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特許7058022インテリジェント道路インフラストラクチャシステム(IRIS):システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】インテリジェント道路インフラストラクチャシステム(IRIS):システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20220414BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20220414BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220414BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220414BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G08G1/09 A
G08G1/01 A
G08G1/09 F
G08G1/09 V
G08G1/00 A
G08G1/16 A
G01C21/34
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020542137
(86)(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019016606
(87)【国際公開番号】W WO2019156956
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】62/627,005
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519251092
【氏名又は名称】シーエーブイエイチ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CAVH LLC
【住所又は居所原語表記】5821 Dawley Drive Fitchburg, Wisconsin 53711, US
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【弁理士】
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】冉 斌
(72)【発明者】
【氏名】程 陽
(72)【発明者】
【氏名】李 深
(72)【発明者】
【氏名】張 震
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲番▼
(72)【発明者】
【氏名】譚 華春
(72)【発明者】
【氏名】伍 元凱
(72)【発明者】
【氏名】董 碩▲宣▼
(72)【発明者】
【氏名】叶 林輝
(72)【発明者】
【氏名】李 小天
(72)【発明者】
【氏名】陳 天怡
(72)【発明者】
【氏名】石 昆松
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0008637(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/161986(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/018877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
G08G 1/01
G08G 1/00
G08G 1/16
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクテッド自動運転車両幹線道路(CAVH)システムに車両の操作及び制御を提供するインテリジェント道路インフラストラクチャシステム(IRIS)であり、前記インテリジェント道路インフラストラクチャシステム(IRIS)は、
a)複数路側ユニット(RSU)を有する路側ユニット(RSU)ネットワーク
b)階層構造の交通管制ユニット(TCU)及び交通管制センター(TCC)
c)車両オンボードユニット(OBU)及び車両インターフェース、及び/又は
d)前記RSU、前記TCCおよびTCUのコンピュータ機能をサポートするクラウドベースのプラットフォーム
を含み、
前記TCUおよび前記TCCは、交通情報の収集および処理を行うものであり、
前記TCUは、カバーする領域に基づいて、セグメントTCUと、ポイントTCUとを有し、
前記交通管制センター(TCC)は、交通オペレーションの最適化、データ処理及びアーカイブ機能を実現し、又はヒューマンオペレーションインターフェースを提供するように構成され、前記TCCは、カバーする領域に基づいて、巨視的TCC、リージョナルTCC、および、コリドーTCCを有し、前記巨視的TCCは、一定数のリージョナルTCCを管理し、前記リージョナルTCCは、一定数のコリドーTCCを管理し、前記コリドーTCCは、一定数のセグメントTCUを管理し、前記セグメントTCUは、一定数のポイントTCUを管理し、前記ポイントTCUは、一定数のRSUを管理し、
前記路側ユニット(RSU)ネットワークは、感知、通信、および、制御を含む機能を有し、前記RSUは、リアルタイムな車両環境感知及び交通行動予測を行って、前記OBUを介して、個々の車両のために制御命令を送信し、
前記交通管制ユニット(TCU)は、プリインストールされたアルゴリズムに基づいて、前記RSUが車両から受信した情報を用いて、制御命令を生成し、
前記制御命令は、運転タスクを車両が遂行するための命令であって、個々の車両に送信され、前記運転タスクは、速度及び車間距離の維持、および、車線の維持/変更制御のいずれかを含み、
前記OBUは、車両の移動及び状況など、車両が生成するデータを収集し、前記RSUに送信するとともに、前記RSUからの前記制御命令を受信し、前記制御命令に基づき、車両の制御を助ける
ことを特徴とするインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項2】
前記OBUは、通信モジュール、データ収集モジュール、車両制御モジュールを含み、
前記データ収集モジュールは、車両及び人に関連するデータを収集し、前記通信モジュールを介して前記RSUに送信し、
前記OBUは、前記通信モジュールを介して、前記RSUからのデータを受信し、
前記車両制御モジュールは、前記RSUからの前記制御命令に基づいて車両の制御を助け、
前記通信モジュールは、RSUとの間でデータを交換する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項3】
前記OBUが収集するデータには、
a. 手入力された、出発地点-目的地点、予定所要時間、予定出発及び到着時刻、および、サービスのリクエスト
b. 人の行動、および、人の状態を含む人的状況データ
c. 車両のID、種類、および、前記データ収集モジュールによって収集されるデータを含む車両状況データ
のいずれかが含まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項4】
前記データ収集モジュールは、車両内部及び外部に設置のセンサからデータを収集し、収集するデータには、
a. 車両エンジンの状態
b. 車両速度
c. 車両が検知する周囲のオブジェクト、および、
d. 人的状況
のいずれかが含まれる、
ことを特徴とする請求項2に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項5】
前記RSUから前記OBUに送信されるデータには、
a. 縦方向及び横方向加速度、および、車両方向を含む車両制御命令
b. 交通状況、インシデント、交差点の位置、入口及び出口を含む走行ルート、及び交通情報
c. 燃料補給所、および、関心地点を含むサービスデータ
のいずれかが含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項6】
前記TCUおよびTCCは、
a)交通行動予測及び管理
b)計画及び意思決定、及び
c)交通情報の収集及び/又は処理
をするように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項7】
a)個々の車両を対象とする、微視的レベル
b)道路コリドー及びセグメントを対象とするメゾスコピックレベル、及び/又は
c)道路ネットワークを対象とする巨視的レベル
車両を管理し、以上a)~c)のスケールで車両に情報を提供するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項8】
a)前記微視的レベルでの管理は、車両の縦方向移動及び/又は車両の横方向移動を含み、
b)前記メゾスコピックレベルでの管理は、車両に特殊イベントの通知、インシデント予測、織込みセグメントの合流及び分流、プラトーン分裂及び統合、可変速度制限予測及び反応、セグメント所要時間予測、及び/又はセグメント交通流予測を含み、
c)前記巨視的レベルでの管理は、潜在的渋滞予測、潜在的インシデント予測、ネットワーク交通需要予測、ネットワーク状態予測、及び/又はネットワーク所要時間予測を含む、
ことを特徴とする請求項に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項9】
前記制御命令は、
a)最大可能交通容量に到達するために、車間距離及び/又は速度を制御する
b)事故を予測及び/又は検知し、警告メッセージ及び衝突回避命令を車両に送信する
c)車線の分離と間隔および車線変更を制御する
d)道路の曲率、道路の高度、道路の形状、および/または舗装の状態に合わせて車速と方向を調整する
e)CAVHシステムへの進入を要求する車両の車両許可を確認し、CAVHシステムから退出する車両に制御命令を提供することにより、CAVHシステムの境界を管理する
f)プラトーン制御及びフリート管理をする
g)システム障害の安全対策を提供する
h)AVHシステムの管理目標に優先順位を付ける
ように生成される、ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項10】
前記RSUは、
a)運転環境を検知するための感知モジュール
b)有線又は無線媒体を介して、前記車両、前記TCU前記クラウドベースのプラットフォームと通信するための通信モジュール
c)前記感知モジュール及び通信モジュールからのデータを処理する、データ処理モジュール
d)前記データ処理モジュールと通信モジュール間で通信する、インターフェースモジュール
e)バックアップ冗長化により、地域の送電網の状況に応じて電源供給を調節する、適応型電源モジュール
を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項11】
前記感知モジュールは、
a)視覚センサと協働し、運転環境及び車両属性データを感知する、レーダーベースのセンサ
b)レーダーセンサと協働し、運転環境データを提供する、視覚センサ
c)慣性航法装置と協働し、車両位置特定をサポートする、衛星ナビゲーションシステム
d)衛星ナビゲーションシステムを協働し、車両位置特定をサポートする、慣性航法装置、および、
e)車両識別デバイ
のうち1つ以上を含む、請求項10に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項12】
前記ポイントTCU又は前記セグメントTCUは、前記RSUと物理的に結合又は統合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項13】
前記クラウドベースのプラットフォームは、
a)IRISの追加のストレージのニーズを満たす、ストレージ・アズ・ア・サービス(STaaS)
b)IRISへのサービスとして、追加の制御能力を提供する、コントロール・アズ・ア・サービス(CCaaS)
c)追加の計算リソースが必要な、IRISのエンティティ又はエンティティグループを提供する、コンピューティング・アズ・ア・サービス(CaaS)、及び/又は、
d)IRISへのサービスとして、追加の感知能力を提供する、センシング・アズ・ア・サービス(SEaaS)
を含む情報及びコンピューティングサービスを提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項14】
仮想信号機制御機能を提供するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項15】
交通状態推定機能を提供するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項16】
前記交通状態推定機能は、センサデータの品質を使用してデータに重みを割り当てて重み付きデータを生成し、重み付きデータを融合することによって交通を推定する、
ことを特徴とする請求項15に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項17】
フリートメンテナンス機能を提供するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項18】
a)高速道路
b)ハイオキュパンシー/トール(HOT)車線
c)ダイナミックショルダー車線
d)エクスプレス車線、及び/又は
e)都市幹線道路
道路施設における交通を管理するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項19】
a)高精度地図サービス
b)現場特有の道路気象情報、及び/又は
c)現場特有の道路気象情報によってサポートされ、悪天候のために設計された車両制御アルゴリズム
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項20】
a)ファイアウォール、定期的なシステムスキャン、安全性が保証されたハードウェアのインストール、アクセス制御、および、識別トラッカーのいずれかを含む、ネットワークセキュリティ及び物理的機器セキュリティ機能
b)故障した対応物を補うために待機しているハードウェア及び/又はソフトウェアリソースから成る、システムの冗長化機能
c)システムのバックアップ及びリストア機能、及び
d)故障が検知された場合に作動する、システムフェイルハンドオーバー機能
のいずれかをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のインテリジェント道路インフラストラクチャシステム。
【請求項21】
コネクテッド自動運転車両幹線道路(CAVH)システムに車両の操作及び制御を提供するインテリジェント道路インフラストラクチャシステム(IRIS)を用いて、車両を管理する方法であって、
前記インテリジェント道路インフラストラクチャシステ(IRIS)は、
a)複数路側ユニット(RSU)を有する路側ユニット(RSU)ネットワーク
b)階層構造の交通管制ユニット(TCU)及び交通管制センター(TCC)
c)車両オンボードユニット(OBU)及び車両インターフェース、及び/又は
d)前記RSU及び前記TCC/TCUのコンピュータ機能をサポートするクラウドベースのプラットフォーム
を含み、
前記TCUおよび前記TCCは、交通情報の収集および処理を行うものであり、
前記TCUは、カバーする領域に基づいて、セグメントTCUと、ポイントTCUとを有し、
前記交通管制センター(TCC)は、交通オペレーションの最適化、データ処理及びアーカイブ機能を実現し、又はヒューマンオペレーションインターフェースを提供するように構成され、前記TCCは、カバーする領域に基づいて、巨視的TCC、リージョナルTCC、および、コリドーTCCを有し、前記巨視的TCCは、一定数のリージョナルTCCを管理し、前記リージョナルTCCは、一定数のコリドーTCCを管理し、前記コリドーTCCは、一定数のセグメントTCUを管理し、前記セグメントTCUは、一定数のポイントTCUを管理し、前記ポイントTCUは、一定数のRSUを管理し、
前記路側ユニット(RSU)ネットワークは、感知、通信、および、制御を含む機能を有し
制御命令は、運転タスクを車両が遂行するための命令であって、個々の車両に送信され、前記運転タスクは、速度及び車間距離の維持、および、車線の維持/変更制御のいずれかを含み、
前記RSUは、リアルタイムな車両環境感知及び交通行動予測を行って、前記OBUを介して、個々の車両のために前記制御命令を送信し、
前記交通管制ユニット(TCU)は、プリインストールされたアルゴリズムに基づいて、前記RSUが車両から受信した情報を用いて、前記制御命令を生成し、
前記OBUは、車両の移動及び状況など、車両が生成するデータを収集し、前記RSUに送信するとともに、前記RSUからの前記制御命令を受信し、前記制御命令に基づき、車両の制御を助ける
ことを特徴とする車両を管理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年2月6日出願の米国仮特許出願第62/627,005号の利益を主張し、その内容は全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コネクテッド自動運転車両(CAV)のために交通マネジメント及びオペレーションと個別の車両制御を提供する、インテリジェント道路インフラストラクチャシステムに関し、より詳細には、車両追従、車線変更、ルート案内、他の関連情報など、自動車両運転のためにカスタマイズされた、詳細且つタイムセンシティブな制御命令及び交通情報を、個々の車両に送信することにより、CAVを制御するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
手入力削減の有無にかかわらず、周囲の環境を感知し、走行することができる車両である、自動運転車両は、開発の過程にある。現在は実験的試験段階にあり、広範囲な商業的使用には至っていない。既存のアプローチでは、高価で複雑なオンボードシステムを必要とするため、広範に実施するには大きな課題がある。
【0004】
これらの問題に対処する代替のシステム及び方法は、2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,331号及び2018年2月6日出願の米国仮特許出願第62/626,862号に記載されており、これらの開示は全体が参照により本出願に組み込まれる(以下、CAVHシステムと称する)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、インテリジェント道路インフラストラクチャシステム(IRIS)のためのシステム及び方法を提供し、コネクテッド自動運転車両幹線道路(CAVH)システムの車両の操作及び制御を容易にする。IRISのシステム及び方法は、車両追従、車線変更、ルート案内などの運転タスクを車両が遂行するために、個別にカスタマイズされた情報及びリアルタイムな制御命令を、車両に提供する。IRISのシステム及び方法はまた、高速道路、都市幹線道路のいずれにおいても、交通オペレーション及びマネジメントのサービスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、以下の物理的サブシステムのうち、1つ以上を備えるか、又は1つ以上から成る。
(1)路側ユニット(RSU)ネットワーク、(2)交通管制ユニット(TCU)及び交通管制センター(TCC)ネットワーク、(3)車両オンボードユニット(OBU)、(4)交通オペレーションセンター(TOCs)、(5)クラウド情報及びコンピューティングサービス
IRISは、以下の機能カテゴリのうち1つ以上を管理する。
感知、交通行動予測及び管理、計画及び意思決定、車両制御
IRISは、リアルタイムな無線及び/又は無線通信、電源ネットワーク、サイバーセーフティ及びセキュリティサービスによってサポートされる。
【0007】
現行の技術では、詳細且つタイムセンシティブな制御命令を個々の車両に送信することによって、コネクテッド自動運転車両及び幹線道路システムのために全車両操作及び制御を備える、包括的システムを提供する。これは、車線の一部分、又は幹線道路の全車線に適している。いくつかの実施形態では、それらの制御命令は車両個別ものであり、最適化され、最高位レベルのTCCから伝達され、最下位レベルのTCUによって送信される。これらのTCC/TCUsは階層構造にあり、様々なレベルの領域をカバーする。
【0008】
いくつかの実施形態では、コネクテッド自動運転車両幹線道路(CAVH)のための車両操作及び制御を容易にする、インテリジェント道路インフラストラクチャシステム(IRIS)を備えるシステム及び方法を本明細書に提供する。いくつかの実施形態では、このシステム及び方法は、車両追従、車線変更、ルート案内などの運転タスクを車両が遂行するために、カスタマイズされた詳細な情報及びタイムセンシティブな制御命令を、個々の車両に提供し、高速道路、都市幹線道路のいずれにおいても、車両に交通オペレーション及びメンテナンスのサービスを提供する。ある実施形態では、このシステム及び方法は、オープンプラットフォームとして構築及び管理され、いくつかの実施形態では、以下に記載のサブシステムは、様々なエンティティにより所有及び/又は操作され、以下の物理的サブシステムのうち1つ以上を含む様々なCAVHシステム間で、物理的及び/又は論理的に共有される。
a. 感知、通信、制御(迅速/簡単)、走行可能距離計算を含む機能を有する、路側ユニット(RSU)ネットワーク
b. 交通管制ユニット(TCU)・交通管制センター(TCC)ネットワーク
c. 車両オンボードユニット(OBU)及び関連の車両インターフェース
d. 交通オペレーションセンター
e. 情報及びコンピューティングサービスのクラウドベースのプラットフォーム
【0009】
ある実施形態では、このシステム及び方法は、以下の機能カテゴリのうち1つ以上を管理する。
a. 感知
b. 交通行動予測及び管理
c. 計画及び意思決定
d. 車両制御
【0010】
ある実施形態では、このシステム及び方法は、以下のうち1つ以上によってサポートされる。
a. 有線及び無線媒体を介したリアルタイムな通信
b. 電源ネットワーク
c. サイバーセーフティ及びセキュリティシステム
【0011】
ある実施形態では、IRISの機能カテゴリと物理的サブシステムは、機能及び物理的デバイスの割り当てに関して、様々な構成を有する。例えば、いくつかの実施形態において、構成は以下を含む。
a. RSUsはリアルタイムな車両環境感知及び交通行動予測を提供し、OBUsを介して個々の車両のために瞬時に制御命令を送信する。
b. TCU/TCC及び交通オペレーションセンターは、クラウド情報及びコンピューティングサービスの有無に関わらず、短期的及び長期的な交通行動予測及び管理、計画及び意思決定、交通情報の収集/処理を提供する。
c. 車両OBUsは、上記の通り、車両の移動及び状況など、車両が生成するデータを収集し、RSUsに送信し、RSUsからの入力を受信する。RSUからの入力に基づき、OBUは車両制御を容易にする。車両制御システムに障害が発生した場合は、OBUが短時間で引き継ぎ、車両を安全に停止させることができる。ある実施形態では、車両OBUは、以下のモジュール:(1)通信モジュール、(2)データ収集モジュール(3)車両制御モジュール、のうち1つ以上を含む。他のモジュールも含んでよい。
【0012】
ある実施形態では、通信モジュールは、RSUsとOBUs間で、また、必要に応じて他の車両OBUs同士間で、データ交換ができるように構成される。車両ソースのデータには、以下を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
a. 出発地点-目的地点、予定所要時間、予定出発及び到着時刻、サービスのリクエストなどの、手入力データ
b. 人の行動、人の状態(例:疲労レベル)などの人的状況データ
c. 車両のID、種類、データ収集モジュールによって収集されるデータなどの、車両状況データ
【0013】
RSUsからのデータには、以下を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
a. 希望の縦方向及び横方向加速度、希望の車両方向などの、車両制御命令
b. 交通状況、インシデント、交差点の位置、入口及び出口などの、走行ルート及び交通情報
c. 燃料補給所、関心地点などの、サービスデータ
【0014】
いくつかの実施形態では、データ収集モジュールは、車両内部及び外部に設置のセンサからデータを収集し、車両及び人の状況を監視する。車両及び人の状況は、以下のうち1つ以上を含むがこれらに限定されるものではない、
a. 車両エンジンの状態
b. 車両速度
c. 車両が検知する周囲のオブジェクト
d. 人的状況
【0015】
いくつかの実施形態では、車両制御モジュールが使用され、車両追従、車線変更などの運転タスクのために、RSUからの制御命令を実行する。
【0016】
いくつかの実施形態では、IRISの感知機能が、交通行動予測及び管理、計画及び意思決定、車両制御、他の機能のための包括的情報を、リアルタイム、短期的、長期的に生成する。この情報には以下を含むが、これらに限定されるものではない。
a. 車間距離、速度差、障害物、車線逸脱などの車両環境
b. 気象状況、舗装状態などの天候
c. 速度、位置、種類、自動化レベルなどの車両属性データ
d. 交通流率、占有率、平均速度などの交通状態
e. 信号、速度制限などの道路情報
f. 発生した衝突、渋滞などのインシデント収集
【0017】
いくつかの実施形態では、IRISは、様々なスケールで、交通ネットワーク全体の状況を予測する機能を感知することにより、サポートされる。スケールは、以下を含むがこれらに限定されるものではない。
a. 縦方向の移動(車両追従、加速・減速、駐停止・停車)、横方向の移動(車線維持、車線変更)など、個々の車両を対象とする、微視的レベル。
b. 特殊イベントの早期通知、インシデント予測、織込みセグメントの合流及び分流、プラトーン分裂及び統合、可変速度制限予測及び反応、セグメント所要時間予測、セグメント交通流予測など、道路コリドー及びセグメントを対象とする、メゾスコピックレベル。
c. 潜在的渋滞予測、潜在的インシデント予測、ネットワーク交通需要予測、ネットワーク状態予測、ネットワーク所要時間予測など、道路ネットワークを対象とする、巨視的レベル。
【0018】
いくつかの実施形態では、IRISは、感知及び予測機能によってサポートされ、計画及び意思決定能力を発揮し、様々な広いスケールで、対象車両及びエンティティに通知する。スケールは、以下を含むがこれらに限定されるものではない。
a. 縦方向の制御(車両追従、加速及び減速)、横方向の制御(車線維持、車線変更)などの微視的レベル。
b. 特殊イベントの早期通知、道路工事区間、減速区間、インシデント検知、バッファスペース、天気予報通知などのメゾスコピックレベル。このレベルでの計画は、定められたすべてのルール(一時的又は恒久的)に車両が従うことを確実にし、安全性と効率性を向上させる。
c. ルート計画及び案内、ネットワーク需要管理などの巨視的レベル。
【0019】
いくつかの実施形態では、IRISの計画及び意思決定機能は、インシデント管理の事後対策を強化し、インシデント予測及び防止の事前対策をサポートする。対策は、以下を含むがこれらに限定されるものではない。
a. 事後対策として、IRISは、発生したインシデントを自動的に検知し、更なる措置に向けて関係機関と調整する。また、影響を受けた交通のために、インシデント警告及びルート変更命令も提供するであろう。
b. 事前対策として、IRISは、潜在的インシデントを予測し、影響を受けた車両を安全に導くために制御命令を送信し、更なる措置に向けて関係機関と調整する。
【0020】
いくつかの実施形態では、IRISの車両制御機能は、感知、交通行動予測及び管理、計画及び意思決定によってサポートされ、更には、以下を含むがこれらに限定されるものではない。
a. 速度及び車間距離の維持:最大可能交通容量に到達するために、車線上で最小限の車間距離と最大限の速度を維持する。
b. 衝突回避:車線上で潜在的事故/衝突を検知し、警告メッセージと衝突回避命令を車両に送信する。このような状況下で、車両は車線管理システムからの命令に従わなければならない。
c. 車線維持:指定された車線における車両走行を維持する。
d. 曲率/高度制御:道路形状、舗装状態などの要因に基づき、車両が適切な速度及び角度を維持し、適応することを確実にする。
e. 車線変更制御:交通流への妨害を最小限に抑えて、車両の車線変更を適切な秩序で調整する。
f. システム境界制御:進入前の車両許可確認と、車両の進入及び退出それぞれの場合のシステムのテイクオーバー及びハンドオフ機構。
g. プラトーン制御及びフリート管理
h. システム障害安全対策:システムは、故障中、(1)ドライバー又は車両が車両制御を引き継ぐために十分なレスポンスタイム、又は(2)車両を安全に停止させるための他の対策を提供する。
i. タスク優先管理:様々な制御目標を優先させるための機構を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、RSUは、以下のうち1つ以上のモジュール構成を含むが、これらに限定されるものではない。
a. 運転環境を検知する感知モジュール
b. 有線又は無線媒体を介して、車両、TCUs、クラウドと通信する、通信モジュール
c. 感知及び通信モジュールからのデータを処理する、データ処理モジュール
d. データ処理モジュールと通信モジュール間で通信する、インターフェースモジュール
e. バックアップの冗長化により、地域の送電網の状況に応じて電源供給を調節する、適応型電源モジュール
【0022】
いくつかの実施形態では、感知モジュールは、以下のフロー型センサのうち1つ以上を含むが、これらに限定されるものではない。
a. ビジョンセンサと協働し、運転環境及び車両属性データを感知するレーダーベースのセンサであり、以下を含むがこれらに限定されるものではない。
i. LiDAR
ii. マイクロ波レーダー
iii. 超音波レーダー
iv. ミリ波レーダー
b. レーダーベースのセンサと協働し、運転環境データを提供する、ビジョンベースのセンサ。以下を含むがこれらに限定されるものではない。
i. カラーカメラ
ii. 夜間撮影対応赤外線カメラ
iii. 夜間撮影対応サーマルカメラ
c. 慣性ナビゲーションシステムと協働し、車両の位置特定をサポートする、衛生ナビゲーションシステム。以下を含むがこれらに限定されるものではない。
i. DGPS
ii. BeiDouシステム
d. 衛生ナビゲーションシステムと協働し、車両の位置特定をサポートする、慣性ナビゲーションシステム。慣性基準ユニットを含むが、これに限定されるものではない。
e. 車両識別デバイス。RFIDを含むがこれに限定されるものではない。
【0023】
いくつかの実施形態では、RSUは、機能要件、道路の種類、形状などの環境要因、安全性への配慮に基づいて、設置及び配備される。以下を含むがこれらに限定されるものではない。
a. いくつかのモジュールは、必ずしもRSUsのコアのモジュールと同一の物理的位置に設置されるとは限らない。
b. 最大のカバレッジをアーカイブに保存し、検知の死角を排除するために、RSUの間隔設定、配備、設置の方法は、道路の形状によって様々であってよい。設置可能場所は、高速道路、路側、高速道路のオン/オフランプ、交差点、路側建物、橋、トンネル、環状交差点、中継局、駐車場、踏切、スクールゾーンを含むが、これらに限定されるものではない。
c. RSUは以下に設置される。
i. 長期的配備の場合は固定位置
ii. 短期的又は柔軟な配備の場合は可動プラットフォーム。車、トラック、無人航空機(UAV)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0024】
いくつかの実施形態では、RSUsは、追加のシステムカバレッジを必要とする特殊な位置及び期間に配備され、RSUの構成は様々であってもよい。特殊な位置は以下を含むが、これらに限定されるものではない。
a. 建設区域
b. スポーツの試合、ストリートフェア、野外パーティ、コンサートなどの特殊イベント
c. 嵐、大雪などの特殊な気象状況
【0025】
いくつかの実施形態では、TCCsとTCUsは、RSUsと連動して、以下を含むがこれらに限定されるものではない階層構造を有してもよい。
a. 交通制御センター(TCC)は、包括的な交通オペレーションの最適化、データ処理、アーカイブ機能を実現し、ヒューマンオペレーションインターフェースを提供する。TCCはカバレッジ領域に基づいて、更に巨視的TCC、リージョナルTCC、コリドーTCCに分類されてもよい。
b. 交通管制ユニット(TCU)は、プリインストールされたアルゴリズムに基づいて高度に自動化された、リアルタイムな車両制御及びデータ処理機能を実現する。TCUは、カバレッジ領域に基づいて、更にセグメントTCUとポイントTCUsに分類される。
c. 接続された車両からのデータフローを受信する路側ユニット(RSUs)のネットワークは、交通状況を検知し、対象とした命令を車両に送信し、ポイント又はセグメントTCUはRSUと物理的に結合又は統合されることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、クラウドベースのプラットフォームは、RSUs及びTCC/TCUsのネットワークに情報及びコンピューティングサービスを提供する。情報及びコンピューティングサービスは、以下を含むがこれらに限定されるものではない
a. IRISの追加ストレージニーズを満たす、ストレージ・アズ・ア・サービス(STaaS)
b. IRISへのサービスとして、追加の制御能力を提供する、コントロール・アズ・ア・サービス(CCaaS)
c. 追加のコンピューティングリソースを必要とする、IRISのエンティティ又はエンティティグループを提供する、コンピューティング・アズ・ア・サービス(CaaS)
d. IRISへのサービスとして、追加の感知能力を提供する、センシング・アズ・ア・サービス(SEaaS)
【0027】
このシステム及び方法は、2018年2月6日出願の米国仮特許出願第62/626,862に記載の機能及び構成要素を含み、これらの機能及び構成部品と統合されてもよく、その内容は全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、このシステム及び方法は、仮想信号機制御機能を提供する。このようないくつかの実施形態では、クラウドベースの信号機制御システムは、感知デバイス、制御デバイス、通信デバイスなどの沿道にあるセンサを含むことを特徴とする。いくつかの実施形態では、RSUの感知構成要素は、道路上(例えば交差点)に備えられ、道路車両交通を検知し、ネットワーク接続でクラウドシステムに関連するデバイスを感知し、クラウドシステムに情報をアップロードする。クラウドシステムは感知された情報を解析し、通信デバイスを介して情報を車両に送信する。
【0029】
いくつかの実施形態では、このシステム及び方法は、交通状態推定機能を提供する。いくつかの実施形態では、クラウドシステムは、交通状態推定及び予測アルゴリズムを含む。交通状態を推定するために加重データフュージョンのアプローチが適用され、データフュージョンのウェイトは、RSU、TCC/TCU、TOCのセンサにより提供される情報の質によって決まる。センサが利用不能の場合、この方法は、予測及び推測情報に基づいて交通状態を推定し、送信及び/又は車両不足の課題がある状況においても、このシステムが信頼できる交通状態を提供することを保証する。
【0030】
いくつかの実施形態では、このシステム及び方法は、フリートメンテナンス機能を提供する。このようないくつかの実施形態では、クラウドシステムは交通状態推定及びデータフュージョン方法を使用し、リモート車両診断、インテリジェント省燃費運転、インテリジェント充電/燃料補給などのフリートメンテナンスの適用をサポートする。
【0031】
いくつかの実施形態では、IRISは高性能な計算能力を備え、感知、予測、計画及び意思決定、制御を、具体的に以下の3つのレベルで実現するために、計算パワーを割り当てる。
a. 車両制御命令の計算など、通常1から10ミリ秒の微視的レベル
b. インシデント検知及び舗装状態の通知など、通常10から1000ミリ秒のメゾスコピックレベル
c. ルートコンピューティングなど、通常1秒を超える巨視的レベル
【0032】
いくつかの実施形態では、IRISは、様々な種類の道路施設における交通オペレーション及び制御を容易にするため、交通及び車線の管理を行う。道路施設の種類は、以下を含むがこれらに限定されるものではない、
a. 以下を含むがこれらに限定されるものではない方法を伴う、高速道路。
i. 本線車線変更管理
ii. オンランプ/オフランプなど、交通の合流/分流管理
iii. ハイオキュパンシー/トール(HOT)車線
iv. ダイナミックショルダー車線
v. エクスプレス車線
vi. 様々な自動化レベルの車両を対象とした、自動運転車両の普及率管理
vii. 工事区域、インシデントなどの車線閉鎖管理
b. 以下を含むがこれらに限定されるものではない方法を伴う、都市幹線道路。
i. 基本車線変更管理
ii. 交差点管理
iii. 都市街路車線閉鎖管理
iv. 自転車、歩行者、バスなどの様々な態様に適応する、混合交通管理
【0033】
いくつかの実施形態では、IRISは、悪天候下の車両オペレーション及び制御のために、更なる安全及び効率化対策を提供する。対策は以下を含むが、これらに限定されるものではない。
a. 地域のRSUsによって提供され、車両設置のセンサを必要とせず、車線幅、車線アプローチ(左/直進/右)、勾配(上り/下りの傾斜度)、弧度、他の形状情報を備えた、高精度地図サービス
b. RSUsによって提供され、TCC/TCUネットワーク及びクラウドサービスをサポートする、現場特有の道路気象情報
c. 現場特有の道路気象情報によってサポートされ、悪天候のために設計された車両制御アルゴリズム
【0034】
いくつかの実施形態では、IRISは、セキュリティ対策、冗長化対策、レジリエンシー対策を含み、システムの信頼性を高める。対策は以下を含むが、これらに限定されるものではない。
a. ネットワークセキュリティ及び物理的機器セキュリティなどのセキュリティ対策
i. 様々なレベルでのファイアウォール、定期的なシステムスキャンなどの、ネットワークセキュリティ対策
ii. 安全性が保証されたハードウェアのインストール、アクセス制御、識別トラッカーなどの物理的機器のセキュリティ
b. システムの冗長化。故障したシステムを補うため、追加のハードウェア及びソフトウェアリソースが待機している。
c. システムのバックアップ及びリストア。IRISシステムは、全体のシステムレベルから個々のデバイスレベルまで、様々な間隔でバックアップされる。障害が検知された場合、対応するスケールでリカバリが実行され、元の状態に最も近いバックアップにリストアする。
d. 障害が検知された場合、システムフェイルハンドオーバー機構が作動する。より高いレベルのシステムユニットは故障及び性能対応プロシージャを特定し、故障したユニットを交換、及び/又はリストアする。
【0035】
また、本明細書では、交通制御の1つ以上の態様の管理のために、本明細書に記載されるシステムのうちいずれかを採用する方法も提供される。これらの方法には、システムの個々の参加者(例えば、ドライバー、公共又は民間の地域、地方又は国の交通施設、政府機関など)が着手するプロセスも、1人以上の参加者が協力し合あうか、又はそれぞれ単独で取り組む集団活動も含む。
【0036】
本明細書のいくつかの部分では、情報操作のアルゴリズム及びシンボル表現に関して、本発明の実施形態を説明する。これらアルゴリズムの記述及び表現は、データ処理の当業者によって一般に使用され、彼らの業務内容を他の当業者に効果的に伝達する。これらの操作は、機能上、計算上、論理上説明される一方で、コンピュータプログラム又は同等の電気回路、マイクロコードなどによって実行されると理解される。更に、一般性を失うことなく、これら操作の配列をモジュールと称することは、時には便利であることも証明済みである。説明された操作とその関連モジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらのどんな組み合わせでも具現化されてよい。
【0037】
本明細書に記載される、あるステップ、操作、又は工程は、1つ以上のハードウェア又はソフトウェアモジュール単体で又は他のデバイスとの組み合わせで、実施又は実行されてもよい。一実施形態では、ソフトウェアモジュールは、コンピュータプログラムコードを含む、コンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品と共に実装され、本明細書に記載のステップ、操作、又は工程のいずれか又はすべてを実施するためのコンピュータプロセッサによって実行されることができる。
【0038】
本発明の実施形態は、また、本明細書に記載の操作を実施するための装置にも関してもよい。この装置は、必要とされる目的のために特別に構築されてもよく、且つ/又はコンピュータに保存されるコンピュータプログラムによって選択的に作動又は再構成される汎用コンピューティングデバイスを備えてもよい。このようなコンピュータプログラムは、非一時的で有形の可読記録保存媒体、又はコンピュータシステムバスに接続可能で、電子命令の保存に適したいかなる種類の媒体に保存してもよい。更に、この仕様書で参照されるいかなるコンピューティングシステムも、単一のプロセッサを含んでもよいし、又は計算能力向上を目的とした複数のプロセッサ設計を採用するアーキテクチャであってもよい。
【0039】
本発明の実施形態はまた、本明細書に記載のコンピューティングプロセスによって生産される製品にも関し得る。このような製品は、コンピューティングプロセスによって得られる情報を含み、この情報は、非一時的で有形のコンピュータ可読媒体に保存され、本明細書に記載のコンピュータプログラム製品又は他のデータの組み合わせのいかなる実施形態も含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、OBU構成要素の例を示す。101:通信モジュール:RSUとOBU間でデータを転送することができる。102:データ収集モジュール:車両の動的及び静的状態であり、且つ人が生成したデータを収集することができる。 103:車両制御モジュール:RSUからの制御コマンドを実行することができる。車両の制御システムが損傷した場合に、制御を引き継ぎ、車両を安全に停止させることができる。 104:車両及び人のデータ。 105:RSUのデータ。
図2図2は、IRIS感知フレームワークの例を示す。201:車両はその感知範囲内で収集されるデータをRSUsに送信する。 202:RSUsは、車線上の車両データに基づいて車線交通情報を収集し、RSUsは、収集された交通情報をその範囲内で車両に共有/ブロードキャストする。 203:RSUは、そのカバレッジ範囲内で、車両の報告から道路インシデント情報を収集する。 204:インシデントセグメントのRSUは、そのカバレッジ範囲内で、インシデント情報を車両に送信する。 205:RSUsは、その範囲内で、収集された車線情報をセグメントTCUsに共有/ブロードキャストする。 206:RSUsは、気象情報、道路情報、インシデント情報をセグメントTCUsから収集する。 207/208:異なるセグメントのRSUは、情報を相互に共有する。 209:RSUsは、インシデント情報をセグメントTCUsに送信する。 210/211:様々なセグメントTCUsは、情報を相互に共有する。 212:RSUsとCAVHクラウド間の情報共有。 213:セグメントTCUsとCAVHクラウド間の情報共有。
図3図3は、IRIS予測フレームワークの例を示す。301:車両センサ、路側センサ、クラウドを備えるデータソース。 302:データフュージョンモジュール。 303:学習、統計的、経験的アルゴリズムに基づく、予測モジュール。 304:微視的、メゾスコピック、巨視的レベルでのデータ出力。
図4図4は、計画及び意思決定機能の例を示す。 401:3つのレベルの計画のためのローデータ及び処理データ。 402: 巨視的レベル、メゾスコピックレベル、微視的レベルの計画のための計画モジュール。 403:車両制御命令のための意思決定モジュール。 404:巨視的レベルの計画。 405:メゾスコピックレベルの計画。 406:微視的レベルの計画。 407:巨視的レベル計画のためのデータ入力: 巨視的レベル計画のためのローデータ及び処理データ。 408:メゾスコピックレベル計画のためのデータ入力:メゾスコピックレベル計画のためのローデータ及び処理データ。 409:微視的レベル計画のためのデータ入力:微視的レベル計画のためのローデータ及び処理データ。
図5図5は、車両制御フロー構成要素の例を示す。 501:計画及び予測モジュールは、情報を制御方法計算モジュールへ送信する。502:データフュージョンモジュールは、様々な感知デバイスによる計算結果を受信する。 503:RSUsの通信モジュールに送信される、統合データ。 504:RSUsはOBUsに制御コマンドを送信する。
図6図6は、縦方向制御のフローチャートの例を示す。
図7図7は、横方向制御のフローチャートの例を示す。
図8図8は、フェイルセーフ制御のフローチャートの例を示す。
図9図9は、RSU物理的構成要素の例を示す。901通信モジュール。902感知モジュール。903電源ユニット。904インターフェースモジュール:データ処理モジュールと通信モジュール間で通信するモジュール。905データ処理モジュール:データ処理を行うモジュール。909: データ処理モジュールへの通信モジュールの物理的接続。910: データ処理モジュールへの感知モジュールの物理的接続。911: インターフェースモジュールへのデータ処理モジュールの物理的接続。912: 通信モジュールへのインターフェースモジュールの物理的接続。
図10図10は、RSU内部データフローの例を示す。1001 通信モジュール。1002 感知モジュール。1004 インターフェースモジュール: データ処理モジュールと通信モジュール間で通信するモジュール。1005 データ処理モジュール。1006 TCU。1007 クラウド。1008 OBU。1013: 通信モジュールからデータ処理モジュールへのデータフロー。1014 データ処理モジュールからインターフェースモジュールへのデータフロー。1015: インターフェースモジュールから通信モジュールへのデータフロー。1016: 感知モジュールからデータ処理モジュールへのデータフロー。
図11図11は、TCC/TCUネットワークストラクチャの例を示す。1101:巨視的TCCによってリージョナルTCCに提供される、制御対象及びシステム情報全体。1102:リージョナルTCCによって巨視的TCCに提供される、地方のシステム及び交通情報。1103:リージョナルTCCによってコリドーTCCに提供される、制御対象及び地方情報。1104:コリドーTCCによってリージョナルTCCに提供される、コリドーシステム及び交通情報。1105:コリドーTCCによってセグメントTCUに提供される、制御対象及びコリドーシステム情報。1106:セグメントTCUによってコリドーTCCに提供される、セグメントシステム及び交通情報。1107: セグメントTCUによってポイントTCUに提供される、制御対象及びセグメントシステム情報。1108:ポイントTCUによってコリドーTCUに提供される、ポイントシステム及び交通情報。1109:ポイントTCUによってRSUに提供される、制御対象及び地域交通情報。1110: RSUによってポイントTCUに提供される、RSU状態及び交通情報。1111:RSUから車両へのカスタマイズされた交通情報及び制御命令。1112:車両によってRSUに提供される情報。1113:クラウドによってRSU/TCC-TCUネットワークに提供されるサービス。
図12図12は、クラウドシステムのアーキテクチャの例を示す。
図13図13は、IRISコンピュテーションフローチャートの例を示す。1301:RSUから収集されるデータであり、イメージデータ、ビデオデータ、レーダーデータ、オンボードユニットデータを含むが、これらに限定されるものではない。1302:様々なデータ処理のために計算リソースを割り当てる、データアロケーションモジュール。1303:実データ処理のための計算リソースモジュール。1304:主にラージパラレルデータのためのGPU(グラフィックプロセッシングユニット)。1305:主に高度制御データのためのCPU(中央処理装置)。1306:IRIS予測機能のための予測モジュール。1307:IRIS計画機能のための計画モジュール。1308:IRIS意思決定機能のための意思決定。1309:計算リソース割り当てにより処理するためのデータ。1310:予測モジュール、計算モジュール、意思決定モジュールのための処理データ。1311:予測モジュールから計画モジュールまでの結果。1312 計画モジュールから意思決定モジュールまでの結果。
図14図14は、交通及び車線管理フローチャートの例を示す。1401 RSUとOBUによって収集される、車線管理関連データ。1402制御対象及び上位レベルのIRIS TCU/TCCネットワークからの交通情報。1403 車線管理及び制御命令。
図15図15は、悪天候構成要素における車両制御の例を示す。1501:車両状態、位置、センサデータ。1502:気象及び舗装状態の包括的データと車両制御命令。1503: TCU/TCCネットワークによって得られる、広域気象及び交通情報。
図16図16は、IRISシステムセキュリティ設計の例を示す。1601:ネットワークファイアウォール。1602:インターネット及び外部サービス。1603:データ保存及び処理など、データサービスのためのデータセンター。1604:ローカルサーバ。1605: データ送信フロー。
図17図17は、IRISシステムバックアップ及びリカバリ構成要素の例を示す。1701:データサービス及び他のサービスのためのクラウド。1702:イントラネット。1703:バックアップのためのローカルストレージ。1704:あらゆるIRISデバイス、すなわち、RSU、TCU又はTCC。
図18図18は、システム障害管理構成要素の例を示す。
図19図19は、RSU配備例の断面図を示す。
図20図20は、RSU配備例の上面図を示す。
図21図21は、高速道路セグメントにおけるRSU車線管理の例を示す。
図22図22は、一般的な都市交差点におけるRSU車線管理の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
この技術の実施例を以下に説明する。これらは例示的な実施形態であり、本発明はこれら特定の実施例に限定されるものではない。
【0042】
図1は、通信モジュール101、データ収集モジュール102、車両制御モジュール103を含む、OBUの実施例を示す。データ収集モジュール102は、車両及び人に関連するデータ104を収集し、通信モジュール101を介してRSUに送信する。また、OBUは、通信モジュール101を介して、RSU105のデータを受信することができる。RSU105のデータに基づいて、車両制御モジュール103は車両制御を助ける。
【0043】
図2は、車線管理感知システム及びそのデータフローのフレームワークの実施例を示す。
【0044】
RSUは、車両と道路間で情報を交換し、TCUsと通信し、この情報は、気象情報、道路状況情報、車線交通情報、車両情報、インシデント情報を含む。
【0045】
図3は、車線管理感知システムとそのデータフローの基本予測プロセスのワークフローの実施例を示す。いくつかの実施形態では、車両センサ、路側センサ、クラウドから収集される融合マルチソースデータは、学習モデル、統計モデル、経験モデルを含むがこれらに限定されるものではないモデルを介して処理される。その後、学習モデル、統計モデル、経験モデルを含む新しいモデルを用いて、微視的、
メゾスコピック、巨視的レベルを含む様々なレベルで予測が行われる。
【0046】
図4は、IRISにおける計画及び意思決定プロセスの実施例を示す。データ401は、3つの計画モジュール407、408、409に従って、計画モジュール402に送り込まれる。この3つの計画サブモジュールは、それら独自の計画タスクのために、対応するデータを検索し、処理する。巨視的レベル404では、ルート計画及びガイダンスの最適化が実施される。メゾスコピックレベル405では、特殊イベント、工事区域、減速ゾーン、インシデント、バッファスペース、異常気象が、取り扱われる。微視的レベル406では、縦方向制御と横方向制御が、内部アルゴリズムに基づいて生成される。計算及び最適化の後、この3つのレベルからの計画の出力すべてが生成され、ステアリング、スロットル制御、ブレーキを含む更なる処理をするために、意思決定モジュール403に送信される。
【0047】
図5は、インフラストラクチャ自動化ベースの制御システムのデータフローの実施例を示す。この制御システムは、すべての感知検知器による結果を計算し、データ融合を実施し、RSUsと車両間で情報を交換する。この制御システムは、a)制御方法計算モジュール501、b)データフュージョンモジュール502、c)通信モジュール(RSU)503、d)通信モジュール(OBU)504を備える。
【0048】
図6は、車両の縦方向制御のプロセスの実施例を示す。図に示すように、車両はRSUsによって監視される。関連する制御の閾値(例えば、最小車間距離、最高速度など)に到達した場合は、必要な制御アルゴリズムがトリガーされる。その後、車両は新たな制御命令に従い、走行する。命令が確認されない場合は、新たな命令が車両に送信される。
【0049】
図7は、車両の横方向制御のプロセスの実施例を示す。図に示すように、車両はRSUsによって監視される。関連する制御閾値(例えば、車線維持、車線変更など)に到達した場合、必要な制御アルゴリズムがトリガーされる。その後、車両はこの新たな制御命令に従い、走行する。命令が確認されない場合は、新たな命令が車両に送信される。
【0050】
図8は、車両フェイルセーフ制御のプロセスの実施例を示す。図に示すように、車両はRSUsによって監視される。エラーが発生した場合、システムはドライバーに警告するために警告メッセージを送信し、車両を制御する。ドライバーが応答しない、又はドライバーが決断するための応答時間が適切でない場合、システムは制御閾値を車両に送信する。関連の制御閾値(例えば、停止する、安全機器にヒットするなど)に到達した場合には、必要な制御アルゴリズムがトリガーされる。その後、車両は新たな制御命令に従って走行する。命令が確認されない場合は、新たな命令が車両に送信される。
【0051】
図9は、通信モジュール、感知モジュール、電源ユニット、インターフェースモジュール、データ処理モジュールを備える、一般的なRSUの物理的構成要素の実施例を示す。RSUは、様々なモジュール構成のうちいずれであってもよい。例えば、感知モジュールの場合、低コストのRSUは、車両追跡のための車両ID認識ユニットのみを含んでもよいが、一方で一般的なRSUは、LiDAR、カメラ、マイクロ波レーダーなど、様々なセンサを含む。
【0052】
図10は、RSU内の内部データフローの実施例を示す。RSUは、車両OBUs、上位レベルのTCU、クラウドとデータを交換する。データ処理モジュールは、2つのプロセッサである、外部オブジェクト計算モジュール(EOCM)とAI処理ユニットを含む。EOCMは、感知モジュールからの入力に基づき交通オブジェクトを検知するためのものであり、AI処理ユニットは、意思決定過程のほうにより重点を置く。
【0053】
図11は、TCC/TCUネットワークのストラクチャの実施例を示す。巨視的TCCは、外部TOCと協働してもよいし、又はしなくてもよいが、そのカバレッジ領域において、一定数のリージョナルTCCsを管理する。同様に、リージョナルTCCは一定数のコリドーTCCsを管理し、コリドーTCCは一定数のセグメントTCUsを管理し、セグメントTCUは一定数のポイントTCUsを管理し、ポイントTCUは一定数のRSUsを管理する。RSUはカスタマイズされた交通情報及び制御命令を車両に送信し、車両によって提供される情報を受信する。このネットワークは、クラウドにより提供されるサービスによってサポートされる。
【0054】
図12は、クラウドシステムの実施例が、通信レイヤ(1202)を介してRSU、TCC/TCU (1201)、TOCのセンサと通信する方法を示す。クラウドシステムは、クラウドインフラストラクチャ(1204)、プラットフォーム(1205)、アプリケーションサービス(1206)を含む。このアプリケーションサービスもまた、アプリケーション(1203)をサポートする。
【0055】
図13は、イメージデータ、ビデオデータ、車両ステータスデータなど、感知モジュール1301から収集されるデータの実施例を示す。データはデータアロケーションモジュール1302によって、ラージパラレルデータと高度制御データの2つのグループに分けられる。データアロケーションモジュール1302は、計算リソース1303である画像処理装置(GPUs)1304及び中央処理装置(CPUs)1305を用いて、データ1309を割り当てる方法を決定する。処理されたデータ1310は、予測モジュール1306、計画モジュール1307、意思決定モジュール1308に送信される。予測モジュールは、結果1311を計画モジュールに提供し、計画モジュールは、結果1312を意思決定モジュールに提供する。
【0056】
図14は、OBUs及びRSUsから収集されるデータの実施例が、上位レベルのIRIS TCC/TCCネットワークからの制御対象及び交通情報1402と共に、TCUに提供される方法を示す。TCUの車線管理モジュールは、車両制御モジュール及び車線制御モジュールのために、車線管理及び車両制御命令1403を生成する。
【0057】
図15は、悪天候における車両制御のデータフローの実施例を示す。以下の表1は、悪天候のシナリオを測定するためのアプローチを示す。
【表1】
「*」の数は、低下の度合いを意味する。
【0058】
図16は、ネットワークセキュリティ、物理的機器セキュリティを含む、IRISセキュリティ対策の実施例を示す。ネットワークセキュリティは、ファイアウォール1601によって実施され、様々なレベルで定期的にシステムンスキャンを完了する。これらのファイアウォールは、システムとインターネット1601間、又はデータセンター1603とローカルサーバ1604間のいずれかにおける、データ送信1605を保護する。物理的機器セキュリティについては、ハードウェアが安全にインストールされ、識別トラッカーによって固定され、場合によっては分離される。
【0059】
図17では、定期的に、IRISシステム構成要素1704は、ファイアウォール1601を介して、同一のイントラネット1702のローカルストレージ1703にデータをバックアップする。また、いくつかの実施形態では、ファイアウォール1601を介して、イントラネット1702に論理的に位置するクラウド1701に、バックアップコピーのアップロードも行う。
【0060】
図18は、IRISシステムのシステム障害の定期点検の実施例を示す。障害が発生した場合、システムフェイルハンドオーバー機構が作動する。まず、障害が検知され、故障したノードが認識される。故障したノードの機能はシャドーシステムに引き渡され、異常がなければ、成功フィードバックが上位レベルのシステムに返信される。その一方で、故障したシステム/サブシステムは再開され、且つ/又は直近のバックアップから復旧される。成功した場合、フィードバックは上位レベルのシステムに報告される。失敗がアドレスされた場合、この機能は元のシステムに移動させられる。
【0061】
現行技術の実施形態において用いられる、ハードウェア及びパラメータの例であり、以下を含むがこれらに限定されるものではない。
OBU:
a) 通信モジュール技術仕様
・規格準拠:IEEE 802.11p-2010
・帯域幅:10 MHz
・データレート:10 Mbps
・アンテナダイバーシティCDD送信ダイバーシティ
・環境動作範囲:-40℃~+55℃
・周波数帯:5 GHz
・ドップラースプレッド:800 km/h
・遅延スプレッド:1500ns
・電源:12/24V
b) データ収集モジュールハードウェア技術仕様
・構成、トレース、送信、フィルタ、ログなどの機能のための、直感的PCユーザーインタフェース
・高速データ転送
c) ソフトウェア技術仕様
・タコグラフドライバーアラート及びリモート分析
・リアルタイムCAN BUS統計
・CO2排出量報告
d) 車両制御モジュール技術仕様
・低電力消費
・信頼性の高い、縦方向及び横方向車両制御
RSU設計
a) 3つの通信チャネルを含む通信モジュール:
o DSRC/4G/5Gを含む車両との通信(例えば、コーダワイヤレス社のMK5V2X)
o 有線/無線通信を含む、ポイントTCUsとの通信(例えば、キャブレシス社の光ファイバー)
o少なくとも20Mの合計帯域を有する有線/無線通信を含む、クラウドとの通信
b) 2つのプロセッサを含むデータ処理モジュール:
・外部オブジェクト計算モジュール(EOCM)
o 感知モジュールからのデータを使用したプロセスオブジェクト検知と、他の必要な通常計算(例えば、低電力完全カスタムARM/X86ベースのプロセッサ)
・AI処理ユニット
o 機械学習
o 意思決定/計画及び予測処理
c) インターフェースモジュール:
・FPGAベースのインターフェースユニット
AIプロセッサと外部オブジェクト計算モジュールプロセッサ間でブリッジのように作動し、通信モジュールに命令を送信する、FPGAプロセッサ
RSU配備
a. 配備位置
RSU配備は、機能の要件及び道路の種類に基づく。RSUは、車道上の車両を感知、通信、制御し、自動化を提供するために使用される。(ループ検出器のような)LiDAR及び他のセンサは、異なる特殊な場所を必要とするため、これらのうちいくつかは、RSUのコアプロセッサとは別に設置され得ることもある。
RSU位置配備タイプ2例:
i. 固定位置配備。このタイプのRSUの位置は固定され、固定された交通需要を有する通常の車道にサービスを提供するために、日常的に使用される。
ii. 可動配備。可動RSUは移動することができ、新たな場所及び状況において、迅速に定まることができ、確率的及び不安定な需要、特殊イベント、衝突、その他に役立つために使用される。イベントが発生した場合、それらの可動RSUは、その位置に移動し、その機能を実行することができる。
b. カバレッジの方法
RSUsは地下で接続(例えば有線で)されてもよい。RSUsは、適切に機能するように、下向きの状態でポールに取り付けられる。ポールの羽根はT字形である。CAVH機能を必要とする車道の車線は、RSUの感知及び通信デバイスによってカバーされる。機能と性能を確保するために、RSUsのカバレッジ間には重複部分がある。
c. 配備密度
配備の密度は、RSUのタイプと要件次第である。通例、2つのRSUの最小距離は、最小カバー範囲を有するRSUセンサによって決まる。
d. 死角対応
車両同士が互いに妨害することにより、感知できない死角が生じる場合がある。これはよくある問題であり、車間距離が接近している場合は特に深刻である。この解決策は、インフラストラクチャに配備されたRSUsと車両に配備されたOBUs双方からの異なる感知技術のコラボレーションを利用することである。
このタイプの配備の目的は、ある特殊な状況下で、交通状況及び制御性能を向上させることである。可動RSUは、エージェントが配備地点に移動させることができる。大抵の場合は、特殊なRSUsを一時的に使用するため、取り付け用のポールは必ずしも入手可能ではない。従って、それらのRSUは一時的なフレーム、道路沿いの建物、又は位置が適切な高架交差路にでさえ、設置されてもよい。
【0062】
あるRSU構成の実施例を図19~22に示す。図19は、RSU配備の実施例の断面を示す。図20は、RSU配備の実施例の上面を示す。この道路セグメントでは、感知は、901 RSU A: オブジェクト検知のために最も一般的に使用されるセンサであるカメラグループと、902 RSU B:対象物を3D表示し、より高い精度を提供するLiDARグループという2つのタイプによってカバーされる。カメラセンサグループはLiDARより低い範囲を採用し、例えばこの特定の場合、150 m未満であるため、カメラグループには沿道に150 mの間隔をあける。他のタイプのRSUsは、密度についての要件がより少ない(例えば、LiDAR又は超音波センサのようなもののいくつかは、より大きい間隔を必要とすることもある)。
【0063】
図21は、高速道路セグメントのためのRSU車線管理構成の実施例を示す。RSUの感知及び通信は、道路セグメントの各車線をカバーし、車線管理機能例(図では赤矢印で示す)を実行する。車線管理機能例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない。
1)一つの車線から別の車線への車線変更
2)オンランプからの合流操作
3)幹線道路からオフランプへの分流操作
4)安全確保のための織込みゾーン管理
5)可逆車線管理
【0064】
図22は、一般的な都市交差点のための車線管理構成の実施例を示す。RSUの感知及び通信は、交差点の各コーナーをカバーし、車線管理機能例(図では赤で示す)を実行する。車線管理機能例は、以下を含むが、これらに限定されるものではない。
1)一つの車線から別の車線への車線変更
2)移動管理(左折専用車線)
3)このレッグでの車線閉鎖管理
4)自転車専用車線管理

図1
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図22