(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220415BHJP
【FI】
A63F5/04 651
A63F5/04 511G
(21)【出願番号】P 2018029652
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐太
【審査官】馬渕 貴洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-157045(JP,A)
【文献】特開2017-136168(JP,A)
【文献】特開2016-036478(JP,A)
【文献】特開2017-185284(JP,A)
【文献】特開2017-225612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
所定表示結果と該所定表示結果よりも有利な特定表示結果を含む複数の表示結果のうちのいずれかの表示結果を導出する導出制御手段と、
導出された表示結果を構成する識別情報のうち、特定位置に導出された識別情報に基づいて入賞が発生したか否かを判定する入賞判定手段と、
遊技者が表示結果を視認可能な表示領域の視認性を所定回数変化させる変化手段と、を備え、
前記表示領域は、前記特定位置に対応する有効領域と、該有効領域と異なる無効領域とを含み、
前記変化手段は、前記特定表示結果が導出され
た場合と前記所定表示結果が導出され
た場合とで、同じ前記無効領域の視認性を変化させ、
前記特定表示結果が導出された後に前記無効領域の視認性を変化させる回数は、前記所定表示結果が導出された後に前記無効領域の視認性を変化させる回数よりも多
く、
前記変化手段は、前記特定表示結果が導出された場合に、第1回数または該第1回数よりも遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度が高い第2回数、前記無効領域の視認性を変化させることが可能であり、
前記第2回数は、前記第1回数よりも少ない回数である、スロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンとして、特別図柄表示装置に3行3列のマトリクス状の表示領域が構成された遊技機において、有効ラインが可変表示ごとに変更され、有効ラインがバックライト(ランプ)の点灯によって示されるものがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のスロットマシンにおいては、入賞の判定対象となる有効ラインに対応する表示領域に対する演出は考慮されているものの、他の表示領域も対応する表示領域に対する演出が考慮されていなかった。
【0005】
この発明はかかる事情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、入賞の判定対象となる位置に対応する表示領域以外の表示領域も好適に用いて演出を行なうことができるスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
所定表示結果と該所定表示結果よりも有利な特定表示結果を含む複数の表示結果のうちのいずれかの表示結果を導出する導出制御手段と、
導出された表示結果を構成する識別情報のうち、特定位置に導出された識別情報に基づ
いて入賞が発生したか否かを判定する入賞判定手段と、
遊技者が表示結果を視認可能な表示領域の視認性を所定回数変化させる変化手段と、を備え、
前記表示領域は、前記特定位置に対応する有効領域と、該有効領域と異なる無効領域とを含み、
前記変化手段は、前記特定表示結果が導出され
た場合と前記所定表示結果が導出され
た場合とで、同じ前記無効領域の視認性を変化させ、
前記特定表示結果が導出された後に前記無効領域の視認性を変化させる回数は、前記所定表示結果が導出された後に前記無効領域の視認性を変化させる回数よりも多
く、
前記変化手段は、前記特定表示結果が導出された場合に、第1回数または該第1回数よりも遊技者にとって有利な有利状態に制御される期待度が高い第2回数、前記無効領域の視認性を変化させることが可能であり、
前記第2回数は、前記第1回数よりも少ない回数である。
また、スロットマシンは以下のように構成されてもよい。
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
所定表示結果(たとえば、上段ベル入賞時の表示結果)と該所定表示結果よりも有利も特定表示結果(たとえば、中段ベル入賞時の表示結果)を含む複数の表示結果のうちのいずれかの表示結果を導出する導出制御手段(たとえば、リール制御を行うメイン制御部41)と、
導出された表示結果を構成する識別情報のうち、特定位置に導出された識別情報に基づいて入賞が発生したか否かを判定する入賞判定手段(たとえば、入賞判定を行うメイン制御部41)と、
遊技者が表示結果を視認可能な表示領域の視認性を所定回数変化させる変化手段(たとえば、リールLED55を制御するサブ制御部91)とを備え、
前記表示領域は、前記特定位置に対応する有効領域(たとえば、有効領域3A)と、該有効領域と異なる無効領域(たとえば、無効領域3B)とを含み、
前記変化手段は、前記特定表示結果が導出される場合に、前記所定表示結果が導出される場合よりも前記無効領域の視認性を変化させる回数を増やす(たとえば、
図9に示すように、上段ベルよりも有利な中段ベルに対応する表示結果が導出されたときに多く点滅する)。
【0007】
(2) (1)に記載のスロットマシンにおいて、
前記可変表示部を複数備えるとともに、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能であり、
前記入賞判定手段は、導出された表示結果組合せのうち、前記有効領域に跨る所定ライン(たとえば、入賞ラインLN)上の識別情報の組合せに基づいて入賞判定を行い、
前記所定表示結果および前記特定表示結果は、いずれも表示結果組合せであって、
前記所定表示結果および前記特定表示結果のうち、一方の表示結果組合せは、前記所定ライン上に同一または類似する識別情報が揃う表示結果組合せであって、他方の表示結果組合せは、前記所定ラインとは異なるライン(たとえば、無効ラインLM)上に同一または類似する識別情報が揃う表示結果組合せである。
【0008】
(3) (1)または(2)に記載のスロットマシンにおいて、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、内部抽選を行うメイン制御部41)と、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L,8C,8R)とをさらに備え、
前記事前決定手段の決定結果は、前記特定表示結果(たとえば、中段ベルに対応する表示結果)および前記所定表示結果(たとえば、上段ベルに対応する表示結果)の導出を許容する特定決定結果(たとえば、押し順ベルの当選)を含み、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果でありかつ特定態様(たとえば、正解手順)で前記導出操作手段が操作されたときには前記特定表示結果を導出し、
前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果でありかつ前記特定態様とは異なる所定態様(たとえば、正解手順とは異なる手順)で前記導出操作手段が操作されたときには前記所定表示結果を導出する。
【0009】
(4) (1)~(3)のうちのいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、内部抽選を行うメイン制御部41)と、
通常状態(たとえば、通常区間)および該通常状態よりも有利な有利状態(たとえば、有利区間)に制御する制御手段(たとえば、有利区間に制御するメイン制御部41)と、
前記有利状態に制御するか否かを決定する決定手段(たとえば、移行抽選を行うメイン制御部41)と、
前記決定手段は、前記事前決定手段が前記特定表示結果の導出を許容した場合に前記有利状態に制御するか否かの決定を行う(たとえば、メイン制御部41は、上段スイカまたは中段スイカに当選したときに移行抽選を行う)。
【0010】
(5) (4)に記載のスロットマシンにおいて、
前記変化手段は、前記特定表示結果(たとえば、中段スイカ)が導出された場合に、前記決定手段が前記有利状態への制御を決定したか否かに応じて、視認性に変化させるときの変化態様を異ならせる(たとえば、サブ制御部91は、移行抽選に当選している確率に応じてリール演出の態様を変化させる)。
【0011】
(6) (1)~(5)のうちのいずれかに記載のスロットマシンにおいて、
前記変化手段は、
前記表示領域が点灯していない非点灯状態から該表示領域が点灯している点灯状態に変化させることで、該表示領域の視認性を変化させ、
前記表示領域の視認性を変化させる際に、前記点灯状態から前記非点灯状態に変化するまでの期間と、前記非点灯状態から前記点灯状態に変化するまでの期間とが等しくなるように前記点灯状態から前記非点灯状態への変化を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は、本実施形態に係るスロットマシンの正面図であり、(b)は、スロットマシンの主な内部構成の一例を示す図である。
【
図3】小役および再遊技役について説明するための図である。
【
図4】抽選対象役について説明するための図である。
【
図5】押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。
【
図7】リールLED、表示領域について説明するための図である。
【
図8】導出された表示結果に応じて視認性を変化させる領域が異なるリール演出を示す図である。
【
図9】導出された表示結果に応じて視認性を変化させる回数が異なるリール演出を示す図である。
【
図10】他の表示結果に対するリール演出を示す図である。
【
図11】有利状態への移行抽選に当選している確率に応じてリール演出の態様を変化させる例を示す図である。
【
図13】有利状態への移行抽選に当選している確率に応じてリール演出の態様を変化させる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。以下の実施の形態では、本発明がスロットマシンに適用された場合の一例を説明する。
【0014】
[スロットマシンの構成]
図1(a)は、本実施形態に係るスロットマシン1の正面図であり、
図1(b)は、スロットマシン1の主な内部構成の一例を示す図である。
図2は、リールの図柄配列を示す図である。
【0015】
図1(a)に示すように、スロットマシン1は、前面扉1bに液晶表示器51が設けられている。前面扉1bにおける液晶表示器51の下方に位置する化粧パネル1cには、透視窓3が形成されている。遊技者は、この透視窓3を介して筐体1a内部に並設されているリール2L,2C,2Rが視認可能である。
図2に示すように、各リールには、各々が識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で配列されている。透視窓3を介して表示される表示結果の視認性を変化させる変化手段の一例として、リール2L,2C,2Rの内側には、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55(
図7(a)参照)、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する9のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0016】
図1(a)に示すように、前面扉1bには、遊技媒体(メダル)が投入されるメダル投入部4と、遊技者所有の遊技用価値(メダル数)として記憶されているクレジットの範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6と、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7と、リールの回転をそれぞれ停止する際に操作されるストップスイッチ8L,8C,8Rなどが設けられている。
【0017】
MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L,8C,8R、および精算スイッチ10が操作されると、当該操作されたことを検出するための検出信号がメイン制御部41に入力される。メイン制御部41は、これら各種スイッチからの検出信号に基づき、これら各種スイッチへの操作を検出する。
【0018】
前面扉1bには、遊技に関する情報を報知する遊技用表示部13が設けられている。遊技用表示部13には、メダルの払出枚数やストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応する情報などが表示される遊技補助表示器12、およびランプを点灯することで有利区間と呼ばれる有利な状態中である旨を示唆する有利区間ランプ19などが設けられている。遊技補助表示器12は、小役が入賞したときに払出されるメダルの枚数を表示するペイアウト表示器としても機能する。
【0019】
遊技補助表示器12は、押し順に対応する数字を7セグメント表示することで、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様に対応する情報を表示する。有利区間ランプ19は、有利区間中であるときには点灯し、有利区間中でないときには消灯する。これにより、有利区間ランプ19は、有利区間中であるか否かを遊技者に示唆することができる。
【0020】
図1(b)に示すように、スロットマシン1の内部には、遊技の進行を制御する(遊技を制御するともいえる)とともに遊技の進行に応じて各種コマンドを出力するメイン制御部41が設けられている。メイン制御部41は、各種処理を実行するメインCPU41aと、各種データを記憶するRAM41cなどを備える。
【0021】
メイン制御部41は、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、またはストップスイッチ8L,8C,8Rなどに対する操作を検出する。メイン制御部41は、遊技用表示部13に含まれる遊技補助表示器12の7セグメント表示、および有利区間ランプ19の点灯または消灯を制御する。
【0022】
スロットマシン1の内部には、メイン制御部41からのコマンドに応じて演出を制御するサブ制御部91が設けられている。サブ制御部91は、各種処理を実行するメインCPU91aと、各種データを記憶するRAM91cなどを備える。サブ制御部91は、演出用スイッチ56に対する操作を検出する。サブ制御部91は、液晶表示器51の画像表示、スピーカ53,54の音出力、リールLED55の点灯を制御する。
【0023】
なお、
図1(b)は、あくまで一例であり、スロットマシン1の内部にはその他の構成も設けられている。
【0024】
[スロットマシンにおけるゲームの概要]
次に、スロットマシン1におけるゲームの概要を説明する。ここで、本実施形態ではリール2L,2C,2Rを回転させるためにスタートスイッチ7を操作することをレバーオンともいう。また、スタートスイッチ7の操作によってリール2L,2C,2Rが回転している場合において、ストップスイッチ8L,8C,8Rのうち、第1の操作(最初の操作)によって第1のリールを停止させることを第1停止操作、第2の操作(2番目の操作)によって第2のリールを停止させることを第2停止操作、第3の操作(最後の操作)によって第3のリールを停止させることを第3停止操作あるいは最終停止操作ともいう。
【0025】
スロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4に投入するかMAXBETスイッチ6の操作などにより規定数の賭数(本実施の形態においては、最大3)を設定する。これにより、入賞ラインLNが有効となり、かつスタートスイッチ7への操作が有効となり、ゲームが開始可能な状態となる。また、入賞を構成する図柄の組合せが入賞ラインLNに揃ったことを認識しやすくする無効ラインLM1~LM4(
図1参照)が設けられている。無効ラインLM1~LM4は、入賞判定されるラインではなく、入賞ラインLNに特定の入賞図柄の組合せ(いわゆるばらけ目)が揃った際に、無効ラインLM1~LM4のいずれかに所定の図柄の組合せ(たとえば、スイカ-スイカ-スイカ)を揃えることで、入賞ラインLNに特定の入賞を構成する図柄の組合せが揃ったことを認識しやすくするものである。
【0026】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7が操作されると、メイン制御部41は、導出を許容する表示結果を決定する。また、スタートスイッチ7が操作されると、メイン制御部41は、リール2L,2C,2Rを回転させて図柄を変動表示させる。ストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、メイン制御部41は、対応するリールの回転を停止する。リールの回転が停止することで、透視窓3の上中下段に3つの図柄が表示結果として導出表示される。メイン制御部41は、導出を許容した表示結果、ならびに、遊技者の導出操作である、ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作したタイミングと、ストップスイッチ8L,8C,8Rを操作した順序とに基づいてリール2L,2C,2Rの回転を停止するためのリール制御を行う。ここで、遊技者の導出操作とは、リール2L,2C,2Rを停止させて表示結果を導出させるために、遊技者がストップスイッチ8L,8C,8Rを操作することである。
【0027】
入賞ラインLN上に入賞図柄の組合せが停止し入賞が発生したときには、メイン制御部41は、入賞に応じた処理を実行する。入賞に応じた処理には、たとえば、特典を付与する処理が含まれる。ここで、遊技機であるスロットマシン1においては、1ゲームを実行するために規定数の賭数を設定する必要があるため、1ゲーム行う度に遊技用価値であるメダルが消費される。特典には、遊技用価値の付与、遊技用価値を消費することなくゲームを実行するための権利、後述する有利区間などの有利な状態に制御するための権利などが含まれる。
【0028】
ここで、スロットマシン1における“ゲーム(単位遊技ともいう。)”とは、狭義には、スタートスイッチ7が操作されてから全てのリールが停止するまでをいうが、ゲームを行う際にスタートスイッチ7の操作前の賭数設定や、全てのリールの停止後にメダルの払い出しや遊技状態の移行も行われるので、これらの付随的な処理も広義には“ゲーム”に含まれる。
【0029】
[入賞役]
入賞役には、小役、および再遊技役が含まれる。小役は、メダルを付与する役である。再遊技役(リプレイ)は、再遊技を付与する役である。ここで、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値(たとえば、クレジット)を用いることなく次の遊技を行うことが可能であることをいう。換言すると、再遊技とは、遊技者所有の遊技用価値を用いることなくリールが変動可能となることであることをいう。本実施の形態では、再遊技役が当選すると、ストップスイッチの操作タイミングに関わらず入賞する。なお変形例として、再遊技役は、当選したとしても、ストップスイッチの操作タイミングによっては、入賞しない役(つまり、取りこぼしのある役)であってもよい。
【0030】
図3を参照して、入賞役を説明する。
図3は、小役および再遊技役を説明するための図である。
図3の名称欄には、入賞役の名称が示され、図柄の組合せ欄には、その入賞役が入賞となる図柄組合せが示されている。また、無効ラインに揃う図柄の組合せ欄には、入賞となる図柄組合せが入賞ラインに停止したときに無効ラインLM1~LM4のうちのいずれかのラインに停止する図柄組合せであって遊技者が認識しやすい図柄組合せが示されており、図中の「/」は、「または」を意味する。付与欄には、入賞時に付与される価値(メダル払出、再遊技付与など)が示されている。
【0031】
図3に示すように、入賞役のうちの小役には、右上がりチェリー、上段スイカ、中段ベルおよび上段ベル1~8(以下、総じて「上段ベル」とも称す。)が含まれる。各小役は、それぞれ図柄組合せが設定されている。
【0032】
ここで、中段ベルは、操作タイミングに関わらず導出可能な入賞役である。一方、上段ベル1~8のそれぞれを構成する中リール2Cの「白BAR]や「黒BAR」は、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。また、上段ベル1~8のそれぞれを構成する右リール2Rの「白BAR]や「黒BAR」は、右リール2Rにおいて5コマ以内に配置されていない。このため、上段ベル1~8が後述する内部抽選で当選しても、中リール2Cや右リール2Rの停止操作を適正なタイミングで行わなければ、当選している上段ベル1~8を入賞させることができず、上段ベル1~8の入賞を取りこぼすことになる。なお、このときに導出される取りこぼし目は、遊技状態を移行させる図柄組合せであって、移行出目ともいう。各小役に対応する図柄組合せが導出されると、小役の入賞が発生し、予め決められた枚数分のメダルが払い出される。
【0033】
入賞役のうちの再遊技役には、通常リプレイ、転落リプレイ、昇格リプレイ、特殊リプレイ、および制御用リプレイ1,2が含まれる。
図3に示す再遊技役は、すべて、操作タイミングに関わらず導出可能な入賞役である。なお、
図3に示す小役および再遊技役は一例であって、他の入賞役を備えていてもよい。
【0034】
[抽選対象役]
次に、
図4を参照して、抽選対象役について説明する。
図4は、抽選対象役を説明するための図である。抽選対象役は、スロットマシン1が実行する内部抽選の対象となる役である。内部抽選は、メイン制御部41によって実行され、導出を許容する図柄組合せ(入賞役)を決定するための抽選である。なお、内部抽選によって図柄組合せの導出が許容されたことを当選ともいう。
【0035】
図4の抽選対象役欄には抽選対象役の名称を、組合わせ欄には抽選対象役に当選したときに導出が許容される入賞役の組合わせを示し、遊技状態欄にはRTの種類ごとに丸印で抽選対象となる抽選対象役が示され、設定差欄には丸印で設定差の有無が示され、有利区間移行欄には丸印で有利区間当選の有無が示されている。
【0036】
入賞役の組合わせ欄中の「+」は、同時当選することを意味する。たとえば、右ベル1に当選した場合は、中段ベル、上段ベル1および上段ベル2の入賞が許容される。換言すると、内部抽選で右ベル1に当選したときには、中段ベル、上段ベル1および上段ベル2に同時当選したことになる。
【0037】
メイン制御部41は、RT0~4のうちのいずれかの遊技状態に制御し、制御しているRTに応じて内部抽選を行う。たとえば、RT3中、RT3の欄に丸印が付されている抽選対象役が内部抽選の抽選対象であって、それ以外の抽選対象役には当選しないように、メイン制御部41は内部抽選を行う。
【0038】
設定差の有無とは、設定値と呼ばれる遊技者にとっての有利度を示す値に応じて当選確率の変化があるか否かを意味する。設定差「あり」の欄に丸印が付されている抽選対象役は、設定値に応じて当選確率が変化する抽選対象役である。一方、設定差「なし」の欄に丸印が付されている抽選対象役は、設定値に関わらず当選確率が変化しない抽選対象役である。たとえば、ベルは設定差のある抽選対象役である。一方、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のような押し順ベルは、設定差のない抽選対象役である。
【0039】
有利区間当選の有無とは、通常区間から通常区間よりも有利な有利区間に移行を決定する移行抽選に当選するか否かを意味する。なお、移行抽選に当選したことを有利区間当選ともいう。有利区間当選「あり」の欄に丸印が付されている抽選対象役に当選すると、移行抽選が行われ、当該移行抽選に当選した場合は、次ゲームから有利区間に制御(移行)される。なお、移行抽選の実行契機となる抽選対象役を移行対象役ともいう。
【0040】
図4に示すように、設定差なしのカテゴリの役は移行対象役になり得るが、設定差ありのカテゴリの役は移行対象役にならない。たとえば、チェリーおよびスイカは、設定差なしのカテゴリの役であり、移行対象役に定められている。一方、ベルは、設定差ありのカテゴリの役であり、移行対象役に定められていない。
【0041】
また、移行抽選の当選確率は、設定値に応じて変化しない。移行対象役に設定差がなく、移行抽選の当選確率も設定値に応じて変化しないため、設定値に関わらず、有利区間に移行する確率は等しい。
【0042】
また、RT0~RT3において、移行抽選の当選確率は変わらない。具体的には、RT0~RT3において、移行対象役に当選する確率は同一であって、かつ、各移行対象役に当選したときの移行抽選の当選確率もRT0~RT3において等しい。たとえば、チェリーに当選する確率がRT0~3においては1%と等しく、かつ、チェリーに当選したときに移行抽選に当選する確率もRT0~RT3においては60%と等しい。
【0043】
[複数の入賞役が同時当選したときのリール制御]
図5を参照して、複数の入賞役が同時当選したときのリール制御を説明する。
図5は、押し順役当選時のリール制御を説明するための図である。
【0044】
図5に示すように、当選役欄には、当選した抽選対象役を示す。押し順欄には、ストップスイッチを操作する順番を示す。たとえば、「左第1停止」とは、左ストップスイッチ8Lを最初に操作し、それ以降の操作手順は問わないことを意味する。停止する図柄組合せ欄には、押し順欄に示す押し順で停止操作されたときに発生する入賞役を示す。
【0045】
図5に示すように、押し順に応じて導出される表示結果が異なる役(押し順役)には、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4、昇格リプ1~3、維持転リプ1~3、および特殊リプ1~3が含まれる。
【0046】
たとえば、左ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止であるときは、中段ベルが入賞するように中段ベルを構成する図柄組合せが導出される。左ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合に、押し順が左第1停止以外であれば、上段ベルが入賞するように上段ベルを構成する図柄組合せが導出されるか、あるいは移行出目が導出される。移行出目は、上段ベルの入賞を取りこぼした場合に導出される取りこぼし目(表示結果の組合わせ)であって、いずれの入賞も発生しない図柄組合せである。移行出目は、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のうちのいずれかに当選した場合にのみ導出が許容される出目(表示結果の組合わせ)である。
【0047】
そのため、左ベル1~4、中ベル1~4、右ベル1~4のような押し順ベルに当選した場合に、中段ベルを導出するための操作手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合は、操作タイミングに関わらずメダルの払出しが発生する中段ベルを入賞させることができる。一方、中段ベルを導出するための操作手順とは異なる操作手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合には、操作タイミングによってはメダルの払出しが発生しない移行出目が導出される。
【0048】
なお、スロットマシン1が内部抽選においていずれの抽選対象役にも当選しなかった場合には、いずれの入賞も発生しない図柄組合せであって、移行出目とは異なる出目が導出される。ここで、スロットマシン1が内部抽選において抽選対象役にも当選しなかったことを、内部抽選にハズレたともいう。
【0049】
また、昇格リプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止であるときは、昇格リプレイが導出される。一方、昇格リプ1に当選した場合に、押し順が左第1停止以外であるときには、通常リプレイが導出される。
【0050】
なお、押し順としては、「左第1停止」、「中第1停止」、「右第1停止」に限るものではなく、「右ストップスイッチ8R、左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C」の順で操作することなどを含んでもよい。
【0051】
図5に示す押し順役は、操作順序または操作タイミングによって遊技者にとって有利・不利が生じ得る役である。たとえば、押し順ベルに当選した場合に、中段ベルを導出することが可能な押し順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合、中段ベルは操作タイミングに関わらず入賞可能な役であるため、中段ベルが導出される。一方、中段ベルを導出することが可能な押し順とは異なる押し順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作された場合、上段ベルまたは移行出目が導出される。移行出目が導出された場合、メダルの払出しが無く、かつ、遊技状態の移行が生じる(
図6参照)。
【0052】
つまり、中段ベルを構成する表示結果と移行出目とを比較すると、中段ベルを構成する表示結果の方が遊技者にとって有利な表示結果であって、中段ベルを導出することが可能な押し順が遊技者にとって有利な操作手順である。以下、遊技者にとって有利な操作手順を正解手順ともいう。また、有利区間中に、押し順役のうち、操作順序または操作タイミングによって遊技者にとって有利・不利が生じ得る役に当選した場合、正解手順が報知され、このような押し順役をナビ対象役ともいう。
【0053】
[遊技状態]
図6は、遊技状態の遷移を説明するための図である。
図6に示すように、スロットマシン1では、制御可能な遊技状態として、RT0、RT1、RT2、およびRT3が設けられている。RT2およびRT3は、RT0およびRT1よりもリプレイの当選確率が高い遊技状態である。RT3は、RT2よりもリプレイの当選確率が高い遊技状態である。なお、小役の当選確率は、RT0~3で変わらないものとする。
【0054】
設定変更された後には、まずRT0に制御される。RT0においては、押し順ベルが当選したときに右下がりベルまたは上段ベルの入賞を取りこぼすと移行出目が導出され、当該移行出目の導出を条件に、RT1に遊技状態が移行する。
【0055】
RT1においては、昇格リプレイが入賞すると、RT2に遊技状態が移行する。一方、RT2においては、特殊リプレイが入賞すると、RT3に遊技状態が移行する。RT2においては、転落リプレイの入賞または移行出目の導出を条件にRT1に移行する。RT3においては、移行出目の導出を条件にRT1に移行する。
【0056】
遊技者は、RT0~3のうち、RT0およびRT1よりも有利なRT2またはRT3に出来る限り滞在したいと考える。そのため、遊技者は、出来る限り移行出目、転落リプレイを導出させることなく、昇格リプレイまたは特殊リプレイを導出させたいと考える。しかし、移行出目、転落リプレイは、押し順や操作タイミングによって導出される虞があり、昇格リプレイまたは特殊リプレイも、これらの役に対応する押し順で操作しなければ導出されない(
図5参照)。つまり、現状の有利な遊技状態に留まることができるか、より有利な状態へ移行できるか、あるいは不利な遊技状態へ転落するかが、ストップスイッチ8L、8C、8Rの押し順によって決まる。
【0057】
[遊技区間]
メイン制御部41は、遊技状態(RT状態)とは異なる状態の概念として、複数種類の遊技区間に制御する。遊技区間には、通常区間および有利区間が含まれる。なお、有利区間に移行する権利を備えているものの、有利区間への移行を待機している待機区間を備えてもよい。
【0058】
(通常区間および有利区間)
通常区間は、ナビ情報(正解手順)を報知不可能な区間である。有利区間は、ナビ情報を報知可能な区間であり、ストップスイッチ8L,8C,8Rの操作態様を遊技者に指示する指示機能に係る性能を持つ区間である。以下では、ナビ情報を報知することをナビ報知ともいう。有利区間においては、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ報知が少なくとも1回実行される。具体的には、
図5に示す押し順ベルに当選したときに、正解手順(有利操作態様)を報知するナビ報知が実行される。有利区間は、最大払出枚数が得られる入賞が発生するナビ報知が少なくとも1回実行される点で、通常区間よりも遊技者にとって有利な区間(状態)である。
【0059】
ナビ報知は、メイン制御部41が実行するナビ報知と、サブ制御部91が実行するナビ報知とを含む。メイン制御部41は、遊技補助表示器12を用いてナビ報知を行う。具体的には、遊技補助表示器12に正解手順となる押し順に対応する数字などの記号を表示することで、メイン制御部41はナビ報知を行う。また、メイン制御部41が正解手順を特定可能な押し順コマンドをサブ制御部91に送信することで、サブ制御部91は液晶表示器51を用いてナビ報知を行う。たとえば、サブ制御部91は、ナビ報知の一例として、液晶表示器51に、左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C、右ストップスイッチ8Rの順で操作することを示す「123」の数字を表示する。
【0060】
メイン制御部41は、設定変更後に、まずは通常区間に制御し、有利区間への移行が決定されたことに基づいて有利区間に制御する。メイン制御部41は、所定の条件が成立したときに有利区間への移行を決定する。本実施の形態においては、メイン制御部41は、通常区間中に移行対象役に当選したときに、通常区間から有利区間へ移行するか否かを決定する移行抽選を実行する。
【0061】
メイン制御部41は、移行抽選で有利区間への移行を決定したときに、次の遊技から有利区間に制御する。また、メイン制御部41は、移行抽選に当選したゲームを開始してから、次ゲームが開始されるまでに有利区間ランプ19を点灯させることで、有利区間への移行が確定したことを報知し、有利区間への制御を終了するまで有利区間ランプ19を点灯し続ける。
【0062】
有利区間へは、移行対象役(
図4のチェリー、スイカ)に当選したときに有利区間当選した場合に移行する。有利区間は、少なくともAT区間と、他の区間とを含む。有利区間当選した場合に、有利区間のうち、AT区間か、あるいは他の区間に移行するかを決定する抽選が行われる。他の区間は、たとえば、AT区間への移行確率が高いCZ区間を含む。AT区間は、他の区間よりも有利度合いが高い状態である。たとえば、AT区間は、他の区間よりもナビ報知が実行され得る期間が長く保障されている。あるいは、AT区間は、他の区間よりもナビ報知が実行され得る回数が多く保障されている。このように、AT区間は、他の区間よりもナビ報知の実行期間が長く保障されているため、たとえば、押し順ベル当選時に主役(純増枚数を増加させる役)を入賞させるゲームを増やすことができ、他の区間よりも有利度合いが高くなる。
【0063】
また、AT区間中は、
図5に示すナビ対象役に当選した場合に、ナビ報知を必ず実行してもよい。AT区間中に、ナビ対象役に当選した場合にナビ報知が必ずされると、昇格リプ1~3のうちのいずれかに当選した場合、昇格リプレイの導出に対応する操作態様が報知され、維持転リプ1~3のうちのいずれかに当選した場合、通常リプレイの導出に対応する操作態様が報知され、特殊リプ1~3のうちのいずれかに当選した場合、特殊リプレイの導出に対応する操作態様が報知される。そのため、AT区間中は、ナビ報知の示す操作態様に従ってストップスイッチ8L,8C,8Rを操作している限り、他の遊技状態よりもリプレイ確率が高いRT3に制御され続けることになる。すなわち、AT区間は、他の区間に比べて有利な状態である。
【0064】
[リールLEDと表示領域]
図7は、リールLED、表示領域について説明するための図である。リール2L,2C,2Rの内側には、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55が設けられている。リールLED55は、リール2L,2C,2Rが停止したときに透視窓3を介して視認可能な9つの図柄をそれぞれ独立して照射可能である。具体的には、
図7(a)に示すように、リールLED55は、リールLED551~559を含む。サブ制御部91は、各リールLED551~559を独立して点灯制御することができる。たとえば、サブ制御部91は、リールLED551だけを点灯するように制御することで、左上段に停止した図柄が表示される領域の視認性だけを変化させることができる。
【0065】
ここで、メイン制御部41は、入賞したか否かを、入賞ラインLN上である特定位置に導出された図柄の組合わせに基づいて判定する。なお、本実施の形態においては、リール2L,2C,2Rを複数備えるスロットマシン1を例に挙げているが、1のリールのみを備えるスロットマシン1でもよく、1のリールのみを有する場合には、特定位置(入賞ラインLN上)に導出された図柄に基づいて、メイン制御部41は入賞したか否かを判定する。
【0066】
図7(b)に示すように、透視窓3を介して遊技者が視認することができる表示結果が導出される表示領域は、入賞ラインLN(特定位置)に対応する有効領域3Aと、有効領域3A以外の無効領域3Bとを含む。
図7(b)中の右斜め斜線で示した領域が有効領域3Aであって、左斜め斜線で示した領域が無効領域3Bである。
【0067】
[リール演出]
サブ制御部91は、表示結果が導出されたとき、すなわち、リール2L,2C,2Rが全て停止したときに、表示領域の視認性を変化させるリール演出を実行することができる。リール演出は、導出された表示結果を報知する演出の一つである。サブ制御部91は、導出された表示結果に基づいてリール演出の態様を決定する。
【0068】
図8は、導出された表示結果に応じて視認性を変化させる領域が異なるリール演出を示す図である。
図9は、導出された表示結果に応じて視認性を変化させる回数が異なるリール演出を示す図である。
【0069】
メイン制御部41は、リール2L,2C,2Rを停止し、表示結果を導出したときに、入賞ラインLN上に停止した図柄に基づいて入賞したか否かを判定し、入賞の判定結果を示すコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、入賞の判定結果を示すコマンドに基づいてリール演出の実行およびリール演出の態様を決定する。
【0070】
たとえば、
図8に示すように、メイン制御部41は、通常リプに当選してストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、リプレイ図柄が入賞ラインLN上に停止する表示結果が導出されるように(通常リプレイが入賞するように)リール制御を行う。サブ制御部は、通常リプレイが入賞したときは、有効領域3Aの視認性だけを変化させるリール演出を行う。すなわち無効領域3Bの視認性は変化させない。具体的には、サブ制御部91は、リールLED552,555,558を点灯させ、残りのリールLED551,553,554,556,557,559は消灯させたままとする。1の図柄に対応する領域を1マスとして、換言すると、有効領域3Aである3つの有効マスの視認性は変化するものの、無効領域3Bである6つの無効マスの視認性は変化しない。
【0071】
一方、メイン制御部41は、スイカに当選して上段スイカに対応する表示結果を導出する操作態様でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると、スイカ図柄が無効ラインLM1に停止する表示結果が導出されるように(上段スイカが入賞するように)リール制御を行う。サブ制御部91は、上段スイカが入賞したときは、有効領域3Aに加えて無効領域3B全体の視認性を変化させるリール演出を行う。すなわち、サブ制御部91は、リールLED551~559を点灯させる。換言すると、有効領域3Aである3つの有効マスの視認性を変化させるとともに、無効領域3Bである6つの無効マスの視認性も変化させる。
【0072】
通常リプレイが入賞した場合は再遊技が付与される。一方、上段スイカが入賞した場合は5枚の払出しが生じることに加えて、有利区間の移行抽選が行われることになる。本実施の形態においては、1ゲームの実行に最大3枚のメダルが必要であるから、再遊技を付与されることは、多くとも3枚のメダルが付与されることに相当する。すなわち、通常リプレイと上段スイカとを比較した場合に、付与されるメダルという点から、上段スイカの方が遊技者にとって有利な入賞役である。また、上段スイカが入賞した場合は、有利区間の移行抽選が行われ有利区間に移行している可能性がある点で、上段スイカは、通常リプレイよりも遊技者にとって有利な入賞役である。
【0073】
なお、
図8には示していないものの、右上がりチェリーが入賞した場合にも、上段スイカが入賞した場合と同様、有効領域3Aに加えて無効領域3B全体の視認性を変化させるリール演出が行なわれる。右上がりチェリーが入賞したということは、チェリーに当選したことを意味する。すなわち、有利区間への移行抽選が行われたことを意味する。そのため、右上がりチェリーは、有利区間の移行抽選が行われ有利区間に移行している可能性がある点で、通常リプレイよりも遊技者にとって有利な入賞役である。
【0074】
また、サブ制御部91は、押し順ベルに当選したときは、導出された表示結果に基づいて異なる態様のリール演出を実行する。具体的には、メイン制御部41は、押し順ベルに当選し、正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると中段ベルが入賞するようにリール制御を行う。中段ベルが入賞すると、8枚の払い出しが生じる。この場合に、
図9に示すように、サブ制御部91は、リールLED55を3回点滅させる。
【0075】
一方、メイン制御部41は、正解手順とは異なる手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されると上段ベルが入賞するようにリール制御を行う。上段ベルが入賞すると、3枚の払い出しが生じる。この場合に、
図9に示すように、サブ制御部91は、リールLED55を1回点滅させる。
【0076】
ここで、1回の点滅とは、表示領域の視認性を1回変化させることを意味する。すなわち、中段ベルが入賞したときの方が、上段ベルが入賞したときよりも、表示領域の視認性が多く変化する。中段ベルと上段ベルとを比較すると、中段ベルの方が払出枚数が多い点で上段ベルよりも有利である。
【0077】
また、
図9に示すように、複数回に亘って点滅する場合に、点灯してから消灯するまでの時間t1と、消灯してから点灯するまでの時間t1とは同じ時間となるように、サブ制御部91はリールLED55を点滅する。
【0078】
[主な効果]
(1)
図8および
図9に示すように、サブ制御部91は、有効領域3Aだけでなく無効領域3Bの視認性を変化させるリール演出を実行可能である。そのため、入賞ラインLNに対応する有効領域3A以外の無効領域3Bを用いて好適に演出を行なうことができる。
【0079】
(2)
図8に示すように、通常リプレイに対応する表示結果が導出されたときと、通常リプレイよりも有利な上段スイカに対応する表示結果が導出されたときとで、上段スイカに対応する表示結果が導出されたときの方が、広い範囲で無効領域3Bの視認性が変化する(視認性が変化する無効マスの数が多い)。そのため、より有利な表示結果が導出されたときに、表示領域内の広範囲の領域に対して視認性を変化させることができ、有利な表示結果である場合の演出を盛り上げることができる。
【0080】
(3)
図9に示すように、上段ベルに対応する表示結果が導出されたときと、上段ベルよりも有利な中段ベルに対応する表示結果が導出されたときとで、中段ベルに対応する表示結果が導出されたときの方が、無効領域3Bの視認性が変化する回数が多い。そのため、より有利な表示結果が導出されたときに、視認性の変化する回数が多く設定されるため、有利な表示結果である場合の演出を盛り上げることができる。
【0081】
(4)
図8に示すように、通常リプレイおよび上段スイカに対応する表示結果は、一方の表示結果は入賞ラインLNに同一の図柄が並ぶ表示結果であって、他方の表示結果は無効ラインLMに同一の図柄が並ぶ表示結果である。具体的には、通常リプレイに対応する表示結果は、入賞ラインLN上にリプレイ図柄が揃う表示結果である。一方、上段スイカは、無効ラインLM上にスイカ図柄が揃う表示結果である。
【0082】
また、
図9に示すように、中段ベルおよび上段ベルに対応する表示結果は、一方の表示結果は入賞ラインLNに同一の図柄が並ぶ表示結果であって、他方の表示結果は無効ラインLMに同一の図柄が並ぶ表示結果である。具体的には、中段ベルに対応する表示結果は、入賞ラインLN上にベル図柄が揃う表示結果である。一方、上段ベルは、無効ラインLM上にベル図柄が揃う表示結果である。
【0083】
つまり、所定のライン上に同様の図柄が揃う表示結果となるため、入賞が分かりやすい。なお、本実施の形態においては、所定のライン上に同じ図柄が揃う表示結果を例に挙げたが、類似の図柄が揃う表示結果でもよく、また、同一の図柄と類似の図柄とが揃う表示結果であってもよい。
【0084】
(5) 上段スイカは、上段スイカに対応する表示結果が、有利区間への移行抽選が行われたことを示す表示結果である点で通常リプレイよりも有利な表示結果である。そのため、遊技者は、上段スイカに対応する表示結果が導出され、通常リプレイが導出されたときよりも盛り上がる演出(表示領域の視認性が広範囲で変化する演出)が行なわれることで、有利区間に移行したことに期待できる。
【0085】
(6) 上段ベルおよび中段ベルは、いずれも、押し順ベルに当選したときに導出される表示結果である。中段ベルは、正解手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに入賞する一方、上段ベルは、正解手順とは異なる手順でストップスイッチ8L,8C,8Rが操作されたときに入賞する。このように、操作手順によって、導出される表示結果が異なり、かつ、導出されたときのリール演出の態様も異なるため、遊技の興趣が向上する。
【0086】
(7)
図9に示すように、サブ制御部91は、リールLED55を点滅する場合に、点灯してから消灯するまでの時間と、消灯してから点灯するまでの時間が等しくなるようにリール演出を実行する。
【0087】
そのため、点滅の間隔が一定であるため、リール演出が分かりやすい。なお、
図8に示す例においても、リールLED55を点滅させるリール演出を行なってもよく、この場合においても、点滅の間隔を一定にすることで分かり易いリール演出を遊技者に提供することができる。
【0088】
[変形例]
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態のその他の変形例を説明する。
【0089】
[リール演出の他の実施形態]
本実施の形態においては、リール演出の一例として、有効領域3Aの視認性だけを変化させるパターンと、有効領域3Aおよび無効領域3Bの視認性を変化させるパターンを例に挙げた。しかし、他の態様であってもよい。
【0090】
図10は、他の表示結果に対するリール演出を示す図である。たとえば、
図10(a)は、再遊技役に、左斜め下向きの無効ラインLM4上にリプレイ図柄が揃う入賞役が含まれており、当該入賞役が入賞したときのリール演出の一例である。
図10(a)に示すように、リール演出は、左斜め下向きの無効ラインLM4上に位置する領域(有効領域3Aの一部と、無効領域3Bの一部)の視認性を変化させる演出である。
【0091】
図10(b)は、小役に、入賞ラインLN上にスイカ図柄が揃う入賞役(中段スイカ)が含まれており、中段スイカに当選したときに有利状態への移行抽選が行われる場合に、中段スイカが入賞したときのリール演出の一例である。
図10(b)に示すように、リール演出は、表示領域全体の視認性を変化させる演出が行なわれる。
【0092】
図10に示す例においても、中段スイカの入賞が、再遊技役の入賞に比べて有利状態に移行する可能性がある点で有利であり、有利な中段スイカが入賞した場合に、広範囲の無効領域3Bの視認性が変化するため、上記に示した効果と同じ効果を得られる。
【0093】
また、入賞ラインLN上にスイカ図柄が揃う入賞役が入賞した場合に、有利状態への移行抽選に当選している確率に応じてリール演出の態様を変化させてもよい。
【0094】
図11は、有利状態への移行抽選に当選している確率に応じてリール演出の態様を変化させる例を示す図である。
図11に示す例では、有利状態への移行抽選に当選している確率に応じて、視認性を変化させる無効領域3Bの範囲が異なる例を挙げており、また、有利状態としてAT区間を例に挙げている。
【0095】
AT区間に移行している可能性が高い場合(AT当選期待度大)は、
図11(a)に示すように、無効領域3Bに対応するリールLED55が1つ点灯するリール演出が行なわれる。AT区間に移行している可能性が高くも低くもない場合(AT当選期待度中)は、
図11(b)に示すように、無効領域3Bに対応するリールLED55は3つ点灯するリール演出が行なわれる。AT区間に移行している可能性が低い場合(AT当選期待度低)は、
図11(c)に示すように、無効領域3Bに対応するリールLED55は6つ点灯するリール演出が行なわれる。
【0096】
図12は、演出態様決定テーブルである。
図12に示すように、AT当選している場合には、AT当選していない場合(非当選)に比べて、無効マスの点灯個数(無効領域3Bに対応するリールLED55を点灯させる個数)が少なくなるように、リール演出の態様は決定される。すなわち、無効領域3Bに対応するリールLED55のうち、点灯しているLEDの数が少ないほど、AT当選している可能性が高いことを意味する。
【0097】
図13は、有利状態への移行抽選に当選している確率に応じてリール演出の態様を変化させる例を示す図である。
図13に示す例では、有利状態への移行抽選に当選している確率に応じて視認性を変化させる回数が異なる例であって、有利状態としてAT区間を例に挙げている。なお、
図13に示す例では、点灯とは、リールLED55が全て点灯していることを意味する。
【0098】
AT区間に移行している可能性が高い場合(AT当選期待度大)は、
図13(a)に示すように、視認性を3回変化させるリール演出が行なわれる。AT区間に移行している可能性が高くも低くもない場合(AT当選期待度中)は、
図13(b)に示すように、視認性を5回変化させるリール演出が行なわれる。AT区間に移行している可能性が低い場合(AT当選期待度低)は、
図13(c)に示すように、視認性を7回変化させるリール演出が行なわれる。
【0099】
図14は、演出態様決定テーブルである。
図14に示すように、AT当選している場合には、AT当選していない場合(非当選)に比べて、無効マスの点灯回数(視認性を変化させる回数)が少なくなるように、リール演出の態様は決定される。すなわち、視認性を変化させる回数が少ないほど、AT当選している可能性が高いことを意味する。
【0100】
このように、視認性を変化させる態様のパターンが複数あるため、演出パターンが増え、遊技の興趣が向上する。また、有利状態への移行確率に応じて演出パターンを変えることで、演出パターンへの注目度を上げることができる。
【0101】
[有利状態]
本実施の形態においては、有利状態の一例として、有利区間を例に挙げた。なお、有利区間ではなく、有利区間のうちのAT区間を有利状態とし、AT区間以外の他の区間は有利状態とみなさなくともよい。また、有利状態は、ナビ報知が行われる有利区間に限らず、小役に入賞する確率が通常状態に比べて高い、いわゆるボーナス状態であってもよく、また、有利な状態へ移行する確率が通常状態に比べて高い状態であってもよい。
【0102】
[表示結果]
本実施の形態において、有利な表示結果とは、(1)有利な状態への移行抽選が行われる点、(2)払出枚数が多い点で有利である。たとえば、昇格リプレイなど、リプレイ確率が高い有利な状態に移行する契機となる点で有利なものを、有利な表示結果としてもよい。また、有利な状態に制御するための有利量が付与される点で有利なものを有利な表示結果としてもよい。
【0103】
また、一の表示結果および、当該一の表示結果よりも有利な表示結果は、いずれも、入賞ラインLNまたは無効ラインLMのうちのいずれか一方に同一または類似の図柄が揃う表示結果であることが好ましいものの、同一または類似の図柄が揃わなくともよい。なお、本実施の形態においては、上段の無効ラインLM1に同一または類似の図柄が揃う表示結果を例に挙げたが、下段の無効ラインLM2、斜め左上向きの無効ラインLM3、斜め左下向きの無効ラインLM4に同一または類似の図柄が揃う表示結果であってもよい。なお、ライン上に揃う図柄が一致している必要はなく、一見して類似していると認識できる図柄がライン上に揃っていればよい。
【0104】
[視認性を変化させる範囲と回数]
本実施の形態においては、通常リプレイ入賞時と上段スイカ入賞時とで視認性が変化させる例を示した。すなわち、一の表示結果と、一の表示結果よりも有利な状態への移行抽選が行われる点で有利な表示結果とで、有利な表示結果の方が広範囲の無効領域3Bの視認性が変化する例を示した。なお、一の表示結果と、一の表示結果よりも有利な状態への移行抽選が行われる点で有利な表示結果とで、有利な表示結果の方が視認性が変化する回数が多くなるように構成してもよい。
【0105】
また、本実施の形態においては、正解手順で操作されて中段ベルが入賞した時と、正解手順とは異なる手順で操作されて上段ベルが入賞した時とで、正解手順で操作されて中段ベルが入賞した時の方が視認性が変化する回数が多くなる例をしめした。なお、正解手順で操作されて中段ベルが入賞した時の方が広範囲の無効領域3Bの視認性を変化させるように構成してもよい。
【0106】
なお、一の表示結果よりも有利な表示結果が導出されたときに、有利な表示結果が導出されたときの方が、視認性が変化する回数が多く、かつ、広範囲の無効領域3Bの視認性が変化するように構成してもよい。この場合に、点滅が行なわれる間隔は等しく、点灯してから消灯するまでと、消灯してから点灯するまでの期間が等しくなるように点滅は行われる。
【0107】
また、視認性を変化させる回数は、上記例に挙げた回数に限らず、1回以上であればよく、たとえば、次ゲームを開始させるための操作が行なわれるまで継続するようにしてもよく、所定の回数であればよい。
【0108】
[視認性の変化]
本実施の形態においては、視認性を変化させる方法の一例として、リールLED55を点灯させる例を挙げた。なお、他の方法で表示領域(透視窓3を介した表示結果)の視認性を変化させてもよい。たとえば、透視窓3を透明液晶により構成し、透明液晶に所定の画像を表示することで、表示領域の視認性を変化させてもよい。たとえば、透明液晶に流れ星の画像を表示したり、透明液晶に導出された表示結果と同一の図柄を示す画像を表示したりしてもよい。
【0109】
また、透視窓3の前方、あるいは、透視窓3とリール2L,2C,2Rとの間にシャッターを設け、通常時はシャッターを開いた状態にし、リール2L,2C,2Rの変動および停止を確認できるように構成し、リール演出時にシャッターを閉めることで表示領域の視認性を変化させるように構成してもよい。
【0110】
[リール演出の実行条件]
リール演出は遊技状態および遊技区間に応じて実行するか否かを決定してもよい。たとえば、押し順ベルに対する操作手順が報知されたときは、リール演出を行ない、操作手順が報知されていないときはリール演出を行なわないようにしてもよい。操作手順が報知されている期間は、遊技者はストップスイッチ8L,8C,8Rの操作手順を意識する。そのような場合に、リール演出が行なわれると、遊技者は自身の操作により導出された表示結果に対する注目度がさらに上がり、遊技の興趣が向上する。また、操作手順が報知されている期間は、遊技者にとって有利な期間であるため、有利な期間中の演出が派手になり、遊技の興趣が向上する。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1 スロットマシン、2L,2C,2R リール、8L,8C,8R ストップスイッチ、40 遊技制御基板、41 メイン制御部、51 液晶表示器、56 演出用スイッチ、90 演出制御基板、91 サブ制御部。