第一部材にしても構わない。
【0041】
受け具31と駆動装置41とは、戸体11と戸枠12からなる開閉構造体のうち、いずれの開閉構造体に設けても構わない。
【0042】
固定された第二部材は、2個のものを図示したが、1個のもので実施しても構わない。その場合、戸体が全開時の場合に作動するものであっても、全閉時の場合に作動するものであっても、いずれであっても構わない。
【0043】
戸体11の開閉角度は約90°と約180°のものを示したが、その角度は適宜変更して実施することができる。
【0044】
戸体重量の軽重にかかわらず実施することができるものであり、特に戸体重量の重たい場合には、その重量によって開閉途中に戸先側が上下動しやすくなるため、本発明のように、受け具31と駆動装置41とを共に戸体11と戸枠12の一本にまとめて設けることによって、開閉途中の上下動の影響を受けてしまうことを抑制することができる。
【0045】
戸体11が全閉する際に、その閉まりを保持しておくために、一般にラッチが設けられているが、これを閉める方向で補助する機構を追加して実施しても構わない。
【0046】
戸体11が全開した状態で、その煽り止めできる機構を追加して実施しても構わないし、また、開閉機構のコンパクト化を図ったり、上下や左右や引込み速度などの各種調整機構を追加して実施しても構わない。
【0047】
(実施の形態の利点)
本発明は従来にない開閉機構の新たな構造を提供することができたことが最大の効果であるが、この新たな構造によって、種々の利点を備えた開閉機構として実施することが可能となった。
【0048】
従来の開閉機構にあっては、戸体11が右開きか左開きかによって、駆動装置41の形状構造を変更する必要がある場合もあったが、本発明では開閉機構に左右勝手がでないようにして実施することができる。
【0049】
従来の開閉機構にあっては、扉を開いたときには対応することが困難であり、そのために床面に別途の戸当りを設ける必要があったが、本発明では開閉機構のみで開き側、閉まり側の所望の位置で戸体11を停止させることができるため、開き側、閉まり側のいずれの場合にも戸当りを設けずに実施することが可能となった。よって、開扉側では別途の戸当りを設けずに実施することも可能となり、閉扉側でも戸枠に設けられる枠戸当りを省略して実施することも可能となり、さらに衝撃吸収用のパッキンやモヘアも必要なくなる等の利点がある。
【0050】
発明では、開閉機構を戸体11と戸枠12に内蔵して実施することもできるため、連携用ステーだけが外部から見えるものとし実施することもできる。これによって住宅設備では大きなポイントとなる意匠的な美観の向上にも有利な構造とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
11 戸体
12 戸枠
13 縦枠
14 回動軸
15 上枠
21 連携用ステー(連携部材)
22 ガイド部材
23,24 連結軸
31 受け具
32 保持部
33 案内部
41 駆動装置
42 作動アーム
43 スプリング
44 保持機構
45 被案内部
46 ダンパー
47 ケーシング
48 係合部分
49 アーム回動軸
50 力点部分
図1
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