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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】ピンチクランプデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/28 20060101AFI20220415BHJP
【FI】
A61M39/28 110
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018522530
(86)(22)【出願日】2016-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 US2016055856
(87)【国際公開番号】W WO2017074681
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2018-08-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】62/247,615
(32)【優先日】2015-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/296,372
(32)【優先日】2016-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/286,248
(32)【優先日】2016-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】バート ディー.ピーターソン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ビン
(72)【発明者】
【氏名】マーティ エル.スタウト
(72)【発明者】
【氏名】フー オリヴィア
(72)【発明者】
【氏名】ウェストン エフ.ハーディング
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ エル.ソンデレッガー
(72)【発明者】
【氏名】チャイ ケルビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リオネル
【合議体】
【審判長】千壽 哲郎
【審判官】村上 聡
【審判官】平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06942647(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0131608(US,A1)
【文献】国際公開第2008/024440(WO,A1)
【文献】特開昭55-97593(JP,A)
【文献】特開2000-88120(JP,A)
【文献】特開2013-176543(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2332611(EP,A1)
【文献】特開2001-259030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M39/28
F16B2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンチクランプデバイスであって、
リップを含む第1の端部、および、第1のクランピング表面を含む第2の端部を有する、第1のアームと、
終端端部を含む第1の端部、および、前記第1のクランピング表面の反対側に位置決めされている第2のクランピング表面を含む第2の端部を有する、第2のアームと、
前記第1のアームの前記第2の端部と前記第2のアームの前記第2の端部とを相互接続するヒンジと、
前記ピンチクランプの少なくとも1つの表面に適用されている材料であって、おおよそ15からおおよそ100のショアAデュロメーター硬度を有している、材料と、を含み、
第2のクランピング表面は、第1の端部と第2の端部とを含み、
前記第2のクランピング表面は、前記第2のクランピング表面の第1の端部から前記第2のクランピング表面の前記第2の端部まで外向きまたは上向きにテーパーが付いており、
前記第1のクランピング表面および前記第2のクランピング表面は、前記第1のクランピング表面と前記第2のクランピング表面の第1の端部および第2の端部との間に完全にクランプされるピンチクランプデバイス。
【請求項2】
相互接続部を介して一緒に連結された対向する側壁部を含むネスティングコンポーネントであって、前記相互接続部は、前記ヒンジの内側にフィットするようにサイズ決めされ、また、前記第1のアームおよび前記第2のアームの外側に隣接して、前記対向する側壁部を位置決めするようにサイズ決めされている、ネスティングコンポーネントをさらに含む請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項3】
前記ネスティングコンポーネントは、前記対向する側壁部のうちの1つまたは複数の内部表面の上に隆起フィーチャーをさらに含み、前記隆起フィーチャーは、前記第1のアームおよび前記第2のアームのうちの一方または両方に接触し、前記ネスティングコンポーネントの回転を制限する請求項2に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項4】
前記第1のクランピング表面および前記第2のクランピング表面のうちの一方または両方は、隆起表面同士の間の凹んだ表面として形成されている請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項5】
前記第1のアームまたは前記第2のアームのうちの一方の対向する側部から延在しているエクステンションをさらに含む請求項4に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項6】
前記エクステンションは、丸みを帯びた相互接続部を介して一緒に連結されており、前記丸みを帯びた相互接続部は、開口部を形成しており、前記開口部を通って、チューブが前記エクステンション同士の間を通過する請求項5に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項7】
前記第2のアームの前記第1の端部は、第2のヒンジを含む請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項8】
前記第2のヒンジは、前記第1のアームおよび前記第2のアームを相互接続する前記ヒンジに向けて前記第2のアームの前記終端端部が枢動することを可能にする請求項7に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項9】
前記第1のアームまたは前記第2のアームのうちの一方は、保持コンポーネントを含み、前記第1のアームまたは前記第2のアームのうちの他方は、枢動タブを含み、前記枢動タブは、前記保持コンポーネントとインターロックし、前記ヒンジが開く範囲を制限する請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項10】
前記保持コンポーネントは、前記第1のアームまたは前記第2のアームの対向する側部の上に位置決めされており、前記枢動タブは、前記保持コンポーネントに対して内向きにオフセットされている請求項9に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項11】
前記第1のアームまたは前記第2のアームのうちの一方は、前記アームの対向する側部の上に位置決めされているエクステンションを含み、前記第1のアームまたは前記第2のアームのうちの他方は、前記ピンチクランプデバイスが係合されているときに対向するエクステンションの間に挿入される内側エクステンションを含む請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項12】
前記ヒンジは、前記ヒンジと前記第1のクランピング表面および前記第2のクランピング表面との間に、楕円形形状の開口部を形成している請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項13】
前記第1のアームおよび前記第2のアームの外側縁部は、丸みを帯びている請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項14】
前記第2のアームの前記終端端部は、前記第2のアームの前記丸みを帯びた外側縁部を越えて外向きに突出する端部を有するインターフェース表面を形成している請求項13に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項15】
前記第1のクランピング表面または前記第2のクランピング表面のうちの一方は、横方向のポストを含み、前記第1のクランピング表面または前記第2のクランピング表面のうちの他方は、前記第1のクランピング表面および前記第2のクランピング表面が係合されているときに、前記横方向のポスト同士の間に位置決めされる凹んだ表面を含む請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項16】
前記第2のアームの前記終端端部は、外向きに面する凹んだ表面を含むインターフェース表面を形成しており、前記第1のアームは、内向きに面する横方向の突出部を含み、前記リップによって形成されるレッジ部の下に前記インターフェース表面が固定されているときに、前記内向きに面する横方向の突出部同士の間に、前記凹んだ表面が位置決めされる請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項17】
前記第1のアームは、前記第1のクランピング表面の下方に位置決めされている凹んだセクションを含み、前記デバイスは、
底部セクション、および、前記底部セクションの両側端部から上向きに延在する2つの対向するアームを有する、横方向の解除防止コンポーネントをさらに含み、
前記凹んだセクションは、前記横方向の解除防止コンポーネントを収容するように構成されており、前記対向するアームが前記第2のアームの上に位置決めされるようになっている請求項1に記載のピンチクランプデバイス。
【請求項18】
それぞれの対向するアームは、前記アームの内側表面から延在する内向きの突出部を含み、前記横方向の解除防止コンポーネントの前記底部セクションが前記凹んだセクションの中に位置決めされているときに、前記内向きの突出部の底部表面が前記第1のアームの上部表面に接触するように、それぞれの内向きの突出部は位置決めされている請求項17に記載のピンチクランプデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静脈内チューブなどのようなプラスチックチューブをクランプまたは閉鎖する際に使用するように設計されているピンチ型クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
ピンチクランプは、周知のタイプのワンピースのプラスチッククランプであり、それは、静脈内チューブなどのようなプラスチックチューブを遮断するために使用されている。ピンチクランプは、一般的に、滑らかで硬いプラスチック材料を含み、滑らかで硬いプラスチック材料は、弾力性があり、制御された屈曲が可能であり、クランピング表面の係合および解除を可能にする。
【0003】
ピンチクランプを製造する成形プロセスまたは押し出し加工プロセスは、一般的に、鋭利な縁部を有するクランプを結果として生じさせ、鋭利な縁部は、クランプが使用されている患者を引っかくかまたはそうでなければ刺激する可能性がある。さらに、クランプのプラスチックの硬くて滑らかな特性は、使用の間に、特に、クランプが濡れるときに、クランプをつかんで操縦する難しさをもたらす。
【0004】
いくつかの場合において、クランプのプラスチックの硬くて滑らかな特性は、インターロックされたクランプのアームに剪断力が加えられるときに、クランプの非意図的な解除を結果としてさらに生じさせる。たとえば、および、図1を参照して、先行技術のピンチクランプ1が、剪断力の下で、閉じた構成またはクランプされた構成で示されている。先行技術のピンチクランプ1は、一般的に、第2のアーム4の終端端部5に選択的に係合するように構成されたリップ3を有する第1のアーム2を含む。終端端部5がリップ3によって受け入れられているときに、クランプ1は、クランピング構成で係合されている。剪断力6が、第1のアーム2または第2のアーム4のいずれかに加えられるときに、リップ3および終端端部5は、時期尚早に解除し、クランピング圧力を解放する可能性がある。
【0005】
したがって、ピンチクランプを使用してチューブのセクションをクランプするための方法およびデバイスが、現在でも存在しているが、課題が依然として残っている。したがって、本発明の特徴は、これらの課題に対処してそれらを克服する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、静脈内チューブなどのようなプラスチックチューブをクランプまたは閉鎖する際に使用するように設計されているピンチ型クランプに関する。本発明のピンチクランプは、先行技術のピンチクランプの中に存在することが知られているさまざまな困難に対処してそれを克服する。たとえば、本発明のいくつかの実施形態は、軟質材料を含み、軟質材料は、ピンチクランプのさまざまな表面に適用され、1)摩耗または患者に対する刺激を防止し、2)ピンチクランプとピンチクランプを操作するユーザーとの間の摩擦を増加させ、3)ピンチクランプの係合されている表面同士の間の摩擦を増加させ、クランプの時期尚早のまたは意図しない解除を防止し、および、4)チューブの外側表面とクランプのクランピング表面との間の摩擦を増加させる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態は、動的なクランピング表面またはインターフェースをさらに含み、動的なクランピング表面またはインターフェースは、ピンチクランプを係合させるプロセスの間に、チューブの中の流体の容積移送(positive displacement)を結果として生じさせる。とりわけ、本発明のいくつかの実施形態は、平面的で細長い第1のクランピング表面を含み、第1のクランピング表面は、チューブの第1の側部に接触して支持するように構成されている。ピンチクランプは、角度を付けられた細長い第2のクランピング表面をさらに含み、それによって、第2のクランピング表面は、第1のクランピング表面から第1の距離に間隔を置いて配置されている第1の端部を含み、第2のクランピング表面は、第1のクランピング表面から第2の距離に間隔を置いて配置されている第2の端部をさらに含み、第2の距離は、第1の距離よりも大きくなっている。
【0008】
ピンチクランプを閉じると、第2のクランピング表面の第1の端部は、チューブの第2の側部に接触し、第1のクランピング表面と第2のクランピング表面の第1の端部との間に置かれたチューブの一部分を閉鎖する。さらに閉じる運動が起こると、第2のクランピング表面の角度を付けられた表面が、第1のクランピング表面の長さに沿ってチューブを徐々に閉鎖またはクランプし、それによって、第1のクランピング表面および第2のクランピング表面との間のインターフェースから、チューブの中の流体を容積式に移送させる。ピンチクランプが完全に係合すると、第2のクランピング表面の第2の端部も、チューブの第2の側部と接触した状態になり、チューブが第1のクランピング表面および第2のクランピング表面の全体長さに沿って閉鎖またはクランプされるようになっている。
【0009】
本発明の第1の実施形態では、ピンチクランプデバイスであって、リップを含む第1の端部、および、第1のクランピング表面を含む第2の端部を有する第1のアームと、終端端部を含む第1の端部、および、第1のクランピング表面の反対側に位置決めされている第2のクランピング表面を含む第2の端部を有する第2のアームと、第1のアームの第2の端部と第2のアームの第2の端部とを相互接続するヒンジと、ピンチクランプの少なくとも1つの表面に適用されている材料であって、おおよそ15からおおよそ100のショアAデュロメーター硬度を有している材料と、を含むピンチクランプデバイスが提供される。いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、縁部表面である。
【0010】
いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、直角の表面である。いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、リップおよび終端端部からなるグループから選択される。さらに、いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、第1のクランピング表面および第2のクランピング表面からなるグループから選択される。
【0011】
いくつかの場合において、ピンチクランプデバイスは、終端端部に近接して第2のアームの接触表面の上に設けられた複数のリッジ部をさらに含む。いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、複数のリッジ部を含む。いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、終端端部とリップとの間にインターフェース表面を含む。いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、ピンチクランプの接触表面を含む。いくつかの場合において、ピンチクランプの少なくとも1つの表面は、第1のクランピング表面と第2のクランピング表面との間にインターフェース表面を含む。いくつかの場合において、ピンチクランプのリップは、複数の平行なリッジを含み、それぞれのリッジは、終端端部を保持することが可能である。
【0012】
本発明の第2の実施形態では、ピンチクランプデバイスであって、チューブのセクションの第1の側部を支持するための平面的で細長い表面を含む第1のクランピング表面を有する第1のアームと、第2のクランピング表面を有する第2のアームであって、第2のクランピング表面は、第1のクランピング表面の反対側に位置決めされており、また、角度を付けられた細長い表面を含み、第2のクランピング表面は、第1の端部および第2の端部を有しており、第1の端部は、第1のクランピング表面から第1の距離に間隔を置いて配置されており、第2の端部は、第1のクランピング表面から第2の距離に間隔を置いて配置されており、第2の距離は、第1の距離よりも大きくなっている、第2のアームと、第1のアームと第2のアームとを相互接続するヒンジとを含む、ピンチクランプデバイスが提供される。
【0013】
いくつかの場合において、第2のクランピング表面の第1の端部は、チューブをクランプするためにピンチクランプを閉じるプロセスの間に、第2のクランピング表面の第2の端部がチューブの第2の側部に接触する前に、チューブの第2の側部に接触するように構成されている。いくつかの場合において、ピンチクランプの第1のアームおよび第2のアームが完全に係合されているときに、第2のクランピング表面の第2の端部は、チューブの第2の側部に接触するように構成されている。いくつかの場合において、デバイスは、ピンチクランプの少なくとも1つの表面に適用されている材料をさらに含み、材料は、おおよそ15からおおよそ100のショアAデュロメーター硬度を有している。いくつかの場合において、少なくとも1つの表面は、ピンチクランプとチューブとの間のインターフェースである。いくつかの場合において、少なくとも1つの表面は、第1のクランピング表面および第2のクランピング表面からなるグループから選択される。いくつかの場合において、少なくとも1つの表面は、ピンチクランプの接触表面である。
【0014】
本発明の第3の実施形態では、ピンチクランプデバイスであって、リップを含む第1の端部、および、第1のクランピング表面を含む第2の端部を有する、第1のアームであって、第1のクランピング表面は、チューブのセクションの第1の側部を支持するために平面的で細長い表面を含む、第1のアームと、終端端部を含む第1の端部、および、第1のクランピング表面の反対側に位置決めされている第2のクランピング表面を含む第2の端部を有する、第2のアームであって、第2のクランピング表面は、角度を付けられた細長い表面を含む、第2のアームと、第1のアームの第2の端部と第2のアームの第2の端部とを相互接続するヒンジと、ピンチクランプの少なくとも1つの表面に適用されている材料であって、おおよそ15からおおよそ100のショアAデュロメーター硬度を有している、材料とを含む、ピンチクランプデバイスが提供される。いくつかの場合において、第2のクランピング表面は、第1の端部および第2の端部を含み、第1の端部は、第1のクランピング表面から第1の距離に間隔を置いて配置されており、第2の端部は、第1のクランピング表面から第2の距離に間隔を置いて配置されており、第2の距離は、第1の距離よりも大きくなっている。
【0015】
本発明の第4の実施形態では、ピンチクランプデバイスであって、リップを含む第1の端部、および、第1のクランピング表面を含む第2の端部を有する、第1のアームと、終端端部を含む第1の端部、および、第1のクランピング表面の反対側に位置決めされている第2のクランピング表面を含む第2の端部を有する、第2のアームと、第1のアームの第2の端部と第2のアームの第2の端部とを相互接続するヒンジとを含む、ピンチクランプデバイスが提供される。いくつかの場合において、ピンチクランプデバイスは、相互接続部を介して一緒に連結された対向する側壁部を含むネスティング(nesting)コンポーネントであって、相互接続部は、ヒンジの内側にフィットするようにサイズ決めされ、また、第1のアームおよび第2のアームの外側に隣接して、対向する側壁部を位置決めするようにサイズ決めされている、ネスティングコンポーネントをさらに含む。いくつかの場合において、ネスティングコンポーネントは、対向する側壁部のうちの1つまたは複数の内部表面の上に隆起フィーチャーをさらに含み、隆起フィーチャーは、第1のアームおよび第2のアームのうちの一方または両方に接触し、ネスティングコンポーネントの回転を制限する。いくつかの場合において、第1のクランピング表面または第2のクランピング表面の一方は、隆起表面同士の間の凹んだ表面として形成されている。いくつかの場合において、ピンチクランプデバイスは、第1のアームまたは第2のアームのうちの一方の対向する側部から延在しているエクステンションをさらに含む。いくつかの場合において、エクステンションは、丸みを帯びた相互接続部を介して一緒に連結されており、丸みを帯びた相互接続部は、開口部を形成しており、開口部を通って、チューブがエクステンション同士の間を通過する。いくつかの場合において、第2のアームの第1の端部は、第2のヒンジを含む。いくつかの場合において、第2のヒンジは、第1のアームおよび第2のアームを相互接続するヒンジに向けて第2のアームの終端端部が枢動することを可能にする。いくつかの場合において、第1のアームまたは第2のアームは、アームの対向する側部の上に位置決めされているエクステンションを含み、第1のアームまたは第2のアームのうちの他方は、ピンチクランプデバイスが係合されているときに対向するエクステンションの間に挿入される内側エクステンションを含む。いくつかの場合において、第1のアームは、第1のクランピング表面のそれぞれの側部に位置決めされている隆起表面を含み、第2のクランピング表面は、ピンチクランプデバイスが係合されているときに、隆起表面同士の間に挿入される。
【0016】
いくつかの場合において、ヒンジは、ヒンジと第1のクランピング表面および第2のクランピング表面との間に、楕円形の形状の開口部を形成している。いくつかの場合において、第1のアームおよび第2のアームの外側縁部は、丸みを帯びている。いくつかの場合において、第2のアームの終端端部は、第2のアームの丸みを帯びた外側縁部を越えて外向きに突出する端部を有するインターフェース表面を形成している。いくつかの場合において、第1のクランピング表面または第2のクランピング表面のうちの一方は、横方向のポストを含み、第1のクランピング表面または第2のクランピング表面のうちの他方は、第1のクランピング表面および第2のクランピング表面が係合されているときに、横方向のポスト同士の間に位置決めされる凹んだ表面を含む。
【0017】
いくつかの場合において、第2のアームの終端端部は、外向きに面する凹んだ表面を含むインターフェース表面を形成しており、第1のアームは、内向きに面する横方向の突出部を含み、リップによって形成されるレッジ部の下にインターフェース表面が固定されているときに、内向きに面する横方向の突出部同士の間に、凹んだ表面が位置決めされる。いくつかの場合において、第1のアームは、第1のクランピング表面の下方に位置決めされている凹んだセクションを含み、デバイスは、底部セクション、および、底部セクションの両側端部から上向きに延在する2つの対向するアームを有する、横方向の解除防止コンポーネントをさらに含み、凹んだセクションは、横方向の解除防止コンポーネントを収容するように構成されており、対向するアームが第2のアームの上に位置決めされるようになっている。いくつかの場合において、それぞれの対向するアームは、アームの内側表面から延在する内向きの突出部を含み、横方向の解除防止コンポーネントの底部表面が凹んだセクションの中に位置決めされているときに、内向きの突出部の底部表面が第1のアームの上部表面に接触するように、それぞれの内向きの突出部は位置決めされている。
【0018】
この概要は、詳細な説明において下記にさらに説明されている、簡単化された形態の概念の選択を導入するために提供されている。この概要は、特許請求されている主題の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求されている主題の範囲を決定する際の補助として使用されることも意図していない。
【0019】
本発明の追加的な特徴および利点は、以下に続く説明の中に述べられることとなり、また、その説明から部分的に明らかになることとなり、または、本発明述べ実施によって学習され得る。本発明の特徴および利点は、とりわけ添付の特許請求の範囲の中で指摘される器具および組合せによって、現実化および取得され得る。本発明のこれらの特徴および他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより十分に明らかになることとなり、または、以降に述べられているような本発明の実施によって学習され得る。
【0020】
本発明の上述のおよび他の利点および特徴が取得され得る様式を説明するために、上記に簡潔に説明されている本発明のより詳細な説明が、添付の図面に図示されているその特定の実施形態を参照することによって与えられることとなる。これらの図面が、本発明の典型的な実施形態だけを示しており、したがって、その範囲を限定するものと考えられるべきではないという理解の下で、本発明は、添付の図面の使用を通して、追加的な特異性および詳細とともに、記載および説明されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、剪断力の下で歪められた構成の先行技術のピンチクランプの斜視図を示している。
図2A図2Aは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの解除された構成の斜視図を示している。
図2B図2Bは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの係合された構成の詳細な側平面図を示している。
図3A図3Aは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの解除された構成であり、インターフェース表面上に複数の溝部をさらに含む斜視図を示している。
図3B図3Bは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの係合された構成であり、インターフェース表面の上に複数の溝部を含む詳細な側平面図を示している。
図3C図3Cは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの係合された構成であり、インターフェース表面上に複数の溝部を含む端面図を示している。
図4A図4Aは、本発明の代表的な実施形態による第1および第2のクランピング表面のチューブのセクションをクランプするプロセスの間の詳細な側平面図を示している。
図4B図4Bは、本発明の代表的な実施形態による第1および第2のクランピング表面のチューブのセクションをクランプするプロセスの間の詳細な側平面図を示している。
図4C図4Cは、本発明の代表的な実施形態による第1および第2のクランピング表面のチューブのセクションをクランプするプロセスの間の詳細な側平面図を示している。
図4D図4Dは、本発明の代表的な実施形態による第1および第2のクランピング表面のチューブのセクションをクランプするプロセスの間の詳細な側平面図を示している。
図5図5は、本発明の代表的な実施形態による第1および第2のクランピング表面の詳細な側平面図であり、クランピング表面が、硬質のまたは半硬質の材料および軟質のポリマー材料を含むことを示している。
図6A図6Aは、本発明のさまざまな代表的な実施形態によるピンチクランプの解除された構成のチューブを保持するために1つまたは複数のエクステンションをさらに有する、ピンチクランプの斜視図を示している。
図6B図6Bは、本発明のさまざまな代表的な実施形態によるピンチクランプの解除された構成のチューブを保持するために1つまたは複数のエクステンションをさらに有する、ピンチクランプの斜視図を示している。
図6C図6Cは、本発明のさまざまな代表的な実施形態によるピンチクランプの解除された構成のチューブを保持するために1つまたは複数のエクステンションをさらに有する、ピンチクランプの斜視図を示している。
図7A図7Aは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの横方向の解除を防止するためのネスティングコンポーネントを有する斜視図を示している。
図7B図7Bは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの横方向の解除を防止するためのネスティングコンポーネントを有する斜視図を示している。
図7C図7Cは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの横方向の解除を防止するためのネスティングコンポーネントを有する斜視図を示している。
図7D図7Dは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの横方向の解除を防止するためのネスティングコンポーネントを有する断面図を示している。
図8A図8Aは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの隆起表面および凹んだ表面を含むクランピング表面を有する側面斜視図を示している。
図8B図8Bは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの隆起表面および凹んだ表面を含むクランピング表面を有する側面斜視図を示している。
図9図9は、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの近位方向に力を加えることによってクランピング表面を解除するように構成された終端端部を有する側面斜視図を示している。
図10A図10Aは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプのさまざまな保持コンポーネントを有するさまざまな側面斜視図を示している。
図10B図10Bは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプのさまざまな保持コンポーネントを有するさまざまな側面斜視図を示している。
図10C図10Cは、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプのさまざまな保持コンポーネントを有するさまざまな側面斜視図を示している。
図11図11は、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプのオフセットされた保持コンポーネントを有する側面斜視図を示している。
図12図12は、本発明の代表的な実施形態によるピンチクランプの隆起表面および凹んだ表面を含むクランピング表面を有する側面斜視図を示している。
図13A図13Aは、丸みを帯びた縁部および楕円形形状のヒンジを有するピンチクランプの側面斜視図を示している。
図13B図13Bは、丸みを帯びた縁部および楕円形形状のヒンジを有するピンチクランプの背面図を示している。
図14A図14Aは、さまざまな横方向の解除防止フィーチャーを含むピンチクランプの側面斜視図を示している。
図14B図14Bは、さまざまな横方向の解除防止フィーチャーを含むピンチクランプの側面図を示している。
図15図15は、さまざまな横方向の解除防止フィーチャーを含むピンチクランプの側面斜視図を示している。
図16A図16Aは、別個の横方向の解除防止コンポーネントを用いるピンチクランプを示している。
図16B図16Bは、単独で図16Aの横方向の解除防止コンポーネントを示している。
図17図17は、容積式の流体移送を提供するように構成されているクランピング表面を有するピンチクランプを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、静脈内チューブなどのようなプラスチックチューブをクランプまたは閉鎖する際に使用するように設計されているピンチ型クランプに関する。本発明のピンチクランプは、先行技術のピンチクランプの中に存在することが知られているさまざまな困難に対処してそれを克服する。たとえば、本発明のいくつかの実施形態は、軟質材料を含み、軟質材料は、ピンチクランプのさまざまな表面に適用され、1)摩耗または患者に対する刺激を防止し、2)ピンチクランプと、ピンチクランプを操作するユーザーとの間の摩擦を増加させ、3)ピンチクランプの係合されている表面同士の間の摩擦を増加させ、クランプの時期尚早のまたは意図しない解除を防止し、および、4)チューブの外側表面とクランプのクランピング表面との間の摩擦を増加させる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、動的なクランピング表面またはインターフェースをさらに含み、動的なクランピング表面またはインターフェースは、ピンチクランプを係合させるプロセスの間に、チューブの中の流体の容積移送を結果として生じさせる。とりわけ、本発明のいくつかの実施形態は、平面的で細長い第1のクランピング表面を含み、第1のクランピング表面は、チューブの第1の側部に接触して支持するように構成されている。ピンチクランプは、角度を付けられた細長い第2のクランピング表面をさらに含み、それによって、第2のクランピング表面は、第1のクランピング表面から第1の距離に間隔を置いて配置されている第1の端部を含み、第2のクランピング表面は、第1のクランピング表面から第2の距離に間隔を置いて配置されている第2の端部をさらに含み、第2の距離は、第1の距離よりも大きくなっている。
【0024】
ピンチクランプを閉じると、第2のクランピング表面の第1の端部は、チューブの第2の側部に接触し、第1のクランピング表面と第2のクランピング表面の第1の端部との間に置かれたチューブの一部分を閉鎖する。さらに閉じる運動が起こると、第2のクランピング表面の角度を付けられた表面が、第1のクランピング表面の長さに沿ってチューブを徐々に閉鎖またはクランプし、それによって、第1のクランピング表面と第2のクランピング表面との間のインターフェースから、チューブの中の流体を容積式に移送させる。ピンチクランプが完全に係合すると、第2のクランピング表面の第2の端部も、チューブの第2の側部と接触した状態になり、チューブが第1のクランピング表面と第2のクランピング表面との全体長さに沿って閉鎖またはクランプされるようになっている。
【0025】
図2Aは、ピンチクランプ10の斜視的な上面および側面の図を図示している。ピンチクランプ10は、一般的に、第1のアーム12を含み、第1のアーム12は、第1の端部を有しており、第1の端部は、レッジ部15を形成するリップ14を含む。いくつかの場合において、リップ14は、複数の平行なレッジ部またはリッジ部を含む。第1のアーム12は、第1のクランピング表面16を含む第2の端部をさらに含む。いくつかの場合において、第1のクランピング表面16は、クランプ10の幅におおよそ等しい幅を有する隆起表面を含む。いくつかの場合において、第1のクランピング表面16は、平面的であるかまたは概して平坦である。他の場合において、第1のクランピング表面16は、角度を付けられているか、丸みを帯びているか、尖っているか、リッジ部を付けられているか、溝を付けられているか、または、それらの任意の組合せである。
【0026】
ピンチクランプ10は、終端端部24を含む第1の端部を有する第2のアーム20をさらに含む。終端端部24は、一般的に、係合された構成でクランプ10を固定するために、リップ14と係合するように構成されている。いくつかの場合において、終端端部24は、とがっていない正方形の端部を含む。いくつかの実施形態では、終端端部24は、くさび形のまたはテーパー付きの形状を含み、終端端部24が、先端部または尖っている縁部に向けて外向きにテーパーが付くようになっている。終端端部24は、インターフェース表面22をさらに含み、インターフェース表面22は、リップ14のレッジ部15と適合して係合するように構成されており、係合された構成でクランプ10を保持するようになっている。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2のアーム20は、第2のクランピング表面26を有する第2の端部を含む。第2のクランピング表面26は、ピンチクランプによく見られるように、一般的に、第1のクランピング表面16の反対側に位置決めされている。いくつかの場合において、第2のクランピング表面26はテーパー付きになっており、解除された構成において、クランピング表面26の第1の端部が、第1の距離において、クランピング表面16から間隔を置いて配置されており、クランピング表面26の第2の端部が、第2の距離において、クランピング表面16から間隔を置いて配置されており、第2の距離は、第1の距離よりも大きくなるようになっている。一実施形態では、クランピング表面26の第2の端部は、第2のアーム20の第1の端部24に最も近くなっており、クランピング表面26の第1の端部は、クランプ10の閉じた端部32に近接している。
【0028】
第1のアーム12および第2のアーム20の第2の端部は、ヒンジ30を介して相互接続されている。いくつかの場合において、ヒンジ30は、第1のアーム12および第2のアーム20の第2の端部の丸みを帯びたエクステンションを含む。ヒンジ30は、第1のアーム12を第2のアーム20の反対側に位置決めするように構成されている。いくつかの場合において、ヒンジ30は、弛緩した位置(図2に示されているように)および張力のかかった位置(図示せず)を含む。弛緩した位置では、ヒンジ30は、第1のクランピング表面16と第2のクランピング表面26との間にギャップまたはスペースを提供するように、第1のアーム12および第2のアーム20を位置決めしている。ヒンジ30の弛緩した位置は、さらに、終端端部24とリップ14との間にギャップまたはスペースを維持している。いくつかの場合において、ヒンジ30は、ウィンドウまたは開口部34をさらに含み、チューブがウィンドウまたは開口部34を通過させられる。第1のアーム12は、ウィンドウまたは開口部36をさらに含み、ウィンドウまたは開口部36は、ウィンドウ34と概して整合させられており、チューブを収容するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2のアーム20の接触表面または外部表面26は、グリップフィーチャー28をさらに含む。グリップフィーチャー28は、一般的に、使用の間に、ユーザーの親指または親指以外の手指とピンチクランプ10との間の摩擦を増加させるように提供されている。いくつかの場合において、グリップフィーチャー28は、複数の平行なリッジ部または隆起フィーチャーを含む。いくつかの実施形態では、グリップフィーチャー28は、摩擦を増加させることが意図されるテクスチャー加工または他の表面処理を含む。いくつかの場合において、グリップフィーチャー28は、どのようにおよびどこでユーザーがクランプ10をグリップするべきかということを示す視覚的基準および/または触覚的基準をさらに提供する。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、ピンチクランプ10のさまざまな表面に適用される軟質のポリマー材料40をさらに含む。本明細書で使用されているように、「軟質のポリマー材料」という用語は、ピンチクランプ10を製造する際に使用するのに適切なプラスチック材料に適用または追加され得る任意の材料を含むということが理解され、軟質のポリマー材料は、ピンチクランプがそれから構築されるプラスチック材料よりも小さいショアAデュロメーター硬度を含む。たとえば、いくつかの実施形態では、軟質のポリマー材料は、おおよそ15から100の、おおよそ20から80の、おおよそ30から70の、おおよそ40から60の、おおよそ45から55の、または、おおよそ50のショアAデュロメーター硬度を含む。いくつかの場合において、軟質のポリマー材料は、15よりも小さいショアAデュロメーター硬度を含む。いくつかの場合において、軟質のポリマー材料は、100よりも大きいショアAデュロメーター硬度を含む。
【0031】
軟質のポリマー材料の非限定的な例は、熱可塑性のエラストマー、たとえば、熱可塑性のゴム、コポリマーなど、または、ポリマー、たとえば、プラスチックおよびゴムなどの物理的な混合物、架橋ポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィンブレンド、エラストマーアロイ、熱可塑性のポリウレタン、熱可塑性のコポリエステル、熱可塑性のポリアミド、または、それらの組合せを含む。
【0032】
たとえば、いくつかの場合において、軟質のポリマー材料は、薄いコーティングとして、ピンチクランプの硬質のまたは半硬質の材料に適用される。いくつかの場合において、軟質のポリマー材料ピースは、最初に、押し出し加工または射出成形などのような、公知のプロセスによって作り出される。次いで、ポリマーピースは、たとえば、接着剤、機械的な干渉、またはインターロッキングフィーチャーまたは表面などによって、ピンチクランプの1つまたは複数の表面に適用される。いくつかの場合において、ピンチクランプの硬質のまたは半硬質の材料の1つまたは複数の表面は、ピンチクランプに関して最終的なプロファイルおよび形状を提供するように、ポリマーピースによって除去および交換される。いくつかの実施形態では、ピンチクランプは、2ショットの成形プロセスにおいて提供されており、そこでは、第1の射出ユニットが、クランプの硬質のまたは半硬質の材料を成形するために提供されており、また、第2の射出ユニットが、戦略的な場所に軟質のポリマー材料を適用するために提供されている。いくつかの場合において、ピンチクランプの硬質のまたは半硬質の材料の1つまたは複数の表面は、1つまたは複数の接触表面を柔らかくするために、ポリマー材料またはピースによって除去および交換される。いくつかの場合において、ピンチクランプの硬質のまたは半硬質の材料の1つまたは複数の表面は、クランプの2つ以上の表面の間の摩擦、または、クランプの1つまたは複数の表面とクランプの中に挿入されているチューブのセクションとの間の摩擦を増加させるために、ポリマー材料またはピースによって除去および交換される。
【0033】
いくつかの場合において、軟質のポリマー材料40は、ピンチクランプ10のさまざまな表面に適用され、そうでなければ患者の皮膚を引っかくかまたは刺激する可能性のあるピンチクランプ10のさまざまな表面を柔らかくする。たとえば、一実施形態では、軟質のポリマー材料40は、ピンチクランプ10の縁部または側部表面50に適用されている。一実施形態では、軟質のポリマー材料40は、ピンチクランプ10の直角の表面52に適用されている。さらに、一実施形態では、軟質のポリマー材料40は、接触表面に適用されており、「接触表面」は、使用の間に患者に接触することができる任意の露出された表面を含むということが理解される。いくつかの場合において、軟質のポリマー材料40は、ピンチクランプ10のすべての外部表面に適用されている。
【0034】
いくつかの場合において、軟質のポリマー材料40は、摩擦を増加させるためにさまざまな表面に適用されている。たとえば、一実施形態では、軟質のポリマー材料40が、ピンチクランプ10のグリップフィーチャー28に適用されており、それによって、ユーザーの親指または親指以外の手指とピンチクランプ10との間の摩擦を増加させる。一実施形態では、軟質のポリマー材料40は、第1クランピング表面16および第2のクランピング表面26のうちの少なくとも1つに適用されており、それによって、クランピング表面とそれらの間に固定されるチューブとの間の摩擦を増加させる。
【0035】
一実施形態では、軟質のポリマー材料40は、リップ14および終端端部24のうちの少なくとも1つに適用され、それらの間の摩擦を増加させる。図1の先行技術のクランプ1に関連して先に議論されているように、リップ3と終端端部5との間の硬いプラスチックインターフェースは、剪断力6がクランプ1に加えられるときに、第1のアーム2および第2のアーム4の歪みを可能にする。これは、クランプ1の時期尚早のまたは意図しない解除を結果として生じさせる可能性がある。それとは対照的に、リップ15と終端端部24との間の軟質のポリマー材料40インターフェースは、これらの表面同士の間の摩擦を増加させ、それによって、意図しない解除を防止する。これらの表面の詳細図が、図2Bに示されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、リップ15および終端端部24のうちの少なくとも1つの表面は、図3A図3Cに示されているように、インターフェース表面22において横方向または軸線方向の摩擦をさらに増加させるように構成されている、機械的なフィーチャーまたは表面25をさらに含む。たとえば、一実施形態では、インターフェース表面22は、複数のインターロッキング溝部を含む機械的なフィーチャー25を有している。いくつかの場合において、機械的なフィーチャー25は、第1のアーム14と第2のアーム20との間にアライメントを提供する。いくつかの場合において、機械的なフィーチャー25は、テクスチャーなどのようなマイクロ-フィーチャーを含む。いくつかの実施形態では、機械的なフィーチャー25は、マイクロ-フィーチャーを含み、マイクロ-フィーチャーは、クランプ10を通してねじ込まれるチューブの方向に対して平行、垂直、または、垂直かつ平行になっている。いくつかの場合において、機械的なフィーチャー25は、クランプ10の硬質のポリマー材料の中に形成され、その後に、軟質のポリマー材料40によってコーティングまたはカバーされる。他の場合において、機械的なフィーチャー25は、軟質のポリマー材料40の中に直接的に提供される。
【0037】
ここで図4A図4Dを参照すると、本発明のいくつかの実施形態は、クランプされているチューブ70の中に流体60の容積移送の結果として生じさせる、動的なクランピング表面またはインターフェース55を含む。流体60が、容積移送を介して患者の中へ前進させられることを除いて、チューブ70の中に残ることとなる薬剤を含む場合に、流体60の容積移送が望ましい可能性がある。
【0038】
図4Aを参照すると、ピンチクランプ10は、解除された構成で示されており、それによって、チューブ70の第1の側部72が、第1のアーム12の細長い第1のクランピング表面16の全体の上に支持されている。さらに、第2のクランピング表面26の第1の端部27は、チューブ70の第2の側部74に近接して、または、チューブ70の第2の側部74と軽く接触して位置決めされている。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1のクランピング表面16は、概して平面的で細長くなっており、表面16がチューブ70の長さを支持するようになっている。それとは対照的に、第2のクランピング表面26は角度を付けられており、第1の端部27が、第2の端部29の位置よりも下側に位置決めされ、または、より第1のクランピング表面16の近くに位置決めされるようになっている。そうであるので、第2のクランピング表面は、第1の端部27から第2の端部29へ、または、近位端部から第2のクランピング表面26の遠位端部へ、外向きにまたは上向きにテーパーが付いている。
【0040】
チューブ70は、ピンチクランプ10が解除された構成になっているときには、圧縮または閉鎖されていない。むしろ、チューブ70は、第1のクランピング表面16と第2のクランピング表面26との間で自由に移動可能である。いくつかの実施形態では、第1のクランピング表面16および第2のクランピング表面26は、チューブ70とクランピング表面との間の摩擦を増加させる軟質のポリマー材料(図示せず)をさらに含み、ピンチクランプ10がチューブ70の長さに沿って自由にスライドすることが防止される。むしろ、ピンチクランプ10は、チューブ70の上の所望の位置に、ユーザーによって手動で調節されなければならず、その後に、クランプ10は、軟質のポリマー材料とチューブ70の外側表面との間の摩擦によって、その位置を維持する。
【0041】
いくつかの実施形態では、軟質のポリマー材料(図示せず)は、ピンチクランプ10の硬質のプラスチック材料とチューブ70の柔軟なプラスチック材料との間に、クッション機能をさらに提供する。いくつかの場合において、このクッション機能は、チューブ構造を弱化させる可能性がある激しいよじれを防止しながら、チューブ70の完全な閉鎖を可能にする。いくつかの場合において、このクッション機能は、ピンチクランプ10を解放したときのチューブ回復を改善する。
【0042】
ここで図4Bを参照すると、第2のアーム20が下向き方向80に移動させられ、チューブ70が、第2のクランピング表面26の第1の端部27と第1のクランピング表面16の近位端部との間に挟まれているとき、ピンチクランプ10は、解除された構成から部分的に係合された構成へ移動させられている。したがって、第1のクランピング表面16と第2のクランピング表面26との間に位置付けされているチューブ70の一部分が閉鎖されており、また、チューブ70のこのセクションの一部分は閉鎖されていない。
【0043】
第1のアーム20が下向き方向80にさらに前進させられるとき、図4Cに示されているように、第2の端部29が第1のクランピング表面16に向けて降下するので、第2のクランピング表面26および第1のクランピング表面16の残りの表面同士の間の距離は、徐々に低減される。この漸進的な閉鎖は、クランプされた表面同士の間から外へ流体60を押し出し、または容積式に移送し、それによって、チューブ70の遠位セクションを通して流体60を前進させる。いくつかの場合において、移送された流体60は、チューブ70に連結されている静脈内カテーテルを介して患者の中へ注入される。
【0044】
第1のアーム20は、遠位端部24がリップ14によって受け入れられるまで、下向き方向80にさらに前進させられ、それによって、以前に議論されているように、ピンチクランプ10と完全に係合する。完全に係合すると、チューブ70は、図4Dに示されているように、第2のクランピング表面26の第2の端部29と第1のクランピング表面16との間に完全にクランプされる。いくつかの場合において、第1の端部27および第2の端部29は、ピンチクランプ10が完全に係合されているときに、第1のクランピング表面16からおおよそ等しい距離にある。ピンチクランプ10の完全な係合に続いて、流体60の容積移送が完了する。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2のアーム20は、第1の端部27と第1のクランピング表面16との間の接触ポイントの周りに屈曲または枢動し、第2のクランピング表面26とチューブ70との間のクランピング圧力または接触が、線形的に加えられるようになっている。いくつかの実施形態では、ヒンジ30は、横方向に曲がって調節するように構成されており、第1のクランピング表面16と第2のクランピング表面26との間の圧縮力の線形的な印加を促進させる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のクランピング表面16および第2のクランピング表面26のうちの少なくとも1つは、図5に示されているように、硬質のもしくは半硬質の材料を含むか、または、硬質のもしくは半硬質の材料から構成されている、近位端部をさらに含み、また、軟質のポリマー材料40を含むか、または、軟質のポリマー材料40から構成されている、遠位端部をさらに含む。この実施形態は、クランピング表面の全長にわたるチューブの過剰圧縮を防止する状態で、チューブの内部体積を圧縮するために、より柔らかい遠位クランピングインターフェースを有しながら、ロバストな一次的または近位クランピングインターフェースを提供する利益を有している。いくつかの場合において、硬質のまたは半硬質の近位端部材料は、解除された構成になっているときに、ピンチクランプとチューブ70との間の摩擦をさらに低減させ、それによって、チューブ70の長さに沿ったクランプ10の容易な移動を可能にする。
【0047】
いくつかの場合において、および、クランピングの前に、チューブ70は、第1のアーム12と第2のアーム20との間でピンチクランプ10を横方向に出て行く可能性がある。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、図6A図6Cに示されているように、1つまたは複数のエクステンション100をさらに提供し、チューブをピンチクランプ10の中に保持する。いくつかの場合において、第1のアーム12の外側縁部表面の一部分は、図6Aに示されているように、第2のアーム20に向けて上向きに延在させられ、壁部またはエクステンション100を提供する。いくつかの場合において、第2のアーム20の外側縁部表面の一部分が、図6Bに示されているように、第1のアーム12に向けて下向きに延在させられ、壁部またはエクステンション100を提供する。いくつかの実施形態では、ピンチクランプ10は、2つ以上のエクステンション100を含む。一実施形態では、ピンチクランプ10は、第2のアーム20の第1の側部の上に第1のエクステンション100を含み、かつ、第2のアーム20の第2の側部の上に第2のエクステンション100を含み、第2の側部は、第1の側部の反対側にある。一実施形態では、ピンチクランプ10は、第1のアーム12の両側部に第1および第2のエクステンション100を含む。さらに、いくつかの実施形態では、ピンチクランプ10は、第1のアーム12の両側部に第1および第2のエクステンションを含み、かつ、第2のアーム20の両側部に第1および第2のエクステンション100をさらに含み、エクステンションは、クランプ10が係合された構成になっているときに、重なり合うか、当接するか、または、互いの間の距離を埋める。
【0048】
エクステンション100は、係合された構成または解除された構成になっているときに、第1のアーム12と第2のアーム20との間のギャップを少なくとも部分的に閉じるように構成されている。いくつかの場合において、エクステンション100は、硬質のまたは半硬質の材料の薄いフィンまたはプレートである。いくつかの場合において、エクステンション100は、軟質のポリマー材料40の薄いフィンまたはプレートである。いくつかの場合において、エクステンション100は、硬質のまたは半硬質の材料の薄いフィンまたはプレートであり、その上に軟質のポリマー材料40が適用されている。ここで図6Cを参照すると、いくつかの実施形態では、第1のクランピング表面16の外向きの縁部は、第2のクランピング表面26に向けて上向きに延在する1つまたは複数のエクステンション100をさらに含む。さらに、第2のクランピング表面26の外側縁部は、ピンチクランプ10が係合されているときに、1つまたは複数のエクステンション100を受け入れるように構成されている、1つまたは複数の凹部または切り欠き部110を含む。エクステンション100と凹部110との間の相互作用は、クランプ10が係合されているときに、チューブ70をクランピング表面の中に保持する。いくつかの場合において、クランプ10の硬質のまたは半硬質の材料の一部分は除去され、また、軟質のポリマー材料40によって交換され、第1のクランピング表面16および第2のクランピング表面26、エクステンション100、ならびに凹部110のうちの1つまたは複数を提供する。
【0049】
図7A図12は、本発明の1つまたは複数の実施形態によるピンチクランプの複数の異なる変形例を図示している。これらのピンチクランプのそれぞれは、ピンチクランプ10と同じ全体的な構造体を含む。したがって、それぞれのピンチクランプのコンポーネントの多くは、重複して説明されないこととなる。しかし、同様の符号が、これらの同様の構造体を参照するために用いられることとなる。また、図は、1つまたは複数の変形例を含むさまざまな特定の実施形態を示しているが、これらの変形例は、ピンチクランプの他の説明されている実施形態のいずれかの特徴に加えて、または、その代わりに、用いられ得る。
【0050】
図7A図7Dは、ピンチクランプ700の実施形態を図示しており、ピンチクランプ700は、ピンチクランプ10と同様であるが、ネスティングコンポーネント701を用いており、第1のアーム12からの第2のアーム20の横方向の解除を防止する。換言すれば、ネスティングコンポーネント701は、ピンチクランプ700が連結され得るチューブの長手方向軸線に対して実質的に垂直な方向に、第1のアーム12と第2のアーム20との間の相対的な移動を防止することが可能である。結果として、ネスティングコンポーネント701を含むことによって、ピンチクランプ700(または、ネスティングコンポーネントを含むピンチクランプの他の同様の実施形態)は、臨床医が第1のアーム12の終端端部に下向き/外向きの力を意図的に加えるときにだけ、解除される傾向になることとなる。
【0051】
ネスティングコンポーネント701を単独で示す図7Bにより良好に示されているように、ネスティングコンポーネント701は、対向する側壁部701aを含み、対向する側壁部701aは、相互接続部701bを介して一緒に連結されている。相互接続部701bの幅/直径は、ヒンジとクランピング表面との間に形成された開口部712の中に相互接続部が座ることを可能にするように構成され得、一方、相互接続部701bの長さは、側壁部701aが第1のアーム12および第2のアーム20の外側表面の直ぐ外側に位置決めされるように構成され得る。側壁部701aのサイズ(すなわち、側壁部701aが相互接続部701bから離れるように任意の方向に延在する量)は、側壁部が第1のアーム12および第2のアーム20と重なることを引き起こすのに十分であることが可能であり、それによって、2つのアームの横方向の移動を制限する。
【0052】
相互接続部701bは、開口部701cを含むことが可能であり、開口部701cは、概して開口部34と整合し、チューブを収容し、チューブは、ピンチクランプ700を通って延在することが可能である。また、側壁部701aの内側表面の一方または両方は、隆起フィーチャー701dを含むことが可能であり、隆起フィーチャー701dは、ピンチクランプ700に対するネスティングコンポーネント701の回転を制限するように機能する。いくつかの実施形態では、側壁部701aは、隆起フィーチャー701dが相互接続部701bとはクランピング表面の反対側に位置決めされることを引き起こすのに十分なサイズを有することが可能である。たとえば、図7Dは、ネスティングコンポーネント701が回転させられるときに、フィーチャーが第1のアーム12または第2のアーム20の内側の表面に接触することを引き起こすように、どのように隆起フィーチャー701dが位置決めされることとなるかということを図示している。このように、隆起フィーチャー701dは、開口部701cがチューブをよじるかまたはその他の方法で閉鎖し得る可能性を最小化する。
【0053】
図7Cは、ネスティングコンポーネント701なしのピンチクランプ700を示しており、図7Dは、ネスティングコンポーネント701を含有するピンチクランプ700の断面側面図を図示しており、図7Cおよび図7Dは、どのようにピンチクランプ700(または、他の同様のピンチクランプ)が、容積移送を提供するクランピング表面を含むことができるかということを図示している。示されているように、第1のクランピング表面16および第2のクランピング表面26は、それぞれ、突出部710および突出部711を含む。これらの図では、突出部710および突出部711は、クランピング表面の左側端部または近位端部に示されている。突出部710および突出部711は、図4A図4Dに示されている動的なクランピング表面と同様の様式で機能する。とりわけ、ピンチクランプ700が係合されているときに、突出部710および突出部711は、第1のクランピング表面16および第2のクランピング表面26の残りの部分の前に、チューブに接触することとなる。したがって、ピンチクランプ700が完全に係合されるようになるときに、チューブの中の流体は、遠位方向に(または、図7Dの中の右向きの方向に)押されることとなる。
【0054】
図8Aおよび図8Bは、ピンチクランプ800の別の実施形態を図示しており、ピンチクランプ800は、ピンチクランプ10と同様である。しかし、ピンチクランプ800において、第1のクランピング表面16は、隆起表面801aと隆起表面801bとの間に位置決めされている凹んだ表面として形成されている。したがって、ピンチクランプ800が係合されているときに、第2のクランピング表面26は、隆起表面801aと隆起表面801bとの間に挿入され、第1のクランピング表面16に接触する。このように、ピンチクランプ800は、チューブの上に複数の圧縮のポイントを提供する。より具体的には、隆起表面801aおよび隆起表面801bは、それぞれ、遠位方向および近位方向に、チューブの上に圧縮を提供することが可能である。この圧縮の「円弧」は、チューブの閉鎖を強化し、ピンチクランプ800が係合されているときに、チューブが完全には閉鎖されないこととなる可能性を最小化することが可能である。また、第2のクランピング表面26と隆起表面801bとの間のそれぞれの角度に起因して、チューブが閉鎖されるときに、ある程度の容積移送が起こることが可能である。
【0055】
また、図8Aおよび図8Bは、ピンチクランプ800がエクステンション802aおよびエクステンション802bを含むことが可能であるということを示している。これらの図において、エクステンション802aおよび802bは、第2のアームから下向きに延在するように示されている。しかし、エクステンション802aおよび802bは、第1のアームから等しく上向きに延在することが可能である。いくつかの実施形態では、たとえば、図8Bに示されているように、エクステンション802aおよびエクステンション802bは、丸みを帯びた相互接続部802cを含むことが可能である。丸みを帯びた相互接続部802cは、概して、チューブの形状に一致することが可能であり、ピンチクランプ800が係合されているときに、チューブがエクステンション802aとエクステンション802bとの間にしっかりと封じ込められるようになっている。このしっかりとした封じ込めは、ピンチクランプ800の第1のアームと第2のアームとの間の横方向の移動を阻止するように機能することが可能である。より具体的には、エクステンション802aまたはエクステンション802bとチューブとの間の接触は、第1のアームに対する第2のアームの横方向の移動に抵抗することとなり、第2のアームが、第1のアームから解除するポイントまで、容易に横方向に移動させられることができないようになっている。
【0056】
図9は、ピンチクランプ900の実施形態を図示しており、ピンチクランプ900は、第2のアーム20の終端端部に関して異なる構成を用いている。上記に説明されているピンチクランプの実施形態とは対照的に、ピンチクランプ900は、概して近位方向910になっている力を第2のアームに加えることによって、第2のアームが第1のアームから解除されるように構成されている。
【0057】
示されているように、第2のアーム20は、その遠位端部に向けてヒンジ901を含む。第2のアーム20の終端端部902は、インターフェース表面22から離れるように上向きにおよび近位に延在している。以前に説明されている実施形態と同様に、インターフェース表面22は、レッジ部15の下に挿入され、ピンチクランプに係合する。しかし、ピンチクランプ900を解除するために、下向き/遠位方向にリップ14に力を加えるというよりもむしろ、近位方向910への力が終端端部902に加えられ得る。あるいは、本明細書で説明されているピンチクランプの他の実施形態のいずれかは、図9に示されているように構成され得る。また、ピンチクランプ900は、上記に説明されているような容積移送フィーチャーおよび/またはネスティングコンポーネントのいずれかを含むように構成され得る。
【0058】
図10A図10Cは、ピンチクランプ1000の別の実施形態を図示している。ピンチクランプ1000は、第1のアームから上向きに延在する突出部1003aおよび突出部1003b、ならびに、第2のアームから下向きに延在する突出部1004を含む。突出部1004は、突出部1003aと突出部1003bとの間に挿入されるように構成され得、したがって、ピンチクランプ800のものと同様の様式でチューブを閉鎖するように機能する。しかし、図10Cに最良に見られるように、いくつかの実施形態では、突出部1004は、突出部1004が第1のアームに接触することを引き起こすには不十分な長さを有してもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、突出部1003aおよび突出部1003bは、第2のアームから下向きに延在することが可能であり、一方、突出部1004は、第1のアームから上向きに延在することが可能である。また、ピンチクランプ1000は、本明細書で説明されている他のタイプのクランピング表面のいずれかを含むように等しく構成され得る。
【0059】
また、ピンチクランプ1000は、インターロッキングコンポーネントを含むことが可能であり、インターロッキングコンポーネントは、第1のアームと第2のアームとの間のヒンジの運動の範囲を制限すること、および、第1のアームと第2のアームとの間の横方向の移動を制限することの両方のために機能する。これらのインターロッキングコンポーネントは、保持コンポーネント1001aおよび保持コンポーネント1001b、ならびに、対応する枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bを含む。示されているように、保持コンポーネント1001aおよび保持コンポーネント1001bは、ピンチクランプ1000の両側に位置決めされている。また、枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bは、ピンチクランプ1000の両側に位置決めされているが、保持コンポーネント1001aおよび保持コンポーネント1001bに対してわずかに内向きにオフセットされており、枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bのそれぞれが、対応する保持コンポーネントの中に形成された開口部の中へ挿入されることを可能にする。枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bは、外向きに延在する先端部をそれぞれ含むことが可能であり、外向きに延在する先端部は、図10Bに示されているように、枢動タブが開口部の中へ挿入されると、保持コンポーネントとインターロックする。
【0060】
枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bは、内向きに枢動するように構成され得、図10Aに示されている位置から図10Bに示されている位置へそれらが移動するときに、それらが保持コンポーネント1001aおよび保持コンポーネント1001bをバイパスすることを可能にする。図10Bに示されているインターロックされた位置になると、枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bの外向きに延在する先端部は、枢動タブの上に内向きの力のないインターロックされた位置に枢動タブを保持することとなる。換言すれば、枢動タブと保持コンポーネントとの間の相互作用は、ピンチクランプ1000が開くこととなる量を制限する。
【0061】
図10Bは、解除された状態になっているときのピンチクランプ1000の位置を表している。ピンチクランプ1000を係合させるために、下向きの力が、第2のアームに加えられ得、ピンチクランプ10を参照して上記に説明されているものと同様の方法で、インターフェース表面22がレッジ部15とインターロックすることを引き起こす。図10Cは、この係合された状態になっているときのピンチクランプ1000の位置を表している。インターフェース表面22をレッジ部15から解除すると、ピンチクランプ1000は、図10Bに示されているような解除された状態に戻ることが可能である。上記に示されているように、枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bと保持コンポーネント1001aおよび保持コンポーネント1001bとの間のインターフェースは、次いでピンチクランプ1000がこの位置を越えて開くことを防止することとなる。
【0062】
また、枢動タブ1002aおよび枢動タブ1002bと保持コンポーネント1001aおよび保持コンポーネント1001bとの間のインターフェースは、第1のアームと第2のアームとの間の横方向の移動を阻止することとなる。このように、インターフェース22をレッジ部15から自由にするように第2のアームが横方向に移動することに起因して、ピンチクランプ1000は、解除することを防止され得る。
【0063】
図11は、ピンチクランプ1100の別の実施形態を図示しており、ピンチクランプ1100は、ピンチクランプの横方向の解除を防止するためのフィーチャーを含む。ピンチクランプ1100は、上記に説明されているエクステンション100と同様のエクステンション1101aおよびエクステンション1101bを含む。いくつかの実施形態では、エクステンション1101aおよびエクステンション1101bは、図11に示されているように、互いからオフセットされ得る。追加的に、ピンチクランプ1100は、エクステンション1101aおよびエクステンション1101bとは反対側のアームから(示されている例では、第2のアームから)延在する内側エクステンション1102を含むことが可能である。
【0064】
内側エクステンション1102は、エクステンション1101aとエクステンション1101bとの間に位置決めされ得、第2のアームが第1のアームに対して横方向に移動させられたとした場合に、内側エクステンション1102が、エクステンション1101aおよびエクステンション1101bのうちの一方または両方に接触することとなるようになっている。エクステンション1101a/1101bと内側エクステンション1102との間のこの相互作用は、ピンチクランプ1100の横方向の解除を防止することが可能である。内側エクステンション1102は、ピンチクランプ1100が係合されているときに内側エクステンション1102と第1のアームとの間にギャップを形成する長さを有して構成され得る。いくつかの実施形態では、このギャップは、チューブが圧縮されることを引き起こすのに十分に小さくてよい。そのような実施形態では、ならびに、第1クランピング表面16および第2のクランピング表面26によって引き起こされることとなる先の閉鎖に起因して、内側エクステンション1102は、容積式の流体移送を引き起こすことが可能である。また、示されていないが、いくつかの実施形態では、内側エクステンション1102は、丸みを帯びた相互接続部802cと同様の方法で、チューブを受け入れるように構成され得る。ピンチクランプ1100もまた、本明細書で説明されている第1および第2のクランピング表面の他の構成のいずれかを含むことが可能である。
【0065】
図12は、ピンチクランプ1200の別の実施形態を図示している。第1のクランピング表面16が、隆起表面1201aと1201bとの間に位置決めされる凹んだ表面として形成されているという点において、ピンチクランプ1200は、ピンチクランプ800と同様の方法で構成されている。第2のクランピング表面26は、隆起表面1201aと隆起表面1201bとの間に挿入され、チューブに沿って圧縮の円弧を提供することが可能である。また、ピンチクランプ1200が係合されているときに、第2のクランピング表面26が隆起表面1201aと隆起表面1201bとの間に位置決めされるので、横方向の解除が防止され得る。より具体的には、第2のアームが第1のアームに対して横方向に移動させられる場合には、第2のクランピング表面26は、隆起表面1201aおよび隆起表面1201bのうちの一方または両方に接触し、さらなる横方向の移動を阻止することとなる。
【0066】
図13Aおよび図13Bは、ピンチクランプ1300の別の実施形態を図示している。ピンチクランプ1300は、クランピング表面16およびクランピング表面26ならびにヒンジ30を含むことが可能であり、クランピング表面16およびクランピング表面26は、上記に説明されているさまざまな方法のいずれかで構成され得る。ヒンジ30は、ヒンジ30とクランピング表面16およびクランピング表面26との間に楕円形形状の開口部1301を形成するように構築され得る。追加的に、図13Bに最良に見られるように、ピンチクランプ1300は、丸みを帯びた外側縁部を含むことが可能であり、丸みを帯びた外側縁部は、患者の快適性を強化することが可能である。
【0067】
図14Aおよび図14Bは、ピンチクランプ1400の別の実施形態を図示しており、ピンチクランプ1400は、さまざまな横方向の解除防止フィーチャーを含む。以前に説明されているピンチクランプと同様に、ピンチクランプ1400は、クランピング表面16およびクランピング表面26を含むことが可能である。追加的に、横方向の解除を防止するために、クランピング表面26は、凹んだ表面1402aを含むことが可能であり、一方、クランピング表面16は、横方向のポスト1402bを含むことが可能である。示されているように、横方向のポスト1402bは、クランピング表面16の対向する側部の上に形成され得る。凹んだ表面1402aは、クランピング表面26が横方向のポスト1402b同士の間に挿入されることを可能にするのに十分に凹んでいることが可能である。クランピング表面26が横方向のポスト1402b同士の間に挿入されている状態で、凹んだ表面1402aが横方向のポスト1402bに接触するので、クランピング表面16に対するクランピング表面26の横方向の移動が防止されることとなる。示されている実施形態を含む、いくつかの実施形態では、横方向のポスト1402bはオフセットされている。
【0068】
また、ピンチクランプ1400は、インターフェース表面22に形成された横方向の解除防止フィーチャーを含むことが可能である。たとえば、図14Aおよび図14Bに示されているように、インターフェース表面22は、外向きに面する凹んだ表面1401aとともに形成され得、凹んだ表面1401aは、内向きに面する横方向の突出部1401b同士の間に位置決めされ得、横方向の突出部1401bは、レッジ部15の対向する側部に位置決めされている。したがって、インターフェース表面22がレッジ部15の下に固定されているときに、横方向の突出部1401bは、凹んだ表面1401aに接触し、横方向の移動を防止することとなる。ピンチクランプ1400が、2つのタイプの横方向の解除防止フィーチャーを含むように示されているが、他の実施形態では、ピンチクランプは、これらのフィーチャーのうちの一方だけを含むことが可能である。
【0069】
図13Aおよび図13Bに示されているように、ピンチクランプのさまざまな実施形態は、丸みを帯びた外側縁部を含むことが可能である。しかし、外側縁部に丸みをつけることによって、インターフェース表面22およびレッジ部15の幅が低減させられ得、それによって、ピンチクランプが横方向に解除され得るという可能性を増加させる。そのような懸念に対処するために、丸みを帯びた外側縁部を含むピンチクランプのいくつかの実施形態では、とりわけ、別のタイプの横方向の解除防止フィーチャーを用いないものでは、インターフェース表面22が、図15に示されているように、第2のアーム20の残りの部分の外側表面を越えて突出する端部1501を含むように、成形またはその他の方法で形成され得る。これらの突出する端部1501は、インターフェース表面22の幅を増加させ、それによって、ピンチクランプを解除するために必要とされることとなる横方向の変位の量を最大化する。また、突出する端部1501を用いる実施形態では、クランピング表面は、図14Aおよび図14Bを参照して上記に説明されているものと同様の横方向の解除防止フィーチャーを含むように構成され得る。
【0070】
図16Aは、ピンチクランプ1600の別の実施形態を図示しており、ピンチクランプ1600は、横方向の解除を防止するために別個のコンポーネント1601を用いており、一方、図16Bは、コンポーネント1601を単独で示している。示されているように、ピンチクランプ1600は、凹んだセクション1600aを含むことが可能であり、凹んだセクション1600aは、第1のアーム12の中に形成されており、クランピング表面16の概して下方に、および、クランピング表面16の側部に位置決めされている。凹んだセクション1600aは、横方向の解除防止コンポーネント1601の外側表面が第1のアーム12の外側表面と実質的に整合することを引き起こす方法で、横方向の解除防止コンポーネント1601を収容するように形状決めおよびサイズ決めされ得る。したがって、別個のコンポーネントが使用されているとしても、ピンチクランプ1600とコンポーネント1601との間に鋭利な縁部または移行部は存在しないこととなる。
【0071】
コンポーネント1601は、U字形状を有することが可能であり、U字形状は、底部セクション1601bおよび対向するアーム1601aによって形成されており、対向するアーム1601aは、底部セクション1601bの両側端部から上向きに延在している。アーム1601aのそれぞれは、内向きの突出部1601cを含むことが可能であり、底部セクション1601bが凹んだセクション1600aの中に固定されているときに、それぞれの突出部1601cの底部レッジ部が第1のアーム12の上部に位置付けされるように、内向きの突出部1601cは位置決めされている。したがって、突出部1601cは、コンポーネント1601がピンチクランプ1600から分離されることを防止するように機能する。また、いくつかの実施形態では、コンポーネント1601は、接着剤を使用してアーム12に固定され得る。アーム1601aは、十分な長さを有することが可能であり、それらが第2のアーム20に重なることを確実にするようになっており、または、少なくともクランピング表面26の一部分に重なるようになっており、それによって、どの程度までアーム20がアーム12に対して横方向に変位させられ得るかということを制限する。
【0072】
また、ピンチクランプの横方向の解除を防止することに加えて、本明細書で説明されているさまざまな横方向の解除防止フィーチャー/コンポーネントは、ピンチクランプの中でチューブの中心を合わせるように機能し、適正なクランピングを確保する。したがって、本発明の実施形態は、チューブが適正にクランプされており、非意図的に解除されることとはならないということを確実にする。
【0073】
図17は、ピンチクランプ1700の別の実施形態を図示しており、ピンチクランプ1700では、クランピング表面16およびクランピング表面26は、容積式の流体移送を提供するように構成されている。示されているように、クランピング表面16は、隆起表面1701aおよび隆起表面1701bを含み、隆起表面1701aおよび隆起表面1701bは、間隔を離して配置され、凹んだ表面1701cを形成している。クランピング表面26は、同様に、隆起表面1702aおよび隆起表面1702bを備えて構成されており、隆起表面1702aおよび隆起表面1702bは、間隔を離して配置され、凹んだ表面1702cを形成している。隆起表面1702aおよび隆起表面1702bは、隆起表面1701aおよび1701bに対して遠位にオフセットされ得、ピンチクランプ1700が係合されているときに、隆起表面1702bが、凹んだ表面1701cの中へ挿入されることとなり、また、隆起表面1701aが、凹んだ表面1702cの中へ挿入されることとなるようになっている。
【0074】
追加的に、隆起表面1702bは、凹んだ表面1702cに対して垂直方向にオフセットされ得、隆起表面1701aが凹んだ表面1702cの中へ挿入される前に、隆起表面1702bが凹んだ表面1701cの中へ挿入されることとなるようになっている。この垂直方向のオフセットは、チューブが、最初に、凹んだ表面1701cの中にクランプされ、次いで、凹んだ表面1702cの中にクランプされることを引き起こすこととなる。結果として、隆起表面1702bがクランプされた後に隆起表面1702bより遠位にある(または、図17に示されている配向に関して、隆起表面1702bの左側より遠位にある)チューブの部分の中に含有されている流体は、隆起表面1701aがその後にクランプされるときに、遠位に(または、患者に向けて)押されることとなる。
【0075】
隆起表面1702aおよび隆起表面1701bを含むということは、クランプされることとなるチューブの長さを増加させる。たとえば、隆起表面1701aが凹んだ表面1702cの中へ挿入されるとき、チューブは、凹んだ表面1702cおよび隆起表面1702aに沿ってクランプされることとなる。また、隆起表面1702aは、凹んだ表面1702cに対して垂直方向にオフセットされ得、隆起表面1702aが、隆起表面1701aの後のチューブをクランプするようになっており、それによって、容積式の流体移送の量を増加させる。図17では、2つの表面の間の距離が表面の近位端部から遠位端部へ増加するように、クランピング表面16に対してクランピング表面26に角度を付けることによって、この垂直方向のオフセットは達成される。しかし、また、垂直方向のオフセットは、他の方式で、たとえば、クランピング表面16に角度を付けることなどによって達成され得る。クランピング表面16およびクランピング26のこの構成は、上記に説明されている横方向の変位フィーチャーのいずれかと併用して用いられ得る。
【0076】
本発明は、その精神または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得る。説明されている実施形態は、すべての観点において、単なる例示目的として考慮されるべきであり、限定的なものではない。したがって、本発明の範囲は、先述の説明によってというよりも、添付の特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の均等の意味および範囲の中に入るすべての変形は、その範囲の中に包含されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17