(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】排水溝構造、排水溝用金具、及び、排水溝構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04D 13/04 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
E04D13/04 E
(21)【出願番号】P 2017051540
(22)【出願日】2017-03-16
【審査請求日】2020-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000208651
【氏名又は名称】第一機材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 道義
(72)【発明者】
【氏名】細沼 克全
(72)【発明者】
【氏名】野林 純平
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-242274(JP,A)
【文献】特開2011-074563(JP,A)
【文献】特開2001-049805(JP,A)
【文献】特開2014-043699(JP,A)
【文献】登録実用新案第3083535(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の下地に設けられ、前記下地上の押さえコンクリート層に隣接して設けられるバサモルタル層と、
前記バサモルタル層上に設けられた排水溝と、
前記排水溝に近接して設けられ、複数の孔部が形成された側壁部、ドレイン孔が設けられた底部、及び、前記側壁部の外面に設けられ、前記バサモルタル層に隣接する不織布を有する排水溝用金具と、
前記下地の前記ドレイン孔と対向する位置に設けられたドレイン本体と、
前記底部の上面に設けられ、前記ドレイン孔を覆うストレーナと、
を備える排水溝構造。
【請求項2】
前記排水溝用金具は、前記側壁部の上端部に設けられ、前記不織布の上端を挟持して固定する折り返し部を有することを特徴とする請求項1に記載の排水溝構造。
【請求項3】
前記排水溝用金具は、円形状の前記底部に円筒状の前記側壁部が溶接により固定されることで構成されることを特徴とする請求項2に記載の排水溝構造。
【請求項4】
前記排水溝用金具は、矩形状の前記底部に一体に設けられた4つの前記側壁部が溶接により固定されることで構成されることを特徴とする請求項2に記載の排水溝構造。
【請求項5】
建造物の下地に設けられたドレイン本体に、複数の孔部が形成された側壁部、ドレイン孔が設けられた底部及び前記側壁部の外面に設けられた不織布を有する排水溝用金具を、前記ドレイン孔を対向させて配置し、
前記下地の前記不織布と隣接する位置を含む範囲にバサモルタル層を設け、
少なくとも前記排水溝用金具に近接して、前記バサモルタル層上に排水溝を設置し、
前記ドレイン孔を覆って、前記底部の上面にストレーナを設置し、
前記バサモルタル層に隣接してコンクリートを打設して、押さえコンクリート層を形成する、
排水溝構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物のベランダ、バルコニー、廊下及び屋根等において排水を行うための排水溝構造、排水溝用金具、及び、排水溝構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物のベランダ、バルコニー、廊下及び屋上等において、雨水等を排水するための排水溝構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、このような排水溝構造として、所謂モルタル乾式工法で施工する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した施工方法では、以下の問題があった。即ち、外断熱の仕様により求められる断熱材及び排水勾配から、求められる最低のモルタル厚である30mmが確保しにくく、風雨にさらされることで、経年劣化による割れや浮きが生じる虞があった。
【0005】
例えば、側溝から先を断熱せずに、スラブ下で断熱を行った場合には、防水層とモルタル側溝が密着することから、押さえコンクリートの下を通った雨水が滞留し、アスファルト防水層がアルカリ反応を起こしてゲル化する虞がある。また、ストレーナの周囲においては、雨水が滞留する、と言う問題もある。
【0006】
そこで本発明は、押さえコンクリートの下に雨水が滞留することを防止できる排水溝構造、排水溝用金具、及び、排水溝構造の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の排水溝構造、排水溝用金具、及び、排水溝構造の製造方法は次のように構成されている。
【0008】
本発明の一態様として、排水溝構造は、建造物の下地に設けられ、前記下地上の押さえコンクリート層に隣接して設けられるバサモルタル層と、前記バサモルタル層上に設けられた排水溝と、前記排水溝に近接して設けられ、複数の孔部が形成された側壁部、ドレイン孔が設けられた底部、及び、前記側壁部の外面に設けられ、前記バサモルタル層に隣接する不織布を有する排水溝用金具と、前記下地の前記ドレイン孔と対向する位置に設けられたドレイン本体と、前記底部の上面に設けられ、前記ドレイン孔を覆うストレーナと、を備える。
【0009】
本発明の一態様として、排水溝用金具は、建造物の下地に設けられ、前記下地上の押さえコンクリート層に隣接して設けられるバサモルタル層上に排水溝が設けられる排水溝構造に用いられる排水溝用金具であって、前記排水溝に近接して設けられ、複数の孔部が形成された側壁部と、ドレイン孔が設けられた底部と、前記側壁部の外面に設けられ、前記バサモルタル層に隣接する不織布と、を備える排水溝用金具と、を備える。
【0010】
本発明の一態様として、排水溝構造の製造方法は、建造物の下地に設けられたドレイン本体に、複数の孔部が形成された側壁部、ドレイン孔が設けられた底部及び前記側壁部の外面に設けられた不織布を有する排水溝用金具を、前記ドレイン孔を対向させて配置し、前記下地の前記不織布と隣接する位置を含む範囲にバサモルタル層を設け、少なくとも前記排水溝用金具に近接して、前記バサモルタル層上に排水溝を設置し、前記ドレイン孔を覆って、前記底部の上面にストレーナを設置し、前記バサモルタル層に隣接してコンクリートを打設して、押さえコンクリート層を形成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、押さえコンクリートの下に雨水が滞留することを防止できる排水溝構造、排水溝用金具、及び、排水溝構造の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る排水溝構造の構成を示す平面図。
【
図3】同排水溝構造に用いられる排水溝用金具の構成を示す平面図。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る排水溝構造に用いられるドレインカバーの構成を一部省略して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る排水溝構造1を、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る排水溝構造1の構成を示す平面図、
図2は
図1中II-II線断面で排水溝構造1の構成を示す断面図、
図3は排水溝構造1に用いられる排水溝用金具12の構成を示す平面図、
図4は排水溝用金具12の側壁部32及び不織布33を示す断面図、
図5は排水溝構造1の製造方法を示す流れ図である。
【0014】
排水溝構造1は、ビルやマンション等の建造物100のルーフバルコニー110等に配置されるルーフドレインである。建造物100のルーフバルコニー110は、下地120上に、硬質ウレタンフォーム層130及び押さえコンクリート層140が設けられることで構成される。下地120は、例えば、建造物100内に位置する下面にスラブ裏面断熱吹き付け層121が設けられたコンクリート層122上にアスファルト防水層123が設けられることで構成される。硬質ウレタンフォーム層130は、複数の硬質ウレタンフォームを敷き詰めることで形成される。押さえコンクリート層140は、硬質ウレタンフォーム層130上にコンクリートを打設することで形成される。
【0015】
排水溝構造1は、このようなルーフバルコニー110の下地120上の、硬質ウレタンフォーム層130及び押さえコンクリート層140が設けられない部位に設けられる。排水溝構造1は、所謂竪引きルーフドレインと横引きルーフドレイン等を含み、本実施形態においては、竪引きルーフドレインの構成で説明する。
【0016】
図1及び
図2に示すように、排水溝構造1は、下地120に設けられたドレイン本体11と、ドレイン本体11上に設けられた排水溝用金具12と、ドレイン本体11及び排水溝用金具12を固定する第1締結部材13と、排水溝用金具12上に設けられたストレーナ14と、排水溝用金具12及びストレーナ14を固定する第2締結部材15と、排水溝用金具12に隣接して下地120上に設けられたバサモルタル層16と、バサモルタル層16上に設けられた排水溝17と、を備えている。
【0017】
ここで、排水溝構造1の周囲の下地120の形状は、バサモルタル層16側からドレイン本体11側へ向かって、傾斜して構成される。
【0018】
ドレイン本体11は、建造物100のルーフバルコニー110のコンクリート層122を形成するコンクリートを打設するときに配置され、コンクリート層122に一体に固定される。ドレイン本体11は、外方から中心に向かって傾斜する受け部21と、受け部21の中心に開口するドレイン口22と、ドレイン口22に設けられた排水管23と、を備えている。ドレイン本体11は、ストレーナ14及び排水溝用金具12を移動した雨水を受けるとともに、受けた雨水をドレイン口22から排水可能に構成される。ドレイン本体11は、第1締結部材13を挿通する孔部を有する。
【0019】
受け部21は、上面視で円環状に構成され、上面が中心に向かって下方へ傾斜して構成される。受け部21の上面には、下地120に設けられるアスファルト防水層123が設けられる。ドレイン口22は、受け部21の中心から下方に向かって円筒状に突出し、中心が開口する。排水管23は、ドレイン口22の内周面に固定される。
【0020】
図3及び
図4に示すように、排水溝用金具12は、平板状の底部31と、底部31に設けられた側壁部32と、側壁部32の外面に設けられた不織布33と、を備えている。排水溝用金具12は、例えば、有底円筒状に構成される。排水溝用金具12は、排水溝17に近接するように、ドレイン本体11に固定されることで、不織布33が設けられた側壁部32がバサモルタル層16に隣接する。
【0021】
底部31は、円盤状に構成される。底部31は、ドレイン孔41と、第1締結部材13を挿通させる第1孔部42と、第2締結部材15を挿通させる第2孔部43と、を備えている。
【0022】
ドレイン孔41は、底部31の中心に設けられる。ドレイン孔41は、ストレーナ14により覆われる。ドレイン孔41は、例えば、ドレイン本体11のドレイン口22に対向する。第1孔部42は、ドレイン孔41の周囲に複数、例えば、3つが等間隔に設けられる。第1孔部42は、ドレイン孔41と連続する孔を構成する。第2孔部43は、底部31の外周縁側に複数、例えば、等間隔に2つ設けられる。
【0023】
このような底部31は、第1孔部42に挿通された第1締結部材13により、ドレイン本体11に固定される。また、底部31は、第2孔部43に挿通された第2締結部材15により、ストレーナ14を固定する。
【0024】
側壁部32は、円筒状に構成され、複数の孔部32aと、上端部に設けられた折り返し部32bと、を備える。側壁部32は、底部31の外周縁に固定される。側壁部32は、例えば、平板状に構成され、
図4に示すように、複数の孔部32aが設けられたパンチングメタルの上端となる一辺を曲げ加工することで折り返し部32bを成形し、その後、円筒状に湾曲させて端部を溶接することで構成される。側壁部32は、底部31の外周縁に溶接によって固定される。
【0025】
複数の孔部32aは、例えば、側壁部32の折り返し部32bよりも下方に設けられる。折り返し部32bは、不織布33の一辺側を挟持する。なお、側壁部32は、平板状において、不織布33を挟持するように上端を折り返して折り返し部32bを成形し、その後、円筒状に成形することで構成される。
【0026】
不織布33は、水を通過可能、且つ、バサモルタル層16を構成するバサモルタルを通過させない構成を有する。
【0027】
第1締結部材13は、例えば、ドレイン本体11及び排水溝用金具12を固定するボルト及びナットである。
【0028】
ストレーナ14は、複数の孔が設けられた有底筒状に構成される。ストレーナ14は、排水溝用金具12のドレイン孔41を覆う。第2締結部材15は、例えば、排水溝用金具12及びストレーナ14を固定するボルト及びナットである。
【0029】
バサモルタル層16は、下地120上の排水溝17を設置する範囲に設けられる。バサモルタル層16は、バサモルタルにより構成される。また、バサモルタル層16は、排水溝用金具12の周囲を覆うことで、不織布33に隣接する。
【0030】
排水溝17は、バサモルタル層16上に設けられる。排水溝17は、
図2に示すように予め形成された断面がコの字状のパネル部材を組み合わせることで構成される。例えば、排水溝17を構成するパネル部材は、複数の形状を有し、これら複数の形状のパネル部材を組み合わせることで、排水溝17が任意の形状に構成される。
【0031】
次に、このように構成された排水溝構造1の製造方法を、
図5の流れ図を用いて説明する。
先ず、建造物100のルーフバルコニー110のコンクリート層122の形成及びドレイン本体11の固定を行う(ステップST10)。詳細には、ルーフバルコニー110にコンクリートを打設するときに、ドレイン本体11を所定の範囲に配置し、その後コンクリートを打設する。これにより、コンクリート層122が形成されるとともに、ドレイン本体11は、コンクリート層122に一体に固定される。その後、コンクリート層122及びドレイン本体11の受け部21の上にアスファルト防水層123を設ける(ステップST11)。
【0032】
次いで、ドレイン本体11条に排水溝用金具12を設置する(ステップST12)。具体的には、ドレイン本体11上に排水溝用金具12を配置し、ドレイン本体11及び排水溝用金具12を第1締結部材13で固定する。なお、第1締結部材13のボルト又はナットは、ドレイン本体11をコンクリート層122に固定するときに、予めドレイン本体11の孔部に設けておく。
【0033】
次いで、コンクリート層122の上の所定の範囲に、具体的には、コンクリート層122上であって、後工程で設置される排水溝17の範囲を除く領域に複数の硬質ウレタンフォームを敷き詰めて、硬質ウレタンフォーム層130を形成する(ステップST13)。
【0034】
次いで、コンクリート層122上にバサモルタルを敷き込み(ステップST14)、バサモルタル層16を形成する。具体的には、排水溝用金具12の周囲の硬質ウレタンフォーム層130が設けられていない範囲に水を散布し、所定の割合で混合した砂及びセメントであるバサモルタルを当該範囲に敷き込み、バサモルタルを叩き込む。次いで、セメントノロをバサモルタル上に配置する。これにより、バサモルタル層16を形成する。なお、バサモルタル層16は、
図2に示すように、上記範囲に加えて、上記範囲に隣接する、硬質ウレタンフォーム層130の縁部に渡って設けることが好ましい。
【0035】
次いで、形成したバサモルタル層16上に、排水溝17を設置する(ステップST15)。具体的には、排水溝17を構成するパネル部材を、排水溝17の形状となるようにバサモルタル層16上に配置し、パネル部材の上面が所定の面方向となるように、ゴムハンマー等で高さを調整する。その後、パネル部材間に目地モルタルを塗り込み、排水溝17を設置する。なお、排水溝17の流路端が排水溝用金具12となるように、排水溝17が構成される。
【0036】
次いで、ストレーナ14を排水溝用金具12に設置する(ステップST16)。具体的には、排水溝用金具12のドレイン孔41を覆う位置にストレーナ14を配置し、第2締結部材15によりストレーナ14を排水溝用金具12に固定する。その後、硬質ウレタンフォーム層130上にコンクリートを打設して押さえコンクリート層140を形成する(ステップST17)。これらの工程により、ルーフバルコニー110に排水溝構造1が製造される。
【0037】
このように構成された排水溝構造1によれば、バサモルタル層16に隣接して配置され、ドレイン本体11に流体的に接続される排水溝用金具12は、バサモルタル層16に隣接して不織布33が配置され、不織布33の内側に側壁部32の孔部32aが配置される。このため、バサモルタル層16に雨水が浸入した場合には、当該雨水は、不織布33及び孔部32aを介して排水される。このため、押さえコンクリート層140及びバサモルタル層16に雨水が滞留することを防止できる。
【0038】
また、排水溝用金具12は、不織布33を側壁部32の上端の折り返し部32bに固定する構成であることから、成形によって不織布33を固定できる。また、不織布33の外側には、バサモルタル層16が設けられることから、不織布33は、上端側を折り返し部32bに固定すれば、バサモルタルによって側壁部32に向かって押されるため、上端以外を固定する必要がない。結果、不織布33を固定するための部材等を折り返し部32b以外に要しないことから、排水溝用金具12の製造工程を低減すること及び部材点数の増加を防止することが可能となり、安価に排水溝用金具12を製造することができる。
【0039】
上述したように本発明の第1の実施形態に係る排水溝構造1によれば、押さえコンクリート層140及びバサモルタル層16の下に雨水が滞留することを防止できる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図6に示す第2の実施形態に係る排水溝構造1Aに示すように、ルーフバルコニー110の隅部に設けられ、ドレイン口22が水平方向に延びる横引きルーフドレインとする構成であってもよい。以下、排水溝構造1Aを
図6及び
図7を用いて説明する。
図6に示すように、横引きルーフドレインである排水溝構造1Aは、ドレイン本体11Aと、排水溝用金具12Aと、第1締結部材13と、ストレーナ14Aと、第2締結部材15と、バサモルタル層16と、排水溝17と、を備えている。
【0041】
ドレイン本体11Aは、ルーフバルコニー110の隅部の形状に合わせて矩形状の受け部21Aを有し、排水管23が接続されるドレイン口22Aは、水平方向に延びる。
【0042】
図7に示すように、排水溝用金具12Aは、矩形状の底部31Aと、孔部32a及び折り返し部32bを有する矩形筒状の側壁部32Aと、4枚の不織布33と、を備える。折り返し部32bは、側壁部32Aの各面の上端にそれぞれ設けられる。排水溝用金具12Aは、側壁部32Aの外面の一面と底部31Aとの稜部にドレイン孔41を有する。
【0043】
ストレーナ14Aは、複数の孔が設けられた有底の四半円筒状に構成される。
【0044】
図7に示すように、このような排水溝用金具12Aは、矩形状の底部31Aの外縁にそれぞれ矩形状の側面を構成する板状の部材が一体となった、換言すると底部31A及び側壁部32Aが一体となったブランクを折り曲げて、その後、側壁部32Aの各外面同士を溶接することで構成される。また、不織布33は、側壁部32Aの4面の外面に、側壁部32Aの各面の上端にもうけられた折り返し部32bを介して固定される。
【0045】
このように構成された排水溝構造1Aは、上述した第1の実施形態に係る排水溝構造1と同様の効果を有する。なお、排水溝構造1Aの排水溝用金具12Aは、側壁部32Aのルーフバルコニー110の側面に対向する面には、孔部32a、折り返し部32b及び不織布33を設けなくてもよい。これは、側壁部32Aの当該面にはバサモルタル層16が配置されず、雨水の滞留が生じないためである。
【0046】
また、上述した例では、排水溝構造1、1Aは、ルーフバルコニー110に設ける構成を説明したがこれに限定されず、ベランダや廊下などに設ける構成であってもよい。さらに、上述した例で説明したバサモルタル層16は、硬質ウレタンフォーム層130の一部に設けられる構成であってもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 建造物の下地に設けられたバサモルタル層と、
前記バサモルタル層上に設けられた排水溝と、
前記排水溝に近接して設けられ、複数の孔部が形成された側壁部、ドレイン孔が設けられた底部、及び、前記側壁部の外面に設けられ、前記バサモルタル層に隣接する不織布を有する排水溝用金具と、
前記下地の前記ドレイン孔と対向する位置に設けられたドレイン本体と、
前記底部の上面に設けられ、前記ドレイン孔を覆うストレーナと、
を備える排水溝構造。
[2] 前記排水溝用金具は、前記側壁部の上端部に設けられ、前記不織布の上端を挟持して固定する折り返し部を有することを特徴とする[1]に記載の排水溝構造。
[3] 前記排水溝用金具は、円形状の前記底部に円筒状の前記側壁部が溶接により固定されることで構成されることを特徴とする[2]に記載の排水溝構造。
[4] 前記排水溝用金具は、矩形状の前記底部に一体に設けられた4つの前記側壁部が溶接により固定されることで構成されることを特徴とする[2]に記載の排水溝構造。
[5] 建造物の下地に設けられたバサモルタル層上に排水溝が設けられる排水溝構造に用いられる排水溝用金具であって、
前記排水溝に近接して設けられ、複数の孔部が形成された側壁部と、
ドレイン孔が設けられた底部と、
前記側壁部の外面に設けられ、前記バサモルタル層に隣接する不織布と、を備える排水溝用金具と、
を備える排水溝用金具。
[6] 建造物の下地に設けられたドレイン本体に、複数の孔部が形成された側壁部、ドレイン孔が設けられた底部及び前記側壁部の外面に設けられた不織布を有する排水溝用金具を、前記ドレイン孔を対向させて配置し、
前記下地の前記不織布と隣接する位置を含む範囲にバサモルタル層を設け、
少なくとも前記排水溝用金具に近接して、前記バサモルタル層上に排水溝を設置し、 前記ドレイン孔を覆って、前記底部の上面にストレーナを設置する、
排水溝構造の製造方法。
【符号の説明】
【0047】
1…排水溝構造、11…ドレイン本体、12…排水溝用金具、13…第1締結部材、14…ストレーナ、15…第2締結部材、16…バサモルタル層、17…排水溝、21…受け部、22…ドレイン口、23…排水管、31…底部、32…側壁部、32a…孔部、32b…折り返し部、33…不織布、41…ドレイン孔、42…第1孔部、43…第2孔部、100…建造物、110…ルーフバルコニー、120…下地、121…スラブ裏面断熱吹き付け層、122…コンクリート層、123…アスファルト防水層、130…硬質ウレタンフォーム層、140…押さえコンクリート層。