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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】積層発泡容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/00 20060101AFI20220415BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20220415BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20220415BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
B65D23/00 T
B65D1/02 110
B32B5/18
B32B27/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018015864
(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2019131258
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】木虎 修一
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-184094(JP,A)
【文献】特表2011-506208(JP,A)
【文献】特開2005-219760(JP,A)
【文献】特開2005-145497(JP,A)
【文献】国際公開第2013/118718(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
B65D 1/02
B32B 5/18
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、胴部及び底部が上方から下方に向けてこの順に連設された合成樹脂製の容器本体を有する積層発泡容器であって、
前記容器本体は、
着色剤を含んだ第1合成樹脂によって形成された着色層と、
複数の気泡を含んだ第2合成樹脂によって形成され、前記着色層よりも前記容器本体の径方向外側に配設された発泡層と、を備え、
前記発泡層は、前記容器本体の外面を形成する外層であり、
複数の前記気泡は、前記発泡層の表裏面及び前記発泡層の内側を含む全体に存在している、積層発泡容器。
【請求項2】
請求項に記載の積層発泡容器において、
前記着色層は、前記発泡層よりも厚肉に形成されている、積層発泡容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の積層発泡容器において、
前記着色層は、前記発泡層とは異なる色で形成され、
前記第2合成樹脂は、前記発泡層を通じて前記着色層を視認可能とさせる合成樹脂である、積層発泡容器。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の積層発泡容器において、
前記容器本体は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂によって形成され、前記着色層よりも前記容器本体の径方向内側に配設されると共に、前記容器本体の内面を形成する内層を備えている、積層発泡容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層発泡容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容するボトル型の容器は、一般的にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル(PET、PBT等)等の各種の合成樹脂によって形成されている。さらに下記特許文献1には、合成樹脂に添加物を混合させた複合材料を利用して単層或いは多層に容器本体を形成した容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-315746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、商品の差別化等を図るために、多種多様な形状或いは外観性を具備したデザイン性の高い容器が市場に出始めている。このようなデザイン性を重要視した容器において、さらに特徴的或いは独創的な外観性を発揮させたいというニーズがあるが、上記従来の容器では、この種のニーズに応えることが難しく、外観性(意匠性)を向上させることに関して改善の余地があった。
【0005】
なお容器の外面に、例えば印刷による加飾、或いはラベルを貼着することによる加飾を施すことも考えられるが、これらの加飾では例えば2次元的な見た目になり易く、外観性を向上させることについて、さらなる改善が求められていた。さらに、三次元形状の容器の外面に対してこれらの加飾を綺麗に行うことは困難であるうえ、色落ち、剥がれ、皺等の不具合が生じるおそれがあるので改善の余地がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、視覚性を向上させて、質感を想起させるような外観性を具備する積層発泡容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る積層発泡容器は、口部、胴部及び底部が上方から下方に向けてこの順に連設された合成樹脂製の容器本体を有する積層発泡容器であって、前記容器本体は、着色剤を含んだ第1合成樹脂によって形成された着色層と、複数の気泡を含んだ第2合成樹脂によって形成され、前記着色層よりも前記容器本体の径方向外側に配設された発泡層と、を備え、前記発泡層は、前記容器本体の外面を形成する外層であり、複数の前記気泡は、前記発泡層の表裏面及び前記発泡層の内側を含む全体に存在している
【0008】
本発明に係る積層発泡容器によれば、着色された着色層をバック(背景色)にして、複数の気泡が含まれた発泡層を視認することができる。そのため、容器本体の外面に、着色層の色と相まって気泡の有無に対応した凹凸の陰影を表すことができる。これにより、独特の色調及び模様を有する外観性を具備させることができる。例えばメタリック調、ミラー調、木目調、石目調等、視覚に作用して(働きかけて)光輝感或いは光沢感を有する外観性を具備させることができる。
従って、視覚性を向上させて、質感を想起させるような外観性を具備する容器とすることができる。例えば従来の印刷やラベル等の加飾では表現し難い、御影石等の石目調の質感を想起するような独特の外観性を具備する容器とすることができる。
【0010】
さらに、発泡層が容器本体の外面を形成するので、気泡の有無に対応した発泡層の凹凸を際立たせることができるうえ、凹凸を触って認識することもでき触覚にも作用する(働きかける)ことができる。従って、視覚性及び触覚性の両方を向上させて、実際に質感を有する外観性を具備する容器とすることができる。従って、さらに独特の外観性を具備する容器とすることができる。
【0011】
)前記着色層は、前記発泡層よりも厚肉に形成されても良い。
【0012】
この場合には、発泡層の背景色として着色層を色濃く発色させることが可能であり、容器本体の外面に気泡の有無に対応した凹凸の陰影をより明瞭に表すことができる。さらに、発泡層を厚肉に形成することで例えば容器本体の剛性を確保できるので、その分、発泡層を薄肉に形成することができる。従って、例えば気泡が重なって潰れる等の不都合を生じ難くさせることができる。これらのことにより、視覚性をさらに向上させて、より一層質感を想起させるような外観性を具備する容器とすることができる。
【0013】
)前記着色層は、前記発泡層とは異なる色で形成され、前記第2合成樹脂は、前記発泡層を通じて前記着色層を視認可能とさせる合成樹脂であっても良い。
【0014】
この場合には、発泡層とは異なる色の着色層を背景色として利用できると共に、発泡層を通じて着色層を適切に視認できるので、容器本体の外面に多種多様な色調及び模様を有し、より一層独創的な質感を想起させる外観性を具備させ易い。
【0015】
)前記容器本体は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を含む樹脂によって形成され、前記着色層よりも前記容器本体の径方向内側に配設されると共に、前記容器本体の内面を形成する内層を備えても良い。
【0016】
この場合には、容器本体がポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)を含む内層を具備しているので、容器本体に収容する内容物の性状に影響され難い容器とすることができる。そのため、収容できる内容物の適用範囲を広げることができ、各種の用途に用いることができる利便性に優れた容器とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る積層発泡容器よれば、視覚性を向上させて質感を想起させるような外観性を具備する容器とすることができ、デザイン性に優れ、他の製品との差別化を図り易い容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る積層発泡容器の実施形態を示す外観図である。
図2図1に示すキャップを取り外した状態における積層発泡容器の側面図(一部断面図)である。
図3図2に示すA部分の拡大断面図である。
図4図2に示すB部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る積層発泡容器1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の積層発泡容器1は合成樹脂製のボトルであって、口部2、胴部3及び底部4を有する有底筒状の容器本体10を備えている。
【0020】
口部2、胴部3及び底部4は、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って口部2側を上方、その反対側を下方という。また、容器軸O方向から見た平面視で、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
口部2の外周面には、周方向の全周に亘ってねじ部11(例えば雌ねじ部)が形成されている。口部2の下端部には、径方向外側に向かって突出すると共に周方向の全周にわたって延びるネックリング12が形成されている。
口部2には、図1に示す有頂筒状のキャップ13がねじ部11に螺着されることで装着されている。ただし、キャップ13の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合により口部2に装着されても構わない。なお、アンダーカット嵌合により口部2にキャップ13を装着する場合には、例えばキャップ13をヒンジ付きキャップとすることもできる。特に、アンダーカット嵌合によって口部2にキャップ13を装着する場合には、ヒンジ付きキャップを用いることで、キャップ13を容易に開閉することができる。
【0022】
胴部3は、容器軸O方向に沿って延びる筒状に形成されている。図示の例では、積層発泡容器1は、胴部3が横断面視円筒状に形成された丸型ボトルとされている。さらに図示の例では、胴部3は、底部4から胴部3における容器軸O方向の中央部分に亘って同径とされていると共に、中央部分から上方に向かうにしたがって漸次縮径した後に、さらに上方に向けてストレート状に延びることで口部2の下端部に連なっている。
【0023】
ただし、胴部3の形状はこの場合に限定されるものではなく、例えば積層発泡容器1の全体サイズ、容量、内容物の種類、用途等に応じて適宜変更して構わない。例えば、積層発泡容器1を、胴部3が横断面視で多角形状に形成された角型ボトルとしても良い。さらに、胴部3を、容器軸O方向の全長に亘って同径となるように形成すると共に、肩部を介して口部2に連なるように形成しても構わない。
【0024】
容器本体10は、複数の層が重なった積層構造とされている。具体的には、図3に示すように容器本体10は、内層20、着色層21、機能層22、発泡層23を備え、これらが径方向内側から順に積層された積層構造とされている。
【0025】
内層20は、着色層21よりも径方向内側に配設されると共に、容器本体10の内面を形成する合成樹脂層である。内層20は、主にポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)を含む樹脂で形成され、その膜厚は例えば30μm前後とされている。ただし、内層20の膜厚は一例であって、適宜変更して構わない。
なお、内層20はPET樹脂を含んでいれば良く、その他の合成樹脂或いは添加物等を含んでいても構わない。本実施形態では、内層20は非結晶性樹脂であるPET-G樹脂で形成されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、その他の合成樹脂で内層20を形成して構わない。
【0026】
着色層21は、内層20よりも径方向外側に配設されると共に内層20に対して密着した状態で重なった合成樹脂層である。着色層21は、着色剤を含んだ第1合成樹脂によって形成され、その膜厚は例えば650μm前後とされ、容器本体10を構成する層のうち最も厚肉の層とされている。ただし、着色層21の膜厚は一例であって、適宜変更して構わない。
【0027】
本実施形態では、第1合成樹脂としてポリプロピレン樹脂(PP樹脂)を使用している。ただし、この場合に限定されものではなく、その他の合成樹脂を第1合成樹脂として用いても構わない。
【0028】
着色剤としては、特に限定されるものではないが、例えば第1合成樹脂に練りこまれることで第1合成樹脂を発色させるマスターバッチが挙げられる。なお、本実施形態では、着色剤によって着色層21を黒色に着色している。
マスターバッチは、高濃度の顔料が練りこまれたペレット状の着色剤であって、例えばナチュラルペレットと共に第1合成樹脂内に混ぜ合わされ、両者の比率に応じて色の濃淡を任意に調整することが可能とされている。これにより、第1合成樹脂は所望の色調に適切に調整することが可能とされている。
【0029】
なお、着色剤としてはマスターバッチに限定されるものではなく、例えば予め色の濃度が調整された着色ペレットを利用しても構わないし、液状或いはジェル状のペーストカラー等を使用しても構わない。
【0030】
機能層22は、着色層21よりも径方向外側に配設されると共に着色層21に対して密着した状態で重なった合成樹脂層である。機能層22は、例えばガス(酸素や二酸化炭素等)、湿気等の水分、紫外線等の光、或いは香り等の匂い成分等が透過することを規制するバリア性を有する樹脂であり、バリアする対象物に応じて適宜選択される樹脂によって形成されている。
例えば機能層22は、ガスに対するバリア性を発揮させる場合には、ナイロン系樹脂やエチレンビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)等で形成され、水分に対するバリア性を発揮させる場合には、環状ポリオレフィン系樹脂等で形成される。
機能層22の膜厚は、例えば10μm前後とされている。ただし、機能層22の膜厚は一例であって、適宜変更して構わない。
【0031】
発泡層23は、機能層22よりも径方向外側に配設されると共に機能層22に対して密着した状態で重なった合成樹脂層である。なお、発泡層23は、着色層21よりも径方向外側に配設されると共に、容器本体10の外面を形成する外層である。
発泡層23は、複数の気泡24を含んだ第2合成樹脂によって形成され、その膜厚は例えば100μm前後とされ、着色層21よりも薄肉とされている。ただし、発泡層23の膜厚は一例であって、適宜変更して構わない。
【0032】
本実施形態では、第2合成樹脂として原色のポリプロピレン樹脂(PP樹脂)を使用している。これにより、容器本体10の外部から発泡層23を通じて着色層21を視認することが可能とされている。
ただし、原色のPP樹脂に限定されるものではなく、原色以外の色に着色されたPP樹脂を用いても構わない。なおこの場合であっても、発泡層23を通じて着色層21を視認できるようにPP樹脂の透過率等を調整することが好ましい。さらには、PP樹脂に限定されるものではなく、その他の合成樹脂を第2合成樹脂として用いても構わない。
【0033】
さらに本実施形態では、原色のPP樹脂である第2合成樹脂内に熱膨張する微小な発泡剤を複数混合させ、これら複数の発泡剤が熱膨張することで、発泡層23の表裏面及びその内側を含む全体に気泡24を存在させている。
【0034】
発泡剤は、例えば液状の炭化水素を熱可塑性の高分子シェル(殻)で包み込んだ、直径数μm~数十μmの微小のマイクロカプセルであって、加熱によって高分子シェルが軟化し、且つ内部の炭化水素が液体から気体に変化する。これにより、加熱によるマイクロカプセルの熱膨張によって、高分子シェルで包み込んだ状態で気泡24を発生させることができる。なお、各図面では、発泡剤自体の図示は省略している。
【0035】
上述のように構成された容器本体10は、例えばパリソンを利用した押出しブロー成形によって形成される。なお、発泡剤はブロー成形時に第2合成樹脂内で熱膨張する。これにより、複数の気泡24を含んだ第2合成樹脂によって発泡層23を形成することができる。
【0036】
さらに本実施形態では、内層20、着色層21、機能層22、発泡層23の各層間の密着性をそれぞれ高めるために、各層間に図示しない接着層を介在させている。
なお接着層としては、特に限定されるものではなく、各層の合成樹脂の種類等に応じて適宜選択して構わない。また接着層の膜厚は、例えば10μm前後が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0037】
また、図4に示すように容器本体10の口部2においては、発泡層23は、例えば機能層22、着色層21及び内層20を上方から覆うように径方向内側に向けて折り返されることなく形成されている。これにより、口部2の上端開口縁には、内層20、着色層21及び機能層22がそれぞれ露出している。特に、最も厚肉の着色層21が露出しているので、着色層21の表面平滑性により、口部2の上端開口縁に凹凸を形成することなく、一定の平坦度を確保することができる。
同様に、口部2の内面は、発泡層23が折り返されることなく、内層20のみによって形成されているので、内層20の表面平滑性により口部2の内面に凹凸を形成することなく、一定の平坦度を確保することが可能である。
【0038】
(積層発泡容器の作用)
上述のように構成された積層発泡容器1によれば、着色された着色層21をバック(背景色)にして、複数の気泡24が含まれた発泡層23を視認することができるので、図1に示すように、発泡層23の外面、すなわち容器本体10の外面に着色層21の色と相まって気泡24の有無に対応した凹凸の陰影を表すことができる。これにより、独特の色調及び模様を有する外観性を具備させることができ、視覚に作用して光輝感或いは光沢感を有する外観性を具備させることができる。従って、例えば御影石等の石目調の質感を想起させるような独特の外観性を具備する積層発泡容器1とすることができる。
【0039】
さらに、発泡層23自体が容器本体10の外面を形成する外層であるので、気泡24の有無に対応した発泡層23の凹凸を際立たせることができるうえ、凹凸を触って認識することもでき触覚にも作用することができる。従って、視覚性及び触覚性の両方を向上させて、実際に質感を有するような外観性を具備する容器とすることができ、上述したように例えば従来の印刷やラベル等の加飾では表現し難い、御影石等の石目調の質感を有する積層発泡容器1とすることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の積層発泡容器1によれば、視覚性及び触覚性を向上させて質感を有するような独特な外観性を具備する容器とすることができ、デザイン性に優れ、他の製品との差別化を図り易い容器とすることができる。
【0041】
さらに、着色層21が発泡層23よりも厚肉に形成されているので、発泡層23の背景色として着色層21を色濃く発色させることが可能であり、容器本体10の外面に気泡24の有無に対応した凹凸の陰影をより明瞭に表すことができる。
特に、発泡層23は原色のPP樹脂を第2合成樹脂として形成されているので、容器本体10の外部から発泡層23を通じて着色層21を視認し易い。そのため、色濃く発色した着色層21を背景色として、御影石等の石目調の質感を想起させるような独特の外観性をより一層具備させることができる。
【0042】
また、発泡層23を厚肉に形成することで、例えば容器本体10の剛性を確保できるので、その分、発泡層23を薄肉に形成することができる。従って、例えば気泡24が重なって潰れる等の不都合を生じ難くさせることができる。これらのことにより、視覚性及び触覚性をさらに向上させて、より一層質感を有するような外観性を具備する積層発泡容器1とすることができる。
【0043】
さらに、容器本体10がPET樹脂を含む樹脂、具体的にはPET-G樹脂で形成された内層20を有しているので、容器本体10に収容する内容物の性状に影響され難い積層発泡容器1とすることができる。例えば、内容物の成分が内層20に吸着してしまうことを効果的に抑制することが可能であるので、内容物の性状に影響され難い容器とすることができる。従って、収容できる内容物の適用範囲を広げることができ、各種の用途に用いることができる利便性に優れた積層発泡容器1とすることができる。
【0044】
さらに、図4に示すように、口部2の上端開口縁において着色層21が露出しており、着色層21の表面平滑性により、口部2の上端開口縁に一定の平坦度を確保できる。従って、容器本体10の口部2に装着したキャップ13によって、口部2のシール性を確保することができる。さらに、口部2の内面が内層20のみによって形成され、内層20の表面平滑性により口部2の内面についても一定の平坦度を確保できる。従って、例えばキャップ13に、容器本体10の口部2の内側に密に嵌合するシール筒を形成する等して、より一層口部2のシール性を確保することも可能である。
【0045】
なお、容器本体10の口部2の上端開口縁において、例えば着色層21、機能層22及び発泡層23を上方から覆うように内層20を径方向外側に折り返すように形成しても構わない。この場合には、内層20の表面平滑性を利用して、口部2の内面及び口部2の上端開口縁の両方に一定の平坦度を確保することができる。従って、上述したキャップ13とのシール性を確保することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0047】
例えば上記実施形態において、積層発泡容器1は食品用の容器として用いられる場合に限定されるものではなく、例えば肌に塗布するクリーム等の化粧品を収容する化粧品用容器、或いは薬品等を収容する医薬品用容器等として利用しても構わない。
【0048】
さらに上記実施形態では、マイクロカプセルを利用した発泡剤によって発泡層23を形成したが、この場合に限定されるものではなく、マイクロカプセル以外を用いた発泡剤、例えば化学反応を利用した発泡剤を採用しても構わない。
さらには、発泡剤を用いる場合に限定されるものではなく、複数の気泡24を含んだ発泡層23を形成できれば、その他の構成を採用しても構わない。なお、発泡層23とは気泡24がその表面に現れる層である。
なお発泡剤を利用する場合、第2合成樹脂の質量に対する発泡剤の質量の割合としては例えば3%であり、所望する外観性に応じて1%~5%の範囲、より好ましくは1.5%~4%の範囲内で適宜変更して構わない。
【0049】
上記実施形態では、図1に示すように、御影石等の石目調の質感を有する外観性を具備する積層発泡容器1としたが、着色層21の色調、及び発泡層23の気泡24の度合い、密度等によって、その他の外観性を具備させることが可能である。例えば、メタリック調、パール調、ミラー調、木目調、スエード調、和紙調等の質感を想起するような外観性を具備する積層発泡容器1とすることができる。
【0050】
さらに上記実施形態では、原色のPP樹脂を利用して発泡層23を形成したが、例えば求められる質感に応じて、発泡層23自体を着色しても構わない。この場合、発泡層23の色は、着色層21の色と同色であっても構わないし、異色であっても構わない。ただし、いずれの場合であっても、容器本体10の外部から発泡層23を通じて着色層21を視認できることが好ましい。
【0051】
さらに上記実施形態では、発泡層23を容器本体10の外面を形成する外層としたが、外層である必要はない。例えば、透明或いは半透明の合成樹脂製のクリア層を発泡層23よりも径方向外側に配置して、該クリア層を外層としても構わない。このクリア層は、例えば求められる質感を想起させるための層として利用することができる。
なお、クリア層は、押出しブロー成形によって、積層することで形成しても構わないし、塗装等によって形成することもできる。
【0052】
さらに上記実施形態では、内層20、着色層21、機能層22、発泡層23の各層間の密着性をそれぞれ高めるために各層間に図示しない接着層を介在させたが、接着層は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
この場合、例えば内層20を、内容物の減少に伴い減容変形可能とされ、着色層21の内面に剥離可能に積層された層として利用しても構わない。このように内層20を構成した場合には、容器本体10を積層剥離容器(デラミボトル)として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…積層発泡容器
2…口部
3…胴部
4…底部
10…容器本体
20…内層
21…着色層
23…発泡層
24…気泡
図1
図2
図3
図4