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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】クロック同期式シリアルデータ受信回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/40 20060101AFI20220414BHJP
   H04L 7/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
H04L25/40 R
H04L7/00 080
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017040321
(22)【出願日】2017-03-03
(65)【公開番号】P2018148338
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2019-11-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596048581
【氏名又は名称】株式会社ジャパン・アイディー
(73)【特許権者】
【識別番号】598044464
【氏名又は名称】株式会社ピーエーネット技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504228634
【氏名又は名称】株式会社ナック企画
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕司
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-176812(JP,A)
【文献】特開2011-197981(JP,A)
【文献】特開平08-185363(JP,A)
【文献】特開2005-267580(JP,A)
【文献】特開2003-085123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/40
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、シリアルデータ信号、シリアルクロック信号、セレクト信号の3つの信号入力端子を有し、前記セレクト信号がアクティブになっている間に、前記シリアルデータ信号を前記シリアルクロック信号の変化タイミングで取り込み、1ビットのデータを受信する毎にシフトして基準ビット数のパラレルデータに変換するモジュール構造のクロック同期式シリアルデータ受信回路において、
前記セレクト信号がアクティブになっている間に検出した前記シリアルクロック信号の数を計数し、その計数値が前記基準ビット数の自然数倍になると、取込タイミング判定信号を出力し、その計数値が前記基準ビット数の自然数倍+1になると、前記取込タイミング判定信号を停止する取込タイミング判定手段と、
前記取込タイミング判定手段により前記取込タイミング判定信号が出力されている期間内に、前記セレクト信号がインアクティブになった場合に限り、前記パラレルデータを受信データとして確定する受信データ確定手段と、
を備えることを特徴とするクロック同期式シリアルデータ受信回路。
【請求項2】
前記シリアルデータ信号を前記基準ビット数だけシフトさせた次段用シリアルデータ信号を出力可能としたことを特徴とする請求項1に記載のクロック同期式シリアルデータ受信回路
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、シリアルデータ信号、シリアルクロック信号、セレクト信号の3つの信号入力を有し、前記セレクト信号がアクティブになっている間に、シリアルデータ信号をシリアルクロック信号の変化タイミングで取り込み、1ビットのデータを受信する毎にシフトして基準ビット数のパラレルデータに変換するクロック同期式シリアルデータ受信回路と、このクロック同期式シリアルデータ受信回路を複数能動的に接続するバスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種コンピュータシステム、遊技機等の機械装置における部品間、あるいは、基板間のデータ転送に、クロック同期式シリアルデータ転送方式が広く使われている。このクロック同期式シリアルデータ転送方式では、データ信号線にて送信されるシリアルデータから、クロック信号のクロック(例えば、立ち上がりタイミング)に合わせて1ビットずつデータ受信するものである。
【0003】
そして、クロック同期式シリアルデータ転送方式において、ノイズ等の影響により偶発的に生じるデータの伝送誤りについては、システム全体の設計方針により、その取り扱いが決められる。一般的に、伝送誤りが生じた際は、伝送誤りが生じたことを相手方に通知して再送信を要求する、という処理を行う。しかしながら、遊技機のように劣悪なノイズ環境下にて動作する機械装置の場合、通信エラーが少なからず生じるため、その都度、再送信要求を行っていたのでは、スループット低下の要因となり、迅速な遊技進行に支障を来す可能性が有り、好ましくない。
【0004】
なお、短い間隔で定期的にデータが転送される場合、一部の受信データに誤りがあっても、再送信の要求を行わないで、単にその誤りのあるデータを無視して受け取らず、次のデータを待つだけで、再送信と同じ効果が得られる場合がある。例えば、特許文献1に記載の遊技機においては、N×M個のランプを高速度で繰り返し駆動するために、演出制御基板からランプ接続基板へ、2mS程度の短周期で描画データを送信するので、描画データにビット化けが生じていたら、その描画データを破棄してランプ駆動を行わせないのである。このように、異常な描画データによるランプ駆動を破棄しても、人間の視覚とランプ点灯周期との関係から、全体として何ら問題になることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-279252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、異常検出回路が受信データの異常を検出する根拠が、受け取るデータの内容(コモンデータCOM1~COM4のいずれか1ビットのみ1になるのが正常で、それ以外は異常)に依存しており、汎用的なクロック同期式シリアルデータ転送回路に応用することは難しい。すなわち、このように単純な判定条件による異常検知ができなければ、短期間に定期的に送信される描画データの破棄を適切に行う事は難しいのである。
【0007】
また、一般的に、ノイズの影響でビット化けが生じるということは、クロック信号の立ち上り、又は、立ち下がり(以下「エッジ」と言う。)においてシリアルデータ信号にノイズが乗り、本来Hレベルと認識すべきところLレベル(あるいは、その逆)と誤認識することであるが、ノイズは一般的に非常に短い時間の電圧変化であるので、丁度クロック信号のエッジのタイミングでシリアルデータ信号にノイズが乗ることはまれである。
【0008】
一方、クロック信号にノイズが乗った場合、短い時間の電圧変化であっても、電子回路としてはエッジとして認識してしまうため、シリアルデータのビット位置がずれるというデータ異常が生じてしまうことになる。しかもクロック信号のどの部分にノイズが乗ってもデータ異常が発生してしまうので、こちらの発生頻度の方が高いのである。
【0009】
このようなノイズによるビット位置のずれが生じた場合、特許文献1に記載の発明における異常検出回路では検出できず、ビット位置が本来の位置からずれたままのランプ演出を実行してしまい、不自然なランプ演出を実行してしまう危険性がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ノイズの影響でクロック信号を誤認識した場合、簡単にその伝送誤りを検出し、そのデータを無視するクロック同期式シリアルデータ受信回路と、このクロック同期式シリアルデータ受信回路を複数能動的に接続するバスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、少なくとも、シリアルデータ信号、シリアルクロック信号、セレクト信号の3つの信号入力端子を有し、前記セレクト信号がアクティブになっている間に、前記シリアルデータ信号を前記シリアルクロック信号の変化タイミングで取り込み、1ビットのデータを受信する毎にシフトして基準ビット数のパラレルデータに変換するモジュール構造のクロック同期式シリアルデータ受信回路において、前記セレクト信号がアクティブになっている間に検出した前記シリアルクロック信号の数を計数し、その計数値が前記基準ビット数の自然数倍になると、取込タイミング判定信号を出力し、その計数値が前記基準ビット数の自然数倍+1になると、前記取込タイミング判定信号を停止する取込タイミング判定手段と、前記取込タイミング判定手段により前記取込タイミング判定信号が出力されている期間内に、前記セレクト信号がインアクティブになった場合に限り、前記パラレルデータを受信データとして確定する受信データ確定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載のクロック同期式シリアルデータ受信回路において、前記シリアルデータ信号を前記基準ビット数だけシフトさせた次段用シリアルデータ信号を出力可能としたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、マスター側デバイスから、少なくとも、前記基準ビット数×M(Mは2以上の自然数)の前記シリアルデータ信号、前記シリアルクロック信号、前記セレクト信号が供給され、前記請求項2に記載のクロック同期式シリアルデータ受信回路がM段カスケード接続されるスレーブ側デバイスに設けられ、前記M段の前記クロック同期式シリアルデータ受信回路でそれぞれ確定された前記受信データから、「基準ビット数×M」のパラレルデータが得られるように、前記M段の前記クロック同期式シリアルデータ受信回路を能動的に接続するバスシステムであって、前記シリアルデータ信号を予め定めた初段の前記クロック同期式シリアルデータ受信回路におけるシリアルデータ信号入力端子のみに供給するシリアルデータ信号線と、前記シリアルクロック信号を全ての前記クロック同期式シリアルデータ受信回路におけるシリアルクロック信号入力端子に供給するシリアルクロック信号線と、前記セレクト信号を全ての前記クロック同期式シリアルデータ受信回路におけるセレクト信号入力端子に供給するセレクト信号線と、n段目(1≦n<M)の前記クロック同期式シリアルデータ受信回路における次段用シリアルデータ信号出力端子と、n+1段目の前記クロック同期式シリアルデータ受信回路におけるシリアルデータ信号入力端子とを接続する次段用シリアルデータ信号線と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路によれば、ノイズの影響でクロック信号を誤認識した場合、簡単にその伝送誤りを検出し、そのデータを無視することができる。また、本発明に係るバスシステムによれば、M個のクロック同期式シリアルデータ受信回路をカスケード接続して、基準ビット数のM倍のビット数に対応するクロック同期式シリアルデータ受信機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路を備える遊技機の概略構成図である。
図2】本発明に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路の実施形態を示す回路構成図である。
図3】本実施形態のクロック同期式シリアルデータ受信回路で正常な通信データを受信したときのタイミングチャートである。
図4】本実施形態のクロック同期式シリアルデータ受信回路で異常な通信データを受信したときのタイミングチャートである。
図5】4つのクロック同期式シリアルデータ受信回路をカスケード接続可能なバス構造を備えたスレーブ側デバイスの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1に例示する遊技機100は、遊技球を用いた弾球遊技を行えるぱちんこ式遊技機である。遊技機100における主な遊技進行の制御等を担う主制御基板200は、各種の遊技機能装置を制御する。遊技機100の適所に設けられた液晶表示装置や装飾ランプ等による演出制御を主として行う副制御基板300は、例えば、ランプ接続基板400へランプ駆動用の指令信号を送信し、これを受けたランプ接続基板400から各種ランプ110へ駆動信号が出力され、ランプ演出が実行される。
【0018】
ここで、副制御基板300は、クロック同期式シリアルデータを送信するマスター側デバイスであり、ランプ接続基板400は、クロック同期式シリアルデータを受信するスレーブ側デバイスである。そして、ランプ接続基板400には、受信したクロック同期式シリアルデータをパラレルデータに変換して出力するクロック同期式シリアルデータ受信回路1を備える。このクロック同期式シリアルデータ受信回路1は、パチンコ式遊技機に限らず、回胴式遊技機であっても、マスター側デバイスからスレーブ側デバイスへクロック同期式シリアルデータを送信する場合には、スレーブ側デバイスに用いることができる。
【0019】
図2は、上述したクロック同期式シリアルデータ受信回路1の実施形態を示す回路構成図である。このクロック同期式シリアルデータ受信回路1は、シフトレジスタ11、ラッチ12、カウンタ13を主要な構成とし、その外、アンド回路14、負論理のオア回路15a、ノット回路15bを用いる。このクロック同期式シリアルデータ受信回路1への入力信号は、シリアルデータ信号SD、シリアルクロック信号SCK、セレクト信号SEL、及び、クリア信号CLRである。
【0020】
クリア信号CLRは、通常時にHレベルの負論理信号であり、ラッチ12のCLR端子、オア回路15aを介してシフトレジスタ11およびカウンタ13のCLR端子に、それぞれ入力される。よって、クリア信号CLRがLレベルになると、シフトレジスタ11、ラッチ12、カウンタ13が初期化される。
【0021】
セレクト信号SELは、通常時にHレベルの負論理信号であり、ノット回路15bおよびオア回路15aを介してシフトレジスタ11およびカウンタ13のCLR端子にそれぞれ入力される。セレクト信号SELがHレベルの通常時は、シフトレジスタ11およびカウンタ13は初期状態のまま動作を停止している。一方、セレクト信号SELがLレベルになると、シフトレジスタ11およびカウンタ13のCLR端子がHレベルとなり、動作できる状態となる。
【0022】
また、セレクト信号SELが一方の入力端子に与えられるアンド回路14の出力は、後述するカウンタ13のQ3出力がHレベルに反転して、且つセレクト信号SELがHレベルになるまで、Lレベルのまま変動しない。よって、アンド回路14の出力がHレベルに変わって、ラッチ12のCK端子に入力されるまで、ラッチ12の出力(例えば、8ビット)は前回ラッチした出力を保持した状態である。
【0023】
シフトレジスタ11は、CK端子に入力されたシリアルクロック信号SCKの立ち上りのタイミングで、D端子に入力されたシリアルデータ信号SDの信号レベルをQA端子に出力する。同じタイミングで、QB端子にはQA端子に出力されていた信号レベルが出力される。以下同様に、QH端子まで隣の端子の信号がシフトされる。
【0024】
このシフトレジスタ11によるシリアルクロック信号の受信タイミングを図3および図4に基づき説明する。先ず、図3に基づき、シリアルデータ信号を正常に受信した場合を説明する。
【0025】
セレクト信号SELがLレベルの間、シフトレジスタ11は動作可能になるので、シリアルクロック信号SCK(T1~T8まで8つのクロックパルス信号を含む)における各クロックパルスの立ち上がりエッジのタイミングで、シリアルデータ信号SDのデータを取り込み、QAからQHまでシフトしていく。具体的には、第1クロックパルスT1の立ち上がりエッジでシリアルデータ信号SDから第1ビットのデータ「1」をQAにレジストする。続いて、第2クロックパルスT2の立ち上がりエッジでシリアルデータSDから第2ビットのデータ「1」をQAにレジストし、既にQAにレジストされていた第1ビットのデータ「1」はQBにシフトする。同様に、第3クロックパルスT3~第8クロックパルスT8まで第3~第8ビットのデータ「0」「0」「1」「0」「1」「0」を受信し、QA~QHまでに8ビット分のデータをストアする。
【0026】
なお、シフトレジスタ11のQA~QHにそれぞれストアされたビットデータは、ラッチ12のデータ入力端子D0~D7に与えられるが、アンド回路14の出力信号(後に詳述)がラッチ12のCK端子に入力されるまで、ラッチ12の出力端子Q0~Q7にラッチされることはない。また、シフトレジスタ11のQHは、クロック同期式シリアルデータ受信回路1の外部へ取り出せるようにしてある。このQHより得られる信号は、シリアルデータ信号SDを8ビットシフトしたシリアルデータ信号であり、次段用シリアルデータ信号(後に詳述)として用いることができる。
【0027】
一方、セレクト信号SELがLレベルになって、カウンタ13が動作を開始したときは初期状態なので、Q0~Q3端子の出力はLレベルのままである。その後に入力されるシリアルクロック信号SCKの立ち上りのタイミングでカウント値をインクリメントし、その結果を2進数でQ0からQ3に出力する。このカウンタ13において、ビット3に該当するQ3端子の出力信号TP1は、シリアルクロック信号SCKの8つ目パルス(第8クロックパルスT8)の立ち上がりタイミングでHレベルになる。
【0028】
また、カウンタ13におけるQ3端子の出力信号TP1は、自らのLD端子に入力されている。LD端子がHレベルのときに入力されたCK端子の立ち上りのタイミングで、D0からD3の入力信号がQ0からQ3に出力される。本構成例のカウンタ13では、D0はHレベル、D1からD3は全てLレベルに接続されているので、Q0~Q3出力のカウント値は再び「1」に戻ることとなる。すなわち、Q3端子の出力信号TP1は、CLR端子がHレベルになった後のCK端子の立ち上りの数8n個目で(nは任意の自然数)、LレベルからHレベルになり、8n+1個目で再びLレベルになることになる。
【0029】
したがって、このカウンタ13は、「セレクト信号がアクティブになっている間に検出したシリアルクロック信号の数を計数し、その計数値が基準ビット数(例えば、8)の自然数倍になると、取込タイミング判定信号を出力する取込タイミング判定手段」として機能するものである。なお、本実施形態のクロック同期式シリアルデータ受信回路1においては、パラレルデータとして出力する基準ビット数を8としたので、転送するデータのビット数が8になったと考えられるタイミング(シリアルクロック信号SCKのクロックパルスを8個まで計数したタイミング)で、カウンタ13の出力であるQ3端子の出力信号TP1をHレベルにするが、基準ビット数が16や32の場合でも同様に、シリアルクロック信号SCKのクロックパルスを16あるいは32までカウントしたタイミングでQ3端子の出力信号TP1をHレベルにするよう構成しておけば良い。
【0030】
上述したカウンタ13のQ3出力TP1は、アンド回路14でセレクト信号SELとANDされて、ラッチ12のCK端子に入力されている。したがって、クロック同期式シリアルデータ受信回路1に入力されたシリアルクロック信号SCKのクロックパルスが8n個となった後、8n+1個になる前に、セレクト信号SELがHレベルになった場合に限り、アンド回路14の出力信号TP2はHレベルとなり、ラッチ12のCK端子に入力されることとなる。ラッチ12は、CK端子に立ち上り信号(アンド回路14の出力信号TP2の立ち上がりエッジ)が入力されると、D0からD7の入力信号をラッチしてQ0からQ7端子に出力する。すなわち、最初に送信された第1ビット(最下位ビットLSB)がQ7端子に、第2ビットがQ6端子に、第3ビットがQ5端子に、第4ビットがQ4端子に、第5ビットがQ3端子に、第6ビットがQ2端子に、第7ビットがQ1端子に、最後に送信された第8ビット(最上位ビットMSB)がQ0端子に、それぞれラッチされ、8ビットのパラレル信号を得ることができる。
【0031】
したがって、アンド回路14は、「取込タイミング判定手段(カウンタ13)により取込タイミング判定信号(Q3端子の出力信号TP1)が出力されている期間内に、セレクト信号SELがインアクティブになった場合に限り、パラレルデータを受信データとして確定する受信データ確定手段」として機能するものである。なお、セレクト信号SELがHレベルになると、カウンタ13のCLR端子への入力がLレベルとなって動作停止するため、Q3端子の出力信号TP1がLレベルとなってしまう。このため、アンド回路14の出力信号TP2がHレベルでいる期間は短い(図3を参照)が、ラッチ12によるQ0端子~Q7端子へのラッチ動作は、CK端子への立ち上りエッジ検出タイミングで動作するので支障ない。
【0032】
次に、図4に基づき、シリアルデータ信号を正常に受信できなかった場合を説明する。
【0033】
シリアルクロック信号SCKにノイズが乗り、このノイズをクロックパルスT5と誤認識したため、本来なら5個目のパルスをクロックパルスT6、6個目のパルスをクロックパルスT7、7個目のパルスをクロックパルスT8、8個目のクロックパルスをT9としてカウントしてしまうこととなる。なお、ノイズは、図4のように非常に狭い幅の信号であることが多いが、幅の狭い信号であっても、クロック信号のように立ち上がりエッジに基づいて回路が動作する場合、正常な信号と誤認してしまうのである。
【0034】
上記のように、ノイズによるクロックパルスの誤検知が起きると、セレクト信号SELがインアクティブであるHレベルになったタイミングで、シフトレジスタ11の出力端子QA~QHからは、「01011001」という誤ったデータが出力されており、これをラッチ12が出力端子Q0~Q7に取り込んでしまうと、通信エラーとなり、誤ったパラレル信号による機器動作が実行され、装置自体の信頼性を損なう危険性がある。
【0035】
しかして、本実施形態に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路1は、取込タイミング判定手段としてのカウンタ13と、受信データ確定手段としてのアンド回路14を備えているので、誤ったデータをラッチ12の出力端子Q0~Q7に取り込ませることを防止できる。すなわち、本来なら7個目のパルスをクロックパルスT8とカウントしてしまうために、カウンタ13のQ3端子の出力信号TP1は、クロックパルスT8の立ち上がりエッジ検出でHレベルになった後、クロックパルスT9の立ち上がりエッジ検出でLレベルに戻ることから、その後にセレクト信号SELがHレベルに立ち上がっても、アンド回路14の出力信号TP2はHレベルにならず、ラッチ12のCK端子はLレベルのまま変化しないので、ラッチ12の出力端子Q0~Q7に誤ったデータがラッチされることはない。
【0036】
このように、セレクト信号SELがLレベルの間の、どのタイミングでシリアルクロック信号SCKにノイズが乗っても、ノイズをクロックパルスと誤検知するようなエラーを生じる危険性はあるが、本実施形態のクロック同期式シリアルデータ受信回路1においては、どのようなタイミングでクロックパルスの誤検知が生じた場合でも、ラッチ12の出力端子Q0~Q7に誤ったデータをラッチすることを防げる。なお、セレクト信号SELがLレベルの間に、シリアルデータ信号SDにノイズが乗って、データの内容自体に誤りが生ずる可能性もある。しかしながら、極めて時間幅の短いノイズが、ちょうどシリアルクロック信号SCKのクロックパルス立ち上がりエッジと同タイミングで生じる可能性は極めて低いので、実用上、問題ないと考えられる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路1によれば、ノイズの影響でクロック信号を誤認識した場合、簡単にその伝送誤りを検出し、そのデータを無視することで、誤りデータによる機器動作が実行されてしまうことを未然に防止し、装置自体の信頼性を損なう危険性を回避できる。
【0038】
なお、本実施形態に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路1単独では、予め定めた基準ビット数のパラレル信号出力にしか対応できない。しかしながら、複数のクロック同期式シリアルデータ受信回路1を機能的に接続すると、基準ビット数の自然数倍のビット数にも対応できる。図5に基づいて、複数のクロック同期式シリアルデータ受信回路1を機能的に接続するためのバスシステム2について説明する。
【0039】
マスター側デバイス301は、クロック同期式シリアルデータの送信元で有り、ワイヤハーネス等を介して、スレーブ側デバイス401にシリアルデータ信号SD、シリアルクロック信号SCK、セレクト信号SEL、クリア信号CLRが供給される。これらの信号を受けるスレーブ側デバイス401の入力側にバスシステム2を設けてある。また、本実施形態で示すバスシステム2は、クロック同期式シリアルデータ受信回路1を最大4つまで機能的に接続できる構造で、モジュール化したクロック同期式シリアルデータ受信回路1を装着可能な第1ソケット21、第2ソケット22、第3ソケット23、第4ソケット24を備える。
【0040】
なお、複数のクロック同期式シリアルデータ受信回路1を取り付ける場合、第1ソケット21から順に装着する必要がある。また、クロック同期式シリアルデータ受信回路1を取り付けるソケットの数は、特に限定されるものではなく、M段(Mは2以上の自然数)カスケード接続するためには、M個のソケットを設けておけば良い。図5に示すバスシステム2においては、第1ソケット21と第2ソケット22にだけモジュール化したクロック同期式シリアルデータ受信回路1を装着し、第3ソケット23と第4ソケット24は空きのままで用いるものとした。この場合、空きの第3,第4ソケット23,24にダミーモジュールなどを装着する必要は無く、第1,第2ソケット21,22に装着した2つのクロック同期式シリアルデータ受信回路1だけで、シリアルデータの受信ポートとして機能させることができる。
【0041】
マスター側デバイス301からのシリアルデータ信号を受けるシリアルデータ信号線L1は、初段である第1ソケット21に装着した第1クロック同期式シリアルデータ受信回路1Aにおけるシリアルデータ信号入力端子のみに接続する。
【0042】
一方、マスター側デバイス301からのシリアルクロック信号SCKを受けるシリアルクロック信号線L2は、第1~第4ソケット12~24に装着される第1~第4クロック同期式シリアルデータ受信回路1A~1Dの各シリアルクロック信号入力端子に接続する。マスター側デバイス301からのセレクト信号SELを受けるセレクト信号線L3は、第1~第4ソケット12~24に装着される第1~第4クロック同期式シリアルデータ受信回路1A~1Dの各セレクト信号入力端子に接続する。マスター側デバイス301からのクリア信号CLRを受けるクリア信号線L4は、第1~第4ソケット12~24に装着される第1~第4クロック同期式シリアルデータ受信回路1A~1Dの各クリア信号入力端子に接続する。すなわち、シリアルクロック信号SCK、セレクト信号SEL、クリア信号CLRは、同じタイミングで第1~第4クロック同期式シリアルデータ受信回路1A~1Dに供給されることとなる。
【0043】
初段の第1クロック同期式シリアルデータ受信回路1Aにおける次段用シリアルデータ信号出力端子QHは、第2段用シリアルデータ信号線L51によって、2段目の第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bにおけるシリアルデータ信号入力端子と接続され、次段用シリアルデータ信号が第1クロック同期式シリアルデータ受信回路1Aから第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bへ供給される。この次段用シリアルデータ信号は、マスター側デバイス301からのシリアルデータ信号SDを8ビットシフトしたシリアルデータ信号であるから、第8クロックパルスの立ち上がりエッジ検出でシリアルデータ信号SDの第1ビットが第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bのシリアルデータ信号入力端子へ供給されるようになり、第9クロックパルスの立ち上がりエッジ検出で、第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1B内のシフトレジスタ11の出力端子QAにシリアルデータ信号SDの第1ビットがレジストされる。
【0044】
すなわち、セレクト信号SELがLレベルになっている間に、シリアルデータ信号SDによって16ビットのシリアルデータが送信され、シリアルクロック信号SCKの16個のクロックパルスで16ビットのデータを取り込むと、第1ビット~第8ビットが第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bの出力信号線L6Bより出力され、第9ビット~第16ビットが第1クロック同期式シリアルデータ受信回路1Aの出力信号線L6Aより出力されるので、第1クロック同期式シリアルデータ受信回路1Aと第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bをカスケード接続すると、基準ビット数(8)の2倍のビット数(16)のシリアルデータに対応させることができる。
【0045】
同様に、第3クロック同期式シリアルデータ受信回路1Cを第3ソケット23にセットすれば、第3段用シリアルデータ信号線L52によって、第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bにおける次段用シリアルデータ信号出力端子QHと第3クロック同期式シリアルデータ受信回路1Cにおけるシリアルデータ信号入力端子とが接続され、第1ビット~第8ビットが第3クロック同期式シリアルデータ受信回路1Cの出力信号線L6Cより出力され、第9ビット~第16ビットが第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bの出力信号線L6Bより出力され、第17ビット~第24ビットが第1クロック同期式シリアルデータ受信回路1Aの出力信号線L6Aより出力されるので、第1~第3クロック同期式シリアルデータ受信回路1A~1Cをカスケード接続すると、基準ビット数(8)の3倍のビット数(24)のシリアルデータに対応させることができる。
【0046】
更に、第4クロック同期式シリアルデータ受信回路1Cを第4ソケット24にセットすれば、第4段用シリアルデータ信号線L53によって、第3クロック同期式シリアルデータ受信回路1Cにおける次段用シリアルデータ信号出力端子QHと第4クロック同期式シリアルデータ受信回路1Dにおけるシリアルデータ信号入力端子とが接続され、第1ビット~第8ビットが第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Dの出力信号線L6Dより出力され、第9ビット~第16ビットが第3クロック同期式シリアルデータ受信回路1Cの出力信号線L6Cより出力され、第17ビット~第24ビットが第2クロック同期式シリアルデータ受信回路1Bの出力信号線L6Bより出力され、第25ビット~第32ビットが第1クロック同期式シリアルデータ受信回路1Aの出力信号線L6Aより出力されるので、第1~第4クロック同期式シリアルデータ受信回路1A~1Dをカスケード接続すると、基準ビット数(8)の4倍のビット数(32)のシリアルデータ転送に対応させることができる。
【0047】
すなわち、M個のクロック同期式シリアルデータ受信回路1をカスケード接続する場合、n段目(1≦n<M)のクロック同期式シリアルデータ受信回路1における次段用シリアルデータ信号出力端子QHと、n+1段目のクロック同期式シリアルデータ受信回路1におけるシリアルデータ信号入力端子とを接続してゆけば、基準ビット数×Mのシリアルデータ転送に対応させることができる。このようなバスシステム2によれば、スレーブ側デバイス401に接続される被駆動デバイス(例えば、装飾ランプなど)の数が増えても、シリアルデータのビット数を増やすことで簡単に対応できる。よって、マスター側デバイス301からの信号を増加させるような設計変更の必要がなく、設計の手間が軽減され、組み立て作業での工程変更も必要ない。
【0048】
以上、本発明に係るクロック同期式シリアルデータ受信回路およびバスシステムの実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない範囲で、公知既存の等価な技術手段を転用することにより実施しても構わない。
【符号の説明】
【0049】
1 クロック同期式シリアルデータ受信回路
11 シフトレジスタ
12 ラッチ
13 カウンタ
14 アンド回路
15a オア回路
15b ノット回路
図1
図2
図3
図4
図5