(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220414BHJP
G01C 21/32 20060101ALI20220414BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20220414BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220414BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220414BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20220414BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/32
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
B60W40/06
(21)【出願番号】P 2018063482
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(72)【発明者】
【氏名】緒方 慎二
【審査官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/065182(WO,A1)
【文献】特開2014-119372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G08G 1/00- 1/16
G09B 23/00-29/14
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行を支援する制御システムであって、
料金徴収所に設置された車線の区間
に対応する車線の中央線の座標点列を表す座標情報を含む第1の区間情報と、
前記
料金徴収所に設置された車線の区間の進行方向前方に設置されており、車両に対して料金徴収所への通行可否を報知するために設置された信号機に関する信号機情報と
、該信号機情報と前記第1の区間情報とが関連付けられた信号機関連情報と、
前記信号機の進行方向後方であって前記料金徴収所に設置された車線の区間の前方に存在する、車線が規定されていない区間の走行の参考情報としての座標情報を含む第2の区間情報と、
を有する記憶部を有し、
前記制御システムは、さらに、前記
第1の区間情報
、前記第2の区間情報、前記信号機情報及び前記信号機
関連情報を参照し、前記料金徴収所に設置された車線の区間まで前記車両を誘導させる誘導処理を行う制御部を有する制御システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の制御システムであって、
前記制御部は、前記信号機の表示内容に応じて前記料金徴収所に設置された車線の区間まで前記車両を誘導させる誘導処理を行う制御システム。
【請求項3】
請求項1から
2のいずれか1項に記載の制御システムであって、
前記制御部は、前記車両の料金の支払態様に応じて前記料金徴収所に設置された車線の区間まで前記車両を誘導させる誘導処理を行う制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の走行の支援を行うことが可能な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車両の位置を精度よく推定し、車両の走行を支援する装置が普及している。
これに関連して車載カメラにより撮像された画像を処理し料金所における稼働中のゲートを認識し、この認識されたゲートの中からいずれか1つのゲートを特定し、車両位置検出部により検出された車両現在位置から特定されたゲートまでの走行ルートを仮想的な走行車線を設定しルートを表示するナビゲーション装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、移動体を適切に誘導制御することを可能とする制御システム及び当該制御システムに用いられる地図データのデータ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施態様として、車両の走行を支援する制御システムを提供する。この制御システムは、料金徴収所に設置された車線の区間に対応する車線の中央線の座標点列を表す座標情報を含む第1の区間情報と、料金徴収所に設置された車線の区間の進行方向前方に設置されており、車両に対して料金徴収所への通行可否を報知するために設置された信号機に関する信号機情報と、当該信号機情報と第1の区間情報とが関連付けられた信号機関連情報と、信号機の進行方向後方であって料金徴収所に設置された車線の区間の前方に存在する、車線が規定されていない区間の走行の参考情報としての座標情報を含む第2の区間情報とを有する記憶部を有し、制御システムは、さらに、第1の区間情報、第2の区間情報、信号機及び信号機関連情報を参照し、料金徴収所に設置された車線の区間まで車両を誘導させる誘導処理を行う制御部を有する。
【0007】
他の態様として、制御部は、信号機の表示内容に応じて料金徴収所に設置された車線の区間まで車両を誘導させる誘導処理を行う。
【0008】
他の態様として、制御部は、車両の料金の支払態様に応じて料金徴収所に設置された車線の区間まで車両を誘導させる誘導処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1の制御システムの構成を説明するための図。
【
図2】(a)、(b)実施形態1の地図データの概念を説明するための図。
【
図3】実施形態1の地図データの詳細を説明するための図。
【
図4】(a)、(b)実施形態1の地図データの詳細を説明するための図。
【
図5】実施形態1の地図データの詳細を説明するための図。
【
図6】実施形態1及び2の走行支援処理の動作フローを説明するための図。
【
図7】(a)~(d)実施形態2の地図データの概念を説明するための図。
【
図8】(a)、(b)実施形態2の地図データの詳細を説明するための図。
【
図9】実施形態2の地図データの詳細を説明するための図。
【
図10】(a)、(b)実施形態3の地図データの概念を説明するための図。
【
図11】実施形態3の地図データの詳細を説明するための図。
【
図12】実施形態3の地図データの詳細を説明するための図。
【
図13】実施形態3の走行支援処理の動作フローを説明するための図。
【
図14】(a)~(c)実施形態3の地図データの詳細を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
図1は、制御システムの一例である実施形態1における制御システム1を説明するための図である。制御システム1は、移動体である車両2に搭載され、情報制御部3、記憶部4、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7、周辺情報取得部8及び車両制御部9を有する。
情報制御部3は、地図データ取得部10、経路探索部11、位置特定部12、経路特定部13及び誘導部14等の所定の機能を実現する機能部を含み、図示していないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。情報制御部3のCPUは、ROMに格納された各種プログラムを読み出して、RAMに展開して実行することで、各種プログラムに関する機能を実現する。また、地図データ取得部10、経路探索部11、位置特定部12、経路特定部13及び誘導部14等の機能部はプログラムによって実現される機能である。
【0012】
記憶部4は、ハードディスクやSD-RAM等の大容量記憶媒体で構成されている。記憶部4には、経路探索処理、車両2の位置特定、車両誘導制御等に用いられる地図データ20が記憶されている。地図データ20は、道路ネットワークデータ30、車線ネットワークデータ31、地物データ32及び属性データ33を有している。
【0013】
道路ネットワークデータ30は、道路の交差点や分岐地点を含む複数の地点情報及び道路の所定区間に関する情報を含む複数の道路区間情報を有し、その複数の地点情報及びその複数の道路区間情報により道路の繋がりを表す情報である。車線ネットワークデータ31は、その車線区間情報を識別するための識別情報、その車線区間情報に対応する車線の中央線の座標点列を表す座標情報、その車線区間情報に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報である退出側識別情報、その車線区間に対応する区間の進入側の区間に対応する進入側識別情報等が含まれている。地物データ32は、信号機をあらわす信号機情報、標識をあらわす標識情報、区画線をあらわす区画線情報を含むものである。なお、信号機情報、標識情報、区画線情報の詳細は後述する。
【0014】
属性データ33は、道路ネットワークデータ30の道路区間情報と車線ネットワークデータ31の車線区間情報、車線ネットワークデータ31の車線区間情報と地物データ32の信号機情報、車線ネットワークデータ31の車線区間情報と地物データ32の標識情報、車線ネットワークデータ31の車線区間情報と地物データ32の区画線情報とを各々関連付けるための関連情報を含むものである。
【0015】
入力部5は、利用者から経路設定や車両誘導のための指示入力を受付ける。位置取得部6は、GPS(Global Positioning System)を構成する人工衛星から受信した電波や、車両2に備えられたジャイロからの信号に基づいて、緯度及び経度を含む車両2の位置に関する位置情報を取得する。車速情報取得部7は、車速センサから取得したパルス信号に基づいて、車両2の速度に関する情報を取得する。周辺情報取得部8は、車両周辺の信号機、標識及び道路の標示ペイント(例えば、区画線)、路面、他の車両等の被写体の画像情報である車両2の周辺情報を取得する。
【0016】
地図データ取得部10は、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を抽出する。経路探索部11は、記憶部4に記憶されている道路ネットワークデータ30を用いて経路探索処理を実行する。具体的には、経路探索部11は、道路ネットワークデータ30に含まれる道路区間情報と地点情報とを用いて出発地から目的地に至る経路探索処理を実行する。そして、経路探索処理により出発地から目的地に至るまでの道順(出発地から目的地までを接続する複数の地点情報と複数の道路区間情報)を示す経路情報が作成される。なお、経路探索の手法としては、ダイクストラ法など周知の方法を採用し、道路区間情報に含まれるコスト情報を用いて出発地から目的地までの最短経路を探索する。
【0017】
位置特定部12は、位置取得部6により取得された位置情報から車両2の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定したり、位置取得部6により取得された位置情報に加え、地物データ32及び周辺情報取得部8により取得された周辺情報から車両2の位置が道路上のいずれの位置であるかを特定する。
【0018】
経路特定部13は、経路探索部11で作成された道路ネットワークデータ30の経路情報を用いて、関連情報により車線ネットワークデータ31に経路を特定する処理を行う。
【0019】
誘導部14は、車両制御部9が道路の所定の車線に沿って移動するように車両を制御するための誘導情報を生成し、周辺情報取得部8や車両制御部9に出力する。車両制御部9は、誘導情報に基づき道路の所定の車線に沿って移動するように車両2を制御(操舵、加速・減速、停止等)する。
【0020】
なお、制御システム1は、情報制御部3及び記憶部4が車両2内に搭載されずサーバ内に搭載され、サーバ内の情報制御部3が、入力部5、位置取得部6、車速情報取得部7及び周辺情報取得部8の情報を通信情報として受信すると共に、誘導情報を車両制御部9に通信情報として出力する構成であってもよい。また、制御システム1は、記憶部4が、車両2内に搭載されずサーバ内に搭載され、車両2内の情報制御部3が、地図データの取得要求に応じて、記憶部4に記憶されている所望の地図データ20を通信情報によって取得及び受信する構成であってもよい。
【0021】
図2(a)は実際の高速道路の料金所周辺をあらわす図である。TR1~TR3は料金所の進行方向前方に設置された補助信号機をあらわしている。TR4~TR6は料金所に設置された信号機をあらわしている。CR1及びCR2は区画線をあらわしている。50は補助信号機の進行方向前方の車線をあらわしている。51~53は料金所の各ゲートに設置された車線をそれぞれあらわしている。
【0022】
図2(b)は地図データ20の概念図である。LL1~LL7は車線区間情報をあらわしており、このうちLL2~LL4は実際の道路には車線が規定されていない無車線区間である。そして、LL2~LL4の座標情報は、実際に車両が走行する曲線的な軌跡をあらわす情報ではなく、直線をあらわす情報に簡略化されている。TD1~TD6は信号機情報、CL1~CL6は区画線情報をそれぞれあらわしており、CL1~CL6は、区画線の中心線に沿った座標点列の座標情報を有する。地図データ20のAまでの区間は実際の道路のAまでの区間、地図データ20のAからBの区間は実際の道路のAからBの区間に対応している。
【0023】
信号機情報TD1は、関連情報RL1によって車線区間情報LL1と関連付けられている。信号機情報TD2は、関連情報RL2によって車線区間情報LL1と関連付けられている。信号機情報TD3は、関連情報RL3によって車線区間情報LL1と関連付けられている。信号機情報TD1は、関連情報RL4によって車線区間情報LL5と関連付けられている。信号機情報TD2は、関連情報RL5によって車線区間情報LL6と関連付けられている。信号機情報TD3は、関連情報RL6によって車線区間情報LL7と関連付けられている。信号機情報TD4は、関連情報RL7によって車線区間情報LL5と関連付けられている。信号機情報TD5は、関連情報RL8によって車線区間情報LL6と関連付けられている。信号機情報TD6は、関連情報RL9によって車線区間情報LL7と関連付けられている。
【0024】
図3は、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL1~LL7の詳細を説明するための図である。車線区間情報LL1~LL7の各々は、その車線区間情報を識別するための識別情報と、その車線区間情報に対応する車線の中心線の座標点列をあらわす座標情報と、その車線区間情報に対応する区間の進入側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす進入側識別情報等と、その車線区間情報に対応する区間の退出側の区間に対応する車線区間情報の識別情報をあらわす退出側識別情報と、その車線区間情報に対応する区間が実際には車線が規定されていない無車線区間に存在するか否かをあらわす無車線フラグ情報と、その車線区間情報に対応する区間が料金所内に存在するか否かをあらわす料金所フラグ情報とが含まれている。上記の進入側識別情報と退出側識別情報とにより、車線区間情報に対応する区間の車線の前後のつながりをあらわしている。
【0025】
図4(a)及び(b)は、地物データ32に含まれる信号機情報TD1~TD6の詳細を説明するための図である。信号機情報TD1~TD6の各々は、その信号機情報を識別するための識別情報と、その信号機情報に対応する信号機の正面方向から見た場合の下辺の座標点列をあらわす座標情報と、その信号機情報に対応する信号機の奥行きをあらわす奥行き情報(
図4(b)参照)と、その信号機情報に対応する信号機の高さをあらわす高さ情報(
図4(b)参照)と、その信号機情報に対応する信号機の下辺中央位置の高さと地表面の高さとの差をあらわす地表高さ情報と、その信号機情報に対応する信号機の点灯部の種別をあらわす信号機種別情報とを含んでいる。
【0026】
図5は、属性データ33の関連情報RL1~RL9の詳細を説明するための図である。関連情報RL1~RL9の各々は、その関連情報を識別するための識別情報と、車線区間情報を識別するための車線区間情報の識別情報と、信号機情報を識別するための信号機情報の識別情報とを含んでいる。
なお、車線区間情報LL1は、関連情報によって、左側の区画線の情報として区画線情報CL1及び右側の区画線の情報として区画線情報CL2と関連付けられている。車線区間情報LL2~LL4の各々は、関連情報によって、左側の区画線の情報として区画線情報CL1及び右側の区画線の情報として区画線情報CL2と関連付けられている。車線区間情報LL5は、関連情報によって、左側の区画線の情報として区画線情報CL1及び右側の区画線の情報として区画線情報CL3と関連付けられている。車線区間情報LL6は、関連情報によって、左側の区画線の情報として区画線情報CL4及び右側の区画線の情報として区画線情報CL5と関連付けられている。車線区間情報LL7は、関連情報によって、左側の区画線の情報として区画線情報CL6及び右側の区画線の情報として区画線情報CL2と関連付けられている。なお、車線区間情報LL1~LL7と区画線情報CL1~CL6とを関連付ける関連情報の詳細は、関連情報RL1~RL9と同様の構成である。
【0027】
図6は、実施形態1の走行支援処理の動作フローを説明するための図である。
情報制御部3は、車線ネットワークデータ31を用いて車両2の現在位置を特定する現在位置特定処理と、車両2の料金の支払態様(ETCまたは一般)を特定する支払態様特定処理と、信号機の各々に設置された標識にあらわされた料金種別(ETCまたは一般)を特定する料金種別特定処理と、特定された料金所ゲートの信号機の表示内容を特定する信号機表示特定処理と、車両2を誘導制御するための情報を生成する誘導情報生成処理とを行う。
【0028】
以下で、適宜
図2を参照しながら現在位置特定処理、支払態様特定処理、料金種別特定処理、信号機表示特定処理、誘導情報生成処理の詳細を説明する。
【0029】
情報制御部3(経路特定部13)は、現在位置特定処理として以下の処理を行う。
まず、位置取得部6によって取得した現在地情報から車両2の現在地の座標を算出する。
または周辺情報取得部8が取得した実際の道路の区画線等の車両の周辺画像、地物データ32の区画線情報CL1及びCL2等を利用して車両の現在地の座標を算出する構成であってもよい。
次に、算出された現在地の座標に最も近い座標の情報を有する車線区間情報LL1を特定し、車両2の現在位置がその車線区間情報LL1に対応する区間であると特定する(ステップS10)。
【0030】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、支払態様特定処理として以下の処理を行う。
車両2に搭載されたETC車載器にETCカードが接続されているか否か判定し、ETCカードが接続されている場合、車両2の支払態様はETCであると特定する。
一方で、車両2に搭載されたETC車載器にETCカードが接続されていない場合、車両2の支払態様は一般であると特定する(ステップS20)。
【0031】
なお、車両2に搭載されたETC車載器から車外の通信機器に向けて通信波が送信されているとき、車両2の支払態様がETCであると特定し、車両2に搭載されたETC車載器から車外の通信機器に向けて通信波が送信されていないとき、車両2の支払態様は一般であると特定しても良い。
【0032】
また、ユーザが入力部5を介して入力されたETCまたは一般の支払態様に応じて車両2の支払態様を特定する構成としても良い。
【0033】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、料金種別特定処理として以下の処理を行う。
現在位置特定処理(ステップS10)によって特定された車線区間情報LL1の関連情報RL1~RL3を用いて、車線区間情報LL1に関連付けられた信号機情報TD1~TD3を特定する。信号機情報TD1~TD3の地表高さ情報及び高さ情報を用いて、周辺情報取得部8が信号機TR1~TR3の各々に設置された道路標識の画像を取得し、その道路標識の画像に含まれる文字列を認識する。そして、認識された文字列に「ETC」が含まれる場合、その信号機の料金種別は「ETC」であると特定する。一方で、特定された文字列に「一般」が含まれる場合、その信号機の料金種別は「一般」であると特定する。一例を挙げると、信号機TR1の画像に含まれる文字列が「一般」であるため、その信号機TR1の料金種別は「一般」であると特定する。信号機TR2の画像に含まれる文字列は「ETC専用」であるため、その信号機TR2の料金種別は「ETC」であると特定する。信号機TR3の画像に含まれる文字列は「ETC」「一般」であるため、その信号機TR3の料金種別は「ETC」及び「一般」であると特定する(ステップS30)。
【0034】
なお、信号機情報TD1~TD3の地表高さ情報及び高さ情報を用いて、周辺情報取得部8が信号機TR1~TR3の各々に設置された道路標識の画像を取得し、その道路標識の画像に含まれる色彩を認識する。そして、認識された色彩が「ETC」をあらわす「紫」である場合、その信号機の料金種別は「ETC」であると特定する。一方で、認識された色彩が「一般」をあらわす「緑色」である場合、その信号機の料金種別は「一般」であると特定する構成としても良い。
【0035】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、信号機表示特定処理として以下の処理を行う。
料金種別特定処理(ステップS30)によって特定された信号機TR1~TR3の各々の料金種別を用いて、信号機TR1~TR3のうち支払態様特定処理(ステップS20)によって特定された車両2の支払態様と一致する信号機を特定する。
(1)車両2の支払態様が「一般」である場合、信号機TR1~TR3のうち料金種別が「一般」を含む信号機TR1及びTR3を特定する。
(2)車両2の支払態様が「ETC」である場合、信号機TR1~TR3のうち料金種別が「ETC」を含む信号機TR2及びTR3を特定する。
【0036】
次に、特定された信号機に対応する信号機情報の地表高さ情報を用いて、周辺情報取得部8が信号機の表示内容を取得する。
(1)において取得された信号機TR1の表示内容が「青」、信号機TR3の表示内容が「ない(赤青いずれも点灯していない状態)」である場合、信号機TR1は通行可能であり、信号機TR3は通行不可であると判定する。
(2)において取得された信号機TR2の表示内容が「赤」、信号機TR3の表示内容が「青」である場合、信号機TR2は通行不可であり、信号機TR3は通行可能であると判定する。
【0037】
情報制御部3(誘導部14)は、誘導処理として以下の処理を行う。以下では、上記(1)(2)の誘導処理の例を説明する。
(1)通行可能であると判定された信号機TR1に対応する信号機情報TD1の関連情報
RL4を用いて、信号機情報TD1に関連付けられた車線区間情報LL5を抽出する。車線区間情報LL5の進入側識別情報LL2から車線区間情報LL2を抽出する。車両2が、車線区間情報LL1に対応する区間を走行しているときは、車線区間情報LL1の無車線フラグ「なし」を抽出し、関連情報により関連付けられた区画線情報CL1及びCL2を用いて左右の区間線からはみ出さないようにするとともに、車線区間情報LL1の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0038】
次に、抽出した車線区間情報LL2の無車線フラグ「あり」を抽出する。ここで無車線フラグ「あり」を抽出することにより、左側の区画線から右側の区画線までの間の領域を走行可能であるとは判断しないようにするとともに、座標情報は簡略化された情報であることを判断する。そして、その座標情報があらわす直線的な軌跡を車両2を走行させるときの参考情報とするとともに、関連情報RL4によって信号機情報TD1に関連付けられている車線区間情報LL5の座標情報があらわす位置まで誘導するようにする。
なお、車両2が車線区間情報LL2に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように走行支援情報を生成し、周辺情報取得部8及び/または車両制御部9に出力するものとしてもよい。この走行支援情報の一例として、車両制御部9が合流先の車線において他の車両が近づいていないタイミングで合流するように制御するための情報、車両制御部9が合流先の車線に合流するために車両2の走行速度を加速させる制御をするための情報、車両制御部9が合流先の車線に他の車両が存在する場合に車両2を減速及び/または停止制御するための情報、周辺情報取得部8が車両2の合流先の車線側の画像情報を取得開始するための情報等である。
【0039】
続いて、信号機情報TD1に関連付けられた車線区間情報LL5の無車線フラグ「なし」を抽出し、関連情報により関連付けられた区画線情報CL1及びCL3を用いて左右の区間線からはみ出さないようにするとともに、車線区間情報LL5の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。車両2が車線区間情報LL5に対応する区間に至ると、車線区間情報LL5の料金所フラグ「あり」を抽出し車両2を減速制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0040】
(2)通行可能であると判定された信号機TR3に対応する信号機情報TD3の関連情報
RL6を用いて、信号機情報TD3に関連付けられた車線区間情報LL7を抽出する。車線区間情報LL7の進入側識別情報LL4から車線区間情報LL4を抽出する。車両2が、車線区間情報LL1に対応する区間を走行しているときは、
車線区間情報LL1の無車線フラグ「なし」を抽出し、関連情報によって関連付けられた区画線情報CL1及びCL2を用いて左右の区画線からはみださないようにするとともに、車線区間情報LL1の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0041】
次に、抽出した車線区間情報LL4の無車線フラグ「あり」を抽出する。ここで無車線フラグ「あり」を抽出することにより、左側の区画線から右側の区画線までの間の領域を走行可能であるとは判断しないようにするとともに、座標情報は簡略化された情報であることを判断する。そして、その座標情報があらわす直線的な軌跡を車両2を走行させるときの参考情報とするとともに、関連情報RL4によって信号機情報TD1に関連付けられている車線区間情報LL5の座標情報があらわす位置まで誘導するようにする。
なお、車両2が車線区間情報LL4に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように走行支援情報を生成し、周辺情報取得部8及び/または車両制御部9に出力するものとしてもよい。この走行支援情報の一例として、車両制御部9が合流先の車線において他の車両が近づいていないタイミングで合流するように制御するための情報、車両制御部9が合流先の車線に合流するために車両2の走行速度を加速させる制御をするための情報、車両制御部9が合流先の車線に他の車両が存在する場合に車両2を減速及び/または停止制御するための情報、周辺情報取得部8が車両2の合流先の車線側の画像情報を取得開始するための情報等である。
【0042】
なお、上記の走行支援情報は、車両2が自動運転車両である場合、車線区間情報LL4の無車線フラグ「あり」を抽出し、車両2が車線区間情報LL14に対応する区間を走行する前に自動運転から手動運転に切替える制御情報を生成し車両制御部9に出力するものとしても良い。
【0043】
続いて、車線区間情報LL7の無車線フラグ「なし」を抽出し、関連情報により関連付けられた区画線情報CL6及びCL2を用いて左右の区間線からはみ出さないようにするとともに、車線区間情報LL7の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。車両2が車線区間情報LL7に対応する区間に至ると、車線区間情報LL7の料金所フラグ「あり」を抽出し車両2を減速制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0044】
以上のように、実施形態1では、信号機情報は各々料金所ゲート内に設置された車線の区間に対応する車線区間情報と関連付けられており、情報制御部3(誘導部14)は、当該関連付けを用いて料金所ゲート内に設置された車線の区間を走行するように車両2を誘導させることができる。
【0045】
<実施形態2>
次に、
図6乃至
図9を用いて実施形態2の制御システムを用いた走行支援処理を説明する。実施形態2の制御システムのシステム構成は実施形態1と同一である。
【0046】
図7(a)は実際の高速道路の料金所周辺をあらわす図である。TR11~TR16は料金所の進行方向前方に設置された信号機をあらわしている。CR11~CR14は白破線の区画線をあらわしている。CR15~CR19は料金所の各ゲートを規定する白実線の区画線をあらわしている。60は信号機の進行方向前方の道路区間であり、6車線により構成されている。61~66は料金所の各ゲートに設置された車線をそれぞれあらわしている。
【0047】
図7(b)は、信号機TR11~TR16の各々について料金種別(ETCまたは一般)をあらわす図である。
図7(c)は、車線61~66の各々について支払態様(ETCまたは一般)をあらわす図である。
【0048】
図7(d)は、地図データ20の概念図である。LL11~LL26は車線区間情報をあらわしており、このうちLL16~LL20は実際には車線が規定されていない無車線区間である。TD11~TD16は信号機情報、CL11~CL19は区画線情報をそれぞれあらわしている。地図データ20のAまでの区間は実際の道路のAまでの区間、地図データ20のAからBの区間は実際の道路のAからBの区間に対応している。
【0049】
信号機情報TD11は、関連情報RL11によって車線区間情報LL11と関連付けられている。信号機情報TD12は、関連情報RL12によって車線区間情報LL11と関連付けられている。信号機情報TD13は、関連情報RL13によって車線区間情報LL12と関連付けられている。信号機情報TD14は、関連情報RL14によって車線区間情報LL13と関連付けられている。信号機情報TD15は、関連情報RL15によって車線区間情報LL14と関連付けられている。信号機情報TD16は、関連情報RL16によって車線区間情報LL15と関連付けられている。信号機情報TD11は、関連情報RL17によって車線区間情報LL21と関連付けられている。信号機情報TD12は、関連情報RL18によって車線区間情報LL22と関連付けられている。信号機情報TD13は、関連情報RL19によって車線区間情報LL23と関連付けられている。信号機情報TD14は、関連情報RL20によって車線区間情報LL24と関連付けられている。信号機情報TD15は、関連情報RL21によって車線区間情報LL25と関連付けられている。信号機情報TD16は、関連情報RL22によって車線区間情報LL26と関連付けられている(いずれも図示していない)。
【0050】
図8(a)は、車線ネットワークデータ31の車線区間情報LL11、LL16、LL21の詳細を説明するための図であり、その具体的構成は実施形態1(
図3)で説明した構成と同じである。同様に、車線区間情報LL12~LL15,LL17~LL20、LL22~LL26の具体的構成も実施形態1(
図3)で説明した構成と同じである。
なお、説明を簡略化するため車線区間情報LL16~LL20の各々は複数の車線区間情報を1つの車線区間情報としてあらわしている。例えば、車線区間情報LL16を構成する複数の車線区間情報は各々が進入側識別情報LL1、退出側識別情報LL21、LL22、LL23、LL24、LL25、LL26である6つの車線区間情報を1つの車線区間情報としてあらわしている。
【0051】
図8(b)は、地物データ32に含まれる信号機情報TD11~TD16の詳細を説明するための図である。信号機情報TD11~TD16の各々は、実施形態1(
図4(a))で説明した構成に加えて、その信号機情報TD11~TD16に対応する信号機に設置された標識の料金種別(ETCまたは一般)をあらわした料金種別情報を含んでいる。
【0052】
図9は、属性データ33の関連情報RL11~RL22の詳細を説明するための図であり、その具体的構成は実施形態1(
図5)で説明した構成と同じである。
【0053】
図6を用いて、実施形態2の走行支援処理の動作フローを説明する。このうち、現在位置特定処理(ステップS10)、支払態様特定処理(ステップS20)は実施形態1における処理と同じである。
【0054】
以下で、適宜
図7を参照しながら、料金種別特定処理、信号機表示特定処理、誘導情報生成処理を説明する。
【0055】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、料金種別特定処理として以下の処理を行う。
現在位置特定処理(ステップS10)によって特定された車線区間情報LL11の関連情報RL11及びRL12を用いて、車線区間情報LL11に関連付けられた信号機情報TD11及びTD12を抽出する。信号機情報TD11の料金種別情報「一般」を用いて、その信号機TR11の料金種別が「一般」を抽出する。また、信号機情報TD12の料金種別情報「ETC、一般」を用いて、その信号機TR12の料金種別が「ETC」「一般」を抽出する(ステップS30)。
【0056】
情報制御部3(周辺情報取得部8)は、信号機表示特定処理として以下の処理を行う。
料金種別特定処理(ステップS30)によって特定された信号機TR11及びTR12の料金種別を用いて、信号機TR11及びTR12のうち支払態様特定処理(ステップS20)によって特定された車両2の支払態様と一致する信号機を特定する。
(1)車両2の支払態様が「一般」である場合、料金種別が「一般」を含む信号機TR11及びTR12を特定する。
(2)車両2の支払態様が「ETC」である場合、信号機TR11及びTR12のうち料金種別が「ETC」を含む信号機TR12を特定する。
【0057】
次に、特定された信号機に対応する信号機情報の地表高さ情報を用いて、周辺情報取得部8が信号機の表示内容を取得する。
(1)において取得された信号機TR11の表示内容が「青」、信号機TR12の表示内容が「ない(赤青いずれも点灯していない状態)」である場合、信号機TR11は通行可能であり、信号機TR12は通行不可であると判定する。
(2)において取得された信号機TR12の表示内容が「青」である場合、信号機TR12は通行可能であると判定する。
【0058】
情報制御部3(誘導部14)は、誘導処理として以下の処理を行う。
(1)通行可能であると判定された信号機TR11に対応する信号機情報TD11の関連情報RL17を用いて、信号機情報TD11に関連付けられた車線区間情報LL21を抽出する。車線区間情報LL21の進入側識別情報LL16から車線区間情報LL16を抽出する。車両が、車線区間情報LL11に対応する区間を走行しているときは、車線区間情報LL11の無車線フラグ「なし」を抽出し、車線区間情報LL11の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0059】
次に、抽出した車線区間情報LL16の無車線フラグ「あり」を抽出する。ここで無車線フラグ「あり」を抽出することにより、座標情報は簡略化された情報であることを判断する。そして、その座標情報があらわす直線的な軌跡を車両を走行させるときの参考情報とするとともに、関連情報RL17によって信号機情報TD11に関連付けられている車線区間情報LL21の座標情報があらわす位置まで誘導するようにする。
【0060】
続いて、信号機情報TD11に関連付けられた車線区間情報LL21の無車線フラグ「なし」を抽出し、車線区間情報LL21の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。車両2が車線区間情報LL21に対応する区間に至ると、車線区間情報LL21の料金所フラグ「あり」を抽出し車両2を減速制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0061】
(2)通行可能であると判定された信号機TR12に対応する信号機情報TD12の関連情報RL18を用いて、信号機情報TD12に関連付けられた車線区間情報LL22を抽出する。車線区間情報LL22の進入側識別情報LL17から車線区間情報LL17を抽出し、車線区間情報LL17の進入側識別情報LL12から車線区間情報LL12を抽出する。車線区間情報LL12の無車線フラグ「なし」を抽出し、車線区間情報LL12の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0062】
次に、車線区間情報LL17の無車線フラグ「あり」を抽出し、車両2が車線区間情報LL17に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように走行支援情報を生成し、周辺情報取得部8及び/または車両制御部9に出力する。この走行支援情報の一例は、実施形態1で説明した走行支援情報の一例と同一である。
【0063】
続いて、車線区間情報LL22の無車線フラグ「なし」を抽出し、車線区間情報LL22の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。車両2が車線区間情報LL22に対応する区間に至ると、車線区間情報LL21の料金所フラグ「あり」を抽出し車両2を減速制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0064】
なお、上記(2)において取得された信号機TR12の表示内容が「赤」または「ない(赤青いずれも点灯していない状態)」のいずれか1つである場合、以下の処理を行っても良い。地物データ32の信号機情報TD13~TD16のうち料金種別「ETC」を含む信号機情報TD13~TD15を抽出する。次いで、信号機情報TD12の座標情報を用いて信号機情報TD12の座標情報に最も近い座標情報を有する信号機情報TD13を抽出する。そして、信号機情報TD13の関連情報RL19を用いて、信号機情報TD13に関連付けられた車線区間情報LL23を抽出する。そして、車線区間情報LL23の進入側識別情報LL18から車線区間情報LL18を抽出し、車線区間情報LL18の無車線フラグ「あり」を抽出し、車両2が車線区間情報LL18に対応する区間を走行する他の車両に注意を払うように走行支援情報を生成し、周辺情報取得部8及び/または車両制御部9に出力する。そして、車線区間情報LL23の無車線フラグ「なし」を抽出し、車線区間情報Ll22の座標点列に沿って移動するように制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。車両2が車線区間情報LL23に対応する区間に至ると、車線区間情報LL23の料金所フラグ「あり」を抽出し車両2を減速制御するための誘導情報を生成し車両制御部9に出力する。
【0065】
以上のように、実施形態2では、信号機情報は各々料金所ゲート内に設置された車線の各々の区間に対応する車線区間情報と関連付けられており、情報制御部3(誘導部14)は、当該関連付けを用いて料金所ゲート内に設置された車線の各々の区間を走行するように車両2を誘導させることができる。加えて、信号機情報の各々には料金種別情報「ETC」「一般」を含み、当該料金種別情報「ETC」「一般」を用いてその信号機の料金種別を抽出することができる。
【0066】
<実施形態3>
次に、
図10乃至
図13を用いて実施形態3の制御システムを用いた走行支援処理を説明する。実施形態2の制御システムのシステム構成は実施形態1と同一である。
【0067】
図10(a)は実際の高速道路をあらわす図である。MR1及びMR2は道路に設置された標識をあらわしている。71及び73は高速道路の本線をあらわしており、72は高速道路から分岐する分岐路をあらわしている。
【0068】
図11(b)は地図データ20の概念図である。LL31~LL41は車線区間情報をあらわしている。MD1及びMD2は標識情報をあらわしている。地図データ20のAまでの区間は実際の道路のAまでの区間、地図データ20のAからBまでの区間は実際の道路のAからBの区間に対応している。
【0069】
標識情報MD1は、関連情報RL31によって車線区間情報LL33と関連付けられている。標識情報MD1は、関連情報RL32によって車線区間情報LL34と関連付けられている。標識情報MD1は、関連情報RL33によって車線区間情報LL35と関連付けられている。標識情報MD2は、関連情報RL34によって車線区間情報LL38と関連付けられている。標識情報MD2は、関連情報RL35によって車線区間情報LL37と関連付けられている。標識情報MD2は、関連情報RL36によって車線区間情報LL36と関連付けられている。
【0070】
図11は、車線ネットワークデータ31に含まれる車線区間情報LL31~LL41の詳細を説明するための図であり、その具体的構成は実施形態1(
図3)で説明した構成と同じである。
【0071】
図12(a)は、地物データ32に含まれる標識情報MD1及びMD2の詳細を説明するための図である。標識情報MD1及びMD2の各々は、その標識情報を識別するための識別情報と、その標識情報に対応する標識の形状を囲む四角形の左下(10(b)参照)の頂点の座標である左下座標情報、その四角形の右下(10(b)参照)の頂点の座標である右下座標情報、その標識の高さをあらわした標識高さ情報(10(b)参照)、その標識情報に対応する標識の下辺中央位置の高さと地表面の高さとの差をあらわす地表高さ情報と、その標識情報に対応する標識の種別をあらわす標識種別情報と、その標識情報に対応する標識が可変標識であるか否かをあらわす可変型標識情報と、その標識情報に対応する標識の最高速度をあらわす最高速度情報と、その標識情報に対応する標識の補助標識をあらわす補助標識情報とを含んでいる。
【0072】
図12(b)は、属性データ33の関連情報RL31~RL36の詳細を説明するための図である。関連情報RL31~RL36の各々は、その関連情報を識別するための識別情報と、車線区間情報を識別するための車線区間情報の識別情報と、標識情報を識別するための標識情報の識別情報と、その標識情報が道路を走行する車両の位置特定に利用可能か否かをあらわす位置特定情報と、その標識情報が道路を走行する車両に対する規制に該当するか否かを表す規制情報と、その標識情報に関する車線区間の付与地点をあらわした付与地点情報と、その標識からの距離が最も近い最近となる地点をあらわした最近点座標情報とを含んでいる。
【0073】
図13は、実施形態1の走行支援処理の動作フローを説明するための図である。
情報制御部3は、車線区間情報の特定処理と、標識情報の取得処理、標識情報に基づく誘導情報の生成処理とを行う。以下で具体的に、車線区間情報の特定処理、標識情報の取得処理並びに標識情報に基づく誘導情報の生成処理について説明する。
【0074】
情報制御部3は、車線区間情報の特定処理として以下の処理を行う。
位置取得部6によって取得した現在地情報から車両2の現在地の座標を算出し、車両2の現在地に最も近い地点に対応する座標情報を含む車線区間情報を特定する。ここで、車両2の現在地の座標の算出は、周辺情報取得部8が取得した実際の道路の区画線、標識等の車両の周辺画像情報、記憶部4に記憶されている区画線情報、標識情報等の地物情報32等を利用してもよい(ステップS110)。
【0075】
情報制御部3(地図データ取得部10)は標識情報の取得処理として以下の処理を行う。
車両2の現在地に最も近い地点に対応する座標情報が車線区間情報LL33に含まれるとき、属性データRL31を利用して、車線区間情報LL33と関連付けられている標識情報MD1取得する。車両2の現在地に最も近い地点に対応する座標情報が車線区間情報LL34に含まれるとき、属性データRL32を利用して、車線区間情報LL34と関連付けられているMD1を取得する。車両2の現在地に最も近い地点に対応する座標情報が車線区間情報LL35に含まれるとき、属性データRL33を利用して、車線区間情報LL35と関連付けられているMD1を取得する。
【0076】
また、車両2の現在地に最も近い地点に対応する座標情報が車線区間情報LL38に含まれるとき、属性データRL34を利用して、車線区間情報LL38と関連付けられているMD2を取得する。車両2の現在地に最も近い地点に対応する座標情報が車線区間情報LL37に含まれるとき、属性データRL35を利用して、車線区間情報LL37と関連付けられているMD2を取得する。車両2の現在地に最も近い地点に対応する座標情報が車線区間情報LL36に含まれるとき、属性データRL36を利用して、車線区間情報LL36と関連付けられているMD2を取得する(ステップS120)。
【0077】
情報制御部3(周辺情報取得部8、位置特定部12、誘導部14)は、標識情報に基づく誘導情報の生成処理として以下の処理を行う。
車両2が車線区間情報LL33に対応する区間を走行しているとき、周辺情報取得部8が車両2の周辺画像を取得するように制御する。そして、取得された周辺画像に含まれる標識MR1とステップS120において取得された標識情報MD1に含まれる左下座標情報、右下座標情報及び標識高さ情報による形状とを比較(画像マッチング)する。比較の結果、標識MR1と標識情報MD1とが一致すると判定すると、関連情報RL31の付与地点情報に対応する地点を車両2の現在位置情報として車両制御部9に出力する。
また、関連情報RL31の最近点座標情報に対応する地点において、車両2の走行支援情報を生成し周辺情報取得部8及び/または車両制御部9に出力する。この走行支援情報の一例として、車両2の走行速度を50kmに加速または減速させる制御をするための情報、周辺情報取得部8が車両2の進行先の車線の画像情報を取得開始するための情報等である。
【0078】
車両2が車線区間情報LL34に対応する区間を走行しているとき、周辺情報取得部8が車両2の周辺画像を取得するように制御する。そして、取得された周辺画像に含まれる標識MR1とステップS120において取得された標識情報MD1に含まれる左下座標情報、右下座標情報及び標識高さ情報による形状とを比較(画像マッチング)する。比較の結果、標識MR1と標識情報MD1とが一致すると判定すると、関連情報RL32の付与地点情報に対応する地点を車両2の現在位置情報として車両制御部9に出力する。
一方で、関連情報RL32には最近点座標情報が含まれていないため、車両2の走行支援情報を生成する処理は行わない。
【0079】
車両2が車線区間情報LL38に対応する区間を走行しているとき、周辺情報取得部8が車両2の周辺画像を取得するように制御する。そして、取得された周辺画像に含まれる標識MR2とステップS120において取得された標識情報MD2に含まれる左下座標情報、右下座標情報及び標識高さ情報による形状とを比較(画像マッチング)する。比較の結果、標識MR2と標識情報MD2とが一致すると判定すると、関連情報RL34の付与地点情報に対応する地点を車両2の現在位置情報として車両制御部9に出力する。
また、関連情報RL34の最近点座標情報に対応する地点において、車両2の走行支援情報を生成し周辺情報取得部8及び/または車両制御部9に出力する。この走行支援情報の一例として、車両2の走行速度を60kmに加速または減速させる制御をするための情報、周辺情報取得部8が車両2の進行先の車線の画像情報を取得開始するための情報等である。
【0080】
なお、上記の標識情報にはさらに詳細な情報を含んでも良い。
図14(a)は、標識情報に含まれる標識種別情報をあらわしている。標識種別情報は、標識情報に対応する標識の種別に応じて「案内標識」、「警戒標識」、「規制標識」、「指示標識」、「その他標識」のいずれか1つが含まれる。
図14(b)は、標識情報に含まれる可変型標識情報をあらわしている。可変型標識情報には、「可変標識である」、「可変標識ではない」のいずれかが含まれている。
図14(c)は、標識情報に含まれる補助標識情報をあらわしている。補助標識情報には、「はじまり」、「区間内」、「おわり」、「なし」、「不明」のいずれか1つが含まれている。
【0081】
情報制御部3(誘導部14)は、標識情報に基づく誘導情報出力処理として以下の処理を行っても良い。
(1)標識情報に含まれる標識種別情報が「案内標識」「指示標識」「その他標識」のいずれか1つに該当するとき、標識情報の内容に応じてドライバーに報知するための誘導情報を生成する。
(2)標識情報に含まれる標識種別情報が「規制標識」「警戒標識」のいずれか該当するとき、標識情報の内容に応じて車両2を走行させるように誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
【0082】
情報制御部3(誘導部14、周辺情報取得部8)は、標識情報に基づく誘導情報出力処理として以下の処理を行っても良い。
(1)標識情報に含まれる可変型標識情報が「可変標識ではない」とき、標識情報の内容に応じて車両2を走行させるように誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
(2)標識情報に含まれる可変型標識情報が「可変標識である」とき、標識情報の内容に応じた車両2を走行させる誘導情報の生成処理を行わない。周辺情報取得部8が標識情報に対応する標識の画像を取得するように制御し、取得された画像に含まれる標識の内容に応じて車両2を走行させるように誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
【0083】
情報制御部3(誘導情報14)は、標識情報に基づく誘導情報出力処理として以下の処理を行っても良い。
(1)標識情報MD2に含まれる補助標識情報が「はじまり」であるとき、標識情報MD2の最高速度情報「60km」で車両2を走行させるように誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
(2)標識情報MD2に含まれる補助標識情報が「区間内」であるとき、標識情報MD2の最高速度情報「60km」で車両2を走行させるように誘導情報を生成し、車両制御部9に出力する。
(3)標識情報MD2に含まれる補助標識情報が「おわり」であるとき、標識情報MD2の最高速度情報「60km」で車両2を走行させる誘導情報の生成処理を終了する。
【0084】
以上のように、実施形態3では、標識情報は車線の各々の区間に対応する車線区間情報と関連付けられており、情報制御部3(位置特定部12、誘導部14)は、当該関連付けに含まれる付与地点情報を用いて車両2の現在位置情報を生成することができる。また、当該関連付けに含まれる最近点座標情報を用いて車両2の走行支援情報を生成することができる。上記のように同じ標識であっても、車両2が走行する車線の区間に応じた現在位置情報の生成及び/または走行支援情報の生成をすることができる。
【0085】
なお、地図データ20として、実施形態1乃至実施形態3の少なくとも2つで説明した情報を含み、その地図データ20を用いて、実施形態1の処理(
図6)、実施形態2の処理(
図6)、実施形態3の処理(
図13)の少なくとも2つで説明した処理を全て行う構成であっても良いし、地図データ20として、実施形態1乃至実施形態3の全てで説明した情報を含み、その地図データ20を用いて、実施形態1の処理(
図6)、実施形態2の処理(
図6)、実施形態3の処理(
図13)の少なくとも2つの全てで説明した処理を全て行う構成であっても良い。
【0086】
特許文献1により実現されるナビゲーション装置は、車載カメラにより撮像された画像を処理し料金所における稼働中のゲートを認識し、この認識されたゲートの中からいずれか1つのゲートを特定し、車両位置検出部により検出された車両現在位置から特定されたゲートまでの走行ルートを仮想的な走行車線を設定しルートを表示するであった。道路形状によっては、料金所の稼働中のゲートが認識できず、必ずしも望ましい誘導制御とならないことがあった。また、特許文献1により実現されるナビゲーション装置は、料金所のゲートの進行方向手前に設置された補助信号機と料金所におけるゲートの対応関係がないため、料金所のゲート手前から自車両の位置を精度よく推定し誘導制御することができないことがあった。上記で説明した実施形態は、これらの課題を解決するものである。
【0087】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、移動体を適切に誘導制御することを可能とする制御システム及び当該制御システムに用いられる地図データのデータ構造を提供すること、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0088】
1 制御システム、2 車両、3 情報制御部、4 記憶部、5 入力部、6 位置取得部、7 車速情報取得部、8 周辺情報取得部、9 車両制御部、10 地図データ取得部、11 経路探索部、12 位置特定部、13 経路特定部、14 誘導部、20 地図データ、30 道路ネットワークデータ、31 車線ネットワークデータ、32 地物データ、33 属性データ