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特許7058461サッシ枠、その組付構造及びその組付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】サッシ枠、その組付構造及びその組付方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/964 20060101AFI20220415BHJP
   E06B 1/04 20060101ALN20220415BHJP
【FI】
E06B3/964 B
E06B1/04 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2016136165
(22)【出願日】2016-07-08
(65)【公開番号】P2018003563
(43)【公開日】2018-01-11
【審査請求日】2019-06-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083851
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 義勝
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 禎浩
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-130531(JP,U)
【文献】特開2005-232745(JP,A)
【文献】特開2005-133304(JP,A)
【文献】実開昭54-99435(JP,U)
【文献】実開平2-72791(JP,U)
【文献】実開平5-66191(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96- 3/99
1/00- 1/70
7/00- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形材の長手方向に交差する面において、その寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された左右の縦枠と、
形材の長手方向に交差する面において、その寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された上下の横枠と、
上横枠と左右縦枠を接続し、かつ、左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された上枠固定部を有する各コーナーブロックと、
下横枠と左右縦枠を接続し、かつ、左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された下枠固定部を有する各コーナーブロックと、
を備え、
各コーナーブロックには、縦枠において縦框が入り込み可能に形成された溝部に連続する溝部が、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロックに向けて突出するように、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロック側の端面に設けられているサッシ枠。
【請求項2】
形材の長手方向に交差する面において形材の寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された左右縦枠と、形材の長手方向に交差する面においてその寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された上横枠とが左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された上枠固定部を有する各コーナーブロックにより接続され、
前記左右縦枠と形材の長手方向に交差する面においてその寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された下横枠とが左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された下枠固定部を有する各コーナーブロックにより接続され、
各コーナーブロックには、縦枠において縦框が入り込み可能に形成された溝部に連続する溝部が、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロックに向けて突出するように、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロック側の端面に設けられていることを特徴とするサッシ枠の組付構造。
【請求項3】
左右の縦枠として、長手方向においてタッピングホールが形成された形材の長手方向に交差する面において形材の寸法のみを加工し、
上下の横枠として、長手方向においてタッピングホールが形成された形材の長手方向に交差する面において形材の寸法のみを加工し、
横枠に左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された横枠固定部を有するコーナーブロックを固定すると共にそのコーナーブロックに縦枠を固定し、又は、縦枠に左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された横枠固定部を有するコーナーブロックを固定すると共にそのコーナーブロックに横枠を固定し、
各コーナーブロックには、縦枠において縦框が入り込み可能に形成された溝部に連続する溝部が、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロックに向けて突出するように、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロック側の端面に設けられていることを特徴とするサッシ枠の組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、建物の開口部に取付けられるサッシ枠、その組付構造及びその組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部においては、通常、サッシ枠が固定され、そのサッシ枠に障子等が配置される構造となっている。
そのサッシ枠を組み立てる場合には、上下枠のそれぞれの端部と、左右縦枠のそれぞれの端部とを当接させて四周を連続させるために、上下枠及び/又は左右縦枠のそれぞれの端部に切欠を加工したり、孔明加工を行っていた。
【0003】
例えば、特許文献1では「上下の横枠6と左右の縦枠7は次のようにして組み付けサッシ枠2とする・・・左右の縦枠7(a,b)の上部において・・・それぞれの上下方向寸法(見付幅)分だけ切り下げ切除する・・・遮水壁30は見込み方向壁29の内周面から寸法d2を残して切除し・・・突条35とする・・・左右の縦枠7(a,b)の下部も同様に・・・室内側壁32を切除する・・・上下横枠6(a,b)は、端面を長手方向と直交するように切断する・・・遮水壁24の端部を端縁から寸法d2だけ切除し切欠36を形成する。いずれも両端を同様に加工する・・・縦枠7の突条35は横枠6の切欠36に嵌まり込み・・・突条35と切欠36の嵌合は縦枠7に横枠6を突当てて位置決めする際に位置決めを容易にし・・・各コーナーの連結部が形成されてサッシ枠2が完成する。」と記載されている(段落0021~同0025)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-61347号公報
【0005】
このような従来例のサッシ枠の構成及びこれに対応する組付構造及び組付方法の課題を列挙すれば次の通りである。
(1) 形材の切欠加工及び孔明加工は、手間のかかるもので、しかも精度よく加工するには熟練を要していた。
(2) (1)の課題は、形材の工場出荷時に、加工装置を用いて形材等の加工材の両端部分の切欠や孔明け等の切削加工を行うことで解消できるが、その切削加工等に使用される加工装置は一般的に高額な工作機械であり、その設備投資を検討する必要があった。
(3) 工場出荷時に加工された形材が、建物の施工現場の開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合、その寸法を切断加工した後に、再び切欠き等を形成する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、形材の切欠加工及び孔明加工が不要であり、サッシ枠の組付けに熟練を要することなく、また、形材の加工装置は、形材の切断の仕様のみとし、切削加工や孔明加工のための高価な加工装置のための設備投資を不必要として、さらに建物の施工現場において、開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合、その寸法を切断加工するのみで足り、再び切欠き等を形成する必要がないサッシ枠、その組付構造及びその組付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願発明に係るサッシ枠は、形材の長手方向に交差する面において、その寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された左右の縦枠と、形材の長手方向に交差する面において、その寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された上下の横枠と、上横枠と左右縦枠を接続し、かつ、左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された上枠固定部を有する各コーナーブロックと、下横枠と左右縦枠を接続し、かつ、左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された下枠固定部を有する各コーナーブロックと、を備え、各コーナーブロックには、縦枠において縦框が入り込み可能に形成された溝部に連続する溝部が、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロックに向けて突出するように、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロック側の端面に設けられているサッシ枠とした(請求項1に記載の発明)。
【0008】
上記課題を解決するため、本願発明に係るサッシ枠の組付構造は、形材の長手方向に交差する面において形材の寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された左右縦枠と、形材の長手方向に交差する面においてその寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された上横枠とが左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された上枠固定部を有する各コーナーブロックにより接続され、前記左右縦枠と形材の長手方向に交差する面においてその寸法のみが加工され、かつ、長手方向においてタッピングホールが形成された下横枠とが左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された下枠固定部を有する各コーナーブロックにより接続され、各コーナーブロックには、縦枠において縦框が入り込み可能に形成された溝部に連続する溝部が、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロックに向けて突出するように、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロック側の端面に設けられている構造となっている(請求項2に記載の発明)。
【0009】
上記課題を解決するため、本願発明に係るサッシ枠の組付方法は左右の縦枠として、長手方向においてタッピングホールが形成された形材の長手方向に交差する面において形材の寸法のみを加工し、上下の横枠として、長手方向においてタッピングホールが形成された形材の長手方向に交差する面において形材の寸法のみを加工し、横枠に左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された横枠固定部を有するコーナーブロックを固定すると共にそのコーナーブロックに縦枠を固定し、又は、縦枠に左右縦枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された縦枠固定部及び上下横枠のタッピングホールに連通するネジ孔が形成された横枠固定部を有するコーナーブロックを固定すると共にそのコーナーブロックに横枠を固定し、各コーナーブロックには、縦枠において縦框が入り込み可能に形成された溝部に連続する溝部が、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロックに向けて突出するように、上横枠又は下横枠を介して対向するコーナーブロック側の端面に設けられている組付方法とした(請求項3に記載の発明)。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、形材の切欠加工及び孔明加工が不要であり、サッシ枠の組付けに、熟練を要することなく、また、形材の加工装置は、形材の切断の仕様のみとし、切削加工や孔明加工のための高価な加工装置のための設備投資を不必要として、さらに建物の施工現場において、開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合、その寸法を切断加工するのみで足り、再び切欠き等を形成する必要がないサッシ枠、その組付構造及び組付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】サッシ枠の分解斜視図、
図2】サッシ枠の要部斜視図、
図3】同分解斜視図、
図4】(1)第3コーナーブロックの平面図、(2)同正面図及び(3)同右側面図、
図5】別例に係るサッシ枠の要部斜視図、
図6】同分解斜視図、
図7】(1)第3コーナーブロックの平面図、(2)同正面図及び(3)同右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願発明に係るサッシ枠10は、開口部(図示せず)に配置されると共に、障子等を建て込むための枠となるもので、図1乃至図3に図示されているように、形材の長手方向に交差する面(以下、交差面)22において、その寸法のみが加工されると共に、前記形材の長手方向に沿って、タッピングホール23が形成されている左縦枠(外観左側の縦枠)20及び右縦枠(外観右側の縦枠)21と、形材の交差面32において、その寸法のみが加工されると共に、前記形材の長手方向に沿って、タッピングホール33が形成されている上横枠(以下、上枠とも称する)30及び下横枠(以下、下枠とも称する)31と、左右縦枠20,21の各上端と上枠30の各端部をそれぞれ接続する第1及び第2のコーナーブロック40,41と、左右縦枠20,21の各下端と下枠31の各端部をそれぞれ接続する第3及び第4のコーナーブロック42,43と、第1~第8の水密材80~87を備えている。
【0014】
建物の開口部に固定される寸法に切断された前記左右縦枠20,21及び上下枠30,31は、その後、切欠やネジ孔が形成されることはなく、これらの切欠やネジ孔は、図1乃至図3には図示されていない。
なお、本書において詳述するサッシ枠に共通する構成は、共通する用語を用いると共に、各図において略同一に図示して詳細な説明は省略し、必要に応じて同一の符号で示すこととする。
【0015】
前記左縦枠20には、その長手方向に溝部24、室外板部25及び前記溝部24の背面に2条のタッピングホール23が形成されており、前記交差面22においてタッピングホール23、溝部24及び室外板部25の各断面が臨まれる。
前記タッピングホール23は、第1及び第3のコーナーブロック40,42と接続するためのネジを緊結するために使用される。
前記溝部24は、引違い障子の縦框が入り込めるようにしたもので、前記室外板部25は開口部の室外側をカバーすると共に、柱等に当接させて室内外方向の位置決めを行うものである。なお、上枠30と下枠31にも、室外板部25と室内外方向の同一位置に、それぞれ室外板部34,35が設けられている。
前記左縦枠20は上記のように形成され、その交差面22が含まれる左縦枠20の端部において、切欠やネジ孔が形成されることはない。
【0016】
前記右縦枠21は、前記左縦枠20と略同一に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
【0017】
前記上枠30は、その長手方向において、下枠31に形成されているレール部5と共に障子を案内するガイド部6と、その背面に2条のタッピングホール33が形成されており、前記交差面32においてガイド部6及びタッピングホール33の各断面が臨まれる。
【0018】
前記上枠30の交差面32が含まれる端部において、切欠やネジ孔が加工されることはない。
【0019】
前記下枠31は、その長手方向において、レール部5とその背面に2条のタッピングホール33が形成されており、前記交差面32においてレール部5及びタッピングホール33の各断面が臨まれる。
【0020】
前記下枠31においては、その交差面32が含まれる端部において、切欠やネジ孔が加工されることはない。
【0021】
前記第1のコーナーブロック40は、図1に図示したように、前記左縦枠20を固定する縦枠固定部44と、前記上枠30を固定する上枠固定部45からなる。
【0022】
前記縦枠固定部44は、前記左縦枠20の短手方向の幅に略一致する横辺440と縦辺441を備え、前記タッピングホール23に連通するネジ孔442を形成するために必要な長方形状の固定板部443と前記室外板部25に連続させる室外片444を備えている。
【0023】
上枠固定部45は、前記固定板部443から略直角に折上げられる折上片450からなり、この折上片450は、前記上枠30の短手方向の幅に略一致する横辺451と、前記上枠30の交差面32に当接できる幅の縦辺452を備えて、長方形状に形成されている。
この折上片450には、前記タッピングホール33に連通するネジ孔453が形成されていると共に、前記溝部24に連続させる縦ヒレ454が形成されている。
【0024】
第2のコーナーブロック41は、図1に図示するように、前記右縦枠21を固定する縦枠固定部44と、前記上枠30を固定する上枠固定部45からなり、これらは前記第1のコーナーブロック40と略同一に構成されているので、詳細な説明は省略する。
【0025】
第3のコーナーブロック42は、図1図4のように、前記左縦枠20を固定する縦枠固定部46と、前記下枠31を固定する下枠固定部47からなる。
【0026】
縦枠固定部46は、前記左縦枠20の短手方向の幅に略一致する横辺460と縦辺461を備え、前記タッピングホール23に連通するネジ孔462を形成するために必要な長方形状の固定板部463と前記室外板部25に連続させる室外片464を備えている。
【0027】
下枠固定部47は、前記固定板部463から略直角に折下げられる折下片470からなり、この折下片470は、前記下枠31の短手方向の幅に略一致する横辺471と、前記下枠31の交差面32を当接できる幅の縦辺472を備えた長方形状に形成されている。
この折下片470には、前記タッピングホール33に連通するネジ孔473が形成されていると共に、前記溝部24に連続させる縦ヒレ474が形成されている。
【0028】
第4のコーナーブロック43は、図1のように、前記右縦枠21を固定する縦枠固定部46と、前記下枠31を固定する下枠固定部47からなる。これらは前記第3のコーナーブロック42と略同一に構成されているので、詳細な説明は省略する。
【0029】
上述のように構成された第1乃至第4のコーナーブロック40~43においては、各縦枠固定部44,46の横幅は、左右縦枠20,21の短手方向の幅に一致し、また上下枠固定部45,47の横幅も、上下枠30,31の短手方向の幅に一致している。
よって、第1乃至第4のコーナーブロック40~43を用いて、左右縦枠20,21及び上下枠30,31を組付けた場合、例えば、室外板部25,34及び室外片444や、室外板部25,35及び室外片464等の各組付個所は、略面一となり、凹凸が形成されずに、従来の上下枠と縦枠との接合構造とは異なったシンプルな形態となっている。
【0030】
前記第1の水密材80~第8の水密材87は、弾性を備えた素材(例えばブチルゴム)により構成され、第1乃至第4のコーナーブロック40~43により、左右縦枠20,21と上下枠30,31を固定するネジで締め付けることによって、防水機能が発揮されるもので、それぞれ前記交差面22及び32の形状と略同一に成形されている。
第1の水密材80は、左縦枠20の上端と第1のコーナーブロック40間に、第2の水密材81は、上枠30の左端と第1のコーナーブロック40間に、第3の水密材82は、上枠30の右端と第2のコーナーブロック41間に、第4の水密材83は、右縦枠21の上端と第2のコーナーブロック41間に配置されている。
第5の水密材84は、左縦枠20の下端と第3のコーナーブロック42間に、第6の水密材85は、下枠31の左端と第3のコーナーブロック42間に、第7の水密材86は、下枠31の右端と第4のコーナーブロック43間に、第8の水密材87は、右縦枠21の下端と第4のコーナーブロック43間に、それぞれ配置されている。
【0031】
以上のような構成を備えたサッシ枠の作用効果は、次の通りである。
(1) 前記交差面22において、その寸法のみが加工される左右縦枠20,21と前記交差面32において、その寸法のみが加工される上下枠30,31に対して、第1、第2、第3及び第4のコーナーブロック40,41、42,43を用いて、それぞれのタッピングホール23,33にネジ止めすればよいので、サッシ枠の組付けが容易であり、特別な熟練は不要となっている。
(2) サッシ枠は、前記左右縦枠20,21、前記上下枠30,31及び第1、第2、第3及び第4のコーナーブロック40,41、42,43を備えているので、高額な加工装置を用いて形材等の加工材の両端部分の切欠や孔明け等の切削加工を行う必要はなく、そのための設備投資は不要となる。
(3) 建物の施工現場の開口部の寸法変更等のために形材の寸法を短くする必要がある場合であっても、左右縦枠20,21又は上下枠30,31の寸法を切断加工すれば足り、切欠き等の再形成は不要である。
(4) 前記左縦枠20、上枠30及び第1のコーナーブロック40の組付個所、前記右縦枠21、上枠30及び第2のコーナーブロック41の組付個所、前記左縦枠20と下枠31及び第3のコーナーブロック42の組付個所及び前記右縦枠21、下枠31、第4のコーナーブロック43の組付個所は、それぞれ略面一となり、従来の上枠と縦枠との接合構造とは異なる形態となっている。
(5) 第1の水密材80は、左縦枠20の上端と第1のコーナーブロック40間に、第2の水密材81は、上枠30の左端と第1のコーナーブロック40間に、第3の水密材82は、上枠30の右端と第2のコーナーブロック41間に、第4の水密材83は、右縦枠21の上端と第2のコーナーブロック41間に配置されているので、上部側の各交差面22,32での水密を図ることができる。
また、第5の水密材84は、左縦枠20の下端と第3のコーナーブロック42間に、第6の水密材85は、下枠31の左端と第3のコーナーブロック42間に、第7の水密材86は、下枠31の右端と第4のコーナーブロック43間に、第8の水密材87は、右縦枠21の下端と第4のコーナーブロック43間に、それぞれ配置されているので、下部側の各交差面22,32での水密を図ることができる。
【0032】
以上のような構成を備えたサッシ枠による組付構造は、次の通りである。
前記左縦枠20と上枠30とが第1のコーナーブロック40により接続され、前記右縦枠21と上枠30とが第2のコーナーブロック41により接続され、前記左縦枠20と下枠31とが第3のコーナーブロック42により接続され、前記右縦枠21と下枠31とが第4のコーナーブロック43により接続されている構造となっている。
【0033】
以上のように構成されたサッシ枠の組付方法について、説明する。
A 形材を加工する。
左右の縦枠20,21として、形材の寸法のみを加工し、また上下の横枠30,31として、形材の寸法のみを加工する。
B 第1乃至第4のコーナーブロック40~43を用いて左右縦枠20,21及び上下枠30,31を固定する。
即ち、左縦枠20の前記交差面22に、第1のコーナーブロック40の固定板部443を当接させつつ、ネジ孔442を介してタッピングホール23にネジ固定する。
また、第1のコーナーブロック40の折上片450に、上枠30の交差面32を当接させつつ、ネジ孔453を介して、タッピングホール33にネジ固定する。
同様に、第2乃至第4のコーナーブロック41~43を用いて左右縦枠20,21及び上下枠30,31を固定してサッシ枠を矩形状にする。
なお、組付けの順番は限定されるものではなく、例えば、上枠30を第1のコーナーブロック40に固定してから左縦枠20を固定してもよく、上枠30の両端部(左右)に第1及び第2のコーナーブロック40,41を固定してから左右縦枠20,21を固定してもよい。また、左縦枠20の両端部(上下)に第1及び第3のコーナーブロック40,42を固定してから上枠30と下枠31を固定してもよい。
【0034】
以上のような組付方法の効果は、次の通りである。
(6) サッシ枠を構成する上下枠30,31、左右縦枠20,21等の工場出荷時には、それぞれの端部の切欠加工や孔明加工の工程を省略できる。
(7) また、施工現場において開口部1の寸法変更等が発生しても、上下枠30,31及び/又は左右縦枠20,21のそれぞれの端部の切欠加工や孔明加工の工程を省略できる。
【0035】
次に図5から図7に基づいて別例の実施例を説明する。
この実施例が、上記実施例と異なる構成は、第3コーナーブロック42に、ゴミ等を掃き出すと共に、結露水等を枠外に排水することができる掃出段部48を設けた点である。
この掃出段部48は、前記第3コーナーブロック42の折下片470から、前記交差面32の断面形状と略同一の形状を延在させたもので、且つ、レール部5の一部を除去した形状に形成される。
前記第4コーナーブロック43にも同様に前記掃出段部48を形成してもよい。
【0036】
以上のような別例の実施例の効果は、次の通りである。
(8) 従来のサッシ枠とは異なり、掃出段部用の切欠き加工は不要となっている。
【0037】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。例えば、実施形態のスライディングサッシ枠ではなくプロジェクトサッシ枠でもよく、ガラスを建て込むFIX枠でもよい。
【符号の説明】
【0038】
10 サッシ枠

20 左縦枠 21 右縦枠
22 交差面 23 タッピングホール
24 溝部 25 室外板部
30 上枠 31 下枠
32 交差面 33 タッピングホール

40 第1のコーナーブロック 41 第2のコーナーブロック
42 第3のコーナーブロック 43 第4のコーナーブロック
44 縦枠固定部
440 横辺 441 縦辺
442 ネジ孔 443 固定板部
444 室外片

45 上枠固定部 450 折上片
451 横辺 452 縦辺
453 ネジ孔 454 縦ヒレ

46 縦枠固定部
460 横辺 461 縦辺
462 ネジ孔 463 固定板部
464 室外片

47 下枠固定部 470 折下片
471 横辺 472 縦辺
473 ネジ孔 474 縦ヒレ

48 掃出段部

5 レール部

6 ガイド部

80 第1の水密材 81 第2の水密材
82 第3の水密材 83 第4の水密材
84 第5の水密材 85 第6の水密材
86 第7の水密材 87 第8の水密材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7