(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】画面提供装置、画面提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20220415BHJP
【FI】
G06Q40/02
(21)【出願番号】P 2018019266
(22)【出願日】2018-02-06
【審査請求日】2020-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】三木 祟史
(72)【発明者】
【氏名】栩内 由貴
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014300(JP,A)
【文献】特開2017-107368(JP,A)
【文献】特開2013-205858(JP,A)
【文献】特開2005-293003(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録機関サーバーへの指示の入力用の画面を提供する提供部と、
前記指示に応じた通知を、前記記録機関サーバーに送信する送信部と、
電子債権に関連付けられた情報に基づいて、前記記録機関サーバーに前記指示に応じた通知を送信する前に、前記画面を介して入力可能な指示のうち少なくとも一部の指示を制限する指示制限部と、を含む画面提供装置。
【請求項2】
前記情報は、記録機関変更記録の手続の進行状況情報である請求項1に記載の画面提供装置。
【請求項3】
前記指示制限部は、端末からの要求通知に応じて、前記電子債権に関連付けられた情報に基づき、前記画面において前記記録機関サーバーへの入力可能な指示のうち一部の指示の入力を禁止することによって当該指示を制限し、
前記提供部は、制限されない指示の入力用の画面を提供する、
請求項1または2に記載の画面提供装置。
【請求項4】
前記指示制限部は、前記電子債権に関連付けられた情報に基づいて入力された前記指示を制限するかどうかを判定し、前記送信部による前記記録機関サーバーへの前記指示に応じた通知を停止することによって当該指示を制限し、
前記送信部は、入力された前記指示のうち制限されない指示に応じた通知を、前記記録機関サーバーに送信する、
請求項1または2に記載の画面提供装置。
【請求項5】
前記指示制限部は、前記進行状況情報に基づいて前記入力可能な指示のうち制限する指示の範囲を変更する、請求項2に記載の画面提供装置。
【請求項6】
前記指示制限部は、前記進行状況情報が示す手続が進むほど、制限する指示の範囲を拡大する請求項5に記載の画面提供装置。
【請求項7】
前記進行状況情報を前記記録機関サーバーから受信して、記憶部に記憶させる受信部をさらに含み、
前記指示制限部は、前記記憶部に記憶された前記進行状況情報に基づいて、前記少なくとも一部の指示を制限する、請求項2に記載の画面提供装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する画面提供方法であって、
電子債権について記録機関サーバーへの指示の入力用の画面を提供し、
前記指示に応じた通知を、前記記録機関サーバーに送信することを含み、
前記電子債権に関連付けられた情報に基づいて、前記記録機関サーバーに前記指示に応じた通知を送信する前に、前記画面を介して入力可能な指示のうち少なくとも一部の指示を制限する画面提供方法。
【請求項9】
前記情報は、記録機関変更記録の手続の進行状況情報である請求項8に記載の画面提供方法。
【請求項10】
端末からの要求通知に応じて、前記電子債権に関連付けられた情報に基づき、前記画面において前記記録機関サーバーへの入力可能な指示のうち一部の指示の入力を禁止することによって当該指示を制限し、
制限されない指示の入力用の画面を提供する、
請求項8または9に記載の画面提供方法。
【請求項11】
前記電子債権に関連付けられた情報に基づいて入力された前記指示を制限するかどうかを判定し、前記記録機関サーバーへの前記指示に応じた通知を停止することによって当該指示を制限し、
入力された前記指示のうち制限されない指示に応じた通知を、前記記録機関サーバーに送信する、
請求項8または9に記載の画面提供方法。
【請求項12】
前記進行状況情報に基づいて前記入力可能な指示のうち制限する指示の範囲を変更する、請求項9に記載の画面提供方法。
【請求項13】
前記進行状況情報が示す手続が進むほど、制限する指示の範囲を拡大する請求項12に記載の画面提供方法。
【請求項14】
前記進行状況情報を前記記録機関サーバーから受信して記憶することを含み、
前記記憶した前記進行状況情報に基づいて、前記少なくとも一部の指示を制限する、請求項9に記載の画面提供方法。
【請求項15】
コンピュータを、
電子債権について記録機関サーバーへの入力可能な指示のうち少なくとも一部の指示を制限する指示制限部と、指示の入力用の画面を提供する提供部と、
前記指示に応じた通知を、前記記録機関サーバーに送信する送信部と、
前記電子債権に関連付けられた情報に基づいて、前記記録機関サーバーに前記指示に応じた通知を送信する前に、前記画面を介して入力可能な指示のうち少なくとも一部の指示を制限する指示制限部として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
前記情報は、記録機関変更記録の手続の進行状況情報である請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記指示制限部は、端末からの要求通知に応じて、前記電子債権に関連付けられた情報に基づき、前記画面において前記記録機関サーバーへの入力可能な指示のうち一部の指示の入力を禁止することによって当該指示を制限し、
前記提供部は、制限されない指示の入力用の画面を提供する、請求項15または16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記指示制限部は、前記電子債権に関連付けられた情報に基づいて入力された前記指示を制限するかどうかを判定し、前記送信部による前記記録機関サーバーへの前記指示に応じた通知を停止することによって当該指示を制限し、
前記送信部は、入力された前記指示のうち制限されない指示に応じた通知を、前記記録機関サーバーに送信する、請求項15または16に記載のプログラム。
【請求項19】
前記指示制限部は、前記進行状況情報に基づいて前記入力可能な指示のうち制限する指示の範囲を変更する、請求項16に記載のプログラム。
【請求項20】
前記指示制限部は、前記進行状況情報が示す手続が進むほど、制限する指示の範囲を拡大する請求項19に記載のプログラム。
【請求項21】
前記コンピュータを、さらに前記進行状況情報を前記記録機関サーバーから受信して、記憶部に記憶させる受信部として機能させ、
前記指示制限部は、前記記憶部に記憶された前記進行状況情報に基づいて、前記少なくとも一部の指示を制限する、請求項16に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子記録債権法が改正され、電子記録債権はその電子記録を行う電子債権記録機関の変更をすることが可能となった。
【0003】
非特許文献1に記載のとおり、電子債権記録機関の利用者は記録請求などの窓口となる金融機関である窓口金融機関と利用契約を締結のうえ、窓口金融機関を通して電子債権記録機関を利用することができる。電子債権について電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権記録機関の利用者は、窓口金融機関を通して電子債権記録機関の変更を電子債権記録機関に申し出ることで、電子債権記録機関の変更の手続を開始することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】小木曽佳子著、「でんさい実務Q&A」、一般社団法人金融財政事情研究会、平成25年7月、53ページ~55ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子債権について電子債権記録機関の変更の申し出を受けた電子債権記録機関は、それ以後、当該電子債権について譲渡をしようとする譲渡記録請求を利用者から受けたとしても、当該電子債権について譲渡記録を成立させてはならないこととされている。
【0006】
したがって、電子債権記録機関は当該譲渡記録請求を利用者から受けると、当該譲渡記録請求によっては電子債権について譲渡記録を成立させないとの処理をする必要がある。
【0007】
本発明は、電子債権記録機関が行う処理の負担を軽減することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、電子債権について記録機関サーバーへの指示の入力用の画面を提供する提供部と、指示に応じた通知を、記録機関サーバーに送信する送信部と、電子債権に関連付けられた情報に基づいて、画面を介して入力可能な指示のうち少なくとも一部の指示を制限する指示制限部と、を含む画面提供装置が提供される。
【0009】
情報は、記録機関変更記録の手続の進行状況情報であってもよい。
【0010】
指示制限部は、画面において指示の入力を禁止することによって指示を制限してもよい。
【0011】
指示制限部は、送信部による記録機関サーバーへの指示に応じた通知を停止することによって指示を制限してもよい。
【0012】
指示制限部は、進行状況情報に基づいて入力可能な指示のうち制限する指示の範囲を変更してもよい。
【0013】
指示制限部は、進行状況情報が示す手続が進むほど、制限する指示の範囲を拡大してもよい。
【0014】
進行状況情報を記録機関サーバーから受信して、記憶部に記憶させる受信部をさらに含み、指示制限部は、記憶部に記憶された進行状況情報に基づいて、少なくとも一部の指示を制限してもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によると、電子債権について記録機関サーバーへの指示の入力用の画面を提供し、指示に応じた通知を、記録機関サーバーに送信することを含み、電子債権に関連付けられた情報に基づいて、画面を介して入力可能な指示のうち少なくとも一部の指示を制限する画面提供方法が提供される。
【0016】
情報は、記録機関変更記録の手続の進行状況情報であってもよい。
【0017】
画面において指示の入力を禁止することによって指示を制限してもよい。
【0018】
記録機関サーバーへの指示に応じた通知を停止することによって指示を制限してもよい。
【0019】
進行状況情報に基づいて入力可能な指示のうち制限する指示の範囲を変更してもよい。
【0020】
進行状況情報が示す手続が進むほど、制限する指示の範囲を拡大してもよい。
【0021】
進行状況情報を記録機関サーバーから受信して記憶することを含み、記憶した進行状況情報に基づいて、少なくとも一部の指示を制限してもよい。
【0022】
本発明の一実施形態によると、コンピュータを、電子債権について記録機関サーバーへの指示の入力用の画面を提供する提供部と、指示に応じた通知を、記録機関サーバーに送信する送信部と、電子債権に関連付けられた情報に基づいて、画面を介して入力可能な指示のうち少なくとも一部の指示を制限する指示制限部として機能させるためのプログラムが提供される。
【0023】
情報は、記録機関変更記録の手続の進行状況情報であってもよい。
【0024】
指示制限部は、画面において指示の入力を禁止することによって指示を制限してもよい。
【0025】
指示制限部は、送信部による記録機関サーバーへの指示に応じた通知を停止することによって指示を制限してもよい。
【0026】
指示制限部は、進行状況情報に基づいて入力可能な指示のうち制限する指示の範囲を変更してもよい。
【0027】
指示制限部は、進行状況情報が示す手続が進むほど、制限する指示の範囲を拡大してもよい。
【0028】
コンピュータを、さらに進行状況情報を記録機関サーバーから受信して、記憶部に記憶させる受信部として機能させ、指示制限部は、記憶部に記憶された進行状況情報に基づいて、少なくとも一部の指示を制限してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報提供システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る情報提供装置の機能を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るインターフェースを示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るインターフェースを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における情報提供装置において実行される第1情報取得処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態における情報提供装置において実行される情報提供処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態における情報提供装置において実行される指示の制限の有無の決定処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態における表を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態における情報提供システムにおいて画面要求通知が送られたときのフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る情報提供装置の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、Bなどを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0031】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る情報提供装置10を含む情報提供システム1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
[概要]
図1は、本発明の実施形態1に係る情報提供装置10を含む情報提供システム1の構成を示す図である。情報提供システム1は、情報提供装置10と、記録機関サーバー20と、利用者端末30とを有する。情報提供装置10と、記録機関サーバー20と、利用者端末30とは、インターネット、通信回線などのネットワーク40に接続されている。
【0033】
情報提供装置10は、窓口金融機関が有する、情報提供サービスを提供する装置であり、ネットワーク40に接続し、記録機関サーバー20と利用者端末30と通信可能である。情報提供装置10は、利用者端末30からの指示を受け付ける画面の提供を要求する通知を利用者端末30から受信して、当該通知に応じた画面を利用者端末30に提供する。具体的には、情報提供装置10を介して利用者端末30から記録機関サーバー20へ指示を入力することが可能なユーザーインターフェースの提供を要求する通知を利用者端末30から受信して、そのユーザーフェースを利用者端末30に提供する。この「指示」には、例えば、譲渡記録請求や開示請求が含まれる。
【0034】
また、情報提供装置10は、利用者端末30から受け取った指示に応じた情報を記録機関サーバー20に提供することができる。具体的には、例えば、情報提供装置10が、利用者端末30から電子債権についての譲渡記録請求を受け取ると、情報提供装置10は、当該通知に応じた情報を記録機関サーバー20に提供することができる。情報提供装置10は、後述する情報提供処理を記録機関サーバー20と利用者端末30に提供する。
【0035】
記録機関サーバー20は、記録機関が保有するサーバーである。記録機関は、電子債権記録機関の変更をしようとする電子債権についての債権記録を記録原簿に記録している電子債権記録機関である。記録機関は、記録機関に登録している利用者から窓口金融機関を通じて電子債権の各種記録請求や開示請求などを受け付けたり、債権記録の保存等を行ったりする。なお、「債権記録」とは、発生記録により発生する電子債権ごとに作成される電磁的記録をいい、「記録原簿」とは、電子債権記録機関において債権記録を記憶する記憶媒体をいう。
【0036】
記録機関サーバー20は、電子債権についての債権記録が記録された記録原簿を含む。記録機関がその記録原簿に債権記録がある電子債権の債権者から当該電子債権について記録機関を変更する旨の請求を受けたとき、記録機関サーバー20は、第1情報を情報提供装置10に送る。第1情報は、当該電子債権の記録番号と進行状況情報を含む。ここで、「進行状況情報」とは、当該電子債権について記録機関変更記録の手続の進行状況を示す情報であり、例えば、記録機関において記録機関変更記録の請求を受け付けた段階であることを示す情報や、記録機関が変更後の記録機関から記録機関変更記録をしたという通知を受けた段階であることを示す情報が含まれるが、これに限られない。
【0037】
利用者端末30は、通信機能を有する情報処理装置である。利用者端末30としては、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末又はスマートフォンが挙げられる。利用者端末30にはWebブラウザがインストールされていてもよいし、電子メールの通信機能を有していてもよい。
【0038】
電子債権記録機関の利用者は、利用者端末30からの指示を受け付ける画面の提供を要求する通知を利用者端末30から情報提供装置10に送信して、情報提供装置10から当該通知に応じた画面の提供を受けることができる。具体的には、利用者端末30は、利用者端末30から情報提供装置10への指示を入力することが可能なユーザーインターフェースの提供を要求する通知を情報提供装置10に送信して、情報提供装置10からそのユーザーインターフェースの提供を受けることができる。
【0039】
また、電子記録機関の利用者は、利用者端末30を使用し、情報提供装置10を介して、記録機関サーバー20に指示を送ることができる。すなわち、利用者端末30は、提供先として記録機関サーバー20を示す情報を含む指示を情報提供装置10に送ることができ、これを受信した情報提供装置10は受信した指示に応じた内容を当該受信した指示に含まれる提供先情報に従って記録機関サーバー20に送る。具体的には、電子記録機関の利用者は、利用者端末30を使用して、譲渡記録請求を情報提供装置10に送ることができ、これを受信した情報提供装置10は、当該譲渡記録請求に応じた情報を記録機関サーバー20に送る。
【0040】
利用者端末30が情報提供装置10に指示を送る形態に特に限定はないが、本実施形態では、利用者端末30は、情報提供装置10から提供された、利用者端末30からの指示を受け付ける画面を通じて情報提供装置10に指示を送るものとする。また、本実施形態では、この指示には、当該債権の記録番号を示す情報が含まれるものとする。
【0041】
また、電子記録機関の利用者は、利用者端末30を使用し、情報提供装置10を介して、記録機関サーバー20からの情報の提供を受けることができる。例えば、記録機関サーバー20は、ある電子債権についての通知を利用者に送るとき、その利用者を示す情報を含む通知を情報提供装置10に送り、情報提供装置10は当該電子債権についての通知に応じた情報を、その利用者のインターフェースに送信したり、メールアドレスに送信したりするなどの方法で利用者に提供することができる。
【0042】
また、電子記録機関の利用者は、利用者端末30を使用し、情報提供装置10からの情報の提供を受けることができる。例えば、情報提供装置10は、ある電子債権についての通知を利用者に送るとき、当該利用者のインターフェースに送信したり、メールアドレスに送信したりするなどの方法で利用者に提供することができる。
【0043】
[情報提供装置10のハードウエア構成]
図1に示すように、情報提供装置10は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を備える。
【0044】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理回路を有する。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムをCPUにより実行して、プログラムに対応した機能を情報提供装置10において実現させる。
【0045】
記憶部12は、ハードディスク、半導体メモリ等のメモリデバイスによって構成される記憶装置である。記憶部12は、ROM(Read only memory)を含んでもよい。記憶部12には、制御部11によって実行される各種プログラムが記憶されている。記憶部12に記憶されているプログラムには、例えば、後述する情報提供処理を実現するためのプログラムが含まれる。各プログラムは、磁気記録媒体、光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供されてもよい。また、各プログラムは、ネットワーク40経由で情報管理装置にダウンロードされてもよい。
【0046】
通信部13は、制御部11の制御によりネットワーク40と接続して、記録機関サーバー20及び利用者端末30等の外部装置と情報の送受信を行う。
【0047】
[情報提供装置10の機能構成]
図2は、本発明の実施形態に係る情報提供装置10の機能を示すブロック図である。本実施形態では、第1情報入力部101及び第1情報記憶部103は、情報提供装置10の内部に含まれるものとするが、第1情報入力部101及び第1情報記憶部103は、ネットワーク40を通じて情報提供装置10と接続された外部の入力装置及び記憶装置であってもよい。
【0048】
第1情報入力部101には、記録機関サーバー20から提供された第1情報が入力される。当該第1情報は、電子債権の記録番号と進行状況情報を含む。この第1情報の入力方法は、本実施形態においては、第1情報入力部101がネットワーク40を介して記録機関サーバー20から受信した通知に含まれる第1情報を抽出する方法が用いられるものとするが、これに限られるものではなく、例えば、記録機関サーバー20の管理者が情報提供装置10の管理者に文書、口頭、メールなどの何らかの方法で第1情報を伝えて、情報提供装置10の管理者が当該第1情報を第1情報入力部101に入力する方法を用いてもよい。本実施形態では、第1情報は、電子債権の記録番号として「abcdefg」との情報を含み、進行状況情報として、記録機関において記録機関変更の請求を受け付けた段階であるとの情報を含むものとする。
【0049】
第1情報記憶部103は、第1情報入力部101が入力を受けた第1情報を記憶する。また、第1情報記憶部103はあらかじめ第1情報を記憶していてもよい。また、第1情報記憶部103は複数の第1情報を記憶していてもよい。
【0050】
通知受信部105は、利用者端末30から電子債権についての記録機関サーバー20への指示を入力するための画面の提供を要求する通知(以下「画面要求通知」ということがある)を利用者端末30から受信する。本実施形態では、当該画面要求通知には、電子債権の記録番号を示す情報が含まれる。当該画面が受け付ける利用者端末30からの指示には、例えば、譲渡記録請求や、記録内容の開示請求などが含まれる。
【0051】
指示判定部107は、通知受信部105が受信した画面要求通知が含む電子債権の記録番号を含む第1情報を第1情報記憶部103から取得する。そして、指示判定部107は、当該第1情報が含む進行状況情報に基づいて、画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を制限する。画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を指示判定部107が制限する方法については、後述する。
【0052】
画面提供部109は、通知受信部105が受信した画面要求通知に応じた画面を利用者端末30に提供することができる。例えば、画面提供部109は、利用者端末30からの画面要求通知を通知受信部105が受信すると、
図3に示すインターフェース50のように利用者端末30からの指示を入力するための画面を利用者端末30に提供することができる。インターフェース50には、利用者端末30からの譲渡記録請求を入力するための譲渡記録請求ボタン52が含まれる。また、インターフェース50には開示請求を入力するための開示請求ボタン54が含まれてもよい。
【0053】
もっとも、画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示は、指示判定部107によって制限されることがある。例えば、指示判定部107が譲渡記録請求を制限した場合、画面提供部109が利用者端末30に提供するインターフェース60は、
図4に示すように、インターフェース50と異なり、譲渡記録請求ボタンを含まない。また、指示判定部107が開示請求を制限した場合、画面提供部109が利用者端末30に提供するインターフェースは、インターフェース50と異なり、開示請求ボタンを含まない。
【0054】
[第1情報取得処理]
続いて、情報提供装置10における第1情報取得処理について説明する。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態における情報提供装置10において実行される第1情報取得処理を示すフローチャートである。この処理は、情報提供装置10が起動されると実行される。
【0056】
まず、情報提供装置10は、第1情報が第1情報入力部101に入力されるまで待機する(ステップS101;No)。本実施形態では、情報提供装置10は、電子債権の記録番号と当該電子債権について記録機関変更記録の手続の進行状況を示す情報を示す情報を含む第1情報が入力されるまで待機する。
【0057】
第1情報が第1情報入力部101に入力されると(ステップS101;Yes)、第1情報記憶部103は第1情報を記憶し(ステップS103)、ステップS101の処理に戻る。本実施形態では、電子債権の記録番号として「abcdefg」との情報を含み、進行状況情報として、記録機関において記録機関変更の請求を受け付けた段階であることを示す情報を含む第1情報が第1情報入力部101に入力され、第1情報記憶部103に記憶されるものとする。
【0058】
この第1情報取得処理が行われることで、情報提供装置10の第1情報記憶部103には、第1情報が記憶される。なお、第1情報記憶部103があらかじめ第1情報を記憶していた場合、ここで説明した第1情報取得処理は行われなくてもよい。
【0059】
[情報提供処理]
続いて、情報提供装置10における情報提供処理について説明する。
【0060】
図6は、本発明の実施形態における情報提供装置10において実行される情報提供処理を示すフローチャートである。この処理は、情報提供装置10において第1情報取得処理が終了すると実行される。
【0061】
まず、情報提供装置10は、画面要求通知を通知受信部105が利用者端末30から受信するまで待機する(ステップS201;No)。本実施形態では、当該画面要求通知には、電子債権の記録番号を示す情報が含まれるものとし、具体的には、電子債権の記録番号として「abcdefg」との情報を含むものとする。
【0062】
情報提供装置10は、通知受信部105が画面要求通知を利用者端末30から受信すると(ステップS201;Yes)、当該通知に対応する第1情報を第1情報記憶部103から取得し、当該第1情報が含む進行状況情報に基づいて、画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を制限するかどうかを決定する(ステップS203)。なお、「通知に対応する第1情報」とは、通知受信部105が受信した画面要求通知が含む電子債権の記録番号を含む第1情報のことを指す。
【0063】
[制限の有無の決定処理]
以下、本実施形態におけるステップS203における制限の有無の決定処理につき
図7を用いて詳細に説明する。
【0064】
図7は、本発明の一実施形態における情報提供装置10において実行される指示の制限の有無の決定処理を示すフローチャートである。この処理は、情報提供装置10が、画面要求通知を利用者端末30から受信すると実行される。
【0065】
まず、情報提供装置10の通知受信部105が画面要求通知を受け取ると指示の制限の有無の決定処理が開始する。まず、指示判定部107が、通知に対応する第1情報が第1情報記憶部103に記憶されているか判定する(ステップS301)。
【0066】
通知に対応する第1情報が第1情報記憶部103に記憶されていない場合(ステップS301;No)、ステップS305に進み、利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示について制限をしないと決定し、指示の制限の有無の決定処理を終了する。
【0067】
通知に対応する第1情報が第1情報記憶部103に記憶されている場合(ステップS301;Yes)、指示判定部107は、当該通知に対応する第1情報を第1情報記憶部103から取得し、当該第1情報が含む進行状況情報に基づいて、利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示について制限をすると決定し(ステップS303)、指示の制限の有無の決定処理を終了する。
【0068】
ステップS303において、具体的にどの指示を制限するかの決定は、本実施形態では、指示判定部107が、通知に対応する第1情報が含む進行状況情報に応じて画面に入力することを制限する指示の種類を決定する。
【0069】
本実施形態においては、この判定のために、指示判定部107は、
図8に示す表70のように、記録機関変更記録の手続の進行状況と、それに応じて画面が受け付けることを制限する指示の種類の表を有しているものとする。表70は、そのNo.1の項目において、記録機関変更記録の手続の進行状況が記録機関において記録機関変更の請求を受け付けた段階であるとき、画面が受け付けることを制限する指示は譲渡記録請求であることを規定している。また、表70はそのNo.2の項目において、記録機関変更記録の手続の進行状況が、記録機関が変更後の記録機関から記録機関変更記録を行った旨の通知を受け取った段階であるとき、画面が受け付けることを制限する指示は譲渡記録請求及び開示請求であることを規定している。
【0070】
本実施形態においては、指示判定部107は、表70を用いて、第1情報が含む記録機関変更記録の手続の進行状況に応じて画面が受け付けることを制限する指示は何かを判定する。本実施形態では、第1情報が含む進行状況情報は、記録機関において記録機関変更の請求を受け付けた段階であるとの情報なので、表70のNo.1の項目より、画面が受け付けることを制限する指示の種類は譲渡記録請求であると判定する。
【0071】
図6に戻って説明を続ける。ステップS203において画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を制限すると指示判定部107が判断した場合(ステップS205;Yes)、画面提供部109は、指示判定部107によって入力可能な指示が制限された画面を利用者端末30に提供し(ステップS207)、ステップS201の処理に戻る。また、ステップS203において画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を制限しないと指示判定部107が決定した場合(ステップS205;No)、画面提供部109は、指示判定部107によって入力可能な指示が制限されない画面を利用者端末30に提供し(ステップS209)、ステップS201の処理に戻る。
【0072】
なお、ステップS203において指示判定部107が行う、画面提供部109が利用者端末30に提供する画面が受け付ける指示を制限するかどうかを決定する方法は、上で説明したものに限られるものではない。
【0073】
[譲渡記録請求の通知の処理]
続いて、情報提供装置10を含む情報提供システム1において、情報提供装置10が利用者端末30から画面要求通知を受信したときの処理について説明する。
【0074】
図9は、上述の構成を有し、上述の動作を行う情報提供装置10を含む情報提供システム1において、利用者端末30から情報提供装置10に、画面要求通知が送られたときのフローチャートである。なお、当該情報提供装置10は、記録機関変更記録の請求がされた電子債権の記録番号と当該電子債権の進行状況情報を含む第1情報を記憶しているものとする。
【0075】
まず、利用者端末30から情報提供装置10に、画面要求通知が送られる(ステップS401)。この通知には、電子債権の記録番号を示す情報が含まれる。
【0076】
利用者端末30からの画面要求通知を受け取った情報提供装置10は、
図6を用いて説明した情報提供処理を行う。すなわち、当該画面要求通知に対応する第1情報を第1情報記憶部103から取得し、当該第1情報が含む進行状況情報に基づいて、画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を制限するかどうかを決定したうえで(ステップS403)、画面提供部109は、利用者端末30に、ステップS403の決定にしたがった画面を提供する(ステップS405)。
【0077】
以上説明したとおり、情報提供装置10を含む情報提供システム1において、利用者端末30から情報提供装置10に画面要求通知が送られたときは、情報提供装置10が記憶する第1情報が含む進行状況情報に基づいて、情報提供装置10は、電子債権の記録機関変更記録の手続の進行状況に応じて、利用者端末30に指示の入力を制限した画面を提供することができる。すなわち、情報提供装置10は、記録機関において記録機関変更記録の請求を受け付けた段階では、利用者端末30に譲渡記録請求の入力を制限した画面を提供することができ、記録機関が変更後の記録機関から記録機関変更記録をしたという通知を受けた段階では、利用者端末30に譲渡記録請求及び開示請求の入力を制限した画面を提供することができる。当該指示の入力が制限された画面を提供された利用者端末30を使用するユーザーは当該指示を電子債権記録機関に送ることができないため、電子債権記録機関が当該指示を処理する負担が軽減される。また、当該指示の入力が制限された画面を提供された利用者端末30を使用するユーザーは、その時点において当該指示を行うことができないことを認識することができ、ユーザーにとって便利である。
【0078】
なお、本実施形態においては、
図8の表70に示すように、記録機関変更記録の手続が進行するにしたがって制限される指示の範囲が広がりうる例について説明したが、情報提供装置10は必ずしも記録機関変更記録の手続の進行にしたがって制限される指示の範囲を拡大しなければならないものではない。例えば、記録機関変更記録の手続の進行にしたがって、指示の一部については制限が解除されるように適宜変更されてもよい。
【0079】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る情報提供装置70について説明する。なお、実施形態1における説明と重複する説明については適宜省略する。
【0080】
実施形態1に係る情報提供装置10は、画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を制限するものだった。これに対し、実施形態2に係る情報提供装置70は、利用者端末30から受けた指示に応じた情報を記録機関サーバー20に提供するか否かを切り替えるものである。
【0081】
情報提供装置70は、情報提供装置10と同様、利用者端末30から受け取った指示に応じた情報を記録機関サーバー20に提供することができる装置である。情報提供装置70は、当該指示に応じた情報を記録機関サーバー20に提供することを制限することができる。この制限の方法は、実施形態1において説明した情報提供装置10が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を制限する方法と同様の方法を用いることができる。以下、詳細に説明する。
【0082】
図10は、本発明の実施形態に係る情報提供装置70の機能を示すブロック図である。なお、第1情報入力部101と第1情報記憶部103についての説明は実施形態1についてした説明と重複するので省略する。
【0083】
指示受信部111は、利用者端末から記録機関サーバー20への指示を受信する。この指示には、例えば、譲渡記録請求や、記録内容の開示請求が含まれる。なお、この指示には指示の対象とする電子債権の記録番号の情報が含まれている。
【0084】
通知判定部113は、指示受信部111が受信した指示に応じた通知を送信部115が送信するかどうかを第1情報記憶部103に記憶されている第1情報が含む進行状況情報に基づき切り替える。この切り替えの方法は、実施形態1において説明した画面提供部109が利用者端末30に提供する画面に入力可能な指示を指示判定部107が制限する方法と同様の方法を用いてよい。
【0085】
送信部115は、指示受信部111が受信した指示に応じた情報を記録機関サーバー20に送信することができるが、この送信の有無は上述のとおり、通知判定部113により決定される。
【0086】
この情報提供装置70を用いると、例えば、ある電子債権について記録機関において記録機関変更記録の請求を受け付けた段階であることを示す情報を含む第1情報が第1情報記憶部103に記憶されているとき、当該電子債権についての譲渡記録請求の指示が利用者端末30から情報提供装置70に送られたとしても、情報提供装置70は当該指示に応じた情報を記録機関サーバー20に送らないようにすることができる。したがって、実施形態1と同様、電子債権記録機関が当該指示を処理する負担が軽減される。
【0087】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0088】
1・・・情報提供システム、10・・・情報提供装置、11・・・制御部、12・・・記憶部、13・・・通信部、20・・・記録機関サーバー、30・・・利用者端末、40・・・ネットワーク、50・・・インターフェース、52・・・譲渡記録請求ボタン、54・・・開示請求ボタン、60・・・インターフェース、70・・・情報提供装置、101・・・第1情報入力部、103・・・第1情報記憶部、105・・・通知受信部、107・・・指示判定部、109・・・画面提供部、111・・・指示受信部、113・・・通知判定部、115・・・送信部