(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20220415BHJP
A23L 33/155 20160101ALI20220415BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20220415BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20220415BHJP
A61K 31/59 20060101ALI20220415BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20220415BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220415BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220415BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/155
A23L33/125
A61K31/19
A61K31/59
A61K31/7004
A61P21/00
A61P43/00 121
A61K9/20
(21)【出願番号】P 2017069854
(22)【出願日】2017-03-31
【審査請求日】2020-03-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】川村 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 整一
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】SCITEC NUTRITION CATALOG 2016:WOD CRUSHER MUSCLE FACTOR Forskolin, HMB & More,2016年,p.19
【文献】J. Nutr. Biochem.,2001年,vol.12, no.11,pp.631-639
【文献】ビーレジェンド ホエイプロテイン フットボール リカバリー&アジリティ 1Kg,2016年07月26日,pp.1-3,URL: https://www.amazon.co.jp/%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%89-%E3%83%9B%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%83%95%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%AA%E3%83%BC%EF%BC%86%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3-1Kg/dp/B01J3B5BN2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/00-33/29
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウムと、ビタミンDと、グルコースとを含有することを特徴とする経口組成物
であって、3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウムとグルコースとの配合質量比が1:1.0~5.0である前記経口組成物(ただし、タンパク質を主成分として含有するものを除く)。
【請求項2】
筋肉の増強に用いられる筋肉増強用であることを特徴とする請求項1記載の経口組成物。
【請求項3】
筋肉の疲労回復に用いられる筋肉疲労回復用であることを特徴とする請求項1又は2記載の経口組成物。
【請求項4】
チュアブルタブレットであることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウム(HMBCa)を含む経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸(HMB)は、必須アミノ酸であるロイシンの代謝生成物であり、筋肉の合成促進や分解抑制にかかわっていることが知られている。しかしながら、体内でのHMB生成量は非常に少ないため、このHMBをサプリメント等として摂取する試みがなされている。
【0003】
このようなサプリメントに関し、3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウム(HMBCa)及び結晶セルロースを含有する錠剤が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1では、結晶セルロースを用いることにより打錠性を改善し、表面に凹凸のない錠剤を得ている。
【0004】
また、3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウム(HMBCa)の味及び臭いを改善するために、アミノ糖を用いることが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015‐218158号公報
【文献】特開2016‐88844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、HMBCaに関する種々の検討はなされているが、筋肉増強や筋肉疲労回復といったHMBCaのもつ効果そのもののさらなる向上については、あまり検討されていない。
【0007】
本発明の課題は、HMBCaのもつ筋肉増強効果や筋肉疲労回復効果を向上させた経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、HMBCaと共に、ビタミンD及びグルコースを用いることにより、HMBCaのもつ筋肉増強効果や筋肉疲労回復効果を向上させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウムと、ビタミンDと、グルコースとを含有することを特徴とする経口組成物。
[2]筋肉の増強に用いられる筋肉増強用であることを特徴とする[1]記載の経口組成物。
[3]筋肉の疲労回復に用いられる筋肉疲労回復用であることを特徴とする[1]又は[2]記載の経口組成物。
[4]チュアブルタブレットであることを特徴とする[1]~[3]のいずれか記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筋肉増強効果及び/又は筋肉疲労回復効果(筋肉疲労改善効果)が非常に高い経口組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の組成物を適用した場合のMyogenin遺伝子(myog)のmRNA発現量の測定結果を示す図である。
【
図2】本発明の組成物を適用した場合の筋管細胞の賦活作用の評価結果を示す図である。
【
図3】本発明の組成物を適用した場合のダメージを与えた筋芽細胞の細胞生存率の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の経口組成物は、3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウム(HMBCa)と、ビタミンDと、グルコースとを含有することを特徴とする。
【0013】
HMBCaと共に、ビタミンD及びグルコースを用いることにより、HMBCaのもつ効果を向上させることができる。すなわち、本発明の経口組成物は、HMBCaのもつ筋肉増強効果や筋肉疲労回復効果を向上させることができ、シェイプアップや、スポーツ選手の筋肉増強、病後の筋力回復、高齢者の寝たきり防止、運動時の筋肉ダメージの抑制、運動後の筋肉疲労回復、基礎代謝の向上等に用いることができる。
【0014】
[3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸カルシウム(HMBCa)]
本発明の経口組成物におけるHMBCaは、公知の方法により合成したものや、市販品を用いることができる。市販品としては、食品に適用可能なものであれば限定されない。
【0015】
[ビタミンD]
本発明の経口組成物におけるビタミンDは、脂溶性ビタミンの1種であり、植物由来であっても、動物由来であっても、合成品であってもよい。ビタミンDとしては、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、これらの誘導体が挙げられ、ビタミンD3が特に好ましい。一般的に、ビタミンD2は植物(植物性食品)に多く含まれ、ビタミンD3は動物(動物性食品)に多く含まれる。
【0016】
[グルコース]
本発明の経口組成物におけるグルコースは、L-グルコースでも、D-グルコースでもよいが、D-グルコース(ブドウ糖)が好ましい。ブドウ糖としては、無水結晶ブドウ糖、含水結晶ブドウ糖、精製ブドウ糖、液状ブドウ糖が挙げられ、デンプンを原料とした酸糖化法や酵素糖化法などによって得ることができる。本発明においては、市販のグルコースを用いることができる。
【0017】
[その他の成分]
本発明の経口組成物は、必要に応じて、経口用として許容される上記成分以外の他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0018】
本発明の経口組成物は、例えば、一般的な食品や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、医薬品(医薬部外品を含む)等として用いることができる。
【0019】
本発明の経口組成物は、筋肉増強及び/又は筋肉疲労回復に用いることができる。かかる筋肉増強用経口組成物や筋肉疲労回復用経口組成物は、HMBCa、ビタミンD、及びグルコースを含有し、筋肉増強及び/又は筋肉疲労回復に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができる物であれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに筋肉増強効果及び/又は筋肉疲労回復効果がある旨を表示したものが本発明の権利範囲に含まれる。例えば、「筋肉増強」「シェイプアップ」「筋肉疲労回復」「筋肉疲労改善」「寝たきり予防」「寝たきり防止」等の筋肉増強及び/又は筋肉疲労回復効果を有する旨を表示したものを例示することができる。
【0020】
なお、本発明の筋肉増強用経口組成物や筋肉疲労回復用経口組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(HMBCa、ビタミンD、及びグルコース)が、筋肉増強及び/又は筋肉疲労回復の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、HMBCaのみを有効成分として表示したものであってもよい。
【0021】
本発明の経口組成物は、賦形剤等の添加剤を必要に応じて添加して、公知の方法によって製造することができる。
【0022】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、錠状、固形状、丸状、チュアブル状等を挙げることができる。
【0023】
本発明の経口組成物は、摂取し易いチュアブル状の形態が好ましい。これは、運動前後、運動中などに水などがなくとも手軽に飲用することができる。
【0024】
本発明の経口組成物におけるHMBCa、ビタミンD、及びグルコース(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0025】
一般的には、本発明の経口組成物が錠状、チュアブル状等のサプリメントや医薬品の場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の30~90質量%含まれていることが好ましく、40~85質量%含まれていることがより好ましく、50~80質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0026】
本発明の経口組成物におけるHMBCaと、ビタミンDとの配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:0.0001~1:0.3の範囲であることが好ましく、1:0.001~1:0.2の範囲であることがより好ましく、1:0.01~1:0.1の範囲であることがさらに好ましい。
【0027】
本発明の経口組成物におけるHMBCaと、グルコースとの配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:0.5~1:5.0の範囲であることが好ましく、1:1.5~1:4.5の範囲であることがより好ましく、1:2.0~1:3.0の範囲であることがさらに好ましい。
【0028】
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、HMBCa摂取量が、500mg/日以上となるように摂取することが好ましく、1000mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、1500mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、5000mg/日であり、好ましくは3000mg/日である。本発明の経口組成物を摂取する対象としては、筋肉の増強や疲労回復を必要とする人であれば特に限定されないが、シェイプアップを目的とする人や、スポーツ選手や、足腰の弱った高齢者等を好ましく例示することができる。
【0029】
本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
試験1:筋芽細胞を用いた筋分化促進作用の評価
【0031】
(1)37℃、5%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、マウス筋芽細胞株(C2C12)を10%(V/V)FBS含有DMEMにて培養した。
(2)トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm2フラスコからコラーゲンコートした96ウェルプレートの各ウェルに10%(V/V)FBS含有DMEMを用いて1×104cells/wellの細胞密度で播種した。以下、DMEMはグルコース濃度1000mg/Lのものを用いた。
(3)37℃、5%CO2インキュベーター内で24時間前培養した。
【0032】
(4)10%(V/V)FBS含有DMEMで所定濃度(下記表1)に調整したサンプルを200μLずつ添加し、24時間培養した。
(5)24時間培養後、RNeasy Mini Kit(QIAGEN製)を用いてRNAを回収し、ReverTra Ace(登録商標)qPCR RT Master Mix with gDNA Remover(東洋紡製)を用いてcDNAを合成した。
(6)得られたcDNAを鋳型として、Myogenin遺伝子(Myog)に対するプライマー(QIAGEN製)を用いて、QuantiNova SYBR Green PCR Kit(QIAGEN製)により定量リアルタイムPCRを行い、Myogenin遺伝子のmRNA発現量を測定した。内在性コントロールとして、GAPDHプライマー(QIAGEN製)を用いて、GAPDHのmRNA発現量を測定した。
【0033】
各サンプルは、以下に示す方法で調製した。
ビタミンD3は、エタノールに溶解後、10%(V/V)FBS含有DMEMで希釈して、エタノール終濃度が0.1%(V/V)となるように調製し、フィルター滅菌した。その他の被験物質は、0.1%(V/V)エタノール及び10%(V/V)FBS含有DMEMに溶解後、フィルター滅菌した。
これらの各被験物質を含む溶液を0.1%(V/V)エタノール及び10%(V/V)FBS含有DMEMを用いて各被験物質が下記表1に示す濃度となるように調製した。なお、コントロールには、0.1%(V/V)エタノール及び10%(V/V)FBS含有DMEMを添加した。
【0034】
【0035】
図1に、Myogenin遺伝子のmRNA発現量の測定結果を示す。Myogenin遺伝子は、筋芽細胞が骨格筋に分化する際に働く遺伝子であり、Myogenin遺伝子のmRNA発現量は、骨格筋の分化の指標となる。数値は、高いほどMyogenin遺伝子のmRNA発現量が高いことを示す。
【0036】
図1に示すように、HMBCaにビタミンD3及びグルコースを添加した場合(実施例1及び2)、ビタミンD3のみの添加(比較例1)やビタミンD3及びスクロース添加(比較例2)の場合に比べて、高いMyogenin遺伝子のmRNA発現量を示した。また、実施例2及び比較例2に示すように、グルコースに代えてスクロースを用いても効果は低く、本発明の特定の組合せの場合に、特に優れた効果を発揮することがわかる。これらの結果より、本発明の組成物は、骨格筋分化を効果的に促進させ、骨格筋をより有効に増強することができると考えられる。
【0037】
試験2:筋管細胞を用いた細胞賦活作用の評価
(1)マウス筋芽細胞(C2C12)(理化学研究所バイオリソースセンター製)を37℃、5%CO2インキュベーター内で、10%FBS-DMEM培地により培養を行った。
(2)コラーゲンコート(東洋紡製)した96wellplateの各wellに12000cells/wellで播種し24時間前培養した。
(3)各wellより培地を除去後、2%HS-DMEMを200μL添加し72時間培養した。
(4)各wellより培地を除去後、2%HS-DMEMを200μL添加しさらに48時間培養した。これら一連の処理により、単核細胞である筋芽細胞は融合して、多核細胞である筋管細胞へと分化する。
【0038】
(5)各wellより培地を除去後、フィルターをしたKrebs buffer solution(KRP buffer)200μLで1度各wellを洗った。
(6)洗浄後、KRP bufferで所定の濃度(下記表2)に調整したサンプルを200μL添加し、16時間培養した。各サンプルは、試験1と同様に調製した。コントロールについても、試験1と同様である。
(7)培養後Cell Counting Kit-8(同仁化学研究所製)を用いて筋管細胞の賦活活性を測定した。
【0039】
【0040】
図2に、筋管細胞の賦活作用の評価結果を示す。数値は、高いほど筋管細胞の賦活作用が高いことを示す。筋肉は、筋管細胞から、収縮能を持つ筋繊維を形成する段階を経て完成することから、筋管細胞を賦活することで骨格筋を増強することができると考えられる。
【0041】
図2に示すように、HMBCaにビタミンD3及びグルコースを添加した場合(実施例3及び4)、ビタミンD3のみの添加(比較例3)やビタミンD3及びスクロース添加(比較例4)の場合に比べて、高い賦活作用を示した。また、実施例4及び比較例4に示すように、グルコースに代えてスクロースを用いても効果は低く、本発明の特定の組合せの場合に、特に優れた効果を発揮することがわかる。これらの結果より、本発明の組成物は、筋管細胞を効果的に賦活させ、骨格筋をより有効に増強することができると考えられる。
【0042】
試験1及び試験2の結果より、本発明の組成物は、筋芽細胞の分化を効果的に促進し、かつ、筋芽細胞から分化した筋管細胞を効果的に賦活することができることから、骨格筋を極めて有効に増強することができると考えられる。
【0043】
試験3:筋芽細胞を用いた筋疲労(損傷)の防止・回復効果の評価
(1)マウス筋芽細胞(C2C12)(理化学研究所バイオリソースセンター製)を37℃、5%CO2インキュベーター内で、10%FBS-DMEM培地により培養を行った。
(2)コラーゲンコート(東洋紡製)した96wellplateの各wellに8000cells/wellで播種し24時間前培養した。
(3)各wellより培地を除去後、10%FBS‐DMEMで所定濃度(下記表3)に調整したサンプルを150μL添加し24時間培養した。各サンプルは、試験1と同様に調製した。コントロールについても、試験1と同様である。
(4)培養後、10%FBS‐DMEMで100μg/mlに調製したニトロプルシドナトリウムを50μL添加し、24時間培養した。なお、この工程においては、ニトロプルシドナトリウムの添加により細胞死を誘発した。
(5)培養後Cell Counting Kit-8(同仁化学研究所製)を用いて筋芽細胞の生存率を測定した。
【0044】
【0045】
図3に、ダメージを与えた筋芽細胞の細胞生存率の評価結果を示す。数値は、高いほど筋芽細胞の細胞生存率(保護作用)が高いことを示す。
【0046】
図3に示すように、HMBCaにビタミンD3及びグルコースを添加した場合(実施例5及び6)、ビタミンD3のみの添加(比較例5)やビタミンD3及びスクロース添加(比較例6)の場合に比べて、高い細胞生存率(保護作用)を示した。また、実施例6及び比較例6に示すように、グルコースに代えてスクロースを用いても効果は低く、本発明の特定の組合せの場合に、特に優れた効果を発揮する。これらの結果より、本発明の組成物は、筋芽細胞を効果的に保護し、筋肉疲労(損傷)を防止・回復することができると考えられる。
【0047】
以上の結果より、本発明の組成物は、骨格筋を極めて有効に増強することができる(試験1及び試験2)と共に、筋芽細胞を効果的に保護し、筋肉疲労(損傷)を防止・回復することができる(試験3)と考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の経口組成物は、高い筋肉増強効果及び/又は筋肉疲労回復効果を有することから、本発明の産業上の有用性は高い。