IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エンプラスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
H01R33/76 505B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018141328
(22)【出願日】2018-07-27
(65)【公開番号】P2020017475
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 秀俊
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-203935(JP,A)
【文献】特開平04-149980(JP,A)
【文献】実開平01-104684(JP,U)
【文献】特開平08-330040(JP,A)
【文献】米国特許第05955888(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット本体と、
前記ソケット本体に固定され、かつ、上方向に延在する剛体部、前記剛体部から水平方向の成分を含む方向に延在する弾性部、および、前記弾性部の一端側に設けられ、かつ、被検査部材に接触する接触部、を有するプローブピンと、
前記被検査部材を収容する収容部、および、前記剛体部が挿入される孔、を有し、前記剛体部によって水平方向への移動が規制されながら前記ソケット本体に対して上下方向に移動するフローティングと、
を備えるソケット。
【請求項2】
前記プローブピンは、第1の剛体部および第1の水平方向の成分を含む方向に延在する第1の弾性部を有する第1のプローブピンを含み、
前記フローティングは、前記第1の剛体部によって前記第1の水平方向への移動が規制される、
請求項1に記載のソケット。
【請求項3】
前記プローブピンは、第2の剛体部および前記第1の水平方向と反対の第2の水平方向の成分を含む方向に延在する第2の弾性部を有する第2のプローブピンをさらに含み、
前記フローティングは、前記第2の剛体部によって前記第2の水平方向への移動が規制される、
請求項2に記載のソケット。
【請求項4】
前記プローブピンは、第3の剛体部および前記第1の水平方向と直交する第3の水平方向の成分を含む方向に延在する第3の弾性部を有する第3のプローブピンをさらに含み、
前記フローティングは、前記第3の剛体部によって前記第3の水平方向への移動が規制される、
請求項2または3に記載のソケット。
【請求項5】
前記ソケット本体と前記フローティングとの間に設けられ、前記フローティングを上方向に付勢する付勢部材をさらに備え、
前記ソケット本体には、第1爪部が設けられており、
前記フローティングには、前記第1爪部と係合することで前記フローティングの上方向への移動を規制する第2爪部が設けられている、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のソケット。
【請求項6】
前記第1爪部と前記第2爪部との係合によって前記フローティングの上方向への移動が規制された状態において、前記孔の内壁面と前記剛体部との間に隙間が存在する、
請求項5に記載のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検査部材と配線基板とを電気的に接続するためのソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICパッケージなどの被検査部材の試験(例えば、バーンイン試験)を行う際、被検査部材と配線基板とを電気的に接続するため、ソケットが用いられている。
【0003】
特許文献1には、ソケット本体と、ICパッケージを収容するフローティングと、ソケット本体に固定され、かつ、フローティングに収容されたICパッケージのリード端子と接触する接触片を有するコンタクトピンと、を備えたソケットが記載されている。
【0004】
このソケットでは、フローティングの位置決め孔がソケット本体の案内突起にややゆるい嵌合状態で係合する。これにより、ソケット本体に対するフローティングの横方向のずれが規制され、ICパッケージとコンタクトピンとの位置決めが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公平5-17829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
被検査部材の小型化に伴い、被検査部材とコンタクトピンとの位置決め精度の向上が要求される。
【0007】
本開示の目的は、被検査部材とコンタクトピンとの位置決め精度を向上させることができるソケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るソケットは、ソケット本体と、前記ソケット本体に固定され、かつ、上方向に延在する剛体部、前記剛体部から水平方向の成分を含む方向に延在する弾性部、および、前記弾性部の一端側に設けられ、かつ、被検査部材に接触する接触部、を有するプローブピンと、前記被検査部材を収容する収容部、および、前記剛体部が挿入される孔、を有し、前記剛体部によって水平方向への移動が規制されながら前記ソケット本体に対して上下方向に移動するフローティングと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、被検査部材とコンタクトピンとの位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、ソケットの一例を示す平面図である。
図1B図1Bは、図1Aの1B-1B断面図である。
図1C図1Cは、図1Aの1C-1C断面図である。
図2A図2Aは、ソケット本体の一例を示す平面図である。
図2B図2Bは、図2Aの2B-2B断面図である。
図2C図2Cは、図2Aの2C-2C断面図である。
図2D図2Dは、図2Aの2D-2D断面図である。
図3A図3Aは、フローティングの一例を示す平面図である。
図3B図3Bは、フローティングの収容部を示す拡大平面図である。
図3C図3Cは、図3Aの3C-3C断面図である。
図4図4は、プローブピンの一例を示す図である。
図5A図5Aは、カバーが閉じられた状態を示す断面図である。
図5B図5Bは、カバーが閉じられた状態を示す断面図である。
図6図6は、プローブピンの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本開示はこの実施形態により限定されるものではない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0012】
なお、以下の説明において、同種の要素を区別して説明する場合には、数字からなる共通番号とアルファベットからなる追番号との組み合わせで構成される参照符号を用いて、例えば「プローブピン40a」、「プローブピン40b」と表現する。また、同種の要素を区別しないで包括的に説明する場合には、参照符号のうちの共通番号のみを用いて、例えば、「プローブピン40」と表現する。
【0013】
図1A図1B図1C図2A図2B図2C図2D図3A図3C図5Aおよび図5Bには、説明の便宜上、X軸、Y軸およびZ軸からなる3次元直交座標系が描かれている。X軸の正方向を+X方向、Y軸の正方向を+Y方向、Z軸の正方向を+Z方向(上方向)とそれぞれ定義する。
【0014】
図1Aは、実施形態に係るソケット100の一例を示す平面図である。なお、図1Aの下側半分では、カバー30(後述する)を取り外した状態を示している。図1Bは、図1Aの1B-1B断面図である。なお、図1Bは、カバー30が開いた状態を示している。図1Cは、図1Aの1C-1C断面図である。なお、図1Cでは、カバー30を省略している。
【0015】
ソケット100は、被検査部材1を収容し、収容した被検査部材1と、ソケット100の下側に取り付けられた配線基板(不図示)とを電気的に接続するための装置である。被検査部材1は、例えば、ICパッケージなどの電子部品である。
【0016】
ソケット100に収容され、配線基板に電気的に接続された被検査部材1に対して、各種試験が行われる。例えば、被検査部材1の実際の使用環境と同じ環境、または、実際の環境よりも負荷のかかる環境において、被検査部材1が適正に動作するかが調べられる。ソケット100は、このような試験を行うために、被検査部材1と配線基板とを接続する装置である。
【0017】
ソケット100は、ソケット本体10と、フローティング20と、カバー30と、複数のプローブピン40とを有する。
【0018】
(ソケット本体10)
図2Aないし図2Dを用いて、ソケット本体10について説明する。図2Aは、ソケット本体10の一例を示す平面図である。図2Bは、図2Aの2B-2B断面図である。図2Cは、図2Aの2C-2C断面図である。図2Dは、図2Aの2D-2D断面図である。
【0019】
ソケット本体10は、枠体11と、軸受部12と、凹部13と、ピン固定部14と、ばね固定部15と、第1爪部16と、ストッパ爪部17と、を備える。
【0020】
枠体11は、ソケット本体10の外形を画定する。枠体11によって画定されるソケット本体10の外形形状は、平面視で概略矩形形状である。
【0021】
軸受部12は、枠体11の+X端から+X方向に突出して設けられている。軸受部12は、軸受部12aと、軸受部12bとを含む。軸受部12aは、ソケット本体10の+Y端側に設けられている。軸受部12bは、ソケット本体10の-Y端側に設けられている。軸受部12には、シャフト18(図1Aを参照)が挿通される。
【0022】
凹部13は、枠体11に囲まれた部分である。凹部13は、ソケット本体10の上面の中央付近に形成されている。凹部13は、フローティング20を収容する。凹部13の+X端側および-X端側には、上下方向に貫通する貫通孔53が設けられている。本実施形態では、貫通孔53は、4箇所設けられている。貫通孔53には、フローティング20の第2爪部24(後述する)が挿入される。
【0023】
ピン固定部14は、凹部13に設けられている。図2Bおよび図2Dに示すように、ピン固定部14には、プローブピン40を収容する溝51が設けられている。溝51の底部には、ソケット本体10の下面まで貫通する貫通孔52が設けられている。貫通孔52には、プローブピン40の第2接触部44(後述する)が挿通される。
【0024】
ピン固定部14は、ピン固定部14a、ピン固定部14b、ピン固定部14cおよびピン固定部14dを含む。ピン固定部14aは、ソケット本体10の概略中央から、+X方向(「第2の水平方向」の一例)に延在している。ピン固定部14aには、プローブピン40a(後述する)が固定される。ピン固定部14bは、ソケット本体10の概略中央から、-X方向(「第1の水平方向」の一例)に延在している。ピン固定部14bには、プローブピン40b(後述する)が固定される。
【0025】
ピン固定部14cは、ソケット本体10の概略中央から、+Y方向に延在している。ピン固定部14cには、プローブピン40c、40d、40eおよび40f(後述する)が固定される。ピン固定部14dは、ソケット本体10の概略中央から、-Y方向(「第3の水平方向」の一例)に延在している。ピン固定部14dには、プローブピン40g、40h、40jおよび40k(後述する)が固定される。
【0026】
ばね固定部15は、凹部13に設けられている。本実施形態では、ばね固定部15は、4箇所設けられている。ばね固定部15には、コイルばね19(「付勢部材」の一例。図1Bを参照)が配置される。コイルばね19は、上下方向に伸縮する圧縮ばねである。
【0027】
第1爪部16は、枠体11から、貫通孔53に向けて突出して設けられている。本実施形態では、第1爪部16は、4箇所設けられている。第1爪部16は、フローティング20に設けられた第2爪部24と係合する。
【0028】
図2Cに示すように、ストッパ爪部17は、枠体11から、-X方向に向けて突出して設けられている。ストッパ爪部17は、ストッパ35(後述する)に設けられた爪36(後述する)と係合する。
【0029】
(フローティング20)
図3Aないし図3Cを用いて、フローティング20について説明する。図3Aは、フローティング20の一例を示す平面図である。図3Bは、収容部22を示す拡大平面図である。図3Cは、図3Aの3C-3C断面図である。
【0030】
フローティング20は、平板部21と、収容部22と、孔23と、第2爪部24と、凹部25と、を備える。
【0031】
平板部21は、フローティング20の外形を画定する。平板部21によって画定されるフローティング20の外形形状は、平面視で概略矩形形状である。
【0032】
収容部22は、平板部21の概略中央に設けられている。収容部22について、図3Bを用いて詳細に説明する。収容部22は、収容部22に収容される被検査部材1の外形に合わせて凹状に形成される。
【0033】
収容部22の底部には、平板部21の下面まで貫通する貫通溝54が形成されている。貫通溝54の位置は、収容部22に配置される被検査部材1の端子の位置と一致している。また、貫通溝54には、プローブピン40の接触部43が挿入される。
【0034】
収容部22の底部には、対向する一対の側面(+X側および-X側の面)から外側に向かって延びる太溝55が形成されている。これにより、太溝55にマニピュレーターなどの装置を挿入して被検査部材1の脱着を行うことができる。
【0035】
孔23は、平板部21に設けられている。孔23は、平板部21を上下方向に貫通する。孔23は、孔23aと、孔23bと、孔23cと、孔23dとを含む。孔23aは、収容部22の+X側に設けられている。孔23aは、X方向に長軸を有する矩形形状の長孔である。孔23aの+X側端を規定する壁面を、壁面26aという。孔23bは、収容部22の-X側に設けられている。孔23bは、X方向に長軸を有する矩形形状の長孔である。孔23bの-X側端を規定する壁面を、壁面26bという。
【0036】
孔23cは、収容部22の+Y側に設けられている。孔23cは、Y方向に長軸を有する矩形形状の長孔である。孔23cの+Y側端を規定する壁面を、壁面26cという。孔23cの+X側端を規定する壁面を、壁面27cという。孔23cの-X側端を規定する壁面を、壁面28cという。
【0037】
孔23dは、収容部22の-Y側に設けられている。孔23dは、Y方向に長軸を有する矩形形状の長孔である。孔23dの-Y側端を規定する壁面を、壁面26dという。孔23aおよび孔23bは同形状である。孔23cおよび孔23dは同形状である。孔23aおよび孔23bの短軸の長さは、孔23cおよび孔23dの短軸の長さより短い。
【0038】
孔23aには、プローブピン40aが挿入される。孔23bには、プローブピン40bが挿入される。孔23cには、プローブピン40c、40d、40eおよび40fが挿入される。孔23dには、プローブピン40g、40h、40jおよび40kが挿入される。
【0039】
第2爪部24は、平板部21の+X端および-X端に設けられている。第2爪部24は、下方向(-Z方向)に延在している。本実施形態では、第2爪部24は、4箇所設けられている。第2爪部24は、上述のとおり、ソケット本体10に設けられた第1爪部16と係合する。
【0040】
凹部25は、平板部21の下面に設けられている。本実施形態では、凹部25は、4箇所設けられている。凹部25は、それぞれソケット本体10に設けられたばね固定部15に対応して設けられている。凹部25には、コイルばね19の上端側が嵌まる。凹部25の底部には、コイルばね19の上端が当接する。
【0041】
(カバー30)
図1Aおよび図1Bを用いて、カバー30について説明する。カバー30は、ソケット本体10の上側を覆う部材である。カバー30は、本体31と、第1軸受部32と、第2軸受部33と、を備える。
【0042】
本体31は、カバー30の外形を画定する。本体31によって画定されるカバー30の外形形状は、平面視で概略矩形形状である。本体31の中央部には、下向きに突出する押圧部31aが設けられている。
【0043】
第1軸受部32は、カバー30が閉じた状態において、本体31の+X端から+X方向に突出して設けられている。第1軸受部32は、第1軸受部32aと、第1軸受部32bとを含む。第1軸受部32aは、カバー30の+Y端側に設けられている。第1軸受部32bは、カバー30の-Y端側に設けられている。第1軸受部32には、シャフト18が挿通される。
【0044】
シャフト18は、ソケット本体10の軸受部12と、カバー30の第1軸受部32を挿通するように設けられる。シャフト18を取り囲むように、コイルばね56が設けられている。コイルばね56の第1の端部はソケット本体10に固定され、第2の端部はカバー30に固定される。コイルばね56により、カバー30は開く方向に付勢される。
【0045】
第2軸受部33は、本体31の-X端から-X方向に突出して設けられている。第2軸受部33には、シャフト34(図1Bを参照)が挿通される。
【0046】
シャフト34に軸支される状態で、ストッパ35が設けられている。また、シャフト34を取り囲むように、コイルばね57(図1Bを参照)が設けられている。コイルばね57の第1の端部はカバー30に固定され、第2の端部はストッパ35に固定されている。コイルばね57は、ストッパ35を、シャフト34を中心に、図1Bにおいて反時計回りに回転するように付勢する。
【0047】
ストッパ35は、ソケット本体10のストッパ爪部17に引っ掛かる爪36を有する。爪36がストッパ爪部17に引っ掛かることにより、カバー30はソケット本体10に固定される。また、爪36のストッパ爪部17への引っ掛かりが解除されることにより、カバー30のソケット本体10への固定が解除される。
【0048】
(プローブピン40)
図4を用いて、プローブピン40について説明する。図4は、プローブピン40の一例を示す図である。本実施形態において、プローブピン40は、薄板を打ち抜いて製造された部品である。以下の説明では、図4における紙面に直交する方向を、「板厚方向」という場合がある。
【0049】
プローブピン40は、フローティング20の収容部22に収容された被検査部材1と、ソケット本体10の下側に取り付けられた配線基板とに接触し、これらを電気的に接続する部材である。プローブピン40は、例えば、導電性を有する金属で形成される。
【0050】
プローブピン40は、剛体部41と、弾性部42と、接触部43と、第2接触部44と、を備える。以下、プローブピン40の各部について説明する。以下の説明では、便宜上、プローブピン40がソケット本体10に固定された状態の向きを用いて説明する。
【0051】
剛体部41は、ソケット本体10に固定される部分である。具体的には、ソケット本体10のピン固定部14に設けられた溝51に、剛体部41が圧入されることで、プローブピン40がソケット本体10に対して固定される。
【0052】
プローブピン40がソケット本体10に固定された状態で、剛体部41は、水平方向に延在し、さらに上方向に延在する。剛体部41は、被検査部材1によって接触部43が押圧された場合に、変形しない。剛体部41は、弾性部42の延在方向と逆側の壁面45を有する。
【0053】
弾性部42は、剛体部41の上端側から水平方向の成分を含む方向に延在している。具体的には、弾性部42は、剛体部41の上端から、上方向に延び、湾曲して下方向を向き、さらに湾曲して水平方向を向いて延びている。弾性部42の基部は、剛体部41に接続されている。弾性部42は、被検査部材1によって接触部43が押圧された場合に撓む。
【0054】
接触部43は、弾性部42の先端部(剛体部41と接続される側とは逆側の端部)に設けられている。なお、接触部43が設けられる位置はこれに限定されず、例えば弾性部42の中間部に接触部43が設けられていてもよい。接触部43は、被検査部材1に接触する。具体的には、接触部43は、フローティング20の収容部22に収容された被検査部品1の端子に接触する。
【0055】
なお、接触部43の上端(被検査部材1の下端と当接する部分)の上下方向の位置と、弾性部42の基部の上下方向の位置とは、近いほうが好ましい。これにより、接触部43が被検査部材1に押し下げられるときに、接触部43が水平方向へほとんど移動せず、被検査部材1の端子と接触部43との接触状態をより確実に確保することができる。
【0056】
第2接触部44は、剛体部41の下端から下方向に延在している。第2接触部44は、それぞれ配線基板に接触する。
【0057】
本実施形態では、プローブピン40は、プローブピン40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g、40h、40jおよび40kを含む。上述のとおり、プローブピン40aは、ソケット本体10のピン固定部14aに固定される。プローブピン40bは、ソケット本体10のピン固定部14bに固定される。
【0058】
プローブピン40c、40d、40eおよび40fは、ソケット本体10のピン固定部14cに固定される。プローブピン40g、40h、40jおよび40kは、ソケット本体10のピン固定部14dに固定される。
【0059】
以上、ソケット100を構成するソケット本体10、フローティング20、カバー30およびプローブピン40について説明した。
【0060】
図1Bおよび図1Cは、ソケット本体10に対してプローブピン40が圧入固定され、かつ、ソケット本体10に対してフローティング20がセットされ、さらに、被検査部材1がフローティング20の収容部22に収容された状態を示している。
【0061】
フローティング20は、コイルばね19によって、上方向に付勢されている。また、フローティング20は、ソケット本体10の第1爪部16と、フローティング20の第2爪部24との係合により、上方向への移動が規制された状態となっている。
【0062】
この状態では、プローブピン40の接触部43の上端と、被検査部材1の下端との間には、わずかな隙間が存在する。換言すると、プローブピン40の接触部43は、被検査部材1とは接触していない。
【0063】
また、プローブピン40の剛性部41は、フローティング20の孔23に挿入されているが、フローティング20とは接触していない。すなわち、孔23の内壁面と、剛性部41との間には、隙間が存在する。
【0064】
そのため、フローティング20の水平方向への移動は規制されておらず、フローティング20は水平方向に移動可能である。また、プローブピン40の弾性部42は、撓んでいない。
【0065】
カバー30が閉じられると、カバー30の押圧部31aにより、被検査部材1が下方向に押圧される。これにより、フローティング20は、プローブピン40の剛体部41に案内されながら下方向に移動する。
【0066】
具体的には、フローティング20の壁面26aが、プローブピン40aの剛体部41a(「第1の剛体部」の一例)に設けられた壁面45aと当接することで、フローティング20がプローブピン40aに対して-X方向へ移動することが規制される。
【0067】
また、フローティング20の壁面26bが、プローブピン40bの剛体部41b(「第2の剛体部」の一例)に設けられた壁面45bと当接することで、フローティング20がプローブピン40bに対して+X方向へ移動することが規制される。
【0068】
また、フローティング20の壁面26cが、プローブピン40c、40d、40eおよび40fの剛体部41c、41d、41eおよび41fに設けられた壁面45c、45d、45eおよび45fと当接することで、フローティング20がプローブピン40c、40d、40eおよび40fに対して-Y方向へ移動することが規制される。なお、剛体部41cは、「第3の剛体部」の一例である。
【0069】
また、フローティング20の壁面26dが、プローブピン40g、40h、40jおよび40kの剛体部41g、41h、41jおよび41kに設けられた壁面45g、45h、45jおよび45kと当接することで、フローティング20がプローブピン40g、40h、40jおよび40kに対して+Y方向へ移動することが規制される。
【0070】
フローティング20が下方向に移動する途中で、プローブピン40の接触部43と、被検査部材1とが接触する。フローティング20は、プローブピン40の弾性部42を撓ませながら、図5Aおよび図5Bに示す状態まで下降する。図5Aおよび図5Bは、カバー30がソケット本体10に固定された状態を示す図である。
【0071】
以上の動作により、被検査部材1はソケット100に収容され、被検査部材1に対して各種試験が行われる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態では、フローティング20は、プローブピン40の剛体部41によって水平方向への移動が規制されながら、下方向に移動する。そのため、被検査部材1の端子と、接触部43との位置決め精度を向上させることができる。
【0073】
なお、上述の実施形態では、カバー30が閉じられる前の状態(図1Bおよび図1Cに示す状態)においてフローティング20の水平方向の移動が規制されないものを例に説明を行ったがこれに限定されない。カバー30が閉じられる前の状態においてフローティング20の水平方向の移動が規制されてもよい。
【0074】
そのためには、カバー30が閉じられる前の状態で、フローティング20の壁面26とプローブピン40の壁面45とを当接させればよい。具体的には、例えば、プローブピン40の剛体部41を上方向へ延ばせばよい。また、例えば、フローティング20の平板部21の厚さを増大させればよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、剛体部41aでフローティング20の-X方向への移動を規制し、剛体部41bでフローティング20の+X方向への移動を規制した。また、剛体部41c、41d、41eおよび41fでフローティング20の-Y方向への移動を規制し、剛体部41g、41h、41jおよび41kでフローティング20の+Y方向への移動を規制した。
【0076】
剛体部41によって規制するフローティング20の移動方向は、これに限定されない。
【0077】
例えば、剛体部41の板厚方向の寸法を、孔23の短軸方向の寸法と同じまたはわずかに小さくして、剛体部41の板厚方向へのフローティング20の移動を規制してもよい。具体的には、例えば、剛体部41aで、フローティング20の+Y方向および-Y方向の少なくともいずれかの方向への移動を規制してもよい。
【0078】
また、例えば、剛体部41cと壁面27cとの当接により、フローティング20の-X方向への移動を規制し、剛体部41fと壁面28cとの当接により、フローティング20の+X方向への移動を規制してもよい。
【0079】
また、例えば、剛体部で、フローティングのプローブピンの板厚方向と直交する両方向への移動を規制してもよい。この一例について、以下、図面を参照して説明する。図6は、プローブピン60aによってフローティング20の+X方向および-X方向への移動を規制する様子を示す図である。なお、プローブピン60aは、上述の実施形態におけるプローブピン40aに相当する部品である。
【0080】
プローブピン60aの剛体部61aは、孔23aの+X側端を規定する壁面26aと当接する壁面65a、および、孔23aの-X側端を規定する壁面29aと当接する壁面66aを有する。
【0081】
プローブピン60aの弾性部62aは、剛体部61aの壁面66aにおける上下方向の中間部から、水平方向の成分を含む方向(壁面65aから壁面66aに向かう方向)に延在している。
【0082】
プローブピン60aによれば、壁面65aと壁面26aとによりフローティング20の-X方向への移動を規制するとともに、壁面66aと壁面29aとによりフローティング20の+X方向への移動を規制することができる。
【0083】
また、上述の実施形態では、被検査部材の下面に端子が設けられたものを例に説明を行ったが、これに限定されないのはもちろんである。本開示は、本体から水平方向へ延びる端子を有する被検査部材にも適用することができる。
【0084】
また、上述の実施形態では、孔23cに4本のプローブピン40c、40d、40eおよび40fが挿入されるものを例に説明を行ったが、これに限定されない。孔23cに挿入されるプローブピンは1本でもよいし、4本以外の複数本でもよい。また、同様に、孔23aに挿入されるプローブピンの本数も1本には限定されず、複数本でもよい。
【0085】
また、上述の実施形態では、剛体部41の板厚方向の寸法と、弾性部42の板厚方向の寸法とは、等しい。これに対して、例えば、剛体部41の板厚を弾性部42の板厚よりも厚くしてもよい。このようにすれば、剛体部41により、フローティング20の板厚方向への移動の規制をより確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示は、被検査部材と配線基板とを電気的に接続するためのソケットに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 被検査部材
10 ソケット本体
11 枠体
12、12a、12b 軸受部
13 凹部
14、14a、14b、14c、14d ピン固定部
15 ばね固定部
16 第1爪部
17 ストッパ爪部
18 シャフト
19 コイルばね
20 フローティング
21 平板部
22 収容部
23、23a、23b、23c、23d 孔
24 第2爪部
25 凹部
26、26a、26b、26c、26d、27c、28c、29a 壁面
30 カバー
31 本体
31a 押圧部
32、32a、32b 第1軸受部
33 第2軸受部
34 シャフト
35 ストッパ
36 爪
40、40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g、40h、40j、40k プローブピン
41、41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h、41j、41k 剛体部
42 弾性部
43 接触部
44 第2接触部
45、45a、45b、45c、45d、45e、45f、45g、45h、45j、45k 壁面
51 溝
52 貫通孔
53 貫通孔
54 貫通溝
55 太溝
56 コイルばね
57 コイルばね
60a プローブピン
61a 剛体部
62a 弾性部
65a、66a 壁面
100 ソケット
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6