(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】積層センサ装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 1/16 20060101AFI20220414BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20220414BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20220414BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220414BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20220414BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20220414BHJP
B05D 7/04 20060101ALI20220414BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20220414BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20220414BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20220414BHJP
G01L 1/14 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
G01L1/16 C
B32B7/025
B05D1/28
B05D7/24 302T
B05D7/00 J
B05D7/00 A
B05D7/14 G
B05D7/04
B05D3/00 D
B05D3/12 C
B05D1/36 Z
G01L1/14 J
(21)【出願番号】P 2019547386
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(86)【国際出願番号】 US2018019842
(87)【国際公開番号】W WO2018160524
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】スプレントール、カール イー.
(72)【発明者】
【氏名】ポリドール、トレバー
(72)【発明者】
【氏名】モーネ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ラント、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】クワン、ウィリアム
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098725(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0049531(US,A1)
【文献】特開2015-087330(JP,A)
【文献】米国特許第04954811(US,A)
【文献】特開2015-057598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/16
G01L 1/14
B32B 7/025
B05D 1/00 -7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部層、底部層、及び少なくとも1つの中間層からなる第1の複数の層であって、前記少なくとも1つの中間層は、導電体層を備え、前記上部層、前記底部層、及び前記少なくとも1つの中間層のそれぞれが、各隣接層と密接に直接接触するように配置され、前記密接に直接接触することには対応する境界面において物理的に接触することが含まれることを特徴とする、第1の複数の層と、
前記第1の複数の層と密接に直接接触して配置される
、上部層、底部層、及び少なくとも1つの中間層を有する、第2の複数の層であって、前記第2の複数の層の前記底部層は、前記第1の複数の層の前記上部層と密接に直接接触して配置される、前記第2の複数の層とからなるセンサ装置であって、
前記第1の複数の層及び前記第2の複数の層が、外部の電流生成デバイスなしに、かつ変形されたことに応じて、圧電電圧を生じ、
前記第1の複数の層及び前記第2の複数の層は、変形されたことに応じて、静電容量の変化を生し、
前記複数の層の前記上部層と前記底部層のうちの少なくとも一方はエラストマー層であり、かつ
前記圧電電圧は前記導電体層と関連する隣接した前記エラストマーのうちの1つのそれぞれの間での相対移動によって生じる、センサ装置。
【請求項2】
前記複数の層の前記上部層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有する第1のエラストマー・フォーム層の単層であり、かつ
前記複数の層の前記底部層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する第2のエラストマー層の単層である、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記複数の層の前記上部層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有する第1のエラストマー・フォーム層の単層であり、
前記少なくとも1つの中間層の前記導電体層は、前記上部層と密接に直接接触するように配置される第1の導電体層であり、
前記少なくとも1つの中間層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する第2のエラストマー層をさらに備え、前記第2のエラストマー層は、前記上部層のものとは反対側で前記第1の導電体層と密接に直接接触するように配置され、かつ
前記底部層は、前記第1の導電体層のものとは反対側で前記第2のエラストマー層と密接に直接接触するように配置された第2の導電体層の単層である、請求項
1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第1の複数の層及び前記第2の複数の層は、第1の衝撃力により変形されたことに応じて第1の圧電電圧を、第2の衝撃力により変形されたことに応じて第2の圧電電圧を、また第3の衝撃力により変形されたことに応じて第3の圧電電圧を生じ、
前記第1の圧電電圧、前記第2の圧電電圧、及び前記第3の圧電電圧は、各前記第1の衝撃力、前記第2の衝撃力、及び前記第3の衝撃力と線形関係を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記第1のエラストマー・フォーム層は、無充填ポリウレタンである、請求項2又は3に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記無充填ポリウレタンは、立方センチメートル当たり0.144グラム(立方フィート当たり9ポンド)以上、及び立方センチメートル当たり0.400グラム(立方フィート当たり25ポンド)以下の密度を有するポリウレタン・フォームである、請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記第2のエラストマー層は、ポリエチレンテレフタレート・フィルムである、請求項2又は3に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記導電体層の材料は、ニッケル、アルミニウム、又は銀のうちの少なくとも1つを備える、請求項1乃至7のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記第1の導電体層の材料、及び前記第2の導電体層の材料は、ニッケル、アルミニウム、又は銀のうちの少なくとも1つを備える、請求項
3に記載のセンサ装置。
【請求項10】
反復して順序付けられた積層構造を形成するように、互いに密接に直接接触させて配置された第3以上の前記複数の層をさらに備え、
前記積層構造は、第1の衝撃力により変形されたことに応じて第1の圧電電圧を、第2の衝撃力により変形されたことに応じて第2の圧電電圧を、また第3の衝撃力により変形されたことに応じて第3の圧電電圧を生じ、
前記第1の圧電電圧、前記第2の圧電電圧、及び前記第3の圧電電圧は、各前記第1の衝撃力、前記第2の衝撃力、及び前記第3の衝撃力と線形関係を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記複数の層が変形されたことに応じて生成された前記圧電電圧は、前記複数の層により示される摩擦電気効果である、請求項1乃至10のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記複数の層は、1.1GPa(ギガパスカル)以下の曲げ弾性率を有する、請求項1乃至11のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項13】
前記複数の層は、2mm以上で40mm以下の全体厚さを有する、請求項1乃至12のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項14】
前記複数の層の前記第1のもの、及び前記第2のものは、同一に順序付けられた層を有する、請求項1乃至13のいずれかに記載のセンサ装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載のセンサ装置
を製造
する方法
であって、
エラストマー・フォームA層を、エラストマーB層を備える金属被覆基板の上に適用して、前記エラストマー・フォームA層と前記エラストマーB層の間に配置された前記金属被覆基板の金属被覆部分と積層構造を形成する工程であって、前記エラストマー・フォームA層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有し、前記エラストマーB層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する、工程と、
前記金属被覆基板の第2のものを前記積層構造の上に適用し、かつ前記エラストマー・フォームA層の第2のものを、前記第2の金属被覆基板の前記金属被覆部分の上に付着させて複数の前記積層構造を形成する工程と、
前記複数の積層構造を硬化させる工程と
を備える方法。
【請求項16】
前記金属被覆基板は、前記エラストマーB層の一方の側に第1の金属被覆部分を有し、かつ前記エラストマーB層の反対側に第2の金属被覆部分を有する両面金属被覆基板であり、前記第1の金属被覆部分が、前記エラストマー・フォームA層と前記エラストマーB層の間に配置された前記金属被覆部分であり、
前記金属被覆基板の第2のものを適用する前記工程は、前記両面金属被覆基板の第2のものを前記積層構造の上に適用する工程を備え、かつ
前記エラストマー・フォームA層の第2のものを付着させる前記工程は、前記エラストマー・フォームA層の第2のものを前記第2の両面金属被覆基板の前記第1の金属被覆部分の上に付着させる工程を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記適用されたエラストマー・フォームA層は、未硬化のポリウレタン・フォームである、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記エラストマーB層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである、請求項15乃至17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
エラストマー・フォームA層を適用する前記工程は、ロール塗布法を備える、請求項15乃至18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項1乃至14のいずれかに記載のセンサ装置を製作する方法であって、
エラストマー・フォームA層を、エラストマーB層を備える金属被覆基板の上に適用して、前記エラストマー・フォームA層と前記エラストマーB層の間に配置された前記金属被覆基板の金属被覆部分と積層構造を形成する工程であって、前記エラストマー・フォームA層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有し、前記エラストマーB層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する、工程と、
前記積層構造を硬化させて、硬化した積層構造を形成し、かつ前記硬化した積層構造の第1のものを提供する工程と、
前記硬化した積層構造の第2のものを、前記第1の硬化した積層構造の上に取り付ける工程であって、前記第1の硬化した積層構造及び前記第2の硬化した積層構造は、同一に順序付けられた層を有する、工程とを備える方法。
【請求項21】
前記金属被覆基板は、前記エラストマーB層の一方の側に第1の金属被覆部分を有し、かつ前記エラストマーB層の反対側に第2の金属被覆部分を有する両面金属被覆基板であり、前記第1の金属被覆部分が、前記エラストマー・フォームA層と前記エラストマーB層の間に配置された前記金属被覆部分である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記取り付ける工程は、化学的な接合、機械的な接合、又は振動性の接合を備える、請求項20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、センシング装置に関し、詳細には、積層センサに、またより詳細には、積層フォーム・センサに関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟な可撓性のあるセンサは、数例をあげると、IoT(モノのインターネット)デバイス、装着可能なもの(例えば、ヘルメットなど)、衣料品、及び医療用デバイスなど、ますます多くの用途で有用である。既存の適合可能なセンサは、パッケージ化したセラミックス、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)ベースの材料を含む。例示的な可撓性のある静電容量センサは、特許文献1に記載されている。圧電反応を生じ、ひずみ計の測定用途で有用な例示的なエラストマー複合材料が、特許文献2に記載されている。例示的な摩擦電気発生器は、特許文献3に記載されている。
【0003】
この背景情報は、本出願人が、本発明に対しておそらく関連すると思われる情報を明らかにするために提供される。先行するいずれかの情報が本発明に対する先行技術を構成することを必ずしも認めるものではなく、あるいはそのように解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,301,351号
【文献】米国特許第8,984,954号
【文献】米国特許第9,178,446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような材料から製作される既存の材料及びセンサは、その意図された目的に対して適切であり得るが、柔軟な可撓性のあるセンサに関する技術は、線形なセンシング特性を備えるデュアルセンシングを与える柔軟な可撓性のあるセンサと共に進歩するはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態では、センサ装置は、上部層、底部層、及び少なくとも1つの中間層を有する複数の層の第1のものを含み、少なくとも1つの中間層は導電体層を有し、上部層、底部層、及び少なくとも1つの中間層のそれぞれは、各隣接層と直接接触するように配置される。複数の層の第2のものは、第1の複数の層と直接接触して配置され、したがって、第2の複数の層の底部層は、第1の複数の層の上部層と直接接触して配置される。第1の複数の層及び第2の複数の層は、外部の電流生成デバイスなしに、かつ変形されたことに応じて、圧電電圧を生じ、また第1の複数の層及び第2の複数の層は、変形されたことに応じて、静電容量の変化を生ずる。
【0007】
実施形態では、前述のセンサ装置を製作する方法は、エラストマー・フォームA層を、エラストマーB層を備える金属被覆基板の上に適用して、エラストマー・フォームA層とエラストマーB層の間に配置された金属被覆基板の金属被覆部分と積層構造を形成する工程であって、エラストマー・フォームA層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有し、エラストマーB層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する、工程と、金属被覆基板の第2のものを積層構造の上に適用し、かつエラストマー・フォームA層の第2のものを、第2の金属被覆基板の金属被覆部分の上に適用して複数の積層構造を形成する、工程と、複数の積層構造を硬化させる工程とを含む。
【0008】
実施形態では、前述のセンサ装置を製作する別の方法は、エラストマー・フォームA層を、エラストマーB層を備える金属被覆基板の上に適用して、エラストマー・フォームA層とエラストマーB層の間に配置された金属被覆基板の金属被覆部分と積層構造を形成する工程であって、エラストマー・フォームA層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有し、エラストマーB層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する、工程と、積層構造を硬化させて、硬化した積層構造を形成し、かつ硬化した積層構造の第1のものを提供する工程と、硬化した積層構造の第2のものを、第1の硬化した積層構造の上に取り付ける工程であって、第1の硬化した積層構造及び第2の硬化した積層構造は、同一に順序付けられた層を有する、工程とを含む。
【0009】
本発明の上記の特徴及び利点、ならびに他の特徴及び利点は、添付図面と併せて、本発明の以下の詳細な記述を読めば、容易に明らかになる。
例示的な、非限定の図面を参照するが、添付図において、同様の要素は同様に番号付けされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態による
図1の複数の積層構造の横断側面図。
【
図4】実施形態による
図3の複数の積層構造の横断側面図。
【
図5】実施形態による、
図4で示された実施形態と同様の複数の積層構造であるが、別の数の積層構造を備えた、試験された実施形態の圧電出力電圧信号を比較する図。
【
図6】実施形態による、
図2で示された積層構造、又は代替的に、
図4で示されたような積層構造を表す2層構成の斜視図。
【
図7】実施形態による、
図2で示された積層構造、又は代替的に、
図4で示されたような積層構造を表す3層構成の斜視図。
【
図8】実施形態による、
図2、
図4、
図6、及び
図7で示されたものと同様であるが、
図3で示されたような第2の積層構造と交互に構成された、
図1で示されたような第1の積層構造を有する複数の積層構造801の図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、説明のために多くの細部を含むが、当業者であれば、以下の詳細に対する多くの変形及び改変は、特許請求の範囲に含まれることが理解されよう。したがって、以下の例示的な実施形態は、特許請求される本発明に対して何らかの一般性を失うことなく、かつそれに対して限定を課することなく記載される。
【0012】
様々な図、及び添付の文章により示され、かつ述べられるような実施形態は、センシングの圧電モード、及びセンシングの静電容量モードの2つのセンシング・モードを有する積層フォーム・センシング装置を提供する。センシングの圧電モード(すなわち、圧電センサ)は、金属とエラストマーの隣接する層間の摩擦電気効果により達成され、またセンシングの静電容量モード(すなわち、静電容量センサ)は、圧電センサの同じ金属層及びエラストマー層を利用する平行板キャパシタにより達成される。本明細書で述べられ、かつ示される実施形態は、例示的な積層フォーム・センシング装置として、一定数の積層構造を示すが、開示される本発明は、そのように限定されず、本明細書で開示される目的に適した任意の数の積層構造を包含することが理解されよう。
【0013】
図1は、上部層102、底部層104、及び少なくとも1つの中間層106など、複数の層を有する積層構造100の実施形態を示す。
図1で示された実施形態では、少なくとも1つの中間層106の層は導電体層である。上部層102、底部層104、及び導電体層106のそれぞれは、各隣接する層と密接に直接接触するように配置される。本明細書で使用される場合、密接に直接接触させるというフレーズは、各境界面において、ある程度の物理的に接合された状態で、直接物理的に接触することを意味し、したがって、得られた構造は、本明細書で述べられるように実施することができる。
【0014】
図2は、
図1で示された積層構造100の4つのものを示しており、それらは、ここで、参照数字100.1、100.2、100.3、及び100.4により示され、かつ総称的に参照数字101により参照され、各積層構造100.1、100.2、100.3、及び100.4は、
図1で示された積層構造100のものと同様の、上から下に順番に、層102、106、及び104の順序及び構成を有する。すなわち、第2の積層構造100.2は、第1の積層構造100.1と密接に直接接触して配置され、したがって、第2の積層構造100.2の底部層104.2が、第1の積層構造100.1の上部層102.1と密接に直接接触して配置される。層102、106、及び104の同様の順序及び構成が、第2の積層構造100.2に対する第3の積層構造100.3に対して、また第3の構造100.3に対する第4の積層構造100.4に対して繰り返される。
図1で示された積層構造100の数は、1つであり、
図2では4つであるが、本発明の範囲は、そのように限定されることはなく、本明細書で開示される目的に対して適した任意の数の積層構造を包含することが理解されよう。すなわち、
図2で示された複数の積層構造101は、本明細書で開示されるように構成された2、3、4、又はそれを超える積層構造100を表す。
【0015】
図1及び
図2で示された実施形態では、所与の積層構造100の上部層102は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有する第1のエラストマー・フォーム層であり、また所与の積層構造100の底部層104は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する第2のエラストマー層である。中間の導電体層106を挟むエラストマー層102、104を利用することにより、また
図2で示されるように、一方を他方の上に置く順序付けられた構成で、少なくとも2つの積層構造100.1、100.2を利用することにより、2つの積層構造は、外部電流生成デバイスなしに、かつ本明細書の以下で述べるように変形されることに応じて圧電電圧を生じ、かつ本明細書の以下で述べるように変形されることに応じて、静電容量における変化を生ずる。実施形態では、第1のエラストマー層102、及び第2のエラストマー層104は、本明細書で開示されるように、適切な金属に隣接して積層されたとき、本明細書で開示される目的に対して適切な摩擦電気効果を生成するのに十分な摩擦電気系列表の格付けを有する。
【0016】
図1及び
図2で示された実施形態では、底部層104及び中間層106は、片面金属被覆基板の形態で提供されることができ、基板はエラストマーであり、また実施形態では、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。当技術分野では、底部層104と中間層106の組み合わされた形態は、片面金属被覆PETフィルムと呼ばれる。
【0017】
次に、
図1及び
図2のそれぞれで示されたものと同様であるが、次に述べられる差を備えた実施形態を示す
図3及び
図4に対して参照を行う。
図3は、上部層202、底部層204、及び少なくとも1つの中間層206など、複数の層を有する積層構造200の別の実施形態を示す。
図3で示される実施形態では、上部層202は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有する第1のエラストマー・フォーム層であり、少なくとも1つの中間層206は、第1の導電体層207と、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する第2のエラストマー層208とを含み、また底部層204は、第2の導電体層である。上部の第1のエラストマー・フォーム層202、第1の導電体層207、第2のエラストマー層208、及び底部の第2の導電体層204のそれぞれは、各隣接層と密接に直接接触するように配置される。示されるように、上部の第1のエラストマー・フォーム層202、及び第1の導電体層207は、互いに密接に直接接触するように配置され、第2のエラストマー層208は、上部の第1のエラストマー・フォーム層202のものとは反対側で第1の導電体層207と密接に直接接触するように配置され、また底部の第2の導電体層204は、第1の導電体層207のものとは反対側で第2のエラストマー層208と密接に直接接触するように配置される。実施形態では、第1及び第2のエラストマー層202、208は、本明細書で開示されるような適切な金属に隣接して積層されたとき、本明細書で開示される目的に適した摩擦電気効果を生成するのに十分な摩擦電気系列表格付けを有する。
【0018】
図4は、
図3で示された積層構造200の4つのものを示しており、それらは、ここでは、参照数字200.1、200.2、200.3、及び200.4により示され、かつ総称的に参照数字201により参照され、各積層構造200.1、200.2、200.3、及び200.4は、
図3で示された積層構造200のものと同様の、上から下に順番に、層202、207、208、及び204の順序及び構成を有する。すなわち、第2の積層構造200.2は、第1の積層構造200.1と密接に直接接触して配置され、したがって、第2の積層構造200.2の底部層204.2が、第1の積層構造200.1の上部層202.1と密接に直接接触して配置される。層202、207、208、及び204の同様の順序及び構成が、第2の積層構造200.2に対する第3の積層構造200.3に対して、かつ第3の積層構造200.3に対する第4の積層構造200.4に対して繰り返される。
図3において示された積層構造200の数は、1つであり、
図4では4つであるが、本発明の範囲は、そのように限定されることはなく、本明細書で開示される目的に対して適した任意の数の積層構造を包含することが理解されよう。例えば、
図4で示される複数の積層構造201は、本明細書で開示されるように構成された2、3、4、又はそれを超える積層構造200を表す。
【0019】
図1及び
図2で示された実施形態と同様に、
図3及び
図4で示される実施形態では、所与の積層構造200の上部層202は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有する第1のエラストマー・フォーム層であり、また所与の積層構造200の第2のエラストマー層208は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する。
図1及び
図2で示された実施形態に対して異なっているのは、
図3及び
図4で示された実施形態では、底部層204が、第2の導電体層であることである。中間の第1の導電体層207を挟むエラストマー層202、208を利用することにより、また第1の導電体層207のものとは反対側で第2のエラストマー層208と密接に直接接触をするように配置された第2の導電体層204を利用することにより、単一の積層構造200は、外部電流生成デバイスなしに、かつ本明細書の以下で述べるように変形されることに応じて、圧電電圧を生じ、かつ本明細書の以下で述べるように変形されることに応じて、静電容量における変化を生ずる。
図4で示されるように、一方を他方の上に置く順序付けられた構成で、2つ以上の積層構造200を利用することにより、2つ以上の積層構造はまた、外部電流生成デバイスなしに、かつ変形されることに応じて、圧電電圧を生じ、また変形されることに応じて、静電容量における変化を生ずる。使用される積層構造200の数に応じて、異なる電圧及び静電容量信号値が、変形の後に得られることになるが、それは以下でさらに論じられる。
【0020】
図3及び
図4で示される実施形態では、底部の導電体層204、及び少なくとも1つの中間層206(第2のエラストマー層208及び第1の導電体層207)は、両面金属被覆基板の形態で提供されることができ、その場合、実施形態では、基板(第2のエラストマー層208)はPETである。当技術分野では、層204、208、及び207の組み合わされた形態は、両面金属被覆PETフィルムと呼ばれる。
【0021】
実施形態では、積層構造100、200の上部層102、202は、それぞれ、無充填のポリウレタンである第1のエラストマー・フォーム層、すなわち、可撓性のあるフォーム層である。実施形態では、無充填のポリウレタンは、立方センチメートル当たり0.144グラム(立方フィート当たり9ポンド)以上、及び立方センチメートル当たり0.400グラム(立方フィート当たり25ポンド)以下の密度を有するポリウレタン・フォームである。別の実施形態では、第1のエラストマー・フォーム層は、シリコーンベースのフォーム、ラテックスベースのフォーム、又はオレフィンベースのフォームとすることができる。
【0022】
実施形態では、積層構造100の底部層104、及び積層構造200の少なくとも1つの中間層206の第2のエラストマー層208は、エラストマーである、すなわち、例えば、PETなどのポリエステル、ポリPETフィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの可撓性を有するポリマーである。
【0023】
実施形態では、積層構造100の導電体層106、及び積層構造200の導電体層207、204は、ニッケル、アルミニウム、銀、銅、又は金のうちの少なくとも1つから作られ、固体金属の薄いフィルム、又は結合材に埋め込まれた金属粒子とすることができる。
【0024】
図1及び
図3で示された積層構造100もしくは200、又は
図2及び
図4で示された複数の積層構造101、201のいずれかの実施形態では、複数の層、又は複数の積層構造が変形されたのに応じて生成される圧電電圧は、複数の層により、またより具体的には、各導電体層と、関連する隣接したエラストマー層との間の相対移動により示される摩擦電気効果である。
【0025】
実施形態では、
図2及び
図4で示されたような複数の積層構造101又は201は、それぞれ1.1ギガパスカル(GPa)以下の曲げ弾性率を有し、かつ2mm以上で40mm以下の全体厚さT1又はT2をそれぞれが有する。
図2及び
図4は、それぞれ積層構造100、200の4つの層を示しているが、本明細書で開示されるすべてのものから、積層構造の数は、1つ以上の積層構造と20以下の積層構造の範囲を包含することが理解されよう。実施形態では、第1のエラストマー・フォーム層102、202の厚さは、第2のエラストマー層104、208の厚さよりも実質的に厚く、その場合、厚さ比は、3:1以上、5:1以上、10:1以上、又はさらに25:1以上とすることができる。第2のエラストマー層104、208よりも実質的に厚い第1のエラストマー・フォーム層102、202を利用することによって、積層構造100、200は、別個のセンシング・モードを備えて提供され、したがって、第1のエラストマー・フォーム層102、202は、衝撃/圧力に応じて、衝撃/圧力センシングのための手段を提供し、また第2のエラストマー層104、208は、力に応じて、力センシングのための手段を提供する薄いフィルム・キャパシタの一部を形成する。
【0026】
本明細書の上記で示したように、
図2で示された複数の積層構造101、及び
図4で示された複数の積層構造201は、本明細書で開示されるように構成された2、3、4、又はそれ以上の各積層構造100、200を表す。実施形態では、2つ以上の各積層構造100、200を有する複数の積層構造101又は201は、第1の衝撃力による変形に応じて、第1の圧電電圧及び静電容量における第1の変化を、第2の衝撃力による変形に応じて、第2の圧電電圧及び静電容量における第2の変化を、かつ第3の衝撃力による変形に応じて、第3の圧電電圧及び静電容量における第3の変化を生じる、ここで、第1、第2、及び第3の圧電電圧は、各第1、第2、及び第3の衝撃力と線形関係を有し、また静電容量における第1、第2、及び第3の変化は、各第1、第2、及び第3の衝撃力と線形関係を有する。
【0027】
図5は、
図4で示されたものと同様の複数の積層構造201の試験された実施形態の圧電出力電圧信号を比較した図表を示すが、それは、積層構造200の2層(
図4における200.1及び200.2、ならびに
図5における201.2を参照のこと)を、積層構造200の3層(
図4における200.1、200.2、及び200.3、ならびに
図5における201.3を参照のこと)を、また積層構造200の4層(
図4における200.1、200.2、200.3、及び200.4、ならびに
図5における201.4)を利用し、ここで、201.2、201.3、201.4により
図5において示される構成の各実施形態は、30.48cm(1フィート)、45.72cm(1.5フィート)、及び60.96cm(2フィート)の3つの異なる高さから1キログラム重の自由落下による衝撃力にさらされた。試験された各実施形態では、各積層構造200の第1のエラストマー202は、2mmの厚さにおいて、立方センチメートル当たり0.320グラム(立方フィート当たり20ポンド)の密度を有する無充填のポリウレタン・フォームであった。本試験サンプルに使用された特定のポリウレタン・フォーム配合物は、米国コネチカット州のロジャーズ・コーポレーション(Rogers Corporation)により製作されたPORON XRD
*であった(ここで、*は、ロジャーズ・コーポレーションにより所有される商標を示す)。試験された各実施形態では、各積層構造200の底部の3層207、208、及び204は、米国コネチカット州デービル(Dayville)のROL-VAC、LPにより製作された75マイクロメータ(μm)の厚さを有する両面金属被覆PETフィルムであった。試験された実施形態では、両面金属被覆PETフィルムに対する第1のエラストマー・フォーム層202の厚さ比は、約26:1であった。3つの落下高さのそれぞれに対して、3つの構造201.2、201.3、201.4のそれぞれの出力電圧信号を比較することによって分かるように、各第1、第2、及び第3の圧電電圧は、各第1、第2、及び第3の落下高さと、したがって、3つの構造201.2、201.3、201.4のそれぞれに関連する第1、第2、及び第3の衝撃力と統計的に有意な線形関係を有する。このようなセンサ装置の利点は、静電容量センサによる線形な力センシングと、圧電センサによる線形な衝撃センシングの両方を組み合わせて有する混成センサを提供する。
【0028】
2層、及び3層をそれぞれ有する複数の積層構造601、701の代表的な実施形態を斜視図で示す
図6及び
図7に対して次に参照が行われる。複数の積層構造601、701は、本明細書の上記で述べられた方法で積層された、積層構造100の反復する積層化により、又は積層構造200の反復する積層化により形成され得る。
【0029】
図6では、2層構成は、積層構造100が使用される場合、
図2で示される積層構造100.1及び100.2を表し、又は積層構造200が使用される場合、
図4で示される積層構造200.1及び200.2を表す。
【0030】
図7では、3層構成は、積層構造100が使用される場合、
図2において示された積層構造100.1、100.2、及び100.3を表し、又は積層構造200が使用される場合、
図4において示された積層構造200.1、200.2、及び200.3を表す。
【0031】
図6で示された2層構成では、積層構造100又は200のいずれが使用されるかに応じて、部分602(602.1及び602.2として別々に示される)は、
図1で示されたエラストマー層102、又は
図3で示されたエラストマー層202を表し、また部分604(604.1,604.2として別々に示される)は、
図1における残りの複数の層104、106、又は
図3における残りの複数の層204、206を表す。積層構造100が使用される場合、電気信号線610及び612は、導電体層106.1,106.2(
図2で示される)のそれぞれ1つに対して電気的に接続され、積層構造200が使用される場合、電気信号線610は、導電体層204.1,207.1(
図4で示される)に対して並列に電気的に接続され、電気信号線612は、導電体層204.2,207.2(
図4で示される)に対して並列に電気的に接続される。
【0032】
同様に、
図7で示される3層構成では、積層構造100又は200のいずれが使用されるかに応じて、部分702(702.1,702.2,702.3として別々に示される)は、
図1で示されたエラストマー層102、又は
図3で示されたエラストマー層202を表し、また部分704(704.1,704.2,704.3として別々に示される)は、
図1における残りの複数の層104、106、又は
図3における残りの複数の層204、206のいずれかを表す。積層構造100が使用される場合、電気信号線710は、導電体層106.1(
図2で示される)に電気的に接続され、また電気信号線712は、導電体層106.2,106.3(
図2で示される)に並列に電気的に接続される。積層構造200が使用される場合、電気信号線710は、導電体層204.1,207.1(
図4で示される)に対して並列に電気的に接続され、また電気信号線712は、導電体層204.2,207.2,204.3,207.3(
図4で示される)に対して並列に電気的に接続される。
【0033】
図6及び
図7で示す実施形態では、複数の積層構造601、701が、z軸に対して円形横断面「A」を備える円筒形状で示され、また各第1のエラストマー層602もしくは702(又は
図1~
図4において示された実施形態では102、202)は高さ「d」を有する。しかし、本発明の範囲は、そのように限定されるものではなく、本明細書で開示される目的に適した任意の3次元形状及びサイズを包含する。
【0034】
図1で示された積層構造100、又は
図3で示された積層構造200の実施形態、及び
図6もしくは
図7で示されるように配置され、かつ構造化された実施形態のいずれかを用いると、静電容量センサは、C=ε×A/dにより与えられる静電容量Cの変化によって提供され、ここで、Cは、各複数の積層構造601、701のファラッドで示す静電容量であり、εは、各第1のエラストマー層602、702の誘電率であり、Aは、各第1のエラストマー層602、702の横断面積であり(論議上、この横断面積Aは、各隣接する導電体層と重なる面積を画定すると仮定する)、かつdは、各第1のエラストマー層602、702の高さである(論議上、この高さhは、各隣接する導電体層間の距離を画定するものと仮定する)。複数の積層構造601、701が、x-y平面で歪みを受けるか、それともz軸に沿って変形を受けるかどうかにかかわらず、各電気信号線610、612、又は710、712によって感知され得る、静電容量における測定可能な変化が生ずることになる。本明細書の上記で論じたように、得られた装置(すなわち、複数の積層構造601、701)は、静電容量センサによる線形な力センシングと、圧電センサによる線形な衝撃センシングの両方を組み合わせて有する混成センサを提供し、ここで、静電容量センサと、圧電センサの両方に対して感知される信号は、各信号線601、612、又は710、712により感知される。
【0035】
図2、
図4、
図6、及び
図7で示されたような形状をし、かつ構成された、積層構造100の同じ個々のものを利用する複数の積層構造101を有する、又は積層構造200の同じ個々のものを利用する複数の積層構造201を有する本発明の実施形態が、本明細書で述べられ、かつ示されてきたが、本発明の範囲はそのように限定されるものではなく、また
図8で示されるものを参照して次に述べられる、積層構造100(すなわち、単一の金属積層PETなど)と、積層構造200(すなわち、二重の金属積層PETなど)を共に利用する複数の積層構造の構成も包含することが理解されよう。
【0036】
図8は、
図2、
図4、
図6、及び
図7で示されたものと同様の複数の積層構造801を示しているが、底部に第1の積層構造100.1(
図1における積層構造100)、第1の積層構造100.1の上に直接、かつ密接に配置された第2の積層構造200.1(
図3の積層構造200)、第2の積層構造200.1の上に直接、かつ密接に配置された第3の積層構造100.2(
図1の積層構造100)、及び第3の積層構造100.2の上に直接、かつ密接に配置された第4の積層構造200.2(
図3の積層構造200)を有する。積層構造100及び200を任意の構成順序で積層する任意の、かつすべての組合せが本明細書で企図され、かつ本明細書で開示される本発明の範囲に含まれるものと見なされる。
【0037】
前述の内容を考慮すると、前述の構造のいずれかによるセンサ装置は、様々な方法で製作され得ることが理解されよう。このような方法のいくつかが次に述べられる。
実施形態では、本明細書で述べられるようなセンサ装置を製作する方法は、エラストマー・フォームA層を、エラストマーB層を備える金属被覆基板の上に適用して、エラストマー・フォームA層とエラストマーB層の間に配置された金属被覆基板の金属被覆部分と積層構造を形成する工程であって、エラストマー・フォームA層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有し、エラストマーB層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する、工程と、金属被覆基板の第2のものを積層構造の上に適用し、かつエラストマー・フォームA層の第2のものを、第2の金属被覆基板の金属被覆部分の上に適用して複数の積層構造を形成する工程と、複数の積層構造を硬化させる工程とを含む。
【0038】
方法の実施形態では、適用されるエラストマー・フォームA層は、未硬化のポリウレタン・フォームであり、かつ実施形態では、無充填で未硬化のポリウレタン・フォームであり、そのそれぞれは、適用された後、続いて硬化される。
【0039】
方法の実施形態では、エラストマーB層は、PETフィルムである。
方法の実施形態では、金属被覆基板は、例えば、片面金属被覆PETの薄いフィルムなど、片面金属被覆基板である。
【0040】
方法の実施形態では、金属被覆基板は、エラストマーB層の一方の側に第1の金属被覆部分、及びエラストマーB層の反対側に第2の金属被覆部分を有する両面金属被覆基板であり、第1の金属被覆部分は、エラストマー・フォームA層とエラストマーB層の間に配置された金属被覆部分であり、金属被覆基板の第2のものを適用する工程は、積層構造の上に両面金属被覆基板の第2のものを適用する工程を含み、かつエラストマー・フォームA層の第2のものを適用する工程は、第2の両面金属被覆基板の第1の金属被覆部分の上にエラストマー・フォームA層の第2のものを適用する工程を含む。
【0041】
方法の実施形態では、金属被覆基板は、例えば、両面金属被覆PETの薄いフィルムなど、両面金属被覆基板である。
方法の実施形態では、エラストマー・フォームA層を塗布する工程は、これだけに限らないが、ロール式ナイフ・コーティング法、プレート・オーバー・ロール(plate-over-roll)・コーティング法、グラビア・コーティング法、リバース・ロール・コーティング法、計量ロッド・コーティング法、スロット・ダイ・コーティング法、浸漬コーティング法、カーテン・コーティング法、エアナイフ・コーティング法、又は本明細書で開示される目的に適した任意の他のロール・コーティング法など、ロール・コーティング法を備える。
【0042】
別の実施形態では、本明細書で述べられるようなセンサ装置を製作する第2の方法は、エラストマー・フォームA層を、エラストマーB層を備える金属被覆基板の上に適用して、エラストマー・フォームA層とエラストマーB層の間に配置された金属被覆基板の金属被覆部分と積層構造を形成する工程であって、エラストマー・フォームA層は、摩擦電気系列表で第1の格付けを有し、エラストマーB層は、摩擦電気系列表で第2の格付けを有する、工程と、積層構造を硬化させて、硬化した積層構造を形成し、かつ硬化した積層構造の第1のものを提供する工程と、硬化した積層構造の第2のものを、第1の硬化した積層構造の上に取り付ける工程であって、第1の硬化した積層構造及び第2の硬化した積層構造は、同一に順序付けられた層を有する、工程とを含む。
【0043】
第2の方法の実施形態では、適用されるエラストマー・フォームA層は、未硬化のポリウレタン・フォームであり、また実施形態では、無充填で未硬化のポリウレタン・フォームである。
【0044】
第2の方法の実施形態では、エラストマーB層は、PETフィルムである。
第2の方法の実施形態では、金属被覆基板は、例えば、片面金属被覆PETの薄いフィルムなど、片面金属被覆基板である。
【0045】
第2の方法の実施形態では、金属被覆基板は、エラストマーB層の一方の側に第1の金属被覆部分、及びエラストマーB層の反対側にある第2の金属被覆部分を有する両面金属被覆基板であり、第1の金属被覆部分は、エラストマー・フォームA層とエラストマーB層の間に配置された金属被覆部分である。
【0046】
第2の方法の実施形態では、取り付ける工程は、化学的な接合、機械的な接合、もしくは振動性の接合のうちの1つ、又は前述の接合タイプの組合せを含む。
本明細書で開示される実施形態のいずれかの場合、本明細書で開示される目的に適した例示的な無充填ポリウレタン・フォームは、米国コネチカット州のロジャーズ・コーポレーション(Rogers Corporation)から販売されているPORON XRD*である(ここで、*は、ロジャーズ・コーポレーションにより所有される商標を示す)。
【0047】
本明細書で開示される実施形態のいずれかの場合、本明細書で開示される目的に適したPETの薄いフィルム、片面金属被覆、又は両面金属被覆は、市販されているPETの薄いフィルムを含む。
【0048】
本発明は、第1のエラストマー層102、202、及び第2のエラストマー層104、208を参照して本明細書で述べられており、このような層に対する例示的な材料が、異なるエラストマーである、又は一方なフォームであり、他方はフォームではないものであるが、2つのエラストマー層は、層の一方が衝撃/圧力センシングに対する手段を提供するように働き、かつ層の他方が、力センシングに対する手段を提供するように働く限り、同じ材料から製作され得ることも企図される。
【0049】
本発明が、例示的な実施形態を参照して述べられてきたが、当業者であれば、その要素に対して、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、また均等な形態で置き換えられ得ることが理解されよう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正が行われ得る。したがって、本発明は、本発明を実行するように企図された最良の、又は唯一のモードであるとして、開示された特定の実施形態に限定されるのではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むように意図される。また、図面及び記述において、例示的な実施形態が開示されており、また特定の用語及び/又は寸法が使用されているが、それらは、別段の指定がない限り、限定するためのものではなく、一般的な、例示的な、かつ/又は記述的な意味においてのみ使用されており、したがって、特許請求の範囲はそのように限定されない。さらに、第1、第2などの用語の使用は、何らかの順序又は重要性を示すものではなく、第1、第2などの用語は、1つの要素を他のものと区別するために使用される。さらに1つの(a)、1つの(an)などの用語の使用は、量の限定を示すのではなく、むしろ参照された項目の少なくとも1つの存在を示す。加えて、本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は、1つ又は複数のさらなる特徴を含む可能性を排除するものではない。