(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 35/36 20060101AFI20220415BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20220415BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20220415BHJP
B41J 17/36 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
B41J35/36
B41J2/325 A
B41J2/32 Z
B41J17/36 A
(21)【出願番号】P 2019510284
(86)(22)【出願日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 GB2017052442
(87)【国際公開番号】W WO2018033745
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-07-29
(32)【優先日】2016-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】502153385
【氏名又は名称】ヴィデオジェット テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】エリス ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】バクストン キース
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-228207(JP,A)
【文献】特開平02-303870(JP,A)
【文献】実開昭58-133438(JP,U)
【文献】特開2012-020489(JP,A)
【文献】特開平07-001784(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0215210(US,A1)
【文献】実開平06-050857(JP,U)
【文献】特開平05-219304(JP,A)
【文献】特開2006-095848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 35/36
B41J 2/325
B41J 2/32
B41J 17/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱転写プリンタ用のプリントヘッドであって、
複数の印刷要素を有し、前記印刷要素の各々は、インキをインキ担持リボンから基材に移着させるよう構成され、
前記インキ担持リボンを検出するよう配置された少なくとも1つのセンサを有し、前記少なくとも1つのセンサは、放射線を前記インキ担持リボンの方へ放出するよう配置された少なくとも1つのエミッタおよび複数のレシーバを有し、前記複数のレシーバの各々は、前記インキ担持リボンによって反射されたそれぞれの反射信号を受信するよう配置され、各反射信号は、前記少なくとも1つのエミッタによって放出された放射線に基づいており、
前記少なくとも1つのエミッタを駆動するとともに前記複数のレシーバの少なくとも1つからの信号を受け取るように構成された回路を有し、前記回路は前記複数のレシーバの少なくとも1つから受け取った前記信号を増幅し、そして前記熱転写プリンタのコントローラに提供するために、増幅された前記信号に基づいて
出力を発生させるように構成された増幅器を有する、プリントヘッド。
【請求項2】
前記インキ担持リボンの検出は、前記インキ担持リボンの存否の検出を含む、請求項1記載のプリントヘッド。
【請求項3】
前記インキ担持リボンの検出は、前記インキ担持リボンの特性の検出を含む、請求項1記載のプリントヘッド。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、複数の所定の場所で前記インキ担持リボンを検出するよう配置されている、請求項1~3のうちいずれか一に記載のプリントヘッド。
【請求項5】
前記所定の場所の各々は、前記インキ担持リボンが前記複数の印刷要素を通る前に位置していて前記プリントヘッドをよぎるリボン経路上の場所である、請求項4記載のプリントヘッド。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、複数のエミッタから成り、前記複数のエミッタの各々は、前記インキ担持リボンに向かう対応のそれぞれの信号を放出するよう配置されている、請求項1~5のうちいずれか一に記載のプリントヘッド。
【請求項7】
前記複数のレシーバの各々は、前記インキ担持リボンによって反射された反射信号を受け取るよう配置され、前記反射信号は、前記複数のエミッタの各々によって放出された信号に基づいている、請求項6記載のプリントヘッド。
【請求項8】
前記出力は、前記複数のレシーバの少なくとも1つによって受け取られた信号の振幅に基づいている、請求項1記載のプリントヘッド。
【請求項9】
前記複数の印刷要素は、前記プリントヘッドの作業面のところに設けられ、
前記少なくとも1つのセンサは、前記プリントヘッドの前記作業面に取り付けられる、請求項1~8のうちいずれか一に記載のプリントヘッド。
【請求項10】
前記複数のレシーバのうちの第1のレシーバは、前記プリントヘッドの前記作業面の第1の場所のところに設けられ、前記複数のレシーバのうちの第2のレシーバは、前記プリントヘッドの前記作業面の第2の場所のところに設けられ、前記第1の場所と前記第2の場所は、互いに見て前記プリントヘッドの中心軸線の反対側に位置し、前記中心軸線は、前記プリントヘッドを通り過ぎる前記インキ担持リボンの運動方向と整列している、請求項9記載のプリントヘッド。
【請求項11】
前記複数のレシーバのうちの前記第1のレシーバは、前記プリントヘッドの第1の縁の近くに設けられ、前記複数のレシーバのうちの前記第2のレシーバは、前記プリントヘッドの第2の縁の近くに設けられ、前記第2の縁は、前記第1の縁と反対側に位置している、請求項10記載のプリントヘッド。
【請求項12】
前記プリントヘッドは、前記インキ担持リボンが印刷作業のために出されるリボンのスプールの状態を表わす信号を発生させるよう構成されている、請求項1~11のうちいずれか一に記載のプリントヘッド。
【請求項13】
前記印刷要素は、前記インキ担持リボンから前記基材へのインキの移着を生じさせるようインキを加熱する発熱体である、請求項1~12のうちいずれか一に記載のプリントヘッド。
【請求項14】
熱転写プリンタであって、
インキ担持リボンの第1および第2のスプールをそれぞれ受け入れる第1および第2のスプール支持体と、
前記第1のスプールと前記第2のスプールとの間での第1の方向におけるインキ担持リボンの移送を生じさせるよう構成されたリボン駆動装置と、
請求項1~13のうちいずれか一に記載のプリントヘッドとを有する、熱転写プリンタ。
【請求項15】
コントローラを更に有し、前記コントローラは、前記プリントヘッドからの出力を受け取り、
前記受け取った出力に基づいて前記熱転写プリンタの作動を制御するよう構成されている、請求項14記載の熱転写プリンタ。
【請求項16】
前記受け取った出力に基づく前記熱転写プリンタの作動の制御は、前記受け取った出力と基準データの比較を含む、請求項15記載の熱転写プリンタ。
【請求項17】
前記受け取った出力に基づく前記熱転写プリンタの作動の制御は、前記印刷要素がインキを前記インキ担持リボンから前記基材に移着させようと制御されるのを阻止することを含む、請求項15または16記載の熱転写プリンタ。
【請求項18】
前記受け取った出力に基づく前記熱転写プリンタの作動の制御は、
前記受け取った出力と基準データの比較と、
前記受け取った出力が所定の基準を満たす場合、第1の行為の実施と、
前記受け取った出力が所定の基準を満たしていない場合、第2の行為の実施とを含む、請求項15~17のうちいずれか一に記載の熱転写プリンタ。
【請求項19】
電磁線を検出するとともに検出した前記電磁線に基づいて前記インキ担持リボンの特性を表わすデータを生成するよう構成されたカメラを更に有し、
前記コントローラは、前記カメラによって生成されたデータを処理するよう構成されている、請求項14~18のうちいずれか一に記載の熱転写プリンタ。
【請求項20】
前記コントローラは、前記受け取った出力に基づいて前記インキ担持リボンの像を捕捉するよう前記カメラを制御するよう構成されている、請求項15に従属する請求項19記載の熱転写プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写プリンタ、特に熱転写プリンタに用いられるプリントヘッドに関するが、これには限定されない。
【背景技術】
【0002】
熱転写プリンタは、インキ担持リボンを使用している。印刷作業において、リボン上に担持されたインキは、印刷されるべき基材に移される。インキの移着を行うため、プリントヘッドをリボンに接触させ、そしてリボンを基材に接触させる。プリントヘッドは、印刷要素を収容し、これら印刷要素は、加熱時、リボンと接触している間にインキをリボンから基材上に移す。インキは、加熱された印刷要素に隣接して位置するリボンの領域から移されることになる。インキを移すことが必要な像の領域に対応した印刷要素を選択的に加熱するが、インキを移着する必要のない像の領域に対応した印刷要素を加熱しないようにすることによって像を基材上に印刷することができる。
【0003】
印刷要素は、一般に、直線アレイの状態に配列されている。プリントヘッドと印刷が行われるべき基材との相対運動を生じさせることによって、一連の印刷作業を実施して像を印刷することができ、各印刷作業は、相対運動を生じさせる前に所望の像の「線」を印刷するために印刷要素のどれにも通電せずに、又は印刷要素の幾つかに通電し、あるいは印刷要素の全てに通電することを含む。次に、別の「線」を次の印刷作業で印刷する。このようにして印刷された複数の線は、一緒になって、所望の像の全体を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱転写プリンタは、1回使用のリボンを利用している。かくして、各印刷線は、以前に使用されていなかったリボンの領域を用いる。リボンは、各印刷作業相互間でプリントヘッドの前を送られる。リボンは、一般に、スプールまたはロール状に設けられ、リボンは、印刷作業中、供給スプールと巻き取りスプールとの間で移送される。リボンのスプールが完全に用いられると、印刷作業は、一時的に止められ、新たなスプールがプリンタ中に装填される。しかしながら、スプールまたはリボンの終端が供給スプールから外れた状態になった後に印刷を行った場合、印刷品質に悪影響が生じる場合がある。同様に、インキを担持していないリボンの一部分が印刷要素に隣接して位置したときに印刷を実施した場合、印刷品質が悪影響を受ける場合がある。さらに、プリンタの通常の作動中、リボンがぷつんと切れる場合がある。かかる事象が起こった後に印刷を続行すると、その結果として、印刷品質が悪くなり、または少なくとも不安定になる場合がある。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態の目的は、印刷作業をより確実に実施することができるようにする改良型プリントヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、熱転写プリンタ用のプリントヘッドが提供される。プリントヘッドは、複数の印刷要素を有し、印刷要素の各々は、インキをインキ担持リボンから基材に移着させるよう構成されている。プリントヘッドは、インキ担持リボンを検出するよう配置された少なくとも1つのセンサを更に有する。
【0007】
かかるセンサをプリントヘッドの一部として提供することにより、印刷が行われる場所(すなわち、インキがリボンから基材に移着される場所)の極めて近くに位置する場所でのリボンの直接的な検出が可能である。かくして、かかるセンサにより、リボンに関する情報を得てプリンタの制御に用いることができる。例えば、リボンのロールの端またはぷつんと切れたリボンが少なくとも1つのセンサによって検出された場合、それ以上の印刷作業が実施されるのを阻止することができ、それにより考えられる損傷がプリントヘッドに対して起こるのを阻止するとともに基材の一部分が印刷されたかどうかに関する不確かさが除かれる。
【0008】
プリントヘッドは、インキ担持リボンと関連した出力を発生させるよう構成されているのが良い。少なくとも1つのセンサがインキ担持リボンと関連した出力を発生させるよう構成されているのが良い。
【0009】
複数の印刷要素は、例えば、直線アレイを構成するのが良い(すなわち、印刷要素は、次元1×Nのアレイの状態に配列されるのが良く、この場合、Nは、印刷要素の個数である)。直線アレイは、使用の際、リボンとプリントヘッドとの相対運動の方向に実質的に垂直な方向に延びるのが良い。すなわち、直線アレイは、連続印刷作業中に印刷ヘッドをよぎるリボンまたは間欠的印刷作業の際にリボンをよぎるプリントヘッドの運動方向に実質的に垂直な方向に延びるのが良い。
【0010】
インキ担持リボンの検出は、リボンの存否の検出を含むのが良い。
【0011】
少なくとも1つのセンサの出力は、プリンタの一観点を制御するために用いられるのが良く、例えば、リボンが検出されない場合に印刷作業が行われるのを阻止する。
【0012】
インキ担持リボンの検出は、リボンの特性の検出を含むのが良い。
【0013】
少なくとも1つのセンサは、リボンの所定の特性、例えば所定の特性を有するリボンの一部分の存在を検出するよう構成されているのが良い。所定の特性は、例えば、リボンが巻き出されているスプールがほぼ完全に空になっていることを示す場合がある。少なくとも1つのセンサの出力は、プリンタの一観点を制御するために使用されるのが良く、例えば、印刷作業が所定の特性を有するリボンの部分を用いてまたは所定の特性を有するリボンの部分に続くリボンの部分について実施されるのを阻止する。
【0014】
特性は、リボンの反射率であるのが良い。
【0015】
少なくとも1つのセンサは、所定の場所でインキ担持リボンを検出するよう配置されているのが良い。
【0016】
所定の場所は、プリントヘッドまたはプリントヘッドの一部分に対する所定の場所であるのが良い。例えば、所定の場所は、プリントヘッドから所定の間隔を置いたところにかつ/あるいはプリントヘッドからの所定の方向に位置するのが良い。
【0017】
所定の場所は、リボンが複数の印刷要素を通る前に位置していてプリントヘッドをよぎるリボン経路上の場所であるのが良い。
【0018】
リボンが複数の印刷要素を通過する前にそのリボンをリボン経路上の所定の場所で検出するよう構成されたセンサを提供することによって、印刷のために用いられている(または、印刷のために用いられようとしている)リボンの部分に先立って、リボンの一部分のリボン特性の指標を提供することが可能である。
【0019】
少なくとも1つのセンサは、印刷要素を通り過ぎるインキ担持リボンに先立ってインキ担持リボンを検出するよう配置されているのが良い。
【0020】
印刷要素に先立ってリボンを検出するよう配置されたセンサを提供することによって、印刷要素に達するリボンの部分に先立って、したがって、印刷のために用いられている(または印刷のために使用されようとしている)リボンの部分に先立ってリボンの一部分に関するリボン特性の指標を提供することが可能である。
【0021】
少なくとも1つのセンサは、リボンから信号を受け取るよう配置された少なくとも1つのレシーバを有するのが良い。
【0022】
受け取られる信号は、電磁線、例えば赤外線を含むのが良い。少なくとも1つのレシーバは、フォトトランジスタを含むのが良い。少なくとも1つのレシーバは、フォトダイオードを含むのが良い。
【0023】
受け取られる信号は、超音波信号を含んでいても良い。
【0024】
リボンからの信号を受け取るよう配置されるということは、受け取られる信号がリボンから少なくとも1つのレシーバに伝搬することを意味している。受け取られる信号をリボンによって発生させなければならないわけではなくまたは受け取られる信号がリボンに源を発することを意味しているわけではない。例えば、受け取られる信号は、リボンによって反射されるのが良く、次に少なくとも1つのレシーバまで伝搬するのが良い。
【0025】
少なくとも1つのセンサは、信号をリボンの方へ放出するよう配置された少なくとも1つのエミッタを含むのが良い。少なくとも1つのセンサは、放射線をリボンの方へ放出するよう配置された少なくとも1つのエミッタを含んでいても良い。
【0026】
放出された信号は、電磁線、例えば赤外線を含むのが良い。少なくとも1つのエミッタは、LEDを含むのが良い。
【0027】
放出される信号は、超音波信号を含んでいても良い。
【0028】
信号は、少なくとも1つのエミッタからリボンの方へ伝搬するものと考えられても良い。
【0029】
少なくとも1つのレシーバは、リボンによって反射された反射信号を受け取るよう配置されているのが良く、反射信号は、少なくとも1つのエミッタによって放出された信号に基づいている。
【0030】
プリントヘッドは、少なくとも1つのレシーバによって受け取られた信号に基づいて出力を発生させるよう構成された回路を更に有するのが良い。
【0031】
出力は、少なくとも1つのレシーバによって受け取られた信号の振幅に基づくのが良い。
【0032】
回路は、増幅器を含むのが良い。少なくとも1つのレシーバは、フォトダイオードを含むのが良い。増幅器は、フォトダイオードによって生じた光電流を増幅するよう構成されているのが良い。受け取った信号のプリントヘッド上増幅を提供することによって、信号をプリントヘッドの外部に位置するコントローラに提供することができるということが可能である。
【0033】
複数の印刷要素は、プリントヘッドの作業面のところに設けられるのが良い。センサは、プリントヘッドの作業面と関連しているのが良い。
【0034】
少なくとも1つのセンサは、プリントヘッドの作業面と作動的に関連しているのが良い。すなわち、使用にあたり、少なくとも1つのセンサは、印刷要素が設けられているプリントヘッドの同一の表面と関連するのが良く、それにより印刷作業中、印刷要素を通り過ぎるインキ担持リボンに面するようになっている。例えば、少なくとも1つのセンサは、プリントヘッドの作業面に取り付けられるのが良い。
【0035】
より一般的に言って、少なくとも1つのセンサは、これがプリントヘッドの作業面と作動的に関連するようプリントヘッドに取り付けられるのが良い。例えば、センサは、プリントヘッドの表面の下に設けられるのが良いが、プリントヘッドの表面を越えたところで検出するよう構成されているのが良い。例えば、表面と依然として関連した状態で光センサが透明なまたは半透明な物質によって表面から分離されるのが良い。同様に、磁気センサが、磁界が浸透可能な物質によって表面から分離されるのが良い。
【0036】
所定の場所は、プリントヘッドの作業面に関して所定の場所であるのが良い。例えば、所定の場所は、プリントヘッドの作業面から所定の間隔を置いたところにかつ/あるいはプリントヘッドの作業面からの所定の方向に位置するのが良い。
【0037】
プリントヘッドは、複数のレシーバを有するのが良い。少なくとも1つのセンサは、複数のレシーバを含むのが良い。
【0038】
複数のレシーバの各々は、リボンによって反射されたそれぞれ対応の反射信号を受信するよう配置されているのが良い。各反射信号は、少なくとも1つのエミッタによって放出された放射線に基づいているのが良い。
【0039】
かかるセンサは、複数の所定の場所でインキ担持リボンを検出するよう配置されているのが良い。
【0040】
複数のレシーバをプリントヘッドに設けることによって、リボンを対応した複数の場所で検出することが可能である。したがって、単一のプリントヘッド配列を多種多様なリボン配列のために使用することが可能である。例えば、2つの別々の場所でリボンを検出するよう配置された2つのレシーバにより、幅の広いリボンを2つの別々の場所で検出することができ、あるいは幅の狭いリボンをこれがプリントヘッドの各側と整列している場合であっても検出することができる。複数のレシーバは、対応の複数のセンサによって提供されるのが良い。複数のセンサの各々は、それぞれ対応の増幅器を備えるのが良い。
【0041】
所定の場所の各々は、リボンが複数の印刷要素を通る前に位置していてプリントヘッドをよぎるリボン経路上の場所であるのが良い。
【0042】
プリントヘッドは、複数のエミッタを有するのが良く、各エミッタは、信号をリボンの方へ放出するよう配置されている。複数のエミッタは、それぞれ複数のセンサによって提供されるのが良い。プリントヘッドは、複数の対をなす対応のエミッタおよびレシーバを有するのが良い。複数の対をなすエミッタおよびレシーバの各々は、複数のセンサの対応の各々によって提供されるのが良い。
【0043】
複数のレシーバの各々は、リボンによって反射された反射信号を受信するよう配置されているのが良く、反射信号は、複数のエミッタの各々によって放出された信号に基づいている。
【0044】
プリントヘッドは、複数のレシーバのうちの少なくとも1つによって受け取られた信号に基づいて出力を発生させるよう構成された回路を更に有するのが良い。出力は、複数のレシーバのうちの少なくとも1つによって受け取られた信号の振幅に基づいているのが良い。
【0045】
プリントヘッドは、複数の出力を発生させるよう構成されているのが良く、複数の出力の各々は、複数のレシーバの各々によって受け取られる信号に基づいている。
【0046】
複数のレシーバのうちの第1のレシーバは、プリントヘッドの作業面の第1の場所のところに設けられるのが良く、複数のレシーバのうちの第2のレシーバは、プリントヘッドの作業面の第2の場所のところに設けられるのが良い。第1の場所と第2の場所は、互いに見てプリントヘッドの中心軸線の反対側に位置し、中心軸線は、プリントヘッドを通り過ぎるインキ担持リボンの運動方向と整列している。第1の場所と第2の場所は、プリントヘッドの中心軸線に関して実質的に対称に配置されるのが良い。
【0047】
複数のレシーバのうちの第1のレシーバは、プリントヘッドの第1の縁の近くに設けられるのが良い。複数のレシーバのうちの第2のレシーバは、プリントヘッドの第2の縁の近くに設けられるのが良く、第2の縁は、第1の縁と反対側に位置する。
【0048】
プリントヘッドの第1または第2の縁の近くに位置するという表現は、それぞれのレシーバが必ずしもプリントヘッドのそれぞれの縁のところに設けられることを意味しない。むしろ、レシーバは、プリントヘッドのそれぞれの縁の近くに、例えば、オフセット(例えば、10mm)だけプリントヘッドのそれぞれの縁から間隔を置いて位置した状態で設けられる。
【0049】
プリントヘッドは、リボンが印刷作業のために出されるリボンのスプールの状態を表わす信号を発生させるよう構成されるのが良い。
【0050】
スプールの状態は、スプールの巻き終わりを含むのが良い。例えば、リボンのスプールの状態を表わす信号は、リボンのスプールが全て用いられまたはほぼ完全に用いられていることを表わす信号を含むのが良い。
【0051】
印刷要素は、リボンから基材へのインキの移着を生じさせるようインキを加熱する発熱体であるのが良い。
【0052】
本発明の第2の観点によれば、熱転写プリンタであって、インキ担持リボンの第1および第2のスプールをそれぞれ受け入れる第1および第2のスプール支持体と、第1のスプールと第2のスプールとの間での第1の方向におけるリボンの移送を生じさせるよう構成されたリボン駆動装置と、本発明の第1の観点によるプリントヘッドとを有することを特徴とする熱転写プリンタが提供される。
【0053】
熱転写プリンタは、コントローラを更に有するのが良い。コントローラは、プリントヘッドからの出力を受け取り、受け取った出力に基づいてプリンタの作動を制御するよう構成されるのが良い。
【0054】
受け取られる出力は、少なくとも1つのセンサに基づくのが良い。すなわち、受け取られる出力は、少なくとも1つのセンサの出力によって直接的にまたは間接的に導かれるのが良い。受け取られる出力を、プリントヘッド上に設けられた回路によって発生させるのが良い。受け取られる出力は、少なくとも1つのレシーバによって生じた信号であるのが良い。出力は、複数の出力信号を含むのが良く、複数の出力信号の各々は、複数のレシーバの各々とそれぞれ関連している。
【0055】
受け取った出力に基づくプリンタの作動の制御は、受け取った出力と基準データの比較を含むのが良い。
【0056】
コントローラは、リボンのスプールの状態を表わすデータを生成するよう構成されているのが良い。
【0057】
基準データは、予想出力値を有するのが良い。かかる予想出力値は、所定の状態と関連しているのが良い。所定の状態は、リボンがセンサに隣接して存在していることを含むのが良い。所定の状態は、リボンがセンサに隣接して位置していないことを含むのが良い。基準データは、複数の予想出力値を有するのが良い。かかる複数の予想出力値は、それぞれ対応の複数の所定の状態と関連しているのが良い。
【0058】
受け取った出力に基づくプリンタの作動の制御は、印刷要素がインキをインキ担持リボンから基材に移着させようとするよう制御されるのを阻止することを含むのが良い。
【0059】
受け取った出力に基づくプリンタの作動の制御は、受け取った出力と基準データの比較と、受け取った出力が所定の基準を満たす場合、第1の行為の実施と、受け取った出力が所定の基準を満たしていない場合、第2の行為の実施とを含むのが良い。
【0060】
第1の行為は、インキをインキ担持リボンから基材に移そうとする印刷要素の通電を実施することを含むのが良い。
【0061】
第2の行為は、インキをインキ担持リボンから基材に移そうとする印刷要素の通電を阻止することを含むのが良い。第2の行為は、警告を発生させることを含むのが良い。
【0062】
所定の基準は、所定の振幅値を有する受け取られる出力を含むのが良い。所定の振幅値は、所定の状態と関連しているのが良い。
【0063】
熱転写プリンタは、電磁線を検出するとともに検出した電磁線に基づいてリボンの特性を表わすデータを生成するよう構成されたカメラを更に有するのが良い。コントローラは、電磁センサによって生成されたデータを処理するよう構成されるのが良い。
【0064】
コントローラは、インキ担持リボンを検出するよう構成された少なくとも1つのセンサの出力に基づいて電磁センサによって生成されたデータを処理するよう構成されているのが良い。
【0065】
コントローラは、受け取った出力に基づいてリボンの像を捕捉するようカメラを制御するよう構成されるのが良い。例えば、コントローラは、出力信号の所定の特性に対応して像を捕捉するようカメラを制御するのが良い。
【0066】
出力信号の所定の特性は、所定の出力値を有する出力信号を含むのが良い。所定の特性は、リボンおよび/またはリボンスプールの所定の状態を表わす信号を含むのが良い。
【0067】
本発明の別の観点によれば、本発明の第2の観点に従って熱転写プリンタを制御する方法が提供される。
【0068】
本発明の一観点と関連して説明した特徴を本発明の別の観点に利用することができる。本発明の種々の観点は全て、互いに別個に使用でき、例えば、これは、単一の印刷装置である。
【0069】
次に、添付の図面を参照して例示として本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】本発明の一実施形態によるプリントヘッドを有する熱転写プリンタの略図である。
【
図2】
図1のプリンタに示されたプリントヘッドの細部の略図である。
【
図3】
図2に示されたプリントヘッドの断面図である。
【
図4】
図2および
図3に示されたプリントヘッドの側面図である。
【
図5】
図2~
図4に示されたプリントヘッドに設けられた回路の略図である。
【
図6a-6b】
図5の回路内に含まれているエミッタおよびレシーバ中の例示の電流波形の略図である。
【
図7】基準データを得るために用いられる試験回路の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1を参照すると、熱転写プリンタ1が2つのスプール相互間に延びるインキ担持リボン2、供給スプール3および巻き取りスプール4を有する。使用にあたり、リボン2がローラ5周りに供給スプール3から、そしてプリントヘッドキャリッジ8に取り付けられたプリントヘッド7をよぎって、ローラ6周りに巻き取りスプール4に移送される。供給スプール3は、スプール支持体3aに取り付けられ、このスプール支持体は、供給スプールモータ3bによって駆動される。同様に、巻き取りスプール4は、巻き取りスプール支持体4aに取り付けられ、この巻き取りスプール支持体は、巻き取りスプールモータ4bによって駆動される。供給スプールモータ3bおよび巻き取りスプールモータ4bの各々は、プリンタコントローラ9によって制御される。本明細書において説明する実施形態では、供給スプールモータ3bおよび巻き取りスプールモータ4bの各々は、ハイブリッド型ステップモータである(可変リラクタンスまたは永久磁石型ステップモータとは異なる)。ハイブリッド型ステップモータの使用は、これが他形式のステップモータよりも高い解像度(代表的には、一ステップ全体当たり1.8度)を与え、しかも優れた保持および動的トルク能力を発揮した状態で高いステップレートで動作することができるので好ましい。ステップモータは、例えば、製品番号34H118D30BのPortescap型モータであるのが良い。
【0072】
作動中、リボン2が一般に、供給スプール3から巻き取りスプール4に移送されている間、コントローラ9はまた、モータに通電してリボン2を巻き取りスプール4から供給スプール3に移送することができる。これは、以下に更に説明するように幾つかの印刷モードにおいて有用である場合がある。
【0073】
幾つかの実施形態では、別のリボン駆動装置が必要に応じて提供できることは理解されよう。例えば、1つのモータがリボンをリボン経路に沿って引いた状態で巻き取りスプール4を駆動するよう構成されても良い。
【0074】
ローラ5,6は、アイドラモータであるのが良く、これらモータは、リボン2を
図1に示されているように所定のリボン経路に沿って案内するのに役立つ。
【0075】
印刷作業では、リボン2上に担持されたインキが印刷されるべき基材10に移着される。インキの移着を行うため、プリントヘッド7をリボン2に接触させる。リボン2もまた、基材10に接触させる。プリントヘッド7は、プリンタコントローラ9の制御下でプリントヘッドキャリッジ8の運動によってリボン2の方へ動くようになっているのが良い。プリントヘッド7は、一次元直線アレイをなして配列された印刷要素15(
図2~
図4に示されている)を有し、かかる印刷要素は、加熱されると、リボン2に接触した状態でインキをリボン2から基材10上に移着させる。インキは、加熱された印刷要素15に対応した(すなわち、これらと整列した)リボン2の領域から移される。印刷要素15のアレイは、インキを移すことが必要な像の領域に対応した印刷要素を選択的に加熱するが、インキを移してはならない印刷要素15を加熱しないようにすることによって基材10上への像の印刷を行うために使用されるのが良い。
【0076】
プリンタ1は、
図1に示されている形態では、プリントヘッド7の下側に取り付けられた1対のセンサ11を更に有する。プリンタは、カメラ12を更に有する。カメラ12は、例えば、プリンタのハウジングまたはプリントヘッドキャリッジ8に固定的に取り付けられるのが良い。プリントヘッド7は、コーナーエッジ型プリントヘッドであるのが良い。
【0077】
一般に、
図1のプリンタを使用する2つのモードが存在し、これらモードは、場合によっては、「連続」モードおよび「間欠」モードと呼ばれる。両方の作動モードでは、装置は、規則的に繰り返される一連の印刷サイクルを実行し、各サイクルは、インキが基材10に移着される印刷段階、およびプリンタが次のサイクルの印刷段階のために準備される別の非印刷段階を含む。
【0078】
連続印刷では、印刷段階中、プリントヘッド7をリボン2に接触させ、リボン2の他方の側は、像が印刷されるべき基材10と接触状態にある。プリントヘッド7は、このプロセス中、静止状態に保持され、かかる「静止状態」という用語は、プリントヘッドを動かしてリボン2に接触させたりこれから離したりするが、プリントヘッドがリボン経路に沿ってリボンが送り進められる方向においてリボン経路に対して動くことはないということを示すために連続印刷との関連において用いられている。基材10とリボン2の両方は、プリントヘッドをよぎって運ばれるが、一般に、必ずしも同一速度で運ばれる必要はない。
【0079】
一般的に言って、プリントヘッド7をよぎって運ばれる基材10の長さに対して比較的僅かな長さ分だけが印刷されるようになっており、したがって、リボンの大幅な無駄を回避するためには、印刷サイクル相互間においてリボンの移動方向を逆にすることが必要である。かくして、基材が一定の速度で移動する典型的な印刷プロセスにおいては、プリントヘッド7が印刷されるべき基材10の領域に隣接して位置しているときにのみ、プリントヘッドを伸長させてこれをリボンに接触させる。プリントヘッド7の伸長直前に、リボン2を例えば基材10の移動速度に合わせて加速しなければならない。次に、リボン速度は、印刷段階中、基材の一定の速度に維持されなければならず、印刷段階が完了した後においては、リボン2を減速し、次に逆方向に駆動しなければならず、その結果、リボンの使用済み領域は、プリントヘッドの上流側に位置する。印刷されるべき基材の次の領域が近づくと、リボン2は、通常の印刷速度に逆に加速されなければならず、そしてリボン2は、リボンの先に使用済みの領域の近くに位置するリボン2の未使用部分が、プリントヘッド7を印刷位置まで前進させているときに、プリントヘッド7と基材10との間に位置するよう位置決めされなければならない。したがって、供給スプールモータ3bおよび巻き取りスプールモータ4bは、リボンの先に使用済みの部分がプリントヘッド7と基材10との間に介在して位置したときに実施される印刷作業を回避するようリボンを正確に位置決めするよう制御されるのが良いことが望ましい。
【0080】
間欠印刷では、基材は、プリントヘッド7をよぎって段階的に送り進められ、その結果、各サイクルの印刷段階中、基材10および一般に(しかし必須ではない)リボン2が静止状態になっている。基材10とリボン2とプリントヘッド7の相対運動は、プリントヘッド7を基材およびリボンに対して変位させることによって達成される。連続したサイクルの印刷段階相互間において、基材10は、印刷されるべき次の領域をプリントヘッドの下に提供するよう送り進められ、リボン2は、リボンの未使用区分がプリントヘッド7と基材10との間に位置するよう送り進められる。この場合もまた、リボン2の正確な運搬は、未使用リボンがプリントヘッド7を前進させて印刷作業を実施する時点において基材10とプリントヘッド7との間に常時位置するようにするために必要である。理解されるように、間欠モードが用いられる場合、プリントヘッド7およびプリントヘッドキャリッジ8を直線軌道に沿って動かしてリボン経路に沿うその変位を可能にするための機構体が設けられる。かかる機構体は、
図1には示されておらず、かかる一機構体は、本出願人の先の米国特許第7,150,572号に記載されている。
【0081】
図2は、プリントヘッド7を詳細に示している。
図2において細部が理解できるように、センサ11の各々は、それぞれ対応したエミッタ13およびそれぞれ対応したレシーバ14を有する。エミッタ13の各々は、放射線源、例えば、赤外範囲の電磁線を放出するLEDである。レシーバ14の各々は、例えばフォトダイオードによって提供される。レシーバ14は、エミッタ13によって放出された放射線を受け取るのに適している。
【0082】
エミッタ13をセンサ11内に設けることにより、センサ11は、外部コンポーネント、例えばリボンを透過する放射線を放出するよう配置されるエミッタを利用しないで、動作することができる。これとは異なり、エミッタは、適当な種類の放射線を適当な調整を行った状態で放出し、それにより以下に詳細に説明するようにリボンのロバストな検出を可能にするよう制御されるのが良い。
【0083】
一実施形態では、センサ11は、例えばアナログ‐出力反射型センサ、例えば米国所在のアヴァゴ・テクノロジーズ(Avago Technologies)、ア・ブロードコム・リミテッド・カンパニー(A Broadcom Limited Company)によって製造されたHSDL‐9100表面取り付け型近接センサによって適切に提供できる。センサ11は、形状係数の小さなSMDパッケージ内に収容され、このセンサは、約ゼロ~60mmの検出範囲を有する。
【0084】
変形実施形態では、センサ11は、例えば別の反射型センサによって適切に提供でき、このセンサでは、レシーバ14は、フォトトランジスタを含む。かかる適切な一コンポーネントは、米国アリゾナ州フェニックス所在のフェアチャイルド/オン・セミコンダクタ(Fairchild/ON Semiconductor)によって製造されたQRE1113GR表面取り付け型センサであるのが良い。センサ11は、形状係数の小さなSMDパッケージ内に収容され、このセンサは、約5mmの検出範囲を有するのが良い。
【0085】
当然のことながら、別の変形例としてのエミッタおよびレシーバを使用できることが理解されよう。ただし、エミッタとレシーバの適当な組み合わせが選択されることを条件とする。例えば、広角度光源、レーザ源、または他のLED源(例えば、可視光を用いる)がエミッタ13に代えて使用することも可能である。さらに、幾つかの変形例では、超音波エミッタおよびレシーバ、または他形式のエミッタおよびレシーバを使用することができる。
【0086】
さらに、上述の実施形態では、エミッタ13およびレシーバ14が、プリントヘッド7に取り付けられた一体型センサ11内に設けられるが、変形実施形態では、エミッタとレシーバは各々プリントヘッド7上の互いに異なる場所に取り付けられた別々のデバイスであって良い。さらにまた、異なる数の一体型センサまたは異なる数の別々のエミッタおよびレシーバを適宜使用できる。例えば、単一のエミッタが1対のレシーバと組み合わせて用いられても良い。変形例として、単一のセンサが用いられても良い
【0087】
さらに、幾つかの実施形態では、センサは、受動型であって良い。すなわち、エミッタは、完全に省かれても良い。かかる実施形態では、センサは、リボンからある特性を検出するよう構成されている。例えば、リボン2は、エミッタを必要とすることなくセンサにより検出できる磁気領域を備えるのが良い。変形例として、センサは、容量型センサまたは誘導型センサであって良く、リボンは、検出可能な特性を有する領域(例えば、金属化部分)を備える。
【0088】
より一般的に言えば、センサ11の各々は、リボン2を検出するよう構成され、任意適当な形式、数、または配列のセンサ11を用いることができることは理解されよう。
【0089】
上記において概要説明したように、プリントヘッド7は、セラミック基体に取り付けられた複数の抵抗型発熱体15を更に有し、これら発熱体は、プリントヘッド7の第1の縁に沿って一次元直線アレイをなして設けられている。印刷要素15は、印刷要件に基づいて(例えば、像データに基づいて)選択的に通電される。印刷要素15に提供される印刷制御信号をプリントヘッドコントローラ16内に発生させるのが良く、このプリントヘッドコントローラは、プリントヘッド回路板17上に実装される。センサインターフェース回路18もまた、プリントヘッド回路板17上に設けられる。プリントヘッド回路板17は、ヒートシンク19に取り付けられ、このヒートシンクはまた、プリントヘッド7の一部を構成する。プリントヘッドコントローラ16は、柔軟性リボンケーブル20によりコントローラ9と通信し、このリボンケーブル20は、コネクタ21を介して回路板17に結合している。
【0090】
図2に見えるプリントヘッド7の表面は、
図1に見える全体として下向きの方向に向いた表面であるとともに、印刷要素15を備えた表面である。この表面は、プリントヘッド7の
作業面と呼ばれる場合がある。
図2に示されているようにプリントヘッド7の
作業面は、全体として、通常の作動中、リボン2の方へ向く。
【0091】
かくして、センサ11は、プリントヘッド7の表面に取り付けられ、このプリントヘッドは、印刷作業中、リボン2の方へ向くよう配置され、このプリントヘッドには、印刷用15がインキ担持リボン2の方へ向くよう設けられ、インキ担持リボン2は、印刷作業中、印刷要素を通り過ぎる。
【0092】
当然のことながら、印刷作業中、プリントヘッドは、最適印刷条件によって定められた角度だけリボンに対して傾けられるのが良いことは理解されよう。しかしながら、この角度は、一般に鋭角、例えば26°であり、したがって、センサ11は、一般にリボン2の方へ向いているとみなされる。同様に、リボン2は、全体としてセンサ11の方へ向いているとみなされる場合がある。当然のことながら、理解されるように、印刷サイクル中におけるプリントヘッド7の幾つかの作動中、例えばプリントヘッド7が印刷サイクル相互間で印刷面から引っ込められているとき、プリントヘッド7は、印刷作業中の角度よりも大きいまたは小さい角度だけリボン2に対して傾けられるのが良い。
【0093】
より一般的に言って、センサは、これがプリントヘッドの作業面と作動的に関連するようプリントヘッドに取り付けられるのが良いことが理解されよう。例えば、幾つかの実施形態では、センサがプリントヘッドの表面の下に設けられるのが良いが、プリントヘッドの表面を越えて検出を行うよう配置されているのが良い。例えば、光センサが透明なまたは半透明な物質によって表面から分離されるのが良く、他方、依然としてこの表面と関連している。同様に、磁気センサがリボンを検出することができる磁界によって侵入可能な物質によって表面から分離されているのが良い。
【0094】
図2に詳細に示されているように、プリントヘッド7は、プリントヘッド7をよぎるリボン運搬方向Aに中心線L1を有する。センサ11は、各々、中心線L1からオフセットしている。リボン経路がプリントヘッド7を通過しているときのリボン経路の範囲は、破線P1,P2によって指示され、これら破線の各々は、リボンの縁を示している。センサ11は、線L1に関して対称に配置され、各センサ11は、印刷要素15の直線アレイの幅全体の外縁寄りに、およびかくしてリボン経路の外縁寄りに設けられている。しかしながら、リボンの全範囲に設けられるのではなく、各センサ11は、約10mmのオフセットだけプリントヘッド7の外側範囲から内方にずらされている。プリントヘッド7の全幅は、例えば、約53mmであるのが良い。
図2に示されているかかる構成により、リボンをこれがセンサ11のうちの少なくとも1つの場所の下を通ることを条件として検出することができる。
【0095】
図3は、プリントヘッド7の別の断面図である。この断面は、
図2で分かるように線L2に沿って取られている。L2はまた、
図1に示されており、
図1は、プリントヘッド7と基材10との関係を示している。
図3に示されているように、エミッタ13は各々、放射線Rをリボン2に向かって放出する。放射線Rは、リボンによって反射され、反射放射線のビームR′は、反射されてレシーバ14に向かって戻っている状態で示されている。当然のことながら、放射線は、レシーバ14の方へちょうど向く方向だけではなく、他の方向にも放射して反射しているが、図面を分かりやすくするために、レシーバ14の方へ直接反射された部分だけが示されていることが理解されよう。
【0096】
互いに異なるリボンの幅を単一のプリントヘッドに使用できることは理解されよう。かくして、リボン2の少なくとも一部分がセンサ11のうちの少なくとも1つの下を通過することを条件として、リボン2を検出することができる。例えば、プリントヘッド7の幅の半分である幅を有するリボンを
図2に示された向きにおいてプリントヘッド7の右側と整列したときにセンサ11のうちの最も右側のセンサによって検出することができる。かかる幅の狭いリボンは、線P3,P2相互間に延びている(
図2に示されている)。更に理解されるように、かかる幅の狭いリボンがプリントヘッド7の左側と整列して線P1,P3相互間で延びている場合、センサ11のうちの最も左側のセンサは、かかるリボンを検出することができる。かくして、1対の互いに間隔を置いたセンサ11を有する図示の実施形態により、ある範囲のリボン幅を有するリボンをある範囲の互いに異なる形態で検出することができる。
【0097】
当然のことながら、単一のセンサが設けられる場合、リボンの一部がセンサの検出場内を通るときにリボンを検出することができる。
【0098】
図4は、プリントヘッド7の更に別の図である。
図4に示されている構成では、プリントヘッド7は、リボン2がプリントヘッド7をよぎって延びてプリントヘッド7のコーナー部のところで印刷要素15に接触している状態を示す側面図の状態で示されている。さらに、基材10は、リボン2と接触した状態で示されている。かかる構成は、プリントヘッド7が基材10に押しつけられたときに印刷作業中に見られる。
【0099】
理解されるように、リボン2を印刷作業中にプリントヘッド7をよぎって前進させてリボンの未使用部分を印刷要素15に対して露出させ、それによりインキをリボンから基材10に移着させることができる。リボン2は、プリントヘッド7を特定の方向によぎって動く。この方向は、
図4では(
図1および
図2にも示されているように)矢印Aで示されている。すなわち、
図4に示されている構成では、リボンは、左側から右側へプリントヘッド7をよぎって動く。
【0100】
当然のことながら、幾つかの印刷作業では、プリントヘッド7は、リボン2に対して動く(例えば、間欠印刷作業中)ことが理解されよう。しかしながら、連続印刷では、リボン2は、これとは異なって静止状態の印刷ヘッド7をよぎって動かされる。
【0101】
リボン2の運動方向Aを考慮に入れると、センサ11は、リボン2に関する限り、印刷要素15の前にまたはその上流側に設けられることが理解されよう。すなわち、一般的に言って、センサ11を通過するリボン2の一部分は、印刷要素15をまだ通過していないリボンである。これとは逆に、カメラ12に露出されるリボン2の一部分は、印刷要素15を通過したリボンである。
【0102】
理解されるように、印刷作業中、センサ11は、リボンがプリンタの印刷要素15を通過する前にリボン2を検出することができる。他方、カメラ12は、プリントヘッド7の印刷要素15をすでに通過したリボンを検査することができるに過ぎない。カメラ12は、種々の印刷関連作業、例えば使用済みリボンの像の捕捉および印刷作業中、リボン2から取り去られたインキの量を検査することによる印刷品質の判定のために使用できる。かかる作業は、本出願人の先の国際特許出願公開第2013/025746号パンフレットに詳細に記載されており、この国際公開を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0103】
印刷作業では、リボンが供給スプール3から巻き取りスプール4に徐々に運搬されることが理解されよう。したがって、リボンのロールの全体が供給スプール3から巻き取りスプール4にいったん運搬されると、リボンは、供給スプール3からちぎれまたはぷつんと切れる前にピンと張った状態になり、リボンの張力は、ゼロまで小さくなる。かくして、リボンのロールの端のところでは、リボンは、プリントヘッド7を通過し終え、印刷作業が中断され、新たなリボンロールが取り付けられる。
【0104】
先行技術のプリンタではリボンの終端を検出するために種々の技術が採用された。例えば、幾つかのプリンタでは、リボンの終端がリボン2の張力をモニタすることによって検出される。かかる張力モニタは、多くの仕方で、例えば、供給および巻き取りスプール3,4を駆動するモータに供給される電力をモニタすることによって実施できる。変形例として、張力は、機械的張力モニタ手段、例えばダンシングアームまたは圧力センサによってモニタできる。
【0105】
しかしながら、幾つかの場合、張力モニタは、リボンのロールの端が供給スプール3から外れたときに起こる張力の低下を検出するのにある程度の時間を要する場合がある。例えば、ロールの終わり事象を指示するために用いられる張力値は、計算されまたは測定された複数の張力値の平均値に基づく場合がある。かくして、ロールの終わり事象の指標を即座に生じさせることができない。かかる場合、リボン2のロールの後端は、プリンタ中に引き込まれて巻き取りスプール4の回転の連続に起因してプリントヘッド7を通過する場合がある。かくして、リボンの残りがなくなるまでリボンが印刷要素15をよぎって引き込まれ、そして印刷要素15が、張力の低下があってもこれが検出される前において、存在しないリボン上に印刷を行おうとすることが考えられる。これは、特に、長い(例えば、300mm)の像が印刷される場合、および張力モニタが印刷サイクル相互間で行われる場合である。かかる状況では、印刷要素15は、基材10に直接接触する場合があり、印刷が行われず、あるいは悪いことには、損傷が基材10か印刷要素15かのいずれかに生じる場合がある。すなわち、リボンのロールの端に到達した後に印刷が実施される(または、実施されようと試みられる)場合、印刷品質が貧弱になる場合がありまたは印刷が行われない場合がある。しかしながら、重要なこととして、印刷品質が不安定な場合がある。
【0106】
センサ11が印刷要素15の上流側に設けられていることにより、リボンに関連した情報(例えば、リボンの存在またはそうでない場合)を集めることができる。すなわち、センサ11を用いて印刷要素15の上流側に位置するセンサ11の近くの場所でリボンの存在を検出することによって、ロールの終わり事象の早期の警告を出すことが可能である。同様に、センサ11は、リボンがぷつんと切れたことまたは他の深刻な破損と関連する場合のある張力の低下を検出するために使用できる。
【0107】
次に、センサ11の作動について詳細に説明する。エミッタ13によって放出された放射線Rを対応のセンサ11に隣接して設けられたリボン2の表面の方へ方向付けるとともにこれによって反射させる。反射放射線R′は、レシーバ14によって受け取られる。かかるレシーバ14は、リボン2が存在していることを示す信号を出す。理解されるように、リボンが存在しているかどうかにより異なる量の放射線が反射される。かくして、リボンが存在していない場合、異なる信号がレシーバのところで受け取られることになる。幾分かの放射線が基材10によって反射される場合があるが、較正技術の使用により、リボンの存在またはリボンの不存在を示す予想信号を定めることが可能である。したがって、リボンのロールの後端がセンサ11を通過する時点を判定することが可能である。かくして、リボン2のロールの後端が印刷要素15を通過する前に印刷を停止することができる。
【0108】
同様に、リボンのロールの端が接着テープによって供給スプール3に取り付けられている場合、接着テープは、リボン2のロールの端のところに存在することができ、そして印刷要素15の邪魔になることができる。しかしながら、リボンではなく接着テープを検出する場合またはリボン2に加えて接着テープを検出する場合、異なる反射シグナチャをレシーバ14のところで得ることができる。かかる反射シグナチャは、ロール事象の終わりを識別するために使用できる。
【0109】
幾つかの実施形態では、リボンそれ自体は、リボンのロールの端寄りの別の形式の一部分を有するのが良い。リボン2のかかる一部分は、トレーラーテープと呼ばれる場合がある。トレーラーテープはまた、リボンの種々の特性またはリボンが関連しているプリンタに関する情報を記憶するために使用できる。すなわち、なんらかの仕方でリボンまたはプリンタに関連したデータを符号化するパターンをトレーラーテープに施すのが良い。理解されるように、かかるトレーラー部分は、このトレーラー部分がリボン2の表面上にインキを有していないので、通常のリボン部分に対して容易に識別可能である。さらに、トレーラー部分は、別の色に着色されるのが良い(例えば、黒色とは対照的に銀色に)。センサ11を印刷要素15の上流側で用いることにより、トレーラーテープが発熱体15を通過しまたはこれに接触する前にトレーラーテープの存在を検出することができる。かくして、このように構成されていない状態において印刷作業を実施しようとした状態でトレーラー部分との接触により印刷要素に対して生じる場合のある損傷を回避することができる。さらに、上記のように構成していない場合には、例えばインキ担持リボンが印刷要素15の前に存在していないときに印刷作業を実施しようとした場合、印刷性能の低下が生じることがあるが、これはまた、上述したようなセンサ11の使用によって回避できる。
【0110】
さらに、トレーラーテープは、これが印刷要素15をいったん通過すると、カメラ12(設けられている場合)によって細部について検査することができ、それによりトレーラーテープからの情報を識別することができる。
【0111】
幾つかの先行技術のプリンタでは、トレーラーテープの使用は、幾つかの状況では回避される場合がある。トレーラーテープが用いられるが検出が行われない場合、プリンタが偶発的に印刷作業のためにトレーラーテープを使用しようと試みる恐れがあることが理解されよう。
【0112】
当然のことながら、理解されるように、リボンロールの開始時にヘッダーテープを用いてリボンおよびその種々の特性を識別することが通例である。しかしながら、トレーラーテープを提供することにより、リボンに関連した追加の情報を符号化するとともにその情報のより信頼性のある源を提供することが可能である。例えば、リボンの部分ロールがプリンタ内に取り付けられる場合、ヘッダーテープ部分は、すでに使い尽くされている場合がある。同様に、リボンのロールの開始部は、取り付け中、巻き取りスプールに巻き付けられる場合が多い。この目的のために用いられるリボンの長さに応じて、ヘッダーテープが使い尽くされている場合がある。しかしながら、トレーラーテープは、テープのロールの端でのみ接近可能であり、かくして、トレーラーテープは、リボンのロールに関連した情報の信頼性のある源を提供することができる。カメラ12によって読み取られるかかる情報は、プリンタの記憶場所に記憶されるのが良くかつ/あるいは診断目的で使用できかつ/あるいはリボン使用量および性能に関する情報を提供できる。
【0113】
上述したように、レシーバによって受け取られる放射線の振幅は、リボンを検出するために用いられる。すなわち、レシーバによって受け取られる放射線の振幅は、リボンの形式またはセンサ11の近くの検出場所のところにおけるリボンの存否に関する情報を生じさせるために使用される。
【0114】
図5は、センサインターフェース回路18を詳細に示している。センサインターフェース回路18は、エミッタ13を駆動するとともにレシーバ14からの信号を受け取るよう構成されている。センサインターフェース回路18は、更に受け取った信号を増幅し、そして出力信号を発生させるよう構成されており、この出力信号は、リボンケーブル20を経てプリンタコントローラ9に提供されるのが良い。センサインターフェース回路18は、エミッタ駆動回路22およびレシーバ回路23を含む。これら回路22,23の両方が単一の回路図の状態で示されているが、当然のことながら、これらは、実効上別々の回路であり、これらを別個独立に改造できることは理解されよう。
【0115】
エミッタ駆動回路22は、+5V電圧源に接続された正極給電レール24、アース電圧(0V)に接続されたアースレール25、電界効果トランジスタQ1、抵抗体R0、および抵抗体R1を有する。エミッタ13のアノードは、抵抗体R0を経て給電レール24に接続され、カソードは、トランジスタQ1を経てアースレール25に切り替え可能に接続されている。抵抗体R1は、トランジスタQ1のゲートとアースレール25との間に接続されている。入力ノード26がトランジスタQ1のゲートのところに設けられている。入力ノード26は、使用中、プリンタコントローラ9によって提供されるPWM信号によってリボンケーブル20を介して駆動される。
【0116】
抵抗体R0は、200Ωという抵抗値を有する。抵抗体R0は、エミッタ13のカソードがトランジスタQ1によってアースレール25に接続されているときにエミッタ13を通って流れる電流を制御するよう設けられている。説明している実施形態では、エミッタ13の前後で約1Vの電圧降下があると仮定すると、約4Vの電圧降下が抵抗体R0前後で生じる。この形態により(すなわち、4Vの電圧が200Ωという抵抗値を有する抵抗体R0前後で生じる)、約20mAの駆動電流がエミッタ13を通って流れることになる。
【0117】
抵抗体R1は、10kΩという抵抗値を有する。抵抗体R1は、プリントヘッドがリボンケーブルに接続されておらず(例えば、輸送中)、またはトリステート(tri-state)(すなわち、“1”および“0”に加えて高インピーダンス状態)になる場合がある切り替え源から駆動される場合、トランジスタQ1のゲートがフロート状態にはならず、かくして、静電破壊を受けにくいよう設けられている。
【0118】
トランジスタQ1は、NチャンネルFETであり、かかるトランジスタは、例えば、オランダ国アイントホーフェン所在のエヌエックスピー・セミコンダクターズ(NXP Semiconductors)社によって製造されている2N7002デバイスによって提供されるのが良い。このトランジスタは、PWM(パルス幅変調)信号によって駆動され、PWM信号は、高い(例えば5V)レベルおよび低(例えば0V)レベルとの間で切り替わる。PWM信号は、トランジスタQ1をオンオフに切り替え、それにより、電流は、トランジスタがターオンされたときに電流がエミッタ13内を流れ、トランジスタがオフである場合には電流がエミッタ13内を流れることはない。PWMデューティサイクルは、約50%であり、方形波形状を有し、変調周波数は、5kHzであるのが良い。「オン」状態で駆動されると、エミッタ13には、約20mAの駆動電流が流れる。エミッタ駆動電流レベルは、万一PWM信号が切れ、ダイオードが連続的にオンに駆動されている場合、エミッタダイオードを過剰に電流消費することがないよう選択される。上述のエミッタデバイス(HSDL‐9100)は、100mAの最大駆動電流(25℃の周囲温度において)を有し、かくして、選択された駆動電流(例えば、20mA)は、この最大レベルを十分に下回る。当然のことながら、異なる駆動レベルを選択することができる(そして、適当な値の抵抗を抵抗体R0について選択することができる)ことが理解されよう。
【0119】
変調周波数は、迅速なセンサ応答を提供する一方で、レシーバおよび関連回路が応答することができないほど高くはないようにするよう選択される(レシーバ回路と関連して以下に詳細に説明する)。
【0120】
レシーバ回路23はまた、正極給電レール24およびアースレール25を利用する。しかしながら、別々の給電構成を必要ならば提供できることは理解されよう。
【0121】
レシーバ回路23は、レシーバ14およびレシーバ14のカソードと正極給電レール24との間に接続された抵抗体R2を更に有する。ノード27がレシーバ14と抵抗体R2との間に形成されている。レシーバ14のアノードは、アースレール25に直接接続されている。かくして、レシーバ14は、逆バイアスされる。抵抗体R2は、100kΩという抵抗値を有する。抵抗体R2とレシーバ14は、かくして、直列に接続され、フォトダイオード内で生じる光電流があれば、これは、抵抗体R2を通って流れ、それにより電圧降下を抵抗体R2前後に生じさせる。
【0122】
レシーバ回路23は、演算増幅器(オペアンプ)OP1を更に有する。オペアンプOP1は、例えば、低電力単一給電用途向きに最適化されたレール間入力/出力を備えた低雑音のCMOS演算増幅器、例えば米国テキサス州素材のテキサス・インストゥルメンツ(Texas Instruments)社によって製造されたOPA322デバイスによって提供できる。例えば、オペアンプOP1は、適切には、OPA322AIDBVRデバイスであるのが良い。
【0123】
ノード27は、オペアンプOP1の非反転入力に接続されている。オペアンプOP1は、レシーバ14中を流れる光電流を増幅する電流増幅器を形成するよう構成されている。オペアンプOP1に加えて、電流増幅器は、キャパシタC1、抵抗体R3,R4,R5、およびトランジスタQ2を有する。
【0124】
キャパシタC1は、オペアンプOP1の出力とオペアンプOP1の反転入力との間に接続されている。キャパシタC1は、22pFというキャパシタンス値を有し、このキャパシタは、オペアンプOP1を安定化するよう提供されている。
【0125】
オペアンプOP1の出力はまた、抵抗体R5を経てトランジスタQ2のベース端子に接続されている。トランジスタQ2は、高利得PNPトランジスタであり、このトランジスタでは、コレクタ電流とエミッタ電流は、実質的に等しい。トランジスタは、例えば、エヌエックスピー・セミコンダクターズ(NXP Semiconductors)社によって製造されたBC856B汎用トランジスタによって提供できる。トランジスタQ2の高利得を考慮すると、抵抗体R5を経て僅かな電流しかベース中に流れない。抵抗体R5は、選択された1kΩという抵抗値を有する。抵抗体R5の抵抗は、レシーバ電流レベルに急変が生じた場合にオペアンプOP1からの過渡電流を制限するために選択される。したがって、この値は、増幅器回路の動作を左右するほどのものではなく、回路は、抵抗体R5の抵抗値の広い範囲にわたって動作することが理解されよう。
【0126】
トランジスタQ2のコレクタ端子は、出力ノード28に結合され、この出力ノードは、リボンケーブル20を経てプリンタコントローラ9の入力に結合されている(以下に詳細に説明する)。
【0127】
トランジスタQ2のエミッタ端子は、抵抗体R4を経て正極給電レール24に結合されている。ノード29がトランジスタQ2のエミッタ端子と抵抗体R4との間に形成されている。ノード29は、抵抗体R3を経てオペアンプOP1の反転入力に接続されている。抵抗体R3は、100kΩという抵抗値を有する。この抵抗体は、バイアス電流に起因するオフセットを打ち消すようオペアンプOP1の両方の入力に対して実質的に等しい入力インピーダンスを提供するよう選択されている。上述の構成では、オペアンプOP1の非反転入力は、抵抗体R2およびレシーバ14に接続され、かくして、僅かな電流(例えば、数マイクロアンペア)がこれを通って流れるに過ぎない。電流がこのように僅かなレベルであることを考慮すると、入力インピーダンス整合は、特に、選択された演算増幅器の低バイアス電流を考慮すると重要ではない。
【0128】
抵抗体R4は、100Ωという抵抗値を有する。抵抗体R4の抵抗は、抵抗体R2の抵抗と組み合わせて、増幅回路の電流利得を設定するよう選択される。特に、抵抗体R2,R4の抵抗比は、電流利得を定める。かくして、R4について100Ωの抵抗とR2について100kΩの抵抗を結合すると、約1000という電流利得が得られる。
【0129】
さらに、抵抗体R4は、レシーバ14の動作範囲全体にわたり、抵抗体R4前後の圧力降下が電圧供給レベル(例えば5V)によって定められた範囲内に維持されるようにするよう選択される。これにより、増幅器の出力を飽和させないようにする。抵抗体R4の抵抗は、都合の良い出力電流レベルをADC1のところで検出可能に発生させるのに十分に小さい。例えば、3mAの電流出力レベルが見込まれる場合、これは、抵抗体R4前後の0.3Vの圧力降下に相当しており、これにより約4.6Vの圧力降下をADC1の入力のところで抵抗体R6前後に生じさせることができる(トランジスタQ2中のコレクタ‐エミッタ電圧が約0.1Vであると仮定して)ことが理解されよう。
【0130】
オペアンプOP1は、正極給電レール24およびアースレール25からのそれぞれの正および負の電力供給接続部を備えている。キャパシタ(例えば、0.1μF)が給電減結合を提供するよう(すなわち、給電雑音を減少させるよう)電力供給端子相互間に提供されるのが良い。
【0131】
オペアンプOP1は、ノード29(これは、抵抗体R3を経て反転入力に接続されている)のところでの電圧がノード27のところの電圧よりも高い場合、オペアンプOP1の出力は、低に駆動されるよう構成されている。オペアンプOP1の出力を低に駆動することにより、トランジスタQ2(これは、PNPトランジスタである)をターンオンする。これにより電流が抵抗体R4を通って流れ、電圧降下が抵抗体R4前後で生じる。かくして、ノード29のところの電圧は、これがノード27のところの電圧と同一になるまで降下する。抵抗体R4を通って流れるようになった電流は、光電流に基づいて変化するが、光電流よりも大きさが著しく大きい(すなわち、光電流は増幅される)。
【0132】
このように、レシーバ回路は、小さな(例えば、μAレベル)光電流を約1000倍(mAレベルまで)増幅するよう構成されており、それにより、レシーバ信号をリボンケーブル20経由でプリンタコントローラ9に提供することができる。かかる増幅により、雑音余裕度が著しく向上する。
【0133】
プリンタコントローラ9のところで、増幅された電流信号がアナログ‐ディジタル変換器ADC1の入力に提供される。この入力はまた、抵抗体R6を経てアースに接続されている。抵抗体R6は、390Ωという値を有し、この抵抗体により、増幅された電流信号を電圧レベルに変換することができる。
【0134】
図6は、動作中、エミッタ13およびレシーバ14中を流れる電流の例示の波形を示している。
図6aは、エミッタ電流波形を示している。時刻t
0では、電流は、0mAから約20mAまで増大する(PWM信号の制御下で)。次に、時刻t
1では、電流は、20mAから0mAに下がる(この場合もまた、PWM信号の制御下において)。時刻t
2では、電流は、再び増大する。このように、エミッタ電流は、オンオフにパルス化され、それによりエミッタ13によって放出された放射線をパルス化する。
【0135】
図6bは、レシーバ14(またはフォトダイオード)に関する対応の電流波形を示している。電流は、時刻t
0でレベルI
onまで上昇する。理解されるように、この上昇は、瞬時ではなく、この電流は次第に増大し、その後レベルI
onで安定する。次に、時刻t
1では、電流は、レベルI
onからレベルI
offまで下がる。電流はこの場合もまた、次第に減少し、そしてレベルI
offで安定する。次に、電流は、時刻t
2で再び増大し、その後同様である。レシーバ電流の上昇および下降は、エミッタ電流の上述の上昇および下降に続く。
【0136】
電流レベルIonは、レシーバ14のところで受け取った放射線の強度を表わしており、これは「オン」状態を表わしている。電流レベルIonは、エミッタ13に由来する反射放射線R′および更にレシーバ14に入射している周囲放射線を含む放射線に対応している。周囲放射線レベルは、種々のプリンタ構成相互で様々であることは理解されよう。
【0137】
電流レベルIoffは、レシーバ14のところで受け取った放射線の強度を示しており、これは、「オフ」状態を表わしている。電流レベルIoffは、レシーバ14に入射した周囲放射線だけに対応しており、この電流レベルは、エミッタ13に由来する反射放射線R′を含まない。
【0138】
レシーバ電流レベルは、上述の増幅回路(すなわち、レシーバ回路23)を経てADC1に提供され、次にプリンタコントローラ9によってサンプリングされる。ADC1によってコントローラ9に提供される電圧をサンプリングすることによって、レシーバ電流の大きさ(
図6bに示されている)を得ることができる。しかしながら、正確な電流レベルを提供するために、ADC1をサンプリング期間(単一のサンプリング時刻にではなく)にわたってサンプリングする。
【0139】
さらに、レシーバ電流レベル(およびかくして入射放射線の強度の指標)の正確な大きさを求めるためには、電流レベルを電流レベルが実質的に安定している各サイクルの終わり付近でサンプリングするべきであることは理解されよう。
【0140】
かくして、ADC1は、時刻t
aで変換を開始するようにされ、ADC出力電圧は、時刻t
aの直後の時刻t
bにおいてサンプリングされる。
図6bで理解できるように、時刻t
aと時刻t
bの両方は、電流波形の相対的に平坦でかつ安定した部分内で起こり、それにより「オン」状態中における電流レベルの正確な表示を得ることができる。
【0141】
同様に、「オフ」状態中における電流レベルの正確な表示を得るために、ADC1は、時刻tcで変換を開始するようにされ、ADC出力電圧は、時刻tcの直後の時刻tdにおいてサンプリングされる。時刻tcと時刻tdの両方は、電流波形の相対的に平坦でかつ安定した部分内で起こる。
【0142】
このように、コントローラ9は、電流レベルIon,Ioffを表す電圧測定値Von,Voffを得ることができる。VonからVoffを差し引くことによって、電圧レベルVdiffを得ることができ、この電圧レベルVdiffは、エミッタ13によって放出された放射線の反射の結果としてレシーバのところで受け取った光電流Idiffを表わしている。電圧レベルVdiffは、センサ11に隣接して位置するリボン(または基材など)の反射率に基づいて変化する。次に、電圧レベルVdiffを1つまたは2つ以上の基準電圧と比較するのが良く、それによりセンサに隣接するリボンの存在(または不存在)を確認する(以下に詳細に説明する)。
【0143】
この実施例で用いられる5kHzのPWM周波数は、センサ測定値が得られる周波数でもある(ADCサンプリングレートは、PWM周波数で定められる)。サンプリング周波数はまた、どれだけのリボンが次の読み相互間でセンサ11を通過したかを定めることが理解されよう。例えば、1m/sのリボン速度では、5kHzのサンプリングレートは、0.2mmの間隔を提供する。すなわち、各センサ測定相互間において、リボンは、センサ11をよぎってちょうど0.2mm前進しているであろう。かくして、リボンロールの終端または切れたリボンを、検出が像の印刷相互間で行われるに過ぎない場合よりも遙かに迅速に検出することができる。
【0144】
5kHzのPWM周波数の使用については上述した。これは、特定の構成にとって適切である場合がある。しかしながら、
図6Bに示された波形から理解できるように、電流増大時間が、「オン」または「オフ」期間中に電流が安定した値に達しないようなものであれば、それに従ってパルスレートを減少させることが必要な場合がある。応答時間は、ある程度までは、フォトダイオードの接合キャパシタンス(容量)(これは、ダイオードにかけられる逆バイアスによって影響を受ける)および抵抗体R2(これは、この実施例では、100kΩの抵抗を有する)によって制御される。
【0145】
当然のことながら、上述の回路構成が考えられる一具体化例を提供していることは理解されよう。しかしながら、当業者であれば容易に理解されるように、別のエミッタ駆動回路およびレシーバ回路を該当する場合には特定用途向けにまたは別のセンサ構成に対応するよう使用できる。
【0146】
例えば、フォトトランジスタデバイスが、上述のフォトダイオードに代えて用いられる場合、回路は、適当な駆動および検出信号レベルを提供するよう改造されるのが良い。フォトトランジスタコレクタは、ノード27に接続され、エミッタは、アースレール25(すなわち、0V)に接続されるのが良いことは理解されよう。特に、センサがQRE1113GRデバイスである場合、上述の回路は、抵抗体R0が200Ωという抵抗値を有し、抵抗体R2が1kΩという抵抗値を有し、抵抗体R3が1kΩという抵抗値を有するよう改造されるのが良い(他のコンポーネントは、上述したようにそのままである)。かかる構成の結果として、オペアンプOP1は、約10(1000ではなく)の減少した電流利得を有する。しかしながら、フォトトランジスタデバイスそれ自体は、上述のフォトダイオードよりも高い感度を提供し、かくして、放射線強度が同一の場合には高い電流出力を生じさせることができる。さらに、フォトトランジスタデバイスは、上述のように構成されたフォトダイオードよりも低いセンサ帯域幅を有することができ、かくして、PWM周波数を減少させて(例えば、3kHzまで)フォトトランジスタがパルス化された駆動信号に対する適切な応答を提供することができるようにするのが良い。
【0147】
さらに、幾つかの実施形態では、例えば、無視できるほどの周囲放射線が存在する場合、エミッタは、パルス化されるのではなく常時駆動されるのが良い。かかる構成では、ADCを任意の都合の良い周波数でサンプリングすることができる。さらに、ADCを別個のデバイスとしてコントローラ9に、またはコントローラ9の一部に提供することができる。
【0148】
また、上述の回路構成は、単一のセンサ(すなわち、単一のエミッタおよび単一のレシーバ)用の駆動および増幅を提供するが、多数の回路を必要に応じて提供することができるということが理解されよう。
【0149】
コントローラ9がリボンに関連した情報を生じさせる前に、較正を実施するのが良く、その目的は、多くの別々のリボン条件を表わすとみなすことができる信号レベルを求めることにある。すなわち、使用にあたり、測定データ(センサ11および/またはセンサインターフェース回路18の出力として提供される)を基準データと比較するのが良く、その目的は、種々の所定の条件を識別することにある。例えば、リボンは、低反射率を有するのが良く、かくして、基材(例えば、白色の基材)よりも低い信号レベルを生じさせることができる。基準データは、較正によって定められるのが良く、これについては以下に詳細に説明する。
【0150】
図7は、試験較正データを得るために用いられる試験回路30を示している。試験回路30では、エミッタ31およびレシーバ32は、単一のデバイスによって提供されており、この単一のデバイスは、
図3を参照して上述した形式の表面取り付け型近接センサである。エミッタ31のアノードは、直列接続された抵抗体34によって+5V電圧給電レール33に接続されており、エミッタ31のカソードは、アースレール35に接続されている。抵抗体34は、200Ωという抵抗値を有し、その結果、約20mAの駆動電流がエミッタ31を通って流れる。レシーバ32のアノードは、+5V電圧給電レール33に直接接続されており、他方、レシーバ32のカソードは、抵抗体36を経てアースレール35に接続されている。かくして、レシーバ32は、逆バイアスされる。抵抗体36は、110kΩという抵抗値を有する。
【0151】
レシーバ32のカソードと抵抗体36との間に形成されているモード37のところで電圧を測定する。この電圧は、高インピーダンスプローブ、例えばオシロスコープにより提供されるプローブによって測定されるのが良い。
【0152】
例えば
図1を参照して上述したようにプリンタのプリンタヘッドに接続された場合に、ノード37のところの電圧を多種多様な条件で測定した。
【0153】
黒色リボンをセンサ11の前に配置した第1の条件では、14mVの電圧V1が測定された。
【0154】
銀色トレーラーテープの一部分をセンサ11の前に配置した第2の条件では、280mVの電圧V2が測定された。
【0155】
リボンが設けられておらず、センサ11が白色基材を検出することができた第3の条件では、112mVの電圧V3が測定された。
【0156】
白色の基材がトレーラーテープの後ろに位置した状態で、透明なトレーラーテープの一部分がセンサ11の前に配置された第4の条件では、167mVの電圧V4が測定された。
【0157】
リボンが設けられておらず、センサ11が黒色プラテンを検出することができた第5の条件では、12mVの電圧V5が測定された。
【0158】
かくして、適当な測定値をセンサから取り、次に測定した値を基準データと比較することによって、リボンの存否および更にセンサ11の前に存在するリボンの形式を識別することができることが理解されよう。基準データは、較正データであるのが良い。
【0159】
当然のことながら、得られた実際の信号レベルは、種々の他の要因、例えばエミッタ強度、センサの向き、物質の反射率、センサと検出される物質との離隔距離、レシーバに加えられる増幅度などで決まる。しかしながら、上述のセンサインターフェース回路18は、特定のプリンタ構成に関するかかる較正データを得るために使用できる。変形例として、適当な試験構成を用いて較正データを得ることができ、そしてこれをコントローラ9と関連した記憶場所に記憶することができ、それによりコントローラ9は、受け取った信号データを処理してセンサの前に存在する物質に関する情報を生じさせることができる。
【0160】
使用中、測定信号レベルをモニタすると、インキ担持リボンの終端および反射性の(または透明な)トレーラーテープの始まりを検出することができ、またはリボンが存在していないことを確認することができる(そして、基材がセンサによって視認されたことを確認することができる)。次に、プリンタコントローラ9によって適切な行為を取ることができる。例えば、幾つかの実施形態では、プリンタコントローラ9は、ロールの終端がいったん検出されると印刷を停止させる。代替的にまたは追加的に、プリンタコントローラ9は、印刷が停止したホスト機械(これは、基材の動きを制御する)に警告を出すことができ、またそれにより、かかるホスト機械は、基材の動きを停止させることができる。プリンタコントローラ9は、ロールの終端が検出されたことおよび/または印刷が停止されたことをユーザに指示するユーザ警告を出すことができる。
【0161】
幾つかの場合、別個のリボンセンサに基づいてリボンの存否の指標を発生させることが知られている。しかしながら、かかるリボンセンサは、典型的には、プリントヘッド上以外のプリンタ内のどこかの場所に配置される。さらに、かかるセンサは、追加の配線および接点ならびにコントローラ9による制御を必要とすることが理解されよう。しかしながら、プリントヘッド7の一部としてセンサ11を設けることによって、センサは、プリントヘッド7に近接して位置しかつ特定の印刷要素15内のリボンを検出するのに都合の良い場所に位置するようにすることが可能である。より具体的に言えば、センサは、印刷要素15と一定の関係を有する検出場を提供する場所に設けられるのが良く、この検出場は、印刷要素15の上流側に位置する。特に、印刷要素15に対するセンサ11の近接度は、印刷要素15に隣接するリボンの状態の信頼性のある指標を提供することができ、かくしてリボンがぷつんと切れるまたはリールの終わりが起こったときに、リボンの終端(この端がロールの終端であるにせよ切れたリボンの終端であるにせよいずれにせよ)が印刷要素15を通過する前に識別されないという恐れが減少する。
【0162】
さらに、能動型エミッタを含む反射型センサを用いることによって、照明を制御して他の(例えば、プリントヘッドの外部に位置する)放射線源を利用するのではなく、ロバストなリボン検出を提供することが可能である。さらにまた、反射型(透過型とは異なる)センサを用いることにより、リボンの特徴、例えばリボン状のインキの色もしくは存在、またはリボンの厚さに対する不敏感性の度合いをもたらす。例えば、透過型センサが用いられる場合、インキが取り去られるもととなるリボンの領域(例えば、リボンが再使用されている場合、または印刷作業相互間で再び巻かれる場合)は、リボンが存在していない領域と概観がほぼ等しく見える場合がある。
【0163】
理解されるように、幾つかの構成では、プリントヘッドに取り付けられたエミッタにより放出される放射線は、レシーバに直接至ることができる(ならびにリボンによって反射される)。かかる直接受け取られる放射線は、レシーバ(またはレシーバから受け取った出力信号を処理するコントローラ)によって反射信号として不正確に解される場合がある。幾つかの実施形態では、かかる「クロストーク」を阻止するためにエミッタとレシーバとの間にシールドが配置されるのが良い。他方、幾つかの実施形態では、センサは、レシーバおよび/またはエミッタが互いに本来的に遮蔽され、それによりクロストークを阻止しまたは少なくとも減少させるよう配置されるのが良い。
【0164】
一般に、物理的遮蔽がエミッタとレシーバとの間の直接的な信号経路を阻止することが必要とされる場合に提供されるのが良いことは理解されよう。さらに、レンズ(またはエミッタおよびレシーバ周りに設けられる他の透過型光学素子)を設けることで、例えばレシーバの有効視野および/またはエミッタの放射線ビームの広がりを増大させることとなり、これによって遮蔽の必要性が高められる場合がある。適当なセンサが検出用途の特定の要件、例えばセンサ配置場所のところにおけるプリントヘッドとリボンとの離隔距離に基づいて選択されるのが良い。
【0165】
上記説明において複数のセンサに言及したが、これに代えて単一のセンサを使用できることは理解されよう。同様に、単一のセンサに言及する場合、より適切な場合には複数のセンサを用いることができる。さらに、上記説明の幾つかの部分は、単一のセンサに関するが(例えば、センサインターフェース回路18の説明)、これは、分かりやすくするためであって、説明した装置および技術を特定の数のセンサに限定することを意図していないことは理解されよう。
【0166】
プリンタコントローラ9およびプリントヘッドコントローラ16について上述した。理解されるように、プリンタコントローラ9およびプリントヘッドコントローラ16は、任意適当な形態を取ることができることが理解されよう(例えば、これらは、適当な命令を記憶したメモリと通信状態にあるプログラム可能マイクロプロセッサであっても良く、あるいは特注のハードウェア素子、例えばASICを含んでいても良い)。プリンタコントローラ9およびプリントヘッドコントローラ16は、複数の別々の装置によって提供できることは理解されよう。したがって、機能がプリンタコントローラ9またはプリントヘッドコントローラ16によるものとされる場合、かかる機能は、一緒になってプリンタコントローラ9およびプリントヘッドコントローラ16となる別々の装置によって提供できることは理解されよう。
【0167】
本発明の種々の実施形態を上述したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、上述の説明した実施形態に対する種々の改造を行うことができることは理解されよう。