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特許7058015速いサイクルタイムでの連続チャネル樹脂トランスファー成形法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】速いサイクルタイムでの連続チャネル樹脂トランスファー成形法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/48 20060101AFI20220414BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
B29C70/48
B29C70/54
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019534890
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2017067555
(87)【国際公開番号】W WO2018125711
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】62/439,323
(32)【優先日】2016-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518153036
【氏名又は名称】テイジン オートモーティブ テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ボンテ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】トイトガンズ,マルク―フィリップ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-246902(JP,A)
【文献】国際公開第2012/115067(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103328178(CN,A)
【文献】国際公開第2013/125641(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/48
B29C 70/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の槽を通った樹脂の注入及びオーバーフローを伴う樹脂トランスファー成形法(RTM)のためのプロセスであって、前記プロセスは
前記1つ以上の槽の1つまとめて送り込み、かつ前記1つ以上の槽から前記樹脂をモールド型にオーバーフローさせる複数の注入ポートに、毎分1リットルから10リットルまでの注入の流量かつ80バールと100バールの間の注入の圧力で前記樹脂を注入する、工程、および、
前記モールド型に適用された温度および圧力を制御する、工程を含みおよび、
前記複数の注入ポートは、個々、グループ、またはペアリングの任意の順番において、前記樹脂を注入するために作動される、プロセス。
【請求項2】
前記樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、グアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリジアリールフタラート樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、またはアミノ樹脂の少なくとも1つである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記樹脂は、前記樹脂と共に前記モールド型に注入される繊維をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記繊維はガラス、炭素、または他の合成繊維の少なくとも1つである、請求項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記繊維は天然繊維である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項6】
前記天然繊維はヤシ繊維、竹繊維、サトウキビ繊維、またはバナナの皮の繊維の少なくとも1つである、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記複数の注入ポートは、連続する時計回りまたは反時計回りの順序で、樹脂を注入するために作動される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記複数の注入ポートはコンピュータープログラムに基づいて作動される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記複数の注入ポートは2から6つまでの注入ポートである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記複数の注入ポートは3つの注入ポートである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
から5分までのサイクルタイムで注入する工程および制御する工程を繰り返す工程、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記制御する工程は、前記モールド型で成形された部品の形成中の圧力及び温度の低下を制限する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
請求項1のプロセスを実行するための樹脂トランスファー成形法(RTM)システムであって、
窪みを有するモールド型、
各々が流体連通し、かつ、各々が窪みと樹脂の貯蔵器との間に槽を有する1つ以上の連続チャネルに送り込む、複数の注入ポート、および、
数値制御装置であって、個々、グループ、または槽のペアリングの任意の順番において樹脂が窪みでオーバーフローさせるように、毎分1リットルから10リットルまでの注入の流量かつ80バールと100バールの間の注入の圧力で前記貯蔵器から樹脂を注入し、前記1つ以上のチャネルの槽を満たすために、前記複数の注入ポートを起動するための数値制御装置、を含む、樹脂トランスファー成形法(RTM)システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は2016年12月27日に出願された米国仮特許出願第62/439,323号の優先権の利益を主張し、その内容は、本明細書の参照によって組み入れられる。
【0002】
本発明は概して樹脂トランスファー成形法、特に多面注入システムにおける時間及び位置による樹脂の連続チャネル注入を用いる、改善された樹脂トランスファー成形法プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
樹脂トランスファー成形法(RTM)は、高い強度、複雑な幾何学的形状、緊密な寸法許容差、および自動車並びに航空宇宙用途のために典型的に必要な部分品質を有する合成構造を製作する方法である。RTMは、モールド型に置かれたグラファイトなどの繊維「レイアップ」を用いて、一般にアルミニウムで作られている密閉モールド型を使用する。モールド型を閉じ、密閉し、加熱し、かつ真空下に置く。室温(20℃)に置かれた、または熱した樹脂はその後、繊維レイアップをしみ込ませるためにモールド型に注入される。モールド型を熱し、かつ真空下にすることは、樹脂流を促進する。モールド型はその後、樹脂を硬化させるのに十分な温度で保たれる。典型的に、樹脂はRTMプロセス中に異なる3つの状態を経験する;注入中の粘稠状態、樹脂の粘度がより高い粘度及び硬化時間に変化するゲル化状態、および樹脂素材が化学的に架橋し樹脂が硬化する場合の硬化時間。RTMために使用されるモールド型は、樹脂導入用の1つ以上の注入ポート、及びモールド型を残すためのガスと余剰樹脂用の少なくとも1つの排出ポートがある。マルチポート注入モールド型は典型的に、増大した処理時間を有する、より大きな部品で使用される。
【0004】
RTMプロセス中に直面する共通の問題は樹脂の不等流であり、樹脂が注入点から離れて移動するにつれ、樹脂は粘度の変化を経験する。さらに、図1のグラフにおいて示されるように、プロセスの時間が進行するにつれ、樹脂が感じる圧力および温度は時間の関数として減少する。RTMプロセス中に経験する前述の問題は、成形部品の欠陥の一因となる。
【0005】
したがって、製造上の欠陥及びサイクルタイムの両方を最小化する改良されたRTM注入プロセスのための必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
1つ以上の槽に送り込み、かつモールド型へ樹脂をオーバーフローする複数の注入ポートへの樹脂の注入を含む、1つ以上の槽を通った樹脂の注入およびオーバーフローを用いた樹脂トランスファー成形法(RTM)プロセスが提供される。モールド型に適用されると、温度及び圧力が制御される。注入ポートは、個々、グループ、およびペアリングの、任意の順番において、樹脂を注入するために作動される。
【0007】
プロセスを行なうための樹脂トランスファー成形法(RTM)システムは、窪みを有するモールド型を含む。注入ポートのセットは、各々が流体連通し、かつ窪みと樹脂の貯蔵器との間の1つ以上の連続チャネルに送り込む。数値制御装置は、個々、グループ、ペアリングの任意の順番において樹脂が窪みでオーバーフローするように、貯蔵器から樹脂を注入し、1つ以上のチャネルの槽を満たすために、選択的に注入ポートを起動する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プロセルの時間が進むにつれ、時間の関数として樹脂が経験する圧力及び温度が低下することを示すグラフである;
図2】本発明の実施形態に関する、連続チャネルの斜視図である。
図3】本発明の実施形態に関する、モールド型に注入された樹脂の供給に利用可能な1つから3つのチャネルを有するマルチポートチャネル送り込みRTMモールド型の図である;
図4】本発明の実施形態に関する、マルチポートチャネル送り込みRTMプロセスに基づいた、生産プロセスのフローチャートである;
図5】本発明の実施形態に関する、湾曲または弧状の樹脂送り込みチャネルの上面の斜視図である;および
図6】本発明の実施形態による、変動可能な高さしきい値オーバーフロースロット、或いは開口を有する樹脂送り込みチャネルの側面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、多点注入システムでの時間及び位置による連続的な槽を介した樹脂の注入を用いる改良された樹脂トランスファー成形法(RTM)プロセスとしての有用性を有している。樹脂の速い導入は、モールド型へ1つ以上の連続的なチャネルをオーバーフローすることにより、モールド型の迅速な充填を提供する。連続的な槽による樹脂の注入は、圧力および温度プロファイル対、部品の形成に使用された樹脂に対する時間対、一連の狭い注入ポートを介して同時に樹脂を注入する既存のRTMプロセスの改善を達成する。一連の注入ポートは、個々、グループ、およびペアリングの、任意の順番において、前記樹脂を注入するために作動される。進歩性のあるプロセスの実施形態において、モールド型に位置する繊維「レイアップ」を越える1つ以上の連続チャネルを介した樹脂の速い導入は、しみ込こんでいない部分に起因する形成された部品の欠陥がより少ない改良された製品の産出を提供し、これによって成形製品の品質が向上する。さらに、製品のサイクルタイムも、マルチポートモールド型のチャネルを介した樹脂の注入の速い注入対、マルチポートモールド型の樹脂の同時注入の既存のプロセスによって軽減される。部品を形成するためのサイクルタイムがマルチポートモールド型のチャネルを通る樹脂の注入の進歩性のあるプロセスを用いて、約10-60分、低い圧力(>100バールがモールド型の窪みで繊維を動かす)で2分未満モールド型の合計時間に対し軽減されたことが見受けられる。
【0010】
進歩性のあるRTMシステムの実施形態は、真空源に接続された4番目の側面を備えるモールド型の周囲側面のうちの3つに置かれた3つの流路で構成される場合がある。特定の進歩性のある実施形態において、モールド型の対向側面は、対向チャネル間の中間に位置した真空ポートを備える樹脂充填チャネルで構成される場合がある。特定の進歩性のある実施形態において、モールド型への単一のオーバーフローチャンネルは粘性流のために提供される。いくつかの進歩性のある実施形態において、対向ポートを各々と関連する樹脂の流れをオフセットするトリガとするように、樹脂流はトリガされる。その結果、樹脂は対向ポートから流れ、一度樹脂の流出が接触すると追加の流れは制限され、その結果、繊維状フィラーの優先配向は制限される。実例において、真空対向ポートがある場合、これらの真空対向ポート(vacuum opposing ports)は、互いに対向ポートから取り除いた際に樹脂が流れるように開けられており、真空対向ポートからの流れはモールド型の充填を保証するだけであり、しかしモールド内での樹脂の制限された移動はまた樹脂流の方向での繊維フィラーの配向を制限する。
【0011】
進歩性のあるRTMプロセスの実施形態において使用される樹脂は、粘度が低く、補強繊維へしみ込ませることが容易である、エポキシ;ウレタン;ポリエステル、及びビニルエステル;などの熱硬化性樹脂を含む。これらの樹脂剤は例示的に、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、グアナミン樹脂、例えばビスマレイミドトリアジン樹脂、フラン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリジアリールフタラート樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂等のポリイミド樹脂を含む。繊維に、天然繊維と同じように、ガラス、炭素、その他の合成繊維を含む形成部品の強化をするため、進歩性のあるチャネルの樹脂送り込みRTMプロセスの特定の実施形態で使用される樹脂を導入する場合がある。
天然繊維はヤシ繊維、竹繊維、サトウキビ繊維、バナナの皮の繊維などを含んでもよい。
【0012】
図2は、本発明の典型的な実施形態に従って構成された連続チャネル(24)の斜視図である。連続チャネル(24)には槽(23)、及びオーバーフロースロット或いはモールド型に溶解した樹脂を供給する開口(25)がある場合がある。
【0013】
本発明の実施形態に関し、図3は注入された樹脂をモールド型(22)に供給するのに利用可能な1つ、2つ、3つのチャネル(24A、24B、24C)で構成されるマルチポートチャネル送り込みRTMシステム(20)の図である。チャネル(24A、24B、24C)は注入ポート(26)を通して樹脂を供給する。注入ポート(26)の数は、連続チャネル(24A、24B、24C)の基本操作を変えずに、示された実施形態と異なる場合があることが留意される。図2に示されるように、操作において、多数の注入ポート(26)は溶解した樹脂を槽(23)に送り込み、かつ槽(23)が充填されるにつれ、槽(23)からオーバーフローするレジンがオーバーフロースロット(25)を介してチャネル(24A、24B、24C)から出る。真空または負圧は真空ポート(28)を通ってモールド型(22)に供給される。特定の進歩性のある実施形態において、モールド型の対向側面は、対向チャネル(24B、24C)間の中間に位置した真空ポート(28)を備える樹脂充填チャネル(24B、24C)で構成される場合がある。特定の進歩性のある実施形態において、モールド型(22)への単一のオーバーフローチャンネル(24A)が粘性流のために提供される。
【0014】
進歩性のあるマルチポートチャネル送り込みRTMシステム及びプロセスの実施形態において;樹脂注入器の使用の始動または起動順序及びパターンは、プログラムの保存と実行のためのプロセッサ及びストレージ媒体を備えた数値制御装置またはコンピューティング装置へ予めプログラムされる。進歩性のあるマルチポートチャネル送り込みRTMシステムの実施形態において、数値制御装置はさらに、マルチポートチャネル送り込み注入プロセスのための位置に自動的に積み込まれることができ、その後取り除くことができ、かつ形成部品が第1の器具から取り除かれる間に、他のモールド型の器具を位置に移動させることができる多数の注入モールド器具、を備えたカルーセルを制御する場合がある。
【0015】
図4は、マルチポートチャネルチャネル送り込みRTMプロセスに基づいた、生産プロセスのフローチャートである;プロセスは、オーバーフローチャネルを備えたマルチ樹脂注入ポートモールド型を使用するRTMプロセスで形成されるような特定の成形された部品のためのプロセスパラメータを用いて、生産制御装置(工程32)をプログラムするオペレーターで始まる。樹脂注入器の圧力、温度、流量、および始動する順番を含むプロセスパラメータは、樹脂素材およびRTMプロセスにおいて形成される部品に基づいたオペレーターによってセットされる。オペレーターは、モールド型(工程34)へのレイアップと同様に、部品を形成するための樹脂を樹脂注入器の樹脂貯蔵器へ積み込む。マルチポートチャネル送り込みモールド器具樹脂投入列は、樹脂注入器(工程36)につながれる。RTMプロセスが始められ(工程38)、完成した部品はモールド(工程40)から取り除かれる。
【実施例
【0016】
<実施例1>
樹脂をモールド型へ供給するための、進歩性のあるチャネルの1つ以上を使用するRTMプロセスは、次の材料及びプロセスパラメータで行なわれる:
容量で40%の繊維含有率限界を伴い70℃の注入温度で30mPa秒の樹脂粘度限界を有する樹脂素材は、毎分1から10リットルまでの注入の流量でモールド型へ導入される;注入の圧力は100バール未満、かつ80バールで特定の実施形態において存在し、ここで制限要因は機器の安全性能である;
明確な透過性における注入された樹脂の放出は、モールド型のツールが保たれる10-11から10-12まで測定される;
モールド型のツールは120℃で維持される;
注入された樹脂素材の繊維変位を制御する或いはなくすため、バインダは例示的にエポキシ粉体、PETを基にした線維、または溶媒を含む。バインダの含有量は重量で繊維の4%である。外側密封が迎合された後、真空は 順番にモールド型に適用され、ここでプレス構成において、外側密封は2秒間のプレスの完全な密閉から0.6mmで係合する。
<他の実施形態>
【0017】
オーバーフローチャネル(24)は、あるいは楕円形か円形のモールド型ための弯曲形状、または円弧形状を有してもよく、これはすなわちチャネルの長さまたは様々な部分に沿って、異なる時間にオーバーフロー樹脂素材を導入するためである。本発明の実施形態に関し、図5は、湾曲または弧状の樹脂送り込みチャネル(24’)の上面の斜視図である。本発明の実施形態に関し、図6は、変動可能な高さしきい値オーバーフロースロット、或いは開口(25’)を有する樹脂送り込みチャネル(24”)の側面の斜視図である。
【0018】
先の説明は本発明の特定の実施形態の例証となるが、それらの実行は制限を意図していない。全てのそこに含まれる同等のものを含む以下の請求項は、本発明の範囲を定義するように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6