IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッドの特許一覧

特許7058214感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20220414BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20220414BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220414BHJP
   C07F 7/18 20060101ALN20220414BHJP
   C07F 7/04 20060101ALN20220414BHJP
【FI】
G03F7/075 501
G03F7/023
G03F7/004 501
C07F7/18 D
C07F7/04 K
C07F7/18 B
C07F7/18 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018518724
(86)(22)【出願日】2016-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2016010639
(87)【国際公開番号】W WO2017078272
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-09-17
(31)【優先権主張番号】10-2015-0155997
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0121881
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】クン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ホ・ナ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ハン・ヤン
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-094898(JP,A)
【文献】特開2015-069172(JP,A)
【文献】国際公開第2005/098539(WO,A1)
【文献】特開2009-204805(JP,A)
【文献】特開2014-178672(JP,A)
【文献】特開2010-170082(JP,A)
【文献】特開2010-134388(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂組成物であって、
(A)シロキサンポリマーと、
(B)1,2-キノンジアジド化合物と、
(C)少なくとも1つのエポキシ基を含む不飽和モノマーのホモオリゴマー及び少なくとも1つのエポキシ基を含む不飽和モノマーのヘテロオリゴマーからなる群から選択されるエポキシ化合物と、
(D)下記の式1で表される少なくとも1つのシラン化合物と、を含み、
[式1]
(RSi(OR4-n
式1中、
は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アルケニル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、Rはヘテロ原子を含有する構造単位を含んでいてもよく、
は、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、2~6個の炭素原子を有するアシル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アシル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、
nは、0~3の整数であ
前記感光性樹脂組成物は、溶媒を除外した前記感光性樹脂組成物の固形分の全重量に基づいて、65~95重量%の量の前記シロキサンポリマー(A)を含む、感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ化合物(C)が、カルボキシル基を含まない、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記シロキサンポリマー(A)が、下記の式2で表されるシラン化合物に由来する少なくとも1つの構造単位を含み、
[式2]
(RSi(OR4-n
式2中、
は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アルケニル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、Rはヘテロ原子を含有する構造単位を含んでいてもよく、
は、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、2~6個の炭素原子を有するアシル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アシル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、
nは、0~3の整数である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記シロキサンポリマー(A)が、式中nが0である式2のシラン化合物に由来する構造単位を含む、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのシラン化合物(D)が、前記シロキサンポリマーの固形分100重量部を基準にして0.5~18重量部の量で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜に関する。具体的には、本発明は、優れた耐薬品性を有する硬化膜が形成されるポジ型感光性樹脂組成物、及びその組成物から調製され、かつ液晶表示装置(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)で使用される硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、透明な平坦化膜が、絶縁のために薄膜トランジスタ(TFT)基板上に形成されて、LCDまたはOLEDにおいて、透明電極とデータ線との間の接触を防止する。データ線の近くに配置された透明な画素電極を介して、パネルの開口率を高め、高輝度/高解像度を達成することができる。このような透明平坦化膜を形成するためには、いくつかの処理ステップが用いられて特定のパターン形状が付与され、より少ない処理ステップしか必要とされないため、ポジ型感光性樹脂組成物がこのプロセスで広く用いられている。特に、シロキサンポリマーを含有するポジ型感光性樹脂組成物は、高耐熱性、高透明度、及び低誘電率を有する材料としてよく知られている。
【0003】
高耐熱性、高透明度、及び高解像度を担うシロキサン組成物は、当該技術分野で知られている。従来のシロキサン組成物は、フェニル残基を有するT型シロキサン構造単位とQ型シロキサン構造単位とが互いに組み合わされているシロキサンポリマーに1,2-キノンジアジド化合物を添加することによって得ることができる。例えば、韓国特許出願公開第2006-59202号は、20モル%以下の量でフェノール性ヒドロキシル基を含有するシロキサンポリマーと、その中のフェノール性ヒドロキシル基に対してオルトまたはパラ位にメチル基を含有していないキノンジアジド化合物(0.1~10重量%)と、溶媒として、アルコール性ヒドロキシル基を含有する化合物及び/またはカルボニル基を含有する環式化合物とを含む組成物を開示している。また、少なくとも95%の透過率を有し、特定の色度座標を満たす組成物から調製される硬化膜も開示する。
【0004】
一方、このようなシロキサン組成物を含有する従来のポジ型感光性組成物を用いて調製される平坦化膜、または同じ組成物を用いる表示装置は、硬化膜が、後処理で使用される溶媒、酸、塩基などに浸漬されるか、またはそれらと接触した際に、硬化膜が基板から隆起または剥離するなどの問題を有する場合がある。さらに、高い精度/解像度に対する要求が高まると共に、処理時間を短縮するために、後処理で使用される溶媒、酸、アルカリなどの濃度が従来よりも高くなっている。したがって、良好な耐薬品性を有する硬化膜を形成し得る感光性樹脂組成物への要求が高まっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、後処理で使用される化学薬品(溶媒、酸、アルカリなど)に対する良好な耐薬品性を有する硬化膜を形成し得る感光性樹脂組成物、及びそれから調製され、かつLCD、OLEDなどで使用される硬化膜を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に従って、(A)シロキサンポリマー、(B)1,2-キノンジアジド化合物、(C)エポキシ化合物、及び(D)以下の式1で表される少なくとも1つのシラン化合物を含む感光性樹脂組成物が提供される。
【0007】
[式1]
(RSi(OR4-n
式1中、
は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アルケニル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、Rはヘテロ原子を含有する構造単位を含んでいてもよく、
は、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、2~6個の炭素原子を有するアシル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アシル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、
nは、0~3の整数である。
【発明の効果】
【0008】
感光性樹脂組成物が、エポキシ化合物、ある特定の構造を有するシラン化合物、ならびにシロキサンポリマーを含むため、シロキサンポリマー中に存在する高反応性のシラノール基の数がさらに減少し得る。その結果、後処理で使用される化学薬品に対する耐性(耐薬品性)が最大化されて、優れた安定性を有する硬化膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に従う感光性樹脂組成物は、(A)シロキサンポリマー、(B)1,2-キノンジアジド化合物、(C)エポキシ化合物、及び(D)式1で表される少なくとも1つのシラン化合物を含み、任意に(E)溶媒、(F)界面活性剤、及び/または(G)接着補助剤をさらに含み得る。
【0010】
以下に、感光性樹脂組成物の各構成成分が詳細に説明される。
【0011】
本開示では、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び/または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び/または「メタクリレート」を意味する。
【0012】
(A)シロキサンポリマー
シロキサンポリマー(ポリシロキサン)は、シラン化合物の縮合物及び/またはその加水分解物を含む。
【0013】
この場合、シラン化合物またはその加水分解物は、単官能から四官能のシラン化合物であり得る。
【0014】
結果として、シロキサンポリマーは、以下のQ型、T型、D型、及びM型から選択されるシロキサン構造単位を含むことができる。
【0015】
-Q型シロキサン構造単位:例えば、四官能シラン化合物、または4つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び4個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0016】
-T型シロキサン構造単位:例えば、三官能シラン化合物、または3つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び3個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0017】
-D型シロキサン構造単位:例えば、二官能シラン化合物、または2つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び2個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位(すなわち、線状シロキサン構造単位)。
【0018】
-M型シロキサン構造単位:例えば、単官能シラン化合物、または1つの加水分解性基を有するシラン化合物の加水分解物に由来し得る、シリコン原子及び1個の隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0019】
例えば、シロキサンポリマー(A)は、下記の式2で表されるシラン化合物に由来する少なくとも1つの構造単位を含むことができ、シロキサンポリマーは、例えば、下記の式2で表されるシラン化合物の縮合物及び/またはその加水分解物であり得る。
【0020】
[式2]
(RSi(OR4-n
式2中、
は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アルケニル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、Rはヘテロ原子を含有する構造単位を含んでいてもよく、
は、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、2~6個の炭素原子を有するアシル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アシル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、
nは、0~3の整数である。
【0021】
ヘテロ原子を含有する構造単位を含むRの例としては、エーテル、エステル、及びスルフィドを挙げることができる。
【0022】
シラン化合物は、nが0である四官能シラン化合物、nが1である三官能シラン化合物、nが2である二官能シラン化合物、及びnが3である単官能シラン化合物であり得る。
【0023】
シラン化合物の特定の例として、例えば、四官能シラン化合物として、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン、及びテトラプロポキシシラン;三官能シラン化合物として、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、d-メチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸;二官能シラン化合物として、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、及びジメトキシジ-p-トリルシラン;単官能シラン化合物として、トリメチルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、及び(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランを挙げることができる。
【0024】
四官能シラン化合物の中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトラブトキシシランが好ましく、三官能シラン化合物の中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、及びブチルトリメトキシシランが好ましく、二官能シラン化合物の中でも、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、及びメチルジエトキシシランが好ましい。
【0025】
これらのシラン化合物は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0026】
式2で表されるシラン化合物の加水分解物またはその縮合物を調製するための条件は、特に限定されない。例えば、所望の加水分解物または縮合物は、エタノール、2-プロパノール、アセトン、及び酢酸ブチルなどの溶媒中に式2のシラン化合物を希釈することと、それに、反応に必要な水、及び触媒として、酸(例えば、塩酸、酢酸、硝酸など)または塩基(例えば、アンモニア、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムなど)を添加することと、次いで、そのようにして得られた混合物を撹拌して、加水分解重合反応を完了させることとによって調製することができる。
【0027】
式2のシラン化合物の加水分解重合によって得られる縮合物(シロキサンポリマー)の重量平均分子量は、好ましくは500~50,000の範囲内である。この範囲内で、感光性樹脂組成物は、望ましい膜形成特性、溶解性、及び現像剤中の溶解率を有することができる。
【0028】
調製に使用される溶媒及び酸または塩基触媒の種類、ならびにそれらの量は、特に制限なく任意に選択することができる。加水分解重合は20℃以下の低温で行うことができるが、反応は加熱または還流によって促進することもできる。反応に要する時間は、シランモノマーの種類及び濃度、反応温度などを含む諸条件に従って変えることができる。一般に、約500~50,000の重量平均分子量を有する縮合物を得るために必要な反応時間は15分間~30日間の範囲内であるが、本発明の反応時間はこれに限定されない。
【0029】
シロキサンポリマー(A)は、線状シロキサン構造単位(すなわち、D型シロキサン構造単位)を含むことができる。線状シロキサン構造単位は、二官能シラン化合物、例えば、式2で表され、式中nが2であるシラン化合物に由来し得る。具体的には、シロキサンポリマー(A)は、式2で表され、式中nが2であるシラン化合物に由来する構造単位を、Si原子モル数を基準として0.5~50モル%、好ましくは1~30モル%の割合で含む。この範囲内では、硬化膜は一定の硬度を維持することができ、また柔軟性を発揮することができ、それにより外部応力に対する耐クラック性がさらに向上する。
【0030】
さらに、シロキサンポリマー(A)は、式2で表され、式中nが1であるシラン化合物に由来する構造単位(すなわち、T型構造単位)を含むことができる。好ましくは、シロキサンポリマー(A)は、式2で表され、式中nが1であるシラン化合物に由来する構造単位を、Si原子モル数を基準として40~85モル%、より好ましくは50~80モル%の量で含む。この範囲内で、感光性樹脂組成物は、より精密なパターン形状を有する硬化膜を形成することができる。
【0031】
さらに、硬化膜の硬度、感度、及び保持率を考慮すると、シロキサンポリマー(A)は、アリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。例えば、シロキサンポリマー(A)は、シラン化合物に由来する構造単位を、Si原子モル数を基準として30~70モル%、好ましくは35~50モル%の量で含むことができる。この範囲内では、シロキサンポリマーと1,2-ナフトキノンジアジド化合物との相溶性は良好であり、したがって硬化膜のより好ましい透明性を達成しつつ、感度の過剰な低下を防止することができる。Rとしてアリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位は、式中Rがアリール基である式2のシラン化合物から、特に、式中nが1であり、Rがアリール基である式2のシラン化合物から、さらに特に、式中nが1であり、Rがフェニルである式2のシラン化合物に由来する構造単位(すなわち、T-フェニル型構造単位)であり得る。
【0032】
シロキサンポリマー(A)は、式2で表され、式中nが0であるシラン化合物に由来する構造単位(すなわち、Q型構造単位)を含むことができる。好ましくは、シロキサンポリマー(A)は、式2で表され、式中nが0であるシラン化合物に由来する構造単位を、Si原子モル数を基準として10~40モル%、好ましくは15~35モル%の量で含む。この範囲内で、感光性樹脂組成物は、パターン形成中にアルカリ性水溶液中のその溶解性を適正な程度に維持することができ、これによって組成物の溶解性の低下または溶解性の極端な増加によって引き起こされる任意の欠陥を防止することができる。
【0033】
本明細書中に用いられる用語「Si原子モル数を基準とするモル%」とは、シロキサンポリマーを構成する構造単位のすべてに含有されるSi原子の合計モル数に対する、ある特定の構造単位に含有されるSi原子のモル数の割合を指す。
【0034】
シロキサンポリマー(A)中のシロキサン単位のモル量は、Si-NMR、H-NMR、13C-NMR、IR、TOF-MS、元素分析、灰分測定などの組み合わせから測定することができる。例えば、フェニル基を有するシロキサン単位のモル量を測定するために、全シロキサンポリマーに関してSi-NMR分析を行い、次いでフェニル結合Siピーク面積及びフェニル非結合Siピーク面積を分析し、その間のピーク面積比からモル量を計算することができる。
【0035】
本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒を除外した組成物の固形分の全重量に基づいて、50~95重量%、好ましくは65~90重量%の量のシロキサンポリマー(A)を含むことができる。この量の範囲内で、樹脂組成物は好適なレベルでその現像性を維持することができ、これによって、改善された膜保持率及びパターン解像度を有する硬化膜を生成する。
【0036】
(B)1,2-キノンジアジド化合物
本発明による感光性樹脂化合物は、1,2-キノンジアジド化合物(B)を含む。
【0037】
1,2-キノンジアジド化合物は、フォトレジスト分野において感光剤として用いられる任意の化合物であってもよい。
【0038】
1,2-キノンジアジド化合物の例としては、フェノール化合物と1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸または1,2-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸とのエステル;フェノール化合物と1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸または1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸とのエステル;ヒドロキシル基がアミノ基で置換されているフェノール化合物と1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸または1,2-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸とのスルホンアミド、ならびに、ヒドロキシル基がアミノ基で置換されているフェノール化合物と1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸または1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸とのスルホンアミドが挙げられる。上記の化合物は、単独で、または2つ以上の化合物の組み合わせなどで使用され得る。
【0039】
フェノール化合物の例としては、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインデン-5,6,7,5’,6’,7’-ヘキサノール、及び2,2,4-トリメチル7,2’,4’-トリヒドロキシフラバンなどが挙げられる。
【0040】
1,2-キノンジアジド化合物のより具体的な例には、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸とのエステル、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノンと1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸とのエステル、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸とのエステル、ならびに4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノールと1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸とのエステルが含まれる。
【0041】
上記の化合物は、単独で、または2つ以上の化合物の組み合わせで使用され得る。
【0042】
上記の好ましい化合物を用いることによって、ポジ型感光性樹脂組成物の透明度を改善することができる。
【0043】
1,2-キノンジアジド化合物(B)は、溶媒を除いた固形分を基準として、シロキサンポリマー(A)の100重量部に対して、2~50重量部、好ましくは5~20重量部の範囲の量で、感光性樹脂組成物に含まれ得る。1,2-キノンジアジド化合物が上記の量の範囲で使用される場合、樹脂組成物は、コーティング膜の粗面及び現像時のパターンの下部におけるスカムなどの欠陥の生成を抑制しながら、パターンをさらに容易に形成し得る。
【0044】
(C)エポキシ化合物
本発明の感光性樹脂組成物では、シロキサンバインダーの内部密度を高め、それによりそれから調製される硬化膜の耐薬品性を改善するために、エポキシ化合物がシロキサンポリマーと共に用いられる。
【0045】
エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を含む不飽和モノマーのホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマーであり得る。
【0046】
少なくとも1つのエポキシ基を含む不飽和モノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、またはそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、グリシジルメタクリレートを用いることができる。
【0047】
エポキシ化合物は、当該技術分野で知られている任意の従来の方法によって合成することができる。
【0048】
市販のエポキシ化合物の例としては、GHP03(グリシジルメタクリレートホモポリマー、Miwon Commercial Co.,Ltd.)を挙げることができる。
【0049】
エポキシ化合物(C)は以下の構造単位をさらに含むことができる。
【0050】
特定の例としては、スチレン;アルキル置換基を有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン;ハロゲンを有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、及びヨードスチレン;アルコキシ置換基を有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン、及びプロポキシスチレン;
p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン;芳香族環を有するエチレン性不飽和化合物、例えばジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、及びp-ビニルベンジルメチルエーテル;不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N-ビニル基を有する第三アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、及びN-ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル、及びビニルエチルエーテル;不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、及びN-シクロヘキシルマレイミドに由来する任意の構造単位を挙げることができる。上記の例示化合物に由来する構造単位は、エポキシ化合物(C)中に、単独でまたはそれらの2つ以上の組み合わせで含有され得る。
【0051】
組成物の重合性のために、これらの例の中ではスチレン系化合物が好ましい。
【0052】
特に、耐薬品性の観点から、これらの化合物の中では、カルボキシル基を含有するモノマーに由来する構造単位を用いないことによって、エポキシ化合物(C)は、カルボキシル基を含有しないことがより好ましい。
【0053】
その構造単位は、エポキシ化合物(C)を構成する構造単位の全モル数を基準として0~70モル%、好ましくは10~60モル%の量比で使用され得る。この量の範囲内で、硬化膜は望ましい硬度を有することができる。
【0054】
エポキシ化合物(C)の重量平均分子量は、100~30,000、好ましくは1,000~15,000の範囲であり得る。エポキシ化合物の重量平均分子量が少なくとも100である場合、硬化膜は改善された硬度を有することができる。また、エポキシ化合物の重量平均分子量が30,000以下である場合、硬化膜は均一な厚さを有することができ、硬化膜上のあらゆる段差を平坦化するのに適する。重量平均分子量は、ポリスチレン標準を用いて、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)によって測定される。
【0055】
本発明の感光性樹脂組成物では、エポキシ化合物(C)は、溶媒を除いた固形分を基準として、シロキサンポリマー(A)の100重量部に対して、0.5~50重量部、好ましくは2~40重量部、より好ましくは3~30重量部の量で、感光性樹脂組成物に含むことができる。この量の範囲内では、感光性樹脂組成物の感度を改善することができる。
【0056】
(D)シラン化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、エポキシオリゴマーなどのエポキシ化合物と共に、式1で表される少なくとも1つのシラン化合物、特に、T型及び/またはQ型シランモノマーを含み、シロキサンポリマー中の高反応性シラノール基(Si-OH)の数を減少させることができ、それにより、後処理を実施中の耐薬品性を改善することができる。
【0057】
[式1]
(RSi(OR4-n
式1では、
は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、2~10個の炭素原子を有するアルケニル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アルケニル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、またRはヘテロ原子を有する構造単位を含んでいてもよく、
は、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、2~6個の炭素原子を有するアシル、または6~15個の炭素原子を有するアリールであり、複数のRが同じ分子内に存在する場合、各Rは互いに同じかまたは異なっていてもよく、Rがアルキル、アシル、またはアリールである場合、水素原子は部分的または全体的に置換されていてもよく、
nは、0~3の整数である。
【0058】
ヘテロ原子を含有する構造単位を含むRの例としては、エーテル、エステル、及びスルフィドが挙げられる。
【0059】
シラン化合物は、nが0である四官能シラン化合物、nが1である三官能シラン化合物、nが2である二官能シラン化合物、及びnが3である単官能シラン化合物であり得る。
【0060】
シラン化合物の特定の例としては、例えば、四官能シラン化合物として、テトラクロロシラン、テトラアミノシラン、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン、及びテトラプロポキシシラン;三官能シラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、d-メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸;二官能シラン化合物として、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、及びジメトキシジ-p-トリルシラン;単官能シラン化合物として、トリメチルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、及び(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランを挙げることができる。
【0061】
四官能シラン化合物の中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトラブトキシシランが好ましく;三官能シラン化合物の中でも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが好ましく;二官能シラン化合物の中でも、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、及びメチルジエトキシシランが好ましい。
【0062】
これらのシラン化合物は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0063】
シラン化合物(D)は、溶媒を除いたその固形分が、シロキサンポリマー(A)の100重量部を基準として0.5~18重量部、0.5~16重量部、0.5~12重量部、2~18重量部、2~16重量部、2~12重量部、2.3~18重量部、2.3~16重量部、2.3~12重量部、4~18重量部、4~16重量部、または4~12重量部の範囲内であるような量で含むことができる。その範囲内では、このようにして製造された硬化膜の耐薬品性をさらに改善することができる。
【0064】
(E)溶媒
本発明の感光性樹脂化合物は、上記成分が溶媒と共に混合される液体組成物として調製することができる。溶媒は、例えば、有機溶媒であってもよい。
【0065】
本発明による感光性樹脂組成物における溶媒の使用量は特に限定されない。例えば、感光性樹脂組成物は、その固形分が感光性樹脂組成物の全重量を基準として5~80重量%、好ましくは10~70重量%、より好ましくは15~60重量%の範囲内になるような量で溶媒を含有することができる。
【0066】
固形分とは、溶媒を除外した、本発明の樹脂組成物に含まれる成分のすべてを指す。その量の範囲内では、被覆性が好ましくあり得、適度な流動性が維持され得る。
【0067】
本発明の溶媒は、本組成物の各成分を溶解することができ、かつ化学的に安定である限りにおいては、特に限定されない。溶媒の例としては、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素、ケトン、及びエステルなどを挙げることができる。
【0068】
溶媒の具体的な例には、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルアセトアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシである-2-メチルプロピオネート、エチルエトキシアセテート、エチルハイドロキシアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエート、メチル2-メトキシプロピオネート、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブチルラクテート、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどが含まれる。
【0069】
これらの例示的な溶媒の中で好ましいのは、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、及びケトンである。特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、2-メトキシプロピオン酸メチル、γ-ブチロラクトン、及び4-ヒドロキシ-4-メチル2-ペンタノンが好ましい。
【0070】
上記の化合物は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0071】
(F)界面活性剤
本発明の感光性樹脂化合物は、その被覆性を増強させるために界面活性剤をさらに含むことができる。
【0072】
界面活性剤の種類は限定されないが、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、非イオン界面活性剤などが好ましい。
【0073】
界面活性剤の具体的な例としては、フッ素系またはシリコン系界面活性剤、例えばDow Corning Toray Silicon Co.,Ltd.によって製造されたFZ-2122、BM CHEMIE Co.,Ltd.によって製造されたBM-1000及びBM-1100、Dai Nippon Ink Kagagu Kogyo Co.,Ltd.によって製造されたMegapack F-142D、Megapack F-172、Megapack F-173、及びMegapack F-183、Sumitomo 3M Ltd.によって製造されたFlorad FC-135、Florad FC-170C、Florad FC-430、及びFlorad FC-431、Asahi Glass Co.,Ltd.によって製造されたSufron S-112、Sufron S-113、Sufron S-131、Sufron S-141、Sufron S-145、Sufron S-382、Sufron SC-101、Sufron SC-102、Sufron SC-103、Sufron SC-104、Sufron SC-105、及びSufron SC-106、Shinakida Kasei Co.,Ltd.によって製造されたEftop EF301、Eftop EF303、及びEftop EF352、Toray Silicon Co.,Ltd.によって製造されたSH-28 PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57、及びDC-190;非イオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどを含むポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどを含むポリオキシエチレンアリールエーテル、及びポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどを含むポリオキシエチレンジアルキルエステル、ならびにオルガノシロキサンポリマーKP341(Shin-Etsu Kagagu Kogyo Co.,Ltd.製)、(メタ)アクリレート系コポリマーPolyflow No.57及び95(Kyoeisha Yuji Chemical Co.,Ltd.)などを挙げることができる。それらは単独で、またはそれらを2つ以上組み合わせて用いることができる。
【0074】
界面活性剤(F)は、溶媒を除いた固形分を基準として、シロキサンポリマー(A)の100重量部に対して、0.001~5重量部、好ましくは0.05~2重量部の量で、感光性樹脂組成物に含むことができる。その量の範囲内では、組成物の被覆性を改善することができる。
【0075】
(G)接着補助剤
本発明の感光性樹脂組成物は、基板との接着性を改善するために、接着補助剤をさらに含むことができる。
【0076】
接着補助剤は、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの反応性基を含むことができる。
【0077】
接着補助剤の種類は特に限定されない。その例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群より選択される少なくとも1つを挙げることができ、好ましい例としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、またはN-フェニルアミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができ、それらは保持率を増加させることができ、かつ基板との良好な接着性を有することができる。
【0078】
接着補助剤(G)は、溶媒を除いた固形分を基準として、シロキサンポリマー(A)の100重量部に対して、0.001~5重量部、好ましくは0.01~2重量部の量で含有することができる。この範囲内では、解像度の低下を防止することができ、基板との接着性をさらに改善することができる。
【0079】
また、本発明の感光性樹脂組成物の物理的特性に悪影響を与えない場合に限り、他の添加成分を本発明の感光性樹脂組成物に含ませることができる。
【0080】
本発明の感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物として用いることができる。
【0081】
特に、本発明の感光性樹脂組成物は、シロキサンポリマーと、1,2-キノンジアジド化合物と、エポキシ化合物とを含む組成物中にT型及び/またはQ型のシランモノマーを導入することによって調製され、その樹脂組成物におけるエポキシ化合物と共に、シランモノマーは、シロキサンポリマー中に存在する高反応性のシラノール基(Si-OH)の数を効率的に減少させることができる。したがって、このようにして製造される硬化膜は、後処理で使用される化学薬品(溶媒、酸、アルカリなど)に対して改善された耐薬品性を有することができる。
【0082】
さらに、本発明は、感光性樹脂組成物から調製される硬化膜を提供する。
【0083】
その硬化膜は、例えば、基板上に感光性樹脂組成物をコーティングし、それを硬化プロセスに供することによって、当該技術分野で知られている方法で調製することができる。
【0084】
コーティングプロセスは、スピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、アプリケータ法などによって、例えば2~25μmの所望の厚さで行うことができる。
【0085】
感光性樹脂組成物の硬化については、例えば、基板上にコーティングされた組成物は、溶媒を除去するために、例えば60~130℃の温度のプリベークに供してもよく、所望のパターンを有するフォトマスクを用いて露光してもよく、ならびに現像剤、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液を用いて現像に供することで、コーティング膜上にパターンを形成してもよい。露光は、200~500nmの波長帯域の波長365nmに基づいて10~200mJ/cmの露光速度で行うことができる。露光(照射)に用いられる光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザなどを用いてもよく、所望であれば、X線、電子線などを用いてもよい。
【0086】
次に、パターンを有する被膜は必要に応じて、所望の硬化膜を調製するために、例えば150~300℃の温度で10分~5時間ポストベークに供される。
【0087】
このようにして調製された硬化膜は、耐熱性、透明度、誘電率、耐溶媒性、耐酸性、及び耐アルカリ性の点で優れた物理特性を有する。
【0088】
したがって、その硬化膜は、組成物を熱処理に供する場合、または熱処理されるか、溶媒、酸、塩基などの中に浸漬されるか、それらと接触する場合、表面粗さを伴うことなく優れた光透過率を有する。このように、硬化膜は、LCDやOLEDのTFT基板、OLEDのパーティション、半導体デバイスの層間絶縁膜、光導波路のコアまたはクラッド材などのための平坦化膜として有効に使用することができる。
【0089】
さらに、本発明は、硬化膜を保護膜として含む、電子部品を提供する。
【0090】
発明を実施するための形態
以下、本発明を以下の実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は本発明を例証するためにのみ示されており、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【0091】
以下の実施例では、重量平均分子量はポリスチレン標準を用いるゲル透過クロマトグラフィ(GPC)によって求められる。
【0092】
合成例1:シロキサンポリマー(a)の合成
還流冷却器を備えた反応器に、フェニルトリメトキシシラン40重量%、メチルトリメトキシシラン15重量%、テトラエトキシシラン20重量%、及び純水20重量%を入れ、次いで、そこにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)5重量%を添加し、続いて、シュウ酸触媒0.1重量%の存在下で、7時間、還流攪拌し、次いで冷却した。その後、反応生成物を固形分が40重量%になるようにPGMEAで希釈した。重量平均分子量が約5,000~8,000Daのシロキサンポリマーを合成した。
【0093】
合成例2:シロキサンポリマー(b)の合成
還流冷却器を備えた反応器に、フェニルトリメトキシシランを20重量%、メチルトリメトキシシランを30重量%、テトラエトキシシランを20重量%、及び純水を15重量%入れ、次いで、そこにPGMEAを15重量%添加し、続いて、シュウ酸触媒0.1重量%の存在下で、6時間、還流攪拌し、次いで冷却した。その後、反応生成物を固形分が30重量%になるようにPGMEAで希釈した。重量平均分子量が約10,000~14,000Daのシロキサンポリマーを合成した。
【0094】
合成例3:シロキサンポリマー(c)の合成
還流冷却器を備えた反応器に、フェニルトリメトキシシランを20重量%、メチルトリメトキシシランを30重量%、テトラエトキシシランを20重量%、及び純水を15重量%入れ、次いで、そこにPGMEAを15重量%添加し、続いて、シュウ酸触媒0.1重量%の存在下で、5時間、還流攪拌し、次いで冷却した。その後、反応生成物を固形分が30重量%になるようにPGMEAで希釈した。重量平均分子量が約10,000~15,000Daのシロキサンポリマーを合成した。
【0095】
合成例4:エポキシ化合物の合成
凝縮器を備えた三つ口フラスコを、自動温度調節器を有する撹拌機の上に置いた。グリシジルメタクリレート(100モル%)からなるモノマー100重量部、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)10重量部、及びPGMEA 100重量部をフラスコに入れ、窒素を充填した。その混合物をゆっくりと撹拌しながらフラスコを80℃に加熱し、その温度を5時間保持して、重量平均分子量約6,000~10,000Daを有するエポキシ化合物を得た。次いで、そこにPGMEAを添加して、固形分濃度を20重量%に調整した。
【0096】
実施例及び比較例:感光性樹脂組成物の調製
【0097】
以下の実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、上記合成例で得られた化合物を用いて調製した。
【0098】
また、以下の化合物を実施例及び比較例で使用した。
-1,2-キノンジアジド化合物
:TPA-517、Miwon Commercial Co.,Ltd.
:PAC-BIOC25、Miwon Commercial Co.,Ltd.
-溶媒
:PGMEA、Chemtronics Co.,Ltd.
:γ-ブチロラクトン(GBL)、BASF
-シラン化合物
:フェニルトリメトキシシラン(PhTMOS)、Z-6124シラン、Xiameter
:メチルトリメトキシシラン(MTMOS)、Z-6070シラン、Xiameter
:テトラエトキシシラン(TEOS)、Dow Corning Co.,Ltd.
:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECHTMOS)、Sigma-Aldrich Co.
:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)、Z-6040シラン、Xiameter
-界面活性剤:シリコンレベリング界面活性剤、FZ-2122、Dow Corning Toray Co.,Ltd.
【0099】
実施例1:全シロキサンポリマー100重量部を基準にして、合成例1のシロキサンポリマー(a)の溶液27.3重量部、合成例2のシロキサンポリマー(b)の溶液36.5重量部、及び合成例3のシロキサンポリマー(c)の溶液36.2重量部を混合し、次いで、1,2-キノンジアジド化合物としてTPA-517 5.6重量部及びPAC-BIOC25 0.2重量部、合成例4のエポキシ化合物23.7重量部、及びシランモノマーとしてPhTMOS 2.3重量部、ならびに界面活性剤1.1重量部を均一に混合した。その混合物を、溶媒としてのPGMEAとGBLとの混合物(PGMEA:GBL=85:15)中に固形分が22%になるように溶解した。その混合物を0.2μmの細孔を有する濾過膜を用いて濾過して、固形分22重量%を有する組成物を得た。
【0100】
実施例2:1,2-キノンジアジド化合物としてTPA-517 6.0重量部及びPAC-BIOC25 0.2重量部、シランモノマーとしてPhTMOS 5重量部、界面活性剤 1.2重量部、及びPGMEA:GBL=86:14の重量比の溶媒を用いた以外は、実施例1に記載したのと同じ手順を実施することによって、固形分22重量%を有する組成物を得た。
【0101】
実施例3:シランモノマーとしてMTMOSを2.3重量部用いた以外は、実施例1と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%の組成物を得た。
【0102】
実施例4:1,2-キノンジアジド化合物としてTPA-517 6.0重量部及びPAC-BIOC25 0.2重量部、シランモノマーとしてMTMOS 5重量部、界面活性剤1.2重量部、及びPGMEA:GBL=86:14の重量比の溶媒を用いた以外は、実施例3と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%を有する組成物を得た。
【0103】
実施例5:シランモノマーとしてTEOSを2.3重量部用いた以外は、実施例1と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%の組成物を得た。
【0104】
実施例6:1,2-キノンジアジド化合物としてTPA-517 6.0重量部及びPAC-BIOC25 0.2重量部、シランモノマーとしてTEOS 5重量部、界面活性剤1.2重量部、及びPGMEA:GBL=86:14の重量比の溶媒を用いた以外は、実施例5と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%を有する組成物を得た。
【0105】
実施例7:シランモノマーとしてECHTMOSを5重量部用いた以外は、実施例6と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%の組成物を得た。
【0106】
実施例8:シランモノマーとしてGPTMSを5重量部用いた以外は、実施例7と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%の組成物を得た。
【0107】
比較例1:1,2-キノンジアジド化合物としてTPA-517 5.3重量部及びPAC-BIOC25 0.2重量部、及びPGMEA:GBL=86:14の重量比の溶媒を用い、シランを用いなかった以外は、実施例1と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%の組成物を得た。
【0108】
比較例2:シロキサンポリマー(a)100重量部を基準として、合成例1のシロキサンポリマー(a)の溶液100重量部、1,2-キノンジアジド化合物としてTPA-517 6.2重量部及びPAC-BIOC25 0.2重量部、シランモノマーとしてPhTMOS 4.5重量部、ならびに界面活性剤1.2重量部を均一に混合した。その混合物を、溶媒としてのPGMEAとGBLとの混合物(PGMEA:GBL=90:10)中に固形分が22%になるように溶解した。その混合物を0.2μmの細孔を有する濾過膜を用いて濾過して固形分22重量%を有する組成物を得た。
【0109】
比較例3:シランモノマーとしてECHTMOSを4.5重量部用いた以外は、比較例2と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%の組成物を得た。
【0110】
比較例4:シランモノマーとしてGPTMSを4.5重量部用いた以外は、比較例2と同じ手順を実施することによって、固形分22重量%の組成物を得た。
【0111】
実験例1:耐薬品性の評価
実施例及び比較例で得られた各組成物を、スピンコートによりガラス基板上にコーティングし、110℃に保たれたホットプレート上で90秒間プリベークして厚さ3.1μmを有する乾燥膜を形成した。その乾燥膜を、ストリームノズルからの2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液によって、23℃で60秒間現像した。次いで、その現像された膜を、200nm~450nmの波長を有する光を放射するアライナー(モデル名:MA6)を用いて、波長365nmに基づく露光量200mJ/cmでパターンマスクを介してある特定の期間にわたって露光した(ブリーチング処理)。次いで、その露光膜をコンベクションオーブンにて230℃で30分間加熱して硬化膜を得た。硬化膜の厚さ(T1)は、非接触式厚み測定装置(SNU Precision)を用いて測定した。
【0112】
恒温浴にリワークケミカル(製品名:LT-360)を入れ、温度を50℃に保った。硬化膜を浴中に10分間浸漬し、空気でリワークケミカルを除去した。次いで、硬化膜の厚さ(T2)を測定した。
【0113】
この測定値から以下の方程式1により耐薬品性を評価した(膨潤厚さは耐薬品性の評価実験後に計算した)。
【0114】
[方程式1]
耐薬品性に関する評価実験後の膨潤厚さ(Å)=リワークケミカルに浸漬した後の膜厚(T2)-リワークケミカルに浸漬する前の膜厚(T1)
【0115】
実験例2:感度の評価
実施例及び比較例で得られた組成物のそれぞれを、スピンコーティングによって窒化シリコン基板上にコーティングし、そのコーティングされた基板を110℃に保たれたホットプレート上で90秒間プリベークして、乾燥膜を形成した。その乾燥膜を、2μm~25μmの範囲内のサイズの角孔からなるパターンを有するマスクを介して、200nm~450nmの波長を有する光を放射するアライナー(モデル名:MA6)を用いて、365nmの波長に基づいて0~200mJ/cmの照射線量率である特定の時間にわたって露光し、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウムの水性現像剤を、スプレーノズルを通して23℃で噴霧することによって現像した。次いで、その露光済み膜をコンベクションオーブンにて230℃で30分間加熱して、3.0μmの厚さを有する硬化膜を得た。
【0116】
10μmのサイズを有するマスクを介して形成された孔パターンについて、10μmの限界寸法(CD、線幅、μm)を達成するために必要な露光エネルギーの量を測定した。露光エネルギーが低ければ低いほど、硬化膜の解像度はより良好である。
【0117】
実験例3:解像度の評価
実施例及び比較例によって得られた感光性樹脂組成物から製造された硬化膜パターンの解像度を測定するために、微小光学顕微鏡(Olympus製STM6-LM)を用いてパターンの最小サイズを観察し、解像度を測定した。すなわち、10μmのパターン化孔パターンの限界寸法(CD:線幅、単位:μm)が10μmであった場合、最適光照射線量率で硬化させた後の最小パターン寸法を測定した。解像度の値が低ければ低いほど、解像度はより良好である。
【0118】
実験例4:膜保持率の評価
硬化膜を調製するための実施例及び比較例で得られた各組成物について、プリベーク、マスクを介する光に対する露光、現像、及び熱硬化を含む実験例3と同じ手順を繰り返した。非接触式膜厚測定装置(SNU Precision)を用いて、プリベーク処理直後の硬化膜の厚さに対する最終硬化膜の厚さの割合を計算することによって、膜保持率を得た。
【0119】
実験結果を以下の表1に要約する。
【0120】
【表1】
【0121】
表1に示すように、本発明の組成物から形成された硬化膜は、良好な耐薬品性、感度、現像性、及び保持率を示した。対照的に、本発明の範囲に包含されない比較例による組成物は、少なくとも1つの劣った結果を示した。