(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】設備稼働支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20220414BHJP
G01M 13/04 20190101ALI20220414BHJP
【FI】
G05B23/02 302S
G01M13/04
(21)【出願番号】P 2021034144
(22)【出願日】2021-03-04
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】517091447
【氏名又は名称】株式会社ハイテックシステム
(73)【特許権者】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134706
【氏名又は名称】中山 俊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151161
【氏名又は名称】熊野 彩
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃昌
(72)【発明者】
【氏名】金田 龍貴
(72)【発明者】
【氏名】高峰 尚
(72)【発明者】
【氏名】宮森 直樹
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-109804(JP,A)
【文献】特開2004-187443(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105717888(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑液により回転軸の軸受が液浴状態とされている回転体を備える設備の前記潤滑液の液面高さと温度と前記回転体の回転速度と時刻とを有する液高データが入力された場合に、前記液高データに示される前記回転速度を予め設定された回転速度基準値と比較し、前記回転速度基準値未満の回転速度を示す前記液高データを、特定データとする回転速度判定部と、
過去に特定データとされた複数の履歴特定データを記憶する履歴データ記憶部と、
予め設定された第1期間の複数の前記特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データから構成される第1グループに示される複数の前記液面高さの平均値と、前記複数の履歴特定データである履歴特定データ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、前記第1グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第1の評価値を算出する第1評価値算出部と、
前記第1グループよりも後に、前記第1期間よりも長い第2期間における複数の前記特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第2グループに示される複数の前記液面高さの各々と、前記履歴特定データ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、前記第2グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第2の評価値を算出する第2評価値算出部と、
前記第2グループよりも後に、前記第2期間よりも長い第3期間における複数の前記特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第3グループに示される複数の前記液面高さの各々と、前記履歴特定データ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第3傾向値と、前記履歴特定データに示される複数の前記温度とに基づいて、前記第3グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する第3評価値算出部と、
前記第1の評価値と前記第2の評価値と前記第3の評価値が入力される毎に、これらの入力された前記第1の評価値と前記第2の評価値と前記第3の評価値との各々と、前記履歴特定データに示される複数の前記液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める相違度算出部と、
前記相違度を表す画像を生成する画像生成部と
を備える設備稼働支援装置。
【請求項2】
前記回転速度判定部は、前記回転速度基準値未満の回転速度を示す前記液高データを、前記設備の停止フェーズに属する停止フェーズデータとして特定し、
前記履歴データ記憶部は、前記設備の前回の運転よりも過去に停止フェーズデータとして特定された履歴停止フェーズデータを前記履歴特定データとして記憶し、
前記第1評価値算出部は、前記第1期間の複数の前記停止フェーズデータが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータから構成される第1グループに示される複数の前記液面高さの平均値と、前記履歴停止フェーズデータのうち直近の停止フェーズにおいて入力された直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、前記第1グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第1の評価値を算出し、
前記第2評価値算出部は、前記第1グループよりも後に、前記第2期間における複数の前記停止フェーズデータが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータを含む第2グループに示される複数の前記液面高さの各々と、前記直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、前記第2グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第2の評価値を算出し、
前記第3評価値算出部は、前記第2グループよりも後に、前記第3期間における複数の前記停止フェーズデータが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータを含む第3グループに示される複数の前記液面高さの各々と、前記直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第3傾向値と、前記直近履歴停止フェーズデータに示される複数の前記温度とに基づいて、前記第3グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する請求項1に記載の設備稼働支援装置。
【請求項3】
前記履歴データ記憶部は、過去の複数回の前記停止フェーズの各々において入力された履歴停止フェーズデータを記憶する請求項2に記載の設備稼働支援装置。
【請求項4】
潤滑液により回転軸の軸受が液浴状態とされている回転体を備える設備の前記潤滑液の液面高さと温度と前記回転体の回転速度と時刻とを有する液高データが入力された場合に、前記液高データに示される前記回転速度を予め設定された回転速度基準値と比較し、前記回転速度基準値未満の回転速度を示す前記液高データを、特定データとする回転速度判定ステップと、
過去に特定データとされた複数の履歴特定データを記憶する履歴データ記憶ステップと、
予め設定された第1期間の複数の前記特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データから構成される第1グループに示される複数の前記液面高さの平均値と、前記複数の履歴特定データである履歴特定データ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、前記第1グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第1の評価値を算出する第1評価値算出ステップと、
前記第1グループよりも後に、前記第1期間よりも長い第2期間における複数の前記特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第2グループに示される複数の前記液面高さの各々と、前記履歴特定データ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、前記第2グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第2の評価値を算出する第2評価値算出ステップと、
前記第2グループよりも後に、前記第2期間よりも長い第3期間における複数の前記特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第3グループに示される複数の前記液面高さの各々と、前記履歴特定データ群に示される複数の前記液面高さの傾向を示す第3傾向値と、前記履歴特定データに示される複数の前記温度とに基づいて、前記第3グループに示される複数の前記液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する第3評価値算出ステップと、
前記第1の評価値と前記第2の評価値と前記第3の評価値が入力される毎に、これらの入力された前記第1の評価値と前記第2の評価値と前記第3の評価値との各々と、前記履歴特定データに示される複数の前記液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める相違度算出ステップと、
前記相違度を表す画像を生成する画像生成ステップと
をコンピュータに実行させる設備稼働支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備稼働支援装置及び設備稼働支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電設備などの各種発電設備や石油精製設備などでは、設備の各部に備えられる検出機器からの検出信号に基づいて、異常の検出を図ることが行われている。例えば、水力発電設備の水車や発電機等には、回転体の回転軸を支持する軸受が潤滑油や水などで液浴状態になっているものが多くあり、潤滑液の液面の高さや潤滑液の温度を検出している。
【0003】
ところで液面の高さを検出する手法としては、従来より多くの提案がされており、例えば、特許文献1は、液面レベルを測定する液体に対して浮力を有する部材で形成されたフロートの、液面レベルに応じた移動にともなって回転する磁石の磁束密度を検出して、これを電気信号に変換する磁電変換素子を有し、この電気信号に基づいて液面レベルを測定する液面レベルセンサを開示している。液面の高さを検出するこのような液面高さ検出器は、精度よく液面の高さを検出することができるので有効である。
【0004】
潤滑液の液面の高さは、設備の稼働状態や、水車などの回転体の回転状態の他に、設備によっても大きく異なる。そのため、対象とする設備の稼働に詳しい者が、液面の高さ及びその推移から、異常であるか否かを判定している場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1などに開示される液面高さ検出器は、液面高さを精度良く検出することができるが、検出された液面高さ及びその推移が設備にとっての異常であるか否かの判定には、上記のように熟練を要する。また、液面高さは、停止や運転といった設備の稼働状態毎に異なる値あるいは推移を示すことが多い。しかし、停止と運転との境界は明確ではなく、また、一の場面、例えば停止の場面の中でも液面高さの挙動は一様ではない。そのため、停止の場面についてだけみても、液面高さ及びその推移が異常であるか否かの判定をすることは熟練者にとっても容易ではない。
【0007】
そこで、本発明は、軸受が潤滑液に液浴状態にされた回転軸を有する回転体を備える設備について、停止の場面における潤滑液の液面の状況が容易に把握できるように報知する設備稼働支援装置及び設備稼働支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の設備稼働支援装置は、回転速度判定部と、履歴データ記憶部と、第1評価値算出部と、第2評価値算出部と、第3評価値算出部と、相違度算出部と、画像生成部とを備える。回転速度判定部は、潤滑液により回転軸の軸受が液浴状態とされている回転体を備える設備の潤滑液の液面高さと温度と回転体の回転速度と時刻とを有する液高データが入力された場合に、液高データに示される回転速度を予め設定された回転速度基準値と比較し、回転速度基準値未満の回転速度を示す液高データを、特定データとする。履歴データ記憶部は、過去に特定データとされた複数の履歴特定データを記憶する。第1評価値算出部は、予め設定された第1期間の複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データから構成される第1グループに示される複数の液面高さの平均値と、複数の履歴特定データである履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、第1グループに示される複数の液面高さの各々に対する第1の評価値を算出する。第2評価値算出部は、第1グループよりも後に、第1期間よりも長い第2期間における複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第2グループに示される複数の液面高さの各々と、履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、第2グループに示される複数の液面高さの各々に対する第2の評価値を算出する。第3評価値算出部は、第2グループよりも後に、第2期間よりも長い第3期間における複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第3グループに示される複数の液面高さの各々と、履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第3傾向値と、履歴特定データに示される複数の温度とに基づいて、第3グループに示される複数の液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する。相違度算出部は、第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値が入力される毎に、これらの入力された第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値との各々と、履歴特定データに示される複数の液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める。画像生成部は、相違度を表す画像を生成する。
【0009】
回転速度判定部は、回転速度基準値未満の回転速度を示す液高データを、設備の停止フェーズに属する停止フェーズデータとして特定し、履歴データ記憶部は、設備の前回の運転よりも過去に停止フェーズデータとして特定された履歴停止フェーズデータを履歴特定データとして記憶することが好ましい。この場合には、第1評価値算出部は、第1期間の複数の停止フェーズデータが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータから構成される第1グループに示される複数の液面高さの平均値と、履歴停止フェーズデータのうち直近の停止フェーズにおいて入力された直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、第1グループに示される複数の液面高さの各々に対する第1の評価値を算出する。第2評価値算出部は、第1グループよりも後に、第2期間における複数の停止フェーズデータが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータを含む第2グループに示される複数の液面高さの各々と、直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、第2グループに示される複数の液面高さの各々に対する第2の評価値を算出する。第3評価値算出部は、第2グループよりも後に、第3期間における複数の停止フェーズデータが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータを含む第3グループに示される複数の液面高さの各々と、直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第3傾向値と、直近履歴停止フェーズデータに示される複数の温度とに基づいて、第3グループに示される複数の液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する。
【0010】
履歴データ記憶部は、過去の複数回の停止フェーズの各々において入力された履歴停止フェーズデータを記憶することが好ましい。
【0011】
本発明の設備稼働支援プログラムは、回転速度判定ステップと、履歴データ記憶ステップと、第1評価値算出ステップと、第2評価値算出ステップと、第3評価値算出ステップと、相違度算出ステップと、画像生成ステップとをコンピュータに実行させる。回転速度判定ステップは、潤滑液により回転軸の軸受が液浴状態とされている回転体を備える設備の潤滑液の液面高さと温度と回転体の回転速度と時刻とを有する液高データが入力された場合に、液高データに示される回転速度を予め設定された回転速度基準値と比較し、回転速度基準値未満の回転速度を示す液高データを、特定データとする。履歴データ記憶ステップは、過去に特定データとされた複数の履歴特定データを記憶する。第1評価値算出ステップは、予め設定された第1期間の複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データから構成される第1グループに示される複数の液面高さの平均値と、複数の履歴特定データである履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、第1グループに示される複数の液面高さの各々に対する第1の評価値を算出する。第2評価値算出ステップは、第1グループよりも後に、第1期間よりも長い第2期間における複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第2グループに示される複数の液面高さの各々と、履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、第2グループに示される複数の液面高さの各々に対する第2の評価値を算出する。第3評価値算出ステップは、第2グループよりも後に、第2期間よりも長い第3期間における複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データを含む第3グループに示される複数の液面高さの各々と、履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第3傾向値と、履歴特定データに示される複数の温度とに基づいて、第3グループに示される複数の液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する。相違度算出ステップは、第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値が入力される毎に、これらの入力された第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値との各々と、履歴特定データに示される複数の液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める。画像生成ステップと、相違度を表す画像を生成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸受が潤滑液に液浴状態にされた回転軸を有する回転体を備える設備について、停止場面における潤滑液の液面の状況が容易に把握できるように報知される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】発電システムの状態フェーズの説明図である。
【
図9】表示部に表示される画像の説明図であり、(A)は第1期間のグラフ、(B)は第2期間のグラフ、(C)は第3期間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す発電システム10は、本発明の一実施形態である。発電システム10は、例えば発電所に設けられた発電プラント11と、発電プラント11に接続された液面状況報知アセンブリ(以下、報知アセンブリと称する)12とを備える。発電プラント11は、設備の一例である発電設備15と、発電設備15の各部を統括的に制御するコントローラ16とを備える。なお、発電プラント11と報知アセンブリ12との接続は、ネットワークなどを介して通信可能な接続であればよく、有線接続(電気的な接続)であっても無線接続であってもよい。また、ひとつのコンピュータ(図示無し)に所定のプログラムを実行させてコントローラ16と報知アセンブリ12として機能させてもよい。
【0015】
発電設備15は、この例では水力発電を行う設備となっており、水車発電機(以下、単に「発電機」と称する)18A、入口弁18B、水車18C、送電部18D等から構成されている。入口弁18Bは、たとえばダムの取水口(図示無し)と水車18Cとのそれぞれに接続し、開閉することにより、水車18Cへの水の案内と案内停止とを切り替える。
【0016】
水車18Cは、水車本体19a、回転軸19b、潤滑液収容部19c、水車軸受(以下、単に「軸受」と称する)19d等から構成されている。水車本体10aは回転体の一例であり、案内されてくる水により回転する。回転軸19bは、水車本体19aの回転中心であり、水車本体19aに固定されることで水車本体19aと一体に周方向に回転する。潤滑液収容部19cは、回転軸19bの軸受19dの潤滑液(図示無し)を収容する。軸受19dは潤滑液収容部19cにおいて潤滑液に液浴状態とされている。水車18Cに備えられる軸受としては、軸受19dの他に、スラスト軸受、上部軸受、下部軸受などがあり、また水車の型式によっては他の軸受もあり、潤滑液に液浴状態とされる軸受を備える場合のいずれであっても、報知アセンブリ12は用いることができる。軸受の潤滑液は、潤滑油の場合もあるし、水の場合もある。
【0017】
発電機18Aは、水車18Cの回転の力により発電する。送電部18Dは、発電機18Aで発生させた電気を、例えば、発電システム10が設けられている発電所(図示無し)の外部等へ送出する。
【0018】
コントローラ16は、発電設備15の各部を統括的に制御することで、発電設備15を稼働(停止も含む)させ、例えば起動や停止においては所定のシーケンスを実行させる。コントローラ16は、発電設備15から機器群の各機器の動作を示す動作信号を取得して、取得した動作信号に基づき発電設備15に対してフィードバック制御を行う場合もある。
【0019】
また、コントローラ16は、発電設備15に備えられている各種の検出機器等からの検出信号を取得し、これらのうちの一部の検出信号を、報知アセンブリ12の液面状況報知装置(以下、報知装置と称する)21に出力する。コントローラ16は検出機器等からの検出信号を、予め設定された一定の時間間隔(タイミング)で取得している(本例での時間間隔は1分)が、時間間隔は一定でなくてもよい。
【0020】
検出機器からの検出信号は、回転軸19bの軸受19dが浸漬されている水車18Cの回転速度(単位時間あたりの回転数)、潤滑液の液面高さ(以下、単に「液面高さ」と称する)、潤滑液の温度などを示す各信号である。検出信号は、発電設備15の各検出機器から、コントローラ16を介さずに、報知装置21へ直接出力してもよい。
【0021】
この例の発電システム10は、報知装置21と複数の端末22a~22cとで構成されている報知アセンブリ12を備えるが、複数の端末22a~22cは無くてもよい。すなわち、発電プラント11と報知装置21とで構成される発電システムでもよい。なお、以下の説明において端末22a~22cを区別しない場合には、端末22と記載する。
【0022】
報知装置21は、発電プラント11から入力された検出信号、この例ではコントローラ16から入力された検出信号に基づき、運転中の発電設備15における水車18Cの軸受19dにおける潤滑液の液面の状況(以下、液面状況と称する)を報知する。報知装置21は、具体的には、停止中の発電設備15における液面高さが異常である可能性、または異常であった可能性の確率を、液面状況として報知する。
【0023】
この例の報知装置21と複数の端末22a~22cの各々とは通信可能に構成されており、報知装置21はシーケンスの実行状況を端末22に送信することで、端末22により報知することもできるようになっている。報知装置21から端末22への送信は、例えば、端末22から報知装置21に対する送信指示を報知装置21が取得した場合に、その取得に応答して行う。この例の端末22は、液晶ディスプレイなどの表示部(図示無し)を備える例えばパーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)であり、PCとしては、デスクトップ型PC,モバイルPC(タブレット端末,スマートフォン等を含む)などが挙げられる。なお、報知アセンブリ12が備える端末22の数は本例の3個に限られない。
【0024】
本例では、発電設備15の稼働場面を、
図2に示すように、停止フェーズと変動フェーズと安定フェーズとの少なくとも3つのフェーズに分割(以下、フェーズ分割と称する)する。停止フェーズは、水車本体19a(
図1参照)の回転が停止中であるとみなすフェーズである。安定フェーズは、水車本体19aが回転している状態において発電設備15が発電を行い、液面高さが安定した安定状態であるとみなすフェーズである。変動フェーズは、水車本体19aが回転している状態において、液面高さの変動が過度に大きい不安定状態であるとみなすフェーズであり、安定状態とはみなさないフェーズである。発電設備15の稼働場面は、従来、例えば主機運転指令や発電機の起動信号及び停止信号に基づいてフェーズが特定される手法があったが、本例では上記のように、回転体の回転速度と液面高さの変動状態に基づいてフェーズを分割して特定する。
【0025】
発電設備15は、停止フェーズから変動フェーズを経て安定フェーズになり、水車本体19aの回転速度が低下することにより停止フェーズに戻る。なお、一旦安定フェーズに移行しても、液面高さが不安定になる場合があり、そのような場合には、安定フェーズから変動フェーズにフェーズが移行する。また、停止フェーズから安定フェーズに移行する際や、安定フェーズから停止フェーズに移行する際に、変動フェーズを介して移行する場合もある。報知装置21(
図1参照)は、設備の稼働を支援する設備稼働支援装置の一例であり、上記のフェーズのうち停止フェーズにおける液面状況を報知する停止フェーズ液面状況報知装置としての機能をもち、さらに、安定フェーズにおける液面状況を報知する安定フェーズ液面状況報知装置としての機能ももってもよい。
【0026】
図3に示すように、水車18Cは、回転速度計24aと、液面高さ検出器24bと、液温検出器24cとを有する。回転速度計24aは、水車本体19a(
図1参照)の回転速度を検出し、タイムスタンプにより送信日時を付加して、検出した回転速度を信号としてコントローラ16に出力する。液面高さ検出器24bは、液面高さを検出し、回転速度計24aと同様にタイムスタンプにより送信日時を付加して、検出した液面高さを信号としてコントローラ16に出力する。液温検出器24cは、潤滑液の温度(以下、液温と称する)を検出する。液温検出器24cも回転速度計24aと同様にタイムスタンプにより送信日時を付加して、検出した液温を信号としてコントローラ16に出力する。このように、回転速度と液面高さと液温との各信号には時刻の情報が含まれている。コントローラ16は、入力された回転速度と液面高さと液温とを関連付け、タイムスタンプにより時刻(日時を含む)を付加し、これらを含む液高データとし、信号として報知装置21に出力する。このように、液高データは、回転速度と液面高さと液温と時刻とが関連付けられたデータである。なお、液高データにおいては、回転速度、液面高さ、液温との一組に対してひとつの時刻が情報として関連付けられる。コントローラ16は、本例では、予め設定された一定の時間間隔(タイミング)でタイムスタンプによる時刻の付加を行って、液高データを生成し、報知装置21へ出力しており、時間間隔を1分としている。しかし、時間間隔は1分に限られず、また、一定でなくてもよい。
【0027】
コントローラ16を介さずに、回転速度計24aと液面高さ検出器24bと液温検出器24cとのそれぞれから報知装置21にこれらを出力する場合には、回転速度計24aと液面高さ検出器24bと液温検出器24cとがそれぞれタイムスタンプにより送信日時を付加して、回転速度、液面高さ、液温のそれぞれを時刻と関連付けて出力するとよい。この場合には、報知装置21が、これらの入力に応答して、タイムスタンプにより時刻を付加して、液高データを生成すればよい。
【0028】
信号化された回転速度と液面高さと液温とが入力される報知装置21は、移動標準偏差算出部(以下、単に「偏差算出部」と称する)31と、回転速度判定部32と、移動標準偏差判定部(以下、単に「偏差判定部」と称する)33と、第1停止評価値算出部34A~第3停止評価値算出部34Cと、決定部35と、相違度算出部36と、履歴データ記憶部37と、画像生成部38とを備える。報知装置21は、表示部41を備えてもよく、本例でもそのようにしている。報知装置21は、本例のように、さらに、フィルタ42と、現行データ記憶部43と、直前状態判定部46と、先行フェーズ判定部47と、経過時間判定部48と、履歴データ処理部52とを備えることが好ましい。
【0029】
本例の報知装置21は、安定フェーズにおける水車18Cの軸受における潤滑液の液面状況を報知する安定フェーズ液面状況報知ユニット56を備えるが、必ずしも備える必要はない。安定フェーズ液面状況報知ユニット56は、具体的には、安定フェーズ、すなわち運転状態の発電設備15での液面が安定状態であるとみなされる場面において液面高さが異常である可能性、または異常であった可能性の確率を、液面状況として報知する。
【0030】
偏差算出部31は、コントローラ16に接続し、コントローラ16から出力された液高データと液温とが入力される。偏差算出部31は、コントローラ16に直接接続してもよいし、入力された液高データのうち所定の条件を満たす液高データのみを出力するフィルタ42を介して、コントローラ16に接続してもよい。本例ではフィルタ42を介して接続している。
【0031】
フィルタ42は、コントローラ16に、直接接続する第1フィルタ部としての規格データ抽出部57と、規格データ抽出部57と偏差算出部31とのそれぞれに直接接続する第2フィルタ部としての時刻チェッカ58とを有する。規格データ抽出部57は、入力された液高データと、予め定められた条件としての規格とを比較し、液高データが規格を満たすか否かを判定し、肯定(規格を満たす)判定をした液高データのみを時刻チェッカ58に出力する。規格データ抽出部は、否定(規格を満たさない)判定をした液高データを破棄する。本例での規格は、無効と予め決定した無効値と、液面高さの予め設定した上限及び下限としているがこれに限定されず、例えば、液温の上限及び下限、回転速度の上限及び下限などでもよい。
【0032】
時刻チェッカ58は、入力された液高データの時刻が正常であるか否かを判定する。時刻チェッカ58は肯定(時刻が正常である)判定をした場合には、肯定判定した時刻を含む液高データを、偏差算出部31に出力し、否定(時刻が正常ではない)判定をした場合にはその液高データを破棄する。時刻が正常であるとは、直前の液高データに示される時刻から今回入力された液高データに示される時刻までの時間が予め設定した規定時間であることとしている。直前の液高データとは、前回入力された液高データである。例えば、本例の場合には前述のように1分という一定の時間間隔で時刻を付加して液高データを生成しているので、上記の規定時間を1分として判定を行う。時刻チェッカ58には上記の規定時間と直前の液高データに示される時刻が記憶されていることで 上記の判定を行っているが、判定の手法は特に限定されない。なお、フィルタ42は、規格データ抽出部57と時刻チェッカ58とのいずれか一方のみを有するものでもよいし、これらの代わりに他のフィルタ部を有するものでもよい。
【0033】
偏差算出部31は、液高データが入力された場合に、入力に応答して、この入力された液高データ(以下、最新液高データと称する)を含む直近の液高データに示される所定個数の液面高さの標準偏差を算出する。例えば、順次入力される液高データをPN(N=1,2,3,・・・i-2,i-1,i)とし、最新液高データをPiとし、上記の所定個数を20個とするときに、これら20個の液面高さの標準偏差は、最新液高データPiとこの最新液高データPiに先行した液高データPi-1,Pi-2,・・・,Pi-18,Pi-19とに含まれる液面高さの標準偏差である。また、次回の最新液高データが入力された場合の標準偏差は、最新液高データPi+1とこの最新液高データPi+1に先行した液高データPi,Pi-1,・・・,Pi-17,Pi-18とに含まれる液面高さの標準偏差である。このように、偏差算出部31は、最新液高データの入力に応答して標準偏差を求めるので、最新液高データが入力される毎に求めることになり、また、部分時系列データである所定個数の液高データにそれぞれ示される液面高さの標準偏差を求めるので、この標準偏差は移動標準偏差である。このように、偏差算出部31は、液面高さの標準偏差を移動標準偏差として算出する。
【0034】
最新液高データ以外の直近の液高データ、すなわち上記所定個数から最新液高データの1個を減算した個数の液高データは、現行データ記憶部43に記憶されており、偏差算出部31は現行データ記憶部43に接続する。偏差算出部31は、最新液高データの入力に応答して、現行データ記憶部43に記憶されている複数の液高データのそれぞれに含まれる時刻に基づいて、最新液高データ以外の直近の液高データを、所定個数から1個減算した個数分特定して、それぞれの液面高さを読み出す。読み出した液面高さと最新液高データの液面高さとから、移動標準偏差を算出する。
【0035】
偏差算出部31は、最新液高データを、現行データ記憶部43に液高データとして記憶し、さらに、算出した移動標準偏差を最新液高データに関連付けて記憶する。なお、現行データ記憶部43への最新液高データの記憶は、偏差算出部31以外の、例えば本例においては時刻チェッカ58が行ってもよい。偏差算出部31は、移動標準偏差を算出した最新液高データを、回転速度判定部に出力する。偏差算出部31は、算出した移動標準偏差を、回転速度判定部32への出力に加えて現行データ記憶部43に記憶し、この現行データ記憶部43を、履歴データ処理部52の学習演算部73(
図4参照)によって読み取ってもよい。また、移動標準偏差は、現行データ記憶部43から履歴データ記憶部37に複写(コピー)され、学習演算部73が履歴データ記憶部37を読み込んでもよいし、偏差算出部31から学習演算部73に出力してもよい。なお、現行データ記憶部43に対して新たな情報が記憶された場合には、記憶された新たな情報が履歴データ記憶部37に複写あるいは他の情報と関連付けるなどして記憶されるように構成してもよい。
【0036】
移動標準偏差を算出するための液面高さの個数、すなわち上記の「所定個数」は、特に限定されず、算出される移動標準偏差の確からしさ及び異常の可能性をより精緻に求めて報知することと、偏差算出部31における処理の負荷とのバランスを図って設定すればよい。本例では20個としている。
【0037】
移動標準偏差の移動幅(ずらし量)は、最新液高データと、前回入力された液高データとの時間的間隔となり、偏差算出部31の処理の負荷と、異常の可能性を精緻に求めて報知することとのバランスが図って設定することが好ましい。本例では、移動標準偏差の移動量を60秒、すなわち1分としている。
【0038】
移動標準偏差の窓は、適宜決定することができ、移動標準偏差の窓は、液高データの取得間隔や液面高さの変化率に基づいて決定することが好ましい。本例では、移動標準偏差の窓を20分としている。移動標準偏差の窓は、報知装置21に備えられるキーボードやタッチパネルディスプレイなどの入力部(図示無し)によって入力されることで設定されてもよいし、コンピュータを報知装置21として機能させるプログラムにおいて予め設定されていてもよい。
【0039】
回転速度判定部32は、発電プラント11(
図1参照)から報知装置21に送信された液高データを、停止フェーズに属する停止フェーズデータと、停止フェーズに属さない、すなわち、変動フェーズと安定フェーズとのいずれかに属する液高データとに振り分けるためのものである。報知装置21が、停止フェーズに属する停止フェーズデータについて、異常の可能性を報知する停止フェーズ液面状況報知装置として機能する場合には、回転速度判定部32は、報知装置21に送信された液高データから安定フェーズに属する安定フェーズデータと変動フェーズに属する変動フェーズデータとを取り除くデータ除去部としても機能する。
【0040】
回転速度判定部32は、最新液高データに示される回転速度を、予め設定された回転速度基準値と比較して、最新液高データに示される回転速度が回転速度基準値以上であるか否かを判定する。回転速度判定部32は、肯定(回転速度が回転速度基準値以上である)判定をした場合には、肯定判定した回転速度を示す最新液高データを、直前状態判定部46に出力する。回転速度判定部32は、否定(回転速度が回転速度基準値未満である)判定をした場合にはその最新液高データを停止フェーズ液面状況報知ユニット55に出力し、所定の処理を行う。回転速度判定部32は、また、停止フェーズデータとして特定した最新液高データを示す現行データ記憶部43内の液高データに停止フェーズデータを関連付けて記憶する。このように、停止フェーズデータは、設備の稼働状態の特定フェーズのひとつである停止フェーズに属する特定フェーズデータである。
【0041】
回転速度判定部32は前述の通り、発電プラント11からの液高データを停止フェーズデータと、変動フェーズデータ及び安定フェーズデータとに振り分けるためのものであるから、回転速度基準値以上であるか否かを判定する態様に限られない。例えば、回転速度基準値未満であるか否かを判定し、肯定判定した回転速度を示す最新液高データを停止フェーズデータとし、否定判定した回転速度を示す最新液高データを直前状態判定部46に出力してもよい。また、例えば、最新液高データの回転速度が回転速度基準値以上であるか回転速度基準値未満であるかを特定し、回転速度基準値未満と特定した回転速度を示す最新液高データを停止フェーズデータとし、回転速度基準値以上と特定した回転速度を示す最新液高データを直前状態判定部46に出力してもよい。なお、後述のように、最新液高データは、停止フェーズデータとして特定されると現行データ記憶部43に記憶され、そのため、過去に最新液高データとされた液高データのうち停止フェーズデータとして特定された液高データは、停止フェーズデータと関連付けて現行データ記憶部43に記憶されている。
【0042】
回転速度基準値は、水車本体19a(
図1参照)の大きさや、水車18Cのエネルギ変換率、発電機18Aにおける発電効率等など、異常の可能性を報知する対象の発電設備15に応じて、適宜設定される。回転速度基準値は、報知装置21に備えられるキーボードやタッチパネルディスプレイなどの入力部(図示無し)によって入力されることで設定されてもよいし、コンピュータを報知装置21として機能させるプログラムにおいて予め設定されていてもよい。
【0043】
直前状態判定部46は、回転速度判定部32で肯定判定された最新液高データが入力された場合に、この最新液高データに先行して入力された直近の液高データである先行液高データが回転速度判定部32において肯定判定されたものであるか否かを判定する。具体的には、最新液高データが入力された場合に、直前状態判定部46は、先行液高データに示される回転速度が回転速度基準値以上であったか否かを判定する。直前状態判定部46は、肯定(先行液高データの回転速度が回転速度以上である)判定した場合に、最新液高データを、先行フェーズ判定部47に出力する。否定(先行液高データの回転速度が回転速度以上ではない)判定した場合には、その最新液高データを、変動フェーズに属する変動フェーズデータとして特定する。なお、先行液高データの特定は、現行データ記憶部43に記憶されている複数の液高データの各々に含まれる時刻に基づき、最新液高データの時刻に最も時間的に近い時刻を含む液高データを先行液高データとすることで行う。
【0044】
先行フェーズ判定部47は、回転速度判定部32により肯定判定され、この例ではさらに直前状態判定部46で肯定判定された最新液高データが入力された場合に、上記の先行液高データを、現行データ記憶部43に記憶されている複数の液高データの中から特定する。特定は、直前状態判定部46の場合と同様に、現行データ記憶部43に記憶されている複数の液高データの各々に含まれる時刻に基づき、行うとよい。そして、先行フェーズ判定部47は、特定した先行液高データが安定フェーズデータとして特定されたか否かを判定する。なお、後述のように、最新液高データは、安定フェーズデータとして特定されると安定フェーズデータと関連付けて現行データ記憶部43に記憶されるので、過去に最新液高データとされた液高データのうち安定フェーズデータとして特定された液高データは、安定フェーズデータと関連付けて現行データ記憶部43に記憶されている。なお、直前状態判定部46を設けない場合には、回転速度判定部32により肯定判定された最新液高データが、回転速度判定部32から入力される。
【0045】
先行フェーズ判定部47は、肯定(先行液高データが安定フェーズデータである)判定した場合には、最新液高データを偏差判定部33に出力する。否定(先行液高データが安定フェーズデータではない)判定した場合には、最新液高データを経過時間判定部48に出力する。
【0046】
偏差判定部33は、回転速度判定部32により肯定判定され、この例ではさらに直前状態判定部46で肯定判定され、先行フェーズ判定部47で肯定判定された最新液高データが入力された場合に、偏差算出部31により算出された移動標準偏差を予め設定された閾値と比較して、閾値以下であるか否かを判定する。肯定判定、すなわち、最新液高データを部分時系列データの最後の液高データとして算出した移動標準偏差が閾値以下であると判定した場合には、その最新液高データを、安定フェーズに属する安定フェーズデータとして特定する。偏差判定部33は、安定フェーズデータとして特定した最新液高データを示す現行データ記憶部43内の液高データに安定フェーズデータを関連付けて記憶する。このように、安定フェーズデータは、設備の稼働状態の特定フェーズのひとつである安定フェーズに属するデータである。偏差判定部33は、肯定判定した場合には、その最新液高データを、安定フェーズ液面状況報知ユニット56に出力する。
【0047】
偏差判定部33は、否定判定、すなわち、最新液高データを部分時系列データの最後の液高データとして算出した移動標準偏差が閾値以下であると判定した場合には、その最新液高データを、変動フェーズに属する変動フェーズデータとして特定する。なお、直前状態判定部46と先行フェーズ判定部47とを設けない場合には、回転速度判定部32により肯定判定された最新液高データは、回転速度判定部32から入力される。偏差判定部33に加えて、この偏差判定部と同様に構成される偏差判定部(図示無し)を設けてもよく、本例においても、先行フェーズ判定部47と偏差判定部33との間に設けてある。ただしこの偏差判定部で判定に用いる閾値は、偏差判定部33で用いる閾値よりも大きい。この偏差判定部は移動標準偏差が閾値以下であると肯定判定した場合には、肯定判定した最新液高データを偏差判定部33に出力し、閾値以下ではないと否定判定した場合には、否定判定した最新液高データを、変動フェーズデータとして特定する。
【0048】
移動標準偏差の上記の閾値は、報知装置21に備えられるキーボードやタッチパネルディスプレイなどの入力部(図示無し)によって入力されることで設定されてもよいし、コンピュータを報知装置21として機能させるプログラムにおいて予め設定されていてもよい。また、閾値は、履歴データ処理部52で求めた後述の閾値TA,TBを履歴データ処理部52から入力し、これらを閾値として用いてもよい。本例では、履歴データ処理部52で求めた閾値TBを偏差判定部33に入力して、この値TBを偏差判定部33で用いる閾値としている。そして、偏差判定部33に加えて設けた図示しない偏差判定部には、履歴データ処理部52で求めた閾値TAを入力して、この値TAを閾値としている。
【0049】
経過時間判定部48は、回転速度判定部により肯定判定され、この例ではさらに、直前状態判定部46で肯定判定され、先行フェーズ判定部47で否定判定された最新液高データが入力された場合に、回転体の回転速度が上昇して回転速度基準値に達した時点から最新液高データに示される時刻までの経過時間と、移動標準偏差の窓とを比較する。具体的には、まず、上記のように先行フェーズ判定部47で否定判定された最新液高データが入力された場合に、経過時間判定部48は、最新液高データに先行して入力された直近の複数の液高データの中から、回転速度基準値以上になった最先(最も過去)の液高データに示される時刻を、回転体の回転速度が上昇して回転速度基準値に達した時点とする。そして、回転速度基準値に達した時点から最新液高データに示される時刻までの経過時間を算出し、算出した経過時間と、移動標準偏差の窓とを比較する。回転速度基準値以上になった最先の液高データの特定は、例えば、現行データ記憶部43に記憶されている複数の液高データを、個々の液高データに示される時刻が直近であるものから順次読み込むとともに、個々の読み込みにおいては回転速度も読み込む。そして、読み込んだ回転速度が回転速度基準値以上である液高データPi-m(mはi-1より小さい自然数)の次に読み込んだ液高データPi-m-1に示される回転速度が回転速度基準値未満である場合に、液高データPi-mを回転速度基準値以上になった最先の液高データとする。現行データ記憶部43から初回に読み出した液高データPi-1に示される回転速度が回転速度未満である場合には、経過時間は0(ゼロ)となる。
【0050】
経過時間判定部48は、経過時間が移動標準偏差の窓よりも短い第2所定時間以上であるか否かを判定する。肯定(経過時間が第2所定時間以上である)判定をした場合には、その最新液高データを偏差判定部33へ出力し、偏差判定部33は、前述の処理と同じ処理を行う。否定判定した場合には、その最新液高データを変動フェーズデータとして特定する。経過時間判定部48は、回転速度判定部32と直前状態判定部46と先行フェーズ判定部47と移動標準偏差判定部33とともに、液高データを安定フェーズデータと停止フェーズデータと変動フェーズデータとのいずれかに特定するフェーズ特定ユニット61を構成してしている。
【0051】
第2所定時間は、移動標準偏差の窓よりも短く設定することにより、窓以上である場合と比べて、液面高さの変化と変化の程度とがより早く検出されるからより好ましい。第2所定時間は、移動標準偏差の変化時間の観点から、窓の1/2以上であることが好ましい。ここで、最新液高データの液面高さをPiとし、変化のあったデータをPi-mとし、移動標準偏差はPi,Pi-1,...,Pi-nのデータ群を標準偏差の計算によって得られるとし、液面高さが理想的な変化である場合(Pi,・・・,Pi-m+1=0,Pi-m,・・・,Pi-n=1となるとき)とする。このとき、移動標準偏差はmに関して上に凸で軸が窓の1/2である 〇n/2の2次関数となる。よって移動標準偏差の最大値、すなわち変化を最も反映している箇所は、窓の1/2の経過時間となるので、最大値になるまで待機時間として最も好ましい第2所定時間は窓の1/2となる。第2所定時間が窓の1/2以上であれば閾値との判定を行う移動標準偏差は最大値より小さな値となるが、第2所定時間はより小さい値であれば早く判定することができる。そのため、本例では第2所定時間を窓の1/2である10分としている。第2所定時間は、報知装置21に備えられるキーボードやタッチパネルディスプレイなどの入力部(図示無し)によって入力されることで設定されてもよいし、コンピュータを報知装置21として機能させるプログラムにおいて予め設定されていてもよい。
【0052】
第1停止評価値算出部34A~第3停止評価値算出部34Cと、決定部35と、相違度算出部36と、履歴データ記憶部37と、画像生成部38と、表示部41とは、停止フェーズ液面状況報知ユニット55を構成している。決定部35は、回転速度判定部32で特定された停止フェーズデータが入力された場合に、停止フェーズデータに示される時刻に基づき、予め設定された第1期間と第1期間よりも長い第2期間と第2期間よりも長い第3期間とのいずれに属する停止フェーズデータかを判定する。第1期間~第3期間の始点(開始の基準時)は、停止フェーズの開始時である。決定部35は、第1期間に属すると判定した停止フェーズデータを第1停止評価値算出部34Aに、第2期間に属すると判定した停止フェーズデータを第2停止評価値算出部34Bに、第3期間に属すると判定した停止フェーズデータを第3停止評価値算出部34Cにそれぞれ出力する。
【0053】
第2期間は第1期間も含むので、第2期間に属する停止フェーズデータは第1期間にも属する。そこで、第2期間に属する停止フェーズデータは、第1期間にも属するものとして、第2停止評価値算出部34Bへの出力に加えて、第1停止評価値算出部34Aにも出力してもよく、本例でもそのようにしている。これにより異常の可能性がより高い精度で求められるので、より好ましい。同様に、第3期間に属する停止フェーズデータは第2期間と第1期間とにも属する。そこで、第3期間に属する停止フェーズデータは、第2期間及び第1期間にも属するものとして、第3停止評価値算出部34Cへの出力に加えて、第2停止評価値算出部34B及び第1停止評価値算出部34Aにも出力することがより好ましい。
【0054】
第1期間の停止フェーズデータとは、この第1期間中の時刻を示す停止フェーズデータである。第1期間の複数の停止フェーズデータを第1グループとする。第1期間は、これら第1グループを構成する複数の停止フェーズデータのうち、もっとも早い時刻、すなわち最も過去の時刻を示す停止フェーズデータの時刻を開始とする期間であり、停止フェーズの開始時点からの所定期間である。第1期間は、後述の第1の評価値の算出方法に基づいて、できる限り短くなるように設定することが好ましく、例えばこの例では100分としている。
【0055】
第2期間の停止フェーズデータとは、この第2期間中の時刻を示す停止フェーズデータである。第2期間の複数の停止フェーズデータを第2グループとする。第2期間は、第1期間と同様に第1グループを構成する複数の停止フェーズデータのうち、もっとも早い時刻を示す停止フェーズデータの時刻を開始とする期間であり、停止フェーズの開始時点からの所定期間である。第2グループは、第1グループの停止フェーズデータを含まずに構成してもよいが、第1グループの停止フェーズデータと第1グループよりも後に入力された停止フェーズデータとを含んで構成する方が、より精度の高い異常の可能性を求める観点で好ましく本例でもそのようにしてある。第2期間は、下記の平均比較以上の精度と後述のリッジ回帰よりも早く検出することができるという後述の指数回帰の利点を生かしつつ異常検出を行う観点に基づいて設定することが好ましく、例えばこの例では480分と設定している。
【0056】
第3期間の停止フェーズデータとは、この第3期間中の時刻を示す停止フェーズデータである。第3期間の複数の停止フェーズデータを第3グループとする。第3期間は、第1期間と同様に第1グループを構成する複数の停止フェーズデータのうち、もっとも早い時刻を示す停止フェーズデータの時刻を開始とする期間であり、停止フェーズの開始時点からの所定期間である。第3グループは、第1グループ及び第2グループの停止フェーズデータを含まずに構成してもよいが、第1グループ及び第2グループの停止フェーズデータと第2グループよりも後に入力された停止フェーズデータとを含む方が好ましく、本例でもそのようにしている。第3期間は、精度を重視してデータ数をできるだけ多く取得するという観点に基づいて設定することが好ましく、例えばこの例では1440分としている。
【0057】
第1停止評価値算出部34A~第3停止評価値算出部34Cは、それぞれ、停止フェーズデータが複数入力された場合に、これら最新の停止フェーズデータに示される液面高さの各々に対する第1の評価値,第2の評価値,第3の評価値を算出する第1評価値算出部~第3評価値算出部の一例である。なお、以降の説明において、第1停止評価値算出部34A~第3停止評価値算出部34Cを区別しない場合には、これらを停止評価値算出部と称し、符号34を付す。
【0058】
第1停止評価値算出部34Aは、第1グループが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータから構成される第1グループに示される複数の液面高さの平均値μを求める。第1停止評価値算出部34Aは、この平均値μと、第1グループよりも過去に停止フェーズデータとされた履歴停止フェーズデータのうち直近、すなわち前回の停止フェーズにおいて入力された直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、第1グループに示される複数の液面高さの各々に対する第1の評価値をそれぞれ算出する。
【0059】
第1停止評価値算出部34Aは、本例では、平均比較を用いて、第1グループに示される複数の液面高さの各々に対する第1の評価値を算出する。停止フェーズの開始時点から間もない期間は、以降の期間に比べて、部分時系列データである液面高さが離散的な値、すなわち、不連続な値として検出される場合が多い。そこで、後述の回帰を用いた算出とは異なり、平均値での比較を行うことにより第1の評価値を算出している。これにより、離散的な値として得られる液面高さを演算処理し、異常の可能性が精度よく求められる。
【0060】
第1傾向値は、直近履歴停止フェーズデータ群のうち上記の第1期間の履歴停止フェーズデータ(第1グループ)に示される液面高さの平均値であり、第1期間の履歴停止フェーズデータ群に含まれる液面高さの和を、液面高さの数で除した値としている。第1の評価値は、式(2)のa(yi)で求められる。
【0061】
【0062】
第2停止評価値算出部34Bは、第2グループが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータから構成される第2グループに示される複数の液面高さの各々と、前述の直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、第2グループに示される複数の液面高さの各々に対する第2の評価値をそれぞれ算出する。
【0063】
第2停止評価値算出部34Bは、本例では、指数回帰を用いて、第2グループに示される複数の液面高さの各々に対する第2の評価値を算出する。停止フェーズの開始時点から一定期間(第1期間)経過した後は、部分時系列データである液面高さが、第1期間よりも離散の度合が小さく(連続性が高く)、かつ、指数関数のような変化を示す。そこで、第1期間よりも後に入力される停止フェーズデータを含む第2期間の停止フェーズデータについては、指数関数により回帰を行い、これにより、より少ない時間で正確な液面高さの減少を知ることができ、また、液面高さが落ち着く値も予測できるようになっている。
【0064】
指数回帰の一般的な式は以下の(2)である。xkは説明変数、wkはxkに対する重み、w0は指数部分の定数項、bはバイアス値を表す。x1には停止フェーズの開始時点からの経過時間を使用する。これにより、一定時間経過後に液面高さが落ち着いた(安定)際の挙動(推移)が回帰により表現される。また、x2には停止フェーズの開始時点からの経過時間の(1/2)乗を使用する。これにより、一定時間経過前に液面高さが変動している際の挙動(推移)が回帰により表現される。
【0065】
【0066】
指数回帰では損失関数として一般式のまま二乗和誤差を用いることは少ないが、実測値と予測値との差がそのまま損失関数の値になるので回帰の学習結果を把握しやすいというメリットがある。そのため本例では、一般式のまま二乗和誤差を用いている。これにより、実データと回帰による予測の差異が把握しやすくなり、検証結果も把握しやすいという利点もある。
【0067】
損失関数を最小とする計算を行うにあたり、一般の最小二乗法の計算では線形でないモデルに対し解を直接算出することができないため、勾配降下法を用いて最適解を近似計算することとした。この際、良い学習を行うためには初期値が重要となるが、その初期値は発電所ごとに過去一年のデータから勾配降下法を用いて学習することにより、多くの発電設備15(
図1参照)に適応することが確認されている。
【0068】
指数回帰は2パターン(2種類)の第2の評価値を算出することができる。2種類のうちの一方、すなわち、後述のリッジ回帰と同様に、停止フェーズデータに示される液面高さ(実測値)yiの第2の評価値a(yi)は、式(3)に示すように、予測値との差をとって2乗し、重みciをつけた和を分散値σ2で除算することで算出する。つまり以下の式(3)により第2の評価値a(yi)は算出される。分散値σ2としては、回帰により得られる予測値と、その予測を行うために用いた元データ(直近履歴停止フェーズデータのうちの第2グループの停止フェーズデータ)との差に関する分散値を用いている。本例では、重みciは、リッジ回帰と同様に、停止の開始時点からの経過時間の4乗に比例するよう設定しているが、この例に限定されず、重みは検出箇所を重要視したいデータの箇所により求めればよい。
【0069】
【0070】
2パターンのうちの他方では、回帰により得られたバイアス値を用いて液面の落ち着く値を比較する。バイアス値bは液面が落ち着く値と近くなっており、第2の評価値a(b)は、式(4)に示すように、指数回帰曲線のバイアス値bから直近履歴停止フェーズデータを予測したバイアス値b0を減算した値を2乗し、分散値σ2で割った値とする。バイアス値bとb0は、学習によって得られた指数回帰曲線の指数項と、学習元データとの差が最小になるように計算する。具体的には、バイアス値bは、第2グループのデータとそのデータによる学習によって得られた指数回帰曲線の指数項との差による平均値として求める。バイアス値b0は、直近履歴停止フェーズデータ群のうち上記の第2期間の履歴停止フェーズデータとそのデータによる学習によって得られた指数回帰曲線の指数項との差による平均値により求める。
【0071】
【0072】
第3停止評価値算出部34Cは、第3グループが入力された場合に、これらの入力された複数の停止フェーズデータから構成される第3グループに示される複数の液面高さの各々と、前述の直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第3傾向値と、直近履歴停止フェーズデータに示される複数の温度とに基づいて、第3グループに示される複数の液面高さの各々に対する第3の評価値をそれぞれ算出する。
【0073】
第3停止評価値算出部34Cは、本例では、リッジ回帰を用いて、第3グループに示される複数の液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する。停止フェーズの開始時点から一定期間(第2期間)経過した後は、部分時系列データである液面高さが、軸受温度の影響を受けやすく、そのため、第1期間及び第2期間よりも離散の度合が小さい(連続性が高い)。そこで、第2期間よりも後に入力される停止フェーズデータを含む第3期間の停止フェーズデータについては、リッジ回帰を用いて算出する。
【0074】
温度による液面の変化に対応しつつ、過去のデータから予測を行う手法がリッジ回帰(線形回帰)である。そして、予測したデータと実データとの差異から異常値を算出する。リッジ回帰の一般的な予測式は以下の式(5)である。ここで、xkは説明変数、wkはxkに対する重み、bはバイアス値を表す。
【0075】
【0076】
線形回帰でよく用いられている最小二乗法では、式(6)の通り、実測値yiから予測値を減算した値を2乗して平均をとった値(平均二乗和誤差)をデータとの差異を表す損失関数として用い、この損失関数を最小にする重みとバイアス値を求める。
【0077】
【0078】
上記の最小二乗法は、学習データにのみ特化して学習し、新たなデータによる予測が困難となってしまう過学習と呼ばれる現象が起こってしまう可能性がある。リッジ回帰では、ノルムの正則化項を最小二乗法の損失関数に付け加え、大きな重みをとることにペナルティをつけることで、過学習を抑えることができる。リッジ回帰の損失関数の式は以下の式(7)となる。ハイパーパラメータλによりペナルティの強さが決定される。λは、0.1,1.0,10の中から交差検証法により決定する。停止中の軸受液面は軸受温度との相関性が認められることから、説明変数xには軸受温度、説明変数x2には軸受温度の2乗を使用する。これにより、液面高さと液温との相関性を2次まで考慮した回帰を行うことができる。
【0079】
【0080】
軸受液面の異常検知の際には、停止直後の液面よりもある程度時間が経過した液面を重視する方が、異常検知の精度が上がることが判明した。よって、実測値(第3期間の停止フェーズデータの液面高さ)yiの異常値a(yi)は、式(8)で示すように、予測値の差をとって、重みciをつけた和を分散値σ2で割って算出する。重みciによりデータの重視する箇所を決定することができる。ある程度時間が経過した液面高さを重視するために、本例では重みciは、停止フェーズの開始時点からの経過時間の4乗に比例するよう設定している。上記の「ある程度時間が経過した」とは、第3期間内のデータに関して、より後に入力されたという意味であり、停止し始めのデータとの差異より、停止してから時間が経過したデータで差異が生じている方が高い信頼性をもつので、重みを使うことで、信頼性が確保される。
【0081】
【0082】
第1停止評価値算出部34Aは、第1グループの各停止フェーズデータに示される個々の液面高さの第1の評価値を算出すると、算出した複数の第1の評価値のすべてを相違度算出部36に出力する。第2停止評価値算出部34Bは、第1停止評価値算出部34Aと同様に、第2グループの各停止フェーズデータに示される個々の液面高さの第2の評価値を算出すると、算出した複数の第2の評価値のすべてを相違度算出部36に出力する。第3停止評価値算出部34Cも同様に、第3グループの各停止フェーズデータに示される個々の液面高さの第3の評価値を算出すると、算出した複数の第3の評価値のすべてを相違度算出部36に出力する。
【0083】
相違度算出部36は、第1の評価値群が入力された場合に、各第1の評価値と、過去の停止フェーズにおいて取得された履歴停止フェーズデータに示される複数の液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める。本例では、第1の評価値と履歴基準の一例である後述の履歴評価値とに基づいて相違度を求める。
【0084】
相違度算出部36は、第2の評価値群が入力された場合、及び、第3の評価値群が入力された場合にも同様に、相違度を求める。すなわち、相違度算出部36は、第2の評価値群が入力された場合に、各第2の評価値と、過去の停止フェーズにおいて取得された履歴停止フェーズデータに示される複数の液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める。相違度算出部36は、また、第3の評価値群が入力された場合に、各第3の評価値と、過去の停止フェーズにおいて取得された履歴停止フェーズデータに示される複数の液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める。このように、相違度算出部36は、第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値が入力される毎に、これらの入力された第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値との各々と、履歴安定フェーズデータに示される複数の液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める。
【0085】
履歴評価値は、本例では履歴データ処理部52に備えられる後述の第1履歴評価値算出部70A~第3履歴評価値算出部70C(
図4参照)により求めている。第1の評価値に基づいて相違度を求める場合の履歴評価値(以下、第1履歴評価値と称する)は、第1の評価値と同様に、前述の平均比較により求めるいわゆる異常値とすることが好ましく、本例でもそのようにしている。第2の評価値に基づいて相違度を求める場合の履歴評価値(以下、第2履歴評価値と称する)は、第2の評価値と同様に、前述の指数回帰により求めるいわゆる異常値とすることが好ましく、本例でもそのようにしている。第3の評価値に基づいて相違度を求める場合の履歴評価値(以下、第3履歴評価値と称する)は、第3の評価値と同様に、前述のリッジ回帰により求めるいわゆる異常値とすることが好ましく、本例でもそのようにしている。
【0086】
第1~第3履歴評価値の各々は、履歴データ記憶部37に記憶されている複数の履歴停止フェーズデータを用いて第1~第3の評価値と同様に算出する。なお、履歴データ記憶部37は、発電設備15(
図1参照)の前回以前の停止における複数の停止フェーズデータである履歴停止フェーズデータを記憶している。
【0087】
相違度算出部36は、求めた各相違度を、画像生成部38へ出力する。画像生成部38は、相違度が入力された場合に、相違度を表す画像G(
図9参照)を生成し、表示部41に表示させる。
【0088】
図4において、履歴データ処理部52は、相違度算出部36で用いる履歴評価値の算出及び確率モデルの生成を行うためのものである。履歴データ処理部52は、回転速度判定部71と、標準偏差算出部72と、学習演算部73と、標準偏差判定部74と、決定部75と、第1履歴評価値算出部70A~第3履歴評価値算出部70Cと、外れ値除去部77と、評価値分布生成部78と、確率モデル生成部79とを備える。
【0089】
回転速度判定部71は、回転速度判定部32と同様に構成されており、履歴データ記憶部37に記憶されている履歴液高データが入力される。履歴データ記憶部37は、相違度の精度、すなわち異常の可能性の精度がより高くなるの観点から過去の複数回の停止フェーズの各々において入力された履歴停止フェーズデータを記憶することが好ましい。この例では過去の1か月間における複数回の停止フェーズの各々において入力された履歴フェーズデータを記憶している。例えば、過去の10回程度の停止フェーズの各々において入力された履歴停止フェーズデータが記憶されていれば、確率モデル生成部79において確率モデルが十分な精度で生成される。回転速度判定部71は、履歴液高データが入力された場合に、回転速度判定部32と同様にして否定判定した履歴液高データを、標準偏差算出部72に出力する。
【0090】
標準偏差算出部72は、履歴停止フェーズデータのうち、回転速度判定部71により否定判定された履歴停止フェーズデータに示される液面高さの標準偏差を求め、求めた標準偏差を学習演算部73と標準偏差判定部74とのそれぞれに出力する。本例では、標準偏差は、履歴停止フェーズデータのうち、変動がほとんどない液面高さを示す履歴停止フェーズデータを取り除くためのものである。
【0091】
標準偏差は、以下のようにして求める。まず、入力された履歴停止フェーズデータの時刻に基づいて、回転速度が回転速度基準値未満で前述の第1期間(本例では100分)以上継続した期間を
図5の期間DS
1,DS
2,・・・,DS
nで示すように特定し、その期間の履歴停止フェーズデータを特定する。過去の複数回の停止フェーズの履歴停止フェーズデータが入力された場合には、回転速度が回転速度基準値未満で第1所定期間以上継続した期間は、
図5に示すように、通常複数認められることがある。なお、
図5において横軸は時間の経過を示し、紙面右に向かうに従い時間が経過したことを意味する。この例の履歴停止フェーズデータは、過去に液高データとして1分毎に生成されたものとしており、1分前の時刻を示す履歴停止フェーズデータがない履歴停止フェーズデータを、期間の開始に対応する履歴停止フェーズデータとし、1分後の時刻を示す履歴停止フェーズデータがない履歴停止フェーズデータを、期間の最終に対応する履歴停止フェーズデータとしている。
【0092】
特定した期間DS1内に属する時刻を示す履歴停止フェーズデータについて、それらの履歴停止フェーズデータP1,P2,・・・の各々に示される液面高さから、これらの標準偏差a1を求める。同様に、特定した期間DS2,DS3,・・・,DSnの各々についても同様に、各期間内に属する履歴停止フェーズデータの各々に示される液面高さから、これらの標準偏差a2,a3,・・・,anを求める。
【0093】
学習演算部73は、標準偏差算出部72から標準偏差が入力された場合に、標準偏差に基づいて標準偏差の閾値を求める。すなわち、学習演算部73は、標準偏差a1~anが入力されると、移動標準偏差の閾値を出力する学習を行う。学習演算部73は、閾値を履歴データ記憶部37に記憶する。学習演算部73は本例ではOne-Class SVMを用いている。学習演算部73は、さらに、偏差算出部31(
図3参照)において移動標準偏差が算出された場合にその移動標準偏差を標準偏差として取得し、さらなる学習によって新たに閾値を求めてもよい。そのようにして求めた新たな閾値は、以降の停止フェーズにおいて取得される停止フェーズデータについて異常の可能性を求める場合に、標準偏差判定部74により判定される場合の閾値として用いてもよく、本例でもそのようにしている。このように、閾値は、偏差算出部31に移動標準偏差が求められるたびに、この移動標準偏差を学習演算部73が標準偏差として取得することにより、学習される。
【0094】
標準偏差算出部72は、標準偏差判定部74に出力する場合には履歴停止フェーズデータと当該履歴停止フェーズデータが属する期間DS1,DS2,DS3,・・・,DSnと標準偏差とを関連付けて標準偏差判定部74に出力する。標準偏差判定部74は、これらを入力された場合に、履歴データ記憶部37から、学習演算部73で求められた閾値を読み出して、期間DS1,DS2,DS3,・・・,DSnのそれぞれの標準偏差と閾値とを比較する。標準偏差判定部74は、標準偏差が閾値よりも大きい期間の履歴停止フェーズデータを決定部75に出力し、閾値以下の期間の履歴停止フェーズデータを破棄する。
【0095】
なお、回転速度判定部71の履歴液高データは、一度だけ入力されてもよいし、二度繰り返して入力されてもよい。一度だけ入力する場合には、標準偏差算出部72は、求めた標準偏差を学習演算部73と標準偏差判定部74とのそれぞれに出力する。一方、二度入力する場合には、一度目の算出により求めた標準偏差を学習演算部73に出力し、その後の二度目の算出により求めた標準偏差を標準偏差判定部74に出力する。履歴データ処理部52に対する履歴液高データの入力は、報知装置21の初回の使用開始前にのみ行えばよい。
【0096】
決定部75は、決定部35と同様に構成されており、停止フェーズデータの代わりに、標準偏差判定部74からの履歴停止フェーズデータが入力される以外は、決定部35と同様の処理を行う。すなわち、決定部75は、履歴停止フェーズデータに示される時刻に基づき、予め設定された第1期間と第1期間よりも長い第2期間と第2期間よりも長い第3期間とのいずれに属する停止フェーズデータかを判定する。決定部35は、第1期間に属すると判定した履歴停止フェーズデータを第1履歴評価値算出部70Aに、第2期間に属すると判定した履歴停止フェーズデータを第2履歴評価値算出部70Bに、第3期間に属すると判定した履歴停止フェーズデータを第3履歴評価値算出部70Cにそれぞれ出力する。
【0097】
第1履歴評価値算出部70A~第3履歴評価値算出部70Cの各々は、履歴停止フェーズデータが入力された場合に、前述のように第1~第3履歴評価値を第1~第3の評価値と同様に算出する。
【0098】
外れ値除去部77は、第1履歴評価値算出部70Aにより生成された履歴評価値群が入力された場合に、履歴評価値群から外れ値を取り除く。外れ値除去部77は、第2履歴評価値算出部70Bにより生成された履歴評価値群が入力された場合、及び、第3履歴評価値算出部70Cにより生成された履歴評価値群が入力された場合も同様に、履歴評価値群から外れ値を取り除く。外れ値除去部77として、本例ではOne-Class SVMを用いている。外れ値を取り除くために閾値(以下、外れ値除去閾値と称する)を予め求め、One-Class SVMを2回用いて外れ値を取り除く。履歴評価値の過度に大きな外れ値を、One-Class SVMの1度目の適用で取り除き、小さくて見分けにくい外れ値を、One-Class SVMの2度目の適用で取り除くことが好ましい。なお、One Class SVMを用いる場合には、計算上、本来は正常値である値もいくつか除外されてしまうことがあるが、そのような除外は問題ないものと本例ではみなしている。
【0099】
評価値分布生成部78は、外れ値を取り除いた履歴評価値群の分布を求める。確率モデル生成部79は、外れ値を取り除いた履歴評価値群の分布に基づいて、確率モデルを生成して履歴データ記憶部37に記憶させる。
【0100】
履歴データ処理部52は、さらに、前述の移動標準偏差の閾値TA,TBを求めるための、標準偏差算出部と、学習演算部(いずれも図示無し)とを備えてもよい。この標準偏差算出部は、履歴液高データのうち、回転速度判定部71により肯定判定された履歴液高データに示される液面高さの標準偏差を求め、求めた標準偏差を学習演算部に出力する。本例では、標準偏差として、標準偏差Aと標準偏差Bとの2種の標準偏差を求めている。標準偏差Aは、安定フェーズから変動フェーズに変化したとみなす判定をするために用いる標準偏差であり、標準偏差は変動フェーズから安定フェーズに変化したとみなす判定をするために用いる標準偏差である。
【0101】
標準偏差Aは、以下のようにして求める。まず、回転速度判定部71により肯定判定された履歴液高データの時刻に基づいて、回転速度が回転速度基準値以上で所定時間(本例では100分)以上継続した期間を期間DR
1,DR
2,・・・,DR
nのように特定し、その期間の履歴液高データを特定する。発電設備15(
図1参照)が運転と停止とを繰り返した場合には、回転速度が回転速度基準値以上で100分以上継続した期間は、通常複数認められる。この例の履歴液高データは、過去に液高データとして1分毎に生成されたものとしており、1分前の時刻を示す履歴液高データがない履歴液高データを、期間の開始に対応する履歴液高データとし、1分後の時刻を示す履歴液高データがない履歴液高データを、期間の最終に対応する液高データとしている。
【0102】
特定した期間DR1について、開始から所定時間(本例では50分)DA内に属する時刻を示す履歴液高データを、履歴液高データが示す時刻に基づいて特定する。特定した履歴液高データに示される液面高さの標準偏差c1を求める。同様に、特定した期間DR2,DR3,・・・,DRnの各々についても、各期間の開始から所定時間(本例では50分)DAの時間内に属する履歴液高データP1,P2,・・・を特定し、特定した複数の履歴液高データの各々に示される液面高さから、これらの標準偏差c2,c3,・・・,cnを求める。このようにして求めた標準偏差c1~cnの各々が標準偏差Aである。
【0103】
標準偏差Bは、以下のようにして求める。上記の期間DR1,DR2,・・・,DRnの中から、これらを特定するために設定した期間(本例では100分)よりも長い所定時間(本例では300分)以上を示した期間を特定し、その期間の履歴液高データを特定する。例えば期間DR1が300分以上である場合には、最終時から所定時間(本例では150分)前の時刻をtbとするときに、この時刻tbから所定時間(本例では50分)DB内の時刻を示す履歴液高データを特定する。特定した複数の履歴液高データの各々に示される液面高さから、これらの標準偏差d1を求める。期間DR1の他にも、期間DR1,DR2,・・・,DRnを特定するために設定した期間よりも長い所定時間(本例では300分)以上を示した期間がある場合には、それら期間についても期間DR1についてと同様にして処理を行い、標準偏差d2,d3,・・・,dm(mはnよりも小さい自然数)を求める。このようにして求めた標準偏差d1~dmの各々が標準偏差Bである。
【0104】
この標準偏差算出部から標準偏差Aと標準偏差Bとが入力された場合に、図示しない学習演算部は、標準偏差A,Bに基づいて移動標準偏差の閾値TA,TBを求める。すなわち、学習演算部は、標準偏差c1~cnが入力されると、移動標準偏差の閾値TAを出力する学習を行い、標準偏差d1~dmが入力されると、移動標準偏差の閾値TBを出力する学習を行う。学習演算部は、閾値TA,TBを、履歴データ記憶部37に記憶し、偏差判定部33(
図3参照)での判定に用いられる。この学習演算部は本例ではOne-Class SVMを用いている。学習演算部は、さらに、偏差算出部31(
図3参照)において移動標準偏差が算出された場合にその移動標準偏差を取得し、さらなる学習によって新たに閾値TA,TBを求めてもよい。そのようにして求めた新たな閾値TA,TBは、次に取得された最新液高データが偏差判定部33により判定される場合の閾値TA,TBとして用い、本例でもそのようにしている。このように、移動標準偏差の閾値TA,TBは、偏差算出部31で移動標準偏差が求められるたびに、この移動標準偏差を取得することにより、学習される。
【0105】
報知装置21は、コンピュータで構成されており、コンピュータに所定のプログラムを実行させることにより、コンピュータは上記の各部として機能する。プログラムは、回転速度判定ステップと、履歴データ記憶ステップと、第1評価値算出ステップと、第2評価値算出ステップと、第3評価値算出ステップと、相違度算出ステップと、画像生成ステップとをコンピュータに実行させる。
【0106】
回転速度判定ステップは、潤滑液により回転軸19bの軸受19dが液浴状態とされている回転体(この例では水車18C)を備える発電設備15の潤滑液の液面高さと液温と回転体の回転速度と時刻とを有する液高データが入力された場合に、液高データに示される回転速度を予め設定された回転速度基準値と比較し、回転速度基準値未満の回転速度を示す液高データを、特定データとする。履歴データ記憶ステップは、過去に特定データとして特定された複数の履歴特定データを記憶する。
【0107】
第1評価値算出ステップは、予め設定された第1期間の複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データから構成される第1グループに示される複数の液面高さの平均値と、複数の履歴特定データである履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、第1グループに示される複数の液面高さの各々に対する第1の評価値を算出する。
【0108】
第2評価値算出ステップは、第1グループよりも後に、第1期間よりも長い第2期間における複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データから構成される第2グループに示される複数の液面高さの各々と、直近履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、第2グループに示される複数の液面高さの各々に対する第2の評価値を算出する。
【0109】
第3評価値算出ステップは、第2グループよりも後に、第2期間よりも長い第3期間における複数の特定データが入力された場合に、これらの入力された複数の特定データから構成される第3グループに示される複数の液面高さの各々と、履歴特定データ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第3傾向値と、履歴特定データに示される複数の温度とに基づいて、第3グループに示される複数の液面高さの各々に対する第3の評価値を算出する。
【0110】
相違度算出ステップは、第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値が入力される毎に、これらの入力された第1の評価値と第2の評価値と第3の評価値との各々と、履歴特定データに示される複数の液面高さから算出される履歴基準との相違度を求める。画像生成ステップは、相違度を表す画像を生成して表示部に表示させる。
【0111】
上記構成の作用を説明する。報知装置21は、
図5に示すように、液高データをコントローラ16から取得すると、規格データ抽出部57が液高データの入力に応答して規格を満たすか否かを判定し、肯定判定した場合にはその液高データを、時刻チェッカ58に出力する。時刻チェッカ58は、液高データの入力に応答して、液高データの時刻が正常であるか否かを判定し、肯定判定した場合にはその液高データを偏差算出部31に出力する。規格データ抽出部57と時刻チェッカ58とは、それぞれ、否定判定した場合には、その液高データを破棄する。これにより破棄された液高データは、異常の可能性を報知するための対象データから除外される。
【0112】
偏差算出部31は、液高データが入力される毎に、この最新液高データを現行データ記憶部43に液高データとして記憶させる。偏差算出部31は、また、液高データが入力される毎に、この最新液高データと過去の直近の複数の液高データを合わせて所定個数の液高データを部分時系列データとして特定し、これらのそれぞれに示される液面高さの標準偏差を移動標準偏差として算出する。偏差算出部31は、移動標準偏差を算出すると、最新液高データを回転速度判定部32に出力する。
【0113】
回転速度判定部32は、
図6に示すように、最新液高データに示される回転速度が回転速度基準値以上であるか否かを判定し、肯定判定をすると、その肯定判定した回転速度を示す最新液高データを、直前状態判定部46に出力する。一方、否定判定をすると、その否定判定した回転速度を含む最新液高データを、停止フェーズに属する停止フェーズデータとして特定し、このように、発電プラント11から報知装置21に送信された液高データは、回転速度判定部32により、停止フェーズデータであるか否かに振り分けられる。
【0114】
直前状態判定部46は、最新液高データが入力されると、過去の直近の液高データ、すなわち前回入力された液高データの回転速度が回転速度判定部32で肯定判定されたか否かを判定する。肯定判定された回転速度を示す最新液高データは先行フェーズ判定部47に出力され、否定判定された回転速度を示す最新液高データは、変動フェーズデータとされる。これにより、先行液高データが停止フェーズデータである場合に、後の先行フェーズ判定部47で例外となってしまう処理が事前に省かれる。
【0115】
先行フェーズ判定部47は、最新液高データが入力されると、現行データ記憶部43から先行液高データを特定し、先行液高データが安定フェーズデータであるか否かを判定する。肯定判定すると、入力された最新液高データを図示しない偏差判定部に出力し偏差判定部33に出力し、一方、否定判定すると、入力された最新液高データを経過時間判定部48に出力する。図示しない偏差判定部を設けない場合には、先行フェーズ判定部47は、肯定判定すると、入力された最新液高データを偏差判定部33に出力する。
【0116】
図示しない偏差判定部は、先行フェーズ判定部47で肯定判定された最新液高データが入力されると、この入力に応答して、履歴データ記憶部37から閾値TAを読み出し、算出された移動標準偏差が閾値TA以下であるか否かを判定する。肯定判定すると、その最新液高データを、偏差判定部33に出力する。一方、否定判定すると、その最新液高データを、変動フェーズデータとして特定し、異常の可能性を報知する対象データから除外する。偏差判定部33は、回転速度判定部32により肯定判定され、この例ではさらに直前状態判定部46で肯定判定され、先行フェーズ判定部47で肯定判定され、図示しない偏差判定部いより肯定された最新液高データが入力されると、その入力に応答して、履歴データ記憶部37から閾値TBを読み出し、算出された移動標準偏差が閾値TB以下であるか否かを判定する。肯定判定すると、その最新液高データを安定フェーズデータとして特定し、現行データ記憶部43内の最新液高データである液高データに安定フェーズデータを関連付けて記憶するとともに、その最新液高データを第1評価値算出部51に出力する。一方、否定判定すると、その最新液高データを、変動フェーズデータとして特定し、異常の可能性を報知する対象データから除外する。
【0117】
経過時間判定部48は、先行フェーズ判定部47で否定判定された最新液高データが入力されると、現行データ記憶部43から先行して入力された複数の液高データを時刻が最新のものから順次読み込んで回転速度を読み出し、回転速度が回転速度基準値以上である最先の液高データに示される時刻から最新液高データに示される時刻までの経過時間を算出して、経過時間が第2所定時間以上であるか否かを判定する。肯定判定をすると、その最新液高データを偏差判定部33へ出力し、最新液高データは偏差判定部33による処理に供される。経過時間判定部48が否定判定した場合には、その最新液高データは変動フェーズデータとして特定され、異常の可能性を報知する対象データから除外される。
【0118】
このようにして、発電プラント11から報知装置21へ送信された液高データから、停止フェーズデータと安定フェーズデータとがそれぞれ抽出されて、停止フェーズデータは第1停止評価値算出部34A~第3停止評価値算出部34Cのいずれかひとつへ、安定フェーズデータは
図6に示すように安定フェーズ液面状況報知ユニット56へ送信される。報知装置21へ送信された液高データは、回転体である水車18Cの回転速度に基づいて、停止フェーズデータとして特定されて抽出されるから、得られた液面データが停止、変動、安定のどのフェーズに属するかの判定がなされた状態で、停止フェーズにおける液面高さの異常である可能性がより正確に報知される。
【0119】
決定部35は、停止フェーズデータを取得すると、取得した停止フェーズデータが第1期間~第3期間のいずれに属する停止フェーズデータかを判定する。第1期間に属すると判定した停止フェーズデータは第1停止評価値算出部34Aに、第2期間に属すると判定した停止フェーズデータは第2停止評価値算出部34Bに、第3期間に属すると判定した停止フェーズデータは第3停止評価値算出部34Cに、それぞれ出力する。なお、本例では、第2期間に属すると判定した停止フェーズデータは第2停止評価値算出部34Bに加えて第1停止評価値算出部34Aに、第3期間に属すると判定した停止フェーズデータは第3停止評価値算出部34Cに加えて第1停止評価値算出部34A及び第2停止評価値算出部34Bにも出力することで、異常の可能性をより精度の高いものとしている。
【0120】
第1停止評価値算出部34Aは、第1期間の複数の停止フェーズデータ、すなわち第1グループが入力されると、第1グループに示される複数の液面高さの平均値μを求める。第1停止評価値算出部34Aは、この平均値μと、直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第1傾向値とに基づいて、平均比較により、第1グループに示される複数の液面高さの各々に対する第1の評価値をそれぞれ算出する。
【0121】
第2停止評価値算出部34Bは、第2期間の複数の停止フェーズデータ、すなわち第2グループが入力されると、第2グループに示される複数の液面高さの各々と、直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第2傾向値とに基づいて、指数回帰により、第2グループに示される複数の液面高さの各々に対する第2の評価値をそれぞれ算出する。
【0122】
第3停止評価値算出部34Cは、第3期間の複数の停止フェーズデータ、すなわち第3グループが入力されると、第3グループに示される複数の液面高さの各々と、直近履歴停止フェーズデータ群に示される複数の液面高さの傾向を示す第3傾向値と、直近履歴停止フェーズデータに示される複数の温度とに基づいて、リッジ回帰により、第3グループに示される複数の液面高さの各々に対する第3の評価値をそれぞれ算出する。
【0123】
第1停止評価値算出部34Aは第1の評価値を算出すると、第1の評価値群を相違度算出部36へ出力する。相違度算出部36は、第1の評価値が入力されると、この入力に応答して、第1の評価値群の各々と第1履歴評価値算出部70Aにより予め求められてある履歴評価値とに基づいて相違度を算出し、画像生成部38に送信する。画像生成部38は、算出された相違度が入力されると、相違度を示す画像を生成して表示部41に表示させる。相違度は、表示部41に表示されることで、液面高さの状況が異常の可能性として報知される。しかも、停止フェーズの終了を待たずに、第1グループ分の停止フェーズデータで相違度を算出するから、停止フェーズを開始して早期のうちに、液面高さの状況が報知される。
【0124】
第2停止評価値算出部34Bは第2の評価値を算出すると、第2の評価値群を相違度算出部36へ出力する。相違度算出部36は、第2の評価値が入力されると、この入力に応答して、第2の評価値群の各々と第2履歴評価値算出部70Bにより予め求められてある履歴評価値とに基づいて相違度を算出し、画像生成部38に送信する。画像生成部38は、算出された相違度が入力されると、相違度を示す画像を生成して表示部41に表示させる。相違度は、表示部41に表示されることで、液面高さの状況が異常の可能性として報知される。しかも、停止フェーズの終了を待たずに、第2グループ分の停止フェーズデータで相違度を算出するから、早期のうちに液面高さの状況が報知される。
【0125】
第3停止評価値算出部34Cは第3の評価値を算出すると、第3の評価値群を相違度算出部36へ出力する。相違度算出部36は、第3の評価値が入力されると、この入力に応答して、第3の評価値群の各々と第3履歴評価値算出部70Cにより予め求められてある履歴評価値とに基づいて相違度を算出し、画像生成部38に送信する。画像生成部38は、算出された相違度が入力されると、相違度を示す画像を生成して表示部41に表示させる。相違度は、表示部41に表示されることで、液面高さの状況が異常の可能性として報知される。
【0126】
標準偏差の閾値と確率モデルとを生成する履歴データ処理部52は、
図8に示すように、過去の第3所定時間としての例えば1か月間の履歴液高データを取得すると、回転速度判定部71が、回転速度判定部32と同様に、予め設定された回転速度基準値以上であるか否かを判定する。肯定判定すると、その履歴液高データを過去の安定フェーズデータまたは変動フェーズデータと特定し、否定判定すると、その履歴液高データを、履歴停止フェーズデータとして標準偏差算出部72へ出力する。
【0127】
標準偏差算出部72は、回転速度判定部71から履歴停止フェーズデータを取得すると、回転速度が回転速度基準値未満で前述の第1期間以上継続した期間を特定し、その期間毎に、液面高さの標準偏差を求める。求めた標準偏差は、学習演算部73と標準偏差判定部74とのそれぞれに送られる。
【0128】
学習演算部73は、標準偏差算出部72から標準偏差を取得すると、標準偏差判定部74で用いる標準偏差の閾値を求める。学習演算部73は、さらに、偏差算出部31(
図3参照)から移動標準偏差を標準偏差として取得した場合には、さらなる学習によって新たに閾値を求め、標準偏差の閾値の学習を行う。
【0129】
標準偏差判定部74は、回転速度が回転速度基準値未満で第1期間以上継続した期間に属する履歴停止フェーズデータを取得すると、履歴データ記憶部37から、標準偏差の閾値を読み出して、各期間毎に液面高さの標準偏差と標準偏差の閾値とを比較する。標準偏差判定部74は、標準偏差が閾値よりも大きい期間の履歴停止フェーズデータを決定部75に出力し、閾値以下の期間の履歴停止フェーズデータを破棄する。
【0130】
決定部75は、標準偏差が閾値よりも大きい期間の履歴停止フェーズデータを取得すると、履歴停止フェーズデータに示される時刻に基づき、履歴停止フェーズデータ毎に、第1期間と第2期間と第3期間とのいずれに属する停止フェーズデータかを判定する。決定部35は、判定結果に応じて、履歴停止フェーズデータを第1履歴評価値算出部70A~第3履歴評価値算出部70Cの少なくともいずれかひとつに送る。第1履歴評価値算出部70A~第3履歴評価値算出部70Cの各々は、履歴停止フェーズデータを取得すると、第1~第3履歴評価値を第1~第3の評価値と同様に算出する。
【0131】
外れ値除去部77は、履歴評価値群が入力されると、予め求めた外れ値除去閾値により外れ値を除去する。履歴評価値の過度に大きな外れ値が、One-Class SVMの1度目の適用で取り除かれ、小さくて見分けにくい外れ値が、One-Class SVMの2度目の適用で取り除かれる。このように、外れ値が除去されることにより、履歴評価値の分布がより精度よく生成される。なお、本例では外れ値除去の前に、履歴評価値の個数が予め設定された設定個数以上であるか否かを判定し、肯定判定であると外れ値の除去を行い、否定判定であると、ノイズを用いて履歴評価値の数を増加させてから、外れ値除去を行っている。
【0132】
評価値分布生成部78は、外れ値を取り除いた履歴評価値群の分布を求める。この例では、外れ値を取り除いた履歴評価値群のそれぞれを学習データとし、履歴評価値から、ノンパラメトリックな密度推定の手法であるカーネル密度推定を用いて履歴評価値の分布を求めている。
【0133】
確率モデル生成部79は、得られた履歴評価値の分布に基づいて確率モデルを生成する。本例では、上記の履歴評価値の分布から、履歴評価値α1、α2と分布の標準偏差sを求める。α1を例えば65%の分布に対応する第2の評価値、α2を95%の分布に対応する履歴評価値とする。これらのα1,α2,標準偏差から確率モデルの生成に用いる基準値として、第1基準値x1と、第1基準値x1よりも高い異常確率に対応付けた第2基準値x2とをそれぞれ下記式(9),(10)で算出する。第1基準値x1でとる異常確率y1を例えば2%とし、第2基準値x2でとる異常確率y2を例えば3.5%と設定する。第1基準値x1でとる異常確率y1、第2基準値x2でとる異常確率y2は、本例に限定されず、異常値の分布において異常確率を設定したい値に基づいて設定するとよい。
x1=α1 ・・・(9)
x2={(α2-α1)/s}+α1 ・・・(10)
【0134】
そして、式(11)を用いてA,Bを算出することにより、式(4)で示される確率モデルが生成する。すなわち定数A,Bを求めることにより確率モデルが生成される。
y=1/(1+eAx+B) ・・・・(11)
【0135】
得られた確率モデルは、履歴データ記憶部37に記憶され、相違度算出部36により読み取られ、相違度の算出に用いられる。停止フェーズデータの液面高さと履歴液高データの液面高さとの両方を部分時系列データである移動標準偏差にして相違度算出が行われるから、得られる相違度の確からしさはより高い。
【0136】
以上のように、軸受19dの潤滑液の液面高さに関して相違度の画像G(
図9参照)が表示されるから、液面高さに関連する発電設備15の潜在的な異常について熟練者でなくても把握しやすい。さらに、上記構成によると、所定時間(この例では30分)毎に、相違度が表示されるから、運転中の異常に迅速に対処できる。また、前述のように、この例の端末22は表示部を備えており、相違度を表す画像が端末22の表示部にも表示される。このため、端末22においても異常確率が表示される。その結果、停止場面における潤滑液の液面の状況が、熟練者でなくても容易に把握できる。
【0137】
例えば、
図9に示すように、表示部には、液面高さと、異常確率としての異常の可能性とが関連付けられた画像Gが表示される。
図9に示すデータは、発電プラント11として、北海道電力株式会社のX発電所Xa号機を使用した場合(データ取得日は、2020年1月22日及び23日)のものである。液面高さは水車軸受けの水面の高さである。
図9において、縦軸は液面高さを示し、横軸は時刻を示す。この例では、液面高さは、予め設定した基準の液面高さを0mmとし、この基準に対して高い場合には+として上方向に、低い場合には-として下方向に、基準に対する差分を示してある。液面高さは、液高データの取得に応じて表示してもよいし、または、フェーズの特定毎など、液高データの取得後の任意の時点で個別あるいは複数をまとめて表示してもよい。
【0138】
フェーズの特定はリアルタイムに行っているが、表示部に対する表示のタイミングは、適宜設定してよく、また、すべてのフェーズを表示してもよい。この例では、停止フェーズデータについての異常の可能性を報知するために、停止フェーズデータと特定された領域にのみ、異常の可能性を示しており、異常の可能性は、グラフにおける背景の色の濃淡(明度)で示している。色が淡いほど異常の可能性が低く、濃いほど異常の可能性が高い。異常の可能性を報知する対象領域の背景を縦軸方向での濃淡で示すことにより、報知の対象領域が視覚的に把握される。なお、色の濃淡を、色相、彩度に代えてもよい。
【0139】
液面高さが縦軸方向での濃淡の濃色領域にある場合には、異常の可能性が高いものとして、淡色領域にある場合には異常の可能性が低いものとして示される。このようにして異常の可能性が報知される。また、異常の可能性の数値を、例えば%で示す表示をすることで報知してもよい。例えば、マウスなどの入力部(図示無し)により、目的とする液面高さの部分にカーソルCを位置決めすることで、異常の可能性が「○○%」(○○は数字を意味する)と示してもよい。従来では、フェーズの特定がなされておらず、異常の可能性がない正常な液面高さとみなす閾値として、例えば上限を+15mm、下限を-10mmと設定し、正常とみなす領域を広めに設定していた。これは、停止の場面での低い液面高さを基準に下限を設定し、変動及び/または安定の場面の高い液面高さを基準に下限を設定するからである。これに対し、本例の上記の構成によると、フェーズを特定した上で、異常の可能性の基準となる程度がそのフェーズに応じて求められる。さらに、異常の可能性の基準となる程度が、履歴停止フェーズデータに基づいて求められる。そのため、異常の可能性が低い領域がより狭く設定され、その結果、より精緻に、異常の可能性が把握される。
【0140】
また、上記構成によると、取得した停止フェーズデータが第1期間、第2期間、第3期間のいずれに属するかに応じて、異常の可能性の基準となる程度が求められるので、異常の可能性がより精緻に現れる。なお、
図9においては、(A)の平均比較に基づいて示す第1期間の結果と、(B)の指数回帰に基づいて示す第2期間の結果と、(C)のリッジ回帰に基づいて示す第3期間の結果とを縦方向に並べて表示している画像を示しているが、(A)~(C)を切り替えて表示してもよい。
【0141】
さらに、例えば北海道電力株式会社のY発電所Ya号機については、以下の結果が得られている。第1期間の停止フェーズデータの異常の確率を求めたところ、第1の評価値は8.254と求められ、異常である確率は99.97%と高い結果となった。第1の評価値を求めた液高データは、2016年3月4日13:13を停止フェーズの開始とする第1期間の停止フェーズデータであり、ひとつ前の停止フェーズデータは2016年3月3日の16:10を停止フェーズの開始とする第1期間の停止フェーズデータである。確認したところ、これらの時刻の間にある2016年3月4日11:47には液面高さが低下していた。第2期間の停止フェーズデータの異常の確率を求めたところ、第1の評価値は22.96と求められ、異常である確率は99.70%と高い結果となった。第1の評価値を求めた液高データは、2016年12月29日5:14を停止フェーズの開始とする第2期間の停止フェーズデータであり、ひとつ前の停止フェーズデータは2016年12月28日の6:58を停止フェーズの開始とする第2期間の停止フェーズデータである。確認したところ、これらの時刻の間にある2016年12月29日4:33には液面高さが低下していた。さらに、第3期間の停止フェーズデータの異常の確率を求めたところ、第1の評価値は40.69と求められ、異常である確率は99.99%と高い結果となった。第1の評価値を求めた液高データは、2016年3月30日8:58を停止フェーズの開始とする第2期間の停止フェーズデータであり、ひとつ前の停止フェーズデータは2016年3月26日の6:23を停止フェーズの開始とする第2期間の停止フェーズデータである。確認したところ、これらの時刻の間にある2016年3月29日11:56には液面高さが低下していた。
【0142】
本実施形態では、停止フェーズでの軸受液面の異常の可能性を報知する対象設備として、水車発電機を備える発電設備15を用いている。しかし、設備はこれに限らず、軸受が潤滑液に液浴状態とされて回転する回転体を備えれば、他の設備であってもよい。
【符号の説明】
【0143】
10 発電システム
12 液面状況報知アセンブリ
15 発電設備
16 コントローラ
18C 水車
19b 回転軸
19c 潤滑油収容部
19d 水車軸受
21 液面状況報知装置
24a 回転速度計
24b 液面高さ検出器
24c 軸受温度検出器
31 移動標準偏差算出部(偏差算出部)
32,71 回転速度判定部
33 移動標準偏差判定部(偏差判定部)
34A~34C 第1~第3停止評価値算出部
35,75 決定部
36 相違度算出部
37 履歴データ記憶部
38 画像生成部
41 表示部
61 フェーズ特定ユニット
70A~70C 第1~第3履歴評価値算出部
73 学習演算部
77 外れ値除去部
78 評価値分布生成部
79 確率モデル生成部
【要約】
【課題】停止の場面における潤滑液の液面の状況が容易に把握できるように報知する液面状況報知装置及び液面状況報知プログラムを提供する。
【解決手段】液面状況報知装置21は、回転速度判定部32と第1~第3停止評価値算出部34A~34Cと相違度算出部36と画像生成部38とを備える。回転速度判定部32は、最新液高データの回転速度が回転速度基準値以上であるかを判定し、否定判定した最新液高データを停止フェーズデータとする。相違度算出部36は第1期間の複数の停止フェーズデータの各々と履歴基準との相違度を求め、相違度算出部36は第2期間の各々の複数の停止フェーズデータの各々と履歴停止フェーズデータに基づく履歴基準との相違度を求める。相違度算出部36は第3期間のそれぞれの複数の停止フェーズデータの各々と、履歴基準との相違度を求める。画像生成部38は相違度を表す画像を生成して表示部に表示する。
【選択図】
図3