(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-13
(45)【発行日】2022-04-21
(54)【発明の名称】繭自動回収装置および繭自動回収方法
(51)【国際特許分類】
D01B 7/00 20060101AFI20220414BHJP
B07C 5/16 20060101ALI20220414BHJP
B07C 5/10 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
D01B7/00 B
B07C5/16
B07C5/10
(21)【出願番号】P 2021044536
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2020127365
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度農林水産省、蚕業革命による新産業創出プロジェクト委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000180313
【氏名又は名称】四国計測工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000191319
【氏名又は名称】新菱冷熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】片岡 忠
(72)【発明者】
【氏名】植田 直
(72)【発明者】
【氏名】檮山 陽輔
(72)【発明者】
【氏名】田辺 広幸
(72)【発明者】
【氏名】十河 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】麻生 由布
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3132883(JP,U)
【文献】特開平07-003517(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104928762(CN,A)
【文献】実開昭51-030202(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01B 7/00
B07C 5/16
B07C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された繭を順次送り出す貯留部と、
前記繭を保持して搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送しながら繭を切開する切開部と、
切開した繭から蛹を分別して繭を回収する回収部と、を有し、
繭が前記貯留部、前記搬送部、前記切開部および前記回収部を自動で経由することで、繭と蛹とを分別して回収する繭自動回収装置
であって、
前記搬送部は、繭を個別に把持する把持部を有し、
前記把持部は、繭を支持する台座部と、前記台座部に固定された背もたれ部と、可動式の押さえ部とを有し、前記背もたれ部と前記押さえ部により繭を挟持する、繭自動回収装置。
【請求項2】
前記貯留部はパーツフィーダを有する、請求項1に記載の繭自動回収装置。
【請求項3】
繭を撮像し、繭の撮像画像に基づいて繭を判別し、前記搬送部に送り出す繭を自動選別する選別部をさらに有する、請求項1または2に記載の繭自動回収装置。
【請求項4】
繭を前記貯留部から前記搬送部へと乗り継ぎさせるための乗り継ぎ部を有し、
前記乗り継ぎ部は、繭の長軸方向が所定の方向となるように、繭の姿勢を制御する姿勢制御部を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項5】
前記姿勢制御部は、傾斜部を有するフラップを有する、請求項4に記載の繭自動回収装置。
【請求項6】
前記回収部は、前記切開部により切開された繭を上下反転させることで、蛹の自重により繭と蛹とを分別する、請求項1ないし5のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項7】
前記回収部は、上下反転した繭を揺動することで、繭からの蛹の落下を補助する揺動部をさらに有する、請求項6に記載の繭自動回収装置。
【請求項8】
前記搬送部は、繭が当接される天板を有し、
前記切開部が天板に頭部が当接された繭を切開する、請求項1ないし7のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項9】
前記切開部は、繭を一定の高さ位置において切開できるように、繭を誘導する誘導部を有し、
前記誘導部は、繭と最初に当接する面が曲面または傾斜面となる導入部を有し、前記導入部に沿って繭が沈み込むことで、繭を前記一定の高さ位置においてカッターで切開可能となっている、請求項1ないし8のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項10】
前記切開部は、切開する繭の姿勢を制御するための姿勢制御部を有し、
前記姿勢制御部は、繭の左右側部にそれぞれ対向する一対の側面を有し、前記一対の側面の間の幅が、繭の進行方向に対して狭くなっている、請求項1ないし9のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項11】
前記背もたれ部は、V字状の凹部を有する部材または2以上の円柱部材からなる、請求項1
ないし10のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項12】
前記台座部は平面である、請求項
1ないし11のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項13】
前記台座部は、台座可動部と台座固定部とを有し、
前記台座可動部は、当該台座可動部の下側に、当該台座可動部を上方に付勢する付勢部材が連結され、前記台座固定部とは独立に、上下方向にシフト可能となっている、請求項
1ないし
12のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項14】
前記押さえ部は、当該押さえ部を回動させて前記把持部を開閉するためのレバーを有し、
前記台座部が下方向にシフトすることで、前記レバーが、前記台座部の下側において前記台座部から独立して配置された押圧部と接触し、前記押さえ部が回動する、請求項
1ないし13のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項15】
前記レバーは、前記押圧部と接触する辺が湾曲している、請求項
14に記載の繭自動回収装置。
【請求項16】
切開された繭の切開口を撮像し、撮像画像に基づいて、繭が汚染されていないか、または、繭から蛹が取り除かれているかを判別する画像判別部をさらに有する、請求項1ないし
15のいずれかに記載の繭自動回収装置。
【請求項17】
請求項1ないし
16のいずれかに記載の繭自動回収装置を用いた繭自動回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入した繭を順次送り出し、切開し、繭から蛹を取り除き、繭を分別回収する一連の作業を自動で実施する繭自動回収装置および繭自動回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蚕糸の生産工程において、繭の中から蚕の蛹を取り除くために、繭を切開する作業が行われる。しかし、1つ1つの繭を人手で切開することは、作業者に負担があり、また生産性も高くないため、非特許文献1では、台車に配列した多数の繭を、レールに沿って移動させることで、レール上において所定の高さに固定した刃で、多数の繭を一度に切開する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】福田信蔵、「繭切截装置の試作」、日本蚕糸学雑誌、日本蚕糸学会、第28巻、第4号、p.257-260
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、繭は、特定の色素と結合することで発色性の高い高機能シルクの原料や、医薬品、化粧品、工業用品の原料などとしても注目されてきており、繭の大量生産システムの確立が希求されている。しかしながら、従来技術では、人手で繭を台車に収容する作業が必要となり繭の大量生産が十分に行えないこと、また繭を適切な位置で切開できず繭の中の蛹も切断してしまい、汚染された繭が混ざってしまうことなどの問題があった。
【0005】
本発明は、投入した繭を順次送り出し、繭を切開し、繭と蛹とを分別し、繭だけを回収する一連の作業を自動で実施することが可能な繭自動回収装置および繭自動回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る繭自動回収装置は、投入された繭を順次送り出す貯留部と、前記繭を保持して搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送しながら繭を切開する切開部と、切開した繭から蛹を分別して繭を回収する回収部と、を有し、繭が前記貯留部、前記搬送部、前記切開部および前記回収部を自動で経由することで、繭と蛹とを分別して回収する繭自動回収装置であって、前記搬送部は、繭を個別に把持する把持部を有し、前記把持部は、繭を支持する台座部と、前記台座部に固定された背もたれ部と、可動式の押さえ部とを有し、前記背もたれ部と前記押さえ部により繭を挟持する。
上記繭自動回収装置において、前記貯留部はパーツフィーダを有するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記パーツフィーダは、連続して搬送される複数の繭の間隔を一定以上空けるための間隔調整機構を有するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、繭を撮像し、繭の撮像画像に基づいて繭を判別し、前記搬送部に送り出す繭を自動選別する選別部をさらに有するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、繭を前記貯留部から前記搬送部へと乗り継ぎさせるための乗り継ぎ部を有し、前記乗り継ぎ部は、繭の長軸方向が所定の方向となるように、繭の姿勢を制御する姿勢制御部を有するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記姿勢制御部は、傾斜部を有するフラップを有するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記回収部は、前記切開部により切開された繭を上下反転させることで、蛹の自重により繭と蛹とを分別するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記回収部は、上下反転した繭を揺動することで、繭からの蛹の落下を補助する揺動部をさらに有するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記搬送部は、繭が当接される天板を有し、前記切開部が天板に頭部が当接された繭を切開するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記切開部は、繭を一定の高さ位置において切開できるように、繭を誘導する誘導部を有し、前記誘導部は、繭と最初に当接する面が曲面または傾斜面となる導入部を有し、前記導入部に沿って繭が沈み込むことで、繭を前記一定の高さ位置においてカッターで切開可能となっているように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記切開部は、切開する繭の姿勢を制御するための姿勢制御部を有し、前記姿勢制御部は、繭の左右側部にそれぞれ対向する一対の側面を有し、前記一対の側面の間の幅が、繭の進行方向に対して狭くなっているように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記背もたれ部は、V字状の凹部を有する部材または2以上の円柱部材からなるように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記台座部は平面であるように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記台座部は、台座可動部と台座固定部とを有し、 前記台座可動部は、当該台座可動部の下側に、当該台座可動部を上方に付勢する付勢部材が連結され、前記台座固定部とは独立に、上下方向にシフト可能となっているように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記押さえ部は、当該押さえ部を回動させて前記把持部を開閉するためのレバーを有し、前記台座部が下方向にシフトすることで、前記レバーが、前記台座部の下側において前記台座部から独立して配置された押圧部と接触し、前記押さえ部が回動するように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、前記レバーは、前記押圧部と接触する辺が湾曲しているように構成することができる。
上記繭自動回収装置において、切開された繭の切開口を撮像し、撮像画像に基づいて、繭が汚染されていないか、または、繭から蛹が取り除かれているかを判別する画像判別部をさらに有するように構成することができる。
本発明に係る繭自動回収方法は、上記繭自動回収装置を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、投入した繭を順次送り出し、繭を切開し、繭と蛹とを分別し、繭だけを回収する一連の作業を自動で実施することが可能な、繭自動回収装置および繭自動回収方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る繭自動回収装置の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る繭自動回収装置の側面断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る選別部周辺を拡大した側面断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る乗り継ぎ部周辺の拡大斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る乗り継ぎ部周辺の拡大側面図である。
【
図6】第1実施形態に係るフラップの構成例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係るフラップ周辺の拡大側面図である。
【
図8】第1実施形態に係る搬送部周辺の拡大斜視図である。
【
図9】第1実施形態に係る搬送部周辺の拡大側面図である。
【
図10】第1実施形態に係る台座部および背もたれ部の構成例を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る切開部周辺の拡大断面図である。
【
図12】第1実施形態に係る揺動部の一例を示す図である。
【
図13】第2実施形態に係る繭自動回収装置の斜視図である。
【
図14】
図13に示す第2実施形態に係る繭自動回収装置を別の方向から斜視図である。
【
図15】第2実施形態に係る選別部を示す図であり、
図14のB部分の拡大図である。
【
図16】第2実施形態に係る乗り継ぎ部上部を示す斜視図である。
【
図17】第2実施形態に係る乗り継ぎ部の下部を示す拡大図である。
【
図19】第2実施形態に係る筒部を示す斜視図である。
【
図20】第2実施形態に係るシャッターを説明するための図である。
【
図21】乗り継ぎ部の他の実施形態を示す斜視図である。
【
図23】第2実施形態に係る把持部を示す拡大図である。
【
図24】第2実施形態に係る切開部周辺を示す拡大図である。
【
図25】第2実施形態に係る誘導部を説明するための図である。
【
図26】第2実施形態に係る回収部を説明するための図である。
【
図27】(A)は、第2実施形態に係る第1櫛部周辺を示す拡大図であり、(B)は、第1櫛部の作用を説明するための図である。
【
図28】第1櫛部周辺の他の実施形態を示す拡大図である。
【
図29】第2実施形態に係る回収部の画像判別センサー、第1ロッド部、第2ロッド部の周辺を示す拡大図である。
【
図30】第2実施形態に係る回収部の画像判別センサーの周辺を示す拡大図である。
【
図31】第2実施形態に係る第1ロッド部、第2ロッド部の一例を示す斜視図である。
【
図32】第1ロッド部および第2ロッド部周辺の他の実施形態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を、図に基づいて説明する。
【0010】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る繭自動回収装置1の斜視図である。また、
図2は、
図1のII-II線に沿う繭自動回収装置1の側面断面図である。
図1または
図2に示すように、第1実施形態に係る繭自動回収装置1は、貯留部10と、選別部20と、乗り継ぎ部30と、搬送部40と、切開部50と、回収部60と、を有する。
【0011】
貯留部10は、パーツフィーダまたはパーツフィーダと同様の機能を有する装置であり、
図1に示すように、繭を投入し一時的に貯留するストック部11と、繭に振動を付与する発振体12と、ストック部11から繭を選別部20に順次送り出すフィーダー部13とを有する。貯留部10として、パーツフィーダを用いることで、楕円体である繭であっても整列して順次送り出すことが可能となる。なお、繭を円滑に送り出すために、繭は予め羽毛取りしておくことが好ましい。また、第1実施形態では、フィーダー部13や選別部20において繭が詰まるのを防止するために、貯留部10は、満杯センサーを備える構成とすることができる。満杯センサーは、カメラセンサーや赤外線センサーなどの公知のセンサーを用いることができ、繭の搬送状態(流通しているか、滞留しているか)を測定する。満杯センサーの測定結果は、貯留部10のコントローラー(不図示)へと送信され、当該コントローラーは、フィーダー部13や選別部20において繭の搬送が滞留していると判断した場合に、発振体12の動作を停止させる。その後、コントローラーは、満杯センサーの測定結果に基づいて、フィーダー部13や選別部20における繭の滞留が解消されたと判断した場合に、発振体12の動作を開始させることができる。
【0012】
選別部20は、規定の大きさから外れる繭を選別するための装置である。
図3は、
図2における選別部20周辺を拡大した側面断面図である。
図3に示すように、選別部20は、貯留部10から搬送された繭を筒部22に導入するロート部21と、繭が滑り落ちる筒部22と、筒部22の一部を切欠いた切り欠き部23と、切り欠き部23において繭の画像を撮像し繭の大きさを判別する画像判別センサー24と、画像判別センサー24により繭が規定サイズから外れていると判別された場合に、その繭を風圧で飛ばすエアブロー25と、規定サイズ内の繭を選別部20から排出する排出口26とを有する。
【0013】
第1実施形態において、
図1~3に示すように、貯留部10と乗り継ぎ部30とは高低差を有し、貯留部10と乗り継ぎ部30との間にある選別部20は傾斜を有している。貯留部10から搬送された繭は、ロート部21から筒部22へと導入されると、傾斜した筒部22を滑り、切り欠き部23を通過して、排出口26から乗り継ぎ部30へと搬送される。画像判別センサー24は、繭が切り欠き部23を通過するタイミングで繭を上方から撮影し、撮影した繭の撮像画像に基づいて、繭の大きさが規定サイズを超えるか否かを判断する。繭の大きさが規定のサイズを超える場合、画像判別センサー24は、エアブロー25に指示して風を噴射させることで、繭を風圧により切り欠き部23から外側に落とすことができる。
【0014】
選別部20の排出口26には、選別部20から排出された繭を搬送部40に乗せ換えるための乗り継ぎ部30がある。ここで、
図4は、乗り継ぎ部30周辺を拡大した斜視図であり、
図5は、乗り継ぎ部30周辺の側面断面図である。
図4および
図5に示すように、乗り継ぎ部30は、V字溝31と、フラップ32と、可動ロッド33と、固定ロッド34とを有する。
【0015】
V字溝31、フラップ32、および可動ロッド33は、選別部20から搬送された繭を、搬送部40に乗せ換えるとともに、切開部50により切開しやすい姿勢に制御する姿勢制御部として機能する。すなわち、選別部20を滑り落ちた繭は、排出口26から、乗り継ぎ部30のV字溝31へと排出される。V字溝31は、略V字形の形状を有する溝であり、V字溝31において、繭は横に寝た姿勢(繭の長軸がV字溝31の延在方向X(
図4中、破線で示す矢印Xの方向)と並行となる姿勢)とされる。また、第1実施形態では、排出口26の近傍にフラップ32が設置されており、排出口26から排出された繭は、フラップ32と衝突する。フラップ32は、選別部20の排出口26に蓋のように取り付けられた部材ではなく、フレームFに設置した固定ロッド34を回転軸として、固定ロッド34に回動自在に取り付けられている。そのため、排出口26から繭が排出されると、繭は、フラップ32に衝突しフラップ32が回動することで、繭の速度が減速されるとともに、フラップ32に衝突した後に、
図4に示すように、繭がフラップ32の下に敷かれる。このように、繭が、V字溝31とフラップ32とに上下に挟まれることで、繭を一定の姿勢(繭が横に寝た姿勢)で載置することができる。また、V字溝31の溝方向が繭の進行方向(
図4に示すX軸方向)と一致するため、繭をV字溝31に載置することで、繭は、繭の長軸が繭の進行方向(
図4に示すX方向)と一致する姿勢で載置されることとなる。
【0016】
第1実施形態では、複数の可動ロッド33が、V字溝31に載置された繭と当接する高さ位置に設置されているとともに、水平面上を周回し、かつ、乗り継ぎ部30においては繭の進行方向(
図4に示すX方向)に水平移動するように設けられている。V字溝31上に一定の姿勢で載置された繭は、周回する可動ロッド33と当接し、そのまま、繭の進行方向(
図4に示すX方向)に移動し、V字溝31の端部311まで搬送される。また、第1実施形態では、複数の把持部42が、
図1および
図2に示すように、鉛直面を周回しているとともに、
図4および
図5に示すように、V字溝31の下方において、繭の進行方向(
図4に示すX方向)に移動している。第1実施形態では、複数の把持部42の移動速度と複数の可動ロッド33の移動速度とをそれぞれ同じ速度とし、複数の把持部42同士および複数の可動ロッド33同士を同じ間隔で配置し、かつ、把持部42が繭を把持できるように可動ロッド33と把持部42との位置関係を調整することで、可動ロッド33によりV字溝31の端部311まで搬送された繭を、把持部42にタイミングよく乗せ換えて、把持部42により搬送することが可能となっている。
【0017】
なお、第1実施形態では、把持部42により繭を搬送する速度よりも、貯留部10から繭が搬送される速度が速い場合、V字溝31に載置された繭の次の繭が、前の繭の進行方向後部の上側部に接触した状態で停止し、排出口26から完全に排出されない状態となる。そして、前の繭が可動ロッド33により搬送されると、次の繭は排出口26から排出され、フラップ32とV字溝31との間に載置されることとなる。
【0018】
次に、第1実施形態に係るフラップ32について説明する。
図6は、第1実施形態に係るフラップ32の構成を説明するための図である。フラップ32の形状は、特に限定されず、
図6(A)~(D)に示す構成とすることができるが、
図6(D)に示す構成とすることが好ましい。
図6(D)に示すフラップ32は、傾斜部321、引掛部322、およびスリットのない平面部323を有する。ここで、
図6(B),(C)の示すフラップは、スリットを有する平面部323aを有するが、このような平面部323aでは洗浄時にスリットが曲がってしまう場合があるため、スリットを有する構成よりも、
図6(A),(D)に示すように、スリットがない平面部323の方が好ましい。また、
図6(C),(D)に示すように、傾斜部321,321aを有する構成の方が、
図6(A),(B)に示すように、傾斜部を有しない構成よりも、繭を端部311に送り出す動作が円滑となるため好ましい。なお、傾斜部321は、
図7に示すように、選別部20の排出口26と反対側に反るように傾斜される。なお、
図7は、第1実施形態に係るフラップ周辺の拡大側面図である。
【0019】
図8は搬送部40の拡大斜視図であり、
図9は搬送部40の拡大側面図である。なお、
図9の(A)と(B)とは、反対の方向から搬送部40を見た図である。
図8および
図9に示すように、搬送部40は、チェーンコンベア41と、チェーンコンベア41に連結され、繭を挟持する把持部42とを有する。
【0020】
チェーンコンベア41は、
図1~2に示すように、乗り継ぎ部30や切開部50の下側において、鉛直面を周回するように設けられている。環状のチェーンコンベア41には、複数の把持部42が一定間隔で連結されており、チェーンコンベア41が回転することで、チェーンコンベア41に連動して複数の把持部42が周回する。また、把持部42は、乗り継ぎ部30において繭を挟持できるように、チェーンコンベア41の外側(外周側)に設けられる。なお、チェーンコンベア41の外側に配置された把持部42は、揺動部61の近傍まで搬送されると、
図1および
図2に示すように、把持部42は上下反転し、切開した繭の開口部が蛹に対して下側となる。その結果、蛹の自重により切開した繭から蛹が落下することとなる。
【0021】
把持部42は、繭が置かれる台座部421と、台座部421に固定された背もたれ部422と、可動式の押さえ部423と、押さえ部423を回動させるためレバー424と、レバー424を押圧する押圧部425とを有する。把持部42は、背もたれ部422と押さえ部423とで繭を挟持することで、繭を保持した状態で搬送することができる。
図9(A)に示すように、押さえ部423は、軸426を中心にピッチP方向に回転可能であり、把持部42の開閉口Oを開閉することができる。第1実施形態では、押さえ部423は、バネなどの弾性体により背もたれ部422に向けて付勢されており、
図9(A)に示すように、繭を把持部42(押さえ部423と背もたれ部422)で把持することが可能となっている。
【0022】
また、把持部42は、チェーンコンベア41と連結する連結部427と、連結部427とは独立して上下方向(
図9のZ方向)に移動可能なシフト部428を有する。シフト部428にはシャフト429が連結され、シャフト429には台座部421を介してレバー424が連結されている。また、連結部427には押圧部425が固定されている。そのため、後述するように、シフト部428が下方向(
図9の矢印Z方向)にシフトすることで、シフト部428に連結しているシャフト429も下方向にシフトし、シャフト429と連結している台座部421を介してレバー424も下方向にシフトする。一方、押圧部425は、シフト部428と連結していないため、シフト部428が上下移動しても位置は変わらず、シフト部428が下方向にシフトした場合、シフト部428と連動するレバー424は押圧部425と接触する。これにより、レバー424が押圧部425により押圧されて軸426を中心に押さえ部423を回動させ、押さえ部423が背もたれ部422と反対方向に向けて回動する。これにより、押さえ部423と背もたれ部422との間の開閉口Oを開くことができ、繭を把持していない場合は開閉口Oを繭が載置し易い角度まで開くことができ、また、繭を把持している場合は繭を開放することが可能となる。
【0023】
第1実施形態では、
図5に示すように、搬送部40が、乗り継ぎ部30の下側に段差部43を有している。段差部43では、シフト部428が段差部43と連動して上下方向(
図9の矢印Z方向)にシフトする構成となっている。そのため、乗り継ぎ部30において、把持部42の開閉口Oが大きく開かれ、乗り継ぎ部30から繭を受け取り易くなっている。また、シフト部428は、繭を切開する際には、繭が潰れない程度の力で繭を天板44に押し付けるよう作用する。
【0024】
また、
図10は、把持部42の台座部421および背もたれ部422の構成例を示す図である。台座部421および背もたれ部422の構成は、特に限定されないが、
図10(A)に示すように、背もたれ部422にV字状の凹部を設け、繭を点で支持する構成とすることが好ましい。すなわち、
図10(B),(C)に示すように、背もたれ部422aに湾曲した凹部を設け、繭を平面で支持する構成と比べて、
図10(A)に示すようにV字状の凹部を設けることで、繭のサイズや形状にバラツキがある場合でも、繭を把持し易くなり好ましい。
【0025】
また、
図10(C)に示すように、台座部421aに凹部を設ける構成とすることもできるが、繭の大きさによるバラつきや、繭が横にぶれてしまうなどの問題が生じる場合がある。そのため、
図10(A),(B)に示すように、台座部421は平面とし、繭を点で支持することが好ましい。
【0026】
第1実施形態では、押圧部425によりレバー424を押圧し、押さえ部423を回動しやすくするために、
図9(B)に示すように、レバー424の設置角度θ(
図9(B)に示す角度θ)を大きくすることが好ましい。また、レバー424が押圧部425と接触する辺は湾曲した形状とすることが好ましい。このようにレバー424を形成することで、押圧部425によりレバー424を押圧した場合に、レバー424を、軸Pを中心としてスムーズに回動させることができ、把持部42の開閉動作を円滑にすることができる。
【0027】
乗り継ぎ部30を経由して、搬送部40の把持部42に把持された繭は、搬送部40により切開部50まで搬送される。ここで、
図11は、第1実施形態に係る切開部50周辺を示す拡大断面図である。切開部50は、超音波カッター51を有しており、
図11に示すように、超音波カッター51の刃52が、繭の中の蛹を傷つけないような位置に固定されている。第1実施形態に係る切開部50は、刃52の高さがmm単位で調整することが可能であるとともに、切断角度を調整することが可能となっている。これにより、大部分の繭においては、繭内の蛹を傷つけることなく、繭を切開することができる。また、第1実施形態においては、超音波カッター51を用いることで、刃52のメンテナンス周期を飛躍的に伸ばすことができるとともに、切断面の品質を安定化させることもできる。
【0028】
第1実施形態では、刃52の高さを天板44から所定の位置に固定している。繭の大きさに合わせて刃52の高さを調整する構成においては、自然物である繭の形状に起因して切断不良が生じることがあったからである。他方で一定の範囲の大きさの繭であれば、蛹は繭の中で下に位置しているため、天板44から所定の距離で繭の上部を切開すれば問題は生じない。そこで、繭を切開する際に搬送部40の上部に位置する天板44に押し付けて、天板44から所定の距離で繭の上部を切開する構成を採用した。なお、
図11においては、天板44はフレームの後ろ側に配置されるため、破線により表した。
【0029】
切開された繭は、把持部42により把持されたまま、繭自動回収装置1の回収部60まで搬送される。第1実施形態において、回収部60とは、
図1~2に示すように、チェーンコンベア41で搬送する把持部42を上下反転させる機構であり、回収部60において把持部42は上下反転し、繭内の蛹に対して繭の切開口が下側となる。そのため、繭内の蛹が自重により繭の切開面から下に落下することとなる。ただし、繭を上下反転させただけでは、蛹が繭内で引っ掛かり切開口から落下しない可能性がある。そこで、第1実施形態では、回収部60において、繭を揺らして蛹を繭から落下させるために揺動部61を有する。
【0030】
揺動部61は、
図12(A),(B)に示すように、2本のロッドを有している。揺動部61は、上下反転した把持部42と当接し、把持部42の上方向および進行方向への移動を一時的に抑制する。把持部42がさらに進み、揺動部61による把持部42の抑制が解消されると、その反動により、把持部42が上下方向や前後方向に揺れることとなる。これにより、繭の中の蛹を繭から落下させることを促進することができる。
【0031】
さらに、第1実施形態において、回収部60は、
図2に示すように、把持部42から蛹を除去した繭を回収するための回収ロッド62を有している。回収ロッド62は、把持部42が回収ロッド62を通過する際に、レバー424と当接し、軸426を中心に押さえ部423を回動させることができるように設置されている。これにより、把持部42は、回収ロッド62を通過する際に、回収ロッド62とレバー424とが当接し、把持部42の開閉口Oが開かれ、その結果、繭が把持部42から解放され、繭を自動で回収することが可能となっている。
【0032】
なお、第1実施形態において、繭と接触する全ての部品は、容易に脱着でき、洗浄することが可能となっている。
【0033】
以上のように、第1実施形態に係る繭自動回収装置1は、投入された繭を整列し順次送り出す貯留部10と、整列した繭を保持して搬送する搬送部40と、搬送部40で搬送しながら繭を切開する切開部50と、切開した繭から蛹を分別して回収する回収部60と、を有し、繭が貯留部10、搬送部40、切開部50および回収部60を自動で経由することで、繭と蛹とを分別して回収することができる。
【0034】
また、第1実施形態に係る繭自動回収装置1は、貯留部10をパーツフィーダで構成することで、略楕円形の繭を整列して搬送することが可能である。また、繭を搬送部40に自動で把持させるために、乗り継ぎ部30を有し、この乗り継ぎ部30において繭を一定の姿勢に制御する。特に、第1実施形態では、V字溝31、フラップ32、および可動ロッド33を有することで、選別部20の排出口26から一定の速度で排出された繭を一定の姿勢に制御することが可能となっている。
【0035】
さらに、第1実施形態に係る繭自動回収装置1では、回収部60において、切開した繭を上下反転することで、蛹の自重により繭から蛹を分別することができる。また、回収部60において揺動部61を設けることで、繭を大きく揺らすことができ、蛹を繭から除きやすくすることができる。
【0036】
加えて、第1実施形態に係る繭自動回収装置1では、把持部42の背もたれ部422にV字の凹部を設け、台座部421を平面とすることで、繭を点で支持することができ、繭のサイズや形状にバラツキがある場合でも、繭を適切に把持することができる。さらに、レバー424がシフト部428と連動して上方向にシフトすることで、レバー424が押圧部425と接触し、押さえ部423を回動させて、把持部42の開閉口Oを開くことが可能となっている。また、レバー424は、押圧部425と接触する辺を湾曲とし、また、レバー424の設置角度θを一定角度以上とすることで、開閉口Oを円滑に開せることが可能となっている。
【0037】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係る繭自動回収装置1aについて説明する。
図13は、第2実施形態に係る繭自動回収装置1aの斜視図であり、
図14は、
図13に示す繭自動回収装置1aを矢印D1の方向から見た斜視図である。なお、
図13においては、説明の便宜のため、一部のカバーの記載を省略して繭自動回収装置1aを例示している。
【0038】
第2実施形態に係る繭自動回収装置1aは、貯留部10aと、選別部20aと、乗り継ぎ部30aと、搬送部40aと、切開部50aと、回収部60aとを有し、下記に説明する構成および動作を行うこと以外は、第1実施形態に係る繭自動回収装置1と同様の構成を有し、同様に動作する。
【0039】
第2実施形態に係る貯留部10aは、繭を貯留するためのホッパー14を有する。作業者は、繭自動回収装置1aに繭を投入する場合、まず、ホッパー14に繭を投入し、繭を貯留する。ホッパー14は、ストック部11の上方に配置され、ホッパー14に貯留する繭の一部を、シュート141を介して、ストック部11へと移動させる。
【0040】
また、第2実施形態では、ストック部11の上面に図示しない赤外線センサーを設けており、ストック部11に貯留されている繭の量を検知する。たとえば、赤外線センサーが繭を検知しない空席時間が一定時間(たとえば3秒)となった場合に、赤外線センサーからホッパー14へと信号が送信され、ホッパー14によりストック部11への繭の供給が一定時間(たとえば3秒)行われる。このように、ストック部11に貯留される繭の量を調整することができる。ストック部11の空席時間が一定時間となり、かつ、ホッパー14内の繭の量も一定以下となった場合には、警報を報知する構成とすることもできる。
【0041】
また、上述した第2実施形態では、フィーダー部13における繭の搬送速度を速くすることで、繭の間隔を一定以上とする構成とすることができる。このように、繭の搬送速度を一定速度以上とすることで、連続する繭の間隔を一定以上とすることができる。
【0042】
また、第2実施形態においては、フィーダー部13の途中に、選別部20aが設置されている。
図15は、第2実施形態に係る選別部20aを示す図であり、
図14のB部分の拡大図である。
図15に示すように、第2実施形態に係る選別部20aは、赤外線センサー27、画像判別センサー24、エアブロー25および照明装置28を有している。赤外線センサー27は、フィーダー部13により搬送されている繭を検知し、検知したことを示す信号を画像判別センサー24に送信する。照明装置28は常時光を照射しており、画像判別センサー24は、赤外線センサー27から信号を受信すると、照明装置28により照明された繭を撮像する。さらに、画像判別センサー24は、撮像した画像に基づいて、繭のサイズが規定の範囲内であるかを判定する。そして、画像判別センサー24は、繭のサイズが規定の範囲を超えていると判定した場合には、エアブロー25に信号を出力し、エアブロー25から風を噴射させることで、風圧により、繭をフィーダー部13から弾き飛ばすことができる。
【0043】
また、図示していないが、フィーダー部13においては、搬送されている繭の毛羽取りを行う毛羽取機構を設けることが好ましい。毛羽取機構の構成は、特に限定されず、公知の毛羽取機構を利用して用いることができる。
【0044】
第2実施形態において、乗り継ぎ部30aは、フィーダー部13で搬送された繭を、搬送部40aに乗り継ぎさせるための機構である。
図16は、第2実施形態に係る乗り継ぎ部30a上部を示す斜視図であり、
図17は、第2実施形態に係る乗り継ぎ部30aの下部を示す拡大図である。
図16および
図17に示すように、乗り継ぎ部30aは、筒部35、シャッター36、アーム部37、赤外線センサー381~383および繭立ち防止部39を有している。第2実施形態では、
図16に示すように、乗り継ぎ部30aの上部にアーム部37が設置され、アーム部37により、搬送部40aに合わせたタイミングで、繭が筒部35に投入される。そして、繭は、筒部35の中を通過して、把持部42aの台座部421bに落下することで、把持部42aへと乗り継ぎする。以下に、乗り継ぎ部30aの各構成について説明する。
【0045】
まず、乗り継ぎ部30aにおいては、
図16に示すように、繭は、繭立ち防止部39に沿ってアーム部37まで搬送される。繭立ち防止部39は、繭が搬送されるフィーダー部13の搬送面と対向するように延在し、フィーダー部13を搬送される繭を高さ方向において制限する、板状の金具である。ここで、
図18は、繭立ち防止部39を説明するための図であり、(A)は繭立ち防止部39を有する構成を例示しており、(B)は繭立ち防止部39を有しない構成を例示している。
図18(A)に示す繭立ち防止部39とフィーダー部13の搬送面との間の距離H1は、一般的な繭の高さよりも短く、かつ、一般的な繭の幅よりも長く設計されている。これにより、繭立ち防止部39を設けることで、繭が立ってしまうことを防止することができる。すなわち、
図18(B)に示すように、繭立ち防止部39がなく、繭が連続して搬送される場合には、搬送方向後方の繭が前方の繭に突っかかり繭が立ってしまい、そのために、フィーダー部13から立った繭が落下する場合や、後述するアーム部37で1つずつ繭を掴めず2個同時に繭が筒部35に投入されてしまう場合があった。これに対して、本実施形態では、繭立ち防止部39を設けることで、連続して搬送される繭がフィーダー部13で立ってしまうことを防止することができ、繭を1つずつ円滑にアーム部37まで搬送することができる。さらに、本実施形態では、
図16に示すように、繭立ちによる詰まりや渋滞を防止するために、繭立ち防止部39の下方に、赤外線センサー381が設置されている。赤外線センサー381は、繭の停滞を検知し、繭が停滞してきている場合には、ホッパー14に信号を送信して、ホッパー14からストック部11への繭の供給を停止し、あるいは、フィーダー部13による繭の搬送を停止する。
【0046】
アーム部37は、
図16に示すように、フィーダー部13の端部であって、繭が筒部35に投入される直前の位置に設置される。アーム部37は、一対の第1アーム371a,371bと、一対の第2アーム372a,372bとを有し、繭を一対の第1アーム371a,371bと、一対の第2アーム372a,372bとで挟むことで、繭を筒部35に投入するタイミングを調整する。具体的には、一対の第1アーム371a,371b間の間隔および一対の第2アーム372a,372b間の間隔を広げた状態で、フィーダー部13を搬送された繭が、第1アーム371a,371bと第2アーム372a,372bとの間の位置まで搬送される。第1アーム371a,371bと第2アーム372a,372bとの間の位置には、赤外線センサー382が配置されており、赤外線センサー382により繭が検出されると赤外線センサー382からアーム部37へと信号が出力される。アーム部37は、赤外線センサー382から信号を受信すると、一対の第1アーム371a,371b間の間隔および一対の第2アーム372a,372b間の間隔が狭くなるように、第1アーム371a,371bおよび第2アーム372a,372bを駆動させる。その後一定時間が経過すると、アーム部37は、一対の第2アーム372a,372b間の間隔だけを広げるように、第2アーム372a,372bを駆動する。これにより、第2アーム372a,372bにより進行を止められていた繭が筒部35に投入され、筒部35の中を通過して下方に落下し、
図17に示す把持部42aへの乗り継ぎが行われる。なお、アーム部37は、一対の第2アーム372a,372b間の間隔を広げる動作の実行をトリガーとして、一対の第1アーム371a,371b間の間隔が広がるように、第1アーム371a,371bを駆動させる。これにより、次の繭が、第1アーム371a,371bと第2アーム372a,372bとの間の位置まで搬送され、赤外線センサー382で検知されることで、再度、一対の第1アーム371a,371bおよび一対の第2アーム372a,372bを閉じ、上記処理を繰り返す。
【0047】
アーム部37によりフィーダー部13から投入された繭は、筒部35の中を通過して下方に落下する。このように、筒部35は、繭を下方に落下させる際のガイドとして機能する。また、筒部35は、繭が把持部42aに把持されやすいように、繭の姿勢を制御する姿勢制御部としても機能とする。すなわち、筒部35は、繭を落下させながら、繭の長軸方向を略垂直方向に制御し、把持部42aが把持しやすいように、繭の姿勢を制御する機能を有する。
【0048】
ここで、
図19を参照して、第2実施形態に係る筒部35の構造について説明する。
図19は、筒部35の構造の一例を示す図である。たとえば、筒部35は、
図19(A)に示すように、本体部351と、飛び出し防止部352と、排出口353と、投入部354とを有する構成とすることができる。本体部351は、中を繭が通過可能な中空の筒状の部材であり、全体または繭と接する内面だけを超高分子量ポリエチレンなどの樹脂で形成することができる。また、飛び出し防止部352は、筒部35の下端部に形成され、後述するように、繭が筒部35の排出口353から排出される際に繭が飛び出してしまうことを防止する。また、飛び出し防止部352には、繭が飛び出し防止部352に引っ掛かり把持部42aに把持される際の姿勢が悪くならないように、繭と接する内面にシリコンテープが貼付されている。なお、飛び出し防止部352も、全体または繭と接する内面だけを超高分子量ポリエチレンなどの樹脂で形成することができる。
【0049】
また、
図19(A)に示すように、筒部35は、投入部354の側面に一対のカバー358が取り付けられている。これにより、筒部35に投入された繭が、投入部354から外れて落下してしまうことを有効に防止することができる。また、筒部35では、飛び出し防止部352に加えて、飛び出し防止部352と同じ側面に飛び出し防止部352aを有するとともに、端部359と対向する面にも飛び出し防止部352bを有する。これにより、筒部35では、把持部42aに乗り継ぎする繭が把持部42aから飛び出してしまうことを強固に防ぐことができる。なお、後述するように、飛び出し防止部352,352aと対向する面には、シャッター36の側面部363が配置され、繭が飛び出さないように四方から囲うことができる。
【0050】
また、筒部35を、
図19(B)に示す構成とすることもできる。
図19(B)に示す筒部35aでは、
図19(A)に示す筒部35と比べて、一対のカバー358や飛び出し防止部352a,352bを有していないためシンプルな構成となっている。また、筒部35を、
図19(C)に示す構成とすることもできる。
図19(C)に示す筒部35bでは、
図19(A)に示す筒部35と比べて、投入部354aが幅の狭い板状の部材となっており、投入部354aの面のうち繭と接する側の面にはシリコンテープが貼付されている。これにより、筒部35bでは、繭をより円滑に本体部351の中へと導入することが可能となる。さらに、筒部35を、
図19(D)に示す構成とすることもできる。
図19(D)に示す筒部35cでは、投入部354bが、超高分子量ポリエチレンなどの樹脂で形成された2本の円柱状の部材から構成されており、投入部354,354aと比べて、繭との接点が多くなるため、繭を円滑かつ安定して本体部351の中へと導入することが可能となる。なお、筒部35と同じ構造部分についての説明は割愛する。
【0051】
図17に示すように、筒部35の下方側の排出口353は、把持部42aが周回するチェーンコンベア41の真上に位置し、排出口353から排出される繭を把持部42aに把持させることができる。また、排出口353の下方には、シャッター36および赤外線センサー383が設置されている。ここで、
図20は、第2実施形態に係るシャッター36を説明するための図である。また、
図20(A)はシャッター36周辺を示す拡大図であり、
図20(B)はシャッター36を示す斜視図である。また、
図20(C)は、繭の乗り継ぎの際のシャッター36周辺の動作を説明するための模式図であり、上から見た場合の図となっている。
図20(B)に示すように、シャッター36は、平面部361と、平面部361をスライドさせるシリンダ362と、繭が把持部42aに乗り継ぎする際に繭の飛び出しを防止する側面部363とを有する。シリンダ362は、平面部361を水平方向にスライドさせることで、平面部361を、排出口353の真下側にスライドさせた第1位置と、排出口353の真下から外れる方向にスライドさせた第2位置とを切り替えることができる。
【0052】
具体的には、シャッター36は、通常、排出口353の真下側にスライドさせた第1位置とされており、排出口353から繭が落下する場合も、第1位置とされる。ここで、
図20(A),(B)に示すように、シャッター36の平面部361の側面には、一定の高さを有する側面部363が形成されている。繭が排出口353から落下し把持部42aに乗り継ぐ際、
図20(C)に示すように、第1位置にあるシャッター36は、把持部42aの進行方向(図中、矢印で示す)の前方が、側面部363で囲われる。同様に、把持部42aの進行方向の左側方は筒部35の端部359で囲われ、把持部42aの進行方向の右側方は筒部35の飛び出し防止部352bで囲われ、把持部42aの進行方向後方は背もたれ部422bとその上方に位置する筒部35の飛び出し防止部352,352aで囲われる。このように、繭が排出口353から落下し把持部42aに乗り継ぐ際には、シャッター36が第1位置に位置し、シャッター36の側面部363、筒部35の端部359、筒部35の飛び出し防止部352b、把持部42aの背もたれ部422bおよび筒部35の飛び出し防止部352,352aによって、把持部42aの四方が囲われるため、繭が把持部42aから飛び出すことを抑制し、把持部42aへと乗り継ぎさせることが可能となっている。
【0053】
そして、繭が把持部42aの台座部421bに搭載されると、赤外線センサー383により検知され、赤外線センサー383からシリンダ362へと信号が出力される。シリンダ362は、赤外線センサー383から信号を受信すると、平面部361を第2位置とを移動させる。これにより、把持部42aの移動経路上に位置していた側面部363が当該移動経路から取り除かれ、繭を把持した把持部42aを前進させることが可能となる。なお、シリンダ362は、一定時間が経過すると、平面部361を第1位置へとスライドさせ、これにより、次の繭を把持部42aへと乗り継ぎさせることができる。
【0054】
なお、乗り継ぎ部30aは、上記構成に限定されず、たとえば、
図21に示すように、繭が筒部35dを通過してから、アーム部37aにより繭を掴み、繭を搬送部40aに搬送させるタイミングを調整する構成とすることもできる。ここで、
図21は、乗り継ぎ部30aの別の実施形態を示す斜視図である。
図21に示す乗り継ぎ部30bでは、フィーダー部13により搬送された繭は、まず筒部35dへと投入され、筒部35dの中を通過して落下し、一対のアーム部37aにより保持される。また、把持部42aが筒部35dの排出口352の真下に来る直前に、アーム部37aが繭を開放することで、繭を把持部42aに乗り継がせることができる。
【0055】
図22(A)は、
図21に示す筒部35dを示す斜視図である。
図21および
図22(A)に示すように、筒部35dは、一対の第1アーム371a,371bに対応する位置に切り欠き部355を有し、一対の第2アーム372a,372bに対応する位置に切り欠き部356を有する。一対の第1アーム371a,371bが互いに接近し一対の第1アーム371a,371b間の間隔を狭くすると、一対の第1アーム371a,371bは、切り欠き部355の隙間から、筒部35d内の繭を挟み込み保持することができる。同様に、一対の第2アーム372a,372bが互いに接近し一対の第2アーム372a,372b間の間隔を狭くすると、一対の第2アーム372a,372bは、切り欠き部356の隙間から、筒部35d内の繭を挟み込み保持することができる。そして、アーム部37aは、搬送部40aの把持部42aの移動に合わせて繭を開放することで、繭を把持部42aに乗り継ぎさせることができる。なお、筒部35dは、細板状の投入部354aを有し、投入部354aのうち繭と接触する面にはシリコンテープが貼付されている。また、筒部35dの本体部351aも、筒部35と同様に、全体または繭と接触する内面を超高分子量ポリエチレンなどの樹脂で形成することができる。
【0056】
また、
図21に示す例において、筒部35dに代えて、
図22(B)に示す筒部35eを用いる構成とすることもできる。
図22(B)に示す筒部35eでは、本体部351bの長手方向に切り欠き部357が形成されており、径方向に切り欠き部355a,356aが形成されている。
図22(B)に示す筒部35eでも、アーム部37aの一対の第1アーム371a,371bが互いに接近する方向に移動することで切り欠き部355aの隙間から、筒部35e内の繭を挟み込み保持することができ、一対の第2アーム372a,372bが互いに接近する方向に移動することで切り欠き部356aの隙間から筒部35e内の繭を挟み込み保持することができる。
【0057】
続いて、第2実施形態に係る把持部42aについて説明する。
図23は、第2実施形態に係る把持部42aを示す拡大図である。第2実施形態に係る把持部42aは、
図23に示すように、台座部421bと、背もたれ部422bと、押さえ部423aとを有している。また、第2実施形態において、台座部421bは、台座可動部4211と台座固定部4212とを有している。
【0058】
台座可動部4211は、台座固定部4212から独立した部材であり、台座可動部4211の下側においてシャフト429aと連結し、上下方向(
図23中のZ方向)にシフト可能となっている。シャフト429aは、バネ(あるいはバネ以外の弾性体)を有する付勢部であり、台座可動部4211を下側から上方向へと付勢する。これにより、後述する切開部50aの誘導部53において、繭の頭部が誘導部53により上方から押さえ込まれた場合に、台座可動部4211は、バネの作用により、シャフト429aにより上方向に付勢されながらも、台座固定部4212とは独立して、繭ごと下方向に沈み込むこととなる。
【0059】
台座固定部4212は、台座可動部4211の周囲を囲む部材であり、連結部427に固定されている。また、台座固定部4212には、
図23に示すように、背もたれ部422bが連結して形成されている。第2実施形態において、背もたれ部422bは、台座固定部4212上に、2本の円柱部材を所定の隙間を空けて立設することで形成されている。このように、背もたれ部422bを2本の円柱部材で形成することで、第1実施形態と同様に、少なくとも繭と2点において接することができ、押さえ部423aと共に繭を把持することが可能となる。なお、背もたれ部422bは、複数の円柱部材から構成されるものであれば、円柱部材の数は2つに限定されず、3本以上の円柱部材から構成することもできる。また、背もたれ部422bは、円柱部材であることが好ましいが、たとえば角柱部材とすることもできる。さらに、背もたれ部422bを樹脂カラーなどの樹脂で形成することもできる。背もたれ部422bとして、樹脂カラーを用いる場合には、樹脂カラーのネジ挿入孔にネジを挿入して締結させる構成とすることができる。樹脂カラーのネジ挿入孔のネジ溝に繭の羽毛が付いて、把持部42aから繭が離れにくくなることを抑制することができるためである。
【0060】
押さえ部423aは、たとえば超高分子量ポリエチレンなどの樹脂で形成されたパッド状の部材であり、一定の幅と高さを有して形成されている。そのため、第1実施形態に係る押さえ部423と比べて、より広い面積で繭と接することができ、繭をしっかりと把持することが可能となる。また、本実施形態において、押さえ部423aは、後述する回収部60aでの繭の良否判定処理の判定精度を高めるために、繭の白色とは反対色の黒色とされる。
【0061】
また、チェーンコンベア41のチェーンのたわみによる影響を受けないように、チェーンコンベア41に、複数のテンションガイド45(後述する
図29,30参照)を適宜設置することができる。テンションガイド45によりチェーンが一定以上たわむことを防止することができ、繭切開の安定性維持や画像判別センサー63(後述する)の位置ずれ防止などを図ることができる。
【0062】
次に、第2実施形態に係る切開部50aについて説明する。
図24は、第2実施形態に係る切開部50aを示す拡大図であり、
図25は、第2実施形態に係る切開部50aの誘導部53を説明するための図である。
図24に示すように、切開部50aは、超音波カッター51および刃52に加え、繭の姿勢を整え、繭を切開位置に誘導するための誘導部53および切開した繭の頭部を回収するための繭頭部回収箱54を有する。なお、刃52は、第1実施形態と同じく水平方向に回転することで繭を切開するものであり、
図24においては、波線で、刃52が回転する高さを示している。第2実施形態において、誘導部53は、繭の頭部と接する部分が曲面となった導入部531を有する天板部532と、繭の左右側部にそれぞれ接する一対の側面533a,533bを有する姿勢制御部533とを有している。把持部42aにより誘導部53へと搬送された繭は、まず、繭の頭部が導入部531と当接することとなる。ここで、把持部42aにおいて繭が載置される台座可動部4211は、上下方向にシフト可能となっており、繭が導入部531と当接し、上方から押圧されることで、バネの作用により、下方向に沈み込む。その結果、導入部531に沿って搬送された繭は、天板部532の高さ位置まで沈み込んだ後、天板部532と当接した状態のまま、超音波カッター51の刃52の位置まで搬送されることとなる。その結果、繭の大きさに関係なく、所定の高さ位置(繭の頂点から鉛直方向に所定の距離となる位置)において、超音波カッター51の刃52で繭が切開されることとなる。なお、
図24においては、導入部531が曲面となっている構成を例示したが、導入部531を傾斜面とする構成とすることもできる。なお、切開された繭の頭部は、繭頭部回収箱54で回収されるようになっている。
【0063】
さらに、
図25に示すように、誘導部53の姿勢制御部533は、繭が搬送される移動経路を挟んで一対の側面533a,533bを有している。一対の側面533a,533bは、超音波カッター51に近づくほど間隔が狭くなり、超音波カッター51の刃52の位置で繭よりも少し幅が広い程度の幅となっている。これにより、繭が搬送部40aに乗り継ぎした際に、繭が直立した姿勢で繭を把持部42aで把持できない場合でも、傾いて把持された繭が側面533a,533bと接することで、次第に、繭を直立姿勢とすることができる。その結果、繭が傾いて把持された場合でも、超音波カッター51の刃52の位置では繭を直立させた状態で、繭の頭部の所定の高さ位置で繭を切開することができる。
【0064】
次に、第2実施形態に係る回収部60aについて説明する。回収部60aでは、切開した繭の良否を判定し、繭の良否に応じて繭を回収する回収場所を変える機能を有する。
図26は、第2実施形態に係る回収部60aを説明するための図である。なお、
図26においては、搬送部40a(把持部42a)が周回する方向を矢印で示している。切開部50a(超音波カッター51)で頭部を切開された繭は、把持部42aで把持されたまま、回収部60aへと搬送される。回収部60aの蛹回収箱66の上方では、繭が上下反転され、切開された繭の頭部から蛹が自重により蛹回収箱66に落下し回収される。次いで、繭は、不要回収箱67の上方へと搬送される。不要回収箱67の上方には、第1櫛部610が設置されている。ここで、
図27(A)は、第1櫛部610周辺を示す斜視図であり、(B)は第1櫛部610の作用を説明するための図である。切開部50aで切開された繭は、通常、繭の頭部が切断され、切断された繭の頭部は繭頭部回収箱54で回収されるが、
図27(B)に示すように、繭の頭部が本体から切り離されていないで回収部60aまで搬送される場合も稀ながら生じる。そのため、繭の頭部と本体との間の高さとなる位置に第1櫛部610を設置することで、繭の頭部を繭の本体から切り離すことができる。なお、第1櫛部610で切り離された繭の頭部、また繭の頭部が付いていたために回収できていなかった蛹は、第1櫛部610の下方に配置された不要回収箱67で回収される。また、
図28に示すように、第1櫛部610の近くに、エアブロー611を設置する構成とすることもできる。これにより、繭の本体内に残留する蛹をより確実に繭から排出することができる。
【0065】
次いで、蛹が回収された繭は、画像判別センサー63の上方へと搬送される。
図29は、第2実施形態に係る回収部の画像判別センサー63、第1ロッド部64および第2ロッド部65の周辺を示す拡大図であり、
図30は、第2実施形態に係る回収部の画像判別センサー63の周辺を示す拡大図である。画像判別センサー63は、繭(特に繭の切開口周辺)を下方から撮像し、撮像した画像に基づいて、繭の汚染状態(たとえば蛹の一部を超音波カッター51の刃52で切断したことによる繭の汚染やカビの付着など)や切開状態(たとえば蛹の残存や繭の未切開など)を判別する。また、画像判別センサー63は、繭に汚れがあり繭が不良と判別した場合には、第1ロッド部64を駆動させる。なお、
図29および
図30に示すように、画像判別センサー63の上方には、画像判別センサー63のカメラのレンズにゴミや汚れが付かないように、カメラ用カバー613が設置されている。また、
図30に示すように、画像判別センサー63の側方には、画像判別センサー63のカメラのレンズに付いたゴミなどを吹き飛ばすためのカメラ用エアブロー614も設置されている。
【0066】
ここで、
図31(A)に示すように、第1ロッド部64は、ロッド641とシリンダ642とを有し、画像判別センサー63から繭が不良であるとの信号に基づいて、シリンダ642がロッド641を、搬送部40の把持部42aの移動経路上に移動させる。これにより、ロッド641が、把持部42aのレバー424と接触し、レバー424が軸426を中心に押さえ部423aを回動させる。その結果、押さえ部423aが背もたれ部422bと反対方向に向けて回動し、押さえ部423aと背もたれ部422bとの間の開閉口を開くことができ、把持している繭を落下させる。本実施形態では、
図26に示すように、第1ロッド部64の鉛直方向下方には、第1シュート681が設置されており、第1ロッド部64により落下された繭が第1シュート681を滑り落ち、不良繭回収箱682で回収される。また、本実施形態では、
図29に示すように、第1シュート681の途中にファイバセンサー615が設置されており、不良繭が第1シュート681を通過して不良繭回収箱682で回収されたか監視可能となっている。
【0067】
一方、画像判別センサー63により、繭が良好であると判定された場合には、第1ロッド部64は停止したまま、第2ロッド部65の駆動が行われる。第2ロッド部65も、第1ロッド部64と同様に、ロッド651とシリンダ652とを有し、画像判別センサー63から繭が良好であるとの信号に基づいて、シリンダ652がロッド651を、搬送部40の把持部42aの移動経路上に移動させる。これにより、ロッド651が、把持部42aのレバー424と接触し、レバー424が軸426を中心に押さえ部423aを回動させる。その結果、押さえ部423aが背もたれ部422bと反対方向に向けて回動し、押さえ部423aと背もたれ部422bとの間の開閉口を開くことができ、把持している繭を落下させる。
図26に示すように、第2ロッド部65の鉛直方向下方には、第2シュート691が設置されており、第2ロッド部65により落下された繭が第2シュート691を滑り落ち、正常繭回収箱692で回収される。
【0068】
なお、第1ロッド部64および第2ロッド部65は、上記構成に限定されず、たとえば
図31(B)に示す構成とすることができる。
図31(B)に示す例において、第1ロッド部64aおよび第2ロッド部65aでは、ロッド641,651に代えて、カムフォロア641a,651aを有しており、カムフォロア641a,651aが把持部42aのレバー424と接触し、レバー424が軸426を中心に押さえ部423aを回動させることができる。第1ロッド部64aおよび第2ロッド部65aでは、第1ロッド部64および第2ロッド部65と比べて、カムフォロア641a,651aの径が広いため、その分、把持部42aのレバー424との接触時間を長くすることができ、把持部42aから繭を落下させ易くすることができる。
【0069】
さらに、
図32に示すように、第1ロッド部64と第2ロッド部65との間に、第2櫛部612を設置する構成とすることもできる。第2櫛部612は、第1ロッド部64と連動し、画像判別センサー63が繭を不良であると判別した場合に、繭の移動経路まで駆動され、第1ロッド部64で把持部42aから解放できなかった繭を、第2櫛部612に引っ掛けて、把持部42aから落下させることができる。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
たとえば、上述した第1実施形態においても、切開した繭の汚染状態(たとえば蛹の一部を超音波カッター51の刃52で切断したことによる繭の汚染)を判別する画像判別装置をさらに備える構成としてもよい。このような画像判別装置は、カメラを有し、搬送途中の繭を撮像できる位置に設置されることが好ましい。画像判別装置により、搬送途中の繭の切開口を撮像し、汚染がない繭の画像と比較することなどにより、繭に汚染があるか否かを判別する構成とすることができる。なお、画像判別装置により繭に汚染があると判断された場合に当該繭を除外するための手段も別途設置することが好ましい。また、このような画面判別装置を、揺動部61と回収ロッド62との間に設置することで、揺動部61により蛹が取り除けていない繭を、画像判別装置で検出する構成とすることもできる。
【0072】
また、上述した実施形態では、繭が排出口26から排出され、繭がフラップ32に衝突した後に、
図4に示すように、繭がフラップ32の下に敷かれ、V字溝31とフラップ32とに上下に挟まれる構成を例示したが、この構成に限定されず、繭がフラップ32に衝突した後に、繭がフラップ32を前方(
図4に示すX方向)に押すが、繭がフラップ32の下には敷かれずにV字溝31上に載置される構成とすることもできる。この場合も、繭はV字溝31上に載置されることで、繭を、繭の長軸が繭の進行方向(
図4に示すX方向)と一致する姿勢で載置することができる。
【0073】
さらに、上述した実施形態では、複数の把持部42同士および複数の可動ロッド33同士を同じ間隔で配置し、かつ、把持部42が繭を把持できるように可動ロッド33と把持部42との位置関係を調整することで、可動ロッド33によりV字溝31の端部311まで搬送された繭を、把持部42にタイミングよく乗せ換えて、把持部42により搬送することを可能とする構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、複数の把持部42同士と複数の可動ロッド33同士との間隔を変えても、把持部42が繭を把持できるように可動ロッド33と把持部42との位置関係や周回速度を制御することで、可動ロッド33によりV字溝31の端部311まで搬送された繭を、把持部42にタイミングよく乗せ換えて、把持部42により搬送することを可能とする構成とすることもできる。
【0074】
さらに、上述した実施形態では、乗り継ぎ部30,30aを用いて、フィーダー部13から搬送部40,40aの把持部42,42aに繭を乗り継ぎさせる構成を例示したが、この構成に限定されず、フィーダー部13や搬送部40の配置を調整することで、フィーダー部13から把持部42,42aへと繭を直接乗り継ぎさせる構成とすることもできる。
【0075】
加えて、上述した実施形態において、各種センサーをさらに設置して、作業者に報知を行う構成とすることができる。たとえば、回収部60,60aにおいて、羽毛などの影響により、把持部42,42aから繭を回収することができず、繭が把持部42,42aに残ってしまうことを防止するために、繭の居残りを検知するセンサーを設け、繭の居残りを検知した場合に、繭自動回収装置1,1aの動作を停止し、報知する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0076】
1,1a…繭自動回収装置
10,10a…貯留部
11…ストック部
12…発振体
13…フィーダー部
14…ホッパー
141…シュート
20,20a…選別部
21…ロート部
22…筒部
23…切り欠き部
24…画像判別センサー
25…エアブロー
26…排出口
27…赤外線センサー
28…照明装置
30,30a,30b…乗り継ぎ部
31…V字溝
311…端部
32…フラップ
321,321a…傾斜部
322…引掛部
323,323a…平面部
33…可動ロッド
34…固定ロッド
35,35a~35e…筒部
351,351a,351b…本体部
352,352a~352c…飛び出し防止部
353,353a…排出口
354,354a,354b…投入部
355,355a…切り欠き部
356,356a…切り欠き部
357…切り欠き部
358…カバー
359…端部
36…シャッター
361…平面部
362…シリンダ
363…側面部
37,37a…アーム部
371a,371b…第1アーム
372a,372b…第2アーム
381~383…赤外線センサー
39…繭立ち防止部
40,40a…搬送部
41…チェーンコンベア
42,42a…把持部
421,421a,421b…台座部
4211…台座可動部
4212…台座固定部
422,422a,422b…背もたれ部
423,423a…押さえ部
424…レバー
425…押圧部
426…軸
427…連結部
428…シフト部
429,429a…シャフト
43…段差部
44…天板
45…テンションガイド
50,50a…切開部
51…超音波カッター
52…刃
53…誘導部
532…天板部
531…導入部
533…姿勢制御部
533a,533b…側面
54…繭頭部回収箱
60,60a…回収部
61…揺動部
62…回収ロッド
63…画像判別センサー
64,64a…第1ロッド部
641,641a…ロッド
642,642a…シリンダ
65,65a…第2ロッド部
651,651a…ロッド
652,652a…シリンダ
66…蛹回収箱
67…不要回収箱
681…第1シュート
682…不良繭回収箱
691…第2シュート
692…正常繭回収箱
610…第1櫛部
611…エアブロー
612…第2櫛部
613…カメラ用カバー
614…カメラ用エアブロー
615…ファイバセンサー