(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】除湿機能付き空調機及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0083 20190101AFI20220414BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20220414BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20220414BHJP
【FI】
F24F1/0083
F24F11/80
F24F110:20
(21)【出願番号】P 2019163396
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2018168323
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000152424
【氏名又は名称】株式会社日建設計
(73)【特許権者】
【識別番号】000229715
【氏名又は名称】日本ピーマック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】高辻 量
(72)【発明者】
【氏名】梶井 聡
(72)【発明者】
【氏名】大田 睦夫
(72)【発明者】
【氏名】柴田 義人
(72)【発明者】
【氏名】山本 潤司
(72)【発明者】
【氏名】神 賢一郎
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-070097(JP,A)
【文献】特開2008-057938(JP,A)
【文献】実開昭59-113665(JP,U)
【文献】特公昭46-009510(JP,B1)
【文献】特開2005-134010(JP,A)
【文献】特開2009-216330(JP,A)
【文献】特開2010-243005(JP,A)
【文献】特開2010-007961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0083、3/00-3/167
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を導入して潜熱を除去し、空調対象室からの還気と混合させて給気として空調対象室に送る除湿機能付き空調機であって、
前記導入した外気を水と熱交換するプレクール用の第1の空気-水熱交換器と、
前記
第1の空気-水熱交換器の後段側に設けられ、空冷ヒートポンプの蒸発器として機能する第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の後段側に設けられ、前記空冷ヒートポンプの凝縮器として機能する第2の熱交換器と、
前記還気と水を熱交換する第2の空気-水熱交換器と、
前記第2の熱交換器を経た空気と、前記第2の空気-水熱交換器を経た空気とを混合させて給気として空調対象室へ送風する送風機とを有し、
前記第1の空気-水熱交換器は、上流側に配置される中温冷水熱交換器と、下流側に配置される低温冷水熱交換器と、によって構成され、
前記中温冷水熱交換器に供給される中温冷水の温度は、前記低温冷水熱交換器に供給される低温冷水の温度よりも高い14℃~16℃であることを特徴とする、除湿機能付き空調機。
【請求項2】
前記低温冷水熱交換器に供給される低温冷水は、地域冷暖房により供給される冷水であることを特徴とする、請求項1に記載の除湿機能付き空調機。
【請求項3】
外気を導入して潜熱を除去し、空調対象室からの還気と混合させて給気として空調対象室に供給する除湿機能付き空調機の制御方法であって、
前記除湿機能付き空調機は、
前記導入した外気を水と熱交換するプレクール用の上流側に配置される中温冷水熱交換器と、下流側に配置される低温冷水熱交換器とによって構成される第1の空気-水熱交換器と、
前記
第1の空気-水熱交換器の後段側に設けられ、空冷ヒートポンプの蒸発器として機能する第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器の後段側に設けられ、前記空冷ヒートポンプの凝縮器として機能する第2の熱交換器と、
前記還気と水を熱交換する第2の空気-水熱交換器と、
前記第2の熱交換器を経た空気を加湿する加湿器と、
前記加湿器を経た空気と、前記第2の空気-水熱交換器を経た空気とを混合させて給気として空調対象室へ送風する送風機とを有し、
前記中温冷水熱交換器に供給される中温冷水の温度は、前記低温冷水熱交換器に供給される低温冷水の温度よりも高い14℃~16℃であり、
空調対象室内の目標温湿度に相当する目標露点温度を求める工程と、
前記空調対象室内の湿度の状態値を求める工程と、
前記目標露点温度と前記状態値の偏差から、前記除湿機能付き空調機における前記第2の熱交換器を経た外気の露点温度設定値を設定する工程とを有し、
前記第2の熱交換器を経た外気の露点温度が、前記露点温度設定値となるように、少なくとも前記中温冷水熱交換器または低温冷水熱交換器に供給する冷水の流量を調整することを特徴とする、除湿機能付き空調機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機能付き空調機及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
事務室の快適性を高め、生産性を向上させるため、夏期の室内温湿度条件として27℃、相対湿度が40%を条件とするニーズが発生している。このような温湿度環境を実現するためには、外気の潜熱を除去して再熱し、室内側では顕熱処理のみを行う空調機が有用である。
【0003】
この点に関し、従来、ケーシング内に、還気を熱交換する還気処理用冷温水コイルと、外気を熱交換する外気処理用冷温水コイル及び水熱源ヒートポンプの外気処理用直膨式コイルと、前記還気処理用冷温水コイルを通った還気と前記外気処理用冷温水コイル、前記外気処理用直膨式コイルとを備え、前記還気処理用冷温水コイルと、前記外気処理用冷温水コイル、前記外気処理用直膨式コイルとを隔てて対向配置し、熱源水が前記還気処理用冷温水コイル、前記外気処理用冷温水コイル及び前記水熱源ヒートポンプに任意の順序で1つずつ通水されるように構成すると共に、前記ケーシングの上面に、還気取入口と外気取入口と給気口と熱源水出入口配管とを設けた除湿空調機が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前記した従来技術は水熱源ヒートポンプの外気処理用直膨式コイルを用いているため、冷凍サイクルの排熱を処理する際にはたとえば冷却塔などの施設が必要であった。またたとえばビル内の個々のテナントに適用する場合、コンパクトに構築するにも限界があった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、省エネ性を維持しつつ従来よりも排熱の処理が容易であり、しかも全体してコンパクトな装置として構築できる除湿機能付き空調機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、外気を導入して潜熱を除去し、空調対象室からの還気と混合させて給気として空調対象室に送る除湿機能付き空調機であって、前記導入した外気を水と熱交換するプレクール用の第1の空気-水熱交換器と、前記第1の空気-水熱交換器の後段側に設けられ、空冷ヒートポンプの蒸発器として機能する第1の熱交換器と、前記第1の熱交換器の後段側に設けられ、前記空冷ヒートポンプの凝縮器として機能する第2の熱交換器と、前記還気と水を熱交換する第2の空気-水熱交換器と、前記第2の熱交換器を経た空気と、前記第2の空気-水熱交換器を経た空気とを混合させて給気として空調対象室へ送風する送風機とを有し、
前記第1の空気-水熱交換器は、上流側に配置される中温冷水熱交換器と、下流側に配置される低温冷水熱交換器と、によって構成され、前記中温冷水熱交換器に供給される中温冷水の温度は、前記低温冷水熱交換器に供給される低温冷水の温度よりも高い14℃~16℃であることを特徴としている。
【0008】
かかる場合、前記低温冷水熱交換器に供給される低温冷水は、地域冷暖房により供給される冷水であってもよい。
【0009】
本発明によれば、導入した外気に対する潜熱処理は第1の空気-水熱交換器でプレクールを行なった後、空冷ヒートポンプの蒸発器として機能する第1の熱交換器で冷却減湿を行ない、その後給気に必要な温度にまで昇温させる再熱には、前記空冷ヒートポンプの凝縮器として機能する第2の熱交換器によって加熱しているので、前記再熱を行なうにあたり別途温熱源を用意する必要がなく、省エネ性が高い。そしてそのような省エネ性を実現するにあたっては、空冷ヒートポンプを用いているので、排熱の処理が容易であり、しかも全体してコンパクトな装置として構築できる。
【0010】
別な観点によれば、本発明は、外気を導入して潜熱を除去し、空調対象室からの還気と混合させて給気として空調対象室に供給する除湿機能付き空調機の制御方法であって、
前記除湿機能付き空調機は、
前記導入した外気を水と熱交換するプレクール用の上流側に配置される中温冷水熱交換器と、下流側に配置される低温冷水熱交換器とによって構成される第1の空気-水熱交換器と、前記第1の空気-水熱交換器の後段側に設けられ、空冷ヒートポンプの蒸発器として機能する第1の熱交換器と、前記第1の熱交換器の後段側に設けられ、前記空冷ヒートポンプの凝縮器として機能する第2の熱交換器と、前記還気と水を熱交換する第2の空気-水熱交換器と、前記第2の熱交換器を経た空気を加湿する加湿器と、前記加湿器を経た空気と、前記第2の空気-水熱交換器を経た空気とを混合させて給気として空調対象室へ送風する送風機とを有し、
前記中温冷水熱交換器に供給される中温冷水の温度は、前記低温冷水熱交換器に供給される低温冷水の温度よりも高い14℃~16℃である。
そして本発明は、空調対象室内の目標温湿度に相当する目標露点温度を求める工程と、前記空調対象室内の湿度の状態値を求める工程と、前記目標露点温度と前記状態値の偏差から、前記除湿機能付き空調機における前記第2の熱交換器を経た外気の露点温度設定値を設定する工程とを有し、前記第2の熱交換器を経た外気の露点温度が、前記露点温度設定値となるように、少なくとも前記中温冷水熱交換器または低温冷水熱交換器に供給する冷水の流量を調整することを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、外気の負荷変動に対して、少なくとも前記中温冷水熱交換器または低温冷水熱交換器に供給する冷水の流量を調整すればよいので、制御が容易であり、しかも安定した露点温度の処理済みの外気を得ることができる。したがって、空調対象室に供給する給気を安定させて空調対象室を所定の温湿度にすることが容易である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省エネ性を維持しつつ従来よりも排熱の処理が容易であり、しかも全体してコンパクトな装置として構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態にかかる除湿機能付き空調機の構成の概略を示す説明図である。
【
図2】
図1の除湿機能付き空調機の冷房時の運転例の空気線図である。
【
図3】
図1の除湿機能付き空調機の冷房時の他の運転例の空気線図である。
【
図4】
図1の除湿機能付き空調機の構成の概略をブロック化して示した説明図である。
【
図5】他の除湿機能付き空調機の構成の概略をブロック化して示した説明図である。
【
図6】
図5の除湿機能付き空調機の構成の概略を示す説明図である。
【
図7】他の除湿機能付き空調機の構成の概略をブロック化して示した説明図である。
【
図8】他の除湿機能付き空調機の構成の概略をブロック化して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1の構成の概略を示しており、この除湿機能付き空調機1は、ケーシング2を有している。ケーシング2内は、仕切部材3によって、外気用流路4と還気用流路5とに区画されている。そして外気用流路4と還気用流路5の下流側には混合空間6が形成されている。
【0015】
外気OAは、ダクトなどによって構成された外気導入流路10からケーシング2に設けられた外気取り入れ口11からケーシング2内の外気用流路4に導入され、外気用流路4に設置されたエアフィルタ12によって清浄化された後、まずプレクール用の中温冷水熱交換器13を通過する。
【0016】
中温冷水熱交換器13には、中温冷水(例えば14℃~16℃)が供給されており、清浄化された外気OAは、まずこの中温冷水熱交換器13において、中温冷水と熱交換される。中温冷水の配管13aには、バルブ13bが設けられている。
【0017】
次いで中温冷水熱交換器13を経て降温した外気OAは、次段プレクール用の低温冷水熱交換器14を通過する。低温冷水熱交換器14には、低温冷水(例えば8℃)が供給されており、中温冷水熱交換器13を経て降温した外気OAは、低温冷水と熱交換されてさらに降温する。低温冷水の配管14aには、バルブ14bが設けられている。この実施の形態では、中温冷水熱交換器13と低温冷水熱交換器14とで第1の空気-水熱交換器を構成している。
【0018】
低温冷水と熱交換されて降温した外気OAは、次いで第1の熱交換器21、さらにその後第2の熱交換器22を通過する。第1の熱交換器21、第2の熱交換器22及び、第1の熱交換器21と第2の熱交換器22との間の冷媒配管に設けられた膨張弁23、そして前記冷媒配管内を流れる冷媒を圧縮する圧縮機24とによって、空冷ヒートポンプが構成されている。
【0019】
より詳述すると、圧縮機24で圧縮された高温の冷媒は、第2の熱交換器22に送られ、その後膨張弁23を経て降温し、第1の熱交換器21へと送られる。第1の熱交換器21を経た冷媒は、再び圧縮機24へと送られ、冷凍サイクルが形成される。したがって、第2の熱交換器22は凝縮器として機能し、第1の熱交換器21は蒸発器として機能する。
【0020】
第1の熱交換器21、第2の熱交換器22はかかる構成、機能を有しているので、低温冷水と熱交換されて降温した外気OAは第1の熱交換器21を通過する際にさらに降温し、その後第2の熱交換器22を通過する際に加熱される。
【0021】
第2の熱交換器22の下流側には、加湿器、例えば気化式加湿器25が配置されており、第2の熱交換器22を通過した外気OAは、気化式加湿器25を通過する際に所定の湿度まで加湿される。気化式加湿器25への原料水の配管25aには、バルブ25bが設けられている。そして気化式加湿器25を通過した外気OAは、混合空間6へと流入する。なお気化式加湿器25は、たとえば冬期の暖房運転の際に使用される。
【0022】
一方空調対象室(図示せず)からの還気RAは、ダクトなどによって構成された還気導入流路30からケーシング2に設けられた還気取り入れ口31からケーシング2内の還気用流路5に導入される。導入された還気RAは、還気用流路5に設けられているエアフィルタ32によって清浄化された後、第2の空気-水熱交換器33で熱交換される。
【0023】
第2の空気-水熱交換器33には、中温冷水(例えば14℃~16℃)が供給されており、還気RAは、第2の空気-水熱交換器33で熱交換されて降温する。中温冷水の配管33aには、バルブ33bが設けられている。
【0024】
第2の空気-水熱交換器33の下流側には、低温冷水熱交換器34が設けられている。この低温冷水熱交換器34には、低温冷水(例えば8℃)が供給されており、第2の空気-水熱交換器33を経て降温した還気RAは、当該低温冷水と熱交換されてさらに降温する。低温冷水の配管34aには、バルブ34bが設けられている。この低温冷水熱交換器34は、主として冬期に冷房を行なうために使用される。なお低温冷水熱交換器34に供給される低温冷水は、既述したプレクール用の低温冷水熱交換器14に供給される低温冷水と同じ供給源からの低温冷水を用いてもよい。
【0025】
そして、低温冷水熱交換器34を通過した還気RAは、混合空間6へと流入し、気化式加湿器25を通過した外気OAと混合される。
【0026】
混合空間6には、ファン41が設けられており、ケーシング2に設けられた給気口42から、混合空間6内の空調空気を給気SAとして送風し、給気口42に接続されたダクトなどによって構成される給気流路43から空調対象室へと供給する。
【0027】
一方でケーシング2には、外気冷房用の外気取り入れ口51が設けられており、外気導入流路10から分岐した外気冷房用導入流路52と接続されている。したがって外気による冷房が可能な時期、例えば中間期には、この外気取り入れ口51から外気OAを導入して、外気取り入れ口51の下流側に設けられたエアフィルタ53で清浄化した後、混合空間6にて外気用流路4を経た空調空気と混合してから給気SAとして空調対象室に供給することが可能になっている。外気冷房用導入流路52及び還気導入流路30には、各々対応するダンパ52a、30aが設けられている。かかる場合、還気RAに代えて当該外気冷房用導入流路52から導入された外気OAが混合空間6へと送られる。
【0028】
実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1は以上のような構成を有しており、次にその運転例について説明する。
【0029】
[運転例1]
まず、
図2にも示したように、夏期において外気OAの条件が例えば34.8℃、相対湿度が53%のとき(
図2の点a-1)、還気RAの条件が例えば27℃、相対湿度が40%(
図2の点b-1)、給気SAの条件が例えば20℃、絶対湿度が8.40g/kg´(
図2の点c)とする。また外気OA導入量は5,000CMH、還気RAは17,000、給気SAは22,000CMHとする。そして中温冷水熱交換器13、第2の空気-水熱交換器33に供給される中温冷水の温度は15℃、低温冷水熱交換器14に供給される低温冷水の温度は8℃とする。
【0030】
以上の条件で実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1を運転すると、まず中温冷水熱交換器13によるプレクールによって外気OAは22℃まで降温し、相対湿度は95%となった(
図2の点a-2)。次いで低温冷水熱交換器14によるさらなるプレクールによって外気OAは12.8℃まで降温し、相対湿度はそのまま95%となった(
図2の点a-3)。
【0031】
次いでヒートポンプの第1の熱交換器21を通過する際にさらに降温し外気OAは7.7℃まで降温し、相対湿度は100%となった(
図2の点a-4)。以上の潜熱処理によって所定の露点温度まで達した外気OAはヒートポンプの第2の熱交換器22を通過する際に加熱され、20℃まで昇温する。
【0032】
一方で還気RAについては、第2の空気-水熱交換器33による顕熱処理によって室内温度が目標値を満足するように制御弁を制御する。例えば、20℃まで降温する(
図2の点b-2)。この還気RAと前記した露点温度の外気OA(気化式加湿器25を経た後の外気OA)を混合することで、所定の温湿度の給気SAが得られる(
図2の点c)。
【0033】
このように実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1によれば、まず外気OAに対してのみケーシング2内の外気用流路4において潜熱処理を行ない、一方還気RAについては、還気用流路5において顕熱処理のみを行なっている。したがって潜熱顕熱分離処理を行なっているので、一般空調と比べて省エネ性が高い。また顕熱処理を行なう第2の空気-水熱交換器33の熱源は、COPが高い15℃の中温冷水であるから、顕熱処理に対する冷却エネルギーの低減が図れる。
【0034】
一方で潜熱処理を行なう外気用流路4内の処理については、まず中温冷水熱交換器13によってプレクールを行なった後に低温冷水熱交換器14によってプレクールを行なっているが、中温冷水熱交換器13の熱源は、15℃の中温冷水であるから、COPが高い熱源機による供給が可能であり、冷却エネルギーの低減が図れる。また低温冷水熱交換器14の熱源は8℃の低温冷水であるが、この8℃の低温冷水は、DHC(地域冷暖房)による冷水の供給温度であるから、DHCシステムが適用されている地域においてはこれを有効に利用することができる。
【0035】
ただし8℃の低温冷水によっては、給気SAに必要な湿度条件が得られないことがある。実施の形態では、この必要な絶対湿度を得るために空冷ヒートポンプの蒸発器として機能する第1の熱交換器21を採用している。これによって低温冷水熱交換器14を経て降温した外気OAを、さらに7.7℃まで降温させて必要な露点温度を達成している。そしてかかる空気は、そのままでは空調対象室に供給する給気SAとして使用できないので再熱する必要があるが、再熱源として実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1では、空冷ヒートポンプの凝縮器として機能する第2の熱交換器22を採用している。したがって再熱のための熱源(例えば蒸気や温水など)は別途用意する必要はなく、圧縮機24に必要な電力のみで足りる。それゆえ空冷ヒートポンプに要するエネルギーを最小限に抑え、全体として極めて省エネ性の高い空調機となっている。
【0036】
中間期など負荷が軽い場合には、外気側の乾球温度が20℃では、還気側の第2の空気-水熱交換器33のバルブ33bを絞っても冷えすぎとなる場合がある。このような場合は、当該バルブ33bの開度が小さいことを検出して、外気側の乾球温度の制御目標値を20℃から少し高い温度へと上昇させることで、軽負荷時の効率向上を図ることができる。
【0037】
一般的に、夏期においては温水や蒸気の供給が停止される場合が多く、通常はビルなどでは温熱源は存在しない。この点実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1は、加熱のための熱源に、空冷ヒートポンプにおける前段の第1の熱交換器21による冷却除湿の際に発生する熱を利用している。したがって、実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1によれば、冷却除湿ニーズと再熱加熱ニーズの双方を同時に成立させることで無駄なエネルギーは使用していない。かかる点からしても、実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1の省エネ性は高いものである。
【0038】
また実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1によれば、除湿を行う際の低温操作を行う空調機でありつつ、前記したように加熱が行えるという特徴を有している。
すなわち、給気SAの温度制御は、最終的には還気側の熱交換器として機能している第2の空気-水熱交換器33、低温冷水熱交換器34の少なくともいずれかによって室温が設定値となるようその中温水、冷水の供給量によって制御されるが、外気側の処理において所定の湿度まで除湿された低温空気に対して再熱を実施しないと、室内負荷が低負荷の時に室温が低下してしまうことが避けられず、快適空調上問題点となる。
【0039】
したがって室内湿度を所定の低湿度に保つために、外気側の処理後の送風露点温度(混合空間6に流入する処理後空気の露点温度)を一定の低湿度に制御することはもちろん必要であるが、同時に混合空間6に流入する処理後空気の温度は、例えば20℃まで安定して加熱制御できることも重要である。
この場合、外気OAを処理して床吹出し方式で室内に供給する場合は、還気RA側の空気量が少ないか、または還気RAが無い状態での外調機の処理となってしまう。このとき、加熱が行えないと、室内に吹き出す空気温度が低すぎて、システムとして成り立たない。
また加熱源がない場合、室内温度の還気RAと混合して昇温させてから給気SAとして室内に送風することになるが、室内の冷房負荷が少ない梅雨時などには、室温が低下しすぎてしまうことになる。
【0040】
この点、実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1によれば、前記したように、再熱のための熱源は格別用意する必要はなく、圧縮機24によって実現している。
したがって、圧縮機24の能力の調整、例えばモータの回転数を制御することで、再熱のニーズに応じた適切な加熱制御を実施することが可能である。
【0041】
この場合、除湿制御については、主として低温冷水熱交換器14に供給する冷水量で行うから、それぞれ独立して行うことができ、安定した制御が可能である。
そしてそのように主として低温冷水熱交換器14に供給する冷水量で除湿制御を行なうという観点からすれば、制御的には空冷ヒートポンプによる冷凍サイクルは加熱機能が主体で制御され、冷却除湿機能は補助的な機能といえる。そして8℃の冷水が供給される低温冷水熱交換器14によっては到達不可能な7.7℃まで当該補助的な機能によって外気OAを冷却できることも実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1の大きな特徴である。
【0042】
そして実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1は空冷ヒートポンプを用いているから、従来よりも排熱の処理が容易であり、しかも全体してコンパクトな装置として構築できる。
【0043】
[運転例2]
先に説明した運転例1では導入した外気OAに対するプレクールを中温冷水熱交換器13と低温冷水熱交換器14とで2段に亘って行うようにしていたが、前段側の中温冷水熱交換器13のみで行うようにしてもよい。
【0044】
図3の空気線図は、そのように中温冷水熱交換器13のみでプレクールを行ない、次いで第1の熱交換器21によって降温させ、その後第2の熱交換器22によって再熱した場合を示している。なおかかる場合の外気OA、還気RA、給気SAの条件は運転例1と同じである。また中温冷水熱交換器13に供給する中温冷水の温度は17℃とした。
【0045】
まず中温冷水熱交換器13によるプレクールによって外気OAは22℃まで降温し、相対湿度は95%となった(
図3の点a-2)。次いでヒートポンプの第1の熱交換器21を通過する際にさらに降温し外気OAは7.7℃まで降温し、相対湿度は100%となった(
図3の点a-3)。以上の潜熱処理によって露点温度まで達した外気OAはヒートポンプの第2の熱交換器22を通過する際に加熱され、20℃まで昇温する。後は、運転例1と同様、第2の空気-水熱交換器33による顕熱処理によって20℃まで降温した還気RA(
図3の点b-2)と混合させることで、所定の温湿度の給気SAが得られる(
図3の点c)。
【0046】
かかる場合は、空冷ヒートポンプの負荷が増大するが、8℃の低温冷水の供給が受けられない場合であっても、運転例1と同一の除湿機能付き空調機1を用いて同様な条件の給気SAを得ることができる。すなわち、8℃の低温冷水を使用せず、COPが高い中温冷水のみで冷却除湿再熱を行うことができるため、省エネルギーを図ることができる。
【0047】
なおそのように中温冷水熱交換器13のプレクールだけで、第1の熱交換器21で所定の露点温度まで冷却除湿し、20℃まで再熱する場合は、加熱熱量が余剰となるので外部に放熱する必要があるが、当該余剰の熱はたとえば中温冷水熱交換器13の戻し側の中温冷水に放熱すればよい。
【0048】
次に運転例1における制御例について説明する。
[送風空気湿度制御]
(A-1)まず除湿機能付き空調機1が給気SAを供給し冷暖房を行う対象室内の温湿度(Tr℃、Hr%RH)を設定する。次いで当該設定温湿度に相当する露点温度(TdprSV℃)を演算する。
【0049】
(A-2)前記対象室内の湿度を露点温度センサまたは、室内温湿度センサからの露点温度演算値により、対象室内の湿度の状態値(室内露点温度TdprPV)を求める。
【0050】
(A-3)前記した室内露点温度の設定値(TdprSV値)と状態値(TdprPV値)の偏差から除湿機能付き空調機1機の外気側出口露点温度設定値(TdpSV値)を設定する。
【0051】
(A-4)そして室内湿度が設定値(TdprSV値)より高い場合は、前記した室内露点温度の当初設定値よりも低い送風露点温度で送風し、設定値(TdprSV値)より低い場合は、前記した室内露点温度の当初設定値よりも高い送風露点温度で送風するようTdpSVは変更される。
【0052】
(A-5)一方、除湿機能付き空調機1本体側の制御は、圧縮機24が常時運転されて規定の除湿幅で第1の熱交換器21による除湿、第2の熱交換器22による再熱運転を行うため、外気側出口露点温度の制御は前段に設けられた中温冷水熱交換器13と低温冷水熱交換器14によって行われる。そのため中温冷水熱交換器13に供給される中温冷水の量を、バルブ13bによって調整して、外気OAを22℃まで冷却する。
(A-6)また低温冷水熱交換器14は22℃まで降温された外気OAに対して冷却除湿し、外気側出口露点温度TdpPV℃が、設定値TdpSV℃となるよう低温冷水の供給流量をバルブ14bで調整する。
【0053】
このように導入した外気OAの負荷の変動に対しては、この2つのバルブ13b、14bで制御するため、常に安定した露点温度の給気状態を実現することができ、かつその制御を容易に行うことができる。かかる場合、2つのバルブ13b、14bのうちの1のバルブで制御が可能な場合には、いずれか一方で制御するようにしてもよい。
なお中温冷水熱交換器13の出口温度の設定は、外気OAの負荷が減少する6月、9月には、例えば夏期の22℃よりも低い、20℃程度に変更し、低温冷水熱交換器14に供給する低温冷水の量を減らすことでさらなる省エネルギーを図ることができる。発明者らの試算によれば、一般空調に比して消費電力を約25%減じることができる。
【0054】
[送風空気温度制御]
(B-1)外気側出口空気乾球温度の設定値ToaSV℃は20℃とする。なお外気側出口空気乾球温度とは、混合空間6に流入する冷却除湿された外気OAの乾球温度である。かかるToaPV℃を20℃とするための加熱はヒートポンプによる第2の熱交換器22によって行われる。
【0055】
(B-2)一方第2の熱交換器22による加熱前の冷却除湿空気は、前述の湿度制御により、最大負荷時に7.7℃、最低負荷時は約12℃まで冷却されている。この空気の温度ToaPV℃を設定値ToaSV=20℃となるよう、ヒートポンプ回路の圧縮機24の周波数を制御して加熱量を調整する。
【0056】
(B-3)還気RA側の温度制御は、室内温度が目標値になるように第2の空気-水熱交換器33に供給される中温冷水のバルブ33bを制御して行う。
【0057】
かかる場合も、中間期など負荷が軽い場合には、外気側の乾球温度が20℃では、還気側のバルブ33b、34bを絞っても冷えすぎとなる場合がある。このような場合は、還気側のバルブ33b、34bの開度が小さいことを検出して、外気側の乾球温度の制御目標値を20℃から少し高い温度へと上昇させることで、軽負荷時の効率向上を図る。
【0058】
(B-4)対象室の室内温度は、給気SAの供給経路である給気流路43の系統に設置されるVAVユニット(変風量制御ユニット)によって、室内各部の負荷変動状態に応じて、送風空気量を調整することによって行う。このVAVユニット(図示せず)の動作によって給気量の必要量が変動するため、送風圧力または必要送風量の演算によって、除湿機能付き空調機1の送風量に必要風量がフィードバックされて、例えばファン41の送風量が調整される。
【0059】
以上のように、実施の形態にかかる除湿機能付き空調機によれば、負荷の変動に対する温度制御、空調対象室に必要な給気SAの露点温度の制御が容易である。
【0060】
なお前記した実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1においては、中温冷水熱交換器13、低温冷水熱交換器14、第2の空気-水熱交換器33、低温冷水熱交換器34は、供給される熱源水は各々15℃の中温冷水、8℃の冷水であったが、もちろんこれに限らず、たとえば設置されるビル環境に応じて得られる種々の温度の熱源水を用いることができる。またこれら中温冷水熱交換器13、低温冷水熱交換器14、第2の空気-水熱交換器33、低温冷水熱交換器34の数、その配列は、前記実施の形態に限られるものではない。
【0061】
すなわち、前記した実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1は、
図4に示したように、既述の中温冷水熱交換器13、低温冷水熱交換器14、圧縮機24と膨張弁23とで空冷ヒートポンプを構成する第1の熱交換器21、第2の熱交換器22を有して外気OAを処理する外気処理セクション60と、既述の第2の空気-水熱交換器33、低温冷水熱交換器34とを有して還気RAを処理する還気処理セクション61とによって構成されていた。
【0062】
かかる構成を有する実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1は、外気風量に対して還気風量が大きい場合に効果的な構成であった。しかしながら、外気風量に対して還気風量が小さい場合には、還気空気側で加熱や冷却の処理を行っても、処理熱量が少なく、効果的ではない。したがって、外気風量に対して還気風量が小さい場合には、
図5に示した除湿機能付き空調機71が適している。
【0063】
すなわち、
図5に示した除湿機能付き空調機71は、外気処理セクション60においては先の除湿機能付き空調機1と同様に外気処理を行い、外気処理セクション60で処理された後の空気と還気RAとを混合した後、混合処理セクション62にて加熱や冷却処理を行うようにしたものである。以下、かかる構成を有する除湿機能付き空調機71のより詳しい構成について、
図6に基づいて説明する。なお
図6中、
図1に示した除湿機能付き空調機1と同一の符号で示されるものは、除湿機能付き空調機1において当該同一の符号で示されるものと実質的に同一の機能、構成を有する要素であり、重複した説明は適宜省略している。
【0064】
この除湿機能付き空調機71のケーシング2における仕切部材3の下側が、外気処理セクション60を構成している。すなわち、外気用流路4に設置されたエアフィルタ12によって外気OAが清浄化された後、中温冷水熱交換器13によってプレクールされる。この除湿機能付き空調機71は、温水も供給可能な配管とされてもよい。そして次段には低温冷水熱交換器14が配置されている。
【0065】
低温冷水熱交換器14の下流側には、第1の熱交換器21と第2の熱交換器22が配置されている。第1の熱交換器21、第2の熱交換器22には、2台の圧縮機24a、24bとの間で2系統の冷媒配管が設けられ、各冷媒配管には各々独立した膨張弁23a、23bが設けられている。したがって2つの系統の冷凍サイクルが採用されており、かかる構成により、1台の圧縮機が故障しても、他の1台の圧縮機での運転が可能である。
【0066】
また第2の熱交換器22の下流側に配置される気化式加湿器も、2分割型の気化式加湿器25´が配置されており、気化式加湿器25´への原料水も、各々分割されたセクションに独立して供給するように配管25a、25cの2系統が配管されている。各配管25a、25cには、対応するバルブ25b、25dが設けられている。
【0067】
そして気化式加湿器25´を経た外気OAは、還気導入流路30からケーシング2の下流側に設けられた還気取り入れ口31から導入された還気RAと混合空間6で混合された後に、混合処理セクション62となる還気用流路5内に配置された第2の空気-水熱交換器33によって、冷水と熱交換される。また除湿機能付き空調機71では、先の除湿機能付き空調機1で採用されていた低温冷水熱交換器34に代えて、例えば冬季暖房用の温水と熱交換される温水熱交換器35が配置されている。温水熱交換器35には、配管35aが接続され、配管35aにはバルブ35bが設けられている。
【0068】
そして温水熱交換器35の下流側には、ファン41が配置されている。したがって、第2の空気-水熱交換器33や温水熱交換器35によって処理された空気は、このファン41によって、給気口42から給気流路43を通じて、給気SAとして目的空間に供給される。
【0069】
また除湿機能付き空調機71では、ファン41の他に、外気取り入れ口11の下流側に、ブースターファン44が配置されている。これによって先の除湿機能付き空調機1と比べて外気取り入れ口11から給気口42までの距離が長くなっても、所定の風量、風速を実現することが可能になっている。
【0070】
また除湿機能付き空調機71では、外気導入流路10から分岐して、還気導入流路30と接続される、ダクトなどで構成された外気分岐流路45が施工されており、条件に応じて外気OAを還気RAと混合させた後にケーシング2内に取り入れて、混合処理セクションに送気することが可能になっている。なお外気分岐流路45には、ダンパ45aが設けられている。
【0071】
除湿機能付き空調機71は以上の構成を有しており、この除湿機能付き空調機71によれば、外気導入流路10から導入する外気OAに対して、還気RAの風量が少ない場合に、外気を処理した後の空気と外気OAを混合空間6で一旦混合させてから、混合処理セクションを構成する第2の空気-水熱交換器33や温水熱交換器35で処理して、給気SAとして供給するので、先の除湿機能付き空調機1よりも効果的に所定の温湿度の給気SAを供給することが可能である。
【0072】
前記したように
図6に示した除湿機能付き空調機71は、システム構成的には
図5に示したように、外気処理セクション60においては先の除湿機能付き空調機1と同様に外気処理を行い、外気処理セクション60で処理された後の空気と還気RAとを混合した後、混合処理セクション62にて加熱や冷却処理を行うようにしたものである。しかしながら、以下に述べるように他のシステム構成も提案できる。
【0073】
図7に示した除湿機能付き空調機81は、還気RAと外気OAを混合した後に外気処理セクション60に導入して、その後混合処理セクション62にて一括して加熱または冷却処理するようにしたものである。かかる構成を有する除湿機能付き空調機81によれば、外気風量に対して還気風量が少ない場合に両者を混合した後に外気処理を行い、次いで混合処理するので、空調機自体を単純化することができ、コンパクト化することが可能である。ただし、外気処理セクション60で処理する熱量が多くなるので、冷凍サイクルの容量が大きくなり、それに伴って圧縮機を大型化したり、台数を増やす必要性が生ずる場合がある。
【0074】
図8に示したシステム構成にかかる除湿機能付き空調機91は、還気風量がなく外気OAのみを処理して給気SAを供給する構成を有している。たとえば空調対象空間に別途輻射パネルを設置したり、異なった空調機からの給気を供給して、還気を除湿機能付き空調機91に導入しないケースに対応するものである。
【0075】
以上示した除湿機能付き空調機71、81、91はいずれも導入した外気に対する潜熱処理は第1の空気-水熱交換器でプレクールを行なった後、空冷ヒートポンプの蒸発器として機能する第1の熱交換器で冷却減湿を行ない、その後給気に必要な温度にまで昇温させる再熱には、前記空冷ヒートポンプの凝縮器として機能する第2の熱交換器によって加熱しているので、再熱を行なうにあたり別途温熱源を用意する必要がなく、省エネ性が高い。また排熱の処理が容易であり、しかも全体してコンパクトな装置として構築できるという本発明の作用効果が得られるものである。
【0076】
さらに冬期の暖房についても、実施の形態にかかる除湿機能付き空調機1をはじめとして、
図5~
図8に示した除湿機能付き空調機71、81、91は実施可能であり、かかる場合、空冷ヒートポンプは休止して、中温冷水熱交換器13、低温冷水熱交換器14、第2の空気-水熱交換器33、低温冷水熱交換器34に所定温度の温水を供給することで、容易に暖房運転を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、ビルの個々のテナントの空調に対して有用であり、特に冷却塔を持たない、または設置できない施設、供給冷水温度が7~9℃に限られ、かつ再熱に温水を併用しては熱コストが膨大で省エネ性も極めて悪化してしまうDHCシステムが適用されている地域に効果が大きい。
【符号の説明】
【0078】
1、71、81、91 除湿機能付き空調機
2 ケーシング
3 仕切部材
4 外気用流路
5 還気用流路
6 混合空間
10 外気導入流路
11 外気取り入れ口
12、32、53 エアフィルタ
13 中温冷水熱交換器
13a、14a、25a、33a 配管
13b、14b、25b、33b バルブ
14、34 低温冷水熱交換器
21 第1の熱交換器
22 第2の熱交換器
23、23a、23b 膨張弁
24、24a、24b 圧縮機
25 気化式加湿器
30 還気導入流路
30a、52a ダンパ
31 還気取り入れ口
33 第2の空気-水熱交換器
35 温水熱交換器
41 ファン
42 給気口
43 給気流路
44 ブースターファン
45 外気分岐流路
51 外気取り入れ口(外気冷房用)
52 外気冷房用導入流路