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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】固定防振システムのための防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20220415BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20220415BHJP
   F16F 15/027 20060101ALI20220415BHJP
   F16F 3/02 20060101ALI20220415BHJP
   F16F 1/32 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
F16F15/04 F
F16F15/02 A
F16F15/027
F16F3/02
F16F1/32
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017121476
(22)【出願日】2017-06-21
(65)【公開番号】P2017227331
(43)【公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-05-12
(31)【優先権主張番号】16175910.5
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515263738
【氏名又は名称】インテグレイテッド ダイナミクス エンジニアリング ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Integrated Dynamics Engineering GmbH
【住所又は居所原語表記】Hermannstrasse 9-13, 65479 Raunheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】アーント エバース
(72)【発明者】
【氏名】ティル シャルフ
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-033089(JP,A)
【文献】特開平04-055577(JP,A)
【文献】特開平06-249284(JP,A)
【文献】特開2008-303997(JP,A)
【文献】特開2009-188053(JP,A)
【文献】特開2002-372096(JP,A)
【文献】特開平04-244628(JP,A)
【文献】特開2005-282696(JP,A)
【文献】特開平10-281109(JP,A)
【文献】特開2016-061443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00-15/36
F16F 1/00- 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定防振システム(40)のための防振装置(1)であって、水平方向及び垂直方向に効果的であり、少なくとも1つの空気圧式アクチュエータ(10、11)を備え、
前記空気圧式アクチュエータ(10)のピストン(15)は、互いに間隔を空けた少なくとも2つの板ばねによって軸方向に導かれ、
前記防振装置(1)は、ばねを備え、
前記ばねは、空気ばねであり、
前記空気圧式アクチュエータ(10)は、前記空気ばねのピストン(2)の周囲に環状に延在する、防振装置(1)。
【請求項2】
前記空気圧式アクチュエータ(10)は、前記空気ばねの作動空間(3)内に配置される、請求項に記載の防振装置(1)。
【請求項3】
さらに、前記空気ばねの前記ピストン(2)は、互いに間隔を空けた前記少なくとも2つの板ばねによって軸方向に導かれる、請求項に記載の防振装置(1)。
【請求項4】
前記空気圧式アクチュエータ(10)は、2つの空間方向において効果的である、請求項1からのいずれか一項に記載の防振装置(1)。
【請求項5】
前記防振装置(1)は、水平方向に効果的な1つの空気圧式アクチュエータ(10)と、垂直方向に効果的な1つの空気圧式アクチュエータ(11)とを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の防振装置(1)。
【請求項6】
固定防振システムのための請求項1からのいずれか一項に記載の防振装置(1)のための空気圧式アクチュエータ(10)であって、内部にピストン(15)が配置される環状の作動空間を備え、前記空気圧式アクチュエータ(10)のピストン(15)は、互いに間隔を開けた少なくとも2つの板ばねによって軸方向に導かれる、空気圧式アクチュエータ(10)。
【請求項7】
前記ピストン(15)は、前記作動空間の壁部から間隙(28)によって離間する、請求項に記載の空気圧式アクチュエータ(10)。
【請求項8】
前記ピストン(15)は、前記作動空間を2つの圧力室(26a、26b)に分割する、請求項又はに記載の空気圧式アクチュエータ(10)。
【請求項9】
前記作動空間は、少なくとも1つの膜(18a、18b)によって密封される、請求項又はに記載の空気圧式アクチュエータ(10)。
【請求項10】
能動的な防振システム(40)であって、請求項1からのいずれか一項に記載の少なくとも1つの防振装置(1)及び/又は少なくとも1つの空気圧式アクチュエータ(10)を備える、能動的な防振システム(40)。
【請求項11】
空気圧式アクチュエータ(10)を制御する制御ループを有し、該制御ループは、前記空気圧式アクチュエータの作動空間内の圧力を測定する圧力センサ、又は前記空気圧式アクチュエータがもたらす力を測定する力センサを備える、請求項10に記載の能動的な防振システム(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定防振システム(stationary vibration isolation system)のための防振装置に関する。具体的には、本発明は、能動的な防振のためのアクチュエータを含む、空気ばねとして実装される防振装置に関する。
【0002】
とりわけ、本発明は、半導体デバイス加工のためのリソグラフィシステム及び/又は度量衡システムを防振的に支持するために使用する、固定された、すなわち動かないように設置された防振システムに関する。
【0003】
さらに、本発明は、固定防振システムのための空気式アクチュエータにも関する。
【0004】
本出願は、2016年6月23日に出願された欧州特許出願第16175910.5号の優先権を主張するものであり、この文献の開示はその全体が引用により組み入れられる。
【背景技術】
【0005】
通常、とりわけ半導体加工のためのリソグラフィ装置又は度量衡装置を支持するために使用されるような固定防振システムは、複数の防振装置上に取り付けられたテーブルで構成される。
【0006】
慣例からは、とりわけ地震性振動、又は防振すべき負荷(機械)によって生じる振動を相殺する能動的な制御システムを備えた能動的な防振システムが知られている。例えば、床上及び/又は防振すべき負荷上に配置されたセンサを用いて振動を測定することができる。取得された測定値を制御装置が使用して、能動的な防振のためのアクチュエータを駆動するために使用される補償信号を能動的に生成する。慣例では、空気圧式又は機械式(例えば、コイルばね)防振装置内又はこのような装置上に配置された、主に磁気によるアクチュエータを用いて対抗力を生じさせる。
【0007】
加工する半導体デバイスのサイズと共に、この目的で使用するシステムのサイズも増加する。従って、アクチュエータがもたらす必要のある反力はますます大きくなり、これによって電動アクチュエータの使用はさらに困難になる。この結果、磁気的原理に従って動作する複数のアクチュエータを1つの作用方向に並列に接続することが必要になる。このことは、利用可能な設置空間が制限されることに起因して、用途によっては複雑又は不可能である。磁気アクチュエータの使用は、アクチュエータからの常に存在する放熱によってさらに制限される。
【0008】
確かに、磁気アクチュエータを駆動する必要性は、防振システムの空気圧レベルの制御を能動的な防振に組み込むことによって低下させることができる。しかしながら、このことは、必ずしも上述した短所を排除するのに十分ではない。
【0009】
特許文献1(Integrated Dynamics Engineering社)には、コイルばねを備えた機械的な防振装置が開示されている。
【0010】
特許文献2(Integrated Dynamics Engineering社)には、交換可能な板ばねアセンブリを通じて適合できる特性を有する空気ばねを備えるとともに、水平方向に防振効果をもたらす屈曲ペンデュラムを備えた防振装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第2759736号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2998611号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、この背景に鑑み、先行技術の短所を軽減するという目的に基づくものである。
【0013】
具体的には、本発明は、高補償力と低放熱とを同時に達成できる、能動的な防振システムのための一般的に使用できる防振装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、独立請求項のいずれか1項に記載の、固定防振システムのための防振装置及び空気圧式アクチュエータによって既に達成されている。
【0015】
従属請求項の主題、明細書及び図面からは、本発明の好ましい実施形態及び改善が明らかになる。
【0016】
本発明は、固定防振システムのための防振装置に関する。具体的には、本発明は、半導体デバイスの加工機械、とりわけリソグラフィ装置又は度量衡装置が防振的に取り付けられた防振システムのための防振装置に関する。
【0017】
通常、このような防振システムは、床に対する防振性を有する少なくとも3つの防振装置上に配置されたプレートを含む。
【0018】
防振装置は、水平方向及び垂直方向に効果的であり、すなわち床に対する分離(decoupling)が水平方向にも垂直方向にももたらされる。
【0019】
この目的のために、防振装置は、ばねを含むことが好ましい。具体的に言えば、防振装置は、少なくとも垂直方向に効果的なばねを含む。
【0020】
このばねは、とりわけ空気ばねとして構成することができる。
【0021】
本発明の1つの実施形態では、空気ばねが垂直方向のみに効果的である一方で、水平方向の分離のためにさらなる構成部品、特に屈曲ペンデュラムが設けられる。
【0022】
本発明によれば、防振装置は、少なくとも1つの空気圧式アクチュエータを含む。
【0023】
従って、防振装置は、振動を能動的に低減するための補償力を空気圧式アクチュエータによって生成できる能動的な防振システムでの使用が意図される。
【0024】
この場合、アクチュエータは、防振的に支持された負荷を床から分離するためには使用されず、対抗力を生じるために補償力のみを生成することが好ましい。
【0025】
上述した先行技術とは対照的に、この補償力を生じるアクチュエータは、空気圧式アクチュエータとして実装される。空気圧式アクチュエータを用いた場合でも、高対抗力を生み出せることが分かっている。同時に、電気的に動作するアクチュエータに比べて、放熱も大幅に低減される。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、空気圧式アクチュエータが、空気ばねのピストンの周囲に環状に延在する。
【0027】
空気圧式アクチュエータの作動空間、すなわち空気圧式アクチュエータのピストンによって力を生じる圧容量も、防振的に支持された負荷を床から分離する役割を果たす空気ばねの一部である防振装置のピストンの周囲に環状に延在することが好ましい。
【0028】
従って、空気圧式アクチュエータは、防振装置の一体部品である。これにより、とりわけコンパクトな設計が可能になる。
【0029】
空気圧式アクチュエータは、とりわけ空気ばねの作動空間内に配置することができる。
【0030】
好ましい実施形態では、空気圧式アクチュエータのピストンが、互いに間隔を空けた少なくとも2つの板ばねによって導かれる。
【0031】
とりわけ、空気圧式アクチュエータのピストンと隣接する作動空間の壁部との間に、通常の動作状態中に隣接する作動空間の壁部にピストンが係合しないような十分な幅の間隙を設けることが検討される。
【0032】
このようにして、ピストンと隣接する壁部との間に振動を引き起こす可能性のあるあらゆる摩擦力が生じるのを防ぐ。
【0033】
防振装置の空気ばねのピストンも、互いに間隔を空けた少なくとも2つの板ばねによって軸方向に導かれることが好ましい。
【0034】
従って、この実施形態によれば、空気圧式アクチュエータ及び空気ばねの両方が1つの空間方向のみに、好ましくは垂直方向のみに効果的であることが検討される。防振装置のピストン及び空気圧式アクチュエータのピストンを軸方向に導くために、互いに間隔を空けた板ばねを設け、各ピストンを、これらの板ばねを通じて防振装置の基部、すなわち防振装置の底部に、2つのピストンが軸方向にしか変位できない形で結合する。
【0035】
本発明のさらなる実施形態では、空気圧式アクチュエータが、2つの空間方向に効果的である。この目的のために、とりわけ、ピストンがアクチュエータの作動空間を2つの圧力室に分割することが検討される。
【0036】
従って、ピストンは、それぞれの圧力室内に流体を導入することによって2つの対向する方向に変位することができる。
【0037】
本発明のさらなる実施形態では、防振装置が、水平方向に効果的なアクチュエータと、垂直方向に効果的なアクチュエータとを含む。
【0038】
両アクチュエータは、空気圧式アクチュエータとして実装されることが好ましい。従って、垂直方向及び水平方向の両方に補償力を生じることができる。
【0039】
垂直方向に効果的な空気圧式アクチュエータは、ばねの、具体的には空気ばねの作用軸(effective axis)と実質的に一致する作用軸を有することが好ましい。このようにすると、垂直方向に補償力が生じている最中にシステムに回転力が導入されなくなる。
【0040】
さらに、本発明は、固定防振システムのための空気圧式アクチュエータにも関する。空気圧式アクチュエータは、とりわけ上述したような防振装置における使用が意図される。
【0041】
本発明によれば、この空気圧式アクチュエータは、内部にピストンが配置される環状の作動空間を含む。
【0042】
空気圧式アクチュエータは、環状の構成を有することにより、一方では、例えばばねの構成部品などの防振装置の構成部品がアクチュエータ内に延在するようにすることができる。
【0043】
他方では、これによって空気圧式アクチュエータの作用軸と防振装置のばねの作用軸とを単純にまとめる(collocate)ことができる。
【0044】
空気圧式アクチュエータは、好ましくは作動空間の壁部から間隙によって離間したピストンを含む。
【0045】
本発明の1つの実施形態によれば、作動空間が2つの圧力室に分割される。従って、圧力室によって定められる2つの作動室を設けることにより、空気圧式アクチュエータを単純に2つの対向する方向において効果的になるように設計することができる。
【0046】
作動空間又は2つの圧力室は、少なくとも1つの膜によって閉鎖されることが好ましい。
【0047】
従って、作動空間は、作動空間内で動くピストンによってではなく柔軟な膜によって密封される。これにより、いずれの構成部品間にも摩擦接触が存在しないので、作用方向における剛性をとりわけ低くすることができる。同時に、構成部品が相対的に摺動することに起因する振動の発生が避けられる。
【0048】
さらに、本発明は、上述した少なくとも1つの防振装置及び/又は上述した少なくとも1つの空気圧式アクチュエータを備えた能動的な防振システムにも関する。
【0049】
通常、能動的な防振システムは、床の振動及び/又は防振的に支持された負荷の振動を検出するセンサを含む。これらのセンサは、補償力を生じるためにアクチュエータを制御する制御装置に接続される。
【0050】
このような補償力は、システム内に延在する床の振動を相殺できるとともに、例えば可動部品を有する機械などの、防振的に支持された負荷の部品によって生じる振動を低減することもできる。
【0051】
1又は2以上の空気圧式アクチュエータを制御するために、制御装置によって駆動される空気弁が設けられる。
【0052】
空気流体の圧縮性に起因して、空気圧式アクチュエータ内に導入される流体の体積は生成される力に比例しないので、本発明の1つの実施形態によれば、空気圧式アクチュエータを制御する制御ループに圧力センサを統合し、このセンサによって空気圧式アクチュエータの作動空間内の、とりわけ圧力室内の圧力を測定することが検討される。このような圧力センサを使用すると、単純に比例性を達成することができる。
【0053】
或いは、空気圧式アクチュエータがもたらす力を直接測定する力センサを使用することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明による防振装置の例示的な実施形態の断面図である。
図2】防振装置の斜視図である。
図3】防振装置に使用する空気圧式アクチュエータの斜視図である。
図4図3に示すアクチュエータの分解図である。
図5】アクチュエータの断面図である。
図6図5の詳細を示す図である。
図7】ハウジングの一部と、作動室を密封する膜とを省略したアクチュエータの斜視図である。
図8】防振装置内に設置されたアクチュエータを示す細部の断面図である。
図9】防振装置の作動空間内に存在する構成部品の分解図である。
図10】防振装置の作動空間内に配置された構成部品の斜視図である。
図11】水平方向に補償力を生じるように設けられる別のアクチュエータの分解図である。
図12】防振システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図1図12の図面に示す例示的な実施形態を参照しながら本発明の主題をさらに詳細に説明する。
【0056】
図1は、本発明による防振装置1の1つの実施形態の断面斜視図である。
【0057】
防振装置1は、この例示的な実施形態ではプレートの形で設けられる、設置状態において防振すべき負荷の一部である上部5を含む。
【0058】
上部5は、設置状態において床に接続される基部6に対して防振的に取り付けられる。
【0059】
この目的のため、この例示的な実施形態では、防振装置1は空気ばねを含む。
【0060】
圧縮空気を導入できる空気ばねの作動空間3が見える。
【0061】
作動室3を通じてピストン2が支持され、これによって垂直方向の防振がもたらされる。
【0062】
作動室3は、膜45によって閉鎖される。
【0063】
ピストン2は、互いに間隔を空けた2つの板ばねアセンブリ8、9によって軸方向に導かれる。
【0064】
水平方向の防振効果をもたらすために、ピストン2は、屈曲ペンデュラム4を通じて上部5に接続される。
【0065】
この実施形態では、コンパクトな構成を実現するために、屈曲ペンデュラム4がピストン2の凹部7内に位置する。
【0066】
防振装置1は、垂直方向に効果的であり、補償力を生じることができる空気圧式アクチュエータ10をさらに含む。
【0067】
空気圧式アクチュエータ10は、環状構成を有し、空気ばねの作動空間3内に位置する。
【0068】
さらに、空気圧式アクチュエータ10は、2つの板ばねアセンブリ8、9間に位置する。
【0069】
水平方向の補償力を生じるために、空気ばねの作動空間3のハウジング46に隣接して位置する少なくとも1つのさらなる空気圧式アクチュエータ11が設けられる。
【0070】
図2は、図1に示す防振装置の斜視図である。
【0071】
ここでは、とりわけ水平方向の対抗力を生じるために使用される空気圧式アクチュエータ11が見える。
【0072】
図示のように、空気圧式アクチュエータ11からは、拡張部13が突出する。拡張部13がピストン又はピストンの一部に接続されることによって対抗力が生じる。
【0073】
ピストンは、屈曲ロッド12を通じて上部5のブラケット14に接続される。
【0074】
屈曲ロッド12は、アクチュエータ11を、その作用方向に対して横向きに分離する役割を果たす。
【0075】
ここで見える拡張部13は、空気圧式アクチュエータ11のハウジングから横向きに突出する。ハウジング内にはさらなる拡張部が配置され、この例では、空気圧式アクチュエータ11のハウジングの開口部を通って屈曲ロッドが延在する。
【0076】
図3は、図1に示す空気圧式アクチュエータ10の斜視図である。
【0077】
空気圧式アクチュエータ10は環状構成を有し、軸方向に移動可能なピストン15が内部に配置されるハウジング16で構成される。
【0078】
図4は、図3に示す空気圧式アクチュエータの分解図である。
【0079】
図示のように、ハウジングは、3つの部品、すなわちハウジング上部16aと、ハウジング中間部16bと、ハウジング下部16cとで構成される。
【0080】
このように定められたハウジング内には、この例示的な実施形態では拡張部25a及び25bが固定されるピストン中間部17で構成されたピストンが配置される。
【0081】
拡張部25a及び25bは、防振すべき負荷に接続することができ、(部品16a~16cで構成された)ハウジングは、基部に結合される。
【0082】
ここに示す空気圧式アクチュエータ10は、2つの対向する方向において効果的である。
【0083】
この目的のために、ピストン又はピストン中間部17は、作動空間を2つの圧力室に分割する。
【0084】
圧力室は、それぞれ膜18a、18bによって密封されることにより、この例示的な実施形態では、ハウジング上部16aと膜18aとの間に1つの圧力室が設けられ、ハウジング下部16cと膜18bとの間に他の圧力室が設けられるようになる。
【0085】
膜18a、18bは、ピストン又はピストン中間部17に接続される。
【0086】
この目的のために、それぞれのクランプリング19a、19bが意図される。
【0087】
従って、クランプリング19a及び19bは、それぞれ圧力室内に位置する。
【0088】
クランプリング19a及び19bは、ねじ21a及び21bによってピストン又はピストン中間部17に固定されることにより、それぞれの膜18a、18bを固定する。クランプリング19a及び19bに対向して配置されたクランプリング22a、22bが、それぞれの膜18a、18bを、ハウジング、又はハウジング上部16a及びハウジング下部16cにそれぞれ固定する。
【0089】
この例示的な実施形態では、ハウジング上部16a及びハウジング下部16cが、ねじ20a及び20bによってハウジング中間部16bに接続される。
【0090】
さらに、別の環状配列のねじ23a、23bも設けられる。ねじ23a及び23bは、ねじ式スリーブ24にねじ込まれることにより、ハウジング上部16aとハウジング下部16cとを接続する。
【0091】
ねじ式スリーブ24は、ピストン又はピストン中間部17のボアを通って延在し、これらのボアは、ねじ式スリーブ24がピストン内でピストンのボアに当接しないほどの隙間を有するように十分に大きい。
【0092】
ねじ23a及び23bとねじ式スリーブ24とによって生じるさらなる接続は、ハウジング部品同士の最適な表面接触圧に役立つ。この接続は、省略することもできると理解されるであろう。
【0093】
膜18a及び18bは、ハウジング上部16aとハウジング下部16cとを同時にハウジング中間部16bから密封する役割を果たす。
【0094】
空気圧式アクチュエータ10は、作動空間に圧縮空気を供給するための流体供給部をさらに有すると理解されるであろう。
【0095】
図5は、上述した空気圧式アクチュエータ10の断面図である。
【0096】
環状のピストン15が見える。
【0097】
さらに、空気圧式アクチュエータ10は、例えば防振装置の構成部品が延在することができる中心通路27を有していることが分かる。
【0098】
図6は、図5の詳細図である。
【0099】
ピストン15は、隣接するハウジング壁部から間隙28によって離間していることが分かる。
【0100】
圧力室26a及び26bは、膜18a、18bによって密封される。
【0101】
さらに、圧力室26a、26bによって定められる作動空間は、非常に狭いことが分かる。アクチュエータは空気ばねとして使用されず、対抗力を生じる役割しか果たさないので、この空気圧式アクチュエータにとっては、具体的には10cm未満の、好ましくは5cm未満の非常に狭い作動空間で十分である。
【0102】
空気ばねを防振要素として使用する場合、空気圧式アクチュエータの作動空間の体積(圧力室の体積の合計)は、空気ばねの作動空間の体積の最大で1/5であることが好ましく、最大で1/10であることがさらに好ましい。
【0103】
図7は、ハウジング上部と上部作動室を密封する膜とを省略した空気圧式アクチュエータの斜視図である。
【0104】
この図では、ピストン15に膜(省略)を固定するために使用するクランプリング19aが見える。
【0105】
さらに、ハウジング上部とハウジング下部とを接続するために使用される、ピストン15のボア29内に間隙を伴って配置されたねじ式スリーブ24も見える。
【0106】
図8は、防振装置の別の断面図である。
【0107】
防振装置の空気ばねのピストン2の周囲に延在する空気圧式アクチュエータ10の環状ピストン15が見える。
【0108】
ピストン15は、ピストン2に接続される。
【0109】
従って、ピストン2を含む空気ばねの作用軸と、空気圧式アクチュエータ10の作用軸とは一致する。
【0110】
さらに、互いに間隔を空けて、間に空気圧式アクチュエータ10が配置された板ばねアセンブリ8及び9も見える。
【0111】
ピストン15は、ピストン2にしっかりと接続されるので、空気圧式アクチュエータのピストン2及びピストン15は、いずれも板ばねアセンブリ8及び9の間隔を空けた板ばねによって軸方向に導かれる。
【0112】
図9は、設置状態において空気ばねの作動空間内に配置される構成部品の分解斜視図である。
【0113】
ピストン2に接続された屈曲ロッド4が見える。
【0114】
さらに、上部板ばねアセンブリ9の板ばね31と、下部板ばねアセンブリ8の板ばね30とが、いずれも環状セグメントで構成されていることが分かる。
【0115】
空気圧式アクチュエータ10は、板ばねアセンブリ8、9間に単純に取り付けることができる。
【0116】
ピストン15は、ピストン2と、板ばねアセンブリ8及び9とに接続される。
【0117】
図10には、図9に示す構成部品を組み立てた状態を示す。
【0118】
図示のように、空気圧式アクチュエータ10は、ピストン2を含む空気ばねの内側部分の一体部品であり、空気圧式アクチュエータ10からは、防振すべき負荷に結合される屈曲ペンデュラム4が突出する。
【0119】
図11は、水平方向の補償力を生じる役割を果たす、図1に示すさらなる空気圧式アクチュエータ11の分解図である。
【0120】
空気圧式アクチュエータ11は、設置状態において作動空間を両半分に分割するピストン32が収容される、ハウジング上部33a及びハウジング下部33bを含むハウジングを有することが分かる。
【0121】
ここでは、圧力室を密封してピストン32に接続される膜36が見える。
【0122】
ハウジング上部33aも同様に設計され、やはり膜によって密封された圧力室を含み、その結果、アクチュエータ11も2つの対向する方向において効果的になる。
【0123】
さらに、ピストン32は、防振すべき負荷に空気圧式アクチュエータ11を接続する、屈曲ロッド(図2の12)を取り付けることができる3つの拡張部34a~34cを有することが分かる。
【0124】
拡張部34bは、ハウジングから外に突出する。
【0125】
拡張部34a及び34cに取り付けられる屈曲ロッドは、設置状態においてハウジング内のボア35を通って延在する。
【0126】
図12は、上述した防振装置1を取り付けた防振システム40の概略図である。
【0127】
防振システム40は、防振のために複数の防振装置1によって支持されて床39に取り付けられたプレート44を含む。
【0128】
この例示的な実施形態では、床の振動を検出するセンサ37が設けられるとともに、防振すべき負荷の振動を検出するセンサ38も設けられる。
【0129】
これらのセンサの信号は制御装置41に送られ、これによって制御装置41は、防振装置1に組み込まれた空気圧式アクチュエータ10、11を駆動する空気弁42、43を制御する。
【0130】
空気圧式アクチュエータ10、11は、センサ信号に基づいて水平及び垂直の両方向の補償力を生じる。
【0131】
ここでは、1つのそれぞれの制御弁しか示していない。
【0132】
しかしながら、各空気圧式アクチュエータ10、11について両圧力室のための制御弁を設ける必要があると理解されるであろう。
【0133】
本発明は、能動的な防振システムにおいて高補償力と低放熱とを同時に生じることができる防振装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 防振装置
2 ピストン
3 作動空間
4 屈曲ペンデュラム
5 上部
6 基部
7 凹部
8 板ばねアセンブリ
9 板ばねアセンブリ
10 アクチュエータ
11 アクチュエータ
12 屈曲ロッド
13 拡張部
14 ブラケット
15 ピストン
16 ハウジング
16a ハウジング上部
16b ハウジング中間部
16c ハウジング下部
17 ピストン中間部
18a、18b 膜
19a、19b クランプリング
20a、20b ねじ
21a、21b ねじ
22a、22b クランプリング
23a、23b ねじ
24 ねじ式スリーブ
25a、25b 拡張部
26a、26b 圧力室
27 通路
28 間隙
29 ボア
30 板ばね
31 板ばね
32 ピストン
33a ハウジング上部
33b ハウジング下部
34a~34c 拡張部
35 ボア
36 膜
37 センサ
38 センサ
39 床
40 防振システム
41 制御装置
42 弁
43 弁
44 プレート
45 膜
46 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12