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特許7058724TFT基板とその製造方法、及びOLEDパネルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】TFT基板とその製造方法、及びOLEDパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220415BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20220415BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220415BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220415BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220415BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220415BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
H01L29/78 618B
H05B33/14 A
H05B33/10
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020513574
(86)(22)【出願日】2017-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 CN2017112971
(87)【国際公開番号】W WO2019071751
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】201710931305.8
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519293715
【氏名又は名称】深▲せん▼市華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISPLAY TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Road,Gongming Street,Guangming New District Shenzhen,Guangdong 518132 China
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 兆松
(72)【発明者】
【氏名】徐 源竣
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-108065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127518(US,A1)
【文献】特開2015-188063(JP,A)
【文献】特開2008-103253(JP,A)
【文献】特開2014-044793(JP,A)
【文献】特開2017-085116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0179158(US,A1)
【文献】特開2014-199913(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0093616(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 51/50
H05B 33/10
H05B 33/12
H05B 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ステップS1乃至ステップS4を含むTFT基板の製造方法であって、
ステップS1において、ベース基板を提供し、前記ベース基板上に遮光層を形成し、前記遮光層を覆うバッファ層を前記ベース基板上に形成し、前記遮光層の上方に対応した活性層を前記バッファ層上に形成し、前記活性層の材料は金属酸化物半導体材料であり;
ステップS2において、前記活性層上にゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成し、前記ゲート電極と前記ゲート絶縁層は上下方向において揃えられ、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層により、前記活性層は、前記ゲート絶縁層の下方に対応したチャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域及びドレインコンタクト領域とに画定され、
前記活性層の前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域に導体化処理を施すことで、前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域の金属酸化物半導体材料を導体とし、前記チャネル領域の金属酸化物半導体材料は半導体特性を維持し
前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁層上に設けられた第1ゲート層と、前記第1ゲート層上に設けられた第2ゲート層とを含み、前記第1ゲート層の材料は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、又はモリブデン-チタン合金であり、前記第2ゲート層の材料は銅(Cu)であり
ステップS3において、前記ゲート電極及び前記活性層を覆う第1層間絶縁層を前記バッファ層上に形成し、前記第1層間絶縁層の材料は酸窒化ケイ素を含み、
前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成し、前記第2層間絶縁層の材料は酸化ケイ素を含み、
前記酸窒化ケイ素は化学気相堆積法によって調製され、反応ガスとしては、シラン、アンモニア及び亜酸化窒素が含まれ、
前記酸化ケイ素は化学気相堆積法によって調製され、反応ガスとしては、シラン及び亜酸化窒素が含まれ、
前記第1層間絶縁層の酸窒化ケイ素は、前記ゲート電極の表面の金属銅が酸化しないように保護し、過剰の水素が前記活性層中に導入されるのを防ぐためのものであって、
前記第2層間絶縁層の酸化ケイ素は、過剰の水素が活性層に導入されるのを回避するものであり;及び
ステップS4において、前記ソースコンタクト領域の上方に対応した第1貫通孔、及び前記ドレインコンタクト領域の上方に対応した第2貫通孔をそれぞれ、前記第1層間絶縁層及び前記第2層間絶縁層上から形成し、
前記第2層間絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を形成し、前記ソース電極及び前記ドレイン電極はそれぞれ、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を介して前記活性層の前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域に電気的に接続され、TFT基板が得られることを特徴とするTFT基板の製造方法。
【請求項2】
前記第1層間絶縁層の厚さは、前記第2層間絶縁層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のTFT基板の製造方法。
【請求項3】
前記第1層間絶縁層の厚さは100Å~500Åであり、前記第2層間絶縁層の厚さは3000Å~10000Åであることを特徴とする請求項2に記載のTFT基板の製造方法。
【請求項4】
前記ステップS2において、
前記活性層を覆う前記ゲート絶縁層を前記バッファ層上に形成し、前記ゲート絶縁層上にゲート金属層を堆積させ、
前記ゲート金属層上にフォトレジスト層を形成し、黄色光工程の利用により、前記フォトレジスト層にパターニング処理を施し、残存した前記フォトレジスト層によって前記ゲート金属層上にゲート電極パターンが画定され、
前記フォトレジスト層をバリア層として用い、前記ゲート金属層をエッチングすることで、前記活性層の上方に対応した前記ゲート電極が得られ、
前記フォトレジスト層及び前記ゲート電極をバリア層として用い、前記ゲート絶縁層をエッチングすることで、前記ゲート電極の下部に対応した部分のみを残し、その他の部分は全てエッチングにより除去され、残存した前記ゲート絶縁層は前記活性層上に位置し、
且つ前記ゲート電極と上下方向において揃えられ、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層により、前記活性層は、前記ゲート絶縁層の下方に対応した前記チャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置する前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域とに画定され、
前記フォトレジスト層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層をバリア層として用い、前記活性層にプラズマ処理を施すことで、前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域の金属酸化物半導体材料を導体とし、前記チャネル領域の金属酸化物半導体材料は半導体特性を維持し、プラズマ処理工程が完了した後、前記フォトレジスト層を剥離させることを特徴とする請求項1に記載のTFT基板の製造方法。
【請求項5】
下記ステップS10乃至ステップS60を含むOLEDパネルの製造方法であって、
ステップS10において、請求項1に記載のTFT基板の製造方法によりTFT基板を製造し;
ステップS20において、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を覆うパッシベーション層を、前記TFT基板の前記第2層間絶縁層上に形成し、且つエッチングにより前記ソース電極の上方に対応した第1ビアホールを、前記パッシベーション層上から形成し、
前記パッシベーション層上に平坦化層を形成し、且つ黄色光工程の採用により、前記平坦化層上に第2ビアホールを形成し、前記第1ビアホールと前記第2ビアホールは上下方向において対応し、且つ相互に連通しており、共に第3貫通孔を構成し;
ステップS30において、前記平坦化層上にOLEDアノードを形成し、前記OLEDアノードは前記第3貫通孔を介して前記ソース電極と接触し;
ステップS40において、前記平坦化層及び前記OLEDアノード上にピクセル定義層を形成し、且つ黄色光工程の採用により、前記OLEDアノードの上方に対応した開口を、前記ピクセル定義層上から形成し;
ステップS50において、前記開口内の前記OLEDアノード上に、有機発光層を形成し;及び
ステップS60において、前記ピクセル定義層及び前記開口内の前記有機発光層上に、カソードを形成することを特徴とするOLEDパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ技術の分野に関するものであり、特にTFT基板とその製造方法、及びOLEDパネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置(Liquid Crystal Display、LCD)は、薄型、省電力、無輻射等の多くの利点を有し、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、コンピューターディスプレイ又はノートパソコンのディスプレイ等に幅広く用いられている。
【0003】
有機ELディスプレイとしても知られる有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)ディスプレイは新興のフラットパネルディスプレイ装置であり、簡易な製造工程、低コスト、低消費電力、高輝度、広い動作温度範囲、薄型、高速応答、カラーディスプレイ及び大画面ディスプレイの実現容易性、集積回路ドライバとの整合の実現容易性、及びフレキシブルディスプレイの実現容易性等の利点を有するため、幅広い範囲での応用が期待されている。
【0004】
OLEDは駆動方式に応じて、パッシブマトリクス型OLED(Passive Matrix OLED、PMOLED)と、アクティブマトリクス型OLED(Active Matrix OLED、AMOLED)の2つのタイプに大きく分類され、即ち、直接アドレッシングと、薄膜トランジスタを用いたマトリクスアドレッシングの2つのタイプである。ここでAMOLEDは、アレイ状に配列されたピクセルを有していて、アクティブ表示のタイプに属し、発光効率が高く、通常は高解像度の大型ディスプレイ装置に用いられる。
【0005】
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、略称TFT)は目下、液晶ディスプレイ装置とアクティブマトリクス型OLEDディスプレイ装置における主要な駆動素子であり、高性能フラットパネルディスプレイ装置の発展に直接関係するものである。薄膜トランジスタは様々な構造を有し、対応する構造を有する薄膜トランジスタの製造にも様々な材料が用いられ、アモルファスシリコン(a-Si)材料は比較的一般に用いられる材料の1つである。しかしながら、液晶ディスプレイ装置及びOLEDディスプレイ装置は、大型化及び高解像度化に向けて開発が進められており、移動度がわずか1cm/(Vs)程度である従来のa-Siでは、既にそのような需要を満たすことができない。インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)に代表される金属酸化物材料は、10cm/(Vs)以上の移動度を有し、さらに対応する薄膜トランジスタの製造については、現存するa-Si半導体駆動型の薄膜トランジスタの生産ラインと互換性があり、近年急速にディスプレイ分野における研究開発の焦点となっている。
【0006】
自己整合型トップ・ゲート構造の酸化物半導体TFTは、OLEDパネルにおける一般的なTFTのタイプである。自己整合型トップ・ゲート構造を有する酸化物半導体TFTの製造過程において、通常、酸化物半導体層とゲート電極とを層間絶縁層(Inter Layer Dielectric、ILD)で覆う必要があり、層間絶縁層の材料は一般的に窒化ケイ素(SiN)及び酸化ケイ素(SiO)から選択される。窒化ケイ素の化学気相堆積工程では、アンモニア(NH)ガスに通す必要があり、アンモニアガスは過剰の水素を酸化物半導体層中に導入し易く、酸化物半導体層の性能を低下させることとなる。従って、本分野では通常、層間絶縁層を形成するのに酸化ケイ素材料を選択し、酸化物半導体層中に過剰の水素が導入されるのを回避している。しかしながら、酸化ケイ素の化学気相堆積工程では、亜酸化窒素(NO)を導入する必要があり、亜酸化窒素はゲート電極表面の金属銅を酸化させ易いため、TFT素子の性能に異常をきたす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的はTFT基板の製造方法を提供することであり、当該製造方法において、ゲート電極表面の金属銅は酸化しないように保護されるため、ゲート電極の性能の安定性が保証されるとともに、過剰の水素が活性層中に導入されるのを防ぐことができるため、活性層の性能の安定性が保証され、以ってTFT素子の動作安定性が向上する。
【0008】
本発明のさらなる目的として、上記のTFT基板の製造方法によって製造されたTFT基板を提供し、TFT素子はより優れた動作安定性を有する。
【0009】
本発明のさらなる目的として、OLEDパネルの製造方法を提供し、当該OLEDパネルの製造方法において、上記のTFT基板の製造方法を用いてTFT基板を製造するため、TFT素子がより優れた動作安定性を有することを保証することができ、以ってOLEDパネルがより良好な発光安定性を有することを保証することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を実現するために、本発明はTFT基板の製造方法を提供し、当該TFT基板の製造方法は、下記ステップS1乃至ステップS4を含み、
ステップS1において、ベース基板を提供し、前記ベース基板上に遮光層を形成し、前記遮光層を覆うバッファ層を前記ベース基板上に形成し、前記遮光層の上方に対応した活性層を前記バッファ層上に形成し、前記活性層の材料は金属酸化物半導体材料であり;
ステップS2において、前記活性層上にゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層上にゲート電極を形成し、前記ゲート電極と前記ゲート絶縁層は上下方向において揃えられ、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層により、前記活性層は、前記ゲート絶縁層の下方に対応したチャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域及びドレインコンタクト領域とに画定され、
前記活性層の前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域に導体化処理を施すことで、前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域の金属酸化物半導体材料を導体とし、前記チャネル領域の金属酸化物半導体材料は半導体特性を維持し;
ステップS3において、前記ゲート電極及び前記活性層を覆う第1層間絶縁層を前記バッファ層上に形成し、前記第1層間絶縁層の材料は酸窒化ケイ素を含み、
前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成し、前記第2層間絶縁層の材料は酸化ケイ素を含み;及び
ステップS4において、前記ソースコンタクト領域の上方に対応した第1貫通孔、及び前記ドレインコンタクト領域の上方に対応した第2貫通孔をそれぞれ、前記第1層間絶縁層及び前記第2層間絶縁層上から形成し、
前記第2層間絶縁層上にソース電極及びドレイン電極を形成し、前記ソース電極及び前記ドレイン電極はそれぞれ、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を介して前記活性層の前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域に電気的に接続され、TFT基板が得られる。
【0011】
前記酸窒化ケイ素は化学気相堆積法によって調製され、反応ガスとしては、シラン、アンモニア及び亜酸化窒素が含まれ、
前記酸化ケイ素は化学気相堆積法によって調製され、反応ガスとしては、シラン及び亜酸化窒素が含まれる。
【0012】
前記第1層間絶縁層の厚さは、前記第2層間絶縁層の厚さよりも小さい。
【0013】
前記第1層間絶縁層の厚さは100Å~500Åであり、前記第2層間絶縁層の厚さは3000Å~10000Åである。
【0014】
前記ステップS2において、
前記活性層を覆う前記ゲート絶縁層を前記バッファ層上に形成し、前記ゲート絶縁層上にゲート金属層を堆積させ、
前記ゲート金属層上にフォトレジスト層を形成し、黄色光工程の利用により、前記フォトレジスト層にパターニング処理を施し、残存した前記フォトレジスト層によって前記ゲート金属層上にゲート電極パターンが画定され、
前記フォトレジスト層をバリア層として用い、前記ゲート金属層をエッチングすることで、前記活性層の上方に対応した前記ゲート電極が得られ、
前記フォトレジスト層及び前記ゲート電極をバリア層として用い、前記ゲート絶縁層をエッチングすることで、前記ゲート電極の下部に対応した部分のみを残し、その他の部分は全てエッチングにより除去され、残存した前記ゲート絶縁層は前記活性層上に位置し、且つ前記ゲート電極と上下方向において揃えられ、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層により、前記活性層は、前記ゲート絶縁層の下方に対応した前記チャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置する前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域とに画定され、
前記フォトレジスト層、前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁層をバリア層として用い、前記活性層にプラズマ処理を施すことで、前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域の金属酸化物半導体材料を導体とし、前記チャネル領域の金属酸化物半導体材料は半導体特性を維持し、プラズマ処理工程が完了した後、前記フォトレジスト層を剥離させる。
【0015】
本発明はさらにTFT基板を提供し、当該TFT基板は、
ベース基板と、
前記ベース基板上に設けられた遮光層と、
前記ベース基板上に設けられ、且つ前記遮光層を覆うバッファ層と、
前記バッファ層上に設けられ、且つ前記遮光層の上方に対応した活性層と、
前記活性層上に設けられたゲート絶縁層と、
前記ゲート絶縁層上に設けられ、且つ前記ゲート絶縁層と上下方向において揃えられたゲート電極と、
前記バッファ層上に設けられ、且つ前記ゲート電極及び前記活性層を覆う第1層間絶縁層と、
前記第1層間絶縁層上に設けられた第2層間絶縁層と、
前記第2層間絶縁層上に設けられたソース電極及びドレイン電極と、を含み、
前記第1層間絶縁層の材料は酸窒化ケイ素を含み、前記第2層間絶縁層の材料は酸化ケイ素を含み、
前記活性層は、前記ゲート絶縁層の下方に対応したチャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域及びドレインコンタクト領域とを含み、前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域の材料は導体化した金属酸化物半導体材料であり、前記チャネル領域の材料は半導体特性を維持した金属酸化物半導体材料であり、
前記第1層間絶縁層及び前記第2層間絶縁層上からは、前記ソースコンタクト領域の上方に対応した第1貫通孔、及び前記ドレインコンタクト領域の上方に対応した第2貫通孔がそれぞれ形成されており、前記ソース電極及び前記ドレイン電極はそれぞれ、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔を介して前記活性層の前記ソースコンタクト領域及び前記ドレインコンタクト領域に電気的に接続されている。
【0016】
前記第1層間絶縁層の厚さは、前記第2層間絶縁層の厚さよりも小さい。
【0017】
前記第1層間絶縁層の厚さは100Å~500Åであり、前記第2層間絶縁層の厚さは3000Å~10000Åである。
【0018】
本発明はさらにOLEDパネルの製造方法を提供し、当該OLEDパネルの製造方法は下記ステップS10乃至ステップS60を含み、
ステップS10において、請求項1に記載のTFT基板の製造方法によりTFT基板を製造し;
ステップS20において、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を覆うパッシベーション層を、前記TFT基板の前記第2層間絶縁層上に形成し、且つエッチングにより前記ソース電極の上方に対応した第1ビアホールを、前記パッシベーション層上から形成し、
前記パッシベーション層上に平坦化層を形成し、且つ黄色光工程の採用により、前記平坦化層上に第2ビアホールを形成し、前記第1ビアホールと前記第2ビアホールは上下方向において対応し、且つ相互に連通しており、共に第3貫通孔を構成し;
ステップS30において、前記平坦化層上にOLEDアノードを形成し、前記OLEDアノードは前記第3貫通孔を介して前記ソース電極と接触し;
ステップS40において、前記平坦化層及び前記OLEDアノード上にピクセル定義層を形成し、且つ黄色光工程の採用により、前記OLEDアノードの上方に対応した開口を、前記ピクセル定義層上から形成し;
ステップS50において、前記開口内の前記OLEDアノード上に、有機発光層を形成し;及び
ステップS60において、前記ピクセル定義層及び前記開口内の前記有機発光層上に、カソードを形成する。
【発明の効果】
【0019】
本発明のTFT基板の製造方法において、まず、ゲート電極及び活性層を覆う第1層間絶縁層をバッファ層上に形成し、且つ第1層間絶縁層の材料を酸窒化ケイ素としているため、ゲート電極の表面の金属銅が酸化しないように保護され、ゲート電極の性能の安定性が確保されるとともに、過剰の水素が活性層中に導入されるのを防ぐことができる。さらに、第1層間絶縁層の上方に第2層間絶縁層を形成し、且つ第2層間絶縁層の材料を酸化ケイ素としているため、過剰の水素が活性層に導入されるのを回避し、活性層の性能の安定性が確保され、TFT素子の動作安定性を向上させることができる。本発明のTFT基板は、上記のTFT基板の製造方法を用いて製造されたものであり、そのゲート電極及び活性層の性能は安定しており、TFT素子はより優れた動作安定性を有する。本発明のOLEDパネルの製造方法において、上述のTFT基板の製造方法を用いてTFT基板を製造するため、TFT素子はより優れた動作安定性を有することが保証され、以ってOLEDパネルはより良好な発光安定性を有することが保証される。
【0020】
本発明の特徴及び技術内容をより理解するために、以下の本発明の詳細な説明及び添付の図面を参照されたい。ここで、添付の図面は単に参考及び説明に供するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下において、添付の図面を参照して、本発明に係る具体的な実施形態について詳述することで、本発明の技術案及びその他の有益な効果を明らかにする。
【0022】
添付の図面において、
図1】本発明におけるTFT基板の製造方法のフローチャートである。
図2】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS1を示す図である。
図3】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS2を示す図である。
図4】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS2を示す図である。
図5】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS2を示す図である。
図6】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS2を示す図である。
図7】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS2を示す図である。
図8】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS2を示す図である。
図9】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS3を示す図である。
図10】従来の自己整合型トップ・ゲート構造を有する酸化物半導体TFTの製造工程において、酸化ケイ素材料による層間絶縁層が形成された後の状態を示す顕微鏡写真である。
図11】本発明におけるTFT基板の製造方法において、第2層間絶縁層が形成された後の状態を示す顕微鏡写真である。
図12】本発明におけるTFT基板の製造方法のステップS4を示す図であり、且つ本発明のTFT基板の構造を示す図である。
図13】本発明におけるOLEDパネルの製造方法のフローチャートである。
図14】本発明におけるOLEDパネルの製造方法のステップS20乃至ステップS60を示す参考図であり、且つ本発明のOLEDパネルの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明で採用されている技術的手段及びその効果についてさらに説明するために、以下において、本発明の好ましい実施形態及び添付の図面を組み合わせた上で詳述する。
【0024】
図1を参照されたい。本発明はTFT基板の製造方法を提供し、当該方法は以下のステップを含む。
【0025】
ステップS1:図2に示すように、ベース基板10を提供し、前記ベース基板10上に遮光層20を形成し、前記遮光層20を覆うバッファ層30を前記ベース基板10上に形成し、前記遮光層20の上方に対応した活性層40を前記バッファ層30上に形成し、前記活性層40の材料は金属酸化物半導体材料である。
【0026】
具体的には、遮光層20を形成する前に、前記ベース基板10を洗浄する必要がある。
【0027】
具体的には、ベース基板10上に一層の金属を堆積させ、且つ黄色光の利用及びエッチング工程により、前記遮光層20が得られる。
【0028】
具体的には、前記遮光層20の面積は前記活性層40の面積よりも大きく、且つ前記遮光層20のベース基板10上への正投影は、前記活性層40のベース基板10上への正投影を包含するため、前記遮光層20が活性層40を完全に遮ることができるようになり、活性層40が光線の照射を受けてTFTの閾値電圧が負にドリフトするのを防止し、TFTの動作安定性を向上させることができる。
【0029】
具体的には、前記ベース基板10はガラス基板である。
【0030】
具体的には、前記遮光層20の厚さは500Å~2000Åであり、前記遮光層20の材料は金属である。好ましくは、前記遮光層20の材料は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びチタン(Ti)うちの1種又はこれら2種以上の合金を含む。
【0031】
具体的には、前記バッファ層30の厚さは1000Å~5000Åであり、前記バッファ層30の材料は酸化ケイ素(SiO)を含む。
【0032】
具体的には、前記活性層40の厚さは100Å~1000Åであり、前記金属酸化物半導体材料は、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム・亜鉛・スズ酸化物(IZTO)、及びインジウム・ガリウム・亜鉛・スズ酸化物(IGZTO)のうちの1種又は2種以上を含む。
【0033】
ステップS2:図3乃至図8に示すように、前記活性層40上にゲート絶縁層50を形成し、前記ゲート絶縁層50上にゲート電極60を形成し、前記ゲート電極60とゲート絶縁層50は上下方向において揃えられる。前記ゲート電極60及びゲート絶縁層50により、活性層40は、ゲート絶縁層50の下方に対応したチャネル領域41と、チャネル領域41の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43とに画定される。
【0034】
活性層40のソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43に導体化処理を施すことで、ソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43の金属酸化物半導体材料を導体とし、チャネル領域41の金属酸化物半導体材料は半導体特性を維持する。
【0035】
具体的には、前記ステップS2は以下の工程を含む。
【0036】
図3に示すように、前記活性層40を覆うゲート絶縁層50を前記バッファ層30上に形成し、前記ゲート絶縁層50上にゲート金属層51を堆積させる。
【0037】
図4に示すように、前記ゲート金属層51上にフォトレジスト層52を形成し、黄色光工程の利用により、前記フォトレジスト層52にパターニング処理を施し、残存したフォトレジスト層52によって前記ゲート金属層51上にゲート電極パターンが画定される。
【0038】
図5に示すように、前記フォトレジスト層52をバリア層として用い、前記ゲート金属層51をエッチングすることで、活性層40の上方に対応したゲート電極60が得られる。
【0039】
図6に示すように、前記フォトレジスト層52及びゲート電極60をバリア層として用い、ゲート絶縁層50をエッチングすることで、ゲート電極60の下部に対応した部分のみを残し、その他の部分は全てエッチングにより除去される。残存したゲート絶縁層50は活性層40上に位置し、且つゲート電極60と上下方向において揃えられる。前記ゲート電極60及びゲート絶縁層50により、活性層40は、ゲート絶縁層50の下方に対応したチャネル領域41と、チャネル領域41の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43とに画定される。
【0040】
図7に示すように、フォトレジスト層52、ゲート電極60及びゲート絶縁層50をバリア層として用い、活性層40にプラズマ処理を施すことで、ソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43の金属酸化物半導体材料を導体とし、チャネル領域41の金属酸化物半導体材料は半導体特性を維持する。図8に示すように、プラズマ処理工程が完了した後、フォトレジスト層52を剥離させる。
【0041】
活性層40に対してプラズマ処理を施すことで、ソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43における金属酸化物半導体材料中の酸素の含有量を減少させ、金属酸化物半導体材料の抵抗率を下げ、当該金属酸化物半導体材料を導体へと変化させることができる。
【0042】
具体的には、前記ゲート絶縁層50の厚さは1000Å~3000Åであり、前記ゲート絶縁層50の材料は酸化ケイ素(SiO)を含む。
【0043】
具体的には、前記ゲート電極60の厚さは2000Å~8000Åであり、前記ゲート電極60は、前記ゲート絶縁層50上に設けられた第1ゲート層と、前記第1ゲート層上に設けられた第2ゲート層とを含む。前記第1ゲート層の材料は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、又はモリブデン-チタン合金であり、前記第2ゲート層の材料は銅(Cu)である。
【0044】
具体的には、前記プラズマは、ヘリウムプラズマ、アルゴンプラズマ及びアンモニアプラズマのうちの1種又は2種以上を含む。
【0045】
具体的には、前記金属酸化物半導体材料がインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)である場合、プラズマ処理前において、前記インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物中のインジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素のモル比は、In:Ga:Zn:O=1:1:1:Xであり、Xは1から10の間である。プラズマ処理後において、前記インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物中のインジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素のモル比は、In:Ga:Zn:O=1:1:1:Xであり、Xは1未満である。従って、活性層40に対してプラズマ処理を施した後において、前記活性層40のソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43におけるインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物中のインジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素のモル比は、In:Ga:Zn:O=1:1:1:Xとなり、Xは1未満となる;前記活性層40のチャネル領域41のインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物中のインジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素のモル比は、In:Ga:Zn:O=1:1:1:Xとなり、Xは1から10の間となる。
【0046】
本発明は自己整合型トップ・ゲート構造を採用しており、ゲート電極60及びゲート絶縁層50により、活性層40が、ゲート絶縁層50の下方に対応したチャネル領域41と、チャネル領域41の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43とに画定されることを利用して、活性層40に対してプラズマ処理を施す過程において、活性層40のチャネル領域41が導体化しないように、前記ゲート電極60及びゲート絶縁層50は当該チャネル領域41を保護することができる。
【0047】
ステップS3:図9に示すように、前記ゲート電極60及び活性層40を覆う第1層間絶縁層71を前記バッファ層30上に形成し、前記第1層間絶縁層71の材料は酸窒化ケイ素(SiO)を含む。
【0048】
前記第1層間絶縁層71上に第2層間絶縁層72を形成し、前記第2層間絶縁層72の材料は酸化ケイ素(SiO)を含む。
【0049】
具体的には、前記酸窒化ケイ素は化学気相堆積法によって調製され、反応ガスとしては、シラン、アンモニア(NH)及び亜酸化窒素(NO)が含まれる。前記シランは、好ましくはモノシラン(SiH)である。
【0050】
具体的には、前記酸化ケイ素は化学気相堆積法によって調製され、反応ガスとしては、シラン及び亜酸化窒素(NO)が含まれる。前記シランは、好ましくはモノシラン(SiH)である。
【0051】
具体的には、前記第1層間絶縁層71の厚さは、前記第2層間絶縁層72の厚さよりも小さい。
【0052】
好ましくは、前記第1層間絶縁層71の厚さは100Å~500Åであり、前記第2層間絶縁層72の厚さは3000Å~10000Åである。
【0053】
既知の如く、窒化ケイ素(SiN)の化学気相堆積工程で用いられる反応ガスには、シラン及びアンモニア(NH)が含まれ、アンモニアは活性層40中に水素を導入し易く、金属酸化物半導体材料の性能を低下させてしまう。一方、酸化ケイ素(SiO)の化学気相堆積工程では、亜酸化窒素(NO)を導入する必要があるため、ゲート電極60の表面の金属銅を酸化させ易い。本発明において、酸窒化ケイ素を第1層間絶縁層71の材料としており、酸化ケイ素と比較して、亜酸化窒素の導入を減少させ、ゲート電極60の表面の金属銅が酸化しないように保護することができる。また、窒化ケイ素と比較して、アンモニアの導入を減少させ、過剰の水素が活性層40中に導入されるのを防ぐことができる。本発明において、酸化ケイ素を第2層間絶縁層72の材料としており、窒化ケイ素と比較して、アンモニアが導入されるのを回避し、過剰の水素が活性層40に導入されるのを防ぐことで、活性層40の性能の安定性を確保し、TFT素子の動作安定性を向上させることができる。
【0054】
図10は、従来の自己整合型トップ・ゲート構造を有する酸化物半導体TFTの製造工程において、酸化ケイ素材料による層間絶縁層が形成された後の状態を示す顕微鏡写真である。図10からわかるように、ゲート金属層(灰色の領域)の表面の銅は著しく酸化しており、ゲート金属層の表面は粗く、不均一であるため、TFT素子の性能が低下しやすく、動作が不安定なものとなる。図11は、本発明におけるTFT基板の製造方法において、第2層間絶縁層が形成された後の状態を示す顕微鏡写真である。図11からわかるように、ゲート金属層(白色の領域)の表面の銅は実質的に酸化しておらず、ゲート金属層の表面は滑らかであるため、TFT素子の動作安定性を確保することができる。
【0055】
ステップS4:図12に示すように、ソースコンタクト領域42の上方に対応した第1貫通孔721、及びドレインコンタクト領域43の上方に対応した第2貫通孔722をそれぞれ、前記第1層間絶縁層71及び第2層間絶縁層72上から形成する。
【0056】
前記第2層間絶縁層72上にソース電極81及びドレイン電極82を形成し、前記ソース電極81及びドレイン電極82はそれぞれ、第1貫通孔721及び第2貫通孔722を介して活性層40のソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43に電気的に接続され、TFT基板100が得られる。
【0057】
具体的には、前記第2層間絶縁層72上に金属層を堆積させ、且つパターニングを施すことで、前記ソース電極81及びドレイン電極82が得られる。
【0058】
具体的には、前記ソース電極81及びドレイン電極82の厚さはいずれも、2000Å~8000Åである。前記ソース電極81及びドレイン電極82はいずれも、前記第2層間絶縁層72上に設けられた第1金属層と、前記第1金属層上に設けられた第2金属層とを含む。前記第1金属層の材料は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、又はモリブデン-チタン合金であり、前記第2金属層の材料は銅(Cu)である。
【0059】
上記のTFT基板の製造方法により製造されたTFTは、自己整合型トップ・ゲート構造の酸化物半導体TFTである。即ち理論的には、前記ゲート電極60及びゲート絶縁層50は上下方向において揃えられており、寸法が一致するが、実際の生産で得られるゲート電極60の寸法は往々にして、ゲート絶縁層50の寸法よりもわずかに小さい。従って、本出願に記載の「前記ゲート電極60とゲート絶縁層50は上下方向において揃えられる」という技術的特徴は、単に本出願のTFTが自己整合型トップ・ゲート構造を有することを示すためのものであり、「前記ゲート電極60とゲート絶縁層50は」如何なる寸法上の差異も有しないことを示すものではない。本発明の思想と同一であり、且つトップ・ゲート自己整合プロセスを用いて製造されたTFT構造及び製造方法はいずれも、本発明の保護範囲に属する。
【0060】
上記のTFT基板の製造方法では、まず、ゲート電極60及び活性層40を覆う第1層間絶縁層71をバッファ層30上に形成し、且つ第1層間絶縁層71の材料を酸窒化ケイ素としているため、ゲート電極60の表面の金属銅が酸化しないように保護され、ゲート電極60の性能の安定性が確保されるとともに、過剰の水素が活性層40中に導入されるのを防ぐことができる。さらに、第1層間絶縁層71の上方に第2層間絶縁層72を形成し、且つ第2層間絶縁層72の材料を酸化ケイ素としているため、過剰の水素が活性層40に導入されるのを回避し、活性層40の性能の安定性が確保され、TFT素子の動作安定性を向上させることができる。
【0061】
図12を参照されたい。上記のTFT基板の製造方法に基づいて、本発明はさらにTFT基板100を提供する。当該TFT基板100は、ベース基板10と、前記ベース基板10上に設けられた遮光層20と、前記ベース基板10上に設けられ、且つ前記遮光層20を覆うバッファ層30と、前記バッファ層30上に設けられ、且つ前記遮光層20の上方に対応した活性層40と、前記活性層40上に設けられたゲート絶縁層50と、前記ゲート絶縁層50上に設けられ、且つ前記ゲート絶縁層50と上下方向において揃えられたゲート電極60と、前記バッファ層30上に設けられ、且つ前記ゲート電極60及び活性層40を覆う第1層間絶縁層71と、前記第1層間絶縁層71上に設けられた第2層間絶縁層72と、前記第2層間絶縁層72上に設けられたソース電極81及びドレイン電極82と、を含む。
【0062】
前記第1層間絶縁層71の材料は酸窒化ケイ素を含み、前記第2層間絶縁層72の材料は酸化ケイ素を含む。
【0063】
前記活性層40は、ゲート絶縁層50の下方に対応したチャネル領域41と、チャネル領域41の両側にそれぞれ位置するソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43とを含む。前記ソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43の材料は導体化した金属酸化物半導体材料であり、前記チャネル領域41の材料は半導体特性を維持した金属酸化物半導体材料である。
【0064】
前記第1層間絶縁層71及び第2層間絶縁層72上からは、ソースコンタクト領域42の上方に対応した第1貫通孔721、及びドレインコンタクト領域43の上方に対応した第2貫通孔722がそれぞれ形成されている。前記ソース電極81及びドレイン電極82はそれぞれ、第1貫通孔721及び第2貫通孔722を介して活性層40のソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43に電気的に接続されている。
【0065】
具体的には、前記遮光層20の面積は前記活性層40の面積よりも大きく、且つ前記遮光層20のベース基板10上への正投影は、前記活性層40のベース基板10上への正投影を包含するため、前記遮光層20が活性層40を完全に遮ることができるようになり、活性層40が光線の照射を受けてTFTの閾値電圧が負にドリフトするのを防止し、TFTの動作安定性を向上させることができる。
【0066】
具体的には、前記ベース基板10はガラス基板である。
【0067】
具体的には、前記遮光層20の厚さは500Å~2000Åであり、前記遮光層20の材料は金属である。好ましくは、前記遮光層20の材料は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及びチタン(Ti)うちの1種又はこれら2種以上の合金を含む。
【0068】
具体的には、前記バッファ層30の厚さは1000Å~5000Åであり、前記バッファ層30の材料は酸化ケイ素(SiO)を含む。
【0069】
具体的には、前記活性層40の厚さは100Å~1000Åであり、前記金属酸化物半導体材料は、インジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム・亜鉛・スズ酸化物(IZTO)、及びインジウム・ガリウム・亜鉛・スズ酸化物(IGZTO)のうちの1種又は2種以上を含む。
【0070】
具体的には、前記ゲート絶縁層50の厚さは1000Å~3000Åであり、前記ゲート絶縁層50の材料は酸化ケイ素(SiO)を含む。
【0071】
具体的には、前記ゲート電極60の厚さは2000Å~8000Åであり、前記ゲート電極60は、前記ゲート絶縁層50上に設けられた第1ゲート層と、前記第1ゲート層上に設けられた第2ゲート層とを含む。前記第1ゲート層の材料は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、又はモリブデン-チタン合金であり、前記第2ゲート層の材料は銅(Cu)である。
【0072】
具体的には、前記ソース電極81及びドレイン電極82の厚さはいずれも、2000Å~8000Åである。前記ソース電極81及びドレイン電極82はいずれも、前記第2層間絶縁層72上に設けられた第1金属層と、前記第1金属層上に設けられた第2金属層とを含む。前記第1金属層の材料は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、又はモリブデン-チタン合金であり、前記第2金属層の材料は銅(Cu)である。
【0073】
具体的には、前記金属酸化物半導体材料がインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物(IGZO)である場合、前記活性層40のソースコンタクト領域42及びドレインコンタクト領域43におけるインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物中のインジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素のモル比は、In:Ga:Zn:O=1:1:1:Xとなり、Xは1未満となる。一方、前記活性層40のチャネル領域41のインジウム・ガリウム・亜鉛酸化物中のインジウム、ガリウム、亜鉛及び酸素のモル比は、In:Ga:Zn:O=1:1:1:Xとなり、Xは1から10の間となる。
【0074】
具体的には、前記第1層間絶縁層71の厚さは、前記第2層間絶縁層72の厚さよりも小さい。
【0075】
好ましくは、前記第1層間絶縁層71の厚さは100Å~500Åであり、前記第2層間絶縁層72の厚さは3000Å~10000Åである。
【0076】
上記のTFT基板では、バッファ層30上に形成され、且つゲート電極60及び活性層40を覆う第1層間絶縁層71の材料を酸窒化ケイ素としているため、ゲート電極60の表面の金属銅が酸化しないように保護され、ゲート電極60の性能の安定性が確保されるとともに、過剰の水素が活性層40中に導入されるのを防ぐことができる。さらに、第1層間絶縁層71の上方に形成された第2層間絶縁層72の材料を酸化ケイ素としているため、過剰の水素が活性層40に導入されるのを回避し、活性層40の性能の安定性が確保され、TFT素子の動作安定性を向上させることができる。
【0077】
図13を参照されたい。上記のTFT基板の製造方法に基づいて、本発明はさらにOLEDパネルの製造方法を提供する。当該OLEDパネルの製造方法は、以下のステップを含む。
【0078】
ステップS10:図1乃至図12を参照されたい。上記のTFT基板の製造方法により、TFT基板100を製造する。
【0079】
ステップS20:図14を参照されたい。ソース電極81及びドレイン電極82を覆うパッシベーション層90を、前記TFT基板100の第2層間絶縁層72上に形成し、且つエッチングによりソース電極81の上方に対応した第1ビアホール901を、前記パッシベーション層90上から形成する。
【0080】
前記パッシベーション層90上に平坦化層91を形成し、且つ黄色光工程の採用により、前記平坦化層91上に第2ビアホール912を形成する。前記第1ビアホール901と第2ビアホール912は上下方向において対応し、且つ相互に連通しており、共に第3貫通孔913を構成する。
【0081】
具体的には、前記パッシベーション層90の厚さは1000Å~5000Åであり、前記パッシベーション層90の材料は酸化ケイ素(SiO)を含む。
【0082】
具体的には、前記平坦化層91の厚さは10000Å~20000Åであり、前記平坦化層91の材料は有機フォトレジスト材料であり、前記有機フォトレジスト材料の組成及び種類は限定されない。
【0083】
ステップS30:図14を参照されたい。前記平坦化層91上にOLEDアノード92を形成し、前記OLEDアノード92は第3貫通孔913を介してソース電極81と接触する。
【0084】
具体的には、前記OLEDアノード92の厚さは500Å~1000Åであり、前記OLEDアノード92の材料は透明な導電性金属酸化物を含み、前記透明な導電性金属酸化物は好ましくは酸化インジウムスズ(ITO)である。
【0085】
ステップS40:図14を参照されたい。前記平坦化層91及びOLEDアノード92上にピクセル定義層93を形成し、且つ黄色光工程の採用により、前記OLEDアノード92の上方に対応した開口935を、前記ピクセル定義層93上から形成する。
【0086】
具体的には、前記ピクセル定義層93の厚さは10000Å~20000Åであり、前記ピクセル定義層93の材料は有機フォトレジスト材料であり、前記有機フォトレジスト材料の組成及び種類は限定されない。
【0087】
具体的には、前記開口935の面積は前記OLEDアノード92の面積よりも小さく、前記開口935の底部が全てアノード材料で敷き詰められることを保証できる。
【0088】
ステップS50:図14を参照されたい。前記開口935内のOLEDアノード92上に、有機発光層94を形成する。
【0089】
具体的には、前記有機発光層94は、前記OLEDアノード92上に下方から上方に向かって順次積層された、正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を含む。
【0090】
具体的には、前記有機発光層94は、蒸着又はインクジェットプリンタ(IJP)技術によって形成される。
【0091】
ステップS60:図14を参照されたい。前記ピクセル定義層93及び前記開口935内の有機発光層94上に、カソード95を形成する。以上で、OLEDパネルの製造が完了する。
【0092】
具体的には、前記カソード95の材料は金属であり、好ましくは銀である。
【0093】
具体的には、前記カソード95は十分に薄い厚さと良好な光透過性を有し、有機発光層94から発せられた光は、前記カソード95を介して放出され得る。
【0094】
上記のOLEDパネルの製造方法において、上述のTFT基板の製造方法によりTFT基板を製造するために、ゲート電極60及び活性層40の性能の安定性が保証され、TFT素子の動作安定性が向上し、以ってOLEDパネルはより良好な発光安定性を有することが保証される。
【0095】
図14を参照されたい。上記のOLEDパネルの製造方法に基づいて、本発明はさらにOLEDパネルを提供する。当該OLEDパネルは、上述のようなTFT基板100と、前記TFT基板100の第2層間絶縁層72上に設けられ、且つソース電極81及びドレイン電極82を覆うパッシベーション層90と、前記パッシベーション層90上に設けられた平坦化層91と、前記平坦化層91上に設けられたOLEDアノード92と、前記平坦化層91及びOLEDアノード92上に設けられたピクセル定義層93と、前記ピクセル定義層93上から設けられ、且つ前記OLEDアノード92の上方に対応した開口935と、前記開口935内に設けられ、且つ前記OLEDアノード92上に位置する有機発光層94と、前記ピクセル定義層93及び有機発光層94上に設けられたカソード95と、を含む。
【0096】
前記パッシベーション層90及び平坦化層91上には、ソース電極81の上方に対応した第3貫通孔913が設けられており、前記OLEDアノード92は第3貫通孔913を介してソース電極81と接触している。
【0097】
具体的には、前記第3貫通孔913は、前記パッシベーション層90上に設けられた第1ビアホール901と、前記平坦化層91上に設けられた第2ビアホール912とを含む。前記第1ビアホール901と第2ビアホール912は上下方向において対応し、且つ相互に連通している。
【0098】
具体的には、前記開口935の面積は前記OLEDアノード92の面積よりも小さく、前記開口935の底部が全てアノード材料で敷き詰められることを保証できる。
【0099】
具体的には、前記有機発光層94は、前記OLEDアノード92上に下方から上方に向かって順次積層された、正孔注入層、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を含む。
【0100】
具体的には、前記カソード95の材料は金属であり、好ましくは銀である。
【0101】
上記のOLEDパネルは上述のTFT基板を含んでおり、そのゲート電極60及び活性層40の性能は安定しており、TFT素子はより優れた動作安定性を有し、以ってOLEDパネルはより良好な発光安定性を有する。
【0102】
以上のように、本発明は、TFT基板、その製造方法、及びOLEDパネルの製造方法を提供する。本発明のTFT基板の製造方法において、まず、ゲート電極及び活性層を覆う第1層間絶縁層をバッファ層上に形成し、且つ第1層間絶縁層の材料を酸窒化ケイ素としているため、ゲート電極の表面の金属銅が酸化しないように保護され、ゲート電極の性能の安定性が確保されるとともに、過剰の水素が活性層中に導入されるのを防ぐことができる。さらに、第1層間絶縁層の上方に第2層間絶縁層を形成し、且つ第2層間絶縁層の材料を酸化ケイ素としているため、過剰の水素が活性層に導入されるのを回避し、活性層の性能の安定性が確保され、TFT素子の動作安定性を向上させることができる。本発明のTFT基板は、上記のTFT基板の製造方法を用いて製造されたものであり、そのゲート電極及び活性層の性能は安定しており、TFT素子はより優れた動作安定性を有する。本発明のOLEDパネルの製造方法において、上述のTFT基板の製造方法を用いてTFT基板を製造するため、TFT素子はより優れた動作安定性を有することが保証され、以ってOLEDパネルはより良好な発光安定性を有することが保証される。本発明のOLEDパネルは上記のTFT基板を含んでおり、そのTFT素子はより優れた動作安定性を有し、以ってOLEDパネルはより良好な発光安定性を有する。
【0103】
以上により、本分野における通常の技術者は、本発明の技術案及び技術的思想に依拠してその他各種の対応する改変及び変形を行なうことができ、これら改変及び変形はいずれも本発明の特許請求の範囲に属するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14