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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20220415BHJP
【FI】
B25J9/06 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017081285
(22)【出願日】2017-04-17
(65)【公開番号】P2018176370
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227537
【氏名又は名称】NITTOKU株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】田口 広之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紀誉重
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-336994(JP,A)
【文献】特開2002-361583(JP,A)
【文献】特開平7-172584(JP,A)
【文献】特開2003-127084(JP,A)
【文献】特開2009-119563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持脚(12)と、
前記支持脚(12)の上部に水平方向に延びて設けられた水平部材(13)と、
前記水平部材(13)の下面に長手方向に移動可能に取付けられた水平移動台(14)と、
前記水平移動台(14)に下方に突出して設けられた台座(21)と、
前記台座(21)に下方から取付けられたサーボモータ(22)と、
前記サーボモータ(22)を回転中心として水平面内において回転する回転体(23)と、
前記回転体(23)に鉛直方向に移動可能に設けられ下端に操作治具(27)が取付けられた昇降ロッド(26)と
を備え
前記水平部材(13)の下方に前記水平部材(13)と平行に移動するパレット又はベルト(11a)が設けられ、
前記台座(21)の鉛直方向の長さの範囲で前記昇降ロッド(26)を昇降させる
ことを特徴とするロボット装置。
【請求項2】
台座(21)は円柱状を成して中心軸を鉛直にして上面が水平移動台(14)の下面に接するように取付けられ、
サーボモータ(22)は、円柱状の本体(22b)と、前記本体(22b)から上方に向けて突出して前記台座(21)の中心軸に一致するように前記台座(21)に取付けられた回転軸(22a)とを有し、
前記本体(22b)の外周に回転体(23)が取付けられ、
前記回転体(23)に昇降ロッド(26)が中心軸を回転中心として回転可能に設けられた請求項1記載のロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、部品を移設するような作業に適したロボット装置に関する。更に詳しくは、設置された空間の有効利用が可能となるロボット装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、部品を移設するようなロボット装置として、多関節型ロボットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この多関節型ロボットは、図7に示すように、設置場所に固定された固定ベース1と、その固定ベース1に旋回可能に取り付けられた旋回ヘッド2と、その旋回ヘッド2に前後方向に回動可能に取り付けられた下部アーム3と、その下部アーム3の先端に上下方向に回動可能に取り付けられた上部アーム4と、その上部アーム4の先端に鉛直下方に向けて設けられた先端アーム5と、その先端アーム5の鉛直軸5a回りに回転可能に支持された回転部6とを備えている。
【0003】
そして、このような多関節型ロボットを用いて部品を移設する場合には、その回転部6に部品を把持するような操作治具7を取付け、その操作治具7が把持した部品をその操作治具7と共に下部アーム3や上部アーム4が回動することにより持ち上げ、その状態で、旋回ヘッド2が固定ベース1に対して回転することによりその操作治具7を水平面内において旋回させ、更に下部アーム3や上部アーム4が逆方向に回動することによりその操作治具7を降下させる。これにより、操作治具7に把持された部品を移設するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-179682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の多関節型ロボットは、設置場所に固定ベース1を固定し、その固定ベース1を中心に旋回ヘッド2が旋回し、その旋回ヘッド2に下部アーム3と上部アーム4を設けているので、その固定ベース1を固定した周囲において、下部アーム3や上部アーム4と干渉する範囲において他の設備を設けることができず、多関節型ロボットの周囲空間の利用が制限される不具合がある。
【0006】
また、上記従来の多関節型ロボットを用いた移設等の作業にあっては、図7に一点鎖線で示す様に、その下部アーム3と上部アーム4を水平方向に伸ばした長さを半径rとする円の範囲に作業範囲が制限される。このため、例えば、ベルトコンベアにより搬送される部品等を移設する作業範囲は、そのベルトの長手方向に長い長円を成す範囲とされる場合も有り、このような場合に、円を作業範囲とする多関節型ロボットを用いると、その作業範囲に無駄を生じさせる不具合もある。
【0007】
本発明の目的は、設置された空間の有効利用を図り得るロボット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、支持脚と、支持脚の上部に水平方向に延びて設けられた水平部材と、水平部材の下面に長手方向に移動可能に取付けられた水平移動台と、水平移動台に下方に突出して設けられた台座と、台座に下方から取付けられたサーボモータと、サーボモータを回転中心として水平面内において回転する回転体と、回転体に鉛直方向に移動可能に設けられ下端に操作治具が取付けられた昇降ロッドとを備えたロボット装置である。
【0009】
台座が円柱状を成して中心軸を鉛直にして上面が水平移動台の下面に接するように取付けられている場合、サーボモータは、円柱状の本体と、その本体から上方に向けて突出して台座の中心軸に一致するように台座に取付けられた回転軸とを有し、その本体の外周に回転体が取付けられ、昇降ロッドは、その中心軸を回転中心として回転可能に設けられることが好ましく、水平部材の下方に水平部材と平行に移動するパレット又はベルトを設けた場合、台座の鉛直方向の長さの範囲で昇降ロッドを昇降させることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のロボット装置では、支持脚を介して空中に水平方向に延びて設けられた水平部材の下面に水平移動台を設け、その水平移動台に操作治具を設けるので、その操作治具が操作する範囲は水平部材の下方になる。そして、その水平部材の下方には何ら構成部材が存在することは無いので、その水平部材の下方の設置場所に他の設備を設けることが可能となり、その水平部材が設置された下方の空間の有効利用を図ることができる。
【0011】
また、その水平移動台に鉛直軸を回転中心として回転する回転体を設け、回転体の回転中心から偏倚して回転体に鉛直方向に移動可能に昇降ロッドを設け、その昇降ロッドの下端に操作治具を設けるので、本発明のロボット装置における操作治具の作業範囲は、回転体の回転中心を中心とする昇降ロッドの回転範囲と水平移動台の移動範囲となる。このため、昇降ロッドの回転範囲を超えて水平部材を長くすることにより、その作業範囲は長円となり、作業範囲を円形以外とすることが可能となる。
【0012】
このように水平部材を長くして操作治具の作業範囲を長円とすれば、その水平部材の下方に水平部材と平行に移動して、長円の作業範囲を必要とするパレット又はベルトを設けても、それらに搭載された部品を効果的に移設させる等の作業が可能となり、その作業範囲に無駄を生じさせることは無い。
【0013】
そして、昇降ロッド自体も回転可能にすれば、回転体の回転と別に昇降ロッドの下端に取付けられた操作治具を回転させることができ、その操作治具による操作の汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明実施形態のロボット装置の正面図である。
図2】そのロボット装置の側面図である。
図3】そのロボット装置を示す図2のA-A線断面図である。
図4】そのロボット装置の作業範囲を示す図2のB-B線断面図である。
図5】そのロボット装置によりベルト上の部品を引き上げる状態を示す図である。
図6】そのロボット装置によりその部品を容器内に移設した状態を示す図である。
図7】従来の多関節型ロボットを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1及び図2に、本発明のロボット装置10を示す。この実施の形態では、ベルトコンベア11を備えるものとし、ベルトコンベア11のベルト11aに搭載されて長手方向に搬送される部品9(図5及び図6)を、そのベルト11aの脇に設置された容器10aに移設するロボット装置10を用いて説明する。
【0017】
ここで、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が水平横方向、Y軸が水平前後方向、Z軸が垂直方向に延びるものとして説明する。そして、ベルトコンベア11はX軸方向に伸びて設けられるものとする。
【0018】
即ち、ベルトコンベア11は、基台10bの水平な上面にX軸方向に離間して設けられた一対の枢支台11eと、その一対の枢支台11eにY軸を中心として回転するように設けられた一対のローラ11b,11cと、X軸方向に伸びてその一対のローラ11b,11cに掛け回されたベルト11aと、一方のローラ11bを回転させるモータ11d(図2及び図4)とを備える。
【0019】
このため、このベルトコンベア11は、モータ11dを駆動して一方のローラ11bを回転させると、そこに掛け回されたベルト11aを循環させ、そのベルト11aに搭載された部品9(図5及び図6)をその長手方向であるX軸方向に搬送するように構成される。そして、ベルトコンベア11の脇の基台10bには、容器10aを上面に搭載する容器台10cが設置される。
【0020】
ここで、図1における符号11fは、部品9(図5及び図6)が搭載される上側のベルト11aの下面に上面が接して、ベルト11aの撓みを防止する支持板11fであって、符号11gは、その支持板11fを基台10bに取付ける取付脚11gを示す。
【0021】
また、本発明のロボット装置10は、支持脚12と、その支持脚12の上部に水平方向に延びて設けられた水平部材13を備える。支持脚12は設置場所である基台10bにベルトコンベア11に隣接して立設されるものであり、この実施の形態では、一対の支持脚12,12が、ベルトコンベア11の両端の近傍に立設されるものとする。
【0022】
このような支持脚12の上部に設けられる水平部材13は、空中において水平に真っ直ぐに伸びる平板状の部材であり、ベルトコンベア11におけるベルト11aの上方にそのベルト11aと所定の間隔を開けて、そのベルト11aと平行にX軸方向に伸びるように一対の支持脚12,12に架設されて取付けられる。
【0023】
ここで、ベルト11aと水平部材13との間の鉛直距離H(図2)は、後述する操作治具27が、ベルト11aに搭載された部品9(図5及び図6)を把持して搬送し得るに十分な距離とされる。
【0024】
また、本発明のロボット装置10は、水平部材13の下面に水平方向に移動可能に取付けられた水平移動台14を備える。即ち、本発明のロボット装置10は、水平移動台14と、その水平移動台14を水平部材13の下面において水平方向に移動させる移動手段18(図3)とを備える。
【0025】
具体的に、図3に示すように、水平部材13の下面には、Y軸方向に離間する一対のレール15,15が、水平部材13の長手方向であるX軸方向に延びて設けられ、水平移動台14はこのレール15,15に長手方向に移動可能に搭載される。
【0026】
また、水平移動台14を移動させる移動手段18は、一対のレール15,15の間においてX軸方向に延びて水平移動台14に螺合されたボールネジ16と、水平部材13の端部に取付けられてボールネジ16を回転させるモータ17とを備える。従って、この移動手段18では、モータ17が駆動してボールネジ16を正回転又は逆回転させると、ボールネジ16に螺合する水平移動台14が、一対のレール15,15に沿ってX軸方向に往復移動可能に構成される。
【0027】
また、図1及び図2に戻って、本発明のロボット装置10は、水平移動台14に下方に突出して設けられ、鉛直軸を回転中心として回転する回転体を備える。この実施の形態における水平移動台14には下方に向かって台座21が取付けられ、その台座21にはサーボモータ22が取付けられ、そのサーボモータ22にはボックス体23が取付けられる。
【0028】
台座21は円柱状を成しており、その台座21は、その中心軸を鉛直にしてその上面が水平移動台14の下面に接するように取付けられる。
【0029】
サーボモータ22は円柱状の本体22bとその中心軸上の端部から突出する回転軸22aを有し、その回転軸22aを上方にして、台座21の中心軸に回転軸22aの軸芯を一致させるようにサーボモータ22の回転軸22aが台座21に取付けられる。そして、ボックス体23は、サーボモータ22の円柱状を成す本体22bの外周面に取付けられる。
【0030】
従って、水平移動台14に取付けられた台座21とサーボモータ22における回転軸22aは回転しないことになる。このため、サーボモータ22が駆動すると、サーボモータ22における円柱状の本体22bと、その本体22bの外周面に取付けられたボックス体23が、鉛直軸である回転軸22aを回転中心として回転することに成り、少なくともボックス体23は回転体を構成するものとなる。
【0031】
更に、本発明のロボット装置10は、回転体の回転中心から偏倚して回転体に鉛直方向に移動可能に設けられた昇降ロッド26を備える。この昇降ロッド26は回転体を構成するボックス体23に鉛直方向に貫通して設けられる。図示しないが、このボックス体23には、その昇降ロッド26を昇降させる昇降機構や、その昇降ロッド26をその中心軸を回転中心として回転させる回転機構が内蔵される。
【0032】
このボックス体23は、昇降ロッド26を回転させかつ昇降させるそれぞれの機構が内蔵された市販のものであって、昇降ロッド26が設けられたボックス体23はサーボモータ22の本体22bの外周に取付けられるので、この昇降ロッド26は回転体の回転中心から偏倚して設けられるものとなる。そして、そのボックス体23より下方に突出する昇降ロッド26のベルト11aに臨む下端に操作治具27が取付けられる。
【0033】
ここで、昇降ロッド26の回転体の回転中心からの偏倚量L(図3)は、このロボット装置10を用いた部品9(図5及び図6)の移設作業において、操作治具27がY軸方向に移動する量との関係において決定される。即ち、回転体であるボックス体23が1回転した場合に、昇降ロッド26はY軸方向に往復移動するけれども、この範囲において、目的とする移設作業が可能となるように、その偏倚量Lが設定される。
【0034】
例えば、ベルトコンベア11のベルト11aに搭載されて長手方向に搬送される部品9(図5及び図6)を、そのベルト11aの脇の容器台10cに設置された容器10aに移設するロボット装置10である場合には、その容器台10cの近傍に水平移動台14が存在する場合であって、図3及び図4に示すように、上面視において、回転体であるボックス体23の回転中心を中心として昇降ロッド26が回転した場合に描く円Aの内側に、部品9が搭載されるベルト11aと容器10aが存在するように設定される。
【0035】
また、昇降ロッド26の下端に取付けられる操作治具27にあっても、本発明のロボット装置10に求める作用により選択され、部品9を把持して移設させる目的で本発明のロボット装置10を用いるのであれば、そのような部品9を把持し得る操作治具27が用いられる。
【0036】
図における操作治具27は部品9を把持するものであって、この操作治具27は、エア圧により離接する一対の挟持片27a,27bを有し、エア圧により互いに接近する一対の挟持片27a,27bにより、図5に示すように、その間にベルトコンベア11のベルト11a上に搭載された部品9が存在したならば、その部品9を把持するように構成される。そして、そのような一対の挟持片27a,27bを下方にして、その本体27cが昇降ロッド26の下端に取付けられる。
【0037】
次に、このようなロボット装置の動作を説明する。
【0038】
この実施の形態では、このようなロボット装置10の、ベルトコンベア11のベルト11aに搭載されて長手方向に搬送される部品9を、そのベルト11aの脇に設置された容器10aに移設する動作において説明する。
【0039】
最初に、移設される部品9は、ベルトコンベア11を駆動した状態で、ベルトコンベア11における上側のベルト11aに搭載される。具体的には、ベルトコンベア11におけるモータ11dを駆動して一方のローラ11bを回転させ、そこに掛け回されたベルト11aを循環させる。そして、ベルトコンベア11における上側のベルト11aに移設させる部品9(図5)を搭載する。すると、ベルト11aに搭載された部品9は、循環するベルト11aに搭載された状態でベルト11aの長手方向、即ち、X軸方向に搬送されることになる。
【0040】
次に、ベルト11aに搭載された部品9を移設するために、まず、部品9を操作治具27により挟持させる。そのため、操作治具27が下端に設けられた昇降ロッド26が上昇した待機位置から、その操作治具27を、図5(a)に示すように、操作治具27を部品9が搭載されたベルト11aの上方にまで移動させる。その操作治具27のX軸方向の移動は水平移動台14を水平部材13の長手方向であるX軸方向に移動させることにより行われ、操作治具27のY軸方向の移動は、回転体を回転させて操作治具27を昇降ロッド26と共にベルト11aの幅方向、即ちY軸方向に移動させることにより行われる。
【0041】
移設すべき部品9の上方に操作治具27を位置させた後には、図5(b)の一点鎖線で示すように、一対の挟持片27a,27bを離間させ、その状態で昇降ロッド26を下降させ、一対の挟持片27a,27bの間に部品9を進入させた状態で、エア圧により一対の挟持片27a,27bを互いに接近させ、それにより部品9を挟持する。その後、実線で示すように、昇降ロッド26を上昇させ、その昇降ロッド26と共に部品9を挟持した操作治具27を上昇させる。
【0042】
次に、その状態で、図6(a)に示すように、操作治具27を移設先である容器の上方にまで移動させる。その操作治具27のX軸方向の移動は水平移動台14を水平部材13の長手方向であるX軸方向に移動させることにより行われ、操作治具27のY軸方向の移動は、回転体であるボックス体23を実線矢印で示す様に回転させて、操作治具27を昇降ロッド26と共にベルト11aの幅方向に移動させることにより行われる。
【0043】
ここで、ベルトコンベア11の脇に容器台10cが設置され、この容器台10cは、その容器台10c近傍に水平移動台14が存在する場合であって、上面視において、昇降ロッド26の回転体であるボックス体23の回転中心を中心として昇降ロッド26が回転した場合に描く円Aの内側に設けられるので、その操作治具27を容器の上方にまで確実に移動させることができる。
【0044】
容器の上方に操作治具27を位置させた後には、図6(b)に示すように、その状態で昇降ロッド26を再び下降させ、容器10aに部品9を搭載する。その後に、一対の挟持片27a,27bを離間させ、操作治具27により部品9の把持を解消し、再びその操作治具27を一点鎖線で示す様に上昇させて待機位置に戻す。これにより、ベルト11aから容器10aへの部品9の移設が完了することになる。
【0045】
この時、図6(b)の破線矢印で示す様に、昇降ロッド26を、その中心軸を中心に回転させれば、操作治具27が把持する部品9を水平面内において回転させることが可能となる。このため、その部品9の移設において、容器10aへの部品9の搭載の状態を水平面内において変化させることできる。
【0046】
例えば、図6(b)に示すように、昇降ロッド26とともに操作治具27がモータ22の回転軸22aを中心に実線矢印で示す様に回転するにもかかわらず、昇降ロッド26を破線矢印で示す様に回転させれば、ベルト11aに載せられた部品9を平行移動して容器10aに移設することもできる。このため、その操作治具27による操作の汎用性を高めることができる。
【0047】
このように、本発明のロボット装置10では、支持脚12を介して空中に水平方向に延びて設けられた水平部材13の下面に水平移動台14を設け、その水平移動台14に回転体であるボックス体23及び昇降ロッド26を介して操作治具27を設け、その操作治具27を必要とする場合にのみ下降させることになる。
【0048】
このため、下降する操作治具27と干渉しない限り、その水平部材13の下方の空間、この実施の形態では、ベルトコンベア11が設けられた周囲に、ベルトコンベア11以外の他の設備を設けることが可能となり、その水平部材13が設置された下方の空間の有効利用を図ることができる。
【0049】
また、その水平部材13に鉛直軸を回転中心として回転する回転体を設け、回転体の回転中心から偏倚して回転体に鉛直方向に移動可能に昇降ロッド26を設け、その昇降ロッド26の下端に操作治具27を設けるので、従来の図7に示す多間接ロボットと比較して関節の数を減少させることができ、装置全体がコンパクトになる。
【0050】
また、本発明のロボット装置10における操作治具27のY軸方向の作業範囲は、図4に示すように、回転体の回転中心を中心として昇降ロッド26が回転した際に描く円Aの範囲である。そして、その操作治具27のX軸方向の作業範囲は、水平部材13のX軸方向の移動範囲となる。このため、昇降ロッド26の回転範囲を超えて水平部材13を長くすることにより、その作業範囲は図4の一点鎖線で示す様に長円となり、作業範囲を円形以外とすることが可能となる。
【0051】
このように水平部材13を長くして操作治具27の作業範囲を長円とすれば、その水平部材13の下方に水平部材13と平行に移動するパレット又はベルト11aを設けても、それらに搭載された部品9を効果的に移設させる等の作業が可能となる。
【0052】
また、操作治具27の作業範囲を長円として、作業範囲の無駄を抑制することにより、その作業範囲を包囲する安全柵などの設置長さを少なくすることもできる。
【0053】
そして、昇降ロッド26自体も回転可能にすれば、回転体の回転と別に昇降ロッド26の下端に取付けられた操作治具27を水平面内において回転させることができ、ベルト11a上の部品9及び容器に収容される部品9の水平面内における方向性を変化させることも可能となって、その操作治具27による操作の汎用性を高めることができる。
【0054】
また、昇降ロッド26と共に操作治具27は昇降することになるけれども、水平移動台14の下部に台座21を介してサーボモータ22を取付け、そのサーボモータ22の外周に取付けられたボックス体23に昇降ロッド26を取付けているので、少なくとも、台座21の鉛直方向の長さの範囲で昇降ロッド26の昇降は許容されることになる。このため、昇降ロッド26の必要な昇降の程度により、その台座21の鉛直方向の長さを調整することにより、比較的コンパクトなロボット装置10を得ることが可能になる。
【0055】
なお、上述した実施の形態では、水平移動台14の下部に台座21を介してサーボモータ22を取付け、そのサーボモータ22の外周に取付けられたボックス体23に昇降ロッド26を取付ける場合を説明した。けれども、昇降ロッド26の昇降に支障を生じさせないようであれば、台座21を設けることなく、水平移動台14にサーボモータ22を直接取付けるようにしても良い。
【0056】
この場合、サーボモータ22の回転軸22aを水平移動台14に取付けても良く、サーボモータ22の本体22bを水平移動台14に取付けても良い。サーボモータ22の本体22bを水平移動台14に取付ける場合、その回転軸22aを鉛直方向下方に向け、その回転軸22aに回転体となるボックス体23をその回転軸22aと偏倚するように取付けても良い。
【0057】
また、上述した実施の形態では、部品9を把持して移設させるため、部品9を把持し得る操作治具27が昇降ロッド26の下端に取付けられる場合を説明した。けれども、操作治具27は本発明のロボット装置10に求める作用により選択され、部品9を把持するものに限られない。例えば、部品9を把持せずに、磁力により吸着するようなマグネットを操作治具として昇降ロッドの下端に取付けても良い。
【符号の説明】
【0058】
10 ロボット装置
11a ベルト
12 支持脚
13 水平部材
14 水平移動台
23 ボックス体(回転体)
26 昇降ロッド
27 操作治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7