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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】布類自動展開機
(51)【国際特許分類】
   D06C 3/00 20060101AFI20220414BHJP
   D06F 67/04 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
D06C3/00
D06F67/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017166918
(22)【出願日】2017-08-31
(65)【公開番号】P2019044287
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502407130
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 誠
(72)【発明者】
【氏名】矢部 雄一郎
【審査官】小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0092415(US,A1)
【文献】特開2002-114403(JP,A)
【文献】特開2005-163241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06C 3/00
D06F 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の布類からなる布類塊から布類を布類ハンドリング装置によって1枚ずつ分離させる分離手段と、その1枚ずつ分離させた布類を縁出しする縁出し手段と、その縁出しした布類を展開する展開手段と、その展開した布類を後工程へ搬出する搬出手段と、を備える布類自動展開機において、
前記分離手段が前記布類ハンドリング装置として
互いに整列するが互いに離間する向きに搬送するように構成されて、前記布類塊を間の位置に同時に供給される第1の供給コンベヤおよび第2の供給コンベヤと、
前記第2の供給コンベヤから遠い側の前記第1の供給コンベヤの端部に位置する第1の吊上げ装置と、
第1の布類が前記第1の吊上げ装置で吊り上げられた後に前記第1の布類を保持するように構成された第1の仮保持装置と、
前記第1の布類を前記第1の仮保持装置から受け取ってその第1の布類の第1の角を配置するように構成された第1の角端出し装置と、
前記第1の角を受け取るように構成された第1の角端取り装置と、
前記第1の供給コンベヤから遠い側の前記第2の供給コンベヤの端部に位置する第2の吊上げ装置と、
第2の布類が前記第2の吊上げ装置で吊り上げられた後に前記第2の布類を保持するように構成された第2の仮保持装置と、
前記第2の布類を前記第2の仮保持装置から受け取ってその第2の布類の第2の角を配置するように構成された第2の角端出し装置と、
前記第2の角を受け取るように構成された第2の角端取り装置と、
を有し、
前記縁出し手段が、前記第1の布類を前記第1の角端取り装置から受け取って縁出しするとともに、前記第2の布類を前記第2の角端取り装置から受け取って縁出しすることを特徴とする布類自動展開機。
【請求項2】
前記分離手段から前記搬出手段までにおける処理中に落着した布類を、互いに離れる向きに搬送する前記第1の供給コンベヤおよび前記第2の供給コンベヤに戻すリターンコンベヤを備えていることを特徴とする、請求項1記載の布類自動展開機。
【請求項3】
前記第1の供給コンベヤおよび前記第2の供給コンベヤは、前記布類塊を分解するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の布類自動展開機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布類処理工場等において処理対象の布類を自動的に展開する布類自動展開機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布類洗濯工場等で使用される、布類を展張させる布類自動展開機には、布類の吊り上げ、引き抜きまたは受け渡し等の操作を行う布類ハンドリング装置が多数搭載されており、特許文献1の布類自動展開機では、例えば、吊下げ装置、仮保持装置、角端出し装置および横引き装置等がこれに相当する。
【0003】
この種の布類ハンドリング装置では、例えばチャックが、一対の把持爪をエアシリンダやモータ等の駆動手段を用いて開閉することで、布類の把持またはその解除を行うよう構成されており、その把持爪は、布類を引っ張っても極力傷めない形状にされている。
【0004】
またこの種の布類ハンドリング装置では、例えば一対のローラが、1枚の布類を挟んでその角端を挟持するまで送り、その角端を挟持した状態で回転を止めて布類を吊り下げることで、布類の角端出しを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-222724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来の布類自動展開機では、吊り上げ装置や角端出し装置等において布類がチャックの把持爪やローラの間等から外れてハンドリングを失敗する場合があり、ハンドリングの失敗による処理枚数の低下は布類自動展開機の機械歩留まりの低下につながるという問題がある。
【0007】
特に、布類自動展開機の前工程あるいは布類自動展開機内に布類分別装置が設けられていて布類を分別し、主に処理する種類の布類以外は別の搬送経路に送るようになっていると、分別する布類の枚数が多くなるほど後工程に流れる主に処理する種類の布類の枚数が減少するので、布類自動展開機内でのハンドリングの失敗による処理枚数の低下の影響は重大である。
【0008】
それゆえ本発明は、上記従来技術の問題を有利に解決し、ハンドリングの失敗があっても処理枚数を低下させない布類自動展開機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の布類自動展開機は、
複数枚の布類からなる布類塊から布類を布類ハンドリング装置によって1枚ずつ分離させる分離手段と、その1枚ずつ分離させた布類を縁出しする縁出し手段と、その縁出しした布類を展開する展開手段と、その展開した布類を後工程へ搬出する搬出手段と、を備える布類自動展開機において、
前記分離手段が前記布類ハンドリング装置として
互いに整列するが互いに離間する向きに搬送するように構成されて、前記布類塊を間の位置に同時に供給される第1の供給コンベヤおよび第2の供給コンベヤと、
前記第2の供給コンベヤから遠い側の前記第1の供給コンベヤの端部に位置する第1の吊上げ装置と、
第1の布類が前記第1の吊上げ装置で吊り上げられた後に前記第1の布類を保持するように構成された第1の仮保持装置と、
前記第1の布類を前記第1の仮保持装置から受け取ってその第1の布類の第1の角を配置するように構成された第1の角端出し装置と、
前記第1の角を受け取るように構成された第1の角端取り装置と、
前記第1の供給コンベヤから遠い側の前記第2の供給コンベヤの端部に位置する第2の吊上げ装置と、
第2の布類が前記第2の吊上げ装置で吊り上げられた後に前記第2の布類を保持するように構成された第2の仮保持装置と、
前記第2の布類を前記第2の仮保持装置から受け取ってその第2の布類の第2の角を配置するように構成された第2の角端出し装置と、
前記第2の角を受け取るように構成された第2の角端取り装置と、
を有し、
前記縁出し手段が、前記第1の布類を前記第1の角端取り装置から受け取って縁出しするとともに、前記第2の布類を前記第2の角端取り装置から受け取って縁出しすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の布類自動展開機にあっては、分離手段が、複数枚の布類からなる布類塊から布類を布類ハンドリング装置によって1枚ずつ分離させ、縁出し手段が、その1枚ずつ分離させた布類を縁出しし、展開手段が、その縁出しした布類を展開し、そして搬出手段が、その展開した布類を後工程へ搬出し、そこにおける分離手段が、互いに同一の処理を行う複数台の前記布類ハンドリング装置を有し、布類塊から布類を1枚ずつ分離させる1または複数工程の処理の少なくとも1つをそれら複数台の布類ハンドリング装置で並行して行う。
【0011】
従って、本発明の布類自動展開機によれば、分離手段において互いに同一の処理を行う複数台の布類ハンドリング装置の1台がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他の布類ハンドリング装置が並行して行って処理を途切れさせないので、分離手段の後工程での処理枚数の低下を防止することができる。
【0012】
なお、本発明の布類自動展開機においては、前記分離手段は、前記互いに同一の処理を行う布類ハンドリング装置を2台ずつ有し、前記布類塊から布類を1枚ずつ分離させる1または複数工程の処理の少なくとも1つをそれら2台の布類ハンドリング装置で並行して行うこととすると好ましい。
【0013】
このようにすれば、分離手段において互いに同一の処理を行う2台の布類ハンドリング装置の一方がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他方の布類ハンドリング装置が並行して行って処理を途切れさせないので、分離手段の後工程での処理枚数の低下を、必要最小限の安価な構成で防止することができる。
【0014】
また、本発明の布類自動展開機においては、前記分離手段は、前記布類塊から布類を1枚ずつ分離させる処理を複数工程で順次に行う複数台の布類ハンドリング装置を有し、それらの布類ハンドリング装置のうちの複数台が、前記互いに同一の処理を行う複数台の布類ハンドリング装置であると好ましい。
【0015】
このようにすれば、分離手段が、布類を1枚ずつ分離させる処理を複数工程で順次に行う複数台の布類ハンドリング装置のうちの、互いに同一の処理を行う複数台の布類ハンドリング装置で、それら複数工程の何れかを並行して行うことから、例えそれら複数工程の何れかで互いに同一の処理を行う複数台の布類ハンドリング装置の1台がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他の布類ハンドリング装置が並行して行って処理を途切れさせないので、分離手段の後工程での処理枚数の低下を確実に防止することができる。
【0016】
そして、本発明の布類自動展開機においては、前記分離手段は、前記布類を1枚ずつ分離させる処理を複数工程で順次に行う複数台の布類ハンドリング装置として供給コンベアと吊上げ装置と仮保持装置と角端出し装置と角端取り装置とを有し、それら供給コンベアと吊上げ装置と仮保持装置と角端出し装置と角端取り装置とが各々複数台ずつで互いに同一の処理を並行して行うこととするとより好ましい。
【0017】
このようにすれば、分離手段が処理を複数工程で順次に行う複数台の布類ハンドリング装置として有する供給コンベアと吊上げ装置と仮保持装置と角端出し装置と角端取り装置とが各々複数台ずつで互いに同一の処理を並行して行うことから、例えそれら複数の処理工程の何れかで複数台の布類ハンドリング装置の1台がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他の布類ハンドリング装置が並行して行って処理を途切れさせないので、分離手段の後工程での処理枚数の低下を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の参考形態の布類自動展開機の全体概略図である。
図2図1の布類自動展開機の供給コンベアおよび吊上げ装置の拡大斜視図である。
図3図1の布類自動展開機の供給コンベアおよび吊上げ装置の拡大斜視図である。
図4図1の布類自動展開機の供給コンベアおよび吊上げ装置の拡大斜視図である。
図5図1の布類自動展開機の仮保持装置および角端出し装置の拡大斜視図である。
図6図1の布類自動展開機の角端出し装置の拡大斜視図である。
図7図1の布類自動展開機の角端出し装置の拡大斜視図である。
図8図1の布類自動展開機の角端出し装置の拡大斜視図である。
図9図1の布類自動展開機の角端出し装置の拡大斜視図である。
図10図1の布類自動展開機の角端出し装置および角端取り装置の拡大斜視図である。
図11図1の布類自動展開機の角端取り装置および横引き装置の拡大斜視図である。
図12図1の布類自動展開機の横引き装置の拡大斜視図である。
図13図1の布類自動展開機の横引き装置の拡大斜視図である。
図14図1の布類自動展開機の横引き装置の拡大斜視図である。
図15図1の布類自動展開機の横引き装置、2位置保持装置、縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図16図1の布類自動展開機の2位置保持装置、縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図17図1の布類自動展開機の2位置保持装置、縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図18図1の布類自動展開機の2位置保持装置、縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図19図1の布類自動展開機の2位置保持装置、縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図20図1の布類自動展開機の2位置保持装置、縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図21図1の布類自動展開機の縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図22図1の布類自動展開機の縁出しコンベアおよび上下反転装置の拡大斜視図である。
図23図1の布類自動展開機の縁出しコンベア、上下反転装置、ローラおよび載せ掛け装置の拡大斜視図である。
図24図1の布類自動展開機の縁出しコンベア、上下反転装置、ローラおよび載せ掛け装置の拡大斜視図である。
図25図1の布類自動展開機の縁出しコンベア、上下反転装置、ローラおよび載せ掛け装置の拡大斜視図である。
図26図1の布類自動展開機のローラおよび載せ掛け装置の拡大斜視図である。
図27図1の布類自動展開機のローラの拡大斜視図である。
図28図1の布類自動展開機のローラ、進退装置および搬送コンベアの拡大斜視図である。
図29図1の布類自動展開機のローラ、進退装置および搬送コンベアの拡大斜視図である。
図30図1の布類自動展開機の進退装置および搬送コンベアの拡大斜視図である。
図31図1の布類自動展開機の進退装置および搬送コンベアの拡大斜視図である。
図32図1の布類自動展開機の進退装置および搬送コンベアの拡大斜視図である。
図33図1の布類自動展開機の進退装置および搬送コンベアの拡大斜視図である。
図34図1の布類自動展開機の搬送コンベアおよび次工程の布類畳み機の拡大斜視図である。
図35】(a)は、図1の布類自動展開機の布類ハンドリング装置としての吊上げ装置のチャックでのハンドリングの成功例を示す拡大斜視図、(b)は同吊上げ装置のチャックでのハンドリングの失敗例を示す拡大側面図、(c),(d)は同吊上げ装置のチャックでのハンドリングの失敗例を具体的に示す説明図である。
図36】(a),(b)は、図1の布類自動展開機の布類ハンドリング装置としての角端出し装置のチャックでのハンドリングの成功例を示す拡大斜視図および拡大側面図、(c)は、同角端出し装置のチャックでのハンドリングの失敗例を示す拡大側面図である。
図37】(a),(b)は、図1の布類自動展開機の布類ハンドリング装置としての角端出し装置のローラでのハンドリングの成功例を示す拡大斜視図および拡大側面図、(c)は、同角端出し装置のローラでのハンドリングの失敗例を示す拡大側面図である。
図38図1の布類自動展開機を改良した本発明の一実施形態の布類自動展開機の全体概略図である。
図39図38の布類自動展開機がそれぞれ2台ずつ有する供給コンベアと吊上げ装置と仮保持装置と角端出し装置と角端取り装置とを示す正面図である。
図40】(a),(b)は、図38の布類自動展開機の供給コンベアと吊上げ装置の動作を示す説明図、(c)は、図38の布類自動展開機の角端取り装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。本発明の一実施形態としての布類自動展開機は、布類洗濯工場等に設置される布類畳み機や布類洗濯機等にタオル等の布類を自動的に供給するのに適したものであり、以下では、一使用例として、上記実施形態の布類自動展開機を布類畳み機への布類の投入に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0020】
図1には、本発明の参考形態の布類自動展開機の全体図を示し、図2図34には図1の布類自動展開機の個別装置部分を示している。また、以下の説明で、前、後、右、左、上、下の各方向は、図1の状態での各方向を示すものとする。
【0021】
この参考形態の布類自動展開機は、洗濯、乾燥を終えたタオル、シーツ、包布、枕カバー、浴衣等の布類を自動的に展開するものであり、図1に示すように、主として、供給コンベア1と、吊上げ装置2と、仮保持装置3と、角端出し装置4と、角端取り装置5と、横引き装置6と、2位置保持装置7と、縁出しコンベア8と、上下反転装置9と、ローラ10と、載せ掛け装置11と、進退装置12と、搬送コンベア13と、各装置1~13の動作を制御する図示しない制御装置とを備えている。また、図1には、補助または関連する装置として、吸引コンベアAと、押し出し装置Bと、リターンコンベアCと、布類畳み機Dとが図示されている。リターンコンベアCは処理の途中で落下した布類を供給コンベア1に戻すものである。
【0022】
この参考形態の布類自動展開機は概略次のように動作する。すなわち、供給コンベア1が洗濯、乾燥の終えた布類を吊上げ装置2の下方に供給し、吊上げ装置2が布類を所定高さまで吊上げ、仮保持装置3が吊上げ状態の布類を受け取って仮保持して角端出し装置4への受け渡し位置に移動させ、角端出し装置4が仮保持装置3から吊下げている布類の任意の箇所を受け取って布類の角端を現出させ、該角端を角端取り装置5が保持して布類を垂れ下げ支持しつつ横引き装置6側へ移動させ、横引き装置6が布類を前後方向へ略水平に横たわらせ、2位置保持装置7が横たわった状態の布類の角端付近とそこから適宜距離だけ離間する中間箇所との2位置を同一高さで保持して縁出しコンベア8の上方に移動させた後、保持した布類のその中間箇所を解放する。
【0023】
そして縁出しコンベア8が該2位置保持装置7で角端付近を保持した布類の他の部分を載せて移動させて布類の長辺側の一方の側縁を現出させ、上下反転装置9が縁出しコンベア8上から下りて来る布類の長辺側の側縁を把持してその布類を上下反転させた後垂れ下げ保持し、ローラ10の上方をローラ10に沿って左右方向へ移動する載せ掛け装置11がその布類の長辺側の側縁を上下反転装置9から受け取って垂れ下がった布類をローラ10上に載せ掛け、ローラ10がそこに載せ掛けられた布類をその短辺側の端縁を残して進退装置12側に垂れ下がるように送り、進退装置12が前進してローラ10上からそこに残った布類の短辺側の端縁を受け取った後その布類の短縁を保持しつつ後退して搬送コンベア13上にその布類を展開状態で移乗させ、搬送コンベア13は展開された布類を搬出して次工程の例えば布類畳み機Dに投入する。
【0024】
各装置の詳細は次のとおりであり、まず、供給コンベア1は、図1図3に示すように、運転中は連続走行していてよく、該供給コンベア1上には洗濯・乾燥後の丸まったままの例えば10~50枚程度の矩形の布類Yからなる布類塊Xが投下される。供給コンベア1は、モータ1aでベルトを駆動して布類塊Xを吊上げ装置2の下方(図2に符号X’で示す)まで搬送する。供給コンベア1の搬送方向終端部には、吸引コンベアAが設けられている。吸引コンベアAは、穴開きベルトA1と、穴開きベルトA1を通じて供給コンベア1上の布類Yを吸引する吸引ファンA2と、穴開きベルトA1を回転駆動して吸引した布類Yを吊上げ装置2の真直下(図3に符号X’’で示す)に搬送するモータA3とからなる。穴開きベルトA1の終端部近傍には、布類塊Xが供給コンベア1から落下するのを防止する壁1bが立設されている。また、供給コンベア1の搬送方向終端部には、吸引コンベアAに加えてまたはこれに代えて、供給コンベア1上の布類を吊下げ装置2の真直下へ向けて押し込む押し出し装置Bが設けられていてよい。押し出し装置Bは、シリンダB1と、該シリンダB1によって進退させられる押し出し棒B2とからなる。
【0025】
吊上げ装置2は、布類Yの任意箇所を保持するチャック21と該チャック21を昇降移動させる昇降装置とを有しており、図示例では昇降装置は、駆動ベルト23およびモータ22とからなる。昇降装置は、チャック21を所定高さと供給コンベア1の搬送面との間で昇降させることができれば、如何なる構造のものでもよく、例えばチェーン式やレール上を上下に走行するスライダユニットからなるものでもよい。吊上げ装置2は、駆動ベルト23およびモータ22によりチャック21を最下位置(図4に仮想線および符号21’で図示する位置)まで移動させたときに、該チャック21が供給コンベア1の終端部に位置する布類Yに接触してチャック21で布類Yの接触部分を保持するようになっている。なお、チャック21による布類保持部分は任意の箇所でよい。また、チャック21が上昇作動すると、チャック21で布類Yを保持したまま該チャック21が図4に実線で図示する所定高さ(最上位置)まで上動し、布類Yを吊下げ状態で保持するようになっている。このとき、2枚以上の布類Yがチャック21によって保持され、吊り上げられることもあり得る。
【0026】
仮保持装置3は、図1および図4に示すように、チャック31と該チャック31を前後方向に進退させる進退装置(伸縮シリンダ32)とを有している。仮保持装置3は、吊上げ装置2のチャック21が最上位置に移動したとき、あるいはチャック21が最上位置で保持している布類Yを図示しないセンサで検出したときに、伸縮シリンダ32が伸長し、チャック31が図4に仮想線で図示する位置(符号31’で示す)まで前進し、吊上げ装置2で吊上げられた布類Yの上端部付近を仮保持装置3のチャック31で受取り(このとき吊上げ装置2のチャック21は布類Yを解放する)、その後、伸縮シリンダ32が短縮して、図4に実線で図示するようにチャック31で布類Yを吊下げたまま所定位置まで後退するようになっている。なお、チャック31で吊下げられている布類Yの最下端(図4の符号Yaで示す)にはほとんどの場合、布類の角端のうちの1つが出現する。
【0027】
角端出し装置4は、図5図9に示すように、仮保持装置3のチャック31によりその後退位置にて吊下げ保持されている布類Yを受取るチャック41と、該チャック41を前後に進退させる進退装置(伸縮シリンダ42)と、上面に布類Yが載せられる台板43と、台板43上を引き摺られる布類Yの終端部(角端Ya)を検出する例えば光電管からなるセンサ49と、台板43上の布類Yの中央部を台板43との間に挟みこむ押え板47と、該押え板47を上下動させる伸縮シリンダ48と、一対の角端出しローラ44,45と、一方の角端出しローラ45を他方の角端出しローラ44に対して近接・離間させる伸縮シリンダ46と、角端出しローラ44を回転させるモータ4bとを有している。
【0028】
そして、この角端出し装置4は、図5に示すように仮保持装置3のチャック31が布類Yを保持した状態で後退位置まで作動したときに、伸縮シリンダ42が伸長してチャック41が前進し、該チャック41が仮保持装置3のチャック31から布類Yを受け取り、続いて、図6に示すように、伸縮シリンダ42が短縮してチャック41が布類Yを保持したまま布類Yを台板43上で所定距離引き込み、その後チャック41が布類Yを放し、次いで、図7に示すように、奥側に位置する角端出しローラ45が符号45’の位置から下降し、手前側の角端出しローラ44との間に布類Yの先端部を挟み込み、また、押え板47が符号47’で示す上昇位置から下降して台板43との間に布類Yの中央部を挟み込み、この状態で、図8に示すように、両角端出しローラ44,45が矢印方向に回転することで布類Yは垂れ下がった状態となり、台板43上を引き摺られる布類Yの終端部(角端Yaとなる)がセンサ49,49で検出されると(あるいは布類Yがセンサ49,49で検出されなくなると)、両角端出しローラ44,45の回転速度が低速に切り替えられるようになっている。この一連の動きの中で、布類Yが複数枚であった場合には、台板43と押え板47とで終端部を挟持された1枚の布類Yを除いて他の布類Zは落下する。その後、布類Yの終端部(角端Ya)を両角出しローラ44,45間に配置された例えば光電管からなる別のセンサ4a,4aが検出すると(あるいは布類Yがセンサ4a,4aで検出されなくなると)、角端出しローラ44,45の回転が停止し、布類Yの角端Yaまたはその付近が角端出しローラ44,45に挟まれて保持された状態となり、角端出し作業が完了する。
【0029】
なお、図示例では、吊上げ装置2で吊上げた布類Yを一旦仮保持装置3で仮保持した後、角端出し装置4のチャック41で持替えるようにしているが、図示しない他の実施例では、仮保持装置3を省略し、吊上げ装置2で吊上げている布類Yを直に角端出し装置4のチャック41で保持することもできる。
【0030】
角端取り装置5は、図10に示すように、角端出しローラ44,45の下方に配置されたチャック51と該チャック51を角端出しローラ44,45の接触部の真下の範囲で左右方向(図1参照)に進退させる進退装置(伸縮シリンダ52)とを有している。角端取り装置5は、角端出し装置4の一対の角端出しローラ44,45で布類Yの角端Yaまたはその付近が保持されているときに、伸縮シリンダ52が伸長してチャック51が仮想線および符号51’で図示するように右方向に前進し、該チャック51’で布類Yの角端Yaの少し下を保持し、布類Yを垂れ下げたまま左側(横引き装置6側)に後退するように作動する。また、チャック51には布類Yを検出するセンサ53が装着されており、このセンサ53によりチャック51が布類Yに近づいたことを検出してチャック51を動作させることで、布類Yを確実に保持させることができる。
【0031】
角端取り装置5の伸縮シリンダ52が短縮した状態でのチャック51の下方後側直近位置には、台板64が設けられている。この台板64は、次に説明する横引き装置6で布類上端部(角端Ya)付近を受取って後側に移動させたときに、該布類Yの終端側を支持するためのものである。
【0032】
なお、この参考形態では、矩形布類Yの1つの角端Yaを現出させるのに、上記吊上げ装置2、仮保持装置3および角端出し装置4を用いて、丸まった状態の矩形布類から自動で角端出しを行えるようにしているが、この布類角端出し作業は、例えば丸まった状態の布類Yから作業員が手作業で1つの角端を捜し出すようにしてもよい。その場合は、捜し出した布類角端Yaを作業員の手で角端取り装置5のチャック51に受け取らせたり、直接後述の横引き装置6のチャック61に受け取らせたりするとよい。
【0033】
横引き装置6は、図11図14に示すように、チャック61と該チャック61を前後方向に進退させる進退装置とを有している。図示例では、進退装置は、チャック61を保持する駆動ベルト63と、駆動ベルト63を巻き掛けたプーリを回転させてチャック61を前後方向に進退させるモータ62とからなるが、進退装置はいかなる構造のものでもよく、例えば伸縮シリンダ用いることもできる。
【0034】
横引き装置6は、図11に示すように、角端取り装置5のチャック51が布類Yを保持して後退したときに、チャック61が仮想線および符号61’で図示する位置に前進し、該前進位置のチャック61’で布類上端部(角端Ya)の少し下の位置を保持する。続いて、角端取り装置5のチャック51が布類Yを解放した後、図12に示すように、チャック61で布類角端Ya付近を保持した状態で、チャック61を後方に移動させ、台板64上で布類Yを横引きする。次いで、図13に示すように、所定距離横引き後に上押え板65がシリンダ66によって符号65’で示す上昇位置から下降して台板64との間に布類Yを挟み込み、その後も横引きは継続され、台板64の下方に配置されたセンサ67が布類Yの終端部Ybを検出したとき(またはセンサ67が布類Yを検出しなくなったとき)、横引き速度が低速に切り替えられる。そして、図14に示すように、台板64の近傍に配置された別のセンサ68が布類Yの終端部Ybを検出したとき(またはセンサ68が布類Yを検出したくなったとき)、横引きは停止される。このとき、布類Yはチャック61で保持された角端Yaおよび上押え板65で押えられた角端Yb以外の残りの2つの角端が前後に並び、垂れ下がった部分に長辺側の側縁の一方Ycが出現した状態(三角形状)となる。
【0035】
図15に示すように、台板64および上押え板65の右側方には、モータ81によって駆動される縁出しコンベア8が設置されている。この縁出しコンベア8は、左右方向に延在する複数(図示例では9本)の細ベルト8aを前後方向に互いに間隔をあけて配置したものである。
【0036】
2位置保持装置7は、図15図20に示すように、前後方向に延びる連結棒70の後端および前端にそれぞれ取り付けられた2つのチャック71,72(以下、中間部保持チャック71、角端保持チャック72ともいう。)と、該各チャック71,72を昇降させる昇降シリンダ73と、各チャック71,72を昇降シリンダ73ごと左右に進退させる進退装置とを有している。進退装置は、昇降シリンダ73を垂下状態で保持する駆動ベルト75と、駆動ベルト75に巻き掛けたプーリを回転させるモータ74とからなるが、チャック71,72を左右方向に移動させることができればどのような構造のものでもよく、進退シリンダを用いてもよい。チャック71,72間の距離は、例えば、長さ調整可能な連結棒70を用いるか、連結棒70へのチャック71,72の取付け位置が可変な構造とすることで、処理する布類Yの大きさ等に応じて適宜変更可能としてもよい。
【0037】
図15に示すように、角端保持チャック72は横引き装置6で横たわらせた布類Yの前側端部(角端Yb)を保持し得る位置にあり、中間部保持チャック71は該横たわらせた布類Yの後方側中間部の適所を保持し得る位置にある。
【0038】
昇降シリンダ73は、その短縮状態では各チャック71,72を横たわらせた布類Yの上方位置で待機させ(図15の実線で図示する状態)、伸長状態では各チャック71,72が図15に仮想線および符号71’、72’で図示するように横たわらせた布類Yの上縁を保持し得る位置まで降下するようになっている。
【0039】
昇降シリンダ73の伸長により2位置保持装置7が下降すると、図16に示すように、角端保持チャック72が布類Yの前側端部(角端Yb)を保持するとともに、中間部保持チャック71が布類Yの後方側の中間部を保持する。この際、図15に示すように、上押え板65の後方近傍に設けられたチャック69の開度を符号69’で示す大きく開いた状態から狭めることで、角端保持チャック72が布類Yを保持し易くすることができる。その後、布類Yは、横引き装置6のチャック61、上押え板65およびチャック69による保持または拘束から解放される。2位置保持装置7は次いで、図17に示すように、縁出しコンベア8の上方位置で進退装置によって縁出しコンベア8の終端側へ向けて移動する。縁出しコンベア8のベルトは図17中の矢印の方向に移動しており、布類Yの三角形状部(側縁Yc近傍)が縁出しコンベア8に接触し得る。また、縁出しコンベア8の上下ベルト間に設置されたブロー装置82のエアブローの作用により、当該三角形状部が縁出しコンベア8の流れ方向に靡いた(沿った)状態となる。
【0040】
続いて、図18に示すように、2位置保持装置7の後方のチャック71が布類Yを解放し、布類Yの片側(角端Ybよりも後方側の部分)が縁出しコンベア8の移動するベルト上に落下する。布類Yの前側端部(角端Yb)は角端保持チャック72で保持されたままであるので、布類Yの落下部分のみが図19に示すように右側へ移動していく。布類Yの落下部分が所定距離移動すると、布類Yの長辺側の一方の側縁Ycが縁出しコンベア8の流れ方向に対して略直交する配置関係となる。この配置関係となったところで、図20に示すように、もう一方のチャック72が布類Yを放し、布類Yを完全に縁出しコンベア8上に落下させる。縁出しコンベア8の終端部付近には、縁出しコンベア8上を移送されてくる布類Yの先行側の側縁Ycを検出する2つのセンサ83が設置されており、このセンサ83が布類Yを検知すると縁出しコンベア8は低速に切り替えられる。
【0041】
上下反転装置9は、図21に示すように、縁出しコンベア8の終端部近傍に配置され、布類Yの長辺側の一方の側縁Ycを把持する2つのチャック92,93と、各チャック92,93の近傍に設けられた2つのセンサ94,95と、チャック92,93を支持する反転軸96と、反転軸96を回動させる回動シリンダ91とを有している。なお、2つのチャック92,93で把持した布類Yを反転させることができればどのような機構を用いてもよく、回動シリンダ91に代えて、反転軸96を正逆回転させるモータを用いてもよい。2つのチャック92,93は、センサ94,95による布類Yの側縁Ycの検知信号に基づき、互いに独立して動作するよう構成されており、これにより布類Yの側縁Ycを2つのチャック92,93間で真直ぐ保持することができる。
【0042】
この上下反転装置9は、次のように作動する。まず、縁出しコンベア8上を移送されてくる布類の先行側の側縁Ycがセンサ94,95で検知されるまでは、各チャック92,93が、図20に示すように、略横向き(やや上方傾斜)姿勢で待機しており、縁出しコンベア8上を移送される布類Yの先行側の側縁Ycがセンサ94,95で検知されると、該センサ94,95からの検知信号に基づき各チャック92,93が布類の先行側の側縁Ycを保持する。そして、その直後に回動シリンダ91が短縮し、各チャック92,93が布類の側縁Ycを保持したまま下方に高速で回動して、図22に示す下向き姿勢になる。このとき、各チャック92,93で保持されていた布類Yは、急速に下方に振り降ろされて(布類の短辺方向に捌き作用が発生し)垂れ下げられる。そして、下向き姿勢で布類の側縁Ycを保持している各チャック92,93は、その側縁Ycの各保持部を、後述する載せ掛け装置11の各チャック111,112に受け渡した時点で解放し、その直後に上方に回動して元の待機位置まで戻される。
【0043】
図23に示すように、縁出しコンベア8の前方側部分の直下には、ローラ10と、該ローラ10上に布類Yを載せ掛けるための載せ掛け装置11とが、該載せ掛け装置11が上でローラ10が下になる位置関係で設置されている。
【0044】
載せ掛け装置11は、上下反転装置9側に向けられた進退台110と、進退台110の両側方に配置され、上下反転装置9のチャック92,93から布類Yを受け取る2つのチャック111,112と、チャックセンサ113,114とを有している。載せ掛け装置11は、進退装置によって左右方向(ローラ10の回転軸線方向)に進退移動される。進退装置は、図示例では、進退台110を保持する駆動ベルト116と駆動ベルト116を巻き掛けたプーリを回転させるモータ115とからなるが、チャック111,112を左右方向に進退させることができれば如何なる構造のものでもよく、例えば進退シリンダを用いてもよい。
【0045】
載せ掛け装置11は、図23に示す待機位置から、上下反転装置9で保持された布類Yへ接近移動し、図24に示すように、チャックセンサ113,114が布類Yを検出するとチャック111,112が進退台110の両側部へ向けて閉鎖されて布類Yが保持される。ここでチャック111,112による布類Yの保持位置は、上下反転装置9のチャック92,93による布類Yの保持位置に近い位置である。なお、2つのチャック111,112は別個独立に動作するよう構成してもよく、このようにすれば、布類Yの側縁Ycの、2つのチャック111,112間の部分をより真直ぐに保持することができる。布類Yの受け渡し後、上下反転装置9は、図25に示すように元の位置に反転して戻り、載せ掛け装置11の軌道上から退避する。ローラ10は、その回転軸線が載せ掛け装置11の進退方向と平行となるよう配置されているので、布類Yを垂下保持する載せ掛け装置11が後退すると、図25に示すように、布類Yがローラ10上に載せ掛けられてローラ10上から垂れ下がった状態になる。その際、チャック111,112で保持された長辺側の側縁Ycとは反対側の側縁Ydはセンサ101で検知され、当該検知の後の所定時間経過後にチャック111,112が布類Yを解放する。当該所定時間は、布類Yの幅方向中央がローラ10の幅方向中央と略一致したときにチャック111,112が布類Yを解放するよう適宜設定される。なお、載せ掛け装置11はチャック111,112が布類Yを解放した後も所定距離だけ後退し続ける。
【0046】
ローラ10は、図26に示すように、同一軸線上で隣り合って配置された第1部分ローラ102および第2部分ローラ103からなる。第1部分ローラ102は、駆動ベルト105を介してモータ104に接続され該モータ104で回転駆動される。第2部分ローラ103は、駆動ベルト107を介してモータ106に接続され該モータ106で回転駆動される。モータ104,106の回転方向および回転速度は別個独立に制御可能であり、好適には、図27に示すように各部分ローラ102,103の下方にローラの回転軸線と平行に並べられた複数のセンサ群108,109からの検出信号に基づき、ローラ10上の布類Yの向きを正しい向き(例えば布類Yの長手方向が前後方向と一致する向き)に修正できるように、別個独立に制御される。例えば、図26に示すように布類Yがローラ10上に斜めに載せ掛けられていて、図27に示すようにセンサ群108,109のうちセンサ群109だけが布類Yの短辺側の側縁Yeを検知している場合には、この検知結果に基づき、該側縁Yeがセンサ群108,109と平行になって両センサ群108,109が同時に布類Yの短辺側の側縁Yeを検知するまで第1部分ローラ102および第2部分ローラ103の停止、正転、反転が繰り返される。なお、図示例では、各センサ群108,109はそれぞれ5つのセンサからなるが、センサの数はこれに限定されず、処理する布類Yの幅に応じて4つ以下でも6つ以上でもよく、また、処理する布類Yに応じて稼動させるセンサを切り替えるようにしてもよい。
【0047】
進退装置12は、ローラ10上で正しい向きとなった布類Yを搬送コンベア13に載せ移すものであり、図28に示すように、布類Yの幅よりも大きな把持幅を有して布類Yの短辺側の端部を把持する把持部と、把持部を前後方向に進退させる進退機構とを有している。この参考形態においては、上記把持部は、ローラ10側を向いて傾斜した保持台123aと、保持台123aに対してシリンダ等によって開閉する保持板123bとからなる。また、上記進退機構は、保持台123aに結合した駆動ベルト122と駆動ベルト122を巻き掛けたプーリを回転させるモータ121とからなるが、進退シリンダを用いてもよい。
【0048】
進退装置12によって、ローラ10上の布類Yを搬送コンベア13に載せ移すにあたっては、図28に示すように、第1部分ローラ102および第2部分ローラ103を進退装置12側へ同時かつ同じ速度で回転させ、布類Yの、センサ群108,109近傍に位置していた側縁Yeを進退装置12側へ近づけ、また、図29に示すように、進退装置12の把持部を前進させ、ローラ10の下部に設置されたブロー部材10aに、保持板123bが開いた状態の把持部の保持台123aの先端を押し当てて、保持台123aの先端とブロー部材10aとの間にローラ10上の布類Yの搬送コンベア13側の部分を挟み込み、この状態で、図30に示すようにブロー部材10aからエアを噴出させ、これと同時に第1部分ローラ102および第2部分ローラ103を進退装置12側にさらに回転させる。これにより布類Yの上記側縁Yeは保持台123a上に載せられる。その後、図31に示すように、保持板123bが閉じられ、保持台123aとの間に布類Yの側縁Yeが保持される。布類Yの、把持部の保持台123aと保持板123bとで保持された以外の部分は保持台123aから垂れ下がった状態となる。この状態で進退装置12の把持部は、図32に示すように、搬送コンベア13側に移動させられる。把持部が所定距離後退した後、図33に示すように保持板123bが再び開かれ、布類Yは搬送コンベア13上に載せ込まれる。なお、進退装置12の把持部は、保持板123bが布類Yを解放した後も所定距離だけ後退し続ける。
【0049】
搬送コンベア13は、図34に示すように、多数の貫通穴を有するベルト133と、ベルト133を駆動するモータ132と、ベルト133に形成された貫通穴を通じてベルト133上の布類Yを吸引する吸引ファン131とを有している。このように搬送コンベア13上の布類Yを吸引することで、進退装置12の把持部で保持された布類Yの側縁Yeを搬送コンベア13上へ落下させて円滑に移載することができる。その後、搬送コンベア13は布類Yを搬出して次工程(ここでは布類畳み機D)へ搬送(投入)する。なお、進退装置12の把持部が布類Yを搬送コンベア13上へ移載する際に搬送コンベア13はベルト133を駆動していなくてもよいが、処理枚数を増やす観点からはベルト133を駆動していることが好ましい。
【0050】
上記構成になる参考形態の布類自動展開機によれば、洗濯、乾燥後の布類Yを単に供給コンベア1上に投入するだけで、供給コンベア1と、吊上げ装置2と、仮保持装置3と、角端出し装置4と、角端取り装置5と、横引き装置6と、2位置保持装置7と、縁出しコンベア8と、上下反転装置9と、ローラ10と、載せ掛け装置11と、進退装置12と、搬送コンベア13とにより、布類Yを自動的に展開し、次工程に搬送(投入)することができる。
【0051】
従って、この参考形態の布類自動展開機では、供給コンベア1、吊上げ装置2、仮保持装置3、角端出し装置4および角端取り装置5が、複数枚の布類Yからなる布類塊Xから布類Yを1枚ずつ分離させる分離手段を構成し、横引き装置6、2位置保持装置7、縁出しコンベア8および上下反転装置9が、その1枚ずつ分離させた布類Yを縁出しする縁出し手段を構成し、ローラ10と、載せ掛け装置11と、進退装置12とが、その縁出しした布類Yを展開する展開手段を構成し、搬送コンベア13が、その展開した布類Yを後工程へ搬出する搬出手段を構成している。
【0052】
ところで、この参考形態の布類自動展開機では、上記の分離手段のうち、例えば吊上げ装置2と角端出し装置4と角端取り装置5との各々で、図35図37に示すように、布類Yのハンドリングの失敗が生じる場合があり得る。
【0053】
すなわち、吊上げ装置2では、本来は図4に示すとともに図35(a)に示すように、チャック21が供給コンベア1上の布類塊Xから1枚または数枚の布類Yの任意箇所を把持爪で把持してそれらの布類Yを所定高さまで吊り上げるところ、図35(b)に示すように、布類Yの吊り上げに失敗する場合があり、その原因は、例えば図35(c)に示すように、吊り上げようとした布類Yが布類塊X中で他の布類と絡んでいて、前述のように布類を引っ張っても傷めない形状にされているチャック21の把持爪に加わる負荷が大きくなり過ぎたり、図35(d)に示すようにチャック21が把持爪を突き込んだ場所が布類塊Xの比較的平坦な部位であったため把持爪で布類Yを把持できなかったりすることにある。
【0054】
また、角端出し装置4では、本来は図6に示すとともに図36(a),(b)に示すように、仮保持装置3のチャック31が把持して吊り下げた布類Yをチャック41が把持し直して台板43上および角端出しローラ44,45間に引き込むところ、図36(c)に示すように、布類Yの引き込みに失敗する場合があり、その原因は、例えば布類Yが台板43の手前側で複数枚(例えば3~5枚)絡んでいてチャック41の把持爪に加わる負荷が大きくなり過ぎたり、チャック41が布類Yを把持し直す位置が浅過ぎたりすることにある。
【0055】
さらに角端出し装置4では、布類Yを1枚だけの状態にするとともに、後工程の横引き装置6で布類Yの長辺側の側縁Ycを出現し易くするために、本来は図9に示すとともに図37(a),(b)に示すように、角端出しローラ44,45が布類Yのできるだけ角端を出して保持するところ、図37(c)に示すように、布類Yの保持に失敗する場合があり、その原因は、例えば布類Yの角端が角端出しローラ44,45間を通り過ぎてしまったり角端出しローラ44,45間から滑り落ちてしまったりすることにある。
【0056】
上述したように分離手段の個々のハンドリング装置においてハンドリングの失敗を完全に防止することは困難である。そこで、本発明の一実施形態の布類自動展開機は、図38の斜視図で示すとともに図39の正面図で示すように、上述した参考形態の布類自動展開機において分離手段を構成する供給コンベア1、吊上げ装置2、仮保持装置3、角端出し装置4および角端取り装置5の各々を2台ずつ備えており、2台目の各装置については符号にIIを加えて示している。これらの装置の1台目と2台目とは互いに同一の機能を有し、2台の布類ハンドリング装置で並行して行う
【0057】
すなわち、この実施形態の布類自動展開機は、供給コンベア1と供給コンベア1IIとを当該布類自動展開機の下端中央部に互いに反対向きに備えるとともに、吊上げ装置2と吊上げ装置2IIとを当該布類自動展開機の左右端部に互いに向かい合わせに備えており、図40(a)に示すように、供給コンベア1と供給コンベア1IIとの中央に複数枚(例えば10~50枚程度)の乾燥された布類Yからなる布類塊Xを投入されると、供給コンベア1は吊上げ装置2への搬送動作を行う一方、供給コンベア1IIは吊上げ装置2IIへの搬送動作を行い、布類塊Xは概ね均等に二分割されて吊上げ装置2,2IIのそれぞれの直下に搬送される。
【0058】
なお、布類塊Xが均等に分割できない場合は、先ず供給コンベア1,1IIでその布類塊Xを吊上げ装置2,2IIのうちの一方の直下に搬送し、その吊上げ装置で布類Yをある程度吊り上げて布類塊Xの布類Yの量が減ったら、供給コンベア1,1IIでその布類塊Xを吊上げ装置2,2IIのうちの他方の直下に搬送し、その吊上げ装置で布類Yを吊り上げるようにしてもよい。
【0059】
また、この実施形態の布類自動展開機は、仮保持装置3と仮保持装置3IIとを吊上げ装置2,2IIのそれぞれの吊り上げ位置の近傍に互いに向かい合わせに備えており、仮保持装置3は吊上げ装置2のチャック21が最上位位置で吊り上げ保持した布類Yの上端部付近をチャック31で受け取って後退位置で吊り下げ保持し、同様に仮保持装置3IIは吊上げ装置2IIのチャック21IIが最上位位置で吊り上げ保持した布類Yの上端部付近をチャック31IIで受け取って後退位置で吊り下げ保持する。
【0060】
さらにこの実施形態の布類自動展開機は、角端出し装置4と角端出し装置4IIとを仮保持装置3と仮保持装置3IIとのそれぞれの後側の近傍に互いに向かい合わせに備えており、角端出し装置4は仮保持装置3のチャック31が把持して吊り下げた布類Yの上端部付近をチャック41で把持し直して台板43上および角端出しローラ44,45間に引き込み、角端出しローラ44,45でその布類Yの角端を挟持するまで布類Yを下方へ送った後に角端出しローラ44,45を停止させて布類Yを吊り下げ、同様に角端出し装置4IIは仮保持装置3IIのチャック31IIが把持して吊り下げた布類Yの上端部付近をチャック41IIで把持し直して台板43II上および角端出しローラ44II,45II間に引き込み、角端出しローラ44II,45IIでその布類Yの角端を挟持するまで布類Yを下方へ送った後に角端出しローラ44II,45IIを停止させて布類Yを吊り下げる。
【0061】
さらにこの実施形態の布類自動展開機は、角端取り装置5と角端取り装置5IIとを当該布類自動展開機の上部中央部に備えており、図40(c)に示すように、角端取り装置5はシリンダ52でチャック51を進退させて、角端出し装置4が角端を保持して吊り下げた布類Yの上端部付近をチャック51で把持した後にチャック51を横引き装置6の正面まで移動させ、その一方角端取り装置5IIはモータ52IIで駆動するベルト53IIでチャック51IIを進退させて、角端出し装置4IIが角端を保持して吊り下げた布類YIIの上端部付近をチャック51IIで把持した後にチャック51IIを、上述した制御装置での制御により、チャック51と干渉しないタイミングで横引き装置6の正面まで移動させる。そして横引き装置6はそれらチャック51,51IIから布類Y,YIIをチャック61で受け取ってその布類Y,YIIを台板64上で横引きする。
【0062】
従って、この実施形態の布類自動展開機によれば、分離手段を構成する供給コンベア1、吊上げ装置2、仮保持装置3、角端出し装置4および角端取り装置5の各々において互いに同一の処理を行う2台の装置の一方がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他方の装置が並行して行って処理を途切れさせないので、横引き装置6以降の後工程での布類Yの処理枚数の低下を防止することができる。
【0063】
しかも、この実施形態の布類自動展開機によれば、分離手段を構成する布類ハンドリング装置として供給コンベア1、吊上げ装置2、仮保持装置3、角端出し装置4および角端取り装置5を、互いに同一の処理を行うように2台ずつ有し、布類塊Xから布類Yを1枚ずつ分離させるための供給工程と吊上げ工程と仮保持工程と角端出し工程と角端取り工程との処理をそれぞれそれら2台の布類ハンドリング装置で並行して行うことから、互いに同一の処理を行う2台の布類ハンドリング装置の一方がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他方の布類ハンドリング装置が並行して行って処理を途切れさせないので、横引き装置6以降の後工程での布類Yの処理枚数の低下を、必要最小限の安価な構成で防止することができる。
【0064】
また、この実施形態の布類自動展開機によれば、分離手段は、布類塊Xから布類Yを1枚ずつ分離させる処理を供給工程と吊上げ工程と仮保持工程と角端出し工程と角端取り工程との5工程で順次に行う、供給コンベア1,1II、吊上げ装置2,2II、仮保持装置3,3II、角端出し装置4,4IIおよび角端取り装置5,5IIの、10台の布類ハンドリング装置を有しており、それらの布類ハンドリング装置が全て、互いに同一の処理を行う2台ずつの布類ハンドリング装置であることから、例えそれら5工程の何れかで互いに同一の処理を行う2台の布類ハンドリング装置の1台がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他の布類ハンドリング装置が並行して行って処理を途切れさせないので、横引き装置6以降の後工程での布類Yの処理枚数の低下を確実に防止することができる。
【0065】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更可能なものであり、本発明の布類自動展開機においては、例えば分離手段は仮保持装置3を有していず、吊上げ装置2から角端出し装置4に布類Yを直接受け渡すものであってもよく、また、互いに同一の処理を並行して行う布類ハンドリング装置は3台以上であってもよく、そして、分離手段を構成する供給コンベア1、吊上げ装置2、仮保持装置3、角端出し装置4および角端取り装置5のうちの、例えば特にハンドリングの失敗が多い傾向にある一部の布類ハンドリング装置が、複数台ずつ設けられて互いに同一の処理を並行して行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
かくして本発明の布類自動展開機によれば、分離手段において互いに同一の処理を行う複数台の布類ハンドリング装置の1台がハンドリングを失敗しても、それと同じ処理を他の布類ハンドリング装置が並行して行って処理を途切れさせないので、分離手段の後工程での処理枚数の低下を防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,1II 供給コンベア
1a モータ
1b 壁
2,2II 吊上げ装置
21,21II チャック
22 モータ
23 駆動ベルト
3,3II 仮保持装置
31,31II チャック
32,32II 伸縮シリンダ
4,4II 角端出し装置
41,41II チャック
42,46,48 伸縮シリンダ
43,43II 台板
44,44II,45,45II 角端出しローラ
47 押え板
49,4a センサ
4b,4bII モータ
5,5II 角端取り装置
51,51II チャック
52 伸縮シリンダ
52II モータ
53 センサ
53II ベルト
6 横引き装置
61,69 チャック
62 モータ
63 駆動ベルト
64 台板
65 上押え板
66 シリンダ
67,68 センサ
7 2位置保持装置
70 連結棒
71 中間部保持チャック
72 角端保持チャック
73 昇降シリンダ
74 モータ
75 駆動ベルト
8 縁出しコンベア
81 モータ
82 ブロー装置
83 センサ
9 上下反転装置
91 回動シリンダ
92,93 チャック
94,95 センサ
96 反転軸
10 ローラ
101 センサ
102 第1部分ローラ
103 第2部分ローラ
104,106 モータ
105,107 駆動ベルト
108,109 センサ群
10a ブロー部材
11 載せ掛け装置
110 進退台
111,112 チャック
113,114 チャックセンサ
115 モータ
116 駆動ベルト
12 進退装置
121 モータ
122 駆動ベルト
123a 保持台
123b 保持板
124 シリンダ
13 搬送コンベア
131 吸引ファン
132 モータ
133 ベルト
A,AII 吸引コンベア
B,BII 押し出し装置
C リターンコンベア
D 布類畳み機
X 布類塊
Y,YII 布類
Ya 角端
Yb 角端(終端部)
Yc 側縁(長辺側)
Yd 側縁(長辺側の他方)
Ye 側縁(短辺側)
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