(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】画像/ビデオ信号に関係するビットストリームを生成する方法及び装置、並びに特定の情報を取得する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04N 19/70 20140101AFI20220415BHJP
H04N 19/85 20140101ALI20220415BHJP
G06T 5/00 20060101ALI20220415BHJP
H04N 5/202 20060101ALI20220415BHJP
H04N 21/4402 20110101ALI20220415BHJP
H04N 21/235 20110101ALI20220415BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/85
G06T5/00 740
H04N5/202
H04N21/4402
H04N21/235
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019199854
(22)【出願日】2019-11-01
(62)【分割の表示】P 2016554199の分割
【原出願日】2015-02-23
【審査請求日】2019-11-28
(32)【優先日】2014-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518338149
【氏名又は名称】インターデジタル ヴイシー ホールディングス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】ピエール アンドリボン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ボーデ
(72)【発明者】
【氏名】エドワルド フランソワ
【審査官】鉢呂 健
(56)【参考文献】
【文献】特許第6662783(JP,B2)
【文献】国際公開第2012/039730(WO,A1)
【文献】特表2010-530992(JP,A)
【文献】国際公開第2013/147925(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/111467(WO,A1)
【文献】FOGG, Chad and HELMAN, Jim,Indication of SMPTE 2084 and 2085 and carriage of 2086 metadata in HEVC,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 16th Meeting: San Jose, US, 9 - 17 Jan. 2014, [JCTVC-P0084r1],JCTVC-P0084 (version 2),2014年01月14日,pp. 1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00-19/98
H04N 21/00-21/858
H04N 5/202
G06T 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電気伝達関数から生成されたビデオ信号に関係するビットストリームを生成する方法であって、少なくとも1つのメモリと1つまたは複数のプロセッサとを備える装置で実施される
当該方法は、
前記ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に前記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を識別する、情報データを前記ビットストリームに追加すること
を含み、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される基準ディスプレイの電気光伝達関数であり、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される前記光電気伝達関数を補償し、前記基準ディスプレイの前記電気光伝達関数と、前記ビデオ信号を生成するために使用される前記光電気伝達関数は、前記ビデオ信号上のレンダリングの意図のエンド・ツー・エンドの保存を特徴とする、
当該方法。
【請求項2】
ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に前記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を取得する方法であって、少なくとも1つのメモリと1つまたは複数のプロセッサとを備える装置で実施される
当該方法は、
光電気伝達関数から生成された前記ビデオ信号に関係するビットストリームから
当該電気光伝達関数を識別する情報データを前記ビットストリームから取得すること
を含み、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される基準ディスプレイの電気光伝達関数であり、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される前記光電気伝達関数を補償し、前記基準ディスプレイの前記電気光伝達関数と、前記ビデオ信号を生成するために使用される前記光電気伝達関数は、前記ビデオ信号上のレンダリングの意図のエンド・ツー・エンドの保存を特徴とする、
当該方法。
【請求項3】
光電気伝達関数から生成されたビデオ信号に関係するビットストリームを生成する装置であって、少なくとも1つのメモリと1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサは、
前記ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に前記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を識別する、情報データを前記ビットストリームに追加するように構成され、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される基準ディスプレイの電気光伝達関数であり、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される
前記光電気伝達関数を補償
し、前記基準ディスプレイの前記電気光伝達関数と、前記ビデオ信号を生成するために使用される前記光電気伝達関数は、前記ビデオ信号上のレンダリングの意図のエンド・ツー・エンドの保存を特徴とする、当該装置。
【請求項4】
ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に前記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を取得する装置であって、少なくとも1つのメモリと1つまたは複数のプロセッサとを備え、1つまたは複数のプロセッサは、
光電気伝達関数から生成された前記ビデオ信号に関係するビットストリームから
当該電気光伝達関数を識別する情報データを前記ビットストリームから取得するように構成され、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される基準ディスプレイの電気光伝達関数であり、
当該電気光伝達関数は、ビデオ信号を生成するために使用される
前記光電気伝達関数を補償
し、前記基準ディスプレイの前記電気光伝達関数と、前記ビデオ信号を生成するために使用される前記光電気伝達関数は、前記ビデオ信号上のレンダリングの意図のエンド・ツー・エンドの保存を特徴とする、当該装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、ビデオ信号におけるガンマ補正に関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、以下で述べられおよび/または特許請求される本開示の様々な特徴に関連し得る技術の様々な特徴を、読者に紹介することを目的とするものである。この考察は、本発明の様々な特徴のより良い理解を容易にするために、背景情報を読者にもたらすのに役立つと考えられる。従ってこれらの記述はこの観点から読まれるものであり、従来技術を認めるものではないことが理解されるべきである。
【0003】
図1は、ビデオ信号の捕捉から、ディスプレイ上のそのレンダリングまでの、全部のビデオ処理方式を示すブロック図を示す。
【0004】
一般的に言えばこの処理方式は、ビデオ信号VIDがそれから捕捉される捕捉装置CAPAと、ビデオ信号VIDのレンダリングを計算し表示するように構成されたモジュールRMを備えたディスプレイ装置DISAと、任意選択で、ビデオ信号VIDを符号化/復号するように構成された符号化/復号方式、および符号化されている場合もある、ビデオ信号VIDを通信ネットワークを通して、捕捉装置CAPAからディスプレイ装置DISAに送信するように構成された伝送手段を備え得る分配手段DMとを備える。
【0005】
捕捉装置CAPAは、入力ビデオ信号IVIDを捕捉するためのカメラなどの捕捉手段CMと、入力ビデオ信号IVIDに光電気伝達関数(OETF)を適用するモジュールOETFMとを備える。
【0006】
「ガンマ符号化」とも乱暴に呼ばれる光電気伝達関数(OETF)は、モジュールがその場合通常は捕捉手段CMに埋め込まれるビデオ信号の捕捉時に、または物理的線形光信号(カメラの入力)をコード化することを可能にするコンテンツ作成時に、入力ビデオ信号IVIDに適用され得る。
【0007】
ガンマ符号化は、もとは陰極線管(CRT)ディスプレイの入力/出力特性を補償するために開発された。より正確には、電子銃の強度(輝度)が非線形であるので、陰極線管(CRT)はビデオ信号を非線形な形で光に変換する。光強度Iは、基本的に下記に従って供給源電圧VSに関係し、
I∝VSγ
ただしγは通常、[1.8;2.6]の範囲に属する。
【0008】
この影響を補償するために、逆伝達関数(OETF、ガンマ符号化またはガンマ補正とも呼ばれる)が次いで入力ビデオ信号IVIDに適用され、それにより端から端までの応答はほとんど線形となる。言い換えれば入力ビデオ信号IVIDは、意図的に歪まされ、それによりCRTディスプレイによって再び歪まされた後には、視聴者には正しい輝度に見えるようになる。
【0009】
OETFの基本的な例は
【0010】
【0011】
であり、ただしVCは補正された電圧、VSは例えば、光電荷を電圧に線形に変換する画像センサからの供給源電圧である。我々のCRTの例では、1/γは1/2.2すなわち0.45である。
【0012】
CRTディスプレイに対して複数のOETFが標準化されている(Recommendation ITU-R BT.709-5、Parameter values for the HDTV* standards for production and international programme exchange,April 2004、およびRecommendation ITU-R BT.1361、Worldwide unified colorimetry and related characteristics of future television and imaging system,February 1998)。
【0013】
ガンマ符号化は、人間の視覚の特性を補償するために、従って人間がどのように光および色を知覚するかに関係してビットおよび帯域幅の使用を最大化するために必要である。人間の視覚は、通常の照度条件(真っ暗でもなく、まばゆいほど明るくもない)のもとでは、近似のガンマまたはべき関数または対数関数(ここで指数は<1)に従う。ビデオがガンマ符号化されない場合は、それらは人間が弁別できないハイライト部に多すぎるビットまたは過大な帯域幅を割り当て、および人間が敏感に反応し同じ視覚的品質を維持するためにより多くのビット/帯域幅を必要とし得るシャドウ値に少なすぎるビット/帯域幅を割り当てる。
【0014】
さらにコンテンツ作成時にカラーリストは、通常は撮影監督と連係して、入力ビデオ信号IVIDにカラーグレーディングプロセスを適用する。彼はまた結果としてのビデオ信号を、特定の電気光伝達関数(EOTF)を有するマスタリングディスプレイに表示する。マスタリングディスプレイはまた、基準スクリーンと名付けられる。
【0015】
OETFは通常、可逆性である。その結果、どのOETFが用いられたかを表すために、単一のフラグがディスプレイ装置DISAに送信される。次いでディスプレイ装置DISAは、このような単一のフラグによって指定されたOETFに対応するEOTFを決定する。フラットパネルのためのEOTFの例は、ITU勧告によって与えられる(Recommendation ITU-R BT.1886,Reference electro-optical transfer function for flat panel displays used in HDTV studio production,March 2011、またはWD SMPTE 2084-20xx,Reference Electro-Optical Transfer Function for Displays Used in High Dynamic Range Studio Production,version 1.04,20/11/2013)。
【0016】
しかし対応するEOTFは必ずしも、受け取られたフラグによって指定されるOETFから直接的に解釈され得る訳ではない。これは例えば、OETFが微小な線形部分(非常に低いレベルでのセンサカメラノイズによる)を備え、その後に0.45(1/2.2)のべき関数が続く場合に当てはまる。このOETFは、2.4のべき関数の曲線近似に近い(実際に同じではないが)。その場合、対応するEOTFは1/2.4のべき関数であり、微小線形部分も、べき関数(#2.2)も正確には補償しない。
【0017】
さらに、コンテンツをレンダリングする民生用電子デバイスは、作成時にコンテンツをグレーディングするために用いられたマスタリングディスプレイと同じEOTFを有しない場合がある。その結果、技術的な意図を維持することができない。
【0018】
さらにEOTFは、例えば特定の使用ケースのために(例えば放送用の減光された照明環境、または映画館用の暗い照明環境)、またはディスプレイの周囲の特定の照明条件のために(ユーザ選択、照明条件の自動検出など)設計された周囲の照明条件、またはディスプレイの電力消費の制限などの任意の他のユーザ選択をさらに考慮に入れることができる。
【発明の概要】
【0019】
上記に照らして本開示の特徴は、コンピュータシステムにおけるデータオブジェクト間の意味論的関係を作り出し、維持することを対象とする。以下は、本開示のいくつかの特徴の基本的な理解をもたらすための、本開示の簡略化された概要を提示する。この概要は本開示の広範囲な概観ではない。これは本開示の主要なまたは決定的に重要な要素を特定するものではない。以下の概要は単に、以下にもたらされるより詳細な説明に対する導入部として、簡略化された形で本開示のいくつかの特徴を提示する。
【0020】
本開示は、ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前にビデオ信号に適用されることを目的とするEOTFをシグナリングすることによって、従来技術の欠点のいくつかを改善することを目指す。
【0021】
次にディスプレイ装置は、カラーリストがビデオ信号コンテンツ作成時に用いた、マスタリングディスプレイの実際のEOTFを認識し、それによりカラーリストの意図、およびプログラムのプレゼンテーション/レンダリング一貫性を維持する。
【0022】
さらに、リモートディスプレイ装置に送信されるビットストリームにおいて実際のEOTFをシグナリングすることは、ビデオ信号のレンダリングにおけるアーチファクトに繋がる、EOTFの曲線近似を回避する。
【0023】
別の利点は、ビデオ信号のコンテンツ作成のために、不可逆性のOETFが用いられ得ることである。
【0024】
本開示は、ビデオ信号に関係するビットストリームであって、上記ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に上記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を識別する情報データを運ぶことを特徴とする、上記ビットストリームに関する。
【0025】
実施形態によれば上記ビットストリームは、上記識別された電気光伝達関数に関係する少なくとも1つのパラメータを表す情報データをさらに備える。
【0026】
実施形態によれば、上記電気光伝達関数の応答は、マスタリングディスプレイの各クロミナンスチャネルに対して異なり、上記ビットストリームは、これらの差異を補償するためのいくつかのパラメータをさらに備える。
【0027】
本開示はさらに、ビデオ信号に関係するビットストリームを生成する方法であって、
上記ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に上記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を識別する、情報データを追加するステップ
を含むことを特徴とする、上記方法に関する。
【0028】
本開示はさらに、ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に上記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を取得する方法であって、
- 上記ビデオ信号に関係するビットストリームから上記電気光伝達関数を識別する情報データを取得するステップ
を含むことを特徴とする、上記方法に関する。
【0029】
本開示はまた、コンピュータプログラム製品、プロセッサー可読媒体、および非一時的記憶媒体に関する。
【0030】
本開示の特定の性質、ならびに本開示の他の目的、利点、特徴、および使用は、添付の図面と併せ読まれる以下の実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図面では、本発明の実施形態が示される。これは以下を示す。
【
図1】ビデオ信号の捕捉から、ディスプレイ上のそのレンダリングまでの、全部のビデオ処理方式を示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態による、ビットストリームFを生成する方法のステップのブロック図である。
【
図3】本開示による、レンダリングする前にビデオ信号に適用されることを目的とするEOTFを取得する方法のステップのブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態によるデバイスのアーキテクチャの例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態による、通信ネットワークを通して通信する2つのリモートデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
同様なまたは同じ要素は、同じ参照番号により参照される。
【0033】
本開示は本明細書の以下で、本開示の実施形態が示される添付の図を参照して、より十分に説明される。しかし本開示は多くの代替の形において具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。従って、本開示は様々な変更および代替形態を受けるが、本明細書ではその特定の実施形態が図面に例として示され詳しく説明される。しかし本開示を特定の開示された形に限定するものではなく、それどころか本開示は、「特許請求の範囲」によって定義される本開示の趣旨および範囲に含まれるすべての変更形態、等価形態、および代替形態を包含することが理解されるべきである。図の説明の全体にわたって、同様の番号は同様の要素を指す。
【0034】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示を限定するものではない。本明細書で用いられる単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が異なる解釈を明らかに示す場合を除き、複数形も含むものである。さらに本明細書で用いられるときは、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」および/または「含む(including)」は、記載された特徴、整数値、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するものであるが、1または複数の他の特徴、整数値、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解されるであろう。さらに、要素が他の要素に「応答する」または「接続される」と言及されるときは、それは他の要素に直接応答する、または接続されることが可能であり、または介在要素が存在し得る。これと対照的に要素が、他の要素に「直接応答する」または「直接接続される」と言及されるときは、介在要素は存在しない。本明細書で用いられる「および/または」という用語は、関連する列挙された品目の1または複数のあらゆる組み合わせを含み、「/」と略記され得る。
【0035】
本明細書では第1、第2などの用語は、様々な要素を説明するために用いられ得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は1つの要素を他と区別するためのみに用いられる。例えば、本開示の教示から逸脱せずに、第1の要素は第2の要素と呼ぶこともでき、第2の要素は第1の要素と呼ぶこともできる。
【0036】
図のいくつかは、通信の主たる方向を示すために通信経路上に矢印を含むが、通信は示された矢印と反対の方向に生じ得ることが理解されるべきである。
【0037】
いくつかの実施形態は、各ブロックが、回路要素、モジュール、または指定された論理機能を実施するための1または複数の実行可能命令を備えたコードの1部分を表す、ブロック図および動作フローチャートに関して説明される。また他の実装形態では、ブロックにおいて示された機能は、示されたものと異なる順序で生じ得ることが留意されるべきである。例えば連続して示される2つのブロックは、実際は実質的に同時に実行されることが可能であり、またはブロックは関係する機能に応じて、時には逆の順序で実行され得る。
【0038】
本明細書における「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の機能、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実装形態に含まれ得ることを意味する。本明細書の様々な場所における「一実施形態では」または「実施形態によれば」という語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すものではなく、別のまたは代替の実施形態は、必ずしも他の実施形態と互いに排他的ではない。
【0039】
特許請求の範囲内に現れる参照番号は、例示のためだけのものであり、特許請求の範囲の範囲に対していかなる限定効果を有するものではない。
【0040】
明示的に説明されないが本実施形態および変形形態は、任意の組み合わせまたは部分組み合わせにおいて使用され得る。
【0041】
図2は、本開示の実施形態による、ビットストリームFを生成する方法のステップのブロック図を示す。
【0042】
ビットストリームFは、ビデオ信号VIDに関連付けられる。
【0043】
ステップ20で、情報データSEOTFが取得される。情報データSEOTFは、ビデオ信号をディスプレイ装置DISAのビデオディスプレイ上にレンダリングする前にビデオ信号VIDに適用されることを目的とする、電気光伝達関数(EOTF)を識別する。
【0044】
実施形態によれば情報データSEOTFは、入力ビデオ信号IVIDをグレーディングするために用いられるマスタリングディスプレイのEOTFを識別する。
【0045】
ステップ21で、情報データSEOTFがビットストリームFに追加される。
【0046】
ステップ20の実施形態によれば、情報データSEOTFは、ローカルまたはリモート記憶メモリから取得される。
【0047】
ステップ11の実施形態によれば、情報データSEOTFは、その構文が「HEVC Range Extensions Draft 6,JCTVC-P1005,D.Flynn et al,February 2014」という名称の標準において規定されるビデオユーザビリティ情報(VUI)に追加された「display_transfer_function」バイトによって表される。修正されたVUIの構文の一部は、表1に与えられる。
【0048】
【0049】
「display_info_present_flag」ビットは、ビットストリームが情報データSEOTFを運ぶかどうかを示すことに留意されたい。
【0050】
実施形態によれば情報データSEOTFは、HEVC標準においてその構文が規定される、SEIメッセージの構文に追加される。
【0051】
実施形態によれば情報データSEOTFは、2014年1月のC.FoggおよびJ.Helmanの「Indication of SMPTE 2084 and 2085 and carriage of 2086 metadata in HEVC」、JCTVC-P0084,C.Fogg & J.Helman,January 2014」という名称の論文においてその構文が規定されるマスタリングディスプレイカラーボリュームSEIメッセージに追加された「display_transfer_function」バイトによって表される。
【0052】
修正されたマスタリングディスプレイカラーボリュームSEIメッセージの例は、表2に与えられる。
【0053】
【0054】
表3は、0から1までの公称範囲を有する、正規化された入力ビデオ信号レベル(V=0で黒、V=1で白)の関数とすることができる、このようなEOTFのいくつかの例を与える。Lcは、基準ディスプレイの線形光強度出力である。display_transfer_functionの値が1に等しいときは、Lw(ただしLw=max_display_mastering_luminance)はcd/m2での白に対するディスプレイ輝度を表し、LB(ただしLB=min_display_mastering_luminance)はcd/m2での黒に対するディスプレイ輝度を表す(Rec.ITU-R BT.1886において言及されているように)。display_transfer_function構文要素がないときは、display_transfer_functionの値は2に等しいと推測される(ディスプレイ伝達関数は指定されないか、またはアプリケーションによって決定される)。
【0055】
【0056】
変形形態によればビットストリームFは、識別されたEOTFに関係する少なくとも1つのパラメータを表す情報データをさらに備える。
【0057】
例えば識別されたEOTFに関係するパラメータは、点灯されるLEDバックライトディスプレイの面積当たりのLEDの数である。
【0058】
これは、電力消費が関心事であり、技術的な意図を維持するために経済的/劣化モード/グレーディングが意味をなし得るときに用いられ得る。
【0059】
変形形態によれば、ビデオ信号VIDをディスプレイ装置DISAのビデオディスプレイ上にレンダリングする前に用いられることを目的とするEOTFは、送信された標準EOTFから導き出される。次いでまた、標準EOTFから補償するように、特定のマスタリングディスプレイのいくつかのパラメータが送信される。
【0060】
変形形態によればEOTF応答は、マスタリングディスプレイの各クロミナンスチャネルに対して異なり、これらの差異を補償するために、識別されたEOTFに関係するいくつかのパラメータが送信される。
【0061】
この変形形態は特に、高輝度におけるコードワードのわずかな偏差が、再現された(3)色信号に非常に大きい影響(例えば色相シフト、または間違った肌の色合い)を及ぼし得る、HDRディスプレイに対して有利である。
【0062】
表4
図3は、本開示による、ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前にビデオ信号に適用されることを目的とするEOTFを取得する方法のステップのブロック図を示す。
【0063】
ステップ30でビットストリームFが、ローカルまたはリモート記憶メモリから取得される。
【0064】
ステップ31で情報データSEOTFが、ビットストリームFから取得される。
【0065】
次いでステップ32でEOTFが、取得された情報データSEOTFから取得される。
【0066】
図3に関連して述べられた実施形態および変形形態によれば、情報SEOTFは、ビットストリームFから電気光伝達関数を直接識別し、または場合によってはアドホックパラメータに、基準ディスプレイの特定のクロミナンスチャネルと共に、または補正率もしくは補正モデルと共に関連付けられる。
【0067】
前に説明されたように次いでEOTFは、ビットストリームFから取得された後に、このような関連付けられたデータを用いて決定される。
【0068】
図1~3においてモジュールは、機能ユニットであり、区別できる物理ユニットに関連してもしなくてもよい。例えばこれらのモジュールまたはそれらのいくつかは、唯一の構成要素または回路内に一緒にすることができ、またはソフトウェアの機能に寄与することができる。反対にいくつかのモジュールは、場合によっては個別の物理エンティティから構成され得る。本発明に適合する装置は、純粋なハードウェアを用いて、例えばASICまたはFPGAまたはVLSIそれぞれ「特定用途向け集積回路」、「フィールドプログラマブルゲートアレイ」、「超大規模集積」などの専用ハードウェアを用いて、またはデバイスに埋め込まれたいくつかの集積化電子構成要素から、またはハードウェアおよびソフトウェア構成要素の混合から実施される。
【0069】
図4は、
図1~3に関連して説明された方法を実施するように構成され得るデバイス40の例示のアーキテクチャを表す。
【0070】
デバイス40は、データおよびアドレスバス41によって一緒に結び付けられた、以下の要素を備える:
- 例えばDSP(またはディジタル信号プロセッサー)である、マイクロプロセッサー42(またはCPU)、
- ROM(または読出し専用メモリ)43、
- RAM(またはランダムアクセスメモリ)44、
- アプリケーションから、送信するためのデータを受け取るためのI/Oインターフェース45、および
- 電池46。
【0071】
変形形態によれば電池46は、デバイスの外部にある。
図4のこれらの要素のそれぞれは、当業者によく知られており、さらに開示されない。述べられたメモリのそれぞれにおいて、本明細書で用いられる「レジスタ」という用語は、小容量(いくつかのビット)の領域、または非常に大きな領域(例えばプログラム全体、または大量の受け取られたまたは復号されたデータ)に対応し得る。ROM43は、少なくともプログラムおよびパラメータを備える。本発明による方法のアルゴリズムは、ROM43に記憶される。スイッチオンされたときにCPU42は、プログラムをRAMにアップロードし、対応する命令を実行する。
【0072】
RAM44は、レジスタにおける、CPU42によって実行され、デバイス40のスイッチオンの後にアップロードされるプログラムと、レジスタにおける入力データと、レジスタにおける方法の種々の状態での中間データと、およびレジスタにおける、方法の実行のために用いられる他の変数とを備える。
【0073】
本明細書で説明される実装形態は、例えば方法もしくはプロセス、装置、ソフトウェアプログラム、データストリーム、または信号において実施され得る。単一の形の実装形態との関連においてのみ論じられた(例えば方法またはデバイスとしてのみ論じられた)場合でも、論じられた特徴の実装形態は、他の形(例えばプログラム)においても実施され得る。装置は、例えば適切なハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアにおいて実施され得る。方法は例えば、例えばコンピュータ、マイクロプロセッサー、集積回路、またはプログラマブルロジックデバイスを含む処理デバイスを一般に指す、例えばプロセッサーなどの装置において実施され得る。プロセッサーはまた、例えばコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末(「PDA」)、およびエンドユーザの間での情報の通信を容易にする他のデバイスなどの、通信デバイスを含む。
【0074】
異なる実施形態によればビットストリームFは、送り先に送られる。例としてビットストリームFは、ローカルまたはリモートメモリ、例えばビデオメモリ(44)またはRAM(44)、ハードディスク(43)に記憶される。変形形態では、一方または両方のビットストリームは、記憶装置インターフェース(45)、例えば大容量記憶装置、フラッシュメモリ、ROM、光ディスクまたは磁気サポートとのインターフェースに送られ、および/または通信インターフェース(45)、例えばポイントツーポイントリンク、通信バス、ポイントツーマルチポイントリンク、または放送ネットワークへのインターフェースを通して送信される。
【0075】
異なる実施形態によれば、ビットストリームFは、供給源から取得される。例示的にビットストリームは、ローカルメモリ、例えばビデオメモリ(44)、RAM(44)、ROM(43)、フラッシュメモリ(43)、またはハードディスク(43)から読み出される。変形形態ではビットストリームは、記憶装置インターフェース(45)、例えば大容量記憶装置、RAM、ROM、フラッシュメモリ、光ディスクまたは磁気サポートとのインターフェースから受け取られ、および/または通信インターフェース(45)、例えばポイントツーポイントリンク、バス、ポイントツーマルチポイントリンク、または放送ネットワークへのインターフェースから受け取られる。
【0076】
異なる実施形態によれば、
図2~3に関連して説明された方法を実施するように構成されたデバイス40は、以下を含むセットに属する:
- モバイルデバイス、
- 通信デバイス、
- ゲームデバイス、
- タブレット(またはタブレットコンピュータ)、
- ラップトップ、
- 静止画像カメラ、
- ビデオカメラ、
- 符号化チップ、
- 静止画像サーバー、および
- ビデオサーバー(例えば放送サーバー、ビデオオンデマンドサーバー、またはウェブサーバー)。
【0077】
図5に示される実施形態によれば、通信ネットワークNETを通した2つのリモートデ
バイスAおよびBの間の伝送の関連において、デバイスAは
図2に関連して説明されたような方法を実施するように構成された手段を備え、デバイスBは
図3に関連して説明されたような復号する方法を実施するように構成された手段を備える。
【0078】
本発明の変形形態によればネットワークは、デバイスAから、デバイスBを含む復号デバイスに、静止画像またはビデオ画像を放送するように適合された放送ネットワークである。
【0079】
本明細書で説明される様々なプロセスおよび特徴の実装形態は、多様な異なる機器またはアプリケーション、特に例えば機器またアプリケーションにおいて具体化され得る。このような機器の例は、符号化器、復号器、復号器からの出力を処理するポストプロセッサー、符号化器への入力をもたらすプリプロセッサー、ビデオコーダ、ビデオ復号器、ビデオコーデック、ウェブサーバー、セットトップボックス、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA、および他の通信デバイスを含む。明らかなように機器はモバイルとすることができ、さらには移動車両内に設置され得る。
【0080】
さらに方法は、プロセッサーによって行われる命令によって実施することができ、このような命令(および/または実装形態によって作成されるデータ値)は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。コンピュータ可読記憶媒体は、1または複数のコンピュータ可読媒体において具体化され、その上に具体化された、コンピュータによって実行可能なコンピュータ可読プログラムコードを有する、コンピュータ可読プログラム製品の形をとることができる。本明細書で用いられるコンピュータ可読記憶媒体とは、その中に情報を記憶する固有の能力、ならびにそれからの情報取り出しをもたらす固有の能力を前提とした、非一時的記憶媒体と見なされる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、または半導体システム、装置、もしくはデバイス、または上記の任意の適切な組み合わせとすることができるが、それらに限定されない。以下は、本原理が適用され得るコンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例を示すが、当業者には容易に理解されるように単に説明に役立つおよび非網羅的な列挙であることが理解されるべきである:すなわち可搬コンピュータディスケット、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、可搬コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、または上記の任意の適切な組み合わせである。
【0081】
命令は、プロセッサー可読媒体上に有形に具体化されたアプリケーションプログラムを形成することができる。
【0082】
命令は、例えばハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、または組み合わせにおけるものとすることができる。命令は、例えばオペレーティングシステム、個別のアプリケーション、またはそれら2つの組み合わせにおいて見出され得る。従ってプロセッサーは、例えばプロセスを実行するように構成されたデバイス、およびプロセスを実行するための命令を有するプロセッサー可読媒体を含むデバイス(記憶装置など)の両方として特徴付けられ得る。さらにプロセッサー可読媒体は、命令に加えてまたはその代わりに、実装形態によって作成されるデータ値を記憶することができる。
【0083】
当業者には明らかになるように実装形態は、例えば記憶されまたは送信され得る情報を運ぶようにフォーマット設定された多様な信号を作成することができる。情報は、例えば方法を行うための命令、または説明された実装形態の1つによって作成されるデータを含むことができる。例えば信号は、説明された実施形態の構文を書き込むまたは読み出すための規則をデータとして運ぶ、または説明された実施形態によって書き込まれた実際の構文値をデータとして運ぶようにフォーマット設定され得る。このような信号は、例えば電磁波として(例えばスペクトルの無線周波数部分を用いて)、またはベースバンド信号としてフォーマット設定され得る。フォーマット設定することは、例えばデータストリームを符号化すること、および符号化されたデータストリームにより搬送波を変調することを含むことができる。信号が運ぶ情報は、例えばアナログまたはディジタル情報とすることができる。信号は、知られているように多様な種々のワイヤードまたはワイヤレスリンクを通して送信され得る。信号は、プロセッサー可読媒体上に記憶され得る。
【0084】
いくつかの実装形態が説明された。それでもなお様々な変更がなされ得ることが理解されるであろう。例えば異なる実装形態の要素は、他の実装形態を作成するように組み合わされ、補完され、変更され、または取り除かれ得る。さらに当業者は、開示されたものの代わりに他の構造およびプロセスを使うことが可能であり、結果としての実装形態は、少なくとも実質的に同じやり方で、開示された実装形態と少なくとも実質的に同じ結果を達成するように、少なくとも実質的に同じ機能を行うようになることを理解するであろう。従ってこれらおよび他の実装形態は、本出願によって企図される。
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
ビデオ信号に関係するビットストリームであって、前記ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に前記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を識別する、情報データを運ぶ、前記ビットストリーム。
(付記2)
前記識別された電気光伝達関数に関係する少なくとも1つのパラメータを表す情報データをさらに備える、付記1に記載のビットストリーム。
(付記3)
前記電気光伝達関数の応答は、マスタリングディスプレイの各クロミナンスチャネルに対して異なり、前記ビットストリームは、これらの差異を補償するためのいくつかのパラメータをさらに備える、付記1または2に記載のビットストリーム。
(付記4)
ビデオ信号に関係するビットストリームを生成する方法であって、
前記ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に前記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を識別する、情報データを追加するステップ
を含む、前記方法。
(付記5)
ビデオ信号をビデオディスプレイ上にレンダリングする前に前記ビデオ信号に適用されることを目的とする電気光伝達関数を取得する方法であって、
前記ビデオ信号に関係するビットストリームから前記電気光伝達関数を識別する情報データを取得するステップ
を含む、前記方法。
(付記6)
コンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータ上で実行されたときに、付記4または5に記載の方法のステップを実行するための、このプログラムのコード命令を備えた、前記コンピュータプログラム製品。
(付記7)
少なくとも付記4または5に記載の方法のステップをプロセッサーに行わせるための命令をその中に記憶したプロセッサー可読媒体。
(付記8)
プログラムがコンピューティングデバイス上で実行されたときに、付記4または5に記載の方法のステップを実行するための前記プログラムのコード命令を保持する非一時的記憶媒体。