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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】パネル保持具及びパネル保持方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/30 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
E04G21/30 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020194406
(22)【出願日】2020-11-24
(62)【分割の表示】P 2017002624の分割
【原出願日】2017-01-11
(65)【公開番号】P2021028467
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2016010977
(32)【優先日】2016-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391065781
【氏名又は名称】第一大宮株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】石田 尚也
(72)【発明者】
【氏名】平井 伸治
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-139696(JP,A)
【文献】実開平07-028012(JP,U)
【文献】特開2011-011794(JP,A)
【文献】特開2011-251066(JP,A)
【文献】特開2004-156273(JP,A)
【文献】特開2005-325550(JP,A)
【文献】特開平10-203760(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0283719(US,A1)
【文献】米国特許第09856664(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24、21/30
E04B 1/98
E04F 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持するパネル保持具であって、
前記床面の上に設置される第1の板部と、
前記パネルに押し当てられる第2の板部と、
前記第1の板部と前記第2の板部との間の折り曲げ罫線に沿って折り曲げられる折り曲げ部とを備え、
前記第1の板部と前記第2の板部とは、互いに連続して形成されたプラスチック中空パネルからなり、
前記プラスチック中空パネルは、互いに平行に配置された一対の平板部と、前記一対の平板部の間を前記折り曲げ罫線と直交する方向に沿って連結すると共に、前記折り曲げ罫線の延長方向に一定の間隔で並んで配置された複数のリブ部と、前記複数のリブ部の各間に形成された複数の中空部とを含む中空断面構造を有し、
前記折り曲げ部は、前記第1の板部及び前記第2の板部の一面側に前記折り曲げ罫線に沿って形成された溝部を有し、
前記溝部は、前記第1の板部に形成された第1の傾斜面と、前記第2の板部に形成された第2の傾斜面とを含み、
前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面とが互いに突き合わされた状態となるまで、前記第1の板部と前記第2の板部とが前記折り曲げ罫線に沿って折り曲げられたとき、前記第1の板部と前記第2の板部との間の前記一面側の折り曲げ角度が91°~125°であり、
前記床面の上に設置された前記第1の板部を前記床面に固定すると共に、前記第2の板部を弾性変形させながら、前記パネルに押し当てたとき、その反発力を利用して前記パネルが前記壁面に対して押し付けられることを特徴するパネル保持具。
【請求項2】
前記プラスチック中空パネルの板厚は、3~15mmであり、
前記一対の平板部の厚みは、それぞれ0.3~2.0mmであり、
前記リブ部の厚みは、0.1~1.5mmであり、
前記リブ部の間隔は、2~20mmであることを特徴とする請求項1に記載のパネル保持具。
【請求項3】
前記溝部の内側には、前記複数のリブ部の各間から前記一面側の平板部を貫通した孔部と、前記孔部を挟んだ両側に前記一面側の平板部と共に前記リブ部が押し潰された押し潰し部とが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル保持具。
【請求項4】
前記溝部の内側には、前記複数の中空部を閉塞した前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル保持具。
【請求項5】
前記パネルに押し当てられる第3の板部と、
前記第2の板部と前記第3の板部との間の折り返し罫線に沿って前記一面側とは反対側に折り返される折り返し部とを備え、
前記折り返し部は、前記第2の板部及び前記第3の板部の一面側に前記折り返し罫線に沿って形成された切り込み部を有することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のパネル保持具。
【請求項6】
前記第1の板部と前記第2の板部との間の折り曲げ罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り曲げ部を折り曲げると共に、前記第2の板部と前記第3の板部との間の折り返し罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り返し部を折り返した状態で、前記折り返し部を上方に向けた状態で自立可能であることを特徴とする請求項5に記載のパネル保持具。
【請求項7】
前記第1の板部と前記第2の板部との間の折り曲げ罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り曲げ部を折り曲げると共に、前記第2の板部と前記第3の板部との間の折り返し罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り返し部を折り返した状態としたときに、前記第1の板部の先端側と前記第3の板部の先端側とが互いに当接可能であることを特徴とする請求項6に記載のパネル保持具。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のパネル保持具を用いて、パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持するパネル保持方法であって、
前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面とが互いに突き合わされた状態となるまで、前記第1の板部と前記第2の板部とを前記折り曲げ罫線に沿って折り曲げた状態とし、この状態で、前記床面の上に設置された前記第1の板部を前記床面に固定すると共に、前記第2の板部を弾性変形させながら、前記パネルに押し当てることを特徴とするパネル保持方法。
【請求項9】
前記パネル保持具を前記パネルの幅方向の両側に配置することを特徴する請求項8に記載のパネル保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持するパネル保持具、並びに、そのようなパネル保持具を用いたパネル保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物内で荷物や資材等を搬送する際に、養生パネルを建物の壁面に沿って配置し、壁面を一時的に保護することが行われている。このとき、養生パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持する必要がある。
【0003】
このため、養生テープを用いて養生パネルを壁面に直接貼り付けたり、自立可能な養生パネルを壁面に沿って配置したり、パネル保持具を用いて養生パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持したりすることが行われている(例えば、特許文献1~3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-122139号公報
【文献】特開2005-139696号公報
【文献】特開2001-311236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した養生テープを用いて養生パネルを壁面に直接貼り付ける場合は、養生パネルを回収する際に、養生テープを壁面から引き剥がす必要があり、非常に面倒である。
【0006】
一方、自立可能な養生パネルを用いた場合は、上述したパネル回収時に養生テープを引き剥がす作業が不要となる。しかしながら、自立型の養生パネルは、高さ寸法が大きくなるほど、その重心が不安定となり、壁面の反対側へと倒れ込み易くなる。
【0007】
一方、パネル保持具を用いた場合は、養生パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持することができる。しかしながら、従来のパネル保持具は、養生パネルを壁面に押し付ける力が弱く、例えば養生パネルの高さ寸法が大きくなった場合には、養生パネルと共に壁面の反対側へと倒れ込んでしまう可能性がある。また、従来のパネル保持具は、それ自体を起立させる必要があるため、構造が複雑となってしまうといった欠点がある。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、簡便な構造を有しながら、パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で安定して保持できるパネル保持具、並びに、そのようなパネル保持具を用いたパネル保持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
(1) パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持するパネル保持具であって、
前記床面の上に設置される第1の板部と、
前記パネルに押し当てられる第2の板部と、
前記第1の板部と前記第2の板部との間の折り曲げ罫線に沿って折り曲げられる折り曲げ部とを備え、
前記第1の板部と前記第2の板部とは、互いに連続して形成されたプラスチック中空パネルからなり、
前記プラスチック中空パネルは、互いに平行に配置された一対の平板部と、前記一対の平板部の間を前記折り曲げ罫線と直交する方向に沿って連結すると共に、前記折り曲げ罫線の延長方向に一定の間隔で並んで配置された複数のリブ部と、前記複数のリブ部の各間に形成された複数の中空部とを含む中空断面構造を有し、
前記折り曲げ部は、前記第1の板部及び前記第2の板部の一面側に前記折り曲げ罫線に沿って形成された溝部を有し、
前記溝部は、前記第1の板部に形成された第1の傾斜面と、前記第2の板部に形成された第2の傾斜面とを含み、
前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面とが互いに突き合わされた状態となるまで、前記第1の板部と前記第2の板部とが前記折り曲げ罫線に沿って折り曲げられたとき、前記第1の板部と前記第2の板部との間の前記一面側の折り曲げ角度が91°~125°であり、
前記床面の上に設置された前記第1の板部を前記床面に固定すると共に、前記第2の板部を弾性変形させながら、前記パネルに押し当てたとき、その反発力を利用して前記パネルが前記壁面に対して押し付けられることを特徴するパネル保持具。
(2) 前記プラスチック中空パネルの板厚は、3~15mmであり、
前記一対の平板部の厚みは、それぞれ0.3~2.0mmであり、
前記リブ部の厚みは、0.1~1.5mmであり、
前記リブ部の間隔は、2~20mmであることを特徴とする前記(1)に記載のパネル保持具。
(3) 前記溝部の内側には、前記複数のリブ部の各間から前記一面側の平板部を貫通した孔部と、前記孔部を挟んだ両側に前記一面側の平板部と共に前記リブ部が押し潰された押し潰し部とが設けられていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のパネル保持具。
(4) 前記溝部の内側には、前記複数の中空部を閉塞した前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面が形成されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のパネル保持具。
(5) 前記パネルに押し当てられる第3の板部と、
前記第2の板部と前記第3の板部との間の折り返し罫線に沿って前記一面側とは反対側に折り返される折り返し部とを備え、
前記折り返し部は、前記第2の板部及び前記第3の板部の一面側に前記折り返し罫線に沿って形成された切り込み部を有することを特徴とする前記(1)~(4)の何れか一項に記載のパネル保持具。
(6) 前記第1の板部と前記第2の板部との間の折り曲げ罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り曲げ部を折り曲げると共に、前記第2の板部と前記第3の板部との間の折り返し罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り返し部を折り返した状態で、前記折り返し部を上方に向けた状態で自立可能であることを特徴とする前記(5)に記載のパネル保持具。
(7) 前記第1の板部と前記第2の板部との間の折り曲げ罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り曲げ部を折り曲げると共に、前記第2の板部と前記第3の板部との間の折り返し罫線に沿って前記一面側とは反対側に前記折り返し部を折り返した状態としたときに、前記第1の板部の先端側と前記第3の板部の先端側とが互いに当接可能であることを特徴とする前記(6)に記載のパネル保持具。
(8) 請求項前記(1)~(7)の何れか一項に記載のパネル保持具を用いて、パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持するパネル保持方法であって、
前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面とが互いに突き合わされた状態となるまで、前記第1の板部と前記第2の板部とを前記折り曲げ罫線に沿って折り曲げた状態とし、この状態で、前記床面の上に設置された前記第1の板部を前記床面に固定すると共に、前記第2の板部を弾性変形させながら、前記パネルに押し当てることを特徴とするパネル保持方法。
(9) 前記パネル保持具を前記パネルの幅方向の両側に配置することを特徴する前記(8)に記載のパネル保持方法。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、簡便な構造を有しながら、パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で安定して保持できるパネル保持具、並びに、そのようなパネル保持具を用いたパネル保持方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るパネル保持具の構成を示し、(a)はその折り曲げ部を折り曲げた状態を示す側面図、(b)はその正面図、(c)はその上面図、(d)はその折り曲げ部を折り曲げる前の状態を示す側面図である。
図2図1に示すパネル保持具を構成するプラスチック中空パネルの構造を示す断面図である。
図3図1に示すパネル保持具の折り曲げ部を拡大して示す斜視図である。
図4図1に示すパネル保持具を用いて養生パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持した状態を示す側面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るパネル保持具の構成を示し、(a)はその折り曲げ部を折り曲げた状態且つ折り返し部を折り返す前の状態を示す側面図、(b)はその正面図、(c)はその上面図、(d)はその折り曲げ部を折り曲げる前の状態且つ折り返し部を折り返した後の状態を示す側面図である。
図6図5に示すパネル保持具の折り返し部を拡大して示す斜視図である。
図7図5に示すパネル保持具を用いて養生パネルを壁面に沿って床面から起立した状態で保持した状態を示す側面図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係るパネル保持具の折り曲げ部を拡大して示す斜視図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係るパネル保持具の折り曲げ部を拡大して示す斜視図である。
図10図5に示すパネル保持具を自立させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
(パネル保持具)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1(a)~(d)、図2及び図3に示すパネル保持具1Aの構成について説明する。なお、図1(a)は、パネル保持具1Aの後述する折り曲げ部4を折り曲げた状態を示す側面図である。図1(b)は、パネル保持具1Aの正面図である。図1(c)は、パネル保持具1Aの上面図である。図1(d)は、パネル保持具1Aの折り曲げ部4を折り曲げる前の状態を示す側面図である。図2は、後述するパネル保持具1Aを構成するプラスチック中空パネル10の構造を示す断面図である。図3は、パネル保持具1Aの折り曲げ部4を拡大して示す斜視図である。
【0013】
パネル保持具1Aは、図1(a)~(d)及び図2に示すように、長尺板状のプラスチック中空パネル10からなり、互いに連続して形成された第1の板部2及び第2の板部3と、第1の板部2と前記第2の板部3との間の折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げられる折り曲げ部4とを備えている。
【0014】
プラスチック中空パネル10は、互いに平行に配置された一対の平板部11,12と、一対の平板部11,12の間を折り曲げ罫線L1と直交する方向(プラスチック中空パネル10の長さ方向)に沿って連結すると共に、折り曲げ罫線L1の延長方向(プラスチック中空パネル10の幅方向)に一定の間隔で並んで配置された複数のリブ部13と、複数のリブ部の各間に形成された複数の中空部14とを含む中空断面構造を有している。
【0015】
プラスチック中空パネル10は、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性合成樹脂を押出成形したものを用いることができる。
【0016】
また、プラスチック中空パネル10の板厚は、3~15mm(好ましくは5~10mm)程度である。平板部11,12の厚みは、それぞれ0.3~2.0mm(0.5~1.5mm)程度である。リブ部13の厚みは、0.1~1.5mm(好ましくは0.2~1.0mm)程度である。リブ部13の間隔は、2~20mm(好ましくは2.5~10mm)程度である。
【0017】
なお、本実施形態では、プラスチック中空パネル10として、例えば、板厚が5mm、平板部11,12の厚みが0.5mm、リブ部13の厚みが0.3mm、リブ部13の間隔が4.7mmのものを用いている。
【0018】
第1の板部2は、プラスチック中空パネル10の折り曲げ部4(折り曲げ罫線L1)を挟んだ一方(下部)側に位置して、後述する床面Fの上に設置される部分(横板)を構成している。一方、第2の板部3は、プラスチック中空パネル10の折り曲げ部4(折り曲げ罫線L1)を挟んだ他方(上部)側に位置して、後述する養生パネルPに押し当てられる部分(縦板)を構成している。また、第2の板部3は、第1の板部2と同じ幅で、第1の板部2よりも長尺に形成されている。
【0019】
折り曲げ部4は、図3に拡大して示すように、第1の板部2及び第2の板部3の一面(平板部11)側に折り曲げ罫線L1に沿って形成されたV字状の溝部5を有している。溝部5は、第1の板部2に形成された第1の傾斜面5aと、第2の板部3に形成された第2の傾斜面5bとを含み、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとの間で所定の開き角αを有している。折り曲げ部4は、これら第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとの間で折り曲げ可能となっている。
【0020】
なお、開き角αについては、折り曲げ部4を折り曲げることによって、その角度が変化するものの、折り曲げ部4を折り曲げる前の状態(図1(d)を参照。)、すなわち第1の板部2と第2の板部3とが平行となるときの角度とする。
【0021】
溝部5は、上述した溝部5の開き角αに合わせて先端部が三角状に形成された治具(図示せず。)を加熱した状態で、プラスチック中空パネル10の一面(平板部11)側から折り曲げ罫線L1に沿って押し当てることにより形成されている。
【0022】
これにより、溝部5の内側には、複数のリブ部13の各間から一面側の平板部11を貫通した孔部5cと、孔部5cを挟んだ両側に一面側の平板部11と共にリブ部13が押し潰された押し潰し部5dと、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとの間を連結する底面5eとが設けられている。折り曲げ部4では、このような溝部5を設けることによって、プラスチック中空パネル10の他面側の平板部12を折り曲げ罫線L1に沿って繰り返し折り曲げることが可能となっている。
【0023】
なお、溝部5の底面5eにおいて、孔部5cが形成された位置の厚みは、平板部12と同じ厚み(本実施形態では0.5mm)であり、押し潰し部5dが形成された位置の厚みは、それよりも厚く、平均で0.6~5.0mm(本実施形態では1.2mm)程度である。また、孔部5cについては、必ずしも各リブ部13(押し潰し部5d)の間の全てにおいて開口している必要はなく、場合によって孔部5cの一部が閉塞された構成となっていてもよい。
【0024】
本実施形態のパネル保持具1Aでは、図1(a)に示すように、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とが折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げられたとき、第1の板部2と第2の板部3との間の一面(平板部11)側の折り曲げ角度θが90°よりも大きくなっている。
【0025】
具体的には、折り曲げ角度θが91°~125°、より好ましくは95°~120°となる範囲で、上記溝部5の開き角α(=180°-θ)を設定する。例えば、折り曲げ角度θを120°とする場合は、開き角αを60°(=180°-120°)に設定すればよい。また、折り曲げ角度θを91°とする場合は、開き角αを89°(=180°-91°)に設定すればよい。折り曲げ角度θについては、鈍角を確保した上で、125°までとすることで、使用時に第1の板部2の前方(通路側)への張り出し量を低減することができる。
【0026】
(パネル保持方法)
次に、上記パネル保持具1Aを用いたパネル保持方法について図4を参照して説明する。なお、図4は、上記パネル保持具1Aを用いて養生パネルPを壁面Wに沿って床面Fから起立した状態で保持した状態を示す側面図である。
【0027】
上記パネル保持具1Aを用いたパネル保持方法では、図4に示すように、溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態とし、この状態で、床面Fの上に設置された第1の板部2を床面Fに固定すると共に、第2の板部3を弾性変形させながら、養生パネルPに押し当てる。また、パネル保持具1Aについては、養生パネルPを安定して保持するため、少なくとも養生パネルPの幅方向の両側に配置することが好ましい。
【0028】
本実施形態のパネル保持方法では、床面Fと壁面Wとの為す角が90°(直角)であるのに対して、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θが90°よりも大きくなるパネル保持具1Aを用いることで、第2の板部3を撓ませながら、その反発力を利用して養生パネルPを壁面Wに対して強く押し付けることができる。また、第2の板部3が養生パネルPと共に壁面Wの反対側へと倒れ込むことを防ぐことが可能である。
【0029】
ここで、本実施形態のパネル保持具1Aでは、上述した溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態としたときに、各孔部5cの両側にある押し潰し部5dが第1の傾斜面5a側と第2の傾斜面5b側とで互いに押し当てられる。
【0030】
このとき、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θを規制すると共に、この折り曲げ角度θが90°以下となることを防ぐことができる。さらに、折り曲げられた状態の他面側の平板部12が元に戻ろうとする復元力によって、上述した反発力をより大きく発生させることが可能である。
【0031】
以上のように、本実施形態のパネル保持方法では、上述した簡便な構造を有するパネル保持具1Aを用いて、養生パネルPを壁面Wに沿って床面Fから起立した状態で安定して保持することが可能である。
【0032】
〔第2の実施形態〕
(パネル保持具)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図5(a)~(d)及び図6に示すパネル保持具1Bの構成について説明する。なお、以下の説明では、上記パネル保持具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0033】
図5(a)は、パネル保持具1Bの折り曲げ部4を折り曲げた状態且つ後述する折り返し部8を折り返す前の状態を示す側面図である。図5(b)は、パネル保持具1Bの正面図である。図5(c)は、パネル保持具1Bの上面図である。図5(d)は、パネル保持具1Bの折り曲げ部4を折り曲げる前の状態且つ折り返し部8を折り返した後の状態を示す側面図である。図6は、パネル保持具1Bの折り返し部8を拡大して示す斜視図である。
【0034】
パネル保持具1Bは、図5(a)~(d)に示すように、上記パネル保持具1Aの構成に加えて、プラスチック中空パネル10により第1の板部2及び第2の板部3と連続して形成された第3の板部7と、第2の板部3と第3の板部7との間の折り返し罫線L2に沿って一面(平板部11)側とは反対(平板部12)側に折り返される折り返し部8とを備えている。
【0035】
第3の板部7は、プラスチック中空パネル10の折り返し部8(折り返し罫線L2)を挟んだ第2の板部3とは反対側(上部側)に位置して、後述する養生パネルP’に押し当てられる部分(縦板)を構成している。
【0036】
折り返し部8は、図6に拡大して示すように、第2の板部3及び第3の板部7の一面側に折り返し罫線L2に沿って形成された切り込み部9を有している。切り込み部9は、プラスチック中空パネル10の他面側の平板部12を残して、一面側の平板部11及び複数のリブ部13を折り返し罫線L2に沿って切断するハーフカット加工により形成されている。これにより、折り返し部8では、プラスチック中空パネル10の他面側の平板部12を折り返し罫線L2に沿って他面側に180°で繰り返し折り返すことができる。
【0037】
本実施形態のパネル保持具1Bでは、図5(a)に示すように、第3の板部7が第2の板部3と共に養生パネルPに押し当てられる部分(縦板)を構成しているが、図5(d)に示すように、第2の板部3から高さ方向(プラスチック中空パネル10の長さ方向)に延長された第3の板部7を他面(平板部12)側に折り返すことで、この第3の板部7をよりコンパクトに折り畳むことが可能である。
【0038】
(パネル保持方法)
次に、上記パネル保持具1Bを用いたパネル保持方法について図7を参照して説明する。なお、図7は、上記パネル保持具1Bを用いて養生パネルP’を壁面Wに沿って床面Fから起立した状態で保持した状態を示す側面図である。
【0039】
上記パネル保持具1Bを用いたパネル保持方法では、図7に示すように、溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態とし、この状態で、床面Fの上に設置された第1の板部2を床面Fに固定すると共に、第2の板部3を弾性変形させながら、養生パネルP’に押し当てる。また、パネル保持具1Bについては、養生パネルP’を安定して保持するため、少なくとも養生パネルP’の幅方向の両側に配置することが好ましい。
【0040】
ここで、図7に示す養生パネルP’は、図4に示す養生パネルPよりも高さ寸法が大きくなっている。そこで、本実施形態のパネル保持方法では、第2の板部3から高さ方向に延長された第3の板部7の他面(平板部12)側を養生パネルP’に押し当てた状態とする。
【0041】
本実施形態のパネル保持方法では、床面Fと壁面Wとの為す角が90°(直角)であるのに対して、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θが90°よりも大きくなるパネル保持具1Bを用いることで、第2の板部3を撓ませながら、その反発力を利用して養生パネルP’を壁面Wに対して強く押し付けることができる。また、第2の板部3が養生パネルP’と共に壁面Wの反対側へと倒れ込むことを防ぐことが可能である。
【0042】
ここで、本実施形態のパネル保持具1Bでは、上述した溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態としたときに、各孔部5cの両側にある押し潰し部5dが第1の傾斜面5a側と第2の傾斜面5b側とで互いに押し当てられる。
【0043】
このとき、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θを規制すると共に、この折り曲げ角度θが90°以下となることを防ぐことができる。さらに、折り曲げられた状態の他面側の平板部12が元に戻ろうとする復元力によって、上述した反発力をより大きく発生させることが可能である。
【0044】
また、本実施形態のパネル保持具1Bでは、折り返し部8により第3の板部7が第2の板部3に対して他面(平板部12)側にのみ折り返される構成のため、養生パネルP’に押し当てられた第3の板部7が壁面Wの反対側へと倒れ込むことを防ぐことが可能である。
【0045】
以上のように、本実施形態のパネル保持方法では、上述した簡便な構造を有するパネル保持具1Bを用いて、上記養生パネルPよりも高さ寸法の大きい養生パネルP’を壁面Wに沿って床面Fから起立した状態で安定して保持することが可能である。
【0046】
また、本実施形態のパネル保持具1Bでは、第2の板部3から高さ方向に延長された第3の板部7を他面(平板部12)側に折り返すことで、このパネル保持具1Bの高さを変更することができる。さらに、第3の板部7を折り返した状態において、上記養生パネルP’よりも高さ寸法の小さい養生パネルPの保持を行うことが可能である。
【0047】
〔第3の実施形態〕
(パネル保持具)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図8に示すパネル保持具1Cの構成について説明する。なお、図8は、パネル保持具1Cの折り曲げ部を拡大して示す斜視図である。また、以下の説明では、上記パネル保持具1A,1Bと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0048】
本実施形態のパネル保持具1Cは、上記パネル保持具1A,1Bを構成する折り曲げ部4を、図8に示す折り曲げ部4Aに変更した構成である。具体的に、この折り曲げ部4Aでは、溝部5の内側において、複数の中空部14を閉塞した第1の傾斜面5a及び第2の傾斜面5bが形成されている。
【0049】
このような溝部5は、上述した溝部5の開き角αに合わせて先端部が三角状に形成された治具(図示せず。)を加熱した状態で、プラスチック中空パネル10の一面(平板部11)側から折り曲げ罫線L1に沿って押し当てながら、この治具との接触部分を溶融させることによって形成することができる。これにより、溝部5の内側には、複数の中空部14が閉塞された第1の傾斜面5a及び第2の傾斜面5bと、これら第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとの間を連結する底面5eとが設けられている。
【0050】
なお、本実施形態では、例えば、厚さが3~15mm程度の中空プラスチックパネル10に対して、上述した中空部14を閉塞した溝部5を形成することができるが、特に厚さが6~15mm程度の中空プラスチックパネル10を用いることで、中空部14を閉塞するのに十分な樹脂量を確保することができ、中空部14を閉塞した溝部5の形成を容易とすることが可能である。
【0051】
また、溝部5の第1の傾斜面5a及び第2の傾斜面5bは、加熱した治具との接触により硬化されるため、これら硬化した傾斜面5a,5b同士が折り曲げ時に均一に荷重を受けることになる。これにより、折り曲げ時に折り曲げ角度θが安定的に保持されると共に、長時間の使用における破損の防止効果を得ることが可能である。
【0052】
折り曲げ部4Aでは、このような溝部5を設けることによって、プラスチック中空パネル10の他面側の平板部12を折り曲げ罫線L1に沿って繰り返し折り曲げることが可能となっている。
【0053】
(パネル保持方法)
本実施形態のパネル保持具1Cは、上記パネル保持具1A,1Bを構成する折り曲げ部4を、上記図8に示す折り曲げ部4Aに変更した以外は、上記パネル保持具1A,1Bと同じ構成を有している。
【0054】
したがって、上記パネル保持具1Cを用いたパネル保持方法では、上記図4及び図7に示す場合と同様に、溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態とし、この状態で、床面Fの上に設置された第1の板部2を床面Fに固定すると共に、第2の板部3を弾性変形させながら、養生パネルP,P’に押し当てる。また、パネル保持具1Cについては、養生パネルP,P’を安定して保持するため、少なくとも養生パネルP,P’の幅方向の両側に配置することが好ましい。
【0055】
また、上記図7に示す養生パネルP’は、上記図4に示す養生パネルPよりも高さ寸法が大きくなっている。その場合、上記パネル保持具1Bを構成する折り曲げ部4を、上述した折り曲げ部4Aに変更したパネル保持具1Cを用いることによって、第2の板部3から高さ方向に延長された第3の板部7の他面(平板部12)側を養生パネルP’に押し当てた状態とする。
【0056】
これにより、本実施形態のパネル保持具1Cでは、折り返し部8により第3の板部7が第2の板部3に対して他面(平板部12)側にのみ折り返される構成のため、養生パネルP’に押し当てられた第3の板部7が壁面Wの反対側へと倒れ込むことを防ぐことが可能である。
【0057】
本実施形態のパネル保持方法では、床面Fと壁面Wとの為す角が90°(直角)であるのに対して、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θが90°よりも大きくなるパネル保持具1Cを用いることで、第2の板部3を撓ませながら、その反発力を利用して養生パネルPを壁面Wに対して強く押し付けることができる。また、第2の板部3が養生パネルPと共に壁面Wの反対側へと倒れ込むことを防ぐことが可能である。
【0058】
ここで、本実施形態のパネル保持具1Cでは、上述した溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態とする。このとき、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとは、複数の中空部14を閉塞した構成のため、互いの面同士を押し当てた(密着させた)状態となる。
【0059】
これにより、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θを規制すると共に、この折り曲げ角度θが90°以下となることを防ぐことができる。さらに、折り曲げられた状態の他面側の平板部12が元に戻ろうとする復元力によって、上述した反発力をより大きく発生させることが可能である。
【0060】
また、上記パネル保持具1Cでは、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが複数の中空部14を閉塞した構成のため、第1の板部2側を構成する複数のリブ部13と、第2の板部3側を構成する複数のリブ部13との間で位置ずれが生じていたとしても、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとを突き合わせた状態とすることが可能である。
【0061】
さらに、上記パネル保持具1Cでは、溝部5Aの間から複数の中空部14に塵埃や異物等が進入することを防ぐことが可能である。これにより、繰り返し使用した場合でも、衛生を保つことが可能である。
【0062】
以上のように、本実施形態のパネル保持方法では、上述した簡便な構造を有するパネル保持具1Cを用いて、養生パネルPを壁面Wに沿って床面Fから起立した状態で安定して保持することが可能である。
【0063】
〔第4の実施形態〕
(パネル保持具)
次に、本発明の第4の実施形態として、例えば図9に示すパネル保持具1Dの構成について説明する。なお、図9は、パネル保持具1Dの折り曲げ部を拡大して示す斜視図である。また、以下の説明では、上記パネル保持具1A,1Bと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0064】
本実施形態のパネル保持具1Dは、上記パネル保持具1A,1Bを構成する折り曲げ部4を、図9に示す折り曲げ部4Bに変更した構成である。具体的に、この折り曲げ部4Bでは、溝部5の内側において、複数の中空部14が開口した第1の傾斜面5a及び第2の傾斜面5bが形成されている。
【0065】
このような溝部5は、プラスチック中空パネル10の一面(平板部11)側から折り曲げ罫線L1に沿って切り込みを形成した後に、上述した溝部5の開き角αに合わせて、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとを斜めに切り欠くことによって形成することができる。これにより、溝部5の内側には、複数の中空部14が開口した第1の傾斜面5a及び第2の傾斜面5bと、これら第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとの間を連結する底面5eとが設けられている。
【0066】
なお、本実施形態では、例えば、中空プラスチックパネル10の厚さについて特に限定されないものの、厚さが9~15mm程度の中空プラスチックパネル10を用いることで、中空部14を閉塞するのに十分な樹脂量を確保することができ、中空部14を閉塞した溝部5の形成を容易とすることが可能である。
【0067】
折り曲げ部4Bでは、このような溝部5を設けることによって、プラスチック中空パネル10の他面側の平板部12を折り曲げ罫線L1に沿って繰り返し折り曲げることが可能となっている。
【0068】
(パネル保持方法)
本実施形態のパネル保持具1Dは、上記パネル保持具1A,1Bを構成する折り曲げ部4を、上記図9に示す折り曲げ部4Bに変更した以外は、上記パネル保持具1A,1Bと同じ構成を有している。
【0069】
したがって、上記パネル保持具1Dを用いたパネル保持方法では、上記図4及び図7に示す場合と同様に、溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態とし、この状態で、床面Fの上に設置された第1の板部2を床面Fに固定すると共に、第2の板部3を弾性変形させながら、養生パネルP,P’に押し当てる。また、パネル保持具1Dについては、養生パネルP,P’を安定して保持するため、少なくとも養生パネルP,P’の幅方向の両側に配置することが好ましい。
【0070】
また、上記図7に示す養生パネルP’は、上記図4に示す養生パネルPよりも高さ寸法が大きくなっている。その場合、上記パネル保持具1Bを構成する折り曲げ部4を、上述した折り曲げ部4Bに変更したパネル保持具1Dを用いることによって、第2の板部3から高さ方向に延長された第3の板部7の他面(平板部12)側を養生パネルP’に押し当てた状態とする。
【0071】
これにより、本実施形態のパネル保持具1Dでは、折り返し部8により第3の板部7が第2の板部3に対して他面(平板部12)側にのみ折り返される構成のため、養生パネルP’に押し当てられた第3の板部7が壁面Wの反対側へと倒れ込むことを防ぐことが可能である。
【0072】
本実施形態のパネル保持方法では、床面Fと壁面Wとの為す角が90°(直角)であるのに対して、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θが90°よりも大きくなるパネル保持具1Dを用いることで、第2の板部3を撓ませながら、その反発力を利用して養生パネルPを壁面Wに対して強く押し付けることができる。また、第2の板部3が養生パネルPと共に壁面Wの反対側へと倒れ込むことを防ぐことが可能である。
【0073】
ここで、本実施形態のパネル保持具1Dでは、上述した溝部5の第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとが互いに突き合わされた状態となるまで、第1の板部2と第2の板部3とを折り曲げ罫線L1に沿って折り曲げた状態とする。このとき、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとは、複数の中空部14が開口した構成のため、互いのリブ部13同士を押し当てた状態となる。
【0074】
これにより、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ角度θを規制すると共に、この折り曲げ角度θが90°以下となることを防ぐことができる。さらに、折り曲げられた状態の他面側の平板部12が元に戻ろうとする復元力によって、上述した反発力をより大きく発生させることが可能である。
【0075】
また、上記パネル保持具1Dでは、第1の傾斜面5aと第2の傾斜面5bとを斜めに切り欠くことによって、溝部5の所望の開き角αに合わせて、第1の傾斜面5a及び第2の傾斜面5bを精度良く形成することが可能である。
【0076】
以上のように、本実施形態のパネル保持方法では、上述した簡便な構造を有するパネル保持具1Dを用いて、養生パネルPを壁面Wに沿って床面Fから起立した状態で安定して保持することが可能である。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記パネル保持具1A~1Dは、養生パネルP,P’を壁面Wに沿って床面Fから起立した状態で保持する構成となっているが、その幅方向の寸法を拡大することで、養生パネルP,P’を用いることなく、それ自体を壁面Wを保護する養生パネルとして利用することも可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、パネル保持具1A~1Dを養生パネルP,P’の幅方向の両側に配置する場合について説明したが、養生パネルP,P’の幅方向の寸法を拡大した場合には、使用するパネル保持具1A~1Dの数を増やして、養生パネルP,P’の幅方向にパネル保持具1A~1Dを複数並べて配置することも可能である。
【0079】
また、上記パネル保持具1Bについては、例えば図10に示すように、第1の板部2と第2の板部3との間の折り曲げ罫線L1に沿って一面側とは反対(平板部12)側に折り曲げ部4,4A,4Bを折り曲げると共に、第2の板部3と第3の板部7との間の折り返し罫線L2に沿って一面側とは反対(平板部12)側に折り返し部8を折り返した状態とすることで、折り返し部8を上方に向けた状態で、床面Fの上に自立させた状態で設置することが可能である。
【0080】
この場合、第1の板部2を床面Fの上に設置した状態で、第1の板部2の先端側と第3の板部7の先端側とを互いに当接させることが可能である。また、上記パネル保持具1A~1Dでは、自立した状態を保持するため、例えば、第1の板部2の先端側と第3の板部7の先端側とをテープ等により固定したり、互いに係合される部分を設けて固定したりしてもよい。さらに、必要に応じて、転倒防止のための重しBを第1の板部2の上に置くことも可能である。
【0081】
一方、第3の板部7の先端側は、必ずしも第1の板部2の先端側と当接させる必要はなく、第2の板部3と第3の板部7との間の他面(平板部12)側の折り曲げ角度を広げることによって、床面Fに当接された状態としてもよい。
【0082】
これにより、上記パネル保持具1Bを、例えば立て看板やポール、フェンス等として利用することが可能である。例えば、工事や引越などの養生を行う現場では、表示板が必要となることがある。そこで、上記パネル保持具1Bを立て看板として利用する場合は、第2の板部3や第3の板部7の他面(平板部12)側に印字や印刷等を施した表示部Sを設けることによって、表示板として利用することも可能である。
【0083】
また、上記パネル保持具1Bは、折り畳んだ状態で積み重ねることもできるため、持ち運びがし易く、保管スペースも抑えることができるため、運送・保管管理を容易とすることが可能である。
【0084】
また、上記パネル保持具1A~1Dでは、第1の板部2及び第3の板部7の先端側において、複数の中空部14に塵埃や異物等が進入することを防ぐため、これら複数の中空部14に閉塞した端面を設けた構成としてもよい。これにより、繰り返し使用した場合でも、衛生を保つことが可能となり、クリーンルーム等の塵埃や異物等を好まないクリーン度の高い場所での使用も可能となる。
【0085】
なお、床面Fの上に設置された第1の板部2を床面Fに固定する方法については、特に限定されないものの、例えば、養生テープを用いて床面Fに固定する方法や、固定治具(例えば図10中に示す重りBなど。)を用いて床面Fに固定する方法などを採用することができる。
【0086】
また、上記実施形態では、プラスチック中空パネル10として、複数のリブ部13が平行に並ぶ中空断面構造のものを例示したが、本発明は、このような中空断面構造のものに必ずしも限定されるものではない。例えば、低樹脂量(薄物低目付)素材や、円柱状に真空成形した合成樹脂製のシートと上下2枚のシートとを熱融着した三層構造の中空積層シート(例えば、商品名:プラパール(登録商標)、川上産業株式会社製)、ハニカム構造のコア材を連接配置した樹脂板(例えば、商品名:テクセル(登録商標)、岐阜プラスチック株式会社製)、その他リブの変形が可能となる材質のものを用いることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1A,1B,1C,1D…パネル保持具 2…第1の板部 3…第2の板部 4,4A,4B…折り曲げ部 5…溝部 5a…第1の傾斜面 5b…第2の傾斜面 5c…孔部 5d…押し潰し部 5e…底面 7…第3の板部 8…折り返し部 9…切り込み部 L1…折り曲げ罫線 L2…折り返し罫線 θ…折り曲げ角度 10…プラスチック中空パネル 11…一面側の平板部 12…他面側の平板部 13…リブ部 14…中空部 P,P’…養生パネル W…壁面 F…床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10