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特許7058238ブリスタシート集積移送装置及びブリスタシートの集積移送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】ブリスタシート集積移送装置及びブリスタシートの集積移送方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 35/50 20060101AFI20220414BHJP
【FI】
B65B35/50
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019044022
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020147294
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】西尾 真吾
(72)【発明者】
【氏名】河田 陽介
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-012300(JP,A)
【文献】特開平08-301244(JP,A)
【文献】特開2014-125210(JP,A)
【文献】実開昭59-126906(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2003/0033788(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とすることが可能なブリスタシート集積移送装置であって、
上下動可能に構成されるとともに、順次供給される前記ブリスタシートが積み上げられる集積部と、
前記集積部の周囲の少なくとも一部に設けられ、前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制する移動規制部と、
前記集積部に対し予定枚数の前記ブリスタシートが積み上げられた状態において、積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえた上で前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し部とを備え、
前記移動規制部の一部は、前記押出し部による前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位可能な変位ストッパ部により構成され、
前記集積部は、前記ブリスタシートの供給に対応して徐々に下動していき、前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記受け部と同じ高さとなるように構成され
前記変位ストッパ部は、上方へと移動することによって前記退避位置に変位可能であることを特徴とするブリスタシート集積移送装置。
【請求項2】
帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とすることが可能なブリスタシート集積移送装置であって、
上下動可能に構成されるとともに、順次供給される前記ブリスタシートが積み上げられる集積部と、
前記集積部の周囲の少なくとも一部に設けられ、前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制する移動規制部と、
前記集積部に対し予定枚数の前記ブリスタシートが積み上げられた状態において、積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえた上で前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し部とを備え、
前記移動規制部の一部は、前記押出し部による前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位可能な変位ストッパ部により構成され、
前記集積部は、前記ブリスタシートの供給に対応して徐々に下動していき、前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記受け部と同じ高さとなるように構成され、
前記集積部に対する供給が開始されてから該集積部に積まれるまでの間における前記ブリスタシートの移動中に、該集積部が下動するように構成されていることを特徴とするブリスタシート集積移送装置。
【請求項3】
前記変位ストッパ部は、上方へと移動することによって前記退避位置に変位可能であることを特徴とする請求項に記載のブリスタシート集積移送装置。
【請求項4】
前記集積部に対し、複数の前記ブリスタシートがそれぞれ上下同じ向きで積み上げられるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブリスタシート集積移送装置。
【請求項5】
帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とするためのブリスタシートの集積移送方法であって、
上下動可能に構成された集積部の周囲の少なくとも一部に設けられた移動規制部によって前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制しつつ、前記集積部に対し予定枚数の前記ブリスタシートを積み上げた状態とする積み上げ工程と、
前記積み上げ工程の後において、前記集積部に積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえつつ前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し工程と、
前記移動規制部の一部を構成する変位ストッパ部を、前記押出し工程における前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位させる退避工程とを含み、
前記積み上げ工程は、
前記集積部に対し前記ブリスタシートを供給する供給工程と、
前記ブリスタシートの供給に対応して前記集積部を下動させる下動工程とを備え、
前記供給工程及び前記下動工程を繰り返し行い、前記集積部に前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記集積部及び前記受け部が同じ高さとなるようにし
前記退避工程において、前記変位ストッパ部は上方へと移動することによって前記退避位置に変位することを特徴とするブリスタシートの集積移送方法。
【請求項6】
帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とするためのブリスタシートの集積移送方法であって、
上下動可能に構成された集積部の周囲の少なくとも一部に設けられた移動規制部によって前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制しつつ、前記集積部に対し予定枚数の前記ブリスタシートを積み上げた状態とする積み上げ工程と、
前記積み上げ工程の後において、前記集積部に積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえつつ前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し工程と、
前記移動規制部の一部を構成する変位ストッパ部を、前記押出し工程における前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位させる退避工程とを含み、
前記積み上げ工程は、
前記集積部に対し前記ブリスタシートを供給する供給工程と、
前記ブリスタシートの供給に対応して前記集積部を下動させる下動工程とを備え、
前記供給工程及び前記下動工程を繰り返し行い、前記集積部に前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記集積部及び前記受け部が同じ高さとなるようにし、
前記供給工程において前記集積部に対する供給が開始されてから該集積部に積まれるまでの前記ブリスタシートの移動中に、前記下動工程において該集積部が下動するようにしたことを特徴とするブリスタシートの集積移送方法。
【請求項7】
前記退避工程において、前記変位ストッパ部は上方へと移動することによって前記退避位置に変位することを特徴とする請求項に記載のブリスタシートの集積移送方法。
【請求項8】
前記積み上げ工程では、前記集積部に対し、複数の前記ブリスタシートがそれぞれ上下同じ向きで積み上げられることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のブリスタシートの集積移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の内容物を収容したブリスタシートを積み上げた上で、積み上げたブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡す装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリスタシートは、錠剤やカプセル等の内容物が収容されるポケット部の形成された容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えている。
【0003】
ブリスタシートは、ブリスタ包装機によって製造される。ブリスタ包装機は、帯状の容器フィルムに対しポケット部を形成するポケット部形成手段、ポケット部に内容物を充填する充填手段、容器フィルムへと帯状のカバーフィルムを取着する取着手段、容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなる帯状のブリスタフィルムを打抜くことで、ブリスタシートを得る打抜手段などを備えている。
【0004】
また、打抜かれて落下したブリスタシートは、コンベア等によってブリスタシート集積移送装置に供給され、該装置によって積み上げられた上で、次工程の搬送手段(例えばチャック等)に受け渡されることがある。前記搬送手段は、例えば、ピロー包装機等の装置へとブリスタシートを搬送する。
【0005】
ブリスタシート集積移送装置としては、上下動可能に構成されるとともに供給されたブリスタシートの載置される集積部と、該集積部の周囲に配置され積み上げられたブリスタシートの移動を規制するための壁部と、積み上げられたブリスタシートを搬送手段側へと受け渡すため押出し部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。このブリスタシート集積移送装置では、例えば図13及び図14に示すように、ブリスタシート101を積み上げていく際に段々と集積部501が下動していく。そして、予定枚数のブリスタシート101が積み上げられると、図15に示すように、集積部501が上動し始めて、最終的に壁部502,503の上端とほぼ同じ高さまで上動する。その後、図16に示すように、押出し部504により、積み上げられたブリスタシート101をその上部を押さえつつ搬送手段505側へと押出すことで、積み上げられたブリスタシート101が搬送手段505へと受け渡される。尚、積み上げ後に集積部501が上動するのは、押出し部504によってブリスタシート101の上部を押さえたりブリスタシート101を押出したりする際に、壁部502,503によって押出し部504やブリスタシート101の移動が阻害されることを防止するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭51-12300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したブリスタシート集積移送装置では、集積部501の上動中や、集積部501が上動してから押出し部504によりブリスタシート101を押さえるまでの間に、積み上げられたブリスタシート101の水平方向への移動が規制されていない状態(図15にて示す状態)となってしまう。そのため、積み上げられたブリスタシート101が容易に崩れてしまうおそれがある。
【0008】
これに対し、例えば、図17に示すように、集積部501の上動時に、集積部501とともに壁部502,503を上動させる構成とすることで、壁部502,503によって積み上げられたブリスタシート101を支持し続けることが考えられる。しかしながら、この場合には、図18に示すように、壁部502,503を再度下動させてからでないと、押出し部504によってブリスタシート101の上部を押さえたりブリスタシート101を押出したりすることができない。そのため、搬送手段505に対するブリスタシート101の受け渡しに時間を要してしまい、生産性の低下を招いてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、積み上げられたブリスタシートの崩れをより確実に防止しつつ、良好な生産性を得ることができるブリスタシート集積移送装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0011】
手段1.帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とすることが可能なブリスタシート集積移送装置であって、
上下動可能に構成されるとともに、順次供給される前記ブリスタシートが積み上げられる集積部と、
前記集積部の周囲の少なくとも一部に設けられ、前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制する移動規制部と、
前記集積部に対し予定枚数の前記ブリスタシートが積み上げられた状態において、積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえた上で前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し部とを備え、
前記移動規制部の一部は、前記押出し部による前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位可能な変位ストッパ部により構成され、
前記集積部は、前記ブリスタシートの供給に対応して徐々に下動していき、前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記受け部と同じ高さとなるように構成され
前記変位ストッパ部は、上方へと移動することによって前記退避位置に変位可能であることを特徴とするブリスタシート集積移送装置。
【0012】
尚、「同じ高さ」とあるのは、厳密な意味での同じ高さのみならず、ほぼ同じ高さという意味合いを含む。また、徐々に下動とあるのは、ブリスタシートが供給される度に、その高さ分程度下に動くことを意味し、その動きは段階的なものであってもよいし、連続的なものであってもよい。
【0013】
上記手段1によれば、集積部は、ブリスタシートの供給に対応して徐々に下動していき、予定枚数のブリスタシートが載置された段階で搬送手段の受け部と同じ高さとなる。そして、変位ストッパ部を退避位置に移動させた上で、押出し部により、積み上げられたブリスタシートをその上部を押さえつつ受け部側へと押すことによって、ブリスタシートが搬送手段へとスムーズに受け渡される。
【0014】
このように上記手段1によれば、搬送手段に対するブリスタシートの受け渡しにあたって、集積部を上動させて積み上げ後のブリスタシートを上動させる必要がなくなり、ブリスタシートに余計な振動を加えずに済む。また、積み上げ後に集積部が上動しないため、積み上げ中は勿論、積み上げ後においても移動規制部によってブリスタシートの水平方向への移動をより確実に規制することができる。さらに、搬送手段へとブリスタシートを受け渡すときには、移動規制部(変位ストッパ部を除く)や押出し部によって、積み上げられたブリスタシートを安定的に支持した状態で受け渡しを行うことができる。これら作用効果が相俟って、積み上げられたブリスタシートの崩れをより確実に防止することができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、ブリスタシートの積み上げ完了時に集積部及び受け部が同じ高さとなるため、集積部を特に移動させることなく、単に変位ストッパ部を退避位置へと変位させれば、搬送手段に対しブリスタシートを受け渡すことが可能となる。そのため、搬送手段に対するブリスタシートの受け渡しをより短時間で行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
また、退避位置へと変位する際に下方へと移動するように変位ストッパ部を構成することが考えられる。しかしながら、この場合、次の積み上げ工程を開始するにあたって、退避位置にある変位ストッパ部は上方へと移動することでブリスタシートの移動を規制可能な位置(通常位置)に配置されることになるが、積み上げ開始時に集積部は比較的高い位置に配置されるため、変位ストッパ部を上方へとより大きく移動させなければ、変位ストッパ部を前記通常位置に配置することができない。そのため、変位ストッパ部の移動に時間を要し、生産性の向上を十分に図ることができないおそれがある。
この点、上記手段1によれば、退避位置へと変位する際に、変位ストッパ部は上方へと移動する。そのため、次の積み上げ工程を始めるとき、つまり、集積部が比較的高い位置に配置されるときに、退避位置にあった変位ストッパ部をさほど移動させずに済む。これにより、次の積み上げ工程をより早期に開始することができ、生産性の更なる向上を図ることができる。
【0019】
手段2.帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とすることが可能なブリスタシート集積移送装置であって、
上下動可能に構成されるとともに、順次供給される前記ブリスタシートが積み上げられる集積部と、
前記集積部の周囲の少なくとも一部に設けられ、前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制する移動規制部と、
前記集積部に対し予定枚数の前記ブリスタシートが積み上げられた状態において、積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえた上で前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し部とを備え、
前記移動規制部の一部は、前記押出し部による前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位可能な変位ストッパ部により構成され、
前記集積部は、前記ブリスタシートの供給に対応して徐々に下動していき、前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記受け部と同じ高さとなるように構成され、
前記集積部に対する供給が開始されてから該集積部に積まれるまでの間における前記ブリスタシートの移動中に、該集積部が下動するように構成されていることを特徴とするブリスタシート集積移送装置。
手段3.前記変位ストッパ部は、上方へと移動することによって前記退避位置に変位可能であることを特徴とする手段2に記載のブリスタシート集積移送装置。
【0020】
上記手段2、3によれば、集積部に対する供給が開始されてから該集積部に積まれるまでの間におけるブリスタシートの移動中に、該集積部が下動する。そのため、ブリスタシートが集積部の上又は該集積部に積まれた他のブリスタシートの上に載置された後に該集積部を下動させる場合と比較して、ブリスタシートの積み上げに要する時間の短縮化を図ることができる。これにより、生産性のより一層の向上を図ることができる。
【0021】
手段4.前記集積部に対し、複数の前記ブリスタシートがそれぞれ上下同じ向きで積み上げられるように構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のブリスタシート集積移送装置。
【0022】
上記手段4のように、複数のブリスタシートが上下同じ向きで積み上げられる場合(ポケット部の向きが上向き又は下向きに統一された状態で各ブリスタシートが積み上げられる場合)、ブリスタシートが抱き合わされた状態で積み上げられる場合と比較して、積み上げられたブリスタシートの崩れがより生じやすい。
【0023】
この点、上記手段1等を採用することで、複数のブリスタシートを上下同じ向きで積み上げる場合であっても、ブリスタシートの崩れをより確実に抑えることができる。換言すれば、上記手段1等は、複数のブリスタシートを上下同じ向きで積み上げる構成において特に有効である。
【0024】
手段5.帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とするためのブリスタシートの集積移送方法であって、
上下動可能に構成された集積部の周囲の少なくとも一部に設けられた移動規制部によって前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制しつつ、前記集積部に対し(複数の)予定枚数の前記ブリスタシートを積み上げた状態とする積み上げ工程と、
前記積み上げ工程の後において、前記集積部に積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえつつ前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し工程と、
前記移動規制部の一部を構成する変位ストッパ部を、前記押出し工程における前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位させる退避工程とを含み、
前記積み上げ工程は、
前記集積部に対し前記ブリスタシートを供給する供給工程と、
前記ブリスタシートの供給に対応して前記集積部を下動させる下動工程とを備え、
前記供給工程及び前記下動工程を繰り返し行い、前記集積部に前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記集積部及び前記受け部が同じ高さとなるようにし
前記退避工程において、前記変位ストッパ部は上方へと移動することによって前記退避位置に変位することを特徴とするブリスタシートの集積移送方法。
【0025】
上記手段5によれば、上記手段1と同等の作用効果が奏されることとなる。
【0026】
手段6.帯状の容器フィルムに形成されたポケット部に対し内容物が収容されるとともに、前記ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対し帯状のカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートを積み上げた上で、該積み上げられた前記ブリスタシートを次工程の搬送手段へと受け渡して該搬送手段の受け部へと載せた状態とすることが可能なブリスタシート集積移送装置であって、
上下動可能に構成されるとともに、順次供給される前記ブリスタシートが積み上げられる集積部と、
前記集積部の周囲の少なくとも一部に設けられ、前記集積部に積み上げられる前記ブリスタシートの水平方向への移動を規制する移動規制部と、
前記集積部に対し予定枚数の前記ブリスタシートが積み上げられた状態において、積み上げられた前記ブリスタシートをその上部を押さえた上で前記受け部側へと押出して該受け部に載せた状態とする押出し部とを備え、
前記移動規制部の一部は、前記押出し部による前記ブリスタシートの移動を阻害しない退避位置に変位可能な変位ストッパ部により構成され、
前記集積部は、前記ブリスタシートの供給に対応して徐々に下動していき、前記予定枚数の前記ブリスタシートが載置された段階で前記受け部と同じ高さとなるように構成され、
前記集積部に対する供給が開始されてから該集積部に積まれるまでの間における前記ブリスタシートの移動中に、該集積部が下動するように構成されていることを特徴とするブリスタシート集積移送装置。
手段7.前記変位ストッパ部は、上方へと移動することによって前記退避位置に変位可能であることを特徴とする手段6に記載のブリスタシート集積移送装置。
【0027】
上記手段6、7によれば、上記手段2、3と同等の作用効果が奏されることとなる。
【0030】
手段8.前記積み上げ工程では、前記集積部に対し、複数の前記ブリスタシートがそれぞれ上下同じ向きで積み上げられることを特徴とする手段5乃至7のいずれかに記載のブリスタシートの集積移送方法。
【0031】
上記手段8によれば、上記手段4と同等の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機などの概略構成を示す模式図である。
図5】シート集積移送装置などの斜視模式図である。
図6】集積移送工程のフローチャートである。
図7】PTPシートの積み上げ時におけるシート集積移送装置などの断面模式図である。
図8】PTPシートの積み上げ時におけるシート集積移送装置などの断面模式図である。
図9】PTPシートの積み上げ完了時において、集積部及び下チャックが同一高さとなることを示すためのシート集積移送装置などの断面模式図である。
図10】フォークによりPTPシートを押さえた上で、変位ストッパ部が退避位置へと変位することを示すシート集積移送装置などの断面模式図である。
図11】積み上げられたPTPシートを搬送装置へと受け渡す際におけるシート集積移送装置などの断面模式図である。
図12】別の実施形態において、集積部へとPTPシートを供給するときにおけるシート集積移送装置などの断面模式図である。
図13】従来技術において、ブリスタシートを積み上げるときの集積部や壁部などを示す模式図である。
図14】従来技術において、ブリスタシートを積み上げるときの集積部や壁部などを示す模式図である。
図15】従来技術において、ブリスタシートの積み上げ後に上動する集積部などを示す模式図である。
図16】従来技術において、積み上げられたブリスタシートを受け渡す際の押出し部などを示す模式図である。
図17】従来技術において、集積部の上動時に、集積部とともに壁部が上動する状態を示す模式図である。
図18】従来技術において、ブリスタシートの受け渡し等のために、壁部を下動させる必要があることを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、ブリスタシートとしてのPTPシート1について説明する。図1及び図2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0034】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明又は半透明な熱可塑性樹脂材料などによって形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に塗布された不透明材料(例えば、アルミニウム箔等)により構成されている。
【0035】
PTPシート1は、平面視略矩形状をなしており、外縁にそれぞれ直線状をなす長辺部LSと短辺部SSとを一対ずつ備えている。PTPシート1には、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0036】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることにより製造される。
【0037】
次に、上記PTPシート1を製造するためのブリスタ包装機としてのPTP包装機10の概略構成について図4を参照して説明する。
【0038】
PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0039】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0040】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0041】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21と検査装置22とが順に配設されている。
【0042】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0043】
検査装置22は、錠剤5における割れや欠け、錠剤5に対する異物の付着の有無、及び、錠剤5の形状や大きさが製造品種と適合しているか否か等についての検査を行う。
【0044】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0045】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール26によって加熱ロール27の方へと案内されている。加熱ロール27は、フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,27間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,27間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0046】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール28及び間欠送りロール29の順に掛装されている。間欠送りロール29は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール28は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、フィルム受けロール20と間欠送りロール29との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0047】
間欠送りロール29から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール29,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0048】
間欠送りロール29とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、図1では、PTPシート1に設けられた切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0049】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く打抜手段としての機能を有する。
【0050】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、シート打抜装置37が有する図示しないプッシャによって下方へと押圧されて、シート搬送コンベア51へと落下する。落下したPTPシート1は、シート搬送コンベア51によって下流の反転バッファ52へと搬送される。
【0051】
反転バッファ52は、シート搬送コンベア51により搬送されたPTPシート1を受け取って上下反転させる機能と、複数枚のPTPシート1を貯留する機能とを備えた装置である。反転バッファ52は、間欠的に回転可能な回転基部52aと、該回転基部52aの外周から突出する複数の載置部52bとを備えている。シート搬送コンベア51により搬送されたPTPシート1は載置部52bに載置される。そして、回転基部52aの回転に伴い、載置部52bが回転して回転基部52aの回転軸鉛直上方位置を通過すると、該載置部52bに載置されていたPTPシート1は、上下反転するとともに該載置部52bの回転方向前方側に位置する載置部52bへと載置された状態となる。上下反転されたPTPシート1は、水平方向に移動可能なプッシャ53によって載置部52bからかき出されて、下流のシート集積移送装置71へと供給される。本実施形態では、シート集積移送装置71がブリスタシート集積移送装置に対応する。シート集積移送装置71の構成については後に説明する。
【0052】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0053】
尚、上記各ロール14,19,20,29,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、各ロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、基本的には、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が各ロール14等の凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0054】
次いで、シート集積移送装置71について説明する。シート集積移送装置71は、反転バッファ52から供給されたPTPシート1を積み上げた上で、積み上げたPTPシート1を次工程の搬送装置81(図5参照)に受け渡すための装置である。尚、本実施形態では、搬送装置81が搬送手段に相当する。搬送装置81は、積み上げられたPTPシート1をピロー包装機やバンド掛包装機などの後工程装置へと搬送するためのものである。本実施形態において、搬送装置81は、積み上げられたPTPシート1を把持するための上チャック81a及び受け部としての下チャック81b(それぞれ図5参照)を備えており、チャック81a,81bによりPTPシート1を把持した状態で前記後工程装置の方へと移動することにより、PTPシート1を前記後工程装置へと搬送する。
【0055】
シート集積移送装置71は、図5に示すように、集積部72、移動規制部73及び押出し部としてのフォーク74を備えている。尚、図5では、反転バッファ52側から供給されるPTPシート1と、その移動方向を表す黒塗り矢印とを合わせて示す。
【0056】
集積部72は、反転バッファ52側から供給されるPTPシート1が積み上げられる部分である。本実施形態において、反転バッファ52側から供給されるPTPシート1は、水平方向に移動した後に落下することで、集積部72の上面又は集積部72に積まれた他のPTPシート1のうち最も上方に位置するものの上面に載置される。集積部72は、図示しない所定の駆動手段により上下動可能に構成されている。尚、本実施形態では、集積部72に対し、予め設定された複数の予定枚数(例えば5枚)のPTPシート1がそれぞれ上下同じ向きで(つまり、ポケット部2の向きが上向き又は下向きに統一された状態で)積み上げられるようになっている。
【0057】
また、集積部72は、PTPシート1の積み上げ前には所定の初期位置に配置されるが、反転バッファ52側から1枚のPTPシート1が供給されて積み上げられる度に、予め設定された一定距離〔例えば、ポケット部2の存在位置におけるPTPシート1の高さ(厚さ)とほぼ同じ距離〕だけ下動する。本実施形態において、集積部72は、供給されたPTPシート1が集積部72又は集積部72に積まれた他のPTPシート1のうち最も上方に位置するものに載置された後に下動するように構成されている。つまり、集積部72は、PTPシート1の移動終了後に下動するように構成されている。
【0058】
さらに、PTPシート1の供給に対応して集積部72が徐々に(段階的に)下動していくところ、最終的に前記予定枚数のPTPシート1が積み上げられた状態になると、集積部72の上面と下チャック81bの上面(PTPシート1が載置される面)とが同じ高さとなるように、集積部72の初期位置や集積部72の1動作当たりの下動量などが設定されている。尚、「同じ高さ」とあるのは、厳密な同じ高さのみを意味するものではなく、ほぼ同じ高さ(例えば高さの差が5mm以下)といった意味合いを含むものである。
【0059】
移動規制部73は、集積部72の周囲の少なくとも一部に設けられ、集積部72に積み上げられるPTPシート1の水平方向への移動を規制する役割を有する。移動規制部73は、反転バッファ52側に位置する下流側ストッパ部73aと、搬送装置81側に位置する変位ストッパ部73bと、両ストッパ部73a,73b間に配置される側方ストッパ部73cとをそれぞれ一対ずつ備えている。
【0060】
一対の下流側ストッパ部73aは、集積部72に積み上げられたPTPシート1における反転バッファ52側に位置する一方の長辺部LSに対応するものである。本実施形態において、各下流側ストッパ部73aは、固定状態で設けられており、常に一定位置に配置され続けるようになっている。また、各下流側ストッパ部73aは、互いに離間した状態で設けられており、各下流側ストッパ部73a間に隙間が形成されている。積み上げられたPTPシート1を搬送装置81へと受け渡す際には、フォーク74の後述する押出爪74bが前記隙間を通過可能となっている。
【0061】
一対の変位ストッパ部73bは、集積部72に積み上げられたPTPシート1における搬送装置81側に位置する他方の長辺部LSに対応するものである。各変位ストッパ部73bは、図示しない所定の駆動手段により上下動可能に構成されている。各変位ストッパ部73bは、側方ストッパ部73cに隣接配置されPTPシート1の水平方向への移動を規制可能な通常位置と、該通常位置よりも上方であってフォーク74によるPTPシート1の移動を阻害しない退避位置との間で変位可能とされている。
【0062】
一対の側方ストッパ部73cは、集積部72に積み上げられたPTPシート1における両短辺部SSに対応するものである。各側方ストッパ部73cは、下流側ストッパ部73aと同様に、固定状態で設けられており、常に一定位置に配置され続けるようになっている。
【0063】
集積部72に対するPTPシート1の積み上げ時には、変位ストッパ部73bが前記通常位置に配置されることで、ストッパ部73a,73b,73cにより、集積部72に積み上げられたPTPシート1の水平方向への移動が規制された状態となる。一方、積み上げられたPTPシート1を搬送装置81に受け渡すときには、変位ストッパ部73bが前記退避位置に配置されることによって、変位ストッパ部73bによるPTPシート1の移動阻害が生じることなく、集積部72から搬送装置81へとPTPシート1を受け渡すことが可能となる。
【0064】
フォーク74は、積み上げられたPTPシート1をその上部を押さえつつ前記搬送装置81側へと押出して下チャック81bの上面に載せた状態とするための装置である。フォーク74は、上下方向及び水平方向に移動可能に構成されており、水平方向に延びる支持爪74aと、鉛直方向に延びる押出爪74bとを有している。
【0065】
支持爪74aは、積み上げられたPTPシート1の上部を押さえることで、これらPTPシート1の崩れを防止するためのものである。本実施形態において、支持爪74aは、積み上げられたPTPシート1を搬送装置81へと受け渡す際に上チャック81aと干渉しないように二股状をなしている。
【0066】
押出爪74bは、積み上げられたPTPシート1の長辺部LSを下流側から押圧して、搬送装置81側へとPTPシート1を水平移動させるためのものである。本実施形態において、押出爪74bは、所定距離以上離間した2つの棒状部位からなり、PTPシート1を移動させる際には、一方の棒状部位によってPTPシート1の長辺部LSにおけるその中心よりも一端側の部位が押圧され、他方の棒状部位によってPTPシート1の長辺部LSにおけるその中心よりも他端側の部位が押圧されるようになっている。これにより、PTPシート1をより安定した状態で移動させることができ、移動時におけるPTPシート1の崩れや回転、傾きなどをより確実に防止可能である。尚、支持爪74aや押出爪74bの形状については、PTPシート1の形状や上下向き、上チャック81aや下流側ストッパ部73aの形状などに応じて適宜変更してもよい。
【0067】
次いで、シート集積移送装置71によるPTPシート1の集積移送工程について説明する。集積移送工程は、図6に示すように、ステップS1の積み上げ工程と、ステップS2の押さえ工程と、ステップS3の退避工程と、ステップS4の押出し工程とを含む。尚、ステップS1の積み上げ工程に先立って、フォーク74がPTPシート1の積み上げを阻害しない位置に配置される。また、集積部72が前記初期位置に配置されるとともに、変位ストッパ部73bが前記通常位置に配置される。これにより、集積部72の周囲に各ストッパ部73a,73b,73c(移動規制部73)が配置された状態となり、集積部72に積まれたPTPシート1の水平方向への移動を規制可能となる。
【0068】
まず、ステップS1の積み上げ工程では、予定枚数のPTPシート1が集積部72に積み上げられるまで、ステップS11の供給工程及びステップS12の下動工程が繰り返し行われる。ステップS11の供給工程では、プッシャ53によって、反転バッファ52から集積部72に対しPTPシート1が供給される。ステップS12の下動工程では、PTPシート1の供給に対応して集積部72が一定距離だけ下動する。ステップS11の供給工程及びステップS12の下動工程が繰り返し行われることで、PTPシート1が集積部72に積まれる度に集積部72が一定距離だけ下動することが繰り返し行われる(図7,8参照)。本実施形態では、ステップS11の供給工程において、供給されたPTPシート1が集積部72又は該集積部72へと載置された他のPTPシート1のうち最も上方に位置するものへと載置された後に、ステップS12の下動工程において、該集積部72が下動するようになっている。つまり、供給工程及び下動工程のそれぞれの実行時期は重ならないようになっている。そして、集積部72に予定枚数のPTPシート1が載置された段階で、集積部72の上面及び下チャック81bの上面が同じ高さとなる(図9参照)。
【0069】
集積部72に予定枚数のPTPシート1が積み上げられると、つまり、ステップS13にて肯定判定されると、ステップS1の積み上げ工程が終了して、ステップS2の押さえ工程が行われる。ステップS2の押さえ工程では、フォーク74が下動することで、支持爪74aにより、積み上げられたPTPシート1の上部が押さえられた状態となる(図10参照)。
【0070】
その後、ステップS3の退避工程が行われる。ステップS3の退避工程では、変位ストッパ部73bが、上方へと移動することによって前記退避位置に変位する(図10参照)。前記退避位置に変位ストッパ部73bが配置されることで、積み上げられたPTPシート1を搬送装置81側へと移動させることが可能となる。
【0071】
そして最後に、ステップS4の押出し工程が行われる。ステップS4の押出し工程では、フォーク74が搬送装置81側へと水平移動することにより、押出爪74bによって積み上げられたPTPシート1が搬送装置81側へと押し出され、搬送装置81へと受け渡される(図11参照)。PTPシート1を受け取った搬送装置81は、そのPTPシート1をチャック81a,81bにより挟持した上で前記後工程装置に搬送する。
【0072】
尚、PTPシート1の受け渡し後、次の集積移送工程の開始前に、フォーク74が元の位置に戻った上で、集積部72が上動して前記初期位置に配置されるとともに、退避位置にある変位ストッパ部73bが下動して前記通常位置に配置される。
【0073】
以上詳述したように、本実施形態によれば、搬送装置81に対するPTPシート1の受け渡しにあたって、集積部72を上動させて積み上げ後のPTPシート1を上動させる必要がなくなり、PTPシート1に余計な振動を加えずに済む。また、積み上げ後に集積部72が上動しないため、積み上げ中は勿論、積み上げ後においても移動規制部73によってPTPシート1の水平方向への移動をより確実に規制することができる。さらに、搬送装置81へとPTPシート1を受け渡すときには、移動規制部73(変位ストッパ部73bを除く)やフォーク74によって、積み上げられたPTPシート1を安定的に支持した状態で受け渡しを行うことができる。これら作用効果が相俟って、積み上げられたPTPシート1の崩れをより確実に防止することができる。
【0074】
さらに、PTPシート1の積み上げ完了時に集積部72及び下チャック81bが同じ高さとなるため、集積部72を特に移動させることなく、単に変位ストッパ部73bを退避位置へと変位させれば、搬送装置81に対しPTPシート1を受け渡すことが可能となる。そのため、搬送装置81に対するPTPシート1の受け渡しをより短時間で行うことができ、生産性の向上を図ることができる。
【0075】
また仮に、退避位置へと変位する際に下方へと移動するように変位ストッパ部73bを構成した場合には、積み上げ開始時に集積部72が比較的高い位置に配置されることから、次の積み上げ工程を開始すべく変位ストッパ部73bを退位位置から通常位置に変位させるときに、変位ストッパ部73bを上方へと大きく移動させなければ、変位ストッパ部73bを通常位置に配置することができなくなる。この点、本実施形態では、変位ストッパ部73bは、上方へと移動することで退避位置に変位可能であるため、次の積み上げ工程を始めるとき、つまり、集積部72が比較的高い位置に配置されるときに、退避位置にある変位ストッパ部73bを、さほど移動させずに済む。その結果、次の積み上げ工程をより早期に開始することができ、生産性の更なる向上を図ることができる。
【0076】
加えて、本実施形態では、複数のPTPシート1が上下同じ向きで積み上げられるため、積み上げられたPTPシート1の崩れがより生じやすいが、上記のように構成されたシート集積移送装置71によれば、このような場合であっても、積み上げられたPTPシート1の崩れをより確実に防止することができる。換言すれば、上記のように構成されたシート集積移送装置71は、複数のPTPシート1を上下同じ向きで積み上げる場合において特に有効である。
【0077】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0078】
(a)上記実施形態において、集積部72は、供給されたPTPシート1が積まれた後に下動するように構成されているが、集積部72の下動タイミングをより早期なものとしてもよい。すなわち、集積部72へと供給が開始されてから該集積部72に積まれるまでの間におけるPTPシート1の移動中に、該集積部72が下動するように構成してもよい。つまり、供給工程及び下動工程のそれぞれの実行時期の少なくとも一部が重なるように構成してもよい。例えば、供給されたPTPシート1が水平移動している最中又は落下している最中に、集積部72が下動するように構成してもよい。
【0079】
この場合には、PTPシート1が集積部72又は該集積部72に積まれた他のPTPシート1に載置された後に該集積部72を下動させる場合と比較して、PTPシート1の積み上げに要する時間の短縮化を図ることができる。これにより、生産性のより一層の向上を図ることができる。
【0080】
(b)上記実施形態では、PTPシート1を1枚ずつシート集積移送装置71へと供給するように構成されているが、抱き合わされた2枚のPTPシート1をシート集積移送装置71へと順次供給していく構成としてもよい。このような構成は、例えば、シート搬送コンベア51及び反転バッファ52間に、公知の抱き合わせ機構を設けることで実現することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、PTPシート1が1枚供給される度に集積部72が下動するように構成されているが、PTPシート1を抱き合せた状態で積み上げる場合には、抱き合わされた2枚のPTPシート1が供給される度に、集積部72が下動するように構成してもよい。
【0082】
さらに、上記実施形態において、集積部72は段階的に下動するように構成されているが、集積部72が連続的に下動するように構成してもよい。
【0083】
(c)上記実施形態では、PTPシート1を上下反転させた上でシート集積移送装置71へと供給しているが、PTPシート1を上下反転させることなくシート集積移送装置71へと供給するように構成してもよい。
【0084】
(d)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0085】
また、上記実施形態において、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。この場合、打抜きにより複数枚のPTPシート1が一度に得られるように構成してもよい。
【0086】
さらに、上記実施形態のシート搬送コンベア51では、PTPシート1が一列に並んだ状態で搬送されるように構成されているが、打抜きにより複数枚のPTPシート1を一度に得る場合には、PTPシート1が複数列に並んだ状態で搬送されるようにしてもよい。例えば、打抜きにより3枚のPTPシート1が一度に得られる場合、PTPシート1が3列に並んだ状態で搬送されるようにしてもよい。また、PTPシート1の各列に対応して、反転バッファ52やシート集積移送装置71を設けることとしてもよい。
【0087】
(e)上記実施形態では、予定枚数として5枚を例示しているが、予定枚数は複数枚であればよく、予定枚数を適宜変更してもよい。例えば、予定枚数は3枚であってもよいし、6枚以上であってもよい。
【0088】
(f)上記実施形態において、変位ストッパ部72bは、退避位置への変位時に上方へと移動するように構成されているが、変位ストッパ部72bを、退避位置への変位時に、下方へと移動するように構成してもよいし、水平方向に移動するように構成してもよい。
【0089】
(g)上記実施形態において、集積部72に供給されたPTPシート1は、最終的に集積部72側に落下することで積み上げられるように構成されている。これに対し、例えば、図12に示すように、下流側ストッパ部73aの上端部と集積部72の上面又は集積部72に積まれたPTPシート1のうちの最も上に位置するものの上部とをほぼ同じ高さとした状態で、PTPシート1を集積部72側に対し水平移動させて供給することにより、PTPシート1を集積部72側にほとんど落下させることなく集積部72に積み上げるように構成してもよい。尚、この場合、変位ストッパ部73bによって、供給されるPTPシート1が受け止められるとともに、変位ストッパ部73b及び側方ストッパ部73cによって、供給されたPTPシート1の移動が規制されるため、PTPシート1の積み上げに特段支障が生じることはない。
【0090】
(h)集積部72の上面に、フォーク74の押出爪74bが通過可能な溝を形成してもよい。この場合には、押出爪74bが集積部72に干渉してしまうことをより確実に防止でき、PTPシート1を搬送装置81へとより安定的に受け渡すことができる。
【0091】
(i)上記実施形態では、ブリスタシートとしてPTPシート1を挙げているが、PTPシート1以外のブリスタシートに対し本発明の技術思想を適用してもよい。また、上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物は、カプセルや電子部品、食料品など、錠剤5以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…ポケット部、5…錠剤(内容物)、71…シート集積移送装置(ブリスタシート集積移送装置)、72…集積部、73…移動規制部、73b…変位ストッパ部、74…フォーク(押出し部)、81…搬送装置(搬送手段)、81b…下チャック(受け部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17
図18