(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】経路案内装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220414BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20220414BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220414BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2020130594
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2020-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】500423444
【氏名又は名称】株式会社ソケッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】特許業務法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十崎 正明
(72)【発明者】
【氏名】浦部 浩司
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-028699(JP,A)
【文献】特開2012-058870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を決定する位置情報決定手段と、
1または複数の領域定義を保持する領域定義保持手段と、
上記1または複数の領域定義のうちの少なくとも1つの領域定義に対して、当該少なくとも1つの領域定義の各々に付与されている1または複数の実現対象テーマを保持するテーマ情報保持手段と、
上記位置情報決定手段により決定された位置情報が上記少なくとも1つの領域定義のいずれかに関連付けられたときに、当該位置情報が関連付けられた領域定義を判別する領域定義判別手段と、
上記領域定義判別手段の判別結果に応答して、上記テーマ情報保持手段を参照して、上記位置情報が関連付けられた領域定義に付与されている実現対象テーマのうち少なくとも1つを提示するテーマ提示手段と、
上記テーマ提示手段により提示された実現対象テーマを選択するテーマ選択手段と、
検索対象にタグ情報を関連付ける検索対象関連付けデータを保持する検索対象関連付けデータ保持手段と、
提示された実現対象テーマが選択されたときに、当該実現対象テーマに付与されているタグ情報を検索キーとして上記検索対象関連付けデータ保持手段を参照して上記検索対象に対して検索を行う検索手段と、
上記検索手段の検索結果を提示する検索結果提示手段と、
上記検索結果提示手段が提示した検索結果を選択する検索結果選択手段と、
上記検索結果選択手段により選択された検索対象への経路を決定する経路決定手段とを有することを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
初期のテーマを選択する初期テーマ選択手段をさらに有し、上記検索手段は、上記初期のテーマに付与されているタグ情報を検索キーとして上記検索対象に対して検索を行い初期検索結果を出力し、上記検索結果提示手段は、上記初期検索結果を提示し、上記テーマ選択手段は、上記初期検索結果を選択し、上記経路決定手段は、上記初期検索結果から選択された選択対象への経路を決定する請求項1記載の経路案内装置。
【請求項3】
上記検索対象関連付けデータは上記検索対象に付与されるメタワードである請求項1または2記載の経路案内装置。
【請求項4】
上記実現対象テーマに付与される上記タグ情報は複数のメタワードを含む請求項3記載の経路案内装置。
【請求項5】
上記実現対象テーマに付与される上記タグ情報は複数のメタワードおよびそれぞれの重み係数を含む請求項4記載の経路案内装置。
【請求項6】
上記領域定義は、地図データの1または複数のメッシュ定義から成る請求項1から5のいずれかに記載の経路案内装置。
【請求項7】
上記検索手段は、上記位置情報が関連付けられた領域定義に含まれるメッシュ定義に規定される範囲で検索を行う請求項6記載の経路案内装置。
【請求項8】
上記メッシュ定義で規定される範囲は、上記領域定義の外延領域を含む請求項7記載の経路案内装置。
【請求項9】
位置情報を決定する位置情報決定手段と、
1または複数の領域定義を保持する領域定義保持手段と、
上記1または複数の領域定義のうちの少なくとも1つの領域定義に対して、当該少なくとも1つの領域定義の各々に付与されている1または複数の実現対象テーマを保持するテーマ情報保持手段と、
上記位置情報決定手段により決定された位置情報が上記少なくとも1つの領域定義のいずれかに関連付けられたときに、当該位置情報が関連付けられた領域定義を判別する領域定義判別手段と、
上記領域定義判別手段の判別結果に応答して、上記テーマ情報保持手段を参照して、上記位置情報が関連付けられた領域定義に付与されている実現対象テーマのうち少なくとも1つを提示するテーマ提示手段と、
上記テーマ提示手段により提示された実現対象テーマを選択するテーマ選択手段と、
検索対象にタグ情報を関連付ける検索対象関連付けデータを保持する検索対象関連付けデータ保持手段と、
提示された実現対象テーマが選択されたときに、当該実現対象テーマに付与されているタグ情報を検索キーとして上記検索対象関連付けデータ保持手段を参照して上記検索対象に対して検索を行う検索手段と、
上記検索手段の検索結果を提示する検索結果提示手段とを有することを特徴とする検索装置。
【請求項10】
上記検索対象の少なくとも一部は位置情報を付与されている請求項9記載の検索装置。
【請求項11】
上記検索対象は視聴覚対象のコンテンツである請求項9記載の検索装置。
【請求項12】
位置情報決定手段が位置情報を決定するステップと、
領域定義判別手段が、上記位置情報決定手段により決定された位置情報が、領域定義保持手段に保持されている1または複数の領域定義のうちの少なくとも1つの領域定義であって、1または複数の実現対象テーマを付与されている上記少なくとも1つの領域定義のいずれかに関連付けられたときに、当該位置情報が関連付けられた領域定義を判別するステップと、
テーマ提示手段が、上記領域定義判別手段の判別結果に応答して、上記位置情報が関連付けられた領域定義に付与されている実現対象テーマのうち少なくとも1つを提示するステップと、
テーマ選択手段が、上記テーマ提示手段により提示された実現対象テーマを選択するステップと、
検索手段が、提示された実現対象テーマが選択されたときに、当該実現対象テーマに付与されているタグ情報を検索キーとして、検索対象関連付けデータ保持手段に保持されている、検索対象にタグ情報を関連付ける検索対象関連付けデータを参照して上記検索対象に対して検索を行うステップと、
検索結果提示手段が、上記検索手段の検索結果を提示するステップと、
検索結果選択手段が、上記検索結果提示手段が提示した検索結果を選択するステップと、
経路決定手段が、上記検索結果選択手段により選択された検索対象への経路を決定するステップとを有することを特徴とする経路案内方法。
【請求項13】
コンピュータを、
位置情報を決定する位置情報決定手段、
1または複数の領域定義を保持する領域定義保持手段、
上記1または複数の領域定義のうちの少なくとも1つの領域定義に対して、当該少なくとも1つの領域定義の各々に付与されている1または複数の実現対象テーマを保持するテーマ情報保持手段、
上記位置情報決定手段により決定された位置情報が上記少なくとも1つの領域定義のいずれかに関連付けられたときに、当該位置情報が関連付けられた領域定義を判別する領域定義判別手段、
上記領域定義判別手段の判別結果に応答して、上記テーマ情報保持手段を参照して、上記位置情報が関連付けられた領域定義に付与されている実現対象テーマのうち少なくとも1つを提示するテーマ提示手段、
上記テーマ提示手段により提示された実現対象テーマを選択するテーマ選択手段、
検索対象にタグ情報を関連付ける検索対象関連付けデータを保持する検索対象関連付けデータ保持手段、
提示された実現対象テーマが選択されたときに、当該実現対象テーマに付与されているタグ情報を検索キーとして上記検索対象関連付けデータ保持手段を参照して上記検索対象に対して検索を行う検索手段、
上記検索手段の検索結果を提示する検索結果提示手段、および、
上記検索結果提示手段が提示した検索結果を選択する検索結果選択手段、
上記検索結果選択手段により選択された検索対象への経路を決定する経路決定手段、
として実現されるために使用される経路案内用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テーマ内容を実現するように利用者に提案を行う提案技術に関し、とくに、移動途中で、実現可能なテーマ内容を利用者に提示できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
移動体(移動者)の現在の位置情報をもとに、周辺の地域のコンテンツ情報を検索するというサービスが実用化されている。例えば、カーナビや位置情報を利用する携帯アプリにおいて、現在の位置に近いレストランや観光スポットの検索結果のリストを表示し、その中から利用者が選択した対象の詳細情報やその地点への道順情報(経路情報、ルート情報)を提供するといったことが行われている。
【0003】
利用者が設定した場所に近づいたときに、お知らせ情報を発信するといったサービスも実用化されている。
【0004】
また、カーナビ等のルート検索サービスでは、交差点などの分岐点に対して、その位置と地名などの属性情報を管理し、移動体がルート進行方向上で一定距離の範囲に入った場合に、その情報を表示するといったことが一般的に行うわれている。
【0005】
ここで、ルート検索サービスで「美しい景色が見たい」という目的でA地点からB地点経由でC地点にいく設定をおこなった場合を考える(
図1)。B地点の領域に入ったときに、そのまま、B地点、C地点に行くのではなく、ランチタイムになったので、近くの「美味しいランチが食べたい」と思ったときに、従来の方法では、利用者が自らB地点で「美味しい店」を探す検索処理を行う必要がある。また、この際、A地点からB地点にくる手前のD地点に「美味しい店」があったとしても、気が付かずにB地点まできてしまい、D地点の「美味しい店」に行くのであれば、D地点まで今来た道を引き返すなどの時間的なロスが生じてしまうなどの問題があった(
図2)。また、目的地を変更するため、C地点に行くためには再設定が必要になり、煩雑である。
【0006】
なお、この発明に関連する先行技術文献としては、特開2018-004461号公報がある。この先行技術文献は、案内経路からの逸脱量に基づいて立ち寄りやすい施設を適切に検索することを開示している。
【0007】
なお、本発明は、上述の課題により限定的に理解されるべきでなく、その内容は特許請求の範囲に規定され、以下に実施例を用いて詳細に説明される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
利用者の移動を誘導する際などに、その経路途中で、実現可能なテーマ内容を利用者に提示し、効率よく、所望のテーマの内容を実現できるようにすることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によれば、上述の目的を達成するために、特許請求の範囲に記載のとおりの構成を採用している。ここでは、発明を詳細に説明するのに先だって、特許請求の範囲の記載について補充的に説明を行なっておく。
【0011】
この発明の一側面によれば、上述の目的を達成するために、経路案内装置を:位置情報を決定する位置情報決定手段と;1または複数の領域定義を保持する領域定義保持手段と;上記1または複数の領域定義のうちの少なくとも1つの領域定義に対して、当該少なくとも1つの領域定義の各々に付与されている1または複数の実現対象テーマを保持するテーマ情報保持手段と;上記位置情報決定手段により決定された位置情報が上記少なくとも1つの領域定義のいずれかに関連付けられたときに、当該位置情報が関連付けられた領域定義を判別する領域定義判別手段と;上記領域定義判別手段の判別結果に応答して、上記テーマ情報保持手段を参照して、上記位置情報が関連付けられた領域定義に付与されている実現対象テーマのうち少なくとも1つを提示するテーマ提示手段と;上記テーマ提示手段により提示された実現対象テーマを選択するテーマ選択手段と;検索対象にタグ情報を関連付ける検索対象関連付けデータを保持する検索対象関連付けデータ保持手段と;提示された実現対象テーマが選択されたときに、当該実現対象テーマに付与されているタグ情報を検索キーとして上記検索対象関連付けデータ保持手段を参照して上記検索対象に対して検索を行う検索手段と;上記検索手段の検索結果を提示する検索結果提示手段と;上記検索結果提示手段が提示した検索結果を選択する検索結果選択手段と;上記検索結果選択手段により選択された検索対象への経路を決定する経路決定手段とを含むように構成している。
【0012】
位置情報決定手段は、典型的にはGPS(Global Positioning System)装置であり、走行距離を測定する機器を保持的に利用して良い。位置情報決定手段は、典型的には、実際に測定される移動体(利用者、車、移動体通信端末等)の位置情報を決定するものであるけれども、仮想的に地図上の位置を決定するものであっても良い。
【0013】
実現対象テーマ(目的テーマ)は、「美しい景色が見たい」、「美味しいランチが食べたい」というような文章で表れる抽象的な内容であって良いけれども、具体的な事物、事象であってもよい。単純なキーワードであっても良い。
【0014】
領域定義は、地図上の一塊の領域を定義するものであり、一塊の領域は不連続に配置される領域であってよい。
【0015】
領域定義判別手段は、典型的には、位置情報決定手段で決定された位置情報が領域定義の範囲またはその近傍に含まれることを判別するものである。
【0016】
この構成においては、位置情報が領域定義に関連付けられたとき、典型的には、移動体が領域定義の範囲または近傍に含まれることが、位置情報に基づいて、判別されたときに、当該領域定義に付与されているテーマを提示し、当該テーマが選択されたときには、当該テーマに付与されたタグ情報を用いて関連する検索対象を認識できるようにし、もって、関連する検索対象を目的地や経由地(オプションとして)として経路案内を行って、効率よくテーマを実現できる。
【0017】
この構成において、経路案内装置は、初期のテーマを選択する初期テーマ選択手段をさらに有し、上記検索手段は、上記初期のテーマに付与されているタグ情報を検索キーとして上記検索対象に対して検索を行い初期検索結果を出力し、上記検索結果提示手段は、上記初期検索結果を提示し、上記テーマ選択手段は、上記初期検索結果を選択し、上記経路決定手段は、上記初期検索結果から選択された選択対象への経路を決定して良い。
【0018】
また、上記検索対象関連付けデータは上記検索対象に付与されるメタワードであって良い。
【0019】
また、上記実現対象テーマに付与される上記タグ情報は複数のメタワードを含んで良い。
【0020】
また、上記実現対象テーマに付与される上記タグ情報は複数のメタワードおよびそれぞれの重み係数を含んで良い。
【0021】
また、上記領域定義は、地図データの1または複数のメッシュ定義から成って良い。
【0022】
また、上記検索手段は、上記位置情報が関連付けられた領域定義に含まれるメッシュ定義に規定される範囲で検索を行って良い。
【0023】
また、検索対象の上記メッシュ定義で規定される範囲は、上記領域定義の外延領域を含んで良い。
【0024】
この発明の他の側面によれば、上述の目的を達成するために、検索装置を:位置情報を決定する位置情報決定手段と;1または複数の領域定義を保持する領域定義保持手段と;上記1または複数の領域定義のうちの少なくとも1つの領域定義に対して、当該少なくとも1つの領域定義の各々に付与されている1または複数の実現対象テーマを保持するテーマ情報保持手段と;上記位置情報決定手段により決定された位置情報が上記少なくとも1つの領域定義のいずれかに関連付けられたときに、当該位置情報が関連付けられた領域定義を判別する領域定義判別手段と;検索対象にタグ情報を関連付ける検索対象関連付けデータを保持する検索対象関連付けデータ保持手段と;上記領域定義判別手段の判別結果に応答して、上記テーマ情報保持手段を参照して、上記位置情報が関連付けられた領域定義に付与されている実現対象テーマのうち少なくとも1つに付与されているタグ情報を検索キーとして上記検索対象関連付けデータ保持手段を参照して上記検索対象に対して検索を行う検索手段と;上記検索手段の検索結果を提示する検索結果提示手段とを含んで構成している。
【0025】
この構成においては、位置情報が領域定義に関連付けられたとき、典型的には、移動体が領域定義の範囲または近傍に含まれることが、位置情報に基づいて、判別されたときに、当該領域定義に付与されているテーマを提示し、当該テーマが選択されたときには、当該テーマに付与されたタグ情報を用いて関連する検索対象を認識できるようにし、もって、効率よくテーマを実現できる。
【0026】
この構成において、上記検索対象の少なくとも一部は位置情報を付与されていてよい。この位置情報を用いて経路案内を行ってよい。
【0027】
また、上記検索対象は視聴覚対象のコンテンツであって良い。例えば、選択されたテーマに関して利用者に提供するサービス内容として、目的地候補・経由地候補の提示に限定されず、現時点や目的地に関連した音楽、画像、映像、詳細情報といった情報をコンテンツとして供給して良い。
【0028】
この発明の他の側面によれば、上述の目的を達成するために、検索装置を:検索入力を供給する検索入力手段と;位置情報が割り当てられた検索対象について1または複数のキーワードを関連付けるキーワード関連付けデータを記憶する、キーワード関連付けデータ記憶手段と;移動体の位置情報を決定する位置情報決定手段と;1または複数の領域定義を記憶する領域定義記憶手段と;上記1または複数の領域定義および上記位置情報に基づいて上記移動体が上記1または複数の領域定義のいずれかに関連付けられたことを判別する関連付け判別手段と;上記関連付け判別手段の判別結果に応答して、上記検索対象のうち、上記関連付け判別手段によって関連付けられた上記位置情報または上記領域情報によって限定される位置情報を含む上記検索対象に対して、上記検索入力に基づいて上記キーワード関連付けデータを参照して検索を行う検索手段と、
上記検索手段の検索結果を提示する検索結果提示手段とを含むように構成している。
【0029】
この構成においては、位置情報が領域定義に関連付けられたとき、典型的には、移動体が領域定義の範囲または近傍に含まれることが、位置情報に基づいて、判別されたときに、当該領域定義に基づいて決定される範囲で、検索入力によって検索対象を検索して、もって、効率よく所望の検索対象を認識できる。検索入力は、領域定義に割り当てられたものでもよいし、利用者が入力したものでも良い。
【0030】
この構成においても、上記検索対象の少なくとも一部は位置情報を付与されていてよい。この位置情報を用いて経路案内を行ってよい。
【0031】
また、この構成においても、上記検索対象は視聴覚対象のコンテンツであって良い。例えば、選択されたテーマに関して利用者に提供するサービス内容として、目的地候補・経由地候補の提示に限定されず、現時点や目的地に関連した音楽、画像、映像、詳細情報といった情報をコンテンツとして供給して良い。
【0032】
なお、この発明は装置またはシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、そのような発明の一部をソフトウェアとして構成することができることはもちろんである。またそのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品(コンピュータプログラム)もこの発明の技術的な範囲に含まれることも当然である。
【0033】
この発明の上述の側面および他の側面は特許請求の範囲に記載され、以下、実施例等を用いて詳述される。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、典型的には、テーマ内容を実現するように利用者の移動を誘導する際に、その経路途中で、実現可能なテーマ内容を利用者に提示し、効率よく、所望のテーマの内容を実現できるようにすることができるけれども、これに限定されず、その内容は特許請求の範囲期記載のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】経路案内中にテーマを変更する態様を説明する図である。
【
図2】従来の経路案内による不具合を説明する図である。
【
図3】この発明の実施例の構成例を説明するブロック図である。
【
図4】エリアグループの構成要素のエリアブロックを説明する図である。
【
図5】エリアブロックとエリアグループとの関係を説明する図である。
【
図6】エリアグループに付与される情報を説明する図である。
【
図7】エリアグループの例とタグ情報付与範囲の例とを説明する図である。
【
図8】目的テーマに付与される情報を説明する図である。
【
図12】実施例の経路案内動作例を説明するフローチャートである。
【
図13】実施例の経路案内動作中に新しいテーマが提案された場合の動作例を説明する図である。
【
図14】新しいテーマに基づく経路案内が終了したのちの動作例を説明する図である。
【
図15】新しいテーマに基づく経路案内が終了したのちの他の動作例を説明する図である。
【
図16】実施例を実現するための携帯端末の構成例を説明する図である。
【
図17】テーマを記述するイディオムメタワードを説明する図である。
【
図18】検索対象に付与されるタグ情報およびイディオムメタワードに付与される情報を説明する図である。
【
図19】イディオムメタワードの例を説明する図である。
【
図20】他の実施例の検索装置の構成例を示すブロック図である。
【
図21】他の実施例の検索装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、この発明の実施例の経路案内装置(ナビゲーション装置ともいう)について説明する。
【0037】
図3は、実施例の経路案内装置100の具体的な構成例を示しており、この図において、経路案内装置100は、位置情報決定部10、領域定義判別部20、テーマ提示部30、テーマ選択部31、検索部40、検索結果提示部50、検索結果選択部51、経路決定部60、経路表示部70、移動先推薦用データベース80等を含んで構成されている。移動先推薦用データベース80は、領域(エリアグループ)ごとに領域定義81、テーマ情報82、検索対象関連付けデータ(移動先候補関連付けデータ)83を保持している。経路案内装置100は、典型系的には1または複数の計算機リソース(コンピュータシステム)を用いて構成される。経路案内装置100は、例えば、記録媒体111に記録されたコンピュータプログラムや通信ネットワーク(図示しない)を介して送信されてくるコンピュータプログラムをコンピュータシステム110にインストールすることにより実現される。コンピュータシステム110は、CPU、主メモリ、バス、外部メモリ、種々の入出力インタフェース等を有してなり、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、情報家電機器等であって良い。スマートフォンの構成例については
図16を参照して後述する。移動先推薦用データベースは、目的地候補・経由地候補等の移動先の提示に限定されず、これとは別に、または、これに加えて、現時点や目的地に関連した音楽、画像、映像、詳細情報といった情報を推薦するものであって良い。
【0038】
経路案内装置100は、典型的には車載カーナビゲーションシステムや携帯端末アプリであるけれども、これに限定されない。経路案内装置100は、領域(エリアグループ)に依存して移動先(目的地、経由地)を推薦し、それに応じて経路案内を行うものである。
【0039】
位置情報決定部10は、典型的には、GPS装置であるけれども、移動体通信の移動局から位置情報(例えばPHS位置情報)を取得しても良く、移動体、例えば車両の移動距離を測定して補助的に利用して良い。移動情報は、実際の位置情報であっても、仮想的な位置情報であっても良い。仮想的な位置情報を用いて経路案内のシミュレーションを行える。
【0040】
領域定義判別部20は、位置情報決定部10からの位置情報と、移動先推薦用データベース80の領域定義(エリアグループの定義)81とを参照して、典型的には、位置情報が、領域定義と衝突するかどうかを判別する。位置情報が、領域定義またはその周辺領域の定義と衝突するかどうかを判別しても良い。位置情報が任意の領域定義(またはその周辺領域の定義)と衝突するときには、領域定義判別部20は、当該領域定義を特定する。
【0041】
領域定義81は、1または隣接する複数のエリアブロックを用いて記述される。この例においては、地図上の情報をデジタル化したり、各種統計情報をとるために地図上の経緯度方眼として定められた地域メッシュデータを定義する。メッシュの仕様は、国土交通省の定義する情報を利用してもいいし、サービス独自で定義してもよい。ここでは、この地図上のメッシュ情報を
図4に示す地域メッシュと表現し、最小メッシュ範囲をエリアブロックとする。
【0042】
領域定義81は、エリアグループとして定義され、このエリアグループは1または隣接する複数のエリアブロックの集合体である。
図5はエリアグループの例を説明し、
図5の例では、AG1は(b1)の集合、AG2は(b3,b4,c4)の集合、AG3は(e1,e2)の集合、AG4は(e6,d6)の集合として定義される。なお、エリアグループに属するエリアブロックは、他のエリアグループに重複して属してもよい。例えば、移動体のGPS情報を定期的に取得することで、現在移動体が位置するエリアブロックを特定する。現在のエリアブロックがエリアグループに属していた場合には、移動体は該当するエリアグループのテーマ情報82や検索対象関連付けデータ83等を参照できる。
【0043】
この実施例においては、エリアグループごとの領域定義81、テーマ情報82、および検索対象関連付けデータ83は、エリアグループごとに、以下に説明するエリアグループ情報および目的テーマ情報として管理されているけれども、これに限定されない。エリアグループごとに目的テーマの識別子を保持して、これに基づいて目的テーマデータベースから目的テーマ情報を表引きして良い。また、エリアグループごとに検索対象の識別子を保持して、これに基づいて検索対象データベースから検索対象ごとの検索対象関連付けデータを表引きしても良い。
【0044】
移動先推薦用データベース80は、エリアグループの各々に対して以下の情報を関連付けて保持している(
図6)。
(1)エリアグループID,エリアグループ名
(2)エリアグループに属するエリアブロックID
(3)エリアグループ全体に付与されたタグ情報
その例:横浜ベイサイドエリア,定番,観光スポット,洗練された,...
(4)エリアグループに関連付けられたカテゴリ別のタグ情報
その例:
<食べる_飲む>カテゴリ(グルメ情報):地元,家族,アットホーム,こだわり
<見る>カテゴリ(観光情報):景色,武家屋敷,博物館,雄大,開放感
<買う>カテゴリ(買い物情報):新鮮,地産,野菜
<地域イベント>カテゴリ:フリーマーケット,動物,ウサギ,ふれあい
エリアグループに関連付けれられた地点情報、イベント情報を保持して良い。
地点情報、イベント情報の例は以下のとおりである。
<観光情報>カテゴリ
「赤レンガ倉庫」:レトロ,おしゃれ,遊ぶ,デートに合う,...
「山下公園」:海への眺望,デートに合う、散策、ロマンチック,...,
<グルメ情報>カテゴリ
「中華街」:中華料理,美味しい,楽しめる,満腹感,お土産,...
<買い物情報>カテゴリ
「クイーンズスクエア」:洗練された、バリエーション豊か、都会的な、...
<地域イベント情報>カテゴリ
「横浜大道芸2020」:面白い,楽しい,ユニーク,にぎやか,笑顔,...
「元町チャーミングセール」:ブランド品,おしゃれ,お得,プチ贅沢,...
(5)エリアグループの場所を起点とした目的テーマの選択リスト
【0045】
領域定義81は、(1)エリアグループID,エリアグループ名、および、(2)エリアグループに属するエリアブロックIDを含むけれどもこれに限定されない。
【0046】
テーマ情報82は、(5)エリアグループの場所を起点とした目的テーマの選択リストを含むけれども、これに限定されない。目的テーマの選択リストはその要素として目的テーマを含み、これについては後述する。選択リストは目的テーマのIDのリストであってよく、目的テーマのIDに基づいて選択リストに含まれる目的テーマの情報を取得して良い。目的テーマは、後述するように重み付けされたメタワードからなるタグ情報を含んで良く、目的テーマのタグ情報とエリアグループのカテゴリごとのタグ情報とのスコアマッチングに基づいて、所望の1または複数の目的テーマをエリアグループに関連付けて選択リストの要素として決定して良い。エリアグループ全体のタグ情報を用いて目的テーマの選択リストの要素となる目的テーマを決定しても良い。
【0047】
検索対象関連付けデータ83は、項目(4)に関連して説明した、エリアグループの関連付けられた地点情報やイベント情報のタグ情報を含むけれどもこれに限定されない。タグ情報は、検索対象、例えば、「赤レンガ倉庫」に関連付けられた、重要度の重み付きメタワードであるけれども、これに限定されない。先の(4)の例では、重み付けは示されていない。
【0048】
項目(3)のエリアグループ全体に付与されたタグ情報は、重み付きメタワーワードであるけれども、これに限定されない。エリアグループ全体に付与されたタグ情報を用いて、所望の検索入力に合致したエリアグループを選択することができる。エリアグループのカテゴリごとに付与されたタグ情報を用いて、同様に、所望の検索入力に合致したエリアグループを選択することができる。
【0049】
この例では、エリアグループに付与される項目(3)および(4)のタグ情報は、
図7に示すように当該エリアグループの周囲にある地点情報、イベント情報(併せて検索対象ともいう)から導出される。すなわち、
図7(B)は
図7(A)のエリアグループに対して、利用する地点情報・イベント情報の範囲の一例を示す。この例では、エリアグループの隣接するエリアブロックの一定比率まで含めて扱っているけれども、この方法に限定されるものではなく、隣接の複数のブロックを含め、または、エリアグループの重心位置から一定の距離の範囲の地点情報、イベント情報を含めてもよい。また、範囲の広さは、都市部とそれ以外で異なっていてもよい。検索対象の地点情報・イベント情報の範囲も
図7(B)により規定されて良い。
【0050】
項目(3)のエリアグループ全体に付与されたタグ情報は、
図7(B)に示す範囲に含まれる地点情報およびイベント情報の各々に付与されたタグ情報を、類似したワードを名寄せ等してマージしたものであり、スコア値はそのワード(タグ情報)の重要度を示す(大きい値ほど重要度が大きいとする)。項目(4)のエリアグループに関連付けられカテゴリ別のタグ情報は、
図7(B)に示す範囲に含まれる地点情報およびイベント情報の各々に付与されたタグ情報を、カテゴリ別に、類似したワードを名寄せ等してマージしたものであり、スコア値はそのワード(タグ情報)の重要度を示す(大きい値ほど重要度が大きいとする)。
【0051】
一例として
図5のエリアグループAG2に付与されるカテゴリ別のタグ情報は、以下のようなものである。
<食べる_飲む>カテゴリ 地元:0.32,家族:0.24,アットホーム:0.21,こだわり:0.10
<楽しむ>カテゴリ いちご狩り:0.27,イチゴ:0.22,アイスクリーム:0.21,甘い:0.17
<見る>カテゴリ 絶景:0.37,武家屋敷:0.26,博物館:0.19,雄大:0.12,開放感:0.08
<買う>カテゴリ 新鮮:0.44,地産:0.39,野菜:0.15
<地域イベント>カテゴリ フリーマーケット:0.31,動物:0.30,ウサギ:0.27,ふれあい:0.16
【0052】
各エリアグループに付与される目的テーマは、エリアグループに関連付けられたカテゴリ別のタグ情報に対して各目的テーマに付加されているタグ情報とのマッチングスコアの高いものから選択するけれども、これに限定されない。
【0053】
目的テーマの例はつぎのようなものである。
絶景がみたい、夕日がみたい、温泉にいきたい、休憩したい、歴史に触れたい、お参りしたい、隠れた名店にいきたい、静かな場所にいきたい、森林浴がしたいお土産が買いたい、ショッピングモールにいきたい、食事がしたい、地元の料理が食べたい、イタリアンが食べたい、…
【0054】
各目的テーマには以下の情報が含まれる(
図8)。
(1)目的テーマID、目的テーマ名
(2)目的テーマカテゴリ(買う、食べる、見る、楽しむ…)
(3)目的テーマに対する紹介テキスト
(4)目的テーマのタグ情報
(5)目的達成地点数(1~N)(たとえば食べるなら1カ所いけば目的達成とする)
(6)目的テーマの選択条件
エリアグループに入る直前のエリアブロックID
季節、時間帯、天気などのリアルタイム情報
現在設定されている訴求テーマの情報
【0055】
上述の目的テーマの情報は、エリアグループの目的テーマの選択リストに含まれて良いけれども、目的テーマの情報をデータベースとして管理し、エリアグループの目的テーマの選択リストには目的テーマのIDのみを保持させ、このIDからデータベースを表引きして所望の目的テーマの情報を取得して良い。
【0056】
テーマ提示部30は、領域定義判別部20の判別結果に基づいて、位置情報と衝突した領域定義(エリアグループ)の目的テーマの選択リストを、テーマ情報82を参照して利用者に提示する。利用者は、テーマ選択部31を用いて選択リストから目的テーマを選択し、または、選択拒否を行える。検索部40は、目的テーマの選択リストから目的テーマが選択されたときに、検索対象関連付けデータ83を参照しても目的テーマのタグ情報と関連度が大きな地点情報・イベント情報を取出し、検索結果提示部50はこの検索結果を提示する。利用者は検索結果選択部51を用いて所望の地点情報・イベント情報を目的地・経由地として選択する。経路決定部60は、目的地・経由地に選択された地点情報・イベント情報の位置情報を用いて経路を決定する。経路は、最適経路問題を解くためのアルゴリズム、例えばダイクストラ法を用いて決定できる。すなわち、ある地点から目的地までに複数の経路があり、その経路によってかかるコストが異なる場合は、目的地までの最適経路を求めることができる。地点間のコストとしては、距離、渋滞情報や道路幅などの情報に加えて、次の目的地に対する利用者訴求に対するマッチングスコアが考慮される。どれを目的地(選択地)として選ぶかも経路のコストから決定して良い。利用者は案内経路を経路表示部70において確認できる。
【0057】
つぎに、目的テーマの提案の動作例について説明する。例えば
図13のエリアグループ2のグループ構成例が
図7(A)のエリアグループAG2であったとする。このエリアグループの情報付与範囲(
図7(B))に対して、
図10および
図11の地域情報(地点情報、イベント情報)が含まれているとする。その場合、以下にエリアグループに関連付けられたカテゴリ別のタグ情報例を示す。これらは、各地点に付加されているタグ情報について、カテゴリ別に類似したワードを名寄せするなどして、マージしたものである。スコア値は、そのワードの重要度を示す(大きい値が重要度が大きいとする)。
<食べる_飲む>カテゴリ 地元:0.32,家族:0.24,アットホーム:0.21,こだわり:0.10
<楽しむ>カテゴリ いちご狩り:0.27,イチゴ:0.22,アイスクリーム:0.21,甘い:0.17
<見る>カテゴリ 絶景:0.37,武家屋敷:0.26,博物館:0.19,雄大:0.12,開放感:0.08
<買う>カテゴリ 新鮮:0.44,地産:0.39,野菜:0.15
<地域イベント>カテゴリ フリーマーケット:0.31,動物:0.30,ウサギ:0.27,ふれあい:0.16
また、
図13のエリアグループ2に含まれる目的テーマ選択リストとして
図9に示すものが定義されているものとする。
【0058】
ここで、
図1でA地点での目的テーマの設定として「いい景色がみたい」を選択し、その結果、ルートとして、A地点→B地点→C地点が選択されたとする。ルートにおいて、AからBに移動している途中で、エリアグループ2に移動体が入ったタイミングで、エリアグループ2に含まれる情報が参照される。エリアグループ2には目的テーマ選択リストが定義されているため、目的テーマの変更提案を行う。エリアグループ2に入った時間が12:30といったランチタイムであった場合、目的テーマ変更の候補として「地元の味を味わいたい」、「家族と楽しみたい」が選択候補として抽出されたとする。
【0059】
この2つを目的テーマの変更として利用者に表示、提案したところ、「地元の味を味わいたい」が選択された場合、この目的テーマのカテゴリ「食べる_飲む」の地域情報の中からタグ情報として定義されている「地元:0.52こだわり:0.31新鮮:0.25」とのマッチングスコアが大きい地点候補1つ、もしくは数個を利用者に提示、提案する。利用者が提案内容に同意した場合、新たな目的テーマが設定され、ルートが変更される。地点候補のうち限定したもののみを選択して良い。
【0060】
この例では、目的テーマの目的達成地点数が1なので、目的地に着いた時点で目的テーマが完了する。その際には、以前の目的テーマを含めて新たなテーマを提案し、利用者に選択してもらうことで、次のルートを求める。
【0061】
この目的テーマ候補の選別においては、現在の目的テーマのカテゴリと異なるテーマから選択してもよい。また、現在の季節、時間帯、天候、曜日によって選択可能な目的テーマを選別してもよい。さらに、利用者の過去の選択履歴によって得られた嗜好情報から、マッチングさせるワードに重み付けしてもよい。
【0062】
この情報タグにマッチングさせることで抽出される地点情報は、同じエリアグループの中にあるもの、および、現在位置から一定の距離の範囲の地点のものから選択されるものとする。検索範囲は、カテゴリごとに変更してもよい。たとえば、「食べる_飲む」の検索距離は短く、「見る」は長くするなどが考えられる。
【0063】
地点検索処理は、リアルタイムで行ってもよいし、定期的にバックエンド処理で事前に行って情報を保存しておいてもよい。
【0064】
ここで、以前の目的テーマの情報を継承して、新らたな目標テーマの情報タグにスコア値を低くして追加し、それを使って地点候補を検索してもよい。もしくは、新しい目的テーマが終了した時点で再度以前の目的テーマで目標地点候補を検索してルートを再設定してもよいし、その情報は継承せずに、新しい目標テーマを提案してもよい。
【0065】
案内経路から分岐するイベントはつぎのように処理される。特定の位置におけるメッシュ情報をメッシュエリアグループと定義する。利用者の移動に伴い、新なメッシュエリアグル―プに入ったことが検出されたタイミングで、分岐イベントが選択可能かどうかを判定し、選択可能であった場合には、前回の選択タイミングとの時間間隔を考慮したうえで、利用者に分岐選択可能であることを通知する。通知は、画面もしくは音声、もしくはその両方でもよい。利用者に通知するタイミングは、道路情報や運行状況を考慮して行うこともできる。利用者の選択により、現在選択中の目的テーマ(イディオムタグ)と異なる目的テーマが選択された場合には、その時点でその目的テーマにマッチした店や観光スポットを探し、ルート検索を行う。
【0066】
この方式では、目的テーマにマッチする複数の地点を抽出することが基本機能となる。加えて、現在地からの距離と、目的テーマと各地点とのマッチングスコアから、各地点に行く順番を決定することもできる。実用化されているナビゲーションシステムでは、現在地、目的地の設定に加えて、経由地点の順番を設定することで、道路情報、渋滞情報、ルートの距離を考慮したルートを提示、設定することができる。
【0067】
既存のナビゲーションサービスと連携する場合には、上記で決定されたスポット情報と行く順番をナビゲーションシステムに送信、設定することで、カーナビゲーションの既存の機能を変更せずに詳細なルート情報を得ることができる。または、ナビゲーションサービス側に、各地点のマッチングスコアや各地点のおすすめ時間を合わせて提供することで、地点の重要度や到達予想時間とおすすめ時間を考慮した、より適切なナビゲーション情報を利用者に提供することができる。
【0068】
図12は、
図3の実施例の経路案内装置100の動作例を示す。
図12の動作例では以下のように処理されるけれども、これに限定されない。
[ステップS10」:経路案内装置100を動作開始させる。
[ステップS11」:目的テーマを設定する。初期テーマもテーマ選択部31を用いて選択できる。分岐イベントがあった場合もノードBを介して目的テーマを選択できる。
[ステップS12」:選択された目的テーマに応じて地点情報(
図10)、イベント情報を選択し、経路計算を行って案内経路を決定する。
[ステップS13」:設定された案内経路を用いて経路案内を開始する。
[ステップS14」:目的地到着したかどうかを判別し、目的地に到着した場合はステップS19へ進む。目的地に到着していない場合にはステップS15へ進む。
[ステップS15」:移動体がエリアグループに関連付けられているかどうかを判別する。例えば、移動体がエリアグループに進入したときにこれを判別する。移動体がエリアグループに関連付けられたときにはステップS16へ進み、そうでないときにはステップS14に戻る。
[ステップS16」:当該エリアグループにテーマリストがあるかどうかを判別する。テーマリストがある場合にはステップS17へ進み、ない場合にはステップS14へ戻る。
[ステップS17」:利用者がテーマを選択したかどうかを判別する。利用者がテーマを判別したときにはステップS18へ進む。
[ステップS18」:既存の案内経路の未到着経路部分を記憶部に保存してノードBを介してステップS11に進み、テーマ選択を行う。こののちの動作は先に説明した通りである。
[ステップS19」:ステップS14において目的地に到着したと判別した場合には、保存経路があるかどうかを判別し、保存経路がある場合には、ステップS20に進み、ない場合には、ステップS24へ進み、経路案内処理を終了する。
[ステップS20」:案内経路が保存されている場合であっても利用者が案内終了を選択した場合には、ステップS24へ進み処理を終了し、利用者が案内継続を選択した場合にはステップS21へ進む。
[ステップS21」:利用者が保存案内経路の承継を選択し、または保存案内経路を無視して新たなテーマを選択して良い。
[ステップS22」:保存案内経路の承継選択か、テーマの新規更新かを判別し、承継選択の場合ステップS23に進み、テーマの新規更新の場合にはノードBを介してステップS11においてテーマ設定を行う。
[ステップS23」:承継選択が行われ、保存未到着経路部分を読み出し、ノードAを介してステップS12に進み、経路設定を行う。
[ステップS24」:経路案内処理を終了する。
【0069】
図16は、
図3のコンピュータシステム110として携帯端末300を利用する場合の構成例を示し、この図において、携帯端末300は、処理システム310、メモリ320、入出力サブシステム330、高周波回路部340、および音声回路部350を含む。構成要素の各々は、適宜、信号処理集積回路、特定用途向け集積回路、を含むハードウェア、ソフトウェア、またはこれらを組み合わせて実現できる。高周波回路部340は、他の装置に、無線リンクまたはネットワーク上で情報を送信・受信するのに用いられ、この機能を実行するために、アンテナ・システム、RF送受信機、増幅器、チューナー、発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、メモリ、その他の周知の回路構成を含むがこれらに限られない。高周波回路部340は、時分割多重アクセス(TDMA)、符号分割多重接続(CDMA)等のモバイル通信、無線LAN(IEEE 802.11b、IEEE802.11a、IEEE802.11g及び/又はIEEE802.11N)、ブルートゥース(IEEE802.15.1、登録商標)、Wi-MAX(IEEE802.16)等の通信プロトコルを利用できるけれども、これに限定されない。音声回路部350は、音声スピーカ351とマイクロフォン352に連結される。処理システム310はプロセッサ311、メモリコントローラ312、周辺装置インターフェース313を含む、メモリ320は、プロセッサ311が実行するコードやデータを格納する。メモリ320は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ディスク・ドライブ、磁気テープ等の任意の記憶装置を含んで良い。プロセッサ311は、メモリ320に格納された多様なソフトウェア・コンポーネントを実行する。例えば、ソフトウェア・コンポーネントは、オペレーティング・システム321、通信モジュール322、接触/動作モジュール323、グラフィック・モジュール324、アプリケーション325、タイマ・モジュール326、およびウェブ・ブラウザ・モジュール327を含む。アプリケーション325は、ブラウザ、アドレス帳、電子メール、暗号化、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)等の位置決定機能、および、二次元バーコードデコーダを含む。この実施例の経路案内装置100(
図3)は、典型的には、アプリケーション325の1つとして実現される。入出力サブシステム330はタッチパネル331等を制御する。対応するアプリケーションをメモリ320にインストールすることにより携帯端末300を経路案内装置(または検索装置)として実現する。
【0070】
この実施例の目的テーマは、これに限定されないけれども、イディオムメタワードにより規定されて良い。イディオムメタワードは、
図17に示すように基本メタワード群および感性メタワード群からなる。基本メタワードは従来型の検索用のタグであり、感性メタワードは感性的なタグである。イディオムメタワードは、これら1または複数の基本メタワードと、1または複数の感性メタワードと、これらのスコア値(重み係数)とで構成される。具体的には、イディオムメタワードは、その意味的な解釈を複数の感性メタワード、基本メタワードの集合体(以下メタワード因子ともいう)で表した複合的なメタワードとして定義される。目的テーマにイディオムメタワードを採用することによって、抽象度の高い利用者からの目的テーマ要求に対しても、それを元に、複数の地点情報・イベント情報を特定することができるようになる。
【0071】
このイディオムメタワードに含まれるメタワード因子(基本メタワード、感性メタワード)は
図17(A)のように、固定的に定義されるものと、コンテンツ種別、季節、シチュエーション、ユーザの年齢・性別などにより変動するもので構成される。感性メタワード群、基本メタワード群に含まれる因子数は最大上限数だけが定義されるもので、因子数は変動してもよい。また、変動因子はなくてもよい。ただし、イディオムメタワードに含まれる因子数は最小数、最大数が定義されている。感性メタワード群および基本メタワード群は
図17(B)に示すように個別のメタワードとそれぞれのスコア値とを含んでいる。
【0072】
イディオムメタワード内のメタワード因子は両者が混在した並び順でもよいけれども、この説明では固定メタワード、変動メタワードごとに前から後ろに向けて、スコア値の大きい順に並んでいる。ユーザからの要求に対しては、このイディオムメタワードを元に検索することで、コンテンツ種別や季節などの変動要因を考慮せずにイディオムメタワードの意味に対応するコンテンツ情報を得ることが可能となる。
【0073】
地点情報・イベント情報に付加されるタグは
図18(A)に示すように、基本メタワード、および感性メタワードからなって良い。イディオムメタワードは
図18(B)に示すような情報を保持する。イディオムメタワードに関連付けられているメタワード因子は、利用者のプロファイリング(年代、性別、嗜好傾向)、季節、時間帯、天気などの環境条件などに応じて変更または最適化されて良い。「イディオム名」は、イディオムメタワードの表示用の名称である。イディオムメタワードの例および対応するメタワード因子の例は
図19に示すとおりである。
【0074】
つぎにこの発明の他の実施例を説明する。この実施例は検索装置120を実現するものである。
図20において
図3と対応する箇所には対応する符号を付した。
図20において、検索装置101は、位置情報決定部10、領域定義判別部20、テーマ提示部30、テーマ選択部31、検索部40、データベース80等を含んで構成されている。検索部40は、検索結果の地点情報、イベント情報を経路案内装置130に供給する。経路案内装置130は通常のナビゲーションシステムであり、検索結果の地点情報、イベント情報を用いて案内経路を決定する。
【0075】
検索対象は視聴対象のコンテンツ等であって良い。例えば、選択されたテーマに関して利用者に提供するサービス内容として、目的地候補・経由地候補の提示に限定されず、現時点や目的地に関連した音楽、画像、映像、詳細情報といった情報をコンテンツとして供給して良い。
【0076】
図21はさらに他の実施例を示している。
図21においても、
図3と対応する箇所には対応する符号を付した。
図21においては、検索部40は検索入力部41から入力された検索入力に基づいて検索を行う。検索結果選択部51は、検索結果提示部50に提示された検索結果を選択して、その内容に応じて表示・視聴覚処理や処理実行を行う。検索結果は、地点情報、イベント情報であってもよく、現時点や目的地に関連した音楽、画像、映像、詳細情報といった情報をコンテンツであってもよい。
【0077】
以上で実施例の説明を終了する。
【0078】
なお、この発明は上述の実施例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 位置情報決定部
20 領域定義判別部
30 テーマ提示部
31 テーマ選択部
40 検索部
41 検索入力部
50 検索結果提示部
51 検索結果選択部
60 経路決定部
70 経路表示部
80 移動先推薦用データベース
81 領域定義
82 テーマ情報
83 検索対象関連付けデータ
100 経路案内装置
110 コンピュータシステム
111 記録媒体
120 検索装置
121 検索装置
130 経路案内装置