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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】排水管継手
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20220415BHJP
【FI】
E03C1/12 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020151276
(22)【出願日】2020-09-09
(62)【分割の表示】P 2016090118の分割
【原出願日】2016-04-28
(65)【公開番号】P2020204255
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-09-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳丸 武司
(72)【発明者】
【氏名】福屋 博史
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-175187(JP,A)
【文献】特開2013-032661(JP,A)
【文献】特開2012-167723(JP,A)
【文献】特開平09-310389(JP,A)
【文献】特開2011-006893(JP,A)
【文献】特開平11-036400(JP,A)
【文献】積水化学工業社製エスロン耐火プラAD継手及び当該継手を梱包する箱の写真
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【請求項1】
縦管と横管との接続部分に設けられて、
少なくとも、その上端部に縦管接続部を有すると共に、側面に横管接続部を有する上部継手部材と、
下端部に縦管接続部を有する下部継手部材と、
を備えて、
建物の床スラブに設けられた貫通穴に設置される排水管継手において、
前記上部継手部材と、前記下部継手部材とが、それぞれ樹脂製の射出成形品で構成され、
前記上部継手部材の前記縦管接続部は、前記上部継手部材の上端に接着固定され、内部にシール部材を備えた伸縮継手とされ、
前記上部継手部材の下端部に、前記下部継手部材の上端部の外嵌部に挿入した状態で嵌合可能な内嵌部が設けられ、
前記下部継手部材の前記縦管接続部は受口部であり、
前記下部継手部材の前記外嵌部と前記縦管接続部はそれぞれ円筒状であり、前記外嵌部と前記縦管接続部の間に下方へ向けて縮径するテーパ形状の部分を有し、
前記下部継手部材の前記縦管接続部または前記外嵌部の外面であって、前記テーパ形状の部分の近傍にゲート痕が設けられていることを特徴とする排水管継手。
【請求項2】
縦管と横管との接続部分に設けられて、
少なくとも、その上端部に縦管接続部を有すると共に、側面に横管接続部を有する上部継手部材と、
下端部に縦管接続部を有する下部継手部材と、
を備えて、
建物の床スラブに設けられた貫通穴に設置される排水管継手において、
前記上部継手部材と、前記下部継手部材とが、それぞれ樹脂製の射出成形品で構成され、
前記上部継手部材の縦管接続部は、前記上部継手部材の上端に接着固定され、内部にシール部材を備えた伸縮継手とされ、
前記下部継手部材の上端部に、前記上部継手部材の下端部を挿入状態で嵌合可能な外嵌部が設けられ、
前記下部継手部材の縦管接続部は差口部であり、
前記下部継手部材の前記外嵌部と前記差口部の間に下方へ向けて縮径するテーパ形状の部分を有し、
前記テーパ形状の部分の外面にゲート痕が設けられ、
前記上部継手部材の上端から前記横管接続部の下端までの範囲における前記上部継手部材の外面には、樹脂の注入ゲートに由来するゲート痕が設けられていることを特徴とする排水管継手。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の排水管継手において、
前記横管接続部には、内部にシール部材を有する伸縮継手が取り付けられていることを特徴とする排水管継手。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の排水管継手において、
前記上部継手部材の下端部と前記下部継手部材の上端部との間に互いに嵌合可能な嵌合部を有し、該嵌合部に周方向の位置決めが可能な位置決め部が設けられていることを特徴とする排水管継手。
【請求項5】
縦管と横管との接続部分に設けられて、
少なくとも、その上端部に縦管接続部を有すると共に、側面に横管接続部を有する上部継手部材と、
下端部に縦管接続部を有する下部継手部材と、
を備えて、
建物の床スラブに設けられた貫通穴に設置される排水管継手において、
前記上部継手部材と、前記下部継手部材とが、それぞれ樹脂製の射出成形品で構成され、
前記上部継手部材の縦管接続部は、前記上部継手部材の上端に接着固定され、内部にシール部材を備えた伸縮継手とされ、
前記下部継手部材の上端部に、前記上部継手部材の下端部を挿入状態で嵌合可能な外嵌部が設けられ、
前記下部継手部材の縦管接続部は差口部であり、
前記下部継手部材の前記外嵌部と前記差口部の間に下方へ向けて縮径するテーパ形状の部分を有し、
前記テーパ形状の部分の外面にゲート痕が設けられ、
前記下部継手部材の前記外嵌部の上縁部は、前記床スラブの上面よりも上方に突設した状態で埋設されていることを特徴とする排水管継手。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の排水管継手において、
前記上部継手部材の内部には上下方向に延びる逆流防止リブが設けられ、
前記逆流防止リブは、前記上部継手部材の前記横管接続部の開口の上下方向幅よりも長く、
かつ、前記上部継手部材の上下方向長さより短く、かつ、前記逆流防止リブの下端は前記上部継手部材の下端よりも上にあることを特徴とする排水管継手。
【請求項7】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の排水管継手において、
前記上部継手部材の内部には上下方向に延びる逆流防止リブが設けられ、
前記下部継手部材の上端部に前記上部継手部材の下端部が接続された状態で、前記逆流防止リブの下端は、前記下部継手部材の上端部よりも上側にあることを特徴とする排水管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排水管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅やオフィスビルなどには、給水設備や排水設備が設けられる。このうちの排水設備は、建物の各階層を上下に貫く縦管と、各階層内に設置される横管とを、排水管継手を用いて接続した配管構造を備えている。
【0003】
そして、上記した排水管継手は、縦管と横管との接続部分に設けられると共に、少なくとも、その上端部に縦管接続部を有すると共に、側面に横管接続部を有する上部継手部材と、下端部に縦管接続部を有する下部継手部材と、下部継手部材の内側に設置されて、内部を流れる流体に旋回流を与える旋回羽根を有する羽根部材と、を備えたものとされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5508048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような排水管継手には、各部に細かい隙間が生じるのを防止することは困難であるが、このような細かい隙間があると、この細かい隙間が水路(みずみち)となって、水漏れが発生するおそれがあるため、細かい隙間を可能な限りなくしたいという要望があった。
【0006】
例えば、上記した排水管継手の場合、上部継手部材と、下部継手部材との間が嵌合部となっているが、この嵌合部が水路になるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決することを、主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
縦管と横管との接続部分に設けられて、
少なくとも、その上端部に縦管接続部を有すると共に、側面に横管接続部を有する上部継手部材と、
下端部に縦管接続部を有する下部継手部材と、
を備えて、
建物の床スラブに設けられた貫通穴に設置される排水管継手において、
前記上部継手部材と、前記下部継手部材とが、それぞれ樹脂製の射出成形品で構成され、
前記上部継手部材の前記縦管接続部は、前記上部継手部材の上端に接着固定され、内部にシール部材を備えた伸縮継手とされ、
前記上部継手部材の下端部に、前記下部継手部材の上端部の外嵌部に挿入した状態で嵌合可能な内嵌部が設けられ、
前記下部継手部材の前記縦管接続部は受口部であり、
前記下部継手部材の前記外嵌部と前記縦管接続部はそれぞれ円筒状であり、前記外嵌部と前記縦管接続部の間に下方へ向けて縮径するテーパ形状の部分を有し、
前記下部継手部材の前記縦管接続部または前記外嵌部の外面であって、前記テーパ形状の部分の近傍にゲート痕が設けられていることを特徴とする。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記構成によって、各部の水漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】排水管継手を用いた配管構造を示す全体図である。
図2】本実施の形態にかかる排水管継手の全体的な縦断面図である。
図3図2の排水管継手の分解図である。
図4】下部継手部材の上端部周辺の横断面図である。このうち、(a)は注入ゲートを2点とした場合、(b)は注入ゲートを1点とした場合、(c)は注入ゲートが2点の場合の不具合例、(d)は注入ゲートが1点の場合の不具合例である。
図5】下部継手部材の上端部の横断面図である。このうち、(a)はアール形状部を有する位置決め部、(b)は(a)の部分拡大図、(c)はアール形状部を有さない位置決め部、(d)は(c)の部分拡大図である。
図6】外周面に制振リブを設けた場合の、下部継手部材の上端部周辺の横断面図である。このうち、(a)は制振リブを位置決め部とは異なる位置に設けた場合、(b)は制振リブを位置決め部と同じ位置に設けた場合である。
図7】排水管継手を床スラブに埋設した状態を示す図である。このうち、(a)は全体的な縦断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
図8】排水管継手を用いた配管構造の横管に設置される伸縮吸収部を示す図である。このうち、(a)は伸縮吸収部の斜視図、(b)は伸縮吸収部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図8は、この実施の形態を説明するためのものである。
【実施例1】
【0012】
<構成>以下、構成について説明する。
【0013】
集合住宅やオフィスビルなどに排水設備を設ける。この排水設備は、図1に示すように、建物1の各階層2を上下に貫く縦管3と、各階層2内に設置される横管4とを、排水管継手5を用いて接続した配管構造6を備えたものとする。
【0014】
そして、上記した排水管継手5は、縦管3と横管4との接続部分に設けられるものであり、図2(または図3)に示すように、少なくとも、その上端部に縦管接続部11を有すると共に、側面に横管接続部12を有する上部継手部材13と、下端部に縦管接続部15を有する下部継手部材16と、下部継手部材16の内側に設置されて、内部を流れる流体に旋回流を与える旋回羽根18を有する羽根部材19と、を備えたものとされる。
【0015】
ここで、排水管継手5は、ほぼ上下方向へ延びる筒状のものとされる。縦管接続部11,15は、文字通り、縦管3を接続するためのものであり、横管接続部12は、文字通り、横管4を接続するためのものである。
【0016】
上部継手部材13の縦管接続部11には、縦管3の熱伸縮の影響を吸収可能な伸縮継手21(図2参照)が接着固定されている。この伸縮継手21は、短い筒状の継手本体22の内部に、縦管3の熱伸縮による変位を許容可能なシール部材23を取付けたものとされる。このシール部材23は、少なくとも、リング状のシール本体23aと、このシール本体23aの内周部分から内方へ向けて傾斜するように一体に突設されたリップ部23bとを有するものとされる。継手本体22の上端部には、シール部材23を脱落できないように保持するためのリング状のキャップ部24が取付けられる。なお、継手本体22の下部に対し、ほぼ下方へ延びる旋回羽根などを設けるようにしても良い。
【0017】
また、横管接続部12は、横管4を接着固定可能な受口部または差口部とされる。横管接続部12を受口部とした場合、横管接続部12の内部には、横管4の挿入位置を規制するためのストッパ12aが設けられる。なお、横管接続部12には、上記と同様の伸縮継手21を取付けて使用することもできる。また、上部継手部材13に複数の横管接続部12が設けられている場合には、上部継手部材13の内部に、横管接続部12から流入した排水が他の横管接続部12へ逆流するのを防止するための逆流防止リブ13aが設けられる。
【0018】
図1に示すように、床スラブ14には、排水管継手5(の下部継手部材16)を通すための貫通穴26が設けられる。この貫通穴26はモルタル27で埋め戻される。
【0019】
下部継手部材16は、上下端部にそれぞれ円筒状の部分(受口部または差口部)を有すると共に、これらの円筒状の部分の間に下方へ向けて縮径するテーパ形状の部分を有するものとされている。上記した縦管接続部15は、縦管3を直接挿入して接着固定することが可能な受口部または差口部となっており、下部継手部材16の下端部に一体に形成されている。なお、下部継手部材16は、建物1の床スラブ14(図1参照)に埋設され得るものとなっている。
【0020】
そして、床スラブ14を防火区画壁として用いるために、下部継手部材16は、耐火熱膨張性樹脂パイプなどの樹脂組成物を備えている。この耐火熱膨張性樹脂パイプは、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂基材に対して、熱膨張性黒鉛を含有させた耐火熱膨張性樹脂によって主に構成されている。そして、火災発生時にこの熱膨張性黒鉛が熱膨張することにより、排水管継手5や貫通穴26などを閉塞して床スラブ14に防火区画壁としての機能を保持させるようになっている。
【0021】
ここで、若干長くなるが、上記した耐火熱膨張性樹脂パイプの詳細について説明する。
【0022】
この実施例において、耐火熱膨張性樹脂パイプとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1~10重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層の単層構造であるもの、あるいは、耐火熱膨張性樹脂パイプが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1~15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物からなる耐火膨張層と、この耐火膨張層の内外面を覆うように設けられる熱膨張性黒鉛非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物からなる被覆層とからなる3層構造であるものが好ましい。
【0023】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体;ポリ塩化ビニル重合体に衝撃性改良樹脂を混合したもの;ポリ塩化ビニル重合体と衝撃性改良樹脂をグラフト共重合したもの;塩化ビニルモノマーと、この塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体;塩化ビニル以外の(共)重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用されても良く、2種以上が併用されても良い。又、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化しても良い。
【0024】
上記ポリ塩化ビニル重合体に混合する衝撃性改良樹脂としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、メチルメタクリルレート-ブタジエン-スチレン共重合体、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体などのゴム特性を有する樹脂が挙げられ、これらは単独で使用されても良く、2種以上が併用されても良い。
【0025】
上記ポリ塩化ビニル重合体とグラフト共重合する衝撃性改良樹脂としては、上記のゴム特性を有する樹脂が挙げられる。
上記のゴム特性を有する樹脂を混合又はグラフト共重合したポリ塩化ビニル系樹脂を用いることで、ポリ塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性を向上させることができる。特に、縦管3の排水が当たる羽根部材19や横管4の排水が当たる上部継手部材13に対して、これらの樹脂を用いることが好ましい。
【0026】
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル類;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド類などが挙げられ、これらは単独で使用されても良く、2種以上が併用されても良い。
【0027】
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体としては、塩化ビニルをグラフト共重合するものであれば、特に限定されず、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは単独で使用されても良く、2種以上が併用されても良い。
【0028】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂はいずれも、樹脂組成物としての耐火性能を阻害しない範囲で、架橋、変性していても良い。この場合、予め架橋、変性した樹脂を用いても良く、添加剤等を配合する際に、同時に架橋、変性しても良いし、或いは、樹脂に上記成分を配合した後に架橋、変性しても良い。上記樹脂の架橋方法についても、特に限定はなく、ポリ塩化ビニル系樹脂の通常の架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物を使用する架橋、電子線照射による架橋、水架橋性材料を使用した方法等が挙げられる。
【0029】
なお、耐火熱膨張性樹脂パイプは、火炎等によって加熱されると耐火膨張層が膨張して、管内を閉塞あるいは閉塞に近い状態にすることができるものであれば、耐火膨張層のみの単層のものでも、耐火膨張層の内外面に耐火膨張層の耐火性能を阻害しない範囲で膨張黒鉛を含まない樹脂組成物からなる樹脂層を設けた複層構造とするようにしても構わない。
【0030】
上記単層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1~10重量部の割合で含むものが好ましく、1~8重量部の割合で含むものがより好ましく、2~7重量部の割合で含むものが更に好ましい。これは、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないおそれがあり、10重量部を超えると、加熱により熱膨張し過ぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがあるからである。
【0031】
一方、複層構造品の場合、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物としては、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1~15重量部の割合で含むものが好ましく、1~12重量部の割合で含むものがより好ましく、2~10重量部の割合で含むものが更に好ましい。これは、熱膨張性黒鉛を熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、所望の耐火性が得られないし、15重量部を超えると、加熱により熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうおそれがあるからである。
【0032】
また、上記のように耐火膨張層がポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1~15重量部の割合で含む耐火熱膨張性樹脂組成物で形成された複層構造品の場合、耐火膨張層の内外面を熱膨張性耐火材料非含有のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で被覆した3層構造とすることが好ましい。
【0033】
上記のような3層構造の複層構造品の場合、耐火管状の内面および外面を被覆する被覆層の厚みが、それぞれ0.2~2.0mmであることが好ましい。これは、耐火膨張層の内面および外面を被覆する被覆層の厚みが0.2mm未満であると管としての機械的強度に劣るおそれがあり、2.0mmを超えると耐火性が低下するおそれがあるからである。
【0034】
排水管継手5に用いられる熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで、黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした後、pH調整して得られる炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物であって、pH1.5~4.0に調整された熱膨張性黒鉛、および、1.3倍膨張温度が180℃~240℃の熱膨張性黒鉛を用いることが好ましい。それは、熱膨張性黒鉛のpHが1.5未満であると、酸性が強過ぎて、成形装置の腐食などを引き起こし易く、pHが4.0を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進効果が薄れ、十分な耐火性能が得られなくなるおそれがあるからである。
【0035】
また、耐火膨張層を形成する耐火熱膨張性樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて安定剤、無機充填剤、難燃剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、可塑剤、熱可塑性エラストマーなどの添加剤が添加されていても良い。
【0036】
なお、排水管継手5のこれ以上の詳細については省略する。
【0037】
そして、図3に示すように、上記した羽根部材19は、リング状をした部材19aの下部に旋回羽根18を取付けたものとされる。この際、旋回羽根18の縦管3から流下する排水が当たる上面18a(旋回羽根上面)は平面とされており、この平面と下部継手部材16の中心軸とが成す角度は10°以上50°以下であることが好ましく、更に、20°以上40°以下であることが好ましい。上記した角度が、50°を超えると、流下する排水による衝撃によって羽根部材19と旋回羽根18との接続部分が破損するおそれがある。また、上記した角度が、10°未満になると、流下する排水に十分な旋回流を与えることができず、配管構造6内の圧力変動を抑える排水流中の空気芯を発生させることが困難となって、配管構造6に接続された排水設備のトラップを破封するおそれがある。
【0038】
そして、以上のような基本的または全体的な構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えている。
【0039】
(1)上記上部継手部材13と、下部継手部材16と、羽根部材19とが、それぞれ樹脂製の射出成形品で構成されるようにする。
そして、図3図4)に示すように、上記下部継手部材16の、上端側外周面または下端側外周面の少なくとも一方に、樹脂の注入ゲート31が設けられるようにする。
【0040】
(2)また、図2に示すように、上記上部継手部材13の下端部および上記羽根部材19の上端部と、上記下部継手部材16の上端部との間に、互いに嵌合可能な嵌合部41が設けられるようにする。
そして、図5に示すように、この嵌合部41に、周方向の位置決めが可能な位置決め部42が設けられるようにする。
この位置決め部42が、位置決めリブ43と、この位置決めリブ43を収容保持する位置決め用凹溝部44とを備えたものとされる。
そして、位置決めリブ43、および、位置決め用凹溝部44のコーナー部分45に、アール形状部46が設けられるようにする。
【0041】
ここで、上記上部継手部材13の下端部と上記羽根部材19の上端部との間は、互いに当接可能な当接部47(図2参照)とされる。そして、この当接部47が当接された状態の、上記上部継手部材13の下端部および上記羽根部材19の上端部と、上記下部継手部材16の上端部との間が、互いに嵌合可能な嵌合部41とされる。
【0042】
なお、羽根部材19の上端部は、上記したリング状の部材19a(の上縁部)のことである。そして、上部継手部材13の下端部と上記羽根部材19上端部は、同一の内外径を有するものとされる。また、上部継手部材13の下端部と上記羽根部材19上端部の内径または外径は、下部継手部材16の上端部の外径または内径と同一とされる。この場合には、後述するように、上部継手部材13の下端部および上記羽根部材19の上端部が、上記下部継手部材16の上端部に挿入(内嵌)されるようになっている。よって、上部継手部材13の下端部と上記羽根部材19上端部の外径が、下部継手部材16の上端部の内径と同一とされている。
【0043】
そして、射出成形品とされた上部継手部材13と、下部継手部材16と、羽根部材19とにおける、樹脂の注入ゲート31は、少なくとも、互いが接触する面、即ち、上記当接部47および嵌合部41を避けた位置に設けられるようにする。
より具体的には、上部継手部材13および羽根部材19のうち、下部継手部材16に内嵌されて下部継手部材16と接触する上部継手部材13の下端部から横管接続部12の下端までの外面と、羽根部材19のリング状の部材19aの外面と、上記当接部47となる位置と、羽根部材19の旋回羽根上面となる位置については、射出成形時の樹脂の注入ゲート31を金型に設けないようにして、注入ゲート31の跡であるゲート痕が生じないようにする。
また、上部継手部材13の下端部から横管接続部12までの外面および羽根部材19のリング状の部材19aの外面は下部継手部材16に内嵌されて接続されるため、平滑でないゲート痕によって隙間が生じ、水漏れの原因となるおそれがある。また、上部継手部材13の下端部と上記羽根部材19の上端部との間の当接部47となる位置にゲート痕があると、上部継手部材13の下端部と上記羽根部材19の上端部との間に隙間が生じて、水漏れの原因となるおそれがある。更に、羽根部材19の旋回羽根18の上面18aは排水流が流れるため、ゲート痕があると排水中の髪の毛等のごみが引っかかり、徐々に排水性能が低下するおそれがある。
よって、好ましい注入ゲート31の位置としては、上部継手部材13では、下部継手部材16に内嵌されることのない上部継手部材13の上端から横管接続部12の下端までの外面、または、上部継手部材13の上端面などが挙げられ、羽根部材19では、旋回羽根18の排水が接触しない下面18bの位置が挙げられるが、これに限るものではない。
なお、上部継手部材13の下端と羽根部材19のリング状の部材19aの上端のうち、いずれか一方に注入ゲート31を設けてゲート痕を設けた場合には、他方にこのゲート痕を避けるための切欠きを設けるようにすることで、当接部47であっても注入ゲート31を設けることが可能となる。
また、上部継手部材13と羽根部材19とを射出成形により一体に成型しても良いが、この場合であっても、注入ゲート31の位置は下部継手部材16と接触する箇所(横管接続部12の下端以下の外面)については、設けないようにすることが好ましい。
【0044】
同様に、下部継手部材16においても、上部継手部材13および羽根部材19と接触する位置、即ち、下部継手部材16の上部内面については、注入ゲート31を設けないようにすることが好ましい。また、下部継手部材16の下端の縦管接続部15が差口部である場合には、下部継手部材16の下端近傍の外面には注入ゲート31を設けないようにするのが好ましい。更に、下部継手部材16は床スラブ14を貫通するように上下に長く延びる形状をしており、下部継手部材16の上端面または下端面のいずれかに注入ゲート31を設けると樹脂が他方の端部まで行き渡らなくなるおそれがあるため、下部継手部材16の上端面または下端面には注入ゲート31を設けないようにすることが好ましい。
好ましい注入ゲート31の位置としては、下部継手部材16のテーパ形状になった外面、または、下部継手部材16の上下2つの円筒状の部分の外面であって、テーパ形状の部分の近傍などが挙げられるが、これに限るものではない。
【0045】
特に、図4に示すように、下部継手部材16に(位置決め部42の)位置決め用凹溝部44のような薄肉部が存在している場合には、樹脂の注入ゲート31は、下部継手部材16の周方向に対して、薄肉部を避けた位置で、且つ、薄肉部にウェルドライン49(図4参照)ができない位置に、1箇所または複数箇所設けるようにする。
【0046】
ウェルドライン49は、樹脂の注入ゲート31から離れた位置にできる樹脂の合流痕のことである。ウェルドライン49ができない位置は、図4(a)(b)に示すように、注入ゲート31から薄肉部までの周方向の距離が等しくならない位置とすることができる。これに対し、ウェルドライン49ができる位置は、図4(c)(d)に示すように、注入ゲート31から薄肉部までの周方向の距離が等しくなる位置である。
【0047】
なお、図5に示す位置決め部42の位置決めリブ43と位置決め用凹溝部44とは、嵌合部41を構成する上部継手部材13および羽根部材19と、下部継手部材16とのどちらに設けても良い。この場合には、位置決めリブ43は上部継手部材13および羽根部材19に設けられ、位置決め用凹溝部44は、下部継手部材16に設けられている。
【0048】
そして、位置決め部42が設けられる嵌合部41は、接着剤によって接着固定される。接着剤の種類は、特に限定されないが、嵌合部41を構成する各部には、射出成形の際に付けられる型抜き勾配などによって僅かな隙間部が形成されるので、溶剤系の接着剤を用いるよりは、充填系接着剤を用いる方が、隙間部を埋めて確実に水漏れを防止する上では好ましい。充填系接着剤としては、例えば、エポキシ系の二液混合型の反応性接着剤などを用いるのが好ましい。なお、他の接着部分についても、上記した充填系接着剤を用いるのが水漏れを防止する上では好ましい。
【0049】
位置決めリブ43、および、位置決め用凹溝部44のアール形状部46にすべきコーナー部分45は、少なくとも、位置決めリブ43の先端部分、および、位置決め用凹溝部44の内奥部のことである。なお、位置決めリブ43の基部、および、位置決め用凹溝部44の入口部のコーナー部分45についてもアール形状部46にしても良い。
【0050】
アール形状部46は、少なくとも、角形状がなくなるような丸みを有するものとされる。アール形状部46は、使用する接着剤に応じた、接着剤が入り込み易い径にして、隙間ができなくなるようにする。なお、アール形状部46の代わりに、位置決めリブ43の断面形状が多角形となるようなテーパ形状としても良いし、または、位置決めリブ43の断面形状が先端に向かって幅が縮小する台形状としても良い。
【0051】
(3)更に、図6に示すように、少なくとも、上記下部継手部材16の外側面に、軸線方向51(図3参照)へ延びる制振リブ52が設けられるようにする。
【0052】
ここで、軸線方向51は、排水管継手5を設置した状態で、上下方向となる方向のことである。制振リブ52は、下部継手部材16の軸線方向51のほぼ全域に亘るように、1本または数本設けるようにする。制振リブ52は、周方向のどの位置に設けても良い。例えば、図6(a)に示すように、制振リブ52は、位置決め部42(位置決めリブ43または位置決め用凹溝部44)とは異なる位置に設けても良い。また、図6(b)に示すように、制振リブ52は、位置決め部42(位置決めリブ43または位置決め用凹溝部44)と同じ位置に設けても良い。制振リブ52は、その幅を、位置決め部42の位置決め用凹溝部44の幅よりも大きくするのが好ましい。このようにすると、下部継手部材16の薄肉化を防止することができるので、強度的に好ましいものとなる。制振リブ52は、先端側が上底となり、基部側が下底となる断面台形状のものとするのが、型抜上は、好ましい。
【0053】
(4)図2に示すように、上記下部継手部材16の上端部に、上記上部継手部材13の下端部および上記羽根部材19の上端部を挿入状態で嵌合可能な外嵌部61が設けられるようにする。
そして、図7に示すように、上記下部継手部材16の外嵌部61の上縁部は、上記床スラブ14の上面よりも上方に突設した状態で埋設されるようにする(突出部62)。
【0054】
ここで、上記した嵌合部41は、図6に示すように、上側に位置する上部継手部材13および羽根部材19が内嵌部63となり、下側に位置する下部継手部材16が外嵌部61となるようにしている。これにより、水漏れを起こし難い構造とすることができる。下部継手部材16の外嵌部61の上縁部(突出部62)と、上部継手部材13の下端部との間、および、下部継手部材16の外嵌部61の上縁部(突出部62)と、床スラブ14(モルタル27)の上面との間は、コーキング材65などによって止水する。
【0055】
(5)図1に示すように、縦管3と横管4とを、図7に示すような、上下端部に縦管接続部11,15を有し、側面に横管接続部12を有し、内部に旋回羽根18を有する排水管継手5を用いて接続して配管構造6を構成する。
そして、上記横管4が、上記排水管継手5の横管接続部12に直接接着固定されるようにする。
更に、上記横管4に、横管4の熱伸縮(の影響)を吸収可能な伸縮吸収部71(図8参照)が設けられるようにする。
【0056】
ここで、伸縮吸収部71には、上記した伸縮継手21とほぼ同じものを用いることができる。具体的には、この伸縮吸収部71は、短い筒状の継手本体72の内部に、横管4の熱伸縮による変位を許容可能なシール部材73を取付けたものとされる。このシール部材73は、少なくとも、リング状のシール本体73aと、このシール本体73aの内周部分から内方へ向けて傾斜するように一体に突設されたリップ部73bとを有するものとされる。継手本体72の上端部には、シール部材73を脱落できないように保持するためのリング状のキャップ部74が取付けられる。
【0057】
なお、伸縮吸収部71は、横管4が2m以下であれば、用いても良いことは勿論であるが、特に用いる必要はない。横管4が2m以上となった場合に、1個または複数個用いるようにする。
【0058】
<作用>以下、この実施例の作用について簡単に説明する。
【0059】
集合住宅やオフィスビルの排水設備では、各階層2で生じた排水は、横管4および排水管継手5を介して縦管3へ集められ、縦管3を流下して下水管へ排出される。この際、排水管継手5の内部に旋回羽根18を設けることで、縦管3を流下する排水に旋回流を与えることができる。よって、縦管3の内部に、内周面に沿った排水の流れと、中心部に沿った空気の流れ(空気芯)とができるので、1本の縦管3の内部で、排水と空気とを分離して流すことが可能となる。
【0060】
<効果>そして、この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
(効果1)射出成形品を成形するための樹脂の注入ゲート31の位置には、微小な凹凸状の痕跡(ゲート痕)が残るので、機能的に重要となる位置に注入ゲート31を設定するのは好ましくない。そこで、下部継手部材16の場合には、上端側外周面または下端側外周面の少なくとも一方に、樹脂の注入ゲート31を設けるようにした。これにより、排水管継手5としての機能に最も影響の少ない位置に注入ゲート31を設けることができる。
【0062】
例えば、上部継手部材13の下端部および羽根部材19の上端部と、下部継手部材16の上端部との嵌合部41に注入ゲート31を設定した場合、嵌合部41内に注入ゲート31のゲート痕(凹凸部)が存在することとなり、このゲート痕の凹凸部が嵌合部41内に隙間を作って水路(みずみち)ができるため、この水路を通って水漏れが発生するおそれがある。
【0063】
しかし、上記した嵌合部41を避けた位置に注入ゲート31を設けることで、嵌合部41に無用な凹凸形状をなくすことができ、水路(みずみち)の発生をなくして水漏れを防止することができる。
【0064】
また、下部継手部材16の内部に注入ゲート31を設定した場合には、ゲート痕(の凹凸部)にゴミなどが引っ掛かる可能性が生じる。しかし、下部継手部材16の内部を避けた位置に注入ゲート31を設けることで、ゴミなどの引っ掛かりを防止することができる。
【0065】
また、下部継手部材16に位置決め部42(の位置決め用凹溝部44)などの薄肉部が存在している場合には、樹脂の注入ゲート31を、下部継手部材16の周方向に対して、薄肉部を避けた位置で、且つ、薄肉部にウェルドライン49ができない位置に、1箇所または複数箇所設けるようにするのが好ましい。これにより、薄肉部に注入ゲート31やウェルドライン49ができなくなるので、下部継手部材16の強度を高めて、薄肉部の割れを防止することが可能となる。
【0066】
(効果2)上部継手部材13の下端部および羽根部材19の上端部と、下部継手部材16の上端部との間の嵌合部41は、接着によって固定するようにしているが、嵌合部41に位置決めリブ43や位置決め用凹溝部44などのような凹凸形状が存在すると、凹凸部分によって接着剤の周方向への回り込みが妨げられ易くなる。しかも、位置決めリブ43や位置決め用凹溝部44に角形状をしたコーナー部分45が存在すると、角形状のコーナー部分45は、接着剤が最も入り込み難い形状であるため、接着剤を塗布または注入した時に、接着剤の注入不良や、注入不良による空気溜まりなどができ易い。このような注入不良や空気溜まりの生じた部分があると、その部分が水路(みずみち)となって水漏れを発生するおそれがある。
【0067】
そこで、位置決めリブ43、および、位置決め用凹溝部44のコーナー部分45に、アール形状部46を設けた。これにより、コーナー部分45の角形状がなくなるので、コーナー部分45へ接着剤が入り込み易くなり、接着剤の注入不良や、注入不良による空気溜まりなどができ難くなるため、水路(みずみち)の発生を防止して水漏れを防止することができる。
【0068】
この際、下部継手部材16や、上部継手部材13や、羽根部材19が樹脂成形品であると、射出成形の際に付けられる型抜き勾配などによって、嵌合部41に僅かな隙間部が生じることになるが、このような隙間部が水路(みずみち)となって水漏れを発生するおそれがある。そこで、このような隙間部に対して、充填系接着剤を充填するようにして、嵌合部41を充填系接着剤で接着することにより、隙間部が充填系接着剤によって確実に埋められるので、水路(みずみち)をなくして水漏れの発生経路をなくすことができる。
【0069】
(効果3)排水管継手5は、内部を流れる流体によって振動が発生し、この振動は排水管継手5に直接接している床スラブ14を介して建物1に伝わって騒音と成り易い。
【0070】
そこで、少なくとも、下部継手部材16の外側面に、軸線方向51へ延びる制振リブ52を設けた。下部継手部材16は、排水管継手5にとって大きな割合を占める部品となっているので、下部継手部材16に制振リブ52を設けることによって、排水管継手5全体の剛性を上げることができる。そして、下部継手部材16が制振リブ52で補強されて振動を起こし難くなるので、床スラブ14に直接埋設される下部継手部材16から建物1に振動が伝わって騒音と成るのを効果的に抑制することができる(防振性・遮音性の向上)。
【0071】
(効果4)下部継手部材16の外嵌部61の上縁部が、床スラブ14の上面と同じかそれよりも低い位置にあると、下部継手部材16と床スラブ14との間の隙間などを塞ぐための施工がやり難くなるため、下部継手部材16と床スラブ14との隙間を確実に塞いで、水路(みずみち)ができないように施工するのが難しくなる。
【0072】
そこで、下部継手部材16の外嵌部61の上縁部を、床スラブ14の上面よりも上方に突設させるようにした(突出部62を設けて埋設するようにした)。これにより、下部継手部材16と床スラブ14との隙間を確実に塞ぐようにする施工がやり易くなるので、水路(みずみち)の発生をなくして水漏れを防止することができる。
【0073】
(効果5)この配管構造6では、縦管3は、排水管継手5の上下端部の縦管接続部11に接続される。また、横管4は、排水管継手5の側面の横管接続部12に接着固定されている。そして、縦管3を流れる排水は、排水管継手5の内部に設けられた旋回羽根18によって旋回流を与えられる。これにより、縦管3の中心部に空気芯(空気の通り道)を形成することができる。
【0074】
そして、横管4を排水管継手5の横管接続部12に直接接着固定することによって、横管4と横管接続部12との間の隙間を確実に塞いで、水漏れを防止することができる。
【0075】
この際、横管4に伸縮吸収部71を設けたことにより、横管4の熱伸縮の影響を、横管4の途中や端部に設けられた伸縮吸収部71で吸収することができる。
【0076】
そして、上記したように、各部の細かい隙間を可能な限りなくすようにすることにより、水路(みずみち)となる隙間をなくして、水漏れが発生し難い排水管継手5や配管構造6を得ることができる。
【0077】
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0078】
1 建物
3 縦管
4 横管
5 排水管継手
11 縦管接続部
12 横管接続部
13 上部継手部材
14 床スラブ
16 下部継手部材
18 旋回羽根
19 羽根部材
31 注入ゲート
41 嵌合部
42 位置決め部
43 位置決めリブ
44 位置決め用凹溝部
45 コーナー部分
46 アール形状部
51 軸線方向
52 制振リブ
61 外嵌部
71 伸縮吸収部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8