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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】板状物連結金具および板状物連結方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/07 20060101AFI20220414BHJP
   E04G 17/04 20060101ALI20220414BHJP
   E21D 5/10 20060101ALI20220414BHJP
   E21D 11/24 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
F16B5/07 Z
E04G17/04 B
E21D5/10
E21D11/24
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018164462
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020037962
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000154853
【氏名又は名称】株式会社北浦工業
(74)【代理人】
【識別番号】100076266
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 泉
(72)【発明者】
【氏名】和田 浩
(72)【発明者】
【氏名】鎌崎 祐治
(72)【発明者】
【氏名】永石 充
(72)【発明者】
【氏名】北浦 秀明
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-246669(JP,A)
【文献】特開2001-271491(JP,A)
【文献】特開2001-234590(JP,A)
【文献】実開平03-069093(JP,U)
【文献】実公昭37-023630(JP,Y1)
【文献】実開昭63-145005(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/07
E21D 5/10
E21D 11/24
E04G 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に先端側挾持部、後端側に後端側挾持部を備えており、
前記先端側挾持部は、それぞれ先端方向に向かって突出する第一の先端側挟み部および第二の先端側挟み部と、前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に形成されている先端側間隙部とを有し、
前記後端側挾持部は、第一の後端側挟み部と、第二の後端側挟み部と、前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部と間に形成されている後端側間隙部とを有しており、
互いに連結すべき2つの板状物を重ね合わせるとともにこれらの板状物にそれぞれ設けられた孔の位置を合わせ、これらの孔に前記先端側挾持部の前記第二の先端側挟み部を挿入し、さらに前記2つの板状物のうちの前記孔の周囲の部分が前記先端側挾持部の前記先端側間隙部に入り込んで前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に挾持された状態にしてから、この挾持状態は維持したまま、前記孔を中心として当該板状物連結金具を回動させ、前記2つの前記板状物が前記後端側挾持部の前記後端側間隙部にも入り込み、各前記板状物が前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部との間にも挾持されるようにすることにより、前記2つの板状物を連結するようになっている板状物連結金具。
【請求項2】
各前記板状物のうちの前記孔の周囲の部分が前記先端側挾持部の前記先端側間隙部に入り込んで前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に挾持された状態になったとき、前記孔の内周に前記先端側挾持部が、前記板状物に対する当該板状物連結金具の回動を許す状態で、緩く嵌合されるようになっている請求項1記載の板状物連結金具。
【請求項3】
前記第二の先端側挟み部は先細となる形状とされている請求項1または2記載の板状物連結金具。
【請求項4】
前記先端側挾持部の前記第二の先端側挟み部は、前記第一の先端側挟み部より当該板状物連結金具の先端方向に突出している請求項1乃至3のいずれか1項に記載の板状物連結金具。
【請求項5】
前記先端側挾持部の前記第一の先端側挟み部の前記第二の先端側挟み部に対向する辺の少なくとも大部分は当該板状物連結金具の長さ方向に直線状に延びる一方、前記第二の先端側挟み部の前記第一の先端側挟み部に対向する辺の少なくとも後端側部分は、前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間の間隔が前記後端側挾持部側に行くほど広くなるように傾斜されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の板状物連結金具。
【請求項6】
前記後端側挾持部の前記後端側間隙部は、該後端側間隙部に前記板状物が入り込む際の入口側の間隔が広く、奥側ほど狭くなっている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の板状物連結金具。
【請求項7】
前記後端側挾持部は板状材料の一部を大略U字状に湾曲ないしは屈曲することにより形成されており、前記第一の後端側挟み部および前記第二の後端側挟み部は前記U字の両辺により構成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の板状物連結金具。
【請求項8】
横断面コの字状に屈曲されるとともに直線状に延びるコの字状部を有し、前記先端側挾持部の少なくとも一部は前記コの字状部の一部をなしており、前記後端側挾持部の前記第一の後端側挟み部は前記コの字状部の一方の縁部から大略直角方向に屈曲されて、前記コの字状部から張り出されている請求項7記載の板状物連結金具。
【請求項9】
前記先端側挾持部は、前記コの字状部の両方の縁部からそれぞれ内方に延び、互いに先端を対向される第一および第二の圧縮防止片を有する請求項8記載の板状物連結金具。
【請求項10】
先端側に先端側挾持部、後端側に後端側挾持部を備えており、前記先端側挾持部は、それぞれ先端方向に向かって突出する第一の先端側挟み部および第二の先端側挟み部と、前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に形成されている先端側間隙部とを有し、前記後端側挾持部は、第一の後端側挟み部と、第二の後端側挟み部と、前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部と間に形成されている後端側間隙部とを有している板状物連結金具を用意する段階と、
互いに連結すべき2つの板状物を重ね合わせるとともにこれらの板状物にそれぞれ設けられた孔の位置を合わせる段階と、
前記位置を合わされた孔に前記先端側挾持部の前記第二の先端側挟み部を挿入し、さらに前記2つの板状物のうちの前記孔の周囲の部分が前記先端側挾持部の前記先端側間隙部に入り込んで前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に挾持された状態にする段階と、
この挾持状態は維持したまま、前記孔を中心として前記板状物連結金具を回動させ、前記2つの板状物が前記後端側挾持部の前記後端側間隙部にも入り込み、各前記板状物が前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部との間にも挾持されるようにする段階とを有してなる、
板状物連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ等を有する部材においてフランジ等の板状物を連結する板状物連結金具および板状物連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ライナープレートは、一般に、波付けされた薄鋼板の周辺(四辺)に組立用のフランジを設けた構造で、立坑・深礎工・地すべり対策工・トンネル覆工など広範囲の用途に用いられている。
【0003】
従来、ライナープレートを上下方向または横方向等に連結するには、各ライナープレートのフランジに設けられた多数の孔を利用して、ボルトおよびナットによりフランジ同士を結合することにより連結するのが一般的であった。
【0004】
しかし、ボルトおよびナットを締結すべき箇所は多数あるので、ライナープレートの連結には多大な時間と手間を要していた。
【0005】
このため、特許文献1には、ボルトおよびナットに代えて、ライナープレートの連結を能率的に行える板状物連結金具として、「上下のライナープレートの接触させたそれぞれのフランジの孔に挿入する差し込み部と、接触させた2枚のフランジを挟む挾持部からなる緊結金具」が提案されている。この緊結金具は、上下のライナープレートフランジの孔に「差し込み部」を差し込んだ後、フランジの孔を中心として金具を回動し、フランジを「挾持部」に挾持させることにより、ライナープレートを連結させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平3-69093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に提案されている板状物連結金具は、横断面円形状の「差し込み部」が連結すべき2つのライナープレートのフランジの孔に単純に差し込まれるだけであったので、2つのライナープレート間に引き離し力が作用した場合には、「挾持部」のみで引き離しを阻止することになるので、2つのライナープレートを強固に連結することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的の一つは、ライナープレートのフランジ等の板状物を容易、迅速かつ非常に強固に連結することができる板状物連結金具および板状物連結方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、ライナープレートのフランジ等の板状物を連結した後の当該板状物の連結部からの金具の突出量が少なく、板状物連結後、作業員が金具の突出部に頭部等の身体を接触させて負傷する虞がない板状物連結金具および板状物連結方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る本発明による板状物連結金具は、
先端側に先端側挾持部、後端側に後端側挾持部を備えており、
前記先端側挾持部は、それぞれ先端方向に向かって突出する第一の先端側挟み部および第二の先端側挟み部と、前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に形成されている先端側間隙部とを有し、
前記後端側挾持部は、第一の後端側挟み部と、第二の後端側挟み部と、前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部と間に形成されている後端側間隙部とを有しており、
互いに連結すべき2つの板状物を重ね合わせるとともにこれらの板状物にそれぞれ設けられた孔の位置を合わせ、これらの孔に前記先端側挾持部の前記第二の先端側挟み部を挿入し、さらに前記2つの板状物のうちの前記孔の周囲の部分が前記先端側挾持部の前記先端側間隙部に入り込んで前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に挾持された状態にしてから、この挾持状態は維持したまま、前記孔を中心として当該板状物連結金具を回動させ、前記2つの板状物が前記後端側挾持部の前記後端側間隙部にも入り込み、前記2つの板状物が前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部との間にも挾持されるようにすることにより、前記2つの板状物を連結するようになっているものである。
【0012】
この請求項1に係る本発明によれば、従来の一般的な方法であったボルトおよびナットを用いて板状物を連結する場合に比較し、板状物の連結を容易かつ迅速に行うことができる。また、特許文献1に提案されている板状物連結金具とは異なり、連結すべき2つの板状物間に引き離し力が作用した場合、後端側挾持部のみならず、先端側挾持部においても引き離しを阻止することになるので、板状物を強固に連結することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明による板状物連結金具は、請求項1に記載の本発明において、各前記板状物のうちの前記孔の周囲の部分が前記先端側挾持部の前記先端側間隙部に入り込んで前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に挾持された状態になったとき、前記孔の内周に前記先端側挾持部が、前記板状物に対する当該板状物連結金具の回動を許す状態で、緩く嵌合されるようになっているものである。
【0014】
この請求項2に係る本発明によれば、金具を回動させるとき、作業者の意図に反して、板状物の孔の周囲の部分が先端側間隙部から外れてしまい、挾持状態が解消されてしまわないようにすることができ、金具の回動作業を円滑に行うことができる。また、2つの板状物を面方向にずらそうとする力が作用しても、2つの板状物がずれてしまうのを防止することができる。
【0015】
請求項3に係る本発明による板状物連結金具は、請求項1または2に記載の本発明において、前記第二の先端側挟み部は先細となる形状とされているものである。
【0016】
この請求項3に係る本発明によれば、最初に板状物の孔に第二の先端側挟み部を挿入する作業を容易にすることができる。
【0017】
請求項4に係る本発明による板状物連結金具は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の本発明において、前記先端側挾持部の前記第二の先端側挟み部は、前記第一の先端側挟み部より当該板状物連結金具の先端方向に突出しているものである。
【0018】
この請求項4に係る本発明によっても、最初に板状物の孔に先端側挾持部の第二の先端側挟み部を挿入する作業が容易になる。
【0019】
請求項5に係る本発明による板状物連結金具は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の本発明において、前記先端側挾持部の前記第一の先端側挟み部の前記第二の先端側挟み部に対向する辺の少なくとも大部分は当該板状物連結金具の長さ方向に直線状に延びる一方、前記第二の先端側挟み部の前記第一の先端側挟み部に対向する辺の少なくとも後端側部分は、前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間の間隔が前記後端側挾持部側に行くほど広くなるように傾斜されているものである。
【0020】
この請求項5に係る本発明によれば、板状物に設けられた孔を中心として板状物連結金具を回動させるとき、スムーズに回動させることができる。
【0021】
請求項6に係る本発明による板状物連結金具は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の本発明において、前記後端側挾持部の前記後端側間隙部は、該後端側間隙部に前記板状物が入り込む際の入口側の間隔が広く、奥側ほど狭くなっているものである。
【0022】
この請求項6に係る本発明によれば、板状物の孔を中心として板状物連結金具を回動させたとき、連結すべき2つの板状物が後端側挾持部の後端側間隙部に入り込み易くなり、かつ板状物が第一の後端側挟み部と第二の後端側挟み部との間に強固に挾持されるようにすることができる。また、異なる板厚の板状物にも対応することも可能になる。
【0023】
請求項7に係る本発明による板状物連結金具は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の本発明において、前記後端側挾持部は板状材料の一部を大略U字状に湾曲ないしは屈曲することにより形成されており、前記第一の後端側挟み部および前記第二の後端側挟み部は前記U字の両辺により構成されているものである。
【0024】
この請求項7に係る本発明によれば、板状物を連結した後の板状物からの金具の突出量が少なくなり、板状物を連結後、作業員が金具の突出部に頭部等の身体を接触させて負傷する虞がなくなる。
【0025】
請求項8に係る本発明による板状物連結金具は、請求項7に記載の本発明において、横断面コの字状に屈曲されるとともに直線状に延びるコの字状部を有し、前記先端側挾持部の少なくとも一部は前記コの字状部の一部をなしており、前記後端側挾持部の前記第一の後端側挟み部は前記コの字状部の一方の縁部から大略直角方向に屈曲されて、前記コの字状部から張り出されているものである。
【0026】
この請求項8に係る本発明によれば、金具の剛性および強度を大きくすることができる。
【0027】
請求項9に係る本発明による板状物連結金具は、請求項8に記載の本発明において、前記先端側挾持部は、前記コの字状部の両方の縁部からそれぞれ内方に延び、互いに先端を対向される第一および第二の圧縮防止片を有するものである。
【0028】
この請求項9に係る本発明によれば、コの字状部の両辺に大きな圧縮力が作用したときは、第一および第二の圧縮防止片の先端が互いにぶつかることにより、コの字状部がコの字の両辺が互いに近付く方向に限度を超えて圧縮変形されるのを防止することができる。
【0029】
請求項10に係る発明は、方法の発明、すなわち板状物連結方法であって、
先端側に先端側挾持部、後端側に後端側挾持部を備えており、前記先端側挾持部は、それぞれ先端方向に向かって突出する第一の先端側挟み部および第二の先端側挟み部と、前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に形成されている先端側間隙部とを有し、前記後端側挾持部は、第一の後端側挟み部と、第二の後端側挟み部と、前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部と間に形成されている後端側間隙部とを有している板状物連結金具を用意する段階と、
互いに連結すべき2つの板状物を重ね合わせるとともにこれらの板状物にそれぞれ設けられた孔の位置を合わせる段階と、
前記位置を合わされた孔に前記先端側挾持部の前記第二の先端側挟み部を挿入し、さらに前記2つの板状物のうちの前記孔の周囲の部分が前記先端側挾持部の前記先端側間隙部に入り込んで前記第一の先端側挟み部と前記第二の先端側挟み部との間に挾持された状態にする段階と、
この挾持状態は維持したまま、前記孔を中心として前記板状物連結金具を回動させ、前記2つの板状物が前記後端側挾持部の前記後端側間隙部にも入り込み、各前記板状物が前記第一の後端側挟み部と前記第二の後端側挟み部との間にも挾持されるようにする段階とを有してなるものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の板状物連結金具および板状物連結方法は、
(イ)板状物(例えばライナープレートのフランジ)を容易、迅速かつ非常に強固に連結することができる、
(ロ)後端側挾持部は板状材料(例えば鋼板)の一部を大略U字状に湾曲ないしは屈曲することにより形成されるようにすれば、板状物を連結した後の板状物からの金具の突出量を少なくし、板状物連結後、作業員が金具の突出部に頭部等の身体を接触させて負傷する虞を防止できる、
等の優れた効果を得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施例における板状物連結金具を示す斜視図である。
図2】前記板状物連結金具を裏側方向から見て示す斜視図である。
図3】前記板状物連結金具を示す正面図である。
図4図3における先端側挾持部を拡大して示す拡大図である。
図5】前記板状物連結金具を示す右側面図である。
図6】前記板状物連結金具を示す左側面図である。
図7】前記板状物連結金具を示す平面図である。
図8】前記板状物連結金具を示す底面図である。
図9】前記板状物連結金具を示す背面図である。
図10】前記実施例において連結すべきライナープレートのフランジに設けられた孔に板状物連結金具の先端側挾持部の第二の先端側挟み部を挿入する状態を示す断面図(フランジのみを断面している)である。
図11】前記実施例においてさらにフランジのうちの孔の周囲の部分を板状物連結金具の先端側挾持部の先端側間隙部に侵入させ、第一の先端側挟み部と第二の先端側挟み部とで挾持した状態を示す断面図(フランジのみを断面している)である。
図12図11のXII-XII線における断面図である。
図13図11および12と同じ状態を示す平面図である。
図14図11~13と同じ状態を示す斜視図である。
図15図11~13の状態から前記孔を中心として板状物連結金具を矢印方向に回動して、連結すべきライナープレートの2つのフランジが板状物連結金具の後端側間隙部にも入り込み、各フランジが後端側挾持部の第一の後端側挟み部と第二の後端側挟み部との間にも挾持された状態を示す平面図である。
図16図15のXVI-XVI線における断面図である。
図17図15および16と同じ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0033】
図1~17は本発明の一実施例を示し、このうち図1~9は本実施例における板状物連結金具1、図10~17は本実施例における板状物の連結作業(具体的には、ライナープレートの連結作業)を示している。
【0034】
次に、まず図1~9を用いて本実施例における板状物連結金具1を説明する。板状物連結金具1は、全体に1枚の鋼板等の金属板をプレス加工してなり、横断面コの字状に屈曲されるとともに該金具1の長さ方向にほぼ全長に渡って直線状に延びるコの字状部2を有している。
【0035】
前記コの字状部2の先端部には先端側挾持部3が設けられている。この先端側挾持部3は、それぞれ先端方向に向かって突出する第一の先端側挟み部4および第二の先端側挟み部5と、前記第一の先端側挟み部4と前記第二の先端側挟み部5との間に形成されている先端側間隙部6とを有している。
【0036】
ここで、前記先端側挾持部3の一部は前記コの字状部2の一部をなしており、前記第一の先端側挟み部4および前記第二の先端側挟み部5は、コの字状部2の相対向する面2a,2bの両方にそれぞれ同形同大に設けられている。面2aの第一の先端側挟み部4および第二の先端側挟み部5と面2bの第一の先端側挟み部4および第二の先端側挟み部5とは、それぞれ全く同じ機能を果たすものであり、このようにそれぞれ2つずつ設けられているのは、後述するようにライナープレート13のフランジ14を挾持したとき、その挾持を強固にできるようにするためである。なお、前記第一の先端側挟み部4はコの字状部2のコの字の中辺側(図3および6における上側)、第二の先端側挟み部5はコの字の開放部側(図3および6における下側)に形成されている。
【0037】
図3および4によく示されているように、前記第一の先端側挟み部4の先端4bは平にされていて、尖っていない。前記第一の先端側挟み部4の第二の先端側挟み部5に対向する辺4aは、板状物連結金具1、ひいてはコの字状部2の長さ方向に直線状に延びている。やはり図3および4によく示されているように、前記第二の先端側挟み部5は先細となる形状とされている。図4の拡大図によく示されているように、前記第二の先端側挟み部5の第一の先端側挟み部4に対向する辺5aのうちの先端側部分5a1は、第一の先端側挟み部4の第二の先端側挟み部5に対向する辺4aと平行とされている一方、辺5aの後端側部分5a2は、第一の先端側挟み部4と第二の先端側挟み部5との間の間隔が後述する後端側挾持部9側に行くほど広くなるように傾斜されている
図2,5,6および8によく示されているように、前記先端側挾持部3には、前記コの字状部2の両方の縁部(横断面コの字の両端)からそれぞれ内方に延び、互いに先端を小さな間隙を介して対向される第一および第二の圧縮防止片7,8が設けられている。
【0038】
前記コの字状部2の後端部には後端側挾持部9が設けられている。この後端側挾持部9は、第一の後端側挟み部10と、第二の後端側挟み部11と、これらの第一の後端側挟み部10と第二の後端側挟み部11と間に形成されている後端側間隙部12とを有している。さらに詳しく言うと、前記後端側挾持部9は前記金属板の一部を大略U字状に湾曲ないしは屈曲することにより形成されており、第一の後端側挟み部10および第二の後端側挟み部11は前記U字の両辺に相当する部分より構成されている。前記第一の後端側挟み部10はコの字状部2の一方の縁部から大略直角方向に屈曲されて、コの字状部2から張り出されている。図5によく示されているように、前記後端側間隙部12は、入口部(前記U字状に湾曲ないしは屈曲された部分と反対側の部分)の間隔が広く、奥側(前記U字状に湾曲ないしは屈曲された部分側)ほど狭くされている。
【0039】
次に、前記板状物連結金具1を用いた板状物連結方法を説明する。
【0040】
図14および17に示されているように、ライナープレート13の四辺にはフランジ14(本実施例における板状物)が設けられている。図10~17はライナープレート13を上下方向に連結する場合を示している。
【0041】
連結作業を行うには、まず、図10に示されているように、互いに連結すべき2つのライナープレート13のフランジ14を重ね合わせるとともに、これらのフランジ14にそれぞれ設けられた孔15の位置を合わせ、これらの孔15に板状物連結金具1の先端側挾持部3の第二の先端側挟み部5を挿入する。
【0042】
次に、図11のように、2つのライナープレート13の各フランジ14のうちの孔15の周囲の部分が先端側挾持部3の先端側間隙部6に入り込んで第一の先端側挟み部4と第二の先端側挟み部5との間に挾持された状態にする。図12の断面図、図13の平面図および図14の斜視図は、図11と同じ状態を示している。
【0043】
次に、前記図11~14における先端側挾持部3による挾持状態は維持したまま、図15の矢印で示されているように、孔15を中心として板状物連結金具1を回動させ、図15~17に示されているように、2つのライナープレート13の各フランジ14が後端側挾持部9の後端側間隙部12にも入り込み、各フランジ14が後端側挾持部9の第一の後端側挟み部10と第二の後端側挟み部11との間にも挾持されるようにする(なお、図15における一点鎖線は、図11~14における板状物連結金具1の位置を示している)。全く同様の作業を各ライナープレート13のフランジ14に設けられている他の孔15についても行うことにより、2つのフランジ14ひいては2つのライナープレート13を連結することができる。
【0044】
この板状物連結金具1および板状物連結方法においては、従来の一般的な方法であったボルトおよびナットを用いてライナープレート13を連結する場合に比較し、ライナープレート13の連結作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0045】
また、特許文献1に提案されている板状物連結金具1とは異なり、連結すべき2つのライナープレート13間に引き離し力が作用した場合、後端側挾持部9のみならず、先端側挾持部3においても引き離しを強力に阻止することになるので、ライナープレート13を強固に連結することができる。
【0046】
実際上、本実施例においては、2つのフランジ14を挾持する力自体は、むしろ先端側挾持部3の方が後端側挾持部9より大きい。後端側挾持部9は、直接2つのライナープレート13間に作用する引き離し力に対抗するという役割の他に、一旦後端側挾持部9がフランジ14を挾持した後、板状物連結金具1に図15の矢印と反対方向に回動させる力が作用したとき、フランジ14から後端側挾持部9が外れてしまい、それによりさらに先端側挾持部3もフランジ14から外れてしまうのを阻止するという役割を果たす。
【0047】
また、本実施例では、図11のように各フランジ14のうちの孔15の周囲の部分が先端側挾持部3の先端側間隙部6に入り込んで第一の先端側挟み部4と第二の先端側挟み部5との間に挾持された状態になったとき、図12によく示されるように、先端側挾持部3(さらに詳しく言うと、先端側挾持部3のうちの、先端側間隙部6の後端6aと先端側挾持部3の後端3a)が、フランジ14に対する金具1の回動を許す状態で、孔15の内周に緩く嵌合されるようになっているので、金具1を回動させるとき、作業者の意図に反して、フランジ14の孔15の周囲の部分が先端側間隙部6から外れてしまい、挾持状態が解消されてしまわないようにすることができ、金具1の回動作業を円滑に行うことができる。また、2つのフランジ14(板状物)を面方向(せん断方向)にずらそうとする力が作用しても、2つのフランジ14がずれてしまうのを防止することができる。
【0048】
また、本実施例では、板状物連結金具1の先端側挾持部3の第二の先端側挟み部5は先細となる形状とされているので、図10のように、最初にフランジ14の孔15に第二の先端側挟み部5を挿入する作業を容易にすることができる。
【0049】
また、本実施例では、先端側挾持部3の第二の先端側挟み部5は、第一の先端側挟み部4より板状物連結金具1の先端方向に突出している。したがって、これによっても、図10のように、最初にフランジ14の孔15に先端側挾持部3の第二の先端側挟み部5を挿入する作業が容易になる。
【0050】
また、実際のライナープレート13のフランジ14は完全な平面ではなく、波を打っている等により、2つのフランジ14の実質的な重なり厚は、ほとんどの場所で単純にフランジ14の板厚の2倍とはなっておらず、それより大きくなっており、かつその大きさは場所によってかなり大きくばらついている。したがって、もし先端側挾持部3の第一の先端側挟み部4の第二の先端側挟み部5に対向する辺4aと第二の先端側挟み部5の第一の先端側挟み部4に対向する辺5aとを全体的に平行とした場合、フランジ14に設けられた孔15を中心として板状物連結金具1を回動させる際、それに対する抵抗力が非常に大きくなり、スムーズに回動させることが困難になるという問題が生じる。
【0051】
しかし、本実施例では、図4によく示されるように、先端側挾持部3の第一の先端側挟み部4の第二の先端側挟み部5に対向する辺4aは、板状物連結金具1の長さ方向に直線状に延びる一方、第二の先端側挟み部5の第一の先端側挟み部4に対向する辺5aの後端側部分5a2は、第一の先端側挟み部4と第二の先端側挟み部5との間の間隔が後端側挾持部側9に行くほど広くなるように傾斜されているので、フランジ14の孔15を中心として板状物連結金具1を回動させるとき、抵抗力が小さくなり、スムーズに回動させることができる。
【0052】
また、本実施例では、後端側挾持部9の第一の後端側挟み部10と第二の後端側挟み部11との間の後端側間隙部12は、該後端側間隙部12にフランジ14が入り込む際の入口側の間隔が広く、奥側ほど狭くなっている。したがって、図16から明らかなように。フランジ14の孔15を中心として板状物連結金具1を回動させたとき、連結すべき2つのライナープレート13のフランジ14が後端側挾持部9の後端側間隙部12に入り込み易くなり、かつフランジ14が第一の後端側挟み部10と第二の後端側挟み部11との間に強固に挾持されるようにすることができる。また、異なる板厚のフランジ14にも対応することも可能になる。
【0053】
また、本実施例では、板状物連結金具1は金属板をプレス加工してなり、後端側挾持部12は前記金属板の一部を大略U字状に湾曲ないしは屈曲することにより形成されており、第一の後端側挟み部10および第二の後端側挟み部11は前記U字の両辺により構成されている。したがって、図15~17に示されているように、ライナープレート13を連結した後のフランジ14からの金具1の突出量が少なくなり、ライナープレート連結後、作業員が金具1の突出部に頭部等の身体を接触させて負傷する虞がなくなる。
【0054】
また、本実施例では、図15に示されているように、後端側挾持部9はフランジ14に対し直角方向になった状態で2枚のフランジ14を挾持する。したがって、2枚のフランジ14にそれらの長さ方向(図15における上下方向)にずれるような大きなせん断力が作用したときも、後端側挾持部9はフランジ14から外れてしまう方向の力は受けないので、逆方向に回動されてフランジ14から外れてしまうことがなく、挾持状態をより強固に維持できる。
【0055】
また、本実施例では、横断面コの字状に屈曲されるとともに直線状に延びるコの字状部2を有し、先端側挾持部3の一部はコの字状部2の一部をなしており、後端側挾持部9の第一の後端側挟み部10はコの字状部2の横断面コの字の一端から大略直角方向に屈曲されて、コの字状部2から張り出されている。したがって、金具1の剛性および強度を大きくすることができる。
【0056】
また、本実施例では、先端側挾持部6は、コの字状部2の横断面コの字の両端からそれぞれ内方に延び、互いに先端を対向される第一および第二の圧縮防止片7,8を有する。したがって、コの字状部2の両辺に大きな圧縮力が作用したときは、第一および第二の圧縮防止片7,8の先端が互いにぶつかることにより、コの字状部2がコの字の両辺が互いに近付く方向に限度を超えて圧縮変形されるのを防止することができる。
【0057】
なお、本実施例では、ライナープレート13を上下方向に連結する場合のみを示したが、勿論、本発明はライナープレート13を横向に連結する場合にも適用できる。
【0058】
また、本発明の板状物連結金具および板状物連結方法は、ライナープレート(フランジ)以外の板状物の連結にも適用できる。また、本発明の板状物連結金具および板状物連結方法は、板状物に板状でない部分が結合している物品(一部のみが板状で、他の部分は非板状の物品)の連結にも適用できるものである。
【0059】
また、本発明の板状物連結金具は、プレス加工以外の加工方法により加工してもよい。また、本発明の板状物連結金具は、前記実施例のように一体的に構成されていなくてもよい。さらに、本発明の板状物連結金具は、金属以外の材料(例えば樹脂)により構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように本発明による板状物連結金具および板状物連結方法は、種々の板状物を連結する板状物連結金具および板状物連結方法として有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 板状物連結金具
2 コの字状部
2a,2b コの字状部の相対向する面
3 先端側挾持部
3a 先端側挾持部の後端
4 第一の先端側挟み部
4a 第一の先端側挟み部の第二の先端側挟み部に対向する辺
4b 第一の先端側挟み部の先端
5 第二の先端側挟み部
5a 第二の先端側挟み部の第一の先端側挟み部に対向する辺
6 先端側間隙部
6a 先端側間隙部の後端
7,8 第一および第二の圧縮防止片
9 後端側挾持部
10 第一の後端側挟み部
11 第二の後端側挟み部
12 後端側間隙部
13 ライナープレート
14 フランジ(板状物)
15 孔
図1
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