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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】差圧成形装置、及び、差圧成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/26 20060101AFI20220415BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20220415BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C51/10
B65H43/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018056814
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2019166735
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】304050369
【氏名又は名称】株式会社浅野研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(74)【代理人】
【識別番号】100126077
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 亮平
(72)【発明者】
【氏名】長田 毅
(72)【発明者】
【氏名】横井 広良
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/056552(WO,A1)
【文献】特開2014-117806(JP,A)
【文献】特開昭63-176151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/26
B29C 51/10
B65H 7/00
B65H 43/00
B65H 5/02
B65H 23/188
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形のショットに合わせたマークを有する連続したシートを、シート供給ゾーン、加熱ゾーン、及び、成形ゾーンを順に通る搬送方向へ前記ショットの単位で間欠的に搬送して差圧により成形することを繰り返す差圧成形装置において、
前記搬送方向へ前記シートを搬送する搬送部と、
前記加熱ゾーンにおいて前記シートを加熱する加熱装置と、
前記成形ゾーンにおいて前記シートを差圧により成形する差圧成形部と、
前記成形ゾーンに配置され、前記シートのマークを検出するマーク検出部と、を備え、
前記搬送部により搬送されている前記シートのマークが、前記成形ゾーンに配置された前記マーク検出部により検出されると、前記マークを検出してから前記ショットの位置までの前記シートの搬送距離に合わせた設定距離であって前記マークの検出時から前記ショットの間隔よりも短い設定距離の搬送が行われた時点で前記シートの搬送を停止させ、前記差圧成形部により前記シートを成形する、差圧成形装置。
【請求項2】
前記搬送部は、
前記シートにおいて前記搬送方向と直交する幅方向の縁部を解放可能に保持した状態において前記成形ゾーンを通り前記縁部とともに前記搬送方向の下流側へ移動する保持機構と、
該保持機構を該保持機構の移動方向へ案内するレールを含む支持部と、を有し、
本差圧成形装置は、前記支持部とともに前記保持機構の前記幅方向における位置を調整する位置調整機構と、を備え、
前記マーク検出部は、前記成形ゾーンにおいて前記支持部に取り付けられている、請求項1に記載の差圧成形装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記シートの一面側において前記マーク検出部を着脱可能な第一取付部位と、前記シートの他面側において前記マーク検出部を着脱可能な第二取付部位と、を有し、
前記マーク検出部は、前記第一取付部位と前記第二取付部位との少なくとも一方に取り付けられている、請求項2に記載の差圧成形装置。
【請求項4】
前記保持機構は、無端チェーンと、該無端チェーンに設けられて前記シートの前記縁部を解放可能に保持する複数の保持部と、を有し、
前記搬送部は、前記保持部が前記下流側へ移動する範囲内において前記保持部に前記縁部を保持させる、請求項2又は請求項3に記載の差圧成形装置。
【請求項5】
成形のショットに合わせたマークを有する連続したシートを、シート供給ゾーン、加熱ゾーン、及び、成形ゾーンを順に通る搬送方向へ前記ショットの単位で間欠的に搬送して差圧により成形することを繰り返す差圧成形方法において、
前記搬送方向へ前記シートを搬送部により搬送し、
前記加熱ゾーンにおいて前記シートを加熱装置により加熱し、
前記成形ゾーンに配置されたマーク検出部により前記シートのマークを検出し、
前記搬送部により搬送されている前記シートのマークが、前記成形ゾーンに配置された前記マーク検出部により検出されると、前記マークを検出してから前記ショットの位置までの前記シートの搬送距離に合わせた設定距離であって前記マークの検出時から前記ショットの間隔よりも短い設定距離の搬送が行われた時点で前記シートの搬送を停止させ、前記成形ゾーンにおいて差圧成形部により前記シートを差圧により成形する、差圧成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続したシートを差圧により成形する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
連続シート(連続したシート)の差圧成形装置として、真空成形装置、圧空成形装置、及び、圧空真空成形装置が知られている。真空成形は、差圧として大気圧よりも低い減圧(好ましくは真空圧)をシートに作用させる差圧成形である。圧空成形は、差圧として大気圧よりも高い圧空をシートに作用させる差圧成形である。圧空真空成形は、シートの一面側に圧空を作用させ他面側に減圧(好ましくは真空圧)を作用させる差圧成形である。差圧成形装置は、加熱ゾーンと成形ゾーンを通る搬送方向へ連続シートを間欠的に搬送し、加熱ゾーンにおいて加熱されたシートを成形ゾーンにおいて停止させて差圧により成形する。
【0003】
また、連続シートとして、差圧成形のショット単位(ショットの単位)で模様が印刷された印刷シートも知られている。ここで、ショットは、例えば、成形型がシートに接触する1回の動作といった、シートに対する1回の成形動作を意味する。印刷シートには、例えば、成形範囲外に成形のショットに合わせたマークが印刷される。例えば特許文献1に示されるように、ショット間隔(ショットの間隔)のマークを検出するため、マーク検出センサーが差圧成形装置に使用されている。このマーク検出センサーは、加熱ゾーンよりも搬送方向の上流側に設置されている。従って、連続シートにおいてマークに対応する模様の部分は、マーク検出センサーによりマークが検出された後に加熱ゾーンに入り、この加熱ゾーンを通り抜けた後に成形ゾーンに入り、この成形ゾーンにおいて差圧により成形される。マーク検出センサーによりマークが検出されてからシートが成形されるまでに搬送される距離は、通常、2ショット分以上となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-117806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
差圧成形位置の精度をさらに向上させることができると、印刷模様を有する成形品の外観をさらに向上させることができる。
【0006】
本発明は、差圧成形位置の精度を向上させることが可能な技術を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、成形のショットに合わせたマークを有する連続したシートを、シート供給ゾーン、加熱ゾーン、及び、成形ゾーンを順に通る搬送方向へ前記ショットの単位で間欠的に搬送して差圧により成形することを繰り返す差圧成形装置において、
前記搬送方向へ前記シートを搬送する搬送部と、
前記加熱ゾーンにおいて前記シートを加熱する加熱装置と、
前記成形ゾーンにおいて前記シートを差圧により成形する差圧成形部と、
前記成形ゾーンに配置され、前記シートのマークを検出するマーク検出部と、を備え、
前記搬送部により搬送されている前記シートのマークが、前記成形ゾーンに配置された前記マーク検出部により検出されると、前記マークを検出してから前記ショットの位置までの前記シートの搬送距離に合わせた設定距離であって前記マークの検出時から前記ショットの間隔よりも短い設定距離の搬送が行われた時点で前記シートの搬送を停止させ、前記差圧成形部により前記シートを成形する、態様を有する。
【0008】
また、本発明は、成形のショットに合わせたマークを有する連続したシートを、シート供給ゾーン、加熱ゾーン、及び、成形ゾーンを順に通る搬送方向へ前記ショットの単位で間欠的に搬送して差圧により成形することを繰り返す差圧成形方法において、
前記搬送方向へ前記シートを搬送部により搬送し、
前記加熱ゾーンにおいて前記シートを加熱装置により加熱し、
前記成形ゾーンに配置されたマーク検出部により前記シートのマークを検出し、
前記搬送部により搬送されている前記シートのマークが、前記成形ゾーンに配置された前記マーク検出部により検出されると、前記マークを検出してから前記ショットの位置までの前記シートの搬送距離に合わせた設定距離であって前記マークの検出時から前記ショットの間隔よりも短い設定距離の搬送が行われた時点で前記シートの搬送を停止させ、前記成形ゾーンにおいて差圧成形部により前記シートを差圧により成形する、態様を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、差圧成形位置の精度を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】差圧成形装置を含む熱成形品製造システムの例を模式的に示す正面図。
図2】差圧成形装置の例を模式的に示す平面図。
図3】(a)は成形型が離間位置にあるときの差圧成形部の例を模式的に示す垂直断面図、(b)は型が離間位置にあるときのトリミング装置の例を模式的に示す垂直断面図。
図4】マーク検出部の位置の例を模式的に示す平面図。
図5】保持機構間の幅を変える例を模式的に示す平面図。
図6】保持機構間の幅を変える例を模式的に示す側面図。
図7】シートの一面側にマーク検出部が配置された差圧成形装置の要部の例を模式的に示す横断面図。
図8】保持機構及びレールの要部の例を模式的に示す横断面図。
図9】シートの他面側にマーク検出部が配置された差圧成形装置の要部の例を模式的に示す横断面図。
図10】熱成形品製造システムの電気回路構成の例を模式的に示すブロック図。
図11】制御部により行われる設定処理の例を示すフローチャート。
図12】差圧成形装置により行われる搬送成形処理の例を示すフローチャート。
図13】シート搬送及び差圧成形の例を模式的に示す図。
図14】差圧成形装置により行われる搬送成形処理の別の例を示すフローチャート。
図15】シート搬送及び差圧成形の比較例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0012】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~15に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0013】
[態様1]
本技術の一態様に係る差圧成形装置1は、図1,2等に例示するように、搬送部U1、差圧成形部U2、及び、マーク検出部U3を備え、成形のショットST1に合わせたマークM0を有する連続したシートSH1を前記ショットST1の単位で間欠的に搬送して差圧により成形することを繰り返す。前記搬送部U1は、成形ゾーンZ3を通る搬送方向D1へ前記シートSH1を搬送する。前記差圧成形部U2は、前記成形ゾーンZ3において前記シートSH1を差圧により成形する。前記マーク検出部U3は、前記成形ゾーンZ3に配置され、前記シートSH1のマークM0を検出する。本差圧成形装置1は、図13等に例示するように、前記搬送部U1により搬送されている前記シートSH1のマークM0が前記マーク検出部U3により検出されると、この検出時から前記ショットST1の間隔L1よりも短い設定距離(L2)の搬送が行われた時点で前記シートSH1の搬送を停止させ、前記差圧成形部U2により前記シートSH1を成形する。
【0014】
上記態様1では、搬送されているシートSH1のマークM0が成形ゾーンZ3においてマーク検出部U3により検出されると、この検出時からショット間隔よりも短い設定距離(L2)の搬送が行われた時点でシートSH1の搬送が停止し、成形ゾーンZ3においてシートSH1が差圧により成形される。
【0015】
図15は、比較例として加熱ゾーンZ2よりもシート搬送方向D1の上流側D1UにマークセンサーSN1が配置されている場合におけるシート搬送及び差圧成形の例を模式的に示している。この場合、マークセンサーSN1によりマークM0が検出されてからシートSH1が搬送される距離L92は、2ショット分の距離2×L91よりも長くなる。図15は、マークM0が検出されてから2ショット分と設定距離のシート搬送を行って差圧成形する例を示している。
【0016】
図15のSTEP91は、マークセンサーSN1によりマークM0が検出された時点のシートSH1の様子を示している。図15のSTEP92は、2ショット後のマークM0が検出された時点のシートSH1の様子を示している。図15のSTEP93は、さらに設定距離の搬送が行われて停止したシートSH1の様子を示している。図15のSTEP94は、成形ゾーンZ3のシートSH1が差圧により成形された様子を示している。
【0017】
マークセンサーSN1によりマークM0が検出されてからシートSH1が搬送される距離L92が2ショット分の距離2×L91よりも長いと、クランプチェーンといった搬送部の送り誤差により成形品PR1の位置が印刷模様PRT1の位置から目立つほどずれることがある。図15のSTEP94には、網掛けをした模様PRT1が成形品PR1よりも若干、上流側D1Uにずれた例を示している。成形品PR1に対する模様PRT1のずれは、成形品PR1の見た目を低下させてしまう。
【0018】
一方、本技術の上記態様1では、図13に例示するように、マーク検出部U3が成形ゾーンZ3に配置され、これにより、マークM0が検出されてからシートSH1が搬送される距離が短く、その分、差圧成形位置の誤差が生じ難い。従って、本態様は、差圧成形位置の精度を向上させる差圧成形装置を提供することができる。
【0019】
ここで、前記差圧成形装置は、真空成形装置、圧空成形装置、及び、圧空真空成形装置を含み、トリミングを同時に行う成形トリミング装置等といった別の機能を有する装置も含む。シートを差圧により成形することは、いわゆる、真空成形すること、圧空成形すること、及び、圧空真空成形することを含む、いわゆる真空成形することは、差圧として大気圧よりも低い減圧(例えば真空圧)をシートに作用させることによりシートを成形することを意味する。いわゆる圧空成形することは、差圧として大気圧よりも高い圧空をシートに作用させることにより成形することを意味する。いわゆる圧空真空成形することは、シートの一面側に圧空を作用させ他面側に減圧(好ましくは真空圧)を作用させることにより成形することを意味する。
前記シートは、差圧により成形可能なシートであればよく、例えば、樹脂シート、可塑性シート、等を用いることができる。
前記シートのマークは、マーク検出部を配置する点から成形範囲外に有る方が好ましいものの、成形範囲内に有ってもよい。成形範囲は、シートのうち差圧成形部の成形型(例えば図3に示す成形型73)が接触する範囲とする。
前記搬送部は、加熱ゾーン及び成形ゾーンを通る搬送方向へシートを搬送してもよい。この場合、シートを差圧成形前に予備加熱することができる。むろん、搬送方向は、加熱ゾーンの手前においてシートを供給するシート供給ゾーンといった別のゾーンを通る方向でもよいし、成形ゾーンの後において成形シートをトリミングするトリミングゾーンといった別のゾーンを通る方向でもよい。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0020】
[態様2]
図2等に例示するように、前記搬送部U1は、前記シートSH1において前記搬送方向D1と直交する幅方向D2の縁部SH10を解放可能に保持した状態において前記成形ゾーンZ3を通り前記縁部SH10とともに前記搬送方向D1の下流側D1Lへ移動する保持機構10を有してもよい。当該搬送部U1は、図7等に例示するように、前記保持機構10を該保持機構10の移動方向D4へ案内するレール25を含む支持部20を有してもよい。本差圧成形装置1は、図5等に例示するように、前記支持部20とともに前記保持機構10の前記幅方向D2における位置を調整する位置調整機構40を備えてもよい。前記マーク検出部U3は、前記成形ゾーンZ3において前記支持部20に取り付けられてもよい。
【0021】
上記態様2では、シートSH1の幅が変わる場合には位置調整機構40により支持部20とともに保持機構10の幅方向D2における位置が調整される。これにより、シートSH1の幅が変わってもマーク検出部U3のシート幅方向D2における位置を調整する必要が無くなる。このように、本態様は、マーク検出部のシート幅方向における位置の調整を不要にする例を提供することができる。
【0022】
ここで、マーク検出部を支持部に取り付ける位置は、レールでもよいし、保持機構の移動方向に沿って保持機構を覆うカバーといったレール以外の部位でもよい。この付言は、以下の態様においても適用される。
尚、上記態様2には含まれないが、支持部とは別の場所にマーク検出部が取り付けられる場合も、本技術に含まれる。
【0023】
[態様3]
図7,9等に例示するように、前記支持部20は、前記シートSH1の一面SH1a側において前記マーク検出部U3を着脱可能な第一取付部位21と、前記シートSH1の他面SH1b側において前記マーク検出部U3を着脱可能な第二取付部位22と、を有してもよい。前記マーク検出部U3は、前記第一取付部位21と前記第二取付部位22との少なくとも一方に取り付けられてもよい。
【0024】
上記態様3では、シートSH1の一面SH1a側からマークM0を検出可能な場合には、支持部20の第一取付部位21にマーク検出部U3を取り付けることによりマークM0に合わせたシートSH1の差圧成形が可能である。シートSH1の他面SH1b側からマークM0を検出可能な場合には、支持部20の第二取付部位22にマーク検出部U3を取り付けることによりマークM0に合わせたシートSH1の差圧成形が可能である。従って、本態様は、シートの差圧成形の自由度を向上させる例を提供することができる。
尚、上記態様3には含まれないが、支持部に第一取付部位と第二取付部位の一方しか無い場合も、本技術に含まれる。
【0025】
[態様4]
図2等に例示するように、前記保持機構10は、無端チェーン11を有してもよい。当該保持機構10は、図8等に例示するように、前記無端チェーン11に設けられて前記シートSH1の前記縁部SH10を解放可能に保持する複数の保持部15を有してもよい。前記搬送部U1は、前記保持部15が前記下流側D1Lへ移動する範囲内において前記保持部15に前記縁部SH10を保持させてもよい。本態様は、マーク検出部のシート幅方向における位置の調整を不要にする好適な例を提供することができる。
【0026】
[態様5]
ところで、本技術の一態様に係る差圧成形方法は、成形ゾーンZ3を通る搬送方向D1へ前記シートSH1を搬送部U1により搬送し、前記成形ゾーンZ3に配置されたマーク検出部U3により前記シートSH1のマークM0を検出し、前記搬送部U1により搬送されている前記シートSH1のマークM0が前記マーク検出部U3により検出されると、この検出時から前記ショットST1の間隔L1よりも短い設定距離(L2)の搬送が行われた時点で前記シートSH1の搬送を停止させ、前記成形ゾーンZ3において差圧成形部U2により前記シートSH1を差圧により成形する。本態様5の作用は、上記態様1の作用に類似する。従って、本態様5は、差圧成形位置の精度を向上させる差圧成形方法を提供することができる。
【0027】
さらに、本技術は、態様2~4に対応した差圧成形方法、差圧成形装置を備えた成形品製造システム、成形プログラム、成形品製造プログラム、これらのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等の態様も有する。
【0028】
(2)差圧成形装置を含む成形品製造システムの具体例:
図1は、差圧成形装置を含むシステムの例として成形品製造システムSY1を模式的に示している。図2は、差圧成形装置1を模式的に例示する平面図である。図2に示す連続シートSH1は、印刷模様PRT1を有する印刷シートであり、差圧成形のショットST1に合わせたマークM0を成形範囲A1における幅方向D2の外側に有している。成形範囲A1は、シートSH1のうち差圧成形部U2の成形型73(図3参照)が接触する範囲である。尚、符号D1はシートSH1の搬送方向を示し、符号D1Uは搬送方向D1の上流側を示し、符号D1Lは搬送方向D1の下流側を示し、符号D2はシートSH1の幅方向を示し、符号D3は上下方向を示す。搬送方向D1と幅方向D2と上下方向D3とは、互いに直交するものとするが、設計等により直交しない場合も互いに交差していれば本技術に含まれる。尚、「直交」は、厳密な90°に限定されず、誤差により厳密な90°からずれることを含む。また、方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。さらに、各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右方向を上下方向又は前後方向に変更したり、上下方向を左右方向や前後方向に変更したり、前後方向を左右方向や上下方向に変更したり、回転方向を逆方向に変更したり等することも、本技術に含まれる。
【0029】
図1に示す成形品製造システムSY1は、搬送方向D1における上流側から下流側の順に、シート供給ゾーンZ1、加熱ゾーンZ2、成形ゾーンZ3、トリミングゾーンZ4、スクラップ回収ゾーンZ5、及び、製品取出ゾーンZ6を有している。熱成形品製造システムSY1の構造物の主要部は、例えば金属で形成することができる。
【0030】
シート供給ゾーンZ1にあるシート供給装置DE1は、連続して繋がった連続シートSH1が巻かれているロールSH0をほどく。シートSH1は、熱可塑性樹脂シートのような樹脂シート、熱可塑性を示す樹脂以外の熱可塑性シート、等の差圧により成形可能なシートを用いることができる。前記樹脂シートは、熱可塑性樹脂等の樹脂のみからなる樹脂シートでも、樹脂に充てん材等の添加剤が添加された材質からなるシートでもよく、単層シートでも、異なる材質をラミネートした積層シートでもよい。シートSH1の素材には、ポリエチレン、ポリプロピレン、等を利用可能である。また、シートSH1は、シート状ないしフィルム状になっていればよく、ロール状に巻かれていても、所定の長さにカットされていてもよい。シートの厚みは、1~2mm程度、0.25~1mm程度、等、様々な厚みとすることが可能であり、3mm程度以上の厚物シートでもよいし、0.25mm程度以下のフィルムでもよい。シートSH1から形成される成形品PR1には、食品容器といった容器、家電製品の内箱や操作パネルといった構成品、等がある。
【0031】
図2に示すシートSH1は、幅方向D2において第一縁部SH11の近傍(中心C1からずれた第一の側S1)にマークM1を有し、幅方向D2において第二縁部SH12の近傍(中心C1からずれた第二の側S2にマークM2を有している。中心C1は、シートSH1の幅方向D2における中心を意味する。シートSH1には、複数のマークM1が第一縁部SH11に沿ってショットST1間隔で配置され、複数のマークM2が第二縁部SH12に沿ってショットST1間隔で配置されている。ショットST1毎に、マークM1,M2は幅方向D2において印刷模様PRT1が形成された成形範囲A1を挟む位置に配置されている。ここで、縁部SH11,SH12を縁部SH10と総称し、マークM1,M2をマークM0と総称する。差圧成形装置1は、マークM1,M2の検出に基づいてシートSH1をショットST1単位で間欠的に搬送して停止時に差圧により成形することを繰り返す。
尚、シートSH1の概念には、搬送方向D1に沿った成形前のシートの他、ロールSH0、成形シートSH2、及び、スクラップシートSH3が含まれる。シート縁部SH10の保持は、シート縁部SH10のクランプでもよいし、突き刺し部材によりシート縁部SH10を突き刺すことによる保持でもよい。搬送方向D1へ繋がったシートSH1は、制御部U4の制御盤100の制御に従って間欠的に搬送される。
【0032】
図1,2に示すシート搬送部U1は、シートSH1の保持機構10、該保持機構10の駆動部DR0、及び、レール25とカバー30を含む支持部20を有している。これらの組合せは、シートSH1の縁部SH11,SH12のそれぞれに対して設けられている。ここで、第一の側S1の保持機構10Aと第二の側S2の保持機構10Bを保持機構10と総称する。また、第一縁部SH11を保持した状態の保持機構10Aの第一移動方向D41と、第二縁部SH12を保持した状態の保持機構10Bの第二移動方向D42と、を移動方向D4と総称する。さらに、第一の側S1の駆動部DR1と第二の側S2の駆動部DR2を駆動部DR0と総称し、第一の側S1の支持部20Aと第二の側S2の支持部20Bを支持部20と総称し、第一の側S1のレール25Aと第二の側S2のレール25Bをレール25と総称し、第一の側S1のカバー30Aと第二の側S2のカバー30Bをカバー30と総称する。第一の側S1の第一送り部U11は、保持機構10A、駆動部DR1、及び、支持部20Aを有し、シートSH1において第一の側S1にある第一縁部SH11を解放可能に保持して搬送方向D1の下流側D1Lへ送る。第二の側S2の第二送り部U12は、保持機構10B、駆動部DR2、及び、支持部20Bを有し、シートSH1において第二の側S2にある第二縁部SH12を解放可能に保持して搬送方向D1の下流側D1Lへ送る。搬送部U1は、第一送り部U11と第二送り部U12とを独立して駆動して搬送方向D1へシートSH1を搬送する。
【0033】
図2に示す搬送部U1は、成形シートSH2を含むシートSH1を挟んで面対称に配置された一対の送り部U11,U12を備えている。各送り部U11,U12は、チェーン11、サーボモーター14、スプロケット14a,14b、及び、無端材14cを備えている。サーボモーター14は、サーボモーター14A,14Bを総称する。
チェーン11は、複数のリンクを連結した金属製の無端チェーン(エンドレスチェーン)であり、スプロケット14a,14bに架けられて、水平面内で周回動作するように配置されている。下流側のスプロケット14bは、無端材14cを介してサーボモーター14の駆動力が伝達される。チェーン11には、シートSH1の幅方向D2の縁部SH10を解放可能に保持する保持機構10が設けられている。図2に示すチェーン11は、クランプチェーンやグリップチェーンとも呼ばれ、周回動作しながらシート縁部SH10を解放可能に把持する。チェーン11は、シートSH1側が搬送方向D1へ移動し、シートSH1の幅方向外側となる部分が搬送方向とは反対の戻り方向へ移動する。
【0034】
保持機構10は、シートSH1の縁部SH10を解放可能に保持した状態において成形ゾーンZ3を通り縁部SH10とともに搬送方向D1の下流側D1Lへ移動する。駆動部DR0は、サーボモーター14の回転駆動力を保持機構10に伝える。レール25は、保持機構10を該保持機構10の移動方向D4へ案内する。カバー30は、シートSH1の縁部SH10を保持した状態の保持機構10の移動方向D4に沿って保持機構10を覆っている。カバー30は、レール25が収容されたケースと呼ぶこともできる。
【0035】
すなわち、第一の側S1において、保持機構10Aは、シートSH1の第一縁部SH11を解放可能に保持した状態において成形ゾーンZ3を通り第一縁部SH11とともに搬送方向D1の下流側D1Lへ移動する。駆動部DR1は、サーボモーター14の回転駆動力を保持機構10Aに伝える。レール25Aは、保持機構10Aを該保持機構10Aの第一移動方向D41へ案内する。カバー30Aは、シートSH1の第一縁部SH11を保持した状態の保持機構10Aの第一移動方向D41に沿って保持機構10Aを覆っている。
また、第二の側S2において、保持機構10Bは、シートSH1の第二縁部SH12を解放可能に保持した状態において成形ゾーンZ3を通り第二縁部SH12とともに搬送方向D1の下流側D1Lへ移動する。駆動部DR2は、サーボモーター14の回転駆動力を保持機構10Bに伝える。レール25Bは、保持機構10Bを該保持機構10Bの第二移動方向D42へ案内する。カバー30Bは、シートSH1の第二縁部SH12を保持した状態の保持機構10Bの第二移動方向D42に沿って保持機構10Bを覆っている。
【0036】
シートSH1の縁部SH10を保持した状態の保持機構10が移動方向D4へ移動すると、保持機構10の移動に合わせてシートSH1が搬送方向D1へ移動する。このようにして、搬送部U1は、成形シートSH2を含むシートSH1の両縁部SH11,SH12を保持し、加熱ゾーンZ2及び成形ゾーンZ3を通る搬送経路R1に沿ってシート搬送方向D1へシートSH1を搬送する。
【0037】
加熱ゾーンZ2は、搬送経路R1の内、ヒーター群HGを有する加熱装置DE2の内部にある区域であり、ヒーター群HGによりシートSH1を予備加熱する区域である。ヒーター群HGは、シートSH1に対向するヒーターが複数並べられ、例えば、シートSH1を溶融しない範囲で軟化する温度以上に輻射加熱する。ヒーター群HGの搬送方向D1における長さは、加熱むらを少なくするため、成形のショットST1の長さ以上とされる。熱可塑性シートを加熱する場合、例えば、シートを溶融しない範囲で軟化する温度以上に輻射加熱する。むろん、加熱装置DE2は、シートを接触加熱してもよいし、熱風等により加熱してもよい。図1に示すヒーター群HGはシートSH1の上側と下側とに配置されているが、どちらか一方のヒーター群HGを省略することも可能である。
【0038】
成形ゾーンZ3は、搬送経路R1の内、差圧成形部U2としての差圧成形装置の内部にある区域であり、成形型を昇降させるテーブルと平面視において重なる区域である。成形ゾーンZ3にある差圧成形部U2には、例えば、図3(a)に示す成形装置70を使用することができる。この場合、成形ゾーンZ3は、搬送経路R1の内、昇降可能なテーブル71,72と平面視において重なる区域(二点鎖線で挟まれた範囲)となる。
【0039】
テーブル71,72は、図示しない成形用テーブル駆動機構により、設定された離隔位置と近接位置との間で上下方向に近接及び離隔する。これにより、下テーブル72上に設けられた成形型73が離隔位置L12と近接位置L14との間で昇降し、上テーブル71の下に設けられたクランプ(対向型)74が離隔位置L11と近接位置L13との間で昇降する。各成形型73は、下方へ凹んだ雌型であるが、上方へ凸とされた雄型や凹凸のある形状でもよい。また、成形型を上側に配置しクランプを下側に配置してもよい。差圧供給機構75は、差圧供給孔73bから成形面73aに差圧を供給する。成形装置70は、成形型73とクランプ74とが離隔した状態で1ショット分の加熱軟化状態のシートSH1が搬入されると、成形型73とクランプ74とを近接させ、差圧供給機構75により負圧を差圧供給孔73bに作用させて移動停止中のシートSH1を成形面73aに密接させる。成形装置70が成形型73とクランプ74とを離隔させると、成形シートSH2がシートSH1に繋がった状態で成形装置70から搬出され、トリミングゾーンZ4に搬入される。このとき、次ショットのシートSH1が成形装置70に搬入される。このようにして、成形ゾーンZ3は、加熱されたシートSH1をショット単位で成形する。
尚、シートSH1の差圧成形は、上述した真空成形以外にも、圧空成形又は圧空真空成形でもよい。
【0040】
図1,4に例示するように、シートSH1のマークM0を検出するマーク検出部U3は、成形ゾーンZ3に配置されている。図4は、マーク検出部U3の位置の例を模式的に示す平面図である。図4では、シート搬送部U1等を簡略化して示している。図4に示す差圧成形装置1は、マーク検出部U3として、成形ゾーンZ3においてシートSH1の第一の側S1に配置されたマークセンサーSN1(第一マーク検出部の構成要素の例)、及び、成形ゾーンZ3においてシートSH1の第二の側S1に配置されたマークセンサーSN2(第二マーク検出部の構成要素の例)を有している。マークセンサーSN1は、例えば、シートSH1の上側(一面SH1a側の例)に設置され、シートSH1の上側から第一の側S1のマークM1を検出する。マークセンサーSN2は、例えば、シートSH1の上側(一面SH1a側の例)に設置され、シートSH1の上側から第二の側S2のマークM2を検出する。むろん、マークセンサーSN1,SN2は、シートSH1の下側(他面側SH1bの例)に設置されてシートSH1の下側からマークM1,M2を検出してもよい。
【0041】
マークセンサーSN1,SN2は、成形ゾーンZ3にあればよいが、成形範囲A1の幅方向D2における外側、すなわち、成形型73から幅方向D2における外側に配置されることが好ましい。成形型73は、1ショットに含まれる成形品PR1の並びに応じて変わり、搬送方向D1における長さが変わる。従って、マークセンサーSN1,SN2の搬送方向D1における位置は、成形型73を交換しても常に成形型73(すなわち成形範囲A1)から幅方向D2における外側となる位置が好ましい。
【0042】
トリミングゾーンZ4は、トリミング装置の内部にある区域であり、成形シートSH2から成形品PR1を分離する部位を昇降させるテーブルと平面視において重なる区域である。トリミングゾーンZ4にあるトリミング装置DE4には、例えば、図3(b)に示すトリミング装置80を使用することができる。この場合、トリミングゾーンZ4は、搬送経路R1の内、昇降可能なテーブル81,82と平面視において重なる区域(二点鎖線で挟まれた範囲)となる。
【0043】
テーブル81,82は、図示しないトリミング用テーブル駆動機構により、設定された離隔位置と近接位置との間で上下方向に近接及び離隔する。これにより、下テーブル82上に設けられた型83及び切刃84が離隔位置L22と近接位置L24との間で昇降し、上テーブル81の下に設けられた受け部材85が離隔位置L21と近接位置L23との間で昇降する。各型83は、下方へ凹んだ雌型であるが、上方へ凸とされた雄型や凹凸のある形状でもよい。また、切刃を上側に配置し受け部材を下側に配置してもよいし、型を上側に配置してもよい。各切刃84は、例えばトムソン刃とすることができ、各型83の周囲において受け部材85に対向した刃先を有している。トリミング装置80は、型83と受け部材85とが離隔した状態で1ショット分の成形シートSH2が搬入されると、型83と受け部材85とを近接させて各型83に成形シートSH2を配置させ、成形品PR1の周囲で受け部材85に接触した移動停止中の成形シートSH2を切刃84により切断する。トリミング装置80が型83と受け部材85とを離隔させると、スクラップシートSH3が成形シートSH2に繋がった状態でトリミング装置80から搬出されてスクラップ回収ゾーンZ5に搬入され、各成形品PR1が各型83上から搬出されて製品取出ゾーンZ6に搬入される。このとき、次ショットの成形シートSH2がトリミング装置80に搬入される。
尚、トリミング装置は、切刃を受け部材に押し当てて成形シートを切断する装置、型の周囲の切刃により成形シートを打ち抜く装置、上刃と下刃とを摺接させる等して成形シートを打ち抜く装置、等が含まれる。
【0044】
スクラップ回収ゾーンZ5にあるスクラップ回収装置DE5は、スクラップシートSH3を巻き取って回収する。
製品取出ゾーンZ6にある製品取出装置DE6は、例えば、吸着装置DE61を型83の上方まで進入させ、各型83に配置された成形品PR1を吸着して製品取出ゾーンZ6まで搬送し、取出テーブルDE62に積み重ねる。これにより、成形品PR1が取り出される。むろん、成形品PR1を積み重ねずに取出テーブルDE62から取り出してもよい。
【0045】
(3)搬送部の具体例:
図5,6は、シートSH1の保持機構10A,10Bの間隔を変える例を模式的に示している。図7は、シートSH1の上面(一面SH1a)側にマーク検出部U3が配置された差圧成形装置1の要部を模式的に例示している。図8は、保持機構及びレールの例として、第二送り部U12における保持機構10B及びレール25Bを模式的に示している。第一送り部U11における保持機構10A及びレール25Aは、図8に示す保持機構10B及びレール25Bと左右対称に現れるので、図示を省略している。まず、図8を参照して、保持機構10の具体例を説明する。
【0046】
図8に示す保持機構10は、複数の保持部15を取り付けたアタッチメント12aを有するリンク12を連結した無端チェーン11である。保持部15は、チェーン11に設けられてシートSH1の縁部SH10を解放可能に保持する。
リンク12の上部には、レール25の対向部25a,25bに挟まれた被案内部12bが設けられている。アタッチメント12aに取り付けられた保持部15は、台部15a、可動軸15b、及び、ばね15eを備えている。台部15aは、アタッチメント12aに取り付けられて固定され、シート縁部SH10を載置する。可動軸15bは、台部15aの上面に突き当たる突き当て部15c、並びに、シートSH1の保持を開始する手前位置及びシートSH1の保持の終了位置において突き当て部15cを台部15aから離隔させるための壁部19に接触する被接触部15dを有し、台部15aに対して昇降可能に取り付けられている。ばね15eは、例えば圧縮コイルばねとされ、台部15aに突き当て部15cが突き当たる向きに可動軸15bを付勢する。
【0047】
保持部15がシートSH1の保持を開始する手前位置に来ると、被接触部15dが壁部19に接触して可動軸15bが上昇し突き当て部15cが台部15aから離隔する。保持部15がシートSH1の保持の開始位置に来ると、被接触部15dが壁部19から離隔し、突き当て部15cが台部15aに突き当たる。これにより、シート縁部SH10が台部15aと突き当て部15cに挟持される。
また、保持部15がシートSH1の保持の終了位置に来ると、被接触部15dが壁部19に接触して可動軸15bが上昇し突き当て部15cが台部15aから離隔する。保持部15がシートSH1の保持の終了位置を過ぎると、被接触部15dが壁部19から離隔し、突き当て部15cが台部15aに突き当たる。これにより、台部15aと突き当て部15cとの挟持からシート縁部SH10が解放される。
【0048】
むろん、上述した説明が保持機構10A,10Bの両方に当てはまる。
以上より、送り部U11,U12は、保持部15が下流側D1Lへ移動する範囲内において保持部15にシート縁部SH10を保持させる。図2,4,5には、第一送り部U11の保持部15がシートSH1の第一縁部SH11を解放可能に保持した状態における第一移動方向D41、及び、第二送り部U12の保持部15がシートSH1の第二縁部SH12を解放可能に保持した状態における第二移動方向D42を示している。ここで、移動方向D41,D42を移動方向D4と総称する。
【0049】
図5に示すように、保持機構10を該保持機構10の移動方向D4へ案内するレール25は、長手方向を移動方向D4に向けて配置される。図5に示すレール25は、成形ゾーンZ3から若干上流側D1Uとなる加熱ゾーンZ2の出口近傍の途中位置P2において屈曲可能である。従って、シート縁部SH10の保持機構10の移動方向D4は、シート搬送方向D1からずれることがある。シートSH1の搬送方向D1における位置に応じた幅に合わせるため、レール25A,25Bの間隔を変える位置調整機構40が差圧成形装置1に設けられている。図5に示すレール25A,25Bの間隔は、加熱ゾーンZ2から上流側D1Uとなる上流位置P1、前記途中位置P2、及び、成形ゾーンZ3から下流側D1Lとなる下流位置P3において位置調整機構40により調整可能である。これらの位置P1~P3にかけて配置されたレール25に沿って移動する保持機構10は、シートSH1の縁部SH10を解放可能に保持した状態において加熱ゾーンZ2と成形ゾーンZ3を通りシート縁部SH10とともに搬送方向D1の下流側D1Lへ移動する。
【0050】
図4,7に示すように、成形ゾーンZ3にあるマーク検出部U3の支持部20は、レール25とカバー30を有している。カバー30は、保持機構10の移動方向D4に沿って保持機構10を覆っている。各カバー30A,30Bは、レール25A,25Bの上面に取り付けられて該上面を覆う上カバー31、及び、レール25A,25Bの下面に取り付けられて該下面を覆う下カバー32を含んでいる。
レール25A,25Bとカバー30A,30Bを有する支持部20A,20Bは、いずれも、マーク検出部U3を取り付けるための取付部位21,22を有している。
【0051】
図7に示すように、第一取付部位21は、上カバー31の上面に配置されている。第一取付部位21は、成形ゾーンZ3にある。レール25の上部には、ねじSC1と螺合するねじ穴H1が形成されている。マークセンサーSN1,SN2が設けられた支持部材50A,50Bのねじ挿通穴、及び、上カバー31のねじ挿通穴にねじSC1を通してねじ穴H1に螺合すると、マーク検出部U3が上カバー31を介してレール25A,25Bの上部に取り付けられる。この状態で、マークセンサーSN1,SN2は、シートSH1の上側(一面SH1a側)にあり、検出面を下に向けている。ねじ穴H1からねじSC1を外すと、第一取付部位21からマーク検出部U3を取り外すことができる。従って、第一取付部位21は、シートSH1の上側においてマーク検出部U3を着脱可能である。
【0052】
図9に示すように、第二取付部位22は、下カバー32の下面に配置されている。第二取付部位22は、成形ゾーンZ3にある。レール25の下部には、ねじSC2と螺合するねじ穴H2が形成されている。マークセンサーSN1,SN2が設けられた支持部材50A,50Bのねじ挿通穴、及び、下カバー32のねじ挿通穴にねじSC2を通してねじ穴H2に螺合すると、マーク検出部U3が下カバー32を介してレール25A,25Bの下部に取り付けられる。この状態で、マークセンサーSN1,SN2は、シートSH1の下側(他面SH1b側)にあり、検出面を上に向けている。ねじ穴H2からねじSC2を外すと、第二取付部位22からマーク検出部U3を取り外すことができる。従って、第二取付部位22は、シートSH1の下側においてマーク検出部U3を着脱可能である。
【0053】
以上より、マーク検出部U3は、取付部位21,22に対して選択的に着脱可能である。シートSH1の上側からマークM0を検出可能な場合には、支持部20の第一取付部位21にマーク検出部U3を取り付けることによりマークM0に合わせたシートSH1の差圧成形が可能である。シートSH1の下側からマークM0を検出可能な場合には、支持部20の第二取付部位22にマーク検出部U3を取り付けることによりマークM0に合わせたシートSH1の差圧成形が可能である。また、取付部位21,22の両方にマーク検出部U3を取り付け、一面SH1a側と他面SH1b側とからマークM0を検出してもよい。従って、本差圧成形装置1は、種々のマーク付きシートを成形することができ、自由度が高い装置である。
むろん、上述した説明が支持部20A,20Bの両方に当てはまる。
【0054】
マーク検出部U3は、ねじ挿通穴を有して幅方向D2の内側へ延出した支持部材50、及び、この支持部材50の先端からシートSH1の方に向いたマークセンサーSN1,SN2を有している。尚、支持部材50は、支持部材50A,50Bを総称している。
【0055】
マークセンサーSN1,SN2は、例えば、可視光といった光をシートSH1に照射して地色とマーク色による反射光量の差を非接触で検出することにより、マークM1を検出したか否かを表すマーク有無検出信号を生成する。特に、マークセンサーSN1,SN2に光ファイバーセンサーを用いると、マークM0の位置を検出する精度が高くなる。むろん、マークセンサーは、前述の反射形光電形近接スイッチの他、透過形光電形近接スイッチ、色彩計、デジタルカメラ、といった非接触センサーでもよい。マークが穴、凸部、凹凸、といった形状である場合、接触センサーでもよい。
【0056】
図5,6に示す位置調整機構40は、各位置P1~P3において支持部20とともに保持機構10の幅方向D2における位置を調整する。図5に示すように、差圧成形装置1のベースB1には、加熱ゾーンZ2を挟んで幅方向D2の両端部となる位置に側壁B2が固定され、成形ゾーンZ3を挟んで幅方向D2の両端部となる位置に側壁B3が固定されている。ここで、側壁B2は、第一の側S1の側壁B2A、及び、第二の側S2の側壁B2Bを総称している。側壁B3は、第一の側S1の側壁B3A、及び、第二の側S2の側壁B3Bを総称している。各位置調整機構40は、軸部材41、ハンドル42、及び、可動部材43を有している。この可動部材43は、第一の側S1の可動部材43A、及び、第二の側S2の可動部材43Bを総称している。可動部材43A,43Bは、ベースB1に対して幅方向D2へスライド可能に設置され、マーク検出部U3が取り付けられた送り部U11,U12を支持している。軸部材41は、第一の側S1の雄ねじ41a、及び、第二の側S2の雄ねじ41bを有し、長手方向を幅方向D2に向けて側壁B2又は側壁B3に対して中心軸を中心として回転動作可能に支持されている。雄ねじ41a,41bは、互いに逆向き(例えば雄ねじ41aが右回りで雄ねじ41bが左回り)のねじ山を有するものとする。可動部材43Aには雄ねじ41aと螺合する雌ねじが形成され、可動部材43Bには雄ねじ41bと螺合する雌ねじが形成されている。ハンドル42は、軸部材41を右回り、及び、左回りに回す操作を行うことが可能である。
【0057】
各位置調整機構40において、ハンドル42を右回りに回すと、軸部材41が右回りに回り、雄ねじ41a,41bと螺合した可動部材43A,43Bが幅方向D2において互いに近付く(又は遠ざかる)。ハンドル42を左回りに回すと、軸部材41が左回りに回り、雄ねじ41a,41bと螺合した可動部材43A,43Bが幅方向D2において互いに遠ざかる(又は近付く)。
以上のようにして、各位置P1~P3において支持部20とともに保持機構10の幅方向D2における位置が調整される。これにより、支持部20に取り付けられているマーク検出部U3も幅方向D2における位置が調整される。従って、マーク検出部U3の幅方向D2における位置を調整する機構を別途設ける必要がなく、保持機構10A,10Bの間隔をシートSH1の幅に合わせるという必要な作業を行っておけばマーク検出部U3の幅方向D2における位置を調整する作業は不要である。
【0058】
むろん、位置調整機構40は、ハンドルといった手作業により保持機構10A,10Bの間隔を調整する機構に限定されず、制御盤100への操作に応じて保持機構10A,10Bの間隔が自動的に制御される機構でもよい。
また、位置調整機構40の設置箇所は、3箇所に限定されず、位置P1,P2の間に位置調整機構を追加する等して4箇所以上にしてもよいし、減らして2箇所又は1箇所に限定してもよい。
【0059】
図10は、制御盤100(制御部U4の例)を中心とした熱成形品製造システムSY1の電気回路の構成例を示している。制御盤100は、差圧成形装置1の構成要素として、制御盤全体の動作を制御する中央制御回路101、第一送り部U11の動作を制御する搬送制御部111、第二送り部U12の動作を制御する搬送制御部112、成形装置70に含まれる成形機構70aの動作を制御する成形制御部113、ヒーター群HGの動作を制御するヒーター制御部114、情報出力部131、操作部132、等を備えている。搬送制御部111には、マークセンサーSN1とサーボモーター14Aが接続されている。搬送制御部112には、マークセンサーSN2とサーボモーター14Bが接続されている。
【0060】
中央制御回路101は、内部のバスに、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104、タイマー回路105、不揮発性メモリー106、等が接続された回路とされている。CPU102は、ROM103や不揮発性メモリー106に記録された制御プログラムに基づいてRAM104をワークエリアとして利用しながら熱成形品製造システムSY1の各部を制御する。
情報出力部131は、例えばディスプレイや音声出力器やプリンターで構成され、利用者から操作入力を受け付けた各種設定の内容や熱成形品製造システムSY1の運転状況を表す各種情報を表示等により出力する。操作部132は、例えば、カーソルボタンや数字ボタンや確定ボタンといった複数のボタンで構成され、利用者から操作入力を受け付ける。
【0061】
(4)差圧成形装置の動作、作用、及び、効果:
図11は、制御盤100が行う設定処理を例示している。この処理は、制御盤100の中央制御回路101が主体となって行い、マルチタスクにより他の処理と並列して行われる。
制御盤100は、設定入力画面を表示させる操作を受け付けると、図11に示すような設定入力画面140を情報出力部131に表示する(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。設定入力画面140には、ショット間隔L1(図4参照)の入力欄141、検出後送りL2(図4参照)の入力欄142、及び、マーク検出範囲L3の入力欄143を有している。長さL1は、ショットST1の間隔である。長さL2は、マークセンサーSN1,SN2でマークM1,M2を検出してからショットST1の位置までのシートSH1の搬送距離である。マーク検出範囲L3は、ショットST1毎にマークセンサーSN1,SN2でマークM1,M2が検出されるか否かを判断する範囲である。
【0062】
制御盤100は、入力欄141~143において、各長さL1~L3の設定入力を受け付ける(S104)。最後に、制御盤100は、各設定値(L1~L3)を不揮発性メモリー106に記憶して(S106)、設定処理を終了させる。
【0063】
図12は、差圧成形装置1が行う搬送成形処理を例示している。この処理は、制御盤100の中央制御回路101が主体となって行い、マルチタスクにより他の処理と並列して行われる。図13は、搬送成形処理が行われている時のシートSH1の位置を模式的に例示している。
制御盤100は、成形を開始させる操作を受け付けると、図12に示す搬送成形処理を開始し、ヒーター制御部114においてヒーター群HGへの通電を開始する(S202)。これにより、ヒーター群HGは、シートSH1を予備加熱する。以降、シートSH1において第一縁部SH11の送りと第二縁部SH12の送りとを別々に独立して駆動する処理を行う。図12において、S210,S212,S214,S216は第一縁部SH11を送る処理を示し、S220,S222,S224,S226は第二縁部SH12を送る処理を示している。
【0064】
S210において、制御盤100は、搬送制御部111においてサーボモーター14Aを駆動させて第一送り部U11に第一縁部SH11を所定の搬送速度V1で搬送方向D1の下流側D1Lへ送らせる。また、S220において、制御盤100は、搬送制御部112においてサーボモーター14Bを駆動させて第二送り部U12に第二縁部SH12を所定の搬送速度V1で搬送方向D1の下流側D1Lへ送らせる。
以上により、両縁部SH11,SH12は、搬送速度V1で搬送方向D1へ移動する。
【0065】
S210の処理後、制御盤100は、搬送制御部111においてマークM1を検出したか否かを判断し(S212)、マークM1を検出するまでS212の処理を繰り返す。S220の処理後、制御盤100は、搬送制御部112においてマークM2を検出したか否かを判断し(S222)、マークM2を検出するまでS222の処理を繰り返す。
【0066】
第一の側S1のマークM1が検出されると(図13のSTEP1)、制御盤100は、搬送制御部111においてマークM1の検出時から設定距離(L2)の送りが行われた時点でサーボモーター14Aの駆動を止めて第一縁部SH11の送りを停止させる(S214、図13のSTEP2)。第二の側S2のマークM2が検出されると(図13のSTEP1)、制御盤100は、搬送制御部112においてマークM2の検出時から設定距離(L2)の送りが行われた時点でサーボモーター14Aの駆動を止めて第二縁部SH12の送りを停止させる(S224、図13のSTEP2)。
以上により、両縁部SH11,SH12は、マークM1,M2から設定距離(L2)の位置において停止する。
【0067】
設計上は第一縁部SH11の送りが停止する時点で第二縁部SH12の送りが停止するが、実際には搬送部U1の使用によりチェーン11の伸びに若干差が生じることがあり、縁部SH11,SH12の送りの停止時が若干ずれることがある。制御盤100は、縁部SH11,SH12の両方の送りが停止した時点で成形制御部113において差圧成形部U2にシートSH1の成形対象ショットST2の差圧成形を行わせる(S204、図13のSTEP3)。これにより、予備加熱されたシートSH1の対象ショットST2が差圧により成形される。
【0068】
成形後、S216において、制御盤100は、搬送制御部111においてサーボモーター14Aを再び駆動させて第一送り部U11に第一縁部SH11を所定の搬送速度V1で搬送方向D1の下流側D1Lへ送らせ、処理をS212に戻す。また、S226において、制御盤100は、搬送制御部112においてサーボモーター14Bを再び駆動させて第二送り部U12に第二縁部SH12を所定の搬送速度V1で搬送方向D1の下流側D1Lへ送らせ、処理をS222に戻す。
以上により、両縁部SH11,SH12は、搬送速度V1で搬送方向D1へ移動する。上述した処理の繰り返しにより、シートSH1がショットST1の間隔L1で間欠的に搬送されて停止時にシートSH1が差圧により成形される処理が繰り返される。
【0069】
図15で示した比較例のように加熱ゾーンZ2よりも上流側D1UにマークセンサーSN1が配置されていると、マークセンサーSN1によりマークM0が検出されてからシートSH1が搬送される距離L92が2ショット分の距離2×L91よりも長くなってしまう。この場合、クランプチェーンといった搬送部の送り誤差により成形品PR1の位置が印刷模様PRT1の位置から目立つほどずれることがある。
また、マークセンサーSN1がレールを含む支持部から離れた場所に設置されていると、シートSH1の幅が変わる度にマークセンサーSN1の幅方向D2における位置を調整する必要がある。
【0070】
一方、図13で例示した本具体例は、マーク検出部U3が成形ゾーンZ3に配置され、これにより、マークM0が検出されてからシートSH1が搬送される距離が短く、その分、差圧成形位置の誤差が生じ難い。従って、差圧成形位置の精度が向上し、成形品PR1の位置が印刷模様PRT1の位置からずれ難い。
また、レール25を含む支持部20にマーク検出部U3が取り付けられているので、シートSH1の幅が変わってもマーク検出部U3のシート幅方向D2における位置を調整する必要が無くなる。
さらに、シートSH1に対して一面SH1a側からマークM0を検出することもできれば他面SH1b側からマークM0を検出することもできるので、差圧成形の自由度が高い。
さらに、使用によりチェーン11の伸びに差が生じるといった各縁部SH11,SH12の送りの速度に差が生じても、各マークM1,M2の検出を起点として設定距離(L2)の送りが行われた時点で各縁部SH11,SH12の送りが停止する。従って、この点でも、差圧成形位置の精度が向上し、成形品PR1の位置が印刷模様PRT1の位置からずれ難い。
【0071】
(5)変形例:
本技術は、種々の変形例が考えられる。
例えば、成形品製造システムは、製品取出装置が無くてもよく、スクラップ回収装置が無くてもよく、トリミング装置が無くてもよく、シート供給装置が無くてもよい。これらの成形品製造システムに含まれる差圧成形装置も、本技術に含まれる。別の装置によりシートが加熱されて軟化する場合、成形品製造システムは加熱装置が無くてもよい。この成形品製造システムに含まれる差圧成形装置も、本技術に含まれる。
シートの搬送部は、チェーンを有する搬送部に限定されず、シート縁部を挟むローラー対を有する搬送部等でもよい。
マーク検出部は、カバーを介してレールに取り付けられることに限定されず、例えば、レールに直接接触して取り付けられてもよい。
また、マークセンサーSN1,SN2の一方が無くても、図14に示すような処理を行うことにより、本技術を適用可能である。
【0072】
図14は、マークセンサーSN1を有しているがマークセンサーSN2の無い場合の差圧成形装置1が行う搬送成形処理を例示している。この処理も、制御盤100の中央制御回路101が主体となって行い、マルチタスクにより他の処理と並列して行われる。
【0073】
制御盤100は、成形を開始させる操作を受け付けると、図14に示す搬送成形処理を開始し、ヒーター制御部114においてヒーター群HGへの通電を開始する(S202)。次いで、制御盤100は、搬送制御部111,112においてサーボモーター14A,14Bを駆動させて送り部U11,U12にシート縁部SH11,SH12を所定の搬送速度V1で搬送方向D1の下流側D1Lへ送らせる(S210)。次いで、制御盤100は、搬送制御部111においてマークM1を検出したか否かを判断し(S212)、マークM1を検出するまでS212の処理を繰り返す。マークM1が検出されると、制御盤100は、搬送制御部111,112においてマークM1の検出時から設定距離(L2)の送りが行われた時点でサーボモーター14A,14Bの駆動を止めて縁部SH11,SH12の送りを停止させる(S214)。次いで、制御盤100は、成形制御部113において差圧成形部U2にシートSH1の成形対象ショットST2の差圧成形を行わせる(S204)。成形後、S216において、制御盤100は、搬送制御部111,112においてサーボモーター14A,14Bを再び駆動させて送り部U11,U12に縁部SH11,SH12を所定の搬送速度V1で搬送方向D1の下流側D1Lへ送らせ、処理をS212に戻す。
上述した処理の繰り返しにより、シートSH1がショットST1の間隔L1で間欠的に搬送されて停止時にシートSH1が差圧により成形される処理が繰り返される。
【0074】
上述した場合も、マーク検出部U3が成形ゾーンZ3に配置され、これにより、マークM0が検出されてからシートSH1が搬送される距離が短く、その分、差圧成形位置の誤差が生じ難い。従って、差圧成形位置の精度が向上し、成形品PR1の位置が印刷模様PRT1の位置からずれ難い。また、シートSH1の幅が変わってもマーク検出部U3のシート幅方向D2における位置を調整する必要が無くなり、差圧成形の自由度も高い。
【0075】
(6)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、差圧成形位置の精度を向上させる技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1…差圧成形装置、
10,10A,10B…保持機構、11…チェーン、15…保持部、
20,20A,20B…支持部、21…第一取付部位、22…第二取付部位、
25,25A,25B…レール、30,30A,30B…カバー、
40…位置調整機構、
50,50A,50B…支持部材、
70…成形装置、
100…制御盤、131…情報出力部、132…操作部、140…設定入力画面、
A1…成形範囲、C1…中心、
D1…搬送方向、D1U…上流側、D1L…下流側、D2…幅方向、D3…上下方向、
D4…移動方向、D41…第一移動方向、D42…第二移動方向、
DE1…シート供給装置、DE2…加熱装置、DE4…トリミング装置、
DE5…スクラップ回収装置、DE6…製品取出装置、
DR0,DR1,DR2…駆動部、
M0,M1,M2…マーク、
PR1…成形品、PRT1…模様、
S1…第一の側、S2…第二の側、
SH1…シート、SH1a…一面、SH1b…他面、SH2…成形シート、
SH10…縁部、SH11…第一縁部、SH12…第二縁部、
SN1…マークセンサー(第一マーク検出部の構成要素の例)、
SN2…マークセンサー(第二マーク検出部の構成要素の例)、
ST1,ST2…ショット、
SY1…熱成形品製造システム、
U1…搬送部、U2…差圧成形部、U3…マーク検出部、U4…制御部、
U11…第一送り部、U12…第二送り部、
Z1…シート供給ゾーン、Z2…加熱ゾーン、Z3…成形ゾーン、
Z4…トリミングゾーン、Z5…スクラップ回収ゾーン、Z6…製品取出ゾーン。
図1
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