(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】債務管理装置、債務管理方法、債務管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20220414BHJP
G06Q 50/18 20120101ALI20220414BHJP
【FI】
G06Q50/16
G06Q50/18
(21)【出願番号】P 2020108585
(22)【出願日】2020-06-24
(62)【分割の表示】P 2016144927の分割
【原出願日】2016-07-22
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】506142886
【氏名又は名称】株式会社イントラスト
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】藤森 武
(72)【発明者】
【氏名】石原 健太
(72)【発明者】
【氏名】山田 立郎
(72)【発明者】
【氏名】長原 茂彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 真敦
【審査官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071899(JP,A)
【文献】特開2003-122921(JP,A)
【文献】特開2008-269337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
債務者の情報と、当該債務者の契約に関して生じた債務の履行状況に関する情報とが対応付けられた債務者情報を記憶する債務者情報記憶部と、
前記債務者情報において、前記債務の履行状況が法的措置を執るか否かを決める基準として債権者又は保証人が予め設定した所定の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記所定の条件を満たす債務者に対する法的措置の実行を弁護士に依頼するために必要な必要情報を出力する出力部と、
前記必要情報の名称及び前記必要情報の保持者を特定するための情報を含むリスト情報を記憶するリスト情報記憶部と、
前記リスト情報に基づき、前記保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行う通信部と、を備える
ことを特徴とする債務管理装置。
【請求項2】
前記債務者情報は、前記債務者に関する情報と、前記債務の履行遅滞の回数を対応付けた情報であり、
前記所定の条件は、前記債務を履行遅滞の回数が、所定の回数以上である場合である
ことを特徴とする請求項1に記載の債務管理装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行って所定時間が経過してなお、前記必要情報を受信しなかった場合に、再度、前記必要情報の送付を依頼する通信を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の債務管理装置。
【請求項4】
債務管理装置のコンピュータが実行する債務管理方法であって、
債務者の情報と、当該債務者の契約に関して生じた債務の履行状況に関する情報とが対応付けられた債務者情報を記憶する債務者情報記憶ステップと、
前記債務者情報において、前記債務の履行状況が法的措置を執るか否かを決める基準として債権者又は保証人が予め設定した所定の条件を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記所定の条件を満たす債務者に対する法的措置の実行を弁護士に依頼するために必要な必要情報を出力する出力ステップと、
前記必要情報の名称及び前記必要情報の保持者を特定するための情報を含むリスト情報を記憶するリスト情報記憶ステップと、
前記リスト情報に基づき、前記保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行う通信ステップと、を含む
ことを特徴とする債務管理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
債務者の情報と、当該債務者の契約に関して生じた債務の履行状況に関する情報とが対応付けられた債務者情報を記憶する債務者情報記憶機能と、
前記債務者情報において、前記債務の履行状況が法的措置を執るか否かを決める基準として債権者又は保証人が予め設定した所定の条件を満たすか否かを判定する判定機能と、
前記所定の条件を満たす債務者に対する法的措置の実行を弁護士に依頼するために必要な必要情報を出力する出力機能と、
前記必要情報の名称及び前記必要情報の保持者を特定するための情報を含むリスト情報を記憶するリスト情報記憶機能と、
前記リスト情報に基づき、前記保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行う通信機能と、を実現させる
ことを特徴とする債務管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸借契約を保証する保証業務を実行する債務管理装置、債務管理方法、債務管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、債務に係る保証業務の一種として、賃貸借契約を締結した賃借人の賃料支払債務を保証するものがある。ここでいう保証において、保証人は、賃借人が賃料の支払いを滞らせた場合に、賃貸人に対して賃借人に代わって賃料を支払う義務を負う。なお、賃借人は、賃料を支払って物件を借りる側であり、賃貸人は賃料を受け取って物件を貸す側である。
【0003】
特許文献1では、賃貸物件の家賃関連費用に関し、入居者が連帯保証人を探す手間を軽減するとともに、保証金・敷金・礼金などの初期負担を軽減し、入居審査時間を短縮して、入居者・不動産管理会社・賃貸業者に対し、金銭的時間的負担や賃貸に関する回収リスクを低減するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、保証人は、賃借人が賃料を連続して所定期間以上支払わず、対価を支払うという契約を履行しなかった場合には、賃借人に求償するために、法的措置を取る。即ち、保証業務においては、保証人は、賃貸人に代わってその法的措置をとることがある。ここでいう法的措置は訴訟代理権を有する弁護士に委任し、弁護士が代理して行う。保証人は、法的措置をとるための各種書類を収集又は作成する必要があるものの、その作業は、保証人にとって非常に手間のかかるものであることが問題であった。また、保証人に限らず、債権者が、法的措置を取ろうとする場合にも同様の問題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、債権者又は保証人が債務を履行しない債務者に対する法的措置を弁護士に委任する際の手間を軽減することができる債務管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る債務管理装置は、務を履行しない債務者に対する法的措置を弁護士に委任するために必要な必要情報を収集する債務管理装置であって、前記必要情報の名称及び前記必要情報の保持者の連絡先の情報を含むリスト情報を記憶するリスト情報記憶部と、前記リスト情報に基づき、前記保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行う通信部とを備える。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る債務管理方法は、債務を履行しない債務者に対する法的措置を弁護士に委任するために必要な必要情報を収集する債務管理装置による債務管理方法であって、前記必要情報の名称及び前記必要情報の保持者の連絡先の情報を含むリスト情報を記憶するリスト情報記憶ステップと、前記リスト情報に基づき、前記保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行う通信ステップとを含む。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る債務管理プログラムは、債務を履行しない債務者に対する法的措置を弁護士に委任するために必要な必要情報を収集する債務管理装置のコンピュータに、前記必要情報の名称及び前記必要情報の保持者の連絡先の情報を含むリスト情報を記憶するリスト情報記憶機能と、前記リスト情報に基づき、前記保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行う通信機能とを実現させる。
【0010】
また、上記債務管理装置において、前記リスト情報は、前記必要情報の送付があったかどうかを示すフラグ情報を含み、前記債務管理装置は、さらに、前記必要情報の送付があったかどうかを判定する判定部と、前記判定部の判定に基づき、前記フラグ情報を切り替える切替部とを備えることとしてもよい。
【0011】
また、上記債務管理装置において、さらに、前記フラグ情報に基づいて、前記必要情報の送付がされていない前記必要情報の保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行う再通信部を備えることとしてもよい。
【0012】
また、上記債務管理装置において、さらに、前記リスト情報を表示する表示部を備えることとしてもよい。
【0013】
また、上記債務管理装置において、さらに、記必要情報を記憶する必要情報記憶部と、前記必要情報記憶部に記憶された必要情報を送付する必要情報送付部を備えることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様に係る債務管理装置、債務管理方法、又は債務管理プログラムは、債権者が法的措置をとるための各種書類を収集又は作成する負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る債務管理装置に係る保証業務の概念を説明するための説明図である。
【
図2】実施の形態に係る債務管理装置の処理を説明するための説明図である。
【
図3】実施の形態に係る債務管理装置の処理を説明するための説明図である。
【
図4】実施の形態に係る債務管理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】契約データベースのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【
図6】賃借人データベースのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【
図7】賃貸人データベースのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【
図8】メッセージデータベースのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【
図9】不払情報データベースのデータ構成例を示すデータ概念図である。
【
図10】リスト情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
【
図11】委任状のテンプレートの例を示す図である。
【
図12】依頼状のテンプレートの例を示す図である。
【
図13】債務管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】債務管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】債務管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】債務管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図17】債務管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】(a)、(b)は、督促メールの表示例を示す図である。
【
図19】必要書類の送付願いのメールの表示例を示す図である。
【
図20】債務管理装置の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る債務管理装置は、債務を履行しない債務者に対する法的措置を弁護士に委任するために必要な必要情報を収集する債務管理装置であって、必要情報の名称及び必要情報の保持者の連絡先の情報を含むリスト情報を記憶するリスト情報記憶部と、リスト情報に基づき、保持者に対し、必要情報の送付を依頼するための通信を行う通信部とを備える。
【0017】
ここで、「債務者」とは、債権者との間で債務契約を締結した人(法人を含む)または団体のことをいう。債務者は、例えば、物件を賃貸借する賃借人であるが、これに限定されるものではない。下記においては、債務者は、賃借人210が該当する。また、債権者は、下記における賃貸人310が該当する。
【0018】
また、「法的措置」とは、訴訟等の法律に基づく措置を取ることをいい、例えば、「訴訟の提起」のことをいい、例えば、「保証債務履行請求事件の訴訟の提起」を含む。なお、「法的措置」の例はこれに限られない。
【0019】
また、「必要情報」とは、法的措置を依頼する案件ごとに必要となる情報であって、案件毎に共通して必要となる情報、案件毎に個別に必要となる情報がある。例えば、案件として賃貸借契約の不履行に基づく法的措置を行う場合には、賃貸借契約書、解除通知、家賃支払履歴の情報が各案件に共通して必要となる必要情報である。一方、駐車場の利用契約書等は、駐車場の利用契約を締結している賃借人の有無に応じて必要となる必要情報であり、案件ごとに個別に必要な必要情報となる。また、必要情報には、契約書のような書類の他、家賃支払履歴の情報のように単なる情報も含まれる。さらに、必要情報には、債務管理装置が作成した書類(例えば、委任状や送付状)も含まれる。なお、ここで示した必要情報の具体例は、一例であり、これに限られない。
【0020】
また、「収集」とは、必要情報を、寄せ集めることをいい、通信ネットワークを介して、電子データを受信することや、必要情報が実書類である場合にその実書類を受領する、または、実書類を受領したことを示す情報の入力を受け付けること、また、債務管理装置内に記憶している必要情報を特定することを含む。
【0021】
また、ここで、「債務管理装置」とは、必要情報の名称及び必要情報の保持者の連絡先の情報を含むリスト情報を記憶しており、そのリスト情報に基づき、保持者に対し、前記必要情報の送付を依頼するための通信を行うものである。債務管理装置は、債務者の負う債務を管理する業務を支援する装置でもある。ここで、債務契約の管理に係る業務には、例えば、債務が実際に履行されているかの管理や、法的措置を取る場合に必要情報を収集すること、収集した必要情報を弁護士に送付することなどが含まれてよい。債務管理装置は、例えば、上述の各種業務を管理するコンピュータシステムであるが、これに限定されるものではない。下記においては、債務管理装置100が該当する。
【0022】
また、「必要情報の名称」とは、各種存在する必要情報各々を個別に特定できる情報のことであり、必要情報の名称や識別子のことをいう。「必要情報の名称」とは、例えば、「賃貸借契約書」や「解除通知書」、「委任状」などのことをいうが、この例に限定されるものではない。
【0023】
また、「必要情報の保持者」とは、必要情報を保持している人または装置のことをいう。例えば、必要情報が賃貸借契約書である場合に、必要情報の保持者は、賃貸人が該当する。また、必要情報が債務支払の履歴情報である場合であって、債務管理装置がその履歴情報を保持しているときには、必要情報の保持者は、債務管理装置となる。なお、これは一例であって、必要情報の保持者はこれに限られない。
【0024】
また、「連絡先」とは、必要情報の保持者の連絡先のことであり、例えば、必要情報の保持者が保持する電話機の電話番号や、必要情報の保持者が保持する通信端末のメールアドレス、必要情報の保持者の在所を示す住所、必要情報の保持者が保持するファクシミリ通信による通信先の番号や宛先のことをいうが、これらに限定されるものではない。下記では、メールアドレスを一例として示している。
【0025】
また、「リスト情報」とは、複数ある必要情報各々について、その必要情報の名称と、必要情報の保持者とを特定可能な情報のことである。下記においては、リスト情報160が該当する。
【0026】
また、「リスト情報記憶部」とは、リスト情報を記憶している記憶媒体のことであり、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどにより実現されるが、リスト情報記憶部の例はこれに限られない。下記においては、記憶部102が該当する。
【0027】
また、「送付を依頼する」とは、必要情報を債務管理装置またはそのオペレータにあてて送信することをいい、例えば、手紙による送付、電子メールによる送付などにより実現できるが、その他の手法を用いてもよい。
【0028】
また、「通信部」は、リスト情報に基づき、保持者に対し、必要情報の送付を依頼するための通信を行うものであり、例えば、電話機や電子メールの送受信を行う通信インターフェースにより実現できるが、これに限るものではない。下記においては、通信部101が該当する。また、ここでいう「通信」は、必要情報の送付の依頼を伝達することであり、例えば、手紙の送付、電話、電子メールの送付等により実現できるが、これらの例に限られない。
【0029】
上記リスト情報は、必要情報の送付があったかどうかを示すフラグ情報を含んでもよい。
ここで、「フラグ情報」は、必要情報の送付があったか否かを示す情報である。「フラグ情報」は、債務管理装置が必要情報を収集できているか否かを判断するための情報でもある。フラグ情報は、例えば、必要情報の送付があったことを「1」とか「○」で表現し、必要情報の送付がないことを「0」とか「×」で表現することが可能な2値の情報である。なお、ここで示したフラグ情報は一例であり、これに限られない。
【0030】
また、債務管理装置は、さらに、判定部及び切替部を備えることとしてもよい。
【0031】
ここで「判定部」は必要情報の送付があったかどうかを判定するものであり、例えば、プロセッサや専用回路により実現されるが、判定部の例はこれに限られない。下記においては、制御部104が該当する。また、「判定」とは、必要情報の送付があったかどうかを判断することをいう。当該判定は、必要情報を電子データで受け付ける場合には、その必要情報を受信したか否かで、必要情報の送付があったかどうかを判断することができる。また、当該判定は、必要情報を実書類で受領する場合には、その必要情報を受領したことを示す情報の入力や、その必要情報を示す書類の電子データの入力を受け付けたことにより判断することができるが、これらの判断例は一例である。
【0032】
また、「切替部」は判定部の判定に基づき、フラグ情報を切り替えるものであり、例えば、プロセッサや専用回路により実現されるが、切替部の例はこれに限られない。下記においては、制御部104が該当する。また、「フラグ情報を切り替える」とは、フラグ情報が、必要情報の送付がないことを示している場合に、必要情報の送付があったことを示す情報に変更することをいう。
【0033】
また、債務管理装置は、さらに、再通信部を備えることとしてもよい。
【0034】
「再通信部」は、フラグ情報に基づいて、必要情報の送付がされていない必要情報の保持者に対し、必要情報の送付を依頼するための通信を行うものであり、例えば、電話機や電子メールの送受信を行う通信インターフェースにより実現できるが、これに限るものではない。下記においては、通信部101が該当する。再通信部は、言い換えれば、必要情報の保持者に対して、必要情報の送付をリマインドさせるものである。
【0035】
また、債務管理装置は、さらに、表示部を備えることとしてもよい。
【0036】
ここで、「表示部」は、リスト情報を表示するものであって、例えば、LCDや有機ELディスプレイなどにより実現されるモニタであるが、これに限るものではない。下記では、債務管理装置100にモニタを接続して、表示する例を示している。また、ここで、「表示」するとは、モニタに画像を描画出力することをいい、具体的には、リスト情報を描画することをいう。
【0037】
債務管理装置は、さらに、必要情報記憶部と、を備えることとしてもよい。
【0038】
「必要情報記憶部」は、必要情報を記憶している記憶媒体のことであり、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどにより実現されるが、必要情報記憶部の例はこれに限られない。下記においては、記憶部102が該当する。また、「記憶」とは、情報を記憶媒体に蓄積することをいう。
【0039】
「必要情報送付部」は、必要情報記憶部に記憶された必要情報を送付するものであり、例えば、電話機や電子メールの送受信を行う通信インターフェースにより実現できるが、これに限るものではない。下記においては、通信部101が該当する。また、「送付」とは、送付先に、電子データや実書類を送ることをいい、例えば、必要情報を含む手紙の送付や、電子メールによる必要情報の電子データの送信などが該当するが、これに限るものではない。
【0040】
以下、本発明の一態様に係る債務管理装置として、賃貸借契約を保証する保証業務において用いる場合の債務管理装置を一具体例として図面を参照しながら説明する。
【0041】
<実施の形態>
<構成>
図1は、債務管理装置100に係る保証業務のシステム形態を概念的に示す概念図である。本実施の形態における債務管理装置100は、賃貸人310と、賃借人210との間で取り交わされた賃貸借契約を保証する。具体的には、賃借人210は、賃貸人310との間で、賃貸人310が保有する(若しくは賃貸する権利を有する)物件500を賃貸する契約を結ぶ。当該賃貸借契約として、例えば、定期的(例えば1ヶ月単位)に、一定の賃料(例えば、10万円)を支払うことにより、物件500を使用する権利を賃借人210が得るという契約であるとする。ここで、債務管理装置100は、賃借人210が契約において定めている通りに定期的に賃料を支払うことを、賃貸人310に保証するものである。したがって、債務管理装置100に係る保証管理業務者は、賃借人210が支払いを滞らせた場合に賃借人210に代わって賃料を賃貸人310に支払うこと、若しくは、賃借人210に支払いを行わせることを、賃貸人310に保証するものである。また、債務管理装置100は、賃借人210に代わって賃料を賃貸人310に支払った場合には、立て替えた賃料を賃借人210に請求する。
【0042】
そのために、債務管理装置100は、保証業務の一環として、(1)賃借人210が契約で定められている期間内において賃料の支払いを怠った場合に、賃貸人310に対して電話をすることを督促するメールを賃貸人310の端末200に送信したり、(2)賃借人210が支払いを滞らせて所定の条件を満たした場合に、債務管理装置100が賃借人210に対して法的措置を弁護士410に委任するための処理を実行する。
【0043】
ここで、本実施の形態に係る債務管理装置100が実行する処理のうち、上記(1)について詳細に説明する。
図2は、債務管理装置100が実行する保証業務のうち、賃借人に電話を催促(依頼)するための督促メールを送信するに至るまでの経緯を示す概念図である。
【0044】
図2においては、T0~T1、T1~T2、T2~T3がそれぞれ所定期間A、B、Cとして設定されている。当該所定期間A、B、Cは、例えば、賃借人210が賃貸人310との間で賃貸借契約を交わした日を起点日として、そこから1ヶ月単位の期間とする。なお、当該所定期間は、1月のうちの1日を起点日としてもよいし、予め定められた所定の日を起点日としてもよい。また、所定期間の長さは、1ヶ月に限らず、一週間、2ヶ月、半年、1年といった単位であってもよい。
【0045】
そして、賃貸借契約の内容として、所定期間内においてその所定期間の間物件500を賃貸するための賃料を支払うことが定められているとする。なお、賃貸借契約において、賃借人210と賃貸人310との間での合意が成されれば、所定期間の賃料を翌所定期間において支払うことを定めてもよいし、翌々所定期間の終日までに支払うこととしてもよい。
【0046】
図2において、賃借人210は、所定期間A分の賃料をt1において賃貸人310に支払っている。また、賃借人210は、所定期間B分の賃料をt2において賃貸人310に支払っている。しかし、所定期間C分の賃料が所定期間C中において賃借人210から賃貸人310に支払われなかったとする。
【0047】
すると、賃貸人310から債務管理装置100に対して賃借人210による賃料の支払いがなかったことを示す不払情報が、債務管理装置100に対して送信される。なお、ここで不払情報は、賃貸人310が賃料の管理を委託した委託者が、送信するように構成されていてもよい。
【0048】
不払情報を受け付けると、債務管理装置100は、不払情報で示される賃借人210に対して、電話の発呼を依頼する督促メールを送信する。これにより、賃借人210からの発呼があった場合に、事情の問い合わせを行うことができる。本実施の形態に係る債務管理装置100は、督促メールの送信を自動で行うものであり、保証業務に係る処理負担を軽減するとともに、督促メールに応じて成される賃借人からの発呼がなるべく集中しないようにする。
【0049】
次に、
図3を用いて、上記(2)の処理について説明する。
図3は、
図2に示した事例の時系列に連なる事例を示している。
図3に示すように、所定期間Cにおいて賃借人210が対価(家賃)の支払いを怠った後、所定期間Fまで対価の支払いを怠ったとする。その間、賃貸人310は端末300から債務管理装置100に不払情報を送信し、債務管理装置100からは賃借人210の端末200に対して電話を依頼する督促メールを送信する。
【0050】
そして、賃借人210が連続して一定数の所定期間(ここでは、4)に対する対価の支払いを怠った場合、即ち、4ヶ月分の家賃を滞納した場合に、債務管理装置100は、弁護士に法的措置を委任するために必要となる書類を準備して弁護士に法的措置を依頼する。その一環として、例えば、所定期間Gにおけるt5に示すように、債務管理装置100は、賃貸人310の端末300に対して法的措置を取るために必要となる書類の一つとして賃貸借契約書の送付をお願いするメールを送信する。また、あるいは、債務管理装置100は、保証業者が賃借人の賃料を立て替えた場合に保証業者が賃借人に行う求償請求に係る訴訟を弁護士410に依頼するための委任状を作成する。
【0051】
賃貸人310は、受領した賃貸借契約書の送付願いを確認し、保持している賃貸借契約書を債務管理装置100に係る保証業者に送付する。保証業者は、賃貸人310から賃貸借契約書等の必要書類を収集する傍ら、債務管理装置100を用いて、賃借人210に対する法的措置を依頼する依頼状を作成する。そして、保証業者は、作成した依頼状を必要書類と共に弁護士410に送付する。
【0052】
弁護士410は、保証業務者から依頼を受けて、賃借人210の債務に関する権限を移管されて賃借人210に対する法的措置に係る処理を実行する。本実施の形態に係る債務管理装置100は主として弁護士に法的措置を委任するために必要となる各種書類の収集により保証業者にかかる処理負担を軽減することを目的とする。
以下、債務管理装置100の詳細について説明する。
【0053】
図4は、債務管理装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、債務管理装置100は、通信部101と、記憶部102と、入力受付部103と、制御部104とを含んで構成される。債務管理装置100は、債務を履行しない債務者に対する法的措置を弁護士に委任するための情報を提供する装置である。
【0054】
通信部101は、外部の装置(賃借人210の端末200、賃貸人310の端末300、弁護士410の端末400等)と通信を実行する機能を有する。通信部101は、制御部104からの指示に従って定められた時間帯において電話依頼をするためのメールを送信する送信部及び賃借人が対価(賃料)の支払いを行っていないことを示す不払情報を受信する受信部として機能する。通信部101は、外部の装置と通信を実行できれば、その通信形態は、有線、無線を問うものではない。また、通信に用いる通信プロトコルとしても、外部の装置との通信ができるものあれば、規格を問うものではない。
【0055】
通信部101は、制御部104からの指示に従って、賃借人210の端末200に、電話を督促する内容のメールを送信する。また、通信部101は、賃貸人310の端末300あるいは賃貸人310からの依頼を受けて賃料を管理する業者の端末(図示せず)から、賃借人210が賃料の支払いを怠ったことを示す不払情報を受信して、当該不払情報を制御部104に伝達する。ここで、不払情報は、少なくとも賃借人210を特定する賃借人IDと、不払を行った期間を特定する期間情報とを含むものとし、不払を行った一期間ごとに送信されてくるものとする。また、通信部101は、賃貸人310の端末300あるいは賃貸人310からの依頼を受けて賃料を管理する業者の端末から、賃借人210が不払を行っていた期間に対する賃料の支払いを行ったことを示す支払情報を受信して、当該支払情報を制御部104に伝達する。ここで、支払情報は、少なくとも、賃借人210を特定する賃借人IDを含むものとし、支払いを行った一期間ごとに送信されてくるものとする。例えば、賃借人が4ヶ月分の家賃を滞納して、3ヶ月分を収めた場合には、3通の支払情報が送信されてくる。
【0056】
記憶部102は、債務管理装置100が動作上必要とする各種プログラム及びデータを記憶する機能を有する記憶媒体である。記憶部102は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶デバイスにより実現できる。記憶部102は、契約データベース110と、賃借人データベース120と、賃貸人データベース130と、メッセージデータベース140と、不払情報データベース150と、リスト情報160とを記憶する。契約データベース110は、賃借人を示す情報と賃貸人を示す情報とを対応付けて賃貸借契約が交わされていることを示す情報である。賃借人データベース120は、賃借人の属性に関する情報である。ここでいう属性は賃借人の特徴を示すものであり、例えば、名前、性別、年齢、性格等様々なものが含まれる。賃貸人データベース130は、賃貸人の属性に関する情報である。ここでいう賃貸人の属性は賃貸人の特徴を示すものであり、例えば、名前、性別、住所等様々なものが含まれる。メッセージデータベース140は、債務管理装置100から賃借人210に対して電話依頼の督促を行うメールの本文の文面を示すデータベースである。不払情報データベース150は、賃借人のうち、不払を行っている賃借人を管理するための情報である。リスト情報160は、債務に関する法的措置を弁護士に依頼する際に必要とする各種書類を示す情報であり、各情報を収集できたか否かを判断するために用いるチェックリストである。契約データベース110と、賃借人データベース120と、賃貸人データベース130と、メッセージデータベース140と、不払情報データベース150と、リスト情報160との詳細については、後述する。
【0057】
また、記憶部102は、賃貸人310に送信する委任状のテンプレート情報と、弁護士410に送信する依頼状のテンプレート情報とを記憶している。委任状のテンプレート情報及び依頼状のテンプレート情報との詳細については後述する。
【0058】
入力受付部103は、債務管理装置100のオペレータからの入力を受け付ける機能を有する。入力受付部103は、例えば、キーボード等の文字入力デバイスや、マウス等のポインティングデバイス等により実現できる。入力受付部103は、オペレータから受け付けた入力内容を制御部104に伝達する機能を有する。
【0059】
制御部104は、債務管理装置100の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部104は、記憶部102に記憶されている制御プログラムを実行することにより、債務管理装置100の各部を制御する。制御部104は、必要情報の送付があったかどうかを判定する判定部や、判定部の判定に基づき、リスト情報160に含まれるフラグ情報を切り替える切替部として機能する。
【0060】
制御部104は、通信部101から不払情報が伝達されると、不払情報で示される賃借人IDを特定し、当該賃借人に対する未払い回数122eと総遅延回数122fとをそれぞれ1加算して、賃借人データベース120を更新する。また、制御部104は、不払情報で示される賃借人IDを、不払情報の受信日時とともに、不払情報データベース150に登録して更新する。
【0061】
制御部104は、通信部101から支払情報が伝達されると、支払情報で示される賃借人IDを特定し、当該賃借人ID及び対応期間に対応する情報を不払情報データベース150から検出する。そして、制御部104は、検出した賃借人IDと対応期間とに対応する支払日時156に支払情報の受信日時を不払情報データベース150に登録して更新する。
【0062】
制御部104は、督促メールの送信に係る所定期間の開始タイミングが到来すると、督促メールを送信するタイミング(時間帯)を決定する割り当て処理と、そのタイミング(時間帯)が到来したときに督促メールを送信する送信処理とを実行する。ここで督促メールの送信に係る所定期間とは、例えば、1日のうちの10時~15時の間であるものとし、督促メールを送信する時間帯として、10時から11時、11時から12時、12時から13時、13時から14時、14時から15時の5つの時間帯が設定されているものとする。なお、この時間帯の設定は一例であり、その数も一例に過ぎない。
【0063】
制御部104は、督促メールを送信する相手を、不払情報データベース150を参照して特定する。制御部104は、不払情報データベース150において支払日時に日時情報が登録されていないデータに対応する賃借人IDを、督促メールを送信する相手として特定する。そして、制御部104は、当該賃借人IDに対応するメールアドレスを、賃借人データベース120を参照して特定する。また、制御部104は、賃借人IDに対応する未払い回数122eと総遅延回数122fとを賃借人データベースを参照して特定する。そして、特定した未払い回数122eと総遅延回数122fとに基づいて、制御部104は、メッセージデータベース140を参照して、対応するメッセージ内容142を特定する。そして、制御部104は、特定したメッセージ内容を本文とし、宛先を特定したメールアドレスとする督促メールを各賃借人毎に生成する。
【0064】
制御部104は、不払情報データベース150から特定した督促メールを送るべき賃借人の総数を計数する。そして、制御部104は、計数した総数を、督促メールを送信する時間帯の総数(ここでは、5)で割る。なお、制御部104は、計数した総数が時間帯の数で割り切れない場合には、余りを各時間帯のいずれかに分散するようにして各時間帯において送信すべきメール数を決定する。例えば、計数した総数が「107」であった場合には、債務管理装置100は、各時間帯(10時から11時、11時から12時、12時から13時、13時から14時、14時から15時の各時間帯)には最低21通の督促メールを送信し、余りとなる2通は、各時間帯の早いものから1つずつ追加して送信する。したがって、この例であれば、債務管理装置100は、10時から11時に22通、11時から12時に22通、12時から13時に21通、13時から14時に21通、14から15時に21通の督促メールを送信する。なお、10時から11時に送信する22通については、10時から11時の間の時間帯においてどのように送信することとしてもよく、例えば、10時にまとめて22通を送信することとしてもよい。あるいは、10時に22通のうちの半分を送信し、10時半に残りの半分を送信することとしてもよい。また、あるいは、60分を送信すべきメール数で割った数を、メールを送信する送信間隔として逐次送信することとしてもよく、この時に、督促メールのメール数が多い場合に、1度に何通かまとめて送信することとしてもよい。例えば、60分間に、2400通を送信することとした場合、40通を毎分送信する構成としてもよい。そして、制御部104は、各時間帯において送信すべきメール数になるように、生成した各督促メールを各時間帯に割り当てる。本実施の形態においては、どの督促メールをどの時間帯に割り当てるかについては、ランダムに決定することとする。これにより、1つの時間帯で送るべき督促メールの数が抑制できるので、送った督促メールに応じて賃借人の端末から成される発呼の個数も抑制できるので、債務管理装置100に係る保証業者が電話に応対できないという可能性を低減することができる。
【0065】
また、制御部104は、賃借人データベース120の未払い回数122eを参照して、その回数が所定回数以上(ここでは、4回以上)になっているデータがあるか否かを検出する。制御部104は、未払い回数122eの回数が4回以上になっているデータを検出した場合に、対応する賃借人IDを特定する。そして、制御部104は、特定した賃借人IDに対応する賃借人に対して法的措置を弁護士に委任するための必要情報を収集する。制御部104は、法的措置を弁護士に委任するための必要情報を示すリスト情報160を記憶部102から読み出す。ここで、法的措置を弁護士に委任するための必要情報は、個別の案件に応じて異なることがある。すなわち、法的措置を弁護士に委任するための必要情報は、各案件に共通する情報と、案件毎に個別に必要となる情報がある。例えば、賃貸借契約に基づく保証契約を締結している保証人が、法的措置を取る場合、賃貸借契約書、解除通知、家賃支払履歴情報は、各案件に共通して法的措置に必要な情報とされることがあるが、いずれの情報も賃貸人が保有しており、保証人が保有していないことがある。このような情報は、各案件に共通する情報として、保証人が収集する必要がある情報である。一方、駐車場の利用契約書等は、駐車場の利用契約を締結している賃借人もいればそうでない賃借人もいるから、各案件に共通する情報ではなく、案毎に個別に必要な情報である。制御部104は、リスト情報160に含まれる各情報を保持している人物または団体に対して、その情報の送付を依頼するメールを、通信部101を介して送信する。そして、入力受付部103を介して債務管理装置100のオペレータから各情報について収集したことを示す入力を受け付けた場合に、対応する必要書類のフラグを、収集完了を示す値に切り替える。制御部104は、リスト情報160の全てのフラグが収集完了を示した場合に、弁護士401の端末400に、必要情報の収集が完了したことを示す情報を出力する。所定期間(例えば、一週間)待機してもフラグが収集完了を示す値に切り替わらない場合に、制御部104は、対応する必要書類を保持する人物または団体に、書類の送付を依頼するメールを再度送信する。なお、制御部104は、リスト情報160を、各書類の収集状況を示す情報として適宜出力することとしてもよい。当該出力の方法は、図示していないが債務管理装置100に接続したモニタに表示することにより実現することとしてもよいし、あるいは、通信部を介して各情報を外部の装置に送信することにより実現することとしてもよい。
【0066】
必要情報を収集する一環として、制御部104は、賃貸人が弁護士に債務に関する権限を委任することを示す委任状を作成し、賃貸人に送付する。具体的には、特定した賃借人IDから、賃借人が賃借している物件を賃貸している賃貸人IDを契約データベース110を参照して特定する。制御部104は、契約データベースを参照して特定した賃貸人IDから、当該賃貸人IDで示される賃貸人のメールアドレスを賃貸人データベース130を参照して特定する。そして、制御部104は、特定したメールアドレスを宛先とするメールを生成する。
【0067】
制御部104は、このメールに添付する委任状を、記憶部102に記憶されている委任状のテンプレート情報を用いて作成する。制御部104は、委任状のテンプレート情報に、賃貸人情報、賃借人情報、賃貸物件情報のそれぞれを、適宜必要な個所に追加して、委任状を作成する。
【0068】
賃借人情報は、家賃を滞納している賃借人の名前である。制御部104は、賃借人情報を、賃借人データベース120の名前122aから取得する。
【0069】
賃貸人情報は、物件を賃貸している賃貸人の名前であり、賃借人に対する法的措置を債務管理装置100に係る保証業者に委任する主体である。制御部104は、賃貸人情報を、賃貸人データベース130の名前132aから取得する。
【0070】
賃貸物件情報は、賃借人と賃貸人との間で賃貸借している物件の名前と住所である。制御部104は、賃貸物件情報を契約データベース110の物件名113aと住所113cとから取得する。
【0071】
制御部104は、各種情報をテンプレートに追加して作成した委任状を、作成したメールに添付して、通信部101を介して、送信する。
【0072】
また、制御部104は、債務管理装置100のオペレータから入力受付部103を介して、依頼状の作成指示の入力を受けた場合に、賃貸借契約のデータの指定を受け付けて依頼状を作成する。制御部104は、賃貸借契約のデータの指定を受け付けて、契約データベース110の賃貸人IDと賃借人IDと物件情報とを抽出する。そして、抽出した情報に基づいて、賃借人データベース120と賃貸人データベース130とを参照しながら、依頼状を作成する。そして、制御部104は、通信部101を介して外部の装置(例えば、図示していないがプリンタ等)に作成した依頼状を出力する。
【0073】
以上が、債務管理装置100の構成である。
【0074】
<データ>
ここから、債務管理装置100に係る各種データについて説明する。
【0075】
図5は、契約データベース110のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図5に示すように、契約データベース110は、賃借人ID111と、賃貸人ID112と、物件情報113とが対応付けられた情報である。契約データベース110は、賃借人ID111で示される賃借人と、賃貸人ID112で示される賃貸人との間で、対応する物件情報113で示される物件についての賃貸借契約が結ばれていることを示す情報である。
【0076】
賃借人ID111は、債務管理装置100が、物件を賃借する人物(あるいは何らかの団体)を一意に特定するための識別情報である。
【0077】
賃貸人ID112は、物件を保有する人物(あるいは何らかの団体)であって、対応する賃借人ID111に物件を賃借する人物を一意に特定するための識別情報である。
【0078】
物件情報113は、対応する賃借人ID111で示される賃借人と、賃貸人ID112で示される賃貸人との間で賃貸される物件に関する情報である。物件情報113は、物件名113aと、家賃113bと、住所113cとを含む。
【0079】
物件名113aは、賃借人と賃貸人との間で賃貸する物件の名称である。
【0080】
家賃113bは、対応する物件名113aを賃借人が賃貸人から借りるために支払う対価(賃料)を示す情報である。
【0081】
住所113cは、物件名113aで示される物件の住所であって、所在地を示す情報である。
【0082】
図5の例で言えば、賃借人ID111が「AAA」である人物は、賃貸人ID112が「aaa」である人物から、「東京都渋谷区…」にある物件「Aハイツ」を家賃「4万5千円」で賃借していることが理解できる。契約データベース110は、債務管理装置100に係る保証業者が新たな賃貸借契約についての保証を受け付けるごとに新たなデータが追加され、賃貸借契約が当事者間で解約された場合に削除される場合がある。契約データベース110があることにより、債務管理装置100は、賃借人と賃貸人との間の契約を認識することができる。
【0083】
図6は、賃借人データベース120のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図6に示すように、賃借人データベース120は、賃借人ID121と、賃借人属性情報122とが対応付けられた情報である。賃借人データベース120は、賃借人に係る情報(属性)を定めた情報である。
【0084】
賃借人ID121は、債務管理装置100が、物件を賃借する人物(あるいは何らかの団体)を一意に特定するための識別情報である。賃借人ID121と、
図5に示す賃借人ID111とは、同一人物(あるいは団体)を示す場合には、同じ識別情報を用いる。
【0085】
賃借人属性情報122は、賃借人ID121で示される賃借人に関する属性を示す情報であり、名前122aと、性別122bと、年齢122cと、年収122dと、未払い回数122eと、総遅延回数122fと、メールアドレス122gと、電話番号122hとを含む。
名前122aは、賃借人の名前を示す情報である。
性別122bは、賃借人の性別を示す情報である。
年齢122cは、賃借人の年齢を示す情報である。
年収122dは、賃借人の年収を示す情報である。
【0086】
未払い回数122eは、賃借人が所定期間ごとに支払うべき対価を所定期間内に支払わなかった期間であって債務の履行を未だ果たしていない回数を示す情報である。未払い回数122eは、支払いを滞らせていた賃借人からの支払いがあった場合に、制御部104によって、支払った金額に応じた債務の回数ぶんだけ減算される。具体的には、制御部104は、支払いを行ったことを示す支払情報を受け付けるごとに、対応する未払い回数122eを「1」減算する。
【0087】
総遅延回数122fは、賃借人が所定期間ごとに支払うべき対価を所定期間内に支払わなかった総回数を示す情報である。総遅延回数122fは、対応する賃借人についての不払情報を受け付けるたびに、制御部104によって、「1」加算される。
【0088】
メールアドレス122gは、賃借人が保有する端末に設定された電子メールのアドレスを示す情報である。
【0089】
電話番号122hは、賃借人が保有する電話機に設定された電話番号を示す情報である。
【0090】
図6の例で言えば、賃借人ID121が「AAA」となっている賃借人は、名前122aが「Andrew」であり、性別122bは「男(M)」であり、年齢122cは「23」才である。また、「Andrew」の年収122dは「350万円」であり、現在、未払い回数122eが「4回」であることから4ヶ月分の家賃を滞納していることになる。また、総遅延回数122fは「32回」であり、「Andrew」の端末のメールアドレス122gは、「AAA@docono.com」であり、電話番号122hは、「090-0598-AAAA」であることが理解できる。賃借人データベース120は、新たな賃貸借契約が契約データベース110に登録された際に、対応する賃借人が賃借人データベース120に登録されていない場合に、追加される。賃借人に係る情報の追加は、債務管理装置100のオペレータが入力受付部103を介して行う。
【0091】
図7は、賃貸人データベース130のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図7に示すように、賃貸人ID131と、賃貸人属性情報132とが対応付けられた情報である。賃貸人データベース130は、賃貸人に係る情報(属性)を定めた情報である。
【0092】
賃貸人ID131は、債務管理装置100が、物件を賃貸する人物(あるいは何らかの団体)を一意に特定するための識別情報である。賃貸人ID131と、
図5に示す賃貸人ID112とは、同一人物(あるいは団体)を示す場合には、同じ識別情報を用いる。
【0093】
賃貸人属性情報132は、賃貸人ID131で示される賃貸人に関する属性を示す情報であり、名前132aと、メールアドレス132bと、電話番号132cと、住所132dとを含む。
名前132aは、賃貸人の名前を示す情報である。
【0094】
メールアドレス132bは、賃貸人が保有する電話機に設定された電子メールのアドレスを示す情報である。
【0095】
電話番号132cは、賃貸人が保有する電話機に設定された電話番号を示す情報である。
住所132dは、賃貸人の住所を示す情報である。
【0096】
図7の例で言えば、賃貸人ID131が「aaa」となっている賃貸人は、名前132aが「Alex」となっている。また、「Alex」の端末のメールアドレス132bは、「aaa@bzweb.ne.jp」であり、電話番号は、「090-2342-aaaa」であり、住所が「東京都港区…」となっていることが理解できる。賃貸人データベース130は、新たな賃貸借契約が契約データベース110に登録された際に、対応する賃貸人が賃貸人データベース130に登録されていない場合に、追加される。賃貸人に係る情報の追加は、債務管理装置100のオペレータが入力受付部103を介して行う。
【0097】
図8は、メッセージデータベース140のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図8に示すようにメッセージデータベース140は、遅延条件141と、メッセージ内容142とが対応付けられた情報である。メッセージデータベース140は、督促メールの本文内容を定めた情報である。
【0098】
遅延条件141は、賃借人が家賃(対価)の支払いを滞らせている条件を示す情報であり、ここでは、総遅延回数と未払い回数との少なくともいずれか一方の回数に基づく条件が示される。条件が複数ある場合には、各条件がandで結ばれる場合には、全ての条件を満たした場合を示し、各条件がorで結ばれる場合には、複数の条件のうちのいずれかを満たした場合を示す。
【0099】
メッセージ内容142は、遅延条件141で示される条件に応じて、債務管理装置100が送信する督促メールのメッセージ内容、即ち、メール本文の内容を示す情報である。
【0100】
図8の例で言えば、賃借人が家賃(対価)の支払いを滞らせた回数、即ち、総遅延回数が「5回」、未払い回数が「1回」であれば、当該賃借人に対して送付されるメールの本文の内容は、「賃借人様 お世話になっております、XX保証会社です。090-XXX-XXXXまで、一度お電話いただけますでしょうか?よろしくお願い致します。 以上」となっている。ここで、「賃借人様」には、賃借人の名前が挿入される。メッセージデータベース140は、賃借人が対価の支払いを滞らせれば滞らせるほど、メッセージ内容が賃借人にとって厳しくなるように設定されている。
【0101】
図9は、不払情報データベース150のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図9に示すように、不払情報データベース150は、賃借人ID151と、受信日時152と、督促メール送信日時153と、不払期間154と、電話受付日時155と、支払日時156とが対応付けられた情報である。不払情報データベース150は、賃借人が行った不払に関する実績についての情報である。
【0102】
賃借人ID151は、対価の支払いを滞らせた賃借人を示す識別情報である。賃借人ID151は、同一人物であれば、
図2や
図2における賃借人IDと同じ識別情報を用いる。
【0103】
受信日時152は、不払情報を受信した日時を示す情報である。
【0104】
督促メール送信日時153は、電話の督促をするための督促メールを送信した日時を示す情報である。まだ、督促メールを送信していない場合には、空データになる。
図6においては、空データの場合、「-」で示している。督促メール送信日時153は、督促メールを最後に送信した日時を示す情報である。
【0105】
不払期間154は、賃借人が不払を行った期間を示す情報である。
【0106】
電話受付日時155は、督促メールの送信後に賃借人から電話を受けた日時を示す情報である。電話受付日時155は、債務管理装置100のオペレータが入力受付部103を介して入力する情報である。電話受付日時155は、賃借人からの電話があるごとに入力される。
【0107】
支払日時156は、対応する賃借人から対価の支払いがあった日時を示す情報である。支払日時156に日時情報が入っていない限り、債務管理装置100は、一定時間ごとに督促メールを送信する。
【0108】
図9の例でいえば、賃借人ID151が「AAA」で示される賃借人は、「2016年6月」分の家賃を5月末の支払期限までに支払えなかったため、債務管理装置100は、「2016年6月1日10時」に、不払情報を受信することになった。当該不払情報に応じて、債務管理装置100は、督促メールを「2016年6月2日10時」に送信している。当該督促メールを受けて賃借人は、債務管理装置100に係る業者に「2016年6月2日」に電話を発呼しており、「2016年6月2日19時38分」に家賃の支払いを行っていることが理解できる。
【0109】
図10は、法的措置を弁護士に委任するために必要な情報(書類)を示すリスト情報160のデータ概念図である。
図10に示すようにリスト情報160は、必要な情報(書類)名1001と、情報保持者1002と、フラグ情報1003とが対応付けられた情報である。リスト情報160は、予め用意されていてもよいし、適宜必要なタイミングで情報(書類)名1001と、情報保持者1002に関する情報の入力をオペレータから受け付けて作成されることとしてもよい。
【0110】
必要な情報(書類)名1001は、法的措置を弁護士に委任するために必要とする情報や書類を一意に特定できる情報であり、ここではわかりやすくするために、情報の名称を示している。当該情報は、名称である必要はなく、それぞれの書類を一意に特定できる情報であれば、名称以外の形をとってもよい。例えば、書類名に一意に付された識別情報などであってもよい。
【0111】
情報保持者1002は、対応する必要な情報(書類)を保持している人又は団体を示す情報である。ここで、人は法人なども含んでよい。制御部104は、情報保持者1002に基づいて、対応する必要な情報(書類)を収集、または、収集のための処理(例えば、書類の送付依頼のメール送信)を実行する。
【0112】
フラグ情報1003は、対応する必要な情報(書類)を収集できたか否かを示すフラグ情報である。
図10は、初期状態のリスト情報160を示しており、収集できていないことを示す情報として「0」を示しており、収集できた場合に、制御部104により、収集できたことを示す情報として「1」に切り替えられる。なお、ここでは、「1」、「0」でフラグ情報1003を表現しているが、これはその限りではなく、必要な情報(書類)を収集できたか否かを特定可能であれば、その他の表現で実現することとしてもよい。フラグ情報1003は、制御部104が対応する必要な情報(書類)を記憶部102から抽出できた場合や、債務管理装置100のオペレータから入力受付部103を介して、必要な情報(書類)が収集できたことを示す入力を受け付けた場合に、制御部104に、「0」から「1」に切り替えられる。
【0113】
リスト情報160を表示部に表示することにより、オペレータは、リスト情報160を確認することができ、必要情報の収集の進捗をみることにより、必要情報の収集の進捗管理ができる。また、オペレータは、リスト情報160を確認し、必要情報が全て揃ったことが分かると、弁護士に書類を送付するタイミングが分かる。ここで、表示部による表示は、債務管理装置100に設けられたモニタにおける表示であってもよいし、債務管理装置100に接続されたモニタに対する表示であってもよいし、あるいは、オペレータが保持する端末のモニタへの表示であってもよい。
【0114】
図11は、委任状のテンプレート情報の一例である。委任状のテンプレート情報は、債務管理装置100がデータの書き込みが可能な画像データである。
図11に示すように、委任状1100は、受任者情報として、受任者住所1101及び受任者名1102と、本文1103と、法的措置の対象となる人物又は団体の情報として、対象人物1104、物件名1105及び物件住所1106と、委任者情報として、日付欄1107、委任者名1108及び委任者住所1109とを含む。
【0115】
受任者住所1101は、受任者の情報であり、債務管理装置100から法的措置を依頼する弁護士の住所である。
【0116】
受任者名1102は、受任者の名称であり、債務管理装置100から法的措置を依頼する弁護士の名称である。
【0117】
本文1103は、委任状の本文であり、予め記載されている情報である。
【0118】
対象人物1104は、債務管理装置100に係る保証業者が法的措置をとる対象であって、家賃を所定期間以上滞納している人物又は団体の名称である。対象人物1104には、賃借人データベース120の未払い回数122eが4回を超えているデータの名前122aを用いる。
【0119】
物件名1105は、対象人物1104に示される人物が賃借している物件であって、家賃を滞納している物件の名称である。物件名1105には、未払い回数122eが4回を超えているデータから特定される賃借人ID121に基づいて、契約データベース110の物件名113aを用いる。
【0120】
物件住所1106は、物件名1105に示される物件の住所である。物件住所1106には、契約データベース110の住所113cを用いる。
【0121】
日付欄1107は、委任者が記入する箇所であり、委任者がサインをする日付を記入する欄である。日付欄1107は、予め委任状1100に記載されている。
【0122】
委任者名1108は、委任をする者の名称であり、本実施の形態における例では、保証会社が賃貸借契約の保証をした(賃料を立て替えた)ことに対する求償請求であるため、保証会社が該当する。委任者名1108は、未払い回数122eが4回を超えているデータから特定される賃借人ID121に基づいて、契約データベース110において対応付けられている賃貸人ID112を特定し、特定した賃貸人ID112に基づいて、賃貸人データベース130の名前132aを用いる。なお、委任者は、賃貸人が弁護士に委任する場合であれば、賃貸人が委任者となる。
【0123】
委任者住所1109は、委任者名1108で示される者の住所である。委任者住所1109は、賃貸人データベース130の住所132dを用いる。
【0124】
以上のように委任状1100は予め記載された内容、もしくは、債務管理装置100が保持するデータから取得することができる情報から構成されるため、債務管理装置100は、委任状1100のテンプレート情報から、自動的に委任状を作成することができる。なお、
図11に示した委任状1100は、一例であり、委任する主体や法的措置の内容に応じてその内容が変わることは言うまでもない。
【0125】
図12は、依頼状のテンプレート情報の一例である。依頼状のテンプレート情報は、債務管理装置100がデータの書き込みが可能な画像データである。
図12に示すように、依頼状1200は、日付欄1201と、宛先欄1202と、依頼者欄1203と、本文1204と、対象人物又は団体1205と、賃貸人1206と、賃借人1207と、物件名1208とを含む。
【0126】
日付欄1201は、制御部104が入力する依頼状1200を送信する日付を入力する欄である。
【0127】
宛先欄1202は、依頼状を送信する先であって、債務管理装置100が提携している弁護士410に係る宛先であり、予め記載されている事項である。
【0128】
依頼者欄1203は、債務管理装置100に係る保証業者に係る情報であり、予め記載されている事項である。
【0129】
本文1204は、法的措置をとるための依頼内容を示す文章であり、予め記載されている事項である。
【0130】
対象人物又は団体1205は、法的措置の対象となる人又は団体である。対象人物又は団体1205には、債務管理装置100のオペレータから入力される賃借人IDに基づいて、賃借人データベース120の名前122aを用いる。
【0131】
賃貸人1206は、対象人物又は団体1205で示される人物又は団体に対して物件を賃貸していた人物を示す情報である。賃貸人1206には、入力された賃借人IDから特定された契約データベース110における賃貸人IDを用いて、賃貸人データベース130を参照して得られる名前132aを用いる。
【0132】
賃借人1207は、対象人物又は団体1205と同一の人物又は団体の名称であり、物件を賃借する人物又は団体の名称である。
【0133】
物件名1208は、賃借人1207で示される賃借人が賃貸人1206で示される賃貸人から借りていた物件の名称である。物件名1208には、入力された賃借人IDから特定された契約データベース110の物件名113aを用いる。
【0134】
以上に示すように、債務管理装置100は依頼状を作成することができるので、保証御者の作業負担を軽減することができる。なお、
図12に示した依頼状もまた、一例である。
【0135】
以上が、債務管理装置100に係るデータの説明である。
【0136】
<動作>
ここから、本実施の形態に係る債務管理装置100の動作について、
図12~
図15のフローチャートを用いて説明する。
図12は、債務管理装置100の不払情報や支払情報を受信したときの動作を示すフローチャートである。
【0137】
図13に示すように、債務管理装置100の通信部101は、外部の装置から信号を受信する。通信部101は、受信した信号が何かをその信号のヘッダを確認することで特定する。通信部101は、受信した信号が不払情報であった場合に(ステップS1301のYES)、通信部101は、当該不払情報を制御部104に伝達する。
【0138】
制御部104は、伝達された不払情報から賃借人IDを抽出する。そして、制御部104は、不払情報から抽出した賃借人IDに基づいて賃借人データベース120を検索する。そして、検索されたデータ、即ち、不払情報の賃借人IDに対応するデータの未払い回数122eと、総遅延回数122fとのそれぞれの回数に1加算して賃借人データベース120を更新する(ステップS1302)。
【0139】
次に、制御部104は、伝達された不払情報から賃借人IDと不払期間とを抽出する。制御部104は、抽出した賃借人IDを、不払情報データベース150の賃借人ID151に新たに登録する。制御部104は、登録した賃借人IDに対応付けて、不払情報から抽出した不払期間を不払情報データベース150の不払期間154に登録する。そして、制御部104は、不払情報を受信した日時を登録した賃借人IDに対応付けて受信日時152に登録して(ステップS1303)、ステップS1301に戻る。
【0140】
ステップS1301において、通信部101は、受信した信号が不払情報ではなく(ステップS1301のNO)、支払情報であった場合に(ステップS1304のYES)、受信した支払情報を制御部104に伝達する。支払情報でなかった場合に(ステップS1304のNO)、ステップS1301に戻って次の信号を受信するまで待機する。
【0141】
制御部104は、伝達された支払情報から賃借人IDを抽出する。そして、制御部104は、支払情報から抽出した賃借人IDに基づいて賃借人データベース120を検索する。そして、検索されたデータ、即ち、支払情報の賃借人IDに対応するデータの未払い回数122eを、「1」減算して賃借人データベース120を更新する(ステップS1305)。
【0142】
制御部104は、伝達された支払情報から賃借人IDと不払期間とを抽出する。制御部104は、抽出した賃借人IDと不払期間とに対応するデータを不払情報データベース150から検出する。そして、検索したデータの支払日時156に、支払情報を受信した日時を追加して、不払情報データベース150を更新して(ステップS1306)、ステップS1301に戻る。
【0143】
以上が、不払情報や支払情報を受信したときの債務管理装置100の動作である。
【0144】
次に、債務管理装置100が電話の督促メールを送信する場合の動作について説明する。
図14は、債務管理装置100の対価を支払っていない賃借人に対して電話督促メールを送信する際の動作を示すフローチャートである。
【0145】
図14に示すように、債務管理装置100の制御部104は、督促メールの送信タイミングが到来したか否かをスケジュールに基づいて判定する(ステップS1401)。当該スケジュールは予め所定期間ごと(例えば、毎日)の定められた時間(例えば、10時)に開始するように定められているものとし、制御部104は、債務管理装置100に備えられている時計により、送信タイミングが到来したか否かを判定する。制御部104は、送信タイミングが到来するまでは(ステップS1401のNO)、待機する。
【0146】
督促メールの送信タイミングが到来すると(ステップS1401のYES)、制御部104は、不払情報データベース150を参照して、支払日時156が空欄(
図6の例で言えば「-」となっている箇所)になっているデータの個数を計数する(ステップS1402)。
【0147】
制御部104は、計数した個数を督促メールを送信すべき総数として、督促メールを送信する時間帯の数(本実施の形態でいえば、5)で除する。これにより、各時間帯で送信すべき督促メールの数が特定できる(ステップS1403)。
【0148】
制御部104は、不払情報データベース150から、支払日時156が空欄となっているデータの賃借人ID151を取得する。そして、取得した賃借人ID151から、賃借人データベース120を検索して、対応するメールアドレス122gを取得する(ステップS1404)。
【0149】
制御部104は、取得したメールアドレスを送信先とするメールを各賃借人ID毎に生成する。具体的には、制御部104は、ステップS1404において取得した賃借人ID151各々について、賃借人データベース120の未払い回数122eと総遅延回数122fとを取得する。そして、取得した未払い回数122eと総遅延回数122f各々について、メッセージデータベース140の遅延条件141のいずれを満たすかを特定する。そして、満たすと特定された遅延条件に対応するメッセージ内容142をメールの本文とするメールを生成する(ステップS1405)。
【0150】
制御部104は、生成した各メールを、ステップS1403において特定した各時間帯で送信すべき督促メールの数になるように、各時間帯に割り当てる(ステップS1406)。すなわち、生成した各督促メールに割り当てた時間帯の時刻を送信時刻として割り当てる。
【0151】
そして、制御部104は、割り当てた時刻になると、その督促メールを、通信部101を介して、適宜送信先の賃借人の端末に通信部101を介して送信する(ステップS1407)。
【0152】
以上が、債務管理装置100の督促メールの送信に係る動作である。
【0153】
図15は、債務管理装置100が弁護士に債務に関する権限を移管するために必要とする情報(書類)を収集する収集処理に係る動作を示すフローチャートである。
【0154】
図15に示すように、債務管理装置100の制御部104は、賃借人データベース120において未払い回数122eが所定回数以上(例えば、4回以上)のデータがあるか否かを判定する(ステップS1501)。
【0155】
未払い回数122eが所定回数以上であるデータがある場合に(ステップS1501のYES)、制御部104は、ステップS1502の処理を実行し、未払い回数122eが所定回数以上であるデータがない場合には(ステップS1501のNO)、処理を終了する。なお、ここでは、法的措置を取る対象の移管対象者の特定を未払い回数122eに基づいて自動で行うこととしているが、これはその限りではなくオペレータが特定の債務者に対し法的措置を取る決定をした場合に、移管対象者として当該特定の債務者を手動で入力することもできる。また、債務管理措置100の制御部104は、法的措置に移管する前に、例えば、債務管理装置100に接続されたモニタに、移管対象の予定者を特定可能な情報とともに、実際に移管処理を行うかどうかを問い合わせるGUIを表示し、表示されたGUIに対して、移管処理の決定入力を受け付けてから、以降の移管処理を実行する構成としてもよい。
【0156】
ステップS1502において制御部104は、未払い回数122eが所定回数以上であるデータの賃貸人IDを特定する(ステップS1502)。そして、制御部104は、記憶部102に記憶されているリスト情報160を読み出す(ステップS1503)。
【0157】
制御部104は、委任状作成送信処理を実行する(ステップS1504)。委任状作成送信処理の詳細については、後述する。また、制御部104は、依頼状作成処理を実行する(ステップS1504)。依頼状作成処理の詳細についても後述する。
【0158】
制御部104は、ステップS1503において読み出したリスト情報160中で、記憶部102に記憶されている必要としている情報(書類)名1001に対応するフラグ情報1003を、「0」から「1」に変更する(ステップS1506)。
【0159】
制御部104は、フラグ情報1003が「0」となっている必要とする情報(書類)の情報保持者に、対応する必要情報の送付を要求するメールを作成し、通信部101を介して送信する(ステップS1507)。具体的には、制御部104は、リスト情報160の情報保持者1002で示される相手に対して、必要とする情報(書類)名1001で示される書類を要求するメールを作成して送信する。
【0160】
制御部104は、入力受付部103を介してオペレータから、必要とする情報(書類)を受領したことを示す受領入力があるか否かを判定する(ステップS1508)。当該受領入力は、オペレータが対応する書類を受領したことを示す情報であってもよいし、必要とする情報(書類)の電子データの記憶部102への記録であってもよい。例えば、リスト情報160における情報名に「賃貸借契約書」がある場合に、電子ファイルの名称を当該情報名と同じ「賃貸借契約書」とした賃貸人から受領した賃貸借契約書をスキャニングしたデータを、記憶部102に記憶した場合に、制御部104が、「賃貸借契約書」の受領入力があったと判断してもよい。
【0161】
制御部104は、必要とする情報(書類)の受領入力があった場合には(ステップS1508)、受領した必要とする情報(書類)に対応するフラグ情報1003を、「0」から「1」に変更する。即ち、必要とする情報を収集できたことを示す情報に切り替える(ステップS1509)。
【0162】
次に、制御部104は、必要書類の送付を要求するメールを送信してから、所定時間(例えば、5日)が経過したか否かを判定する(ステップS1510)。この所定時間は、必要とする書類を要求するメールを送ってから、受領まで待つ基準となる時間である。所定時間が経過していない場合には(ステップS1510のNO)、ステップS1508の処理に戻る。所定時間が経過していた場合には(ステップS1510のYES)、制御部104は、リスト情報160の中に、フラグ情報1003が全て「1」になっているか否か、即ち、全ての必要とする情報や書類を収集できたか否かを判定する(ステップS1511)。フラグ情報1003が全て「1」ではない場合には(ステップS1511のNO)、ステップS1507に戻る。これにより、書類を送付してくれていない情報保持者に対して、再度メールを送って催促をすることができる。フラグ情報1003が全て「1」になっている場合(ステップS1511のYES)、制御部104は、オペレータの端末に対して、通信部101を介して、必要とする書類が収集できたことを報知する。このとき、制御部104は、ステップS1505において作成した依頼状に沿えて、収集した必要な書類の電子データを添付して、メールで弁護士410の端末400に送信することとしてもよい。また、書類の原本については、別途オペレータが弁護士410に郵送する。
【0163】
以上の処理により、債務管理装置100は、弁護士に債務に関する法的措置を依頼する際に必要とする書類を収集することができるので、従来、この収集処理にかかった人的負荷を軽減することができる。
【0164】
図16は、債務管理装置100による委任状送信メールの送信に係る動作を示すフローチャートである。
【0165】
図16に示すように、債務管理装置100の制御部104は、ステップS1502で特定した賃借人ID121と対応する名前122aとを特定し、その情報を抽出する(ステップS1601)。
【0166】
制御部104は、特定した賃借人ID121に基づいて契約データベース110を参照して対応する賃貸人ID112と、物件情報として物件名113aと、その住所113cとを特定し、その情報を抽出する(ステップS1602)。
【0167】
制御部104は、特定した賃貸人ID112に基づいて賃貸人データベース130を参照して、対応する賃貸人の名前132aと、メールアドレス132bを特定し、その情報を抽出する(ステップS1603)。
【0168】
制御部104は、ステップS1601において抽出した名前122aと、ステップS1602において抽出した物件名113a及び住所113cと、ステップS1603において抽出した名前132aとに基づいて、記憶部102に記憶されている委任状のテンプレート情報を読み出して、委任状を作成する(ステップS1604)。
【0169】
制御部104は、ステップS1603において抽出したメールアドレス132bを宛先とする、抽出した委任状への押印(サイン)をお願いするメールを、作成する(ステップS1605)。
【0170】
制御部104は、作成したメールに、ステップS1605において作成した委任状を添付する。制御部104は、委任状をメールに添付すると、通信部101を介して作成したメールを、賃貸人310の端末300に送信して(ステップS1606)、処理を終了する。
【0171】
以上のようにして、債務管理装置100は、保証業者が賃借人210に対して法的措置をとるための権限を委任する委任状を作成して、賃貸人310に自動的に送信することができる。
【0172】
図17は、債務管理装置100による依頼状作成に係る動作を示すフローチャートである。
【0173】
図17に示すように、賃貸人310からサイン(押印)された委任状の原本を受け取ると、保証業者は、債務管理装置100の入力受付部103に依頼状作成の指示入力を行う。債務管理装置100の入力受付部103は、依頼状作成の指示入力を受け付けると(ステップS1701)、制御部104に伝達する。
【0174】
入力受付部103は、さらに、オペレータから、賃借人IDの入力を受け付ける(ステップS1702)。入力受付部103は、受け付けた賃借人IDを制御部104に伝達する。
【0175】
制御部104は、依頼状作成の指示入力を伝達されると、記憶部102に記憶している依頼状のテンプレート情報を読み出す(ステップS1703)。
【0176】
制御部104は、賃借人IDの入力を受け付けると、当該賃借人IDに対する名前122aを賃借人データベース120から読み出す(ステップS1704)。
【0177】
制御部104は、入力された賃借人IDから、契約データベース110において対応する賃貸人ID及び物件名113aを特定する。制御部104は特定した物件名113aから物件名を抽出する(ステップS1705)。
【0178】
そして、制御部104は、特定した賃貸人IDから、賃貸人データベース130を参照して賃貸人の名前を特定し、抽出する(ステップS1706)。
【0179】
制御部104は、ステップS1703において読み出したテンプレート情報に、ステップS1704からステップS1705にかけて抽出した賃借人の名前、賃貸人の名前、物件名並びに依頼状を作成した日時の情報を入力して依頼状を作成する(ステップS1707)。
【0180】
制御部104は、作成した依頼状を、外部の装置に通信部101を介して出力して(ステップS1708)、処理を終了する。ここでは、外部の装置は、例えば、モニタとして、作成した依頼状を表示することとしてもよいし、あるいは、プリンタとして、作成した依頼状をプリントアウトすることとしてもよい。また、弁護士410に送るべき書状が依頼状のみで良い場合には、弁護士410の端末400に送信することとしてもよい。この場合には、端末400のメールアドレスは予め記憶部102に記憶しておくこととする。
【0181】
以上が、依頼状作成に係る債務管理装置100の動作である。
【0182】
<表示例>
図18は、賃借人210の保有する端末200における督促メールの表示例を示している。
【0183】
図18(a)は、賃借人が「Andrew」の場合であって、「Andrew」の総遅延回数が「10回未満」である場合の、督促メールの表示例を示している。
【0184】
図18(b)は、賃借人が「Andrew」の場合であって、「Andrew」の未払い回数が「3回以上」、又は、総遅延回数が「50回以上」のいずれかを満たした場合の、督促メールの表示例を示している。
【0185】
図18(a)、(b)に示すようなメールを見て、賃借人は、発呼を行う。
【0186】
図19は、債務管理装置100から賃貸人に対して送信した書類送付依頼メールの賃貸人310の保有する端末300における表示例を示している。書類送付依頼メールは、債務管理装置100が、必要情報として書類を保持している人又は団体に対して送信するメールであって、書類の送付を依頼する内容を含むメールである。ここでは、債務管理装置100が送付を依頼する書類として、賃貸借契約書の送付を依頼した場合のメールの例を示している。
【0187】
図19に示すように、賃貸借契約書の送付願いのメールは、契約を履行していない賃借人に物件を賃貸している賃貸人に対して送信される。この賃貸人は、賃借人データベース120において未払い回数122eが4回以上となっているデータの賃借人ID121に対応づけられている賃貸人ID112を特定し、賃貸人データベース130において対応する名前及びメールアドレスに基づいて、債務管理装置100の制御部104が特定する。
【0188】
図19において、書類送付依頼メールの本文は、ほぼ定型文として債務管理装置100の記憶部102に記憶されており、宛名1901と、対象1902と、情報保持者1903と、対象1904とを除く文章が記憶されている。宛名1901は、上述の通り、賃借人IDから特定した賃貸人IDに対応付けられた名前を用いる。また、対象1902は、賃借人IDに対応付けられた名前を用いる。情報保持者1903には、宛名1901に用いた名前と同じ名前を用い、対象1904には、対象1902と同じ名前を用いる。
【0189】
このように、債務管理装置100は、書類送付依頼メールを作成し、送信することができる。そして、賃貸人310は、端末300でこのメールを受信して見ることにより、必要な書類として賃貸借契約書を送付しなくてはならないことを確認することができる。
【0190】
<まとめ>
上記実施の形態に示したように、債務管理装置100は、所定回数以上、契約の不履行を行った賃借人を検出して、その契約の不履行に係る訴訟を弁護士に依頼するために必要とする書類を収集して提示する支援を行うことができる。また、債務管理装置100は、その支援の一環として、当該賃借人に係る賃貸借契約や賃貸人を特定することにより、予め記憶している委任状のテンプレートを用いて、自動的に、訴訟に係る委任状を作成することができる。したがって、保証業務に係る訴訟を実行する際の処理の負担を軽減することができる。
【0191】
<補足>
上記実施の形態に従って、債務管理装置100について説明したが、債務管理装置100は、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、債務管理装置が取り得る他の態様について説明する。
【0192】
(1)上記実施の形態においては、債務管理装置100は、単純に送信すべき督促メールの総数を、送信時間帯の数で割って、その数になるように、ランダムに督促メールを抽出して割り当てることとしたが、より発呼を受けるタイミングが集中しないように督促メールを送信する相手に応じて、割り当てる時間帯を決定することとしてもよい。これにより、更なる効率化を図ることができる。以下、そのための手法として債務管理装置100が採り得る構成について説明する。
【0193】
(1-1)過去の電話実績に応じて、賃借人が電話をしやすいと想定されるタイミングにあうように督促メールを送信する時間帯を決定する。
【0194】
不払情報データベース150には、家賃を滞納した各賃借人について督促メールに応じて電話の発呼を行った日時情報が記憶されている。したがって、賃借人毎に、その日時情報から、賃借人が電話をかけてきた時間が賃借人が電話をかけやすい時間帯であると推定できる。そこで、制御部104は、賃借人IDが同じ賃借人の発呼を行った日時情報の平均をとり、その平均日時に最も近い時間帯で督促メールを送信する構成をとることとしてもよい。
【0195】
(1-2)過去の電話実績に応じて、督促メールの送信からのレスポンスの速さに応じて督促メールを送信する時間帯を決定する。
【0196】
不払情報データベース150には、家賃を滞納した各賃借人について督促メールに応じて電話の発呼を行った日時情報が記憶されている。また、不払情報データベース150には、督促メールを送信した送信日時も記憶されている。制御部104は、これらの時間の差分から、各賃借人の督促メールに対するレスポンスの速さを特定することができる。レスポンスの早い賃借人は、いずれの時間帯で督促メールを送信するにせよ、督促メールを送った時間帯内での発呼を期待することができる。したがって、そのような賃借人は、なるべく各時間帯に分散するようにして督促メールを送信した方が、発呼を受ける時間帯がなるべく集中しないようにすることができると推測できる。そこで、制御部104は、家賃を滞納したことがある賃借人について、督促メールに対するレスポンス時間を算出する。同じ賃借人について複数のデータが登録されている場合には、レスポンス時間の平均値を算出する。そして、算出したレスポンス時間(又はその平均値)が所定の閾値以下(例えば、1時間)である賃借人を特定する。そして、制御部104は、レスポンス時間(又はその平均値)が所定の閾値以下である賃借人をなるべく各時間帯に分散するように、督促メールを送信する時間帯を決定する。
【0197】
(1-3)賃借人の属性情報に応じて督促メールを送信する時間帯を決定する。
【0198】
上記実施の形態の
図2に示す賃借人データベース120には示していないが、賃借人データベース120は、その他の属性情報を含んでもよい。例えば、一例として賃借人の職業情報が含まれてもよい。そのような場合に、賃借人の職業という属性情報から、督促メールを送信する時間帯を決定することとしてもよい。
【0199】
制御部104は、例えば、賃借人の職業が会社員であれば、通常職務に就いていると推定される時間帯を避け、就業前、昼休み、就業後といった時間帯に督促メールを送信するように構成されていてもよい。また、あるいは、賃借人の職業が専業主婦であれば、基本的にどのような時間帯であっても電話しやすいと推測できることから、送信すべき時間帯を決定する際に、最後に時間帯を決定するようにしてもよい。また、あるいは、賃借人の職業が飲食業であれば、食事時の時間帯を避けて督促メールを送信する時間帯を決定することとしてもよい。また、より大雑把に昼に就業する職業の賃借人には昼に督促メールを送信し、夜に就業する職業の賃借人には夜に督促メールを送信する構成としてもよい。
【0200】
(2)上記実施の形態においては、督促メールの本文内容を、賃借人の未払い回数122eと総遅延回数122fとから、メッセージデータベース140を参照して決定することとしたが、督促メールの本文内容を決定する条件は、未払い回数122eや総遅延回数122f以外の内容を条件として決定することとしてもよい。
【0201】
例えば、賃借人データベース120に、各賃借人について、賃借人の性格情報を対応付けて記憶しておいてもよい。そして、この場合、メッセージデータベース140は、性格情報と、メッセージ内容とが対応付けられた情報であるとよい。例えば、まじめな性格の賃借人に対しては、丁寧な内容のメッセージ内容にして電話をする可能性を向上させてもよいし、気弱な性格の賃借人に対しては、多少威圧的なメールにして電話をする可能性を向上させてもよいし、怒りやすい性格の賃借人に対しては、なるべく温和な表現のメールにして電話をする可能性を向上させてもよい。また、賃借人の性格に限られず、賃借人の性別、年齢、職業、年収、滞納履歴(総遅延回数や未払い回数)など賃借人の情報に応じて、督促メールの内容を変更することとしてもよい。そのために、メッセージデータベース140は、本文内容に対応付けて、どのような賃借人に対して送信する督促メールであるかを示すための賃借人の情報を対応付けた情報であってもよい。
【0202】
また、督促メールの本文内容によっても、電話の受電数を調整し得る。例えば、メールの本文内容として、「単に振り込んでください」と記載した場合と、「電話をしてください」と記載した場合とでは、「電話をください」という内容にした方が受電数を増加する傾向がある。そのために、メッセージデータベース140は、滞納履歴に応じて、異なる本文内容を対応付けた構成としてもよい。例えば、「総遅延回数が30回以上」の人には、本文内容に「電話をしてください」の一文を入れ、「総遅延回数が30回未満」の人には、本文内容に「単に振り込んでください」との記載を入れる構成としてもよい。この構成により、督促メールの本文内容によっても賃借人からの受電数を調整し得る。
【0203】
このような構成をとって、賃借人の性格や職業などの属性に合わせた督促メールを送信することで、賃借人が電話をする可能性を向上させてもよい。
【0204】
(3)上記実施の形態においては記載していないが、債務管理装置100は、督促メールを一度送信した後、一定時間後(例えば、2時間後)に不払情報データベース150の電話受付日時155に日時情報が入っていない場合には、再度督促メールを送信するように構成されてもよい。これにより、賃借人が発呼を行う可能性を高めることができる。
【0205】
(4)上記実施の形態においては、契約データベース110や、賃借人データベース120、賃貸人データベース130は、債務管理装置100のオペレータにより更新されることしたが、これはその限りではない。通信部101から必要な情報を賃貸人310の端末300から受け付けて制御部104が更新することとしてもよい。例えば、端末300は、契約データベース110を更新するために必要となる、賃貸人と賃借人と物件情報とを含む契約情報を債務管理装置100に送信し、債務管理装置100は、受け付けた契約情報を契約データベース110に登録する構成としてもよい。賃借人データベース120、賃貸人データベース130についても同様に、制御部104が必要な情報を受け付けて更新する構成としてもよい。
【0206】
(5)上記実施の形態においては、債務管理装置100は、賃借人が所定期間における対価の支払いを怠ると送信される不払情報を受けて、すぐに次の所定期間における送信タイミングにおいて電話督促メールを送信することとしたがこれは、その限りではない。このタイミングで電話督促メールを送るかは、債務管理装置100のオペレータが適宜定めてよく、例えば、1ヶ月目の家賃の滞納段階では、電話督促メールを送らず、2ヶ月連続で家賃を滞納したタイミングで初めて電話督促メールを送ることとしてもよい。
【0207】
(6)上記実施の形態においては、不払情報と、対価の支払いを怠っていた賃借人が対価を支払った場合の支払情報と、を受信して賃借人データベース120や、不払情報データベース150の更新を行う例を説明したが、これは、その限りではない。各賃借人について、対価の支払いを行ったことを示す支払情報のみを受けつけるだけでも同様の構成を実現することができる、即ち、対価を支払うべき所定期間内に支払情報を受信しなかった賃借人について、総遅延回数、未払い回数を1加算するとともに、不払情報データベースに登録する構成でも、上記実施の形態と同様の構成を実現できる。
【0208】
(7)上記実施の形態においては、債務管理装置100は、賃料の支払いの総遅延回数や連続して遅延した回数に応じて、電話督促のメールの文面を変える例を示した。しかし、メールの文面を変更するトリガは、総遅延回数や未払い回数に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0209】
(8)上記実施の形態においては、支払情報は、1期間ごとに送信されてくるものとしたが、これはその限りではなく、賃借人が複数期間分をまとめて対価を支払った場合には、支払情報は、対価を支払った期間分の情報を含んで、1回で送信されてくることとしてもよい。この場合には、制御部104は、支払情報に含まれる期間分の情報を抽出し、それに対応する複数期間の支払日時156に支払情報を受信した日時を登録して不払情報データベース150を更新することとしてもよい。
【0210】
(9)上記実施の形態においては、債務管理装置100は、オペレータから契約データベース110の中の一つのデータの指定を受け付けて依頼状を作成する例を示したがこれは、その限りではない。依頼状が作成できればその他の形態により作成することとしてもよく、例えば、債務管理装置100は、法的措置をとる案件についての委任状を作成するが、この委任状を指定することとしてもよい。上述の通り、委任状には、依頼状に含まれる様々な対応する情報が含まれていることから、依頼状を作成するに足る情報を揃えることができる。
【0211】
(10)上記実施の形態において、賃借人が複数の物件を賃借する場合について特に記載していない。しかしながら、賃借人が複数の物件を賃借する場合には、契約データベース110においても、一つの賃貸借契約ごとの登録を行う必要がある。また、賃借人IDに同じ賃借人が複数登録される可能性があることから、どの賃貸借契約かをより明確に区別できるように、賃貸借契約毎に識別情報を対応付けるように構成する。そして、賃借人データベース120においては、各物件毎に未払い回数、総遅延回数とを計数するように構成するとともに、対応する賃貸借契約の識別情報も対応付けて記憶するように構成する。このように各データベースを構成すれば、委任状や依頼状の作成時等において、賃貸借契約の識別情報を指定すれば、委任状や依頼状の作成を、賃貸借契約を一意に特定して実行することができる。
【0212】
(11)上記保証業務は、保証に係る一態様を示したものであり、契約内容は保証契約に限るものではない。債務管理装置100が管理する契約は、少なくとも2者間で取り交わされる契約であって、一方から他方に対して、定期的に又は複数回対価を支払うことを定めた契約であればよく、上記実施の形態に示したような賃貸借契約に関する保証契約に限るものではない。また、ここでいう2者は、個人であってもよいし、なんらかの団体、例えば企業であってもよい。ここでいう契約内容の具体例としては、例えば、(i)賃貸借契約において、賃貸人が賃借人への債権を管理する場合や、(ii)賃貸借契約において、賃貸人から委託を受けた債権管理会社が賃借人への債権を管理する場合や、(iii)継続的な売買契約に基づき発生する売買代金に対して発生する債権を管理する場合や、(iv)病院の診療報酬契約に基づいて発生する債権を管理する場合など、様々な場合が含まれる。また、契約内容に応じて、具体的実施態様は適宜変更されることはいうまでもない。例えば、保証契約における保証会社が債務管理装置を用いる場合、不払情報は、賃貸人又は賃貸人の賃料を管理する業者の端末から債務管理装置に送信されることになる。しかし、賃貸借契約の賃料の管理会社が債務管理装置を用いる場合、不払情報は、賃借人が賃貸人に対して賃料を支払う振込先の口座を取り扱う銀行から債務管理装置に送信されることになる。
【0213】
(12)上記実施の形態における債務管理装置100は、保証業務者による管理以外に、賃貸人による債務の管理に際しても、上記実施の形態に示した態様と同様に、有効に作用する。
【0214】
(13)上記実施の形態においては、弁護士に法的措置を委任することについて述べたが、その委任する権限の範囲については特に述べていない。そこで、ここで委任する権限の範囲について簡単に述べる。例えば、賃貸人が賃借に対して提訴する訴訟の場合であれば、建物明渡請求訴訟、未払賃料支払請求訴訟、賃貸借契約解除の通知に係る代理権を弁護士に付与する。また、保証業者が賃借に対して提訴する訴訟の場合であれば、求償金請求訴訟の代理権を弁護士に付与する。このとき債務管理装置100は、両方の訴訟についての委任状を作成する。そのため、記憶部102は、委任をする主体に応じたテンプレート情報が記憶され、制御部104は、各委任内容に応じた委任状を作成する。また、上記補足(12)に示したように、賃貸人が債務管理装置100を法的措置を弁護士に委任するための処理を支援するための装置として利用する場合には、賃貸人が賃借人に対し定期する訴訟に関し、賃貸人が、建物明渡請求訴訟、未払賃料支払請求訴訟、賃貸借契約解除通知の代理権を、弁護士に付与することとなる。
【0215】
(14)上記実施の形態において、債務管理装置100の各部は、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを用いてソフトウェアによって実現してもよい。また、各機能部は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。また、当該回路は、再構築可能な回路(例えば、FPGA:Field Programmable Gate Away)により実現されてもよい。債務管理装置100を回路により構成する場合、例えば、
図20に示すように、通信回路101aと、記憶回路102aと、入力受付回路103aと、制御回路104aとから構成されてよく、各回路は、上記実施の形態に示した各機能部と同様の機能を実現する。
【0216】
債務管理装置100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、債務管理装置100は、各機能を実現するソフトウェアである債務管理プログラムの命令を実行するCPU、上記債務管理プログラムおよび各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記債務管理プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が上記債務管理プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記債務管理プログラムは、当該債務管理プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記債務管理プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0217】
なお、上記債務管理プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0218】
(15)本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0219】
(16)上記実施の形態に示した構成並びに参考例に示した構成は適宜組み合わせることとしてもよい。
【符号の説明】
【0220】
100 債務管理装置
101 通信部
102 記憶部
103 入力受付部
104 制御部