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特許7058745ブドウ膜炎の予防または治療のための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-14
(45)【発行日】2022-04-22
(54)【発明の名称】ブドウ膜炎の予防または治療のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/397 20060101AFI20220415BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20220415BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20220415BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220415BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20220415BHJP
【FI】
A61K31/397
A61K31/495
A61K31/5375
A61K31/5377
A61P27/02
C12N15/09 Z ZNA
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020543933
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2019001989
(87)【国際公開番号】W WO2019164222
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2018-0020058
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514052597
【氏名又は名称】チョン クン ダン ファーマシューティカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヨンイル
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ニナ
(72)【発明者】
【氏名】シン,テクファン
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524597(JP,A)
【文献】特表2013-542994(JP,A)
【文献】特表2013-518050(JP,A)
【文献】特表2006-512318(JP,A)
【文献】Neuromol Med,2016年,Vol.18,pp.134-145
【文献】IOVS,2015年,Vol.56, No.7,p.882
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C12N 15/09
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、ブドウ膜炎の予防または治療用の医薬組成物。
【化1】

前記式において、
Aは
【化2】

であり、
XaおよびXbは各々独立してCHであり、
およびLは各々独立して水素またはハロゲンであり、
QはC(=O)であり、
Yは下記グループから選択され
【化3】

MはC、NまたはOであり(この時、MがCである場合、lおよびmは1であり、MがNである場合、lは1であり、mは0であり、MがOである場合、lおよびmは0である。)、
a1およびRa2は各々独立して水素;非置換の-1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;又はハロゲンであり
は下記グループから選択され
【化4】

およびPは各々独立して水素;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲンで置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;ハロゲン;または-CFである。
【請求項2】
前記化学式Iで表される化合物は、下記化学式Iaで表される化合物である、請求項1に記載の医薬組成物:
【化5】

前記式において、
およびLは各々独立して水素またはハロゲンであり、
Yは
【化6】
であり、
a1 およびR a2 は各々独立して水素;非置換の-C 1-4 直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;ハロゲンであり、
Zはフェニルまたはピリジニルである(ここで、フェニルまたはピリジニルの一つ以上の水素はハロゲン、CFまたはCHFで置換されてもよい。)。
【請求項3】
前記化学式Iaで表される化合物は、下記表に記載された化合物である、請求項2に記載の医薬組成物:
【表1】
【請求項4】
前記ブドウ膜炎は、前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎または全ブドウ膜炎である、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ブドウ膜炎は、感染性ブドウ膜炎または非感染性ブドウ膜炎である、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
非経口投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物は、点眼投与される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、腹腔内投与される、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ブドウ膜炎の治療用医薬の製造における、請求項1に記載の化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むブドウ膜炎の予防または治療用の医薬組成物、前記化合物を用いた治療方法およびブドウ膜炎を治療するための薬剤の製造における前記化合物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ブドウ膜は、眼球の最外膜である角膜、強膜の中にある中間膜であって、虹彩、毛様体、脈絡膜で構成され、そこに発生する炎症をブドウ膜炎(uveitis)と定義する。ブドウ膜は、血管が豊富で結合組織が多くて炎症が起き易く、様々な原因と炎症の程度に応じて様々な症状が現れる。ブドウ膜炎の代表的な症状としては、視力低下と飛蚊症、痛みと出血、流涙と眩しさなどが知られている。
【0003】
ブドウ膜炎は、炎症の位置に応じて、前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎および全ブドウ膜炎に分類することができる。また、ブドウ膜炎は、ウイルスや細菌による感染性ブドウ膜炎および自己免疫体系の異常による非感染性ブドウ膜炎に分けることができ、大半は免疫学的な要因の場合が多い。しかし、現在のところ、ブドウ膜炎の正確な発病メカニズムについては未だに明らかになっていない。
【0004】
ブドウ膜炎の代表的な治療剤としては、ステロイドや免疫抑制剤が用いられる。しかし、ステロイド点眼剤の場合、ブドウ膜組織への薬物浸透のために高用量を使うようになり、白内障、眼圧の上昇、感染の増加などの深刻な副作用が現れる場合が多い。また、長期的な経口ステロイドの服用は、骨粗鬆症、骨壊死、視床下部-脳下垂体-副腎軸の抑制、感染の増加、代謝および電解質、消化器系の異常などの様々な副作用を誘発しうる。一方、ステロイドの代替療法として用いられている免疫抑制剤も骨髄の抑制、腎臓機能および肝機能の損傷などの副作用をもたらす可能性がある。このため、ステロイドおよび免疫抑制剤の十分な治療にもかかわらず、5~10%の患者は失明に至るなど、患者の人生に多くの問題を引き起こしている。そこで、ターゲット組織に円滑に浸透し副作用の少ないブドウ膜炎治療剤の開発が至急に求められている。
【0005】
この背景下、本発明者らは、ブドウ膜炎の治療剤を開発するために鋭意努力した結果、本発明に係る化合物がブドウ膜炎の予防または治療に有用に使用できることを確認し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2014-0128886号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、下記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むブドウ膜炎の予防または治療用の医薬組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記化合物を治療学的有効量で投与するステップを含むブドウ膜炎の治療方法を提供することにある。
【0009】
本発明のまた他の目的は、ブドウ膜炎を治療するための薬剤の製造における前記化合物の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これを具体的に説明すれば次の通りである。一方、本発明に開示された各々の説明および実施形態は、各々に対する他の説明および実施形態にも適用可能である。すなわち、本発明に開示された様々な要素の全ての組み合わせは本発明の範疇に属する。また、下記に記された具体的な記述により本発明の範疇が制限されるものではない。
【0011】
本発明は、下記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むブドウ膜炎の予防または治療用の医薬組成物を提供する。
【0012】
【化1】

前記式において、
Aは
【化2】

であり、
XaおよびXbは各々独立してCHまたはNであり、
およびLは各々独立して水素、ハロゲン、-CFまたは-C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり、
QはC(=O)、S(=O)、S(=O)またはC(=NH)であり、
Yは下記グループから選択され
【化3】

MはC、N、O、SまたはS(=O)であり(この時、MがCである場合、lおよび
mは1であり、MがNである場合、lは1であり、mは0であり、MがO、SまたはS(=O)である場合、lおよびmは0である。)、
a1およびRa2は各々独立して水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルコール;ベンズヒドリル;N、O、S中の1~3個のヘテロ原子を環員として含む飽和もしくは不飽和の5~7員複素環式化合物で置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル(この時、複素環式化合物は非置換もしくは一つ以上の水素が任意にOH、OCH、CH、CHCHまたはハロゲンで置換されてもよい。);N、O、S中の1~3個のヘテロ原子を環員として含む飽和もしくは不飽和の5~7員複素環式化合物(この時、複素環式化合物は非置換もしくは一つ以上の水素が任意にOH、OCH、CH、CHCHまたはハロゲンで置換されてもよい。);非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-2アルキルまたはヒドロキシで置換されたフェニル;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-2アルキルまたはヒドロキシで置換されたベンジル;-S(=O)CH;ハロゲン;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6アルコキシアルキル;-C(=O)R、ここで、Rは直鎖もしくは分枝鎖のC1-3アルキルまたはC3-10シクロアルキルであり;
【化4】

ここで、RおよびRは各々独立して水素、C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり;
【化5】

であり、
nは0、1または2の整数であり、
は水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲンで置換された-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;-C(=O)CH;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のヒドロキシアルキル;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシアルキル;-CF;ハロゲン;または
【化6】

であり、
およびRは各々独立して水素または-C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり、および
Zは下記グループから選択され
【化7】

およびPは各々独立して
【化8】

水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲンで置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;ハロゲン;-CF;-OCF;-CN;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6直鎖もしくは分枝鎖のアルキルアルコキシ;-CHF;または-C1-3アルコールであり、
ここで、
【化9】

はフェニル、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、インドール、インダゾール、ピペラジン、キノリン、フラン、テトラヒドロピリジン、ピペリジンまたは下記グループから選択された環であり
【化10】

x、yおよびzは各々独立して0または1の整数であり、
g1、Rg2およびRg3は各々独立して水素;ヒドロキシ;-C1-3アルキル;-CF;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6直鎖もしくは分枝鎖のアルキルアルコキシ;-C(=O)CH;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のヒドロキシアルキル;-N(CH;ハロゲン;フェニル;-S((=O))CH;または下記グループから選択される
【化11】
【0013】
本発明の化学式Iで表される化合物は、下記化学式Iaで表される化合物でであってもよい。
【0014】
【化12】

前記式において、
およびLは各々独立して水素またはハロゲンであり、
Yは
【化13】

であり、
Zはフェニルまたはピリジニルである(ここで、フェニルまたはピリジニルの一つ以上の水素はハロゲン、CFまたはCFHで置換されてもよい。)。
【0015】
本発明の具体例によれば、前記化学式Iaで表される化合物は、下記表1に記載された化合物である。
【0016】
【表1】
【0017】
本発明において、前記化学式Iで表される化合物は、大韓民国公開特許公報第2014-0128886号に開示された方法により製造できるが、これに制限されるものではない。
【0018】
本発明において、薬学的に許容可能な塩は、医薬業界で通常用いられる塩を意味し、例えば、カルシウム、カリウム、ナトリウムおよびマグネシウムなどから製造された無機イオン塩、塩酸、硝酸、リン酸、臭素酸、ヨウ素酸、過塩素酸および硫酸などから製造された無機酸塩、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アルパラギン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸などから製造された有機酸塩、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などから製造されたスルホン酸塩、グリシン、アルギニン、リジンなどから製造されたアミノ酸塩、およびトリメチルアミン、トリエチルアミン
、アンモニア、ピリジン、ピコリンなどから製造されたアミン塩などが挙げられるが、列挙されたこれらの塩により、本発明で意味する塩の種類が限定されるものではない。
【0019】
本発明で用いられる用語「ブドウ膜炎」は、目の内部部分の炎症、特に目の中間層(ブドウ膜)の炎症を意味する。より具体的には、本発明に係るブドウ膜炎は、虹彩の炎症(虹彩炎)および虹彩と毛様体(ciliary body)の炎症(毛様体炎)をはじめとするブドウ膜系の前半部の炎症である前部ブドウ膜炎;ガラス質(vitreous)での炎症である中間部ブドウ膜炎(周辺性ブドウ膜炎または慢性毛様体炎);そして脈絡膜(choroid)の炎症(脈絡膜炎)および脈絡膜と網膜の炎症(脈絡網膜炎)をはじめとする目の水晶体の後ろでのブドウ膜系の一部の炎症である後部ブドウ膜炎だけでなく、全ブドウ膜系に影響を与えるブドウ膜炎である全ブドウ膜炎を含む。また、本発明において、ブドウ膜炎は、ウイルスまたは細菌による感染性ブドウ膜炎、および自己免疫疾患による非感染性ブドウ膜炎を含む。
【0020】
本発明の実施例において、化学式Iaで表される化合物255、280、374、416、461、476、500、530または532は、in vitroでTNFαなどの炎症性分子の産生を抑制し(図1)、反応T細胞の増殖を抑制し(図2)、調節T細胞の機能を向上させる効果(図3)に優れることが確認された。
【0021】
また、本発明の化合物374の場合、ブドウ膜炎疾患誘発動物モデルでのブドウ膜炎の病変を減少させ(図4図6)、炎症細胞の浸潤を抑制させるだけでなく(図7図10)、脾臓および炎症部位の炎症性サイトカインの発現を抑制し(図11および図12)、網膜およびリンパ節での免疫細胞数を減少させる効果(図13図21)に優れることが確認された。
【0022】
本発明の医薬組成物は、投与のために、前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩の他に、薬学的に許容可能な担体を1種以上さらに含むことができる。薬学的に許容可能な担体は、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールおよびこれらの成分のうちの1成分以上を混合して用いることができ、必要により、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤および潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。したがって、本発明の組成物は、パッチ剤、液剤、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、坐剤などであってもよい。これらの製剤は、各疾患に応じておよび/または成分に応じて、本発明が属する技術分野で製剤化に用いられる通常の方法またはRemington’s Pharmaceutical Science(最近版)、Mack Publishing Company、Easton PAに開示された方法により製剤化できる。
【0023】
本発明の医薬組成物を用いた経口投与用製剤の非制限的な例としては、錠剤、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルション、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物を経口投与用に製剤化するために、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロースまたはゼラチンなどのような結合剤;ジカルシウムホスフェートなどのような賦形剤;トウモロコシデンプンまたはサツマイモデンプンなどのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムまたはポリエチレングリコールワックスなどのような潤滑油などを用いることができ、甘味剤、芳香剤、シロップ剤なども用いることができる。さらに、カプセル剤の場合は、上記で言及した物質の他に、脂肪油のような液体担体などをさらに用いることができる。
【0024】
本発明の医薬組成物を用いた非経口用製剤の非制限的な例としては、注射液、坐剤、呼吸器吸入用粉末、スプレー用エアロゾル剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、クリームなどが挙げられる。本発明の医薬組成物を非経口投与用に製剤化するために、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、外用剤などを用いることができ、前記非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル、エチルオレエートのような注射可能なエステルなどを用いることができ、例えば、点眼用組成物を含む眼科用溶液またはエマルション、眼科用ゲル、眼科用軟膏または油性ローションを用いることができるが、これらに制限されるものではない。
【0025】
本発明の医薬組成物は、経口投与または非経口投与してもよく、好ましくは非経口投与、例えば、点眼投与または腹腔内投与してもよいが、これらに制限されるものではない。
【0026】
本発明の医薬組成物が点眼用組成物の形態で用いられる場合、前記点眼用組成物は、本発明に係る化学式Iの化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を無菌水性溶液、例えば、塩水、緩衝溶液などに懸濁させることによって、またはその利用に先立ち、溶解する粉末組成物を化合させることによって製造できる。他の添加剤、例えば、等張化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなど)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、濃厚剤(例えば、糖類、例えば、ラクトース、マンニトール、マルトースなど;例えば、ヒアルロン酸またはその塩、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウムなど;例えば、ムコ多糖類(mucopolysaccharide)、例えば、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)など;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニル重合体、架橋ポリアクリル酸塩など)が点眼用組成物内に含まれうる。
【0027】
本発明の実施例において、化学式Iで表される化合物は、ブドウ膜炎疾患誘発マウスに点眼投与時に炎症部位および全身性炎症の抑制効果に優れており、効果的なブドウ膜炎の治療効果を示すことが確認された。
【0028】
本発明の化学式Iで表される化合物、その光学異性体または薬学的に許容可能な塩の1日投与量は、例えば、約0.1~10,000mg/kgの範囲、約1~8,000mg/kgの範囲、約5~6,000mg/kgの範囲、または約10~4,000mg/kgの範囲であってもよく、好ましくは、約50~2,000mg/kgの範囲であってもよいが、これらに制限されず、1日に1回~数回に分けて投与できる。
【0029】
本発明の医薬組成物の薬学的有効量、有効投与量は、医薬組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間および/または投与経路などに応じて様々であり、医薬組成物の投与により達成しようとする反応の種類と程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食餌、排泄、該個体に同時または異時に共に用いられる薬物その他の組成物の成分などをはじめとする様々な因子および医薬分野で周知の類似因子に応じて様々であり、当該技術分野における通常の知識を有した者であれば、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定し処方することができる。
【0030】
本発明の医薬組成物の投与は、1日に1回投与されてもよく、数回に分けて投与されてもよい。本発明の医薬組成物は、個別治療剤として投与されるか、または他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与されてもよい。前記要素を全て考慮して副作用なしに最小限の量で最大の効果を得ることができる量をもって投与することができ、これは本発明が属する技術分野における通常の技術者により容易に
決定できる。
【0031】
本発明の医薬組成物は、単独で用いても優れた効果を発揮することができるが、治療効率を増加させるためにさらにホルモン治療、薬物治療などの様々な方法と併用して用いることができる。
【0032】
また、本発明は、前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする個体に治療学的に有効な量で投与するステップを含むブドウ膜炎の治療方法を提供する。
【0033】
本発明で用いられる用語「治療学的に有効な量」とは、ブドウ膜炎の治療に有効な前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩の量を示す。
【0034】
本発明の治療方法において、前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩の好適な総1日使用量は正しい医学的な判断範囲内で処置医によって決定でき、例えば、約0.1~10,000mg/kgの範囲、約1~8,000mg/kgの範囲、約5~6,000mg/kgの範囲、または約10~4,000mg/kgの範囲であってもよく、好ましくは、約50~2,000mg/kgの範囲の量を1日に1回~数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によっては他の製剤が用いられるか否かをはじめとする具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食餌、投与時間、投与経路および組成物の分泌率、治療期間、具体的な組成物と共に用いられるかまたは同時に用いられる薬物をはじめとする様々な因子と医薬分野で周知の類似因子に応じて異に適用することが好ましい。
【0035】
本発明のブドウ膜炎の治療方法は、前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を投与することによって、兆候の発現前に疾病そのものを取り扱うだけでなく、その兆候を阻害するか避けることもまた含む。疾患の管理において、特定の活性成分の予防的または治療学的な用量は、疾病または状態の特性と深刻度、そして活性成分が投与される経路に応じて様々である。用量および用量の頻度は、個別患者の年齢、体重および反応に応じて様々である。好適な用量用法は、このような因子を当然に考慮する本分野の通常の知識を有した者により容易に選択できる。また、本発明のブドウ膜炎の治療方法は、前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩と共に疾患の治療に有用な追加の活性製剤の治療学的に有効な量の投与をさらに含むことができ、追加の活性製剤は、前記化学式Iの化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩と共にシナジー効果または相加効果を示すことができる。
【0036】
また、本発明は、ブドウ膜炎を治療するための薬剤の製造において、前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩の用途を提供しようとする。薬剤を製造するための前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、担体などを混合することができ、その他の活性製剤と共に複合製剤に製造されて相乗作用を有することができる。
【0037】
本発明の医薬組成物、治療方法および用途において言及された事項は、互いに矛盾しない限り同様に適用される。
【発明の効果】
【0038】
本発明の化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、優れたブドウ膜炎治療効果を示し、ブドウ膜炎の予防または治
療用として広く活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の化合物の免疫細胞株に対するTNFα分泌抑制効果を確認した結果を示す。
図2】本発明の化合物の反応T細胞増殖抑制効果を確認した結果を示す。
図3】本発明の化合物の調節T細胞機能調節効果を確認した結果を示す。
図4】EAU(experimental autoimmune uveitis)マウスの網膜に対するブドウ膜炎の臨床的等級を評価したグラフを示す(*:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001、 Tukeyの多重比較テスト(Tukey’s Multiple Comparison Test)を用いる )。
図5】EAUマウスの網膜に対する臨床的変化を確認した写真を示す。
図6】EAUマウスの網膜に対するH&E(hematoxylin & eosin)染色結果を示す。
図7】EAUマウスの網膜でのCD3およびB220に対する免疫蛍光染色結果を示す。
図8】EAUマウスの網膜でのHDAC6およびCD4に対する免疫蛍光染色結果を示す。
図9】EAUマウスの網膜でのHDAC6およびB220に対する免疫蛍光染色結果を示す。
図10】EAUマウスの網膜でのHDAC6およびα-チューブリンに対する免疫蛍光染色結果を示す。
図11】EAUマウスの脾臓組織でのIFN-γおよびIL-17Aに対するELISA結果を示す(*:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001、Tukeyの多重比較テストを用いる‘)。
図12】EAUマウスの眼球組織でのHDAC、IL-β、IFN-γ、IL-17およびTNF-αに対するリアルタイムPCR結果を示す(V:ビヒクル;C:CKD4;*:p<0.05;**:p<0.01;***:p<0.001‘、Tukeyの多重比較テストを用いる)
図13】本発明の化合物が点眼投与されたEAUマウスの網膜組織でのIFN-γ(+)/CD4(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図14】本発明の化合物が腹腔内投与されたEAUマウスの網膜組織でのIFN-γ(+)/CD4(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図15】本発明の化合物が点眼投与されたEAUマウスのリンパ節でのIFN-γ(+)/CD4(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図16】本発明の化合物が腹腔投与されたEAUマウスのリンパ節でのIFN-γ(+)/CD4(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図17】本発明の化合物が点眼投与されたEAUマウスのリンパ節でのIL-1β(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図18】本発明の化合物が点眼投与されたEAUマウスの網膜組織でのIL-1β(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図19】本発明の化合物が腹腔投与されたEAUマウスのリンパ節でのCD11b(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図20】本発明の化合物が腹腔投与されたEAUマウスのリンパ節でのCD19(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
図21】本発明の化合物が腹腔投与されたEAUマウスのリンパ節でのF4/80(+)免疫細胞に対するFACS結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下では、本発明について製造例および実施例を通じてより詳しく説明する。但し、これらの製造例および実施例は本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの製造例および実施例に限定されるものではない。
【0041】
本発明の化合物255、280、374、416、461、476、500、530または532は大韓民国公開特許公報第2014-0128886号に記載された方法を利用して製造し、具体的な製造例は以下に記述する。各々の製造例において新たに命名された化学式は専ら該当製造例内においてのみ言及され、2以上の製造例において言及される化学式は各々の製造例において独立に使われる。
【0042】
製造例1.化合物255 {N-(3-ブロモフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((N-(3-ブロモフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【0043】
【化14】
【0044】
メチル4-(((3-ブロモフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(1.5g、3.09mmol)をアセトニトリル(50ml)に溶かした後、炭酸カリウム(1.28g、9.3mmol)とモルホリン(0.40mL、4.64mmol)を徐々に添加した。その後、温度を徐々に上げた後、80℃で3時間攪拌した。温度を室温にまで下げた後、ジメチルホルムアミド(50ml)をさらに添加し、再び温度を上げて80℃で5時間攪拌した。反応を終了させ、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~50%)により精製して表題化合物(0.45g、33.6%)を透明オイルの形態で得た。
【0045】
[ステップ2]N-(3-ブロモフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0046】
【化15】
【0047】
メチル4-((N-(3-ブロモフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.05g、0.12mmol)をメタノール(2ml)に溶かした後、ヒドロキシルアミン塩酸(0.040g、0.58mmol)を徐々に添加した。その後、水酸化カリウム(0.065g、1.15mmol)を
入れ、室温で10分間攪拌した後、ヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、0.14mL、2.31mmol)を入れた。1日間室温で攪拌した後、減圧下で有機溶媒を濃縮させ、2N塩酸を入れて中和した後、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過した後に濾過液を減圧濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~80%)により精製して表題化合物(0.036g、72%)を白色固体の形態で得た。
【0048】
H NMR(400 MHz, CDCl-d) δ 7.63 (d, 2 H, J= 7.8 Hz), 7.27 - 7.20 (m, 4 H), 7.13 (t, 1 H, J= 7.8 Hz), 6.96 (d, 1 H, J= 7.1 Hz), 4.83 (s, 2 H), 3.49 (brs, 4 H),
3.23 (brs, 4 H);MS(ESI) m/z 436 (M+ H).
【0049】
製造例2.化合物280 {N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((ピリジン-2-イルアミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【0050】
【化16】
【0051】
ピリジン-2-アミン(0.2g、2.13mmol)をメタノール(10mL)に溶かした後、メチル4-ホルミルベンゾエート(0.35g、2.13mmol)を添加した。室温で20分間攪拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.13g、2.13mmol)と酢酸(0.12mL、2.13mmol)を徐々に添加し、室温で5時間攪拌した。飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~30%)により精製して表題化合物(0.10g、19%)を透明オイルの形態で得た。
【0052】
H NMR(400 MHz, CDCl) δ 8.17 (d, 1 H, J= 5.8 Hz), 8.06 (d, 2 H, J= 8.4 Hz), 7.66 (t, 1 H, J= 7.8 Hz), 7.44 (d, 2 H, J=
8.0 Hz), 6.76 (t, 1 H, J= 6.7 Hz), 6.58
(d, 1 H, J= 8.6 Hz), 4.67 (d, 2 H, J= 6.0 Hz), 3.92 (s, 3 H)
【0053】
[ステップ2]メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【0054】
【化17】
【0055】
メチル4-((ピリジン-2-イルアミノ)メチル)ベンゾエート(0.040g、0.16mmol)をジメチルホルムアミド(3mL)に溶かした後、炭酸カリウム(0.046g、0.33mmol)を徐々に添加した。その後、4-ニトロフェニルクロロホルメート(0.037g、0.18mmol)を添加し、温度を徐々に上げて50℃で2日間攪拌した。反応終了後、エチルアセテート層を飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~50%)により精製して表題化合物(0.048g、71%)を黄色オイルの形態で得た。
【0056】
H NMR(400 MHz, CDCl) δ 8.49 - 8.48 (m, 1 H), 8.24 (dd, 2 H, J = 7.0, 2.2 Hz),
8.17 (dd, 2 H, J= 7.2, 2.0 Hz), 8.00 (d, 2 H, J= 8.4 Hz), 7.78 (t, 1 H, J= 3.8 Hz), 7.44 (d, 2 H, J= 8.0 Hz), 6.91 (dd,
2 H, J= 7.3, 2.1 Hz), 5.39 (brs, 2 H), 3.92 (s, 3 H); MS(ESI) m/z 408 (M+ H)
【0057】
[ステップ3]メチル4-((N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido))メチル)ベンゾエートの合成
【0058】
【化18】
【0059】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.040g、0.098mmol)をジメチルホルムアミド(5ml)に溶かした後、炭酸カリウム(0.040g、0.30mmol)とモルホリン(0.013mL、0.15mmol)を徐々に添加した。その後、温度を徐々に上げた後、80℃で3時間攪拌した。反応を終了させ、飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~50%)により精製して表題化合物(0.022g、63%)を淡い黄色固体の形態で得た。
【0060】
H NMR(400 MHz, CDCl) δ 8.37 - 8.35 (m, 1 H), 7.95 (d, 2 H, J= 8.4 Hz), 7.60 -
7.58 (m, 1 H), 7.47 (d, 2 H, J= 8.4 Hz), 6.94 - 6.89 (m, 2 H), 5.13 (s, 2 H), 3.89 (s, 3 H), 3.53 - 3.51 (m, 4 H), 3.31
- 3.29 (m, 4 H)
【0061】
[ステップ4]N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0062】
【化19】
【0063】
メチル4-((N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido))メチル)ベンゾエート(0.022g、0.062mmol)をMeOH(2ml)に溶かした後、ヒドロキシルアミン塩酸(0.022g、0.31mmol)を徐々に添加した。その後、水酸化カリウム(0.035g、0.62mmol)を入れ、室温で10分程度攪拌した後、ヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、0.082mL、1.24mmol)を入れた。1日間室温で攪拌した後、減圧下で有機溶媒を濃縮させ、2N HClを入れて中和した後、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過して表題化合物(0.007g、32%)を白色固体の形態で得た。
【0064】
H NMR(400 MHz, MeOD-d) δ 8.32 (d, 1 H, J= 3.6 Hz), 7.72 (t, 1 H, J= 6.6 Hz), 7.67 (d, 2 H, J= 8.2 Hz), 7.48 (d, 2 H, J= 8.2 Hz), 7.08-7.01 (m, 2 H), 5.08 (s,
2 H), 3.52 (t, 4 H, J= 4.8 Hz), 3.29 (t, 4 H, J= 4.8 Hz);MS(ESI) m/z 357 (M+ H).
【0065】
製造例3.化合物374 {N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((3-(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチル)ベンゾエート)の合成
【0066】
【化20】
【0067】
3-(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(0.30g、1.84mmol)と炭酸カリウム(0.76g、5.53mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(5mL
)に溶かした後、メチル4-(ブロモメチル)ベンゾエート(0.42g、1.84mmol)を入れた。常温で1日間反応し、エチルアセテートで薄めた。反応物を水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して表題化合物(0.37g、65%)を得た。
【0068】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.93 (d, 2 H, J= 8.3 Hz), 7.49 (d, 2 H, J= 8.3 Hz),
7.24 (t, 1 H, J= 7.9 Hz), 6.88-6.78 (m,
4 H), 4.42 (d, 2 H, J= 6.1 Hz), 3.83 (s, 3H), MS (ESI) m/z 310 (M+ H).
【0069】
[ステップ2]メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【0070】
【化21】
【0071】
メチル4-((3-(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチル)ベンゾエート(0.26g、0.82mmol)と4-ニトロフェニルカルボノクロリダート(0.33g、1.65mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶かし、炭酸カリウム(0.34g、2.47mmol)を入れた。常温で1日間反応し、エチルアセテートで薄めた。反応物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して無色オイル形態の表題化合物(0.35g、89%)を得た。
【0072】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.20 (d, 2 H,
J = 10.2 Hz), 8.01 (d, 2 H, J = 7.8 Hz), 7.56-7.46 (m, 3H), 7.35 (d, 3 H, J = 8.0 Hz), 7.26 (d, 2 H, J = 8.1 Hz), 5.01 (bs, 2H), 3.90 (s, 3H).
【0073】
[ステップ3]メチル4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【0074】
【化22】
【0075】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.29g、0.60mmol)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、炭酸カリウム(0.25g、1.81mmol)とモルホリン(0.05mL、0.60mmol)を入れた。60℃で2日間反応させた後、飽和塩化アンモニウム溶液で薄めた。エチルアセテートで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=50%)により精製して表題化合物(0.15g、60%)を得た。
【0076】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.97 (d, 2 H, J= 8.2 Hz), 7.43-7.32 (m, 5H), 7.20 (d, 1 H, J= 8.0 Hz), 4.94 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.50 (t, 4 H, J= 4.8 Hz), 3.25 (t, 4 H, J= 4.8 Hz); MS(ESI) m/z 423 (M
H).
【0077】
[ステップ4]N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0078】
【化23】
【0079】
メチル4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.15g、0.36mmol)をメタノール(5mL)に溶かし、ヒドロキシルアミン水溶液(50wt%、1mL)と水酸化カリウム(0.10g、1.81mmol)を入れて一晩攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧蒸留して除去し、エチルアセテートと水を用いて抽出(work up)した。無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルにおいて攪拌して固体生成物を作り、濾過した後に乾燥して白色固体形態の表題化合物(0.082g、54%)を得た。
【0080】
H NMR(400 MHz, MeOD-d) δ 11.14 (brs, 1 H), 8.99 (brs, 1 H), 7.85 (d, 2 H, J= 8.0 Hz), 7.66-7.27 (m, 6 H), 4.94 (s, 2 H), 3.41 (s, 2 H), 3.15 (s, 2 H). MS(ESI) m/z 424 (M+ H).
【0081】
製造例4.化合物416 {N-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((N-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【0082】
【化24】
【0083】
メチル4-(((2,4-ジフルオロフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.50g、1.13mmol)と1-メチルピペラジン(0.126mL、1.13mmol)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、60℃で2日間加熱攪拌を行った。ジメチルホルムアミドを減圧除去し、反応混合物に水を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;メタノール/ジクロロメタン=5%)および濃縮して表題化合物(0.46g、101%)を黄色オイルの形態で得た。
【0084】
[ステップ2]N-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0085】
【化25】
【0086】
メチル4-((N-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.22g、0.545mmol)をメタノール(20mL)に溶かした後、ヒドロキシルアミン塩酸(0.189g、2.73mmol)と水酸化カリウム(0.306g、5.45mmol)を添加し攪拌した後、ヒドロキシルアミン(50wt%水溶液;0.701mL、10.9mmol)を滴加し、その後、3時間室温攪拌を行った。反応終了後、メタノールを減圧除去し、反応混合物に水を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。その後、ジクロロメタンに溶かした後にヘキサンを添加して固体を析出させ、それをフィルタ乾燥して表題化合物(0.154g、70%)を黄色固体の形態で得た。
【0087】
H NMR(400 MHz, MeOD-d) δ 7.65 (d, 2 H, J= 8.2 Hz), 7.40 (d, 2 H, J= 8.2 Hz), 7.26 - 7.25 (m, 1 H), 7.04 - 6.96 (m, 2 H), 4.79 (s, 2 H), 3.25 - 3.23 (m, 4 H),
2.24 - 2.21 (m, 7 H); MS(ESI) m/z 405.1
(M+ H).
【0088】
製造例5.化合物461 {4-エチル-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((4-エチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【0089】
【化26】
【0090】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.346g、0.73mmol)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶かし、炭酸カリウム(0.30g、2.19mmol)と1-エチルピペラジン(0.09mL、0.73mmol)を入れた。60℃で1日間反応させた後にエチルアセテートで薄め、飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=50%)により精製して表題化合物(0.15g、46%)を得た。
【0091】
[ステップ2]4-エチル-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0092】
【化27】
【0093】
メチル4-((4-エチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.15g、0.33mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、ヒドロキシルアミン(50wt%水溶液、0.20mL)と水酸化カリウム(0.09g、1.67mmol)を入れて一晩攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧蒸留して除去し、エチルアセテートと水を用いて抽出(work up)した。無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルにおいて攪拌して固体を作り、濾過した後に乾燥して黄色固体形態の表題化合物(0.09g、61%)を得た。
【0094】
H NMR(400 MHz, DMSO-d) δ 11.1 (brs, 1
H), 7.65 (d, 2 H, J= 8.2 Hz), 7.51 (t, 1 H, J= 7.9 Hz), 7.41-7.36 (m, 5 H), 4.92 (s, 2 H), 3.17-3.14 (m, 4 H), 2.25, 2.22 (ABq, 2 H, J= 12.4, 7.2 Hz), 2.18-2.15 (m, 4 H), 0.92 (t, 3 H, J= 7.2 Hz); MS(ESI) m/z 451.1 (M+ H).
【0095】
製造例6.化合物476 {3,3-ジフルオロ-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((3,3-ジフルオロ-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【0096】
【化28】
【0097】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.24g、0.51mmol)をジメチルホルムアミド(5mL)に溶かし、炭酸カリウム(0.21g、1.52mmol)と3,3-ジフルオロアゼチジン塩酸塩(0.13g、1.10mmol)を入れた。60℃で2日間反応させた後、飽和塩化アンモニウム溶液で薄めた。エチルアセテートで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30%)により精製して表題化合物(0.14g、63%)を得た。
【0098】
[ステップ2]3,3-ジフルオロ-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0099】
【化29】
【0100】
メチル4-((3,3-ジフルオロ-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.14g、0.32mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、ヒドロキシルアミン水溶液(50wt%、0.2mL)と水酸化カリウム(0.09g、1.60mmol)を入れて一晩攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧蒸留して除去し、エチルアセテートと水を用いて抽出(work up)した。無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルにおいて攪拌して固体生成物を作り、濾過した後に乾燥して白色固体形態の表題化合物(0.072g、52%)を得た。
【0101】
製造例7.化合物500 {N-(3-(フルオロメチル)フェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((N-(3-(フルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【0102】
【化30】
【0103】
4-((N-(3-(ヒドロキシメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)安息香酸(1.25g、3.25mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶かし、0℃でジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST、0.424mL、3.58mmol)を添加し、同じ温度で1時間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30~50%)および濃縮して表題化合物(0.617g、49%)を無色液体の形態で得た。
【0104】
[ステップ2]N-(3-(フルオロメチル)フェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0105】
【化31】
【0106】
メチル4-((N-(3-(フルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.100g、0.259mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、室温でヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、1.11mL、18.1mmol)を添加した。その次に、水酸化カリウム(0.145g、2.59mmol)を添加した後、同じ温度で30分間攪拌した。その後、反応混合物を減圧下で溶媒を除去して得られた濃縮物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物にジクロロメタン(5mL)とヘキサン(30mL)を入れて攪拌した後に析出された固体を濾過し乾燥して表題化合物(0.089g、89%)を白色固体の形態で得た。
【0107】
H NMR(400 MHz, DMSO-d) δ 11.12 (brs, 1 H), 8.98 (brs, 1 H), 7.64 (d, 2 H, J= 8.3 Hz), 7.36 - 7.32 (m, 3 H), 7.20 (s, 1 H), 7.15 (d, 1 H, J= 7.5 Hz), 7.09 (d,
1 H, J= 7.4 Hz), 5.36 (d, 2 H, J= 47.5 Hz), 4.87 (s, 2 H), 3.39 (t, 4 H, J= 4.6
Hz), 3.13 (t, 4 H, J= 4.6 Hz). MS (ESI)
m/z 388 (M+ H).
【0108】
製造例8.化合物530 {N-(3-フルオロフェニル)-N-(4-ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((3-フルオロフェニルアミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【0109】
【化32】
【0110】
メチル4-ホルミルベンゾエート(1.47g、8.99mmol)をメタノール(50mL)に溶かした後、3-フルオロベンゼンアミン(1.0g、8.99mmol)を入れた。常温で3時間反応し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH)(0.56g、8.99mmol)と酢酸(1.03mL、17.99mmol)を入れた。反応物を常温で1日間反応した後に反応溶媒を減圧して除去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して表題化合物(1.84g、79%)を得た。
【0111】
[ステップ2]メチル4-(((3-フルオロフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【0112】
【化33】
【0113】
メチル4-((3-フルオロフェニルアミノ)メチル)ベンゾエート(2.7g、10.4mmol)と4-ニトロフェニルクロロホルメート(4.20g、20.8mmol)をアセトニトリル(100mL)に溶かし、炭酸カリウム(4.32g、31.2mmol)を入れた。常温で1日間反応し、エチルアセテートで薄めた。反応物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して無色オイル形態の表題化合物(2.65g、60%)を得た。
【0114】
[ステップ3]メチル4-((N-(3-フルオロフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート)の合成
【0115】
【化34】
【0116】
メチル4-(((3-フルオロフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.32g、0.75mmol)をジメチルホルムアミド(5mL)に溶かし、炭酸カリウム(0.31g、2.24mmol)とモルホリン(0.13mL、1.49mmol)を入れた。60℃で1日間反応させた後、飽和塩化アンモニウム溶液で薄めた。エチルアセテートで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30%)により精製して表題化合物(0.13g、45%)を得た。
【0117】
[ステップ4]N-(3-フルオロフェニル)-N-(4-ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0118】
【化35】
【0119】
メチル4-((N-(3-フルオロフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.108g、0.290mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、室温でヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、1.19mL、19.4mmol)を添加した。その次に、水酸化カリウム(0.156g、2.78mmol)を添加した後、同じ温度で16時間攪拌した。その後、反応混合物を減圧下で溶媒を除去して得られた濃縮物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。析出された固体を濾過し乾燥して表題化合物(0.062g、57%)を白色固体の形態で得た。
【0120】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 11.14 (brs,
1 H), 8.99 (brs, 1 H), 7.65 (d, 2 H, J = 7.0 Hz), 7.38-7.30 (m, 3H), 7.05-6.85 (m, 3H), 4.89 (s, 1H), 3.44-3.42 (m, 4H), 3.18-3.15 (m, 4H), 2.08 (s, 3H). MS (ESI) m/z 374 (M+ H).
【0121】
製造例9.化合物532 {N-(2-フルオロ-4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾニトリルの合成
【0122】
【化36】
【0123】
3-(トリフルオロメチル)アニリン(0.998mL、8.068mmol)をアセトニトリル(60mL)に溶かし、室温で4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリル(2.072g、9.682mmol)とDIPEA(2.143mL、12.102mmol)を添加し、同じ温度で1日間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=5~20%)および濃縮して表題化合物(2.380g、64.4%)を黄色液体の形態で得た。
【0124】
[ステップ2]3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)安息香酸の合成
【0125】
【化37】
【0126】
3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾニトリル(2.310g、7.850mmol)と水酸化リチウム(3.294g、78.505mmol)をメタノール(40mL)/HO(20mL)に混ぜた反応混合物を16時間加熱還流した後に室温に下げ、反応混合物を減圧下で濃縮した。2M塩酸水溶液を入れてpH=1に作り、析出された固体を濾過した後に乾燥して表題化合物(1.700g、69.1%)を白色固体の形態で得た。
【0127】
[ステップ3]メチル3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【0128】
【化38】
【0129】
3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)安息香酸(1.700g、5.427mmol)、メタノール(4.402mL、108.540mmol)、EDC(2.081g、10.854mmol)、HOBt(1.467g、10.854mmol)、そしてDIPEA(2.883mL、16.281m
mol)を室温でテトラヒドロフラン(50mL)に溶かした反応溶液を同じ温度で16時間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=10~40%)および濃縮して表題化合物(1.500g、84.5%)を無色液体の形態で得た。
【0130】
[ステップ4]メチル3-フルオロ-4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【0131】
【化39】
【0132】
メチル3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(1.500g、4.583mmol)、4-ニトロフェニルカルボノクロリダート(1.848g、9.167mmol)、そして炭酸カリウム(1.900g、13.750mmol)を室温でアセトニトリル(80mL)に溶かした反応溶液を同じ温度で16時間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=10~40%)および濃縮して表題化合物(0.927g、41.1%)を無色液体の形態で得た。
【0133】
[ステップ5]メチル3-フルオロ-4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【0134】
【化40】
【0135】
メチル3-フルオロ-4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.129g、0.262mmol)、モルホリン(0.046mL、0.524mmol)、そして炭酸カリウム(0.109g、0.786mmol)を60℃でN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶かした反応溶液を同じ温度で2日間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロ
マトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30~60%)および濃縮して表題化合物(0.094g、81.5%)を無色液体の形態で得た。
【0136】
[ステップ6]N-(2-フルオロ-4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【0137】
【化41】
【0138】
メチル3-フルオロ-4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.094g、0.213mmol)とヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、0.071g、2.134mmol)をメタノール(5mL)に溶かし、室温で水酸化カリウム(0.060g、1.067mmol)を添加し、同じ温度で2時間攪拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。濃縮物にジエチルエーテル(10mL)を入れて攪拌した後に析出された固体を濾過し乾燥して化合物532(0.068g、72.2%)を明るい黄色固体の形態で得た。
【0139】
H NMR(400 MHz, DMSO-d) δ 11.2 (brs, 1
H), 9.13 (brs, 1 H), 7.57 - 7.42 (m, 7 H), 4.94 (s, 2 H), 3.44 - 3.34 (m, 4 H),
3.18 - 3.12 (m, 4 H); MS(ESI) m/z 442.1
(M+ H).
【0140】
実施例1.免疫細胞株におけるTNFα分泌抑制効果の確認(in vitro)
免疫反応において本発明に係る化合物のTNFα分泌抑制効能を確認するために、LPSで刺激されたヒト単核白血球細胞株(THP-1)における本発明の化合物374、461、500、530、532の処理によるTNFαの生成程度を酵素免疫測定法(ELISA)により定量した。
【0141】
具体的には、THP-1細胞株(ATCC)の培養には10% FBSを含むRPMI-1640培地を用いた。24ウェルプレートにウェル当たり1×10細胞を分株した後、100ng/mL PMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)を24時間処理してマクロファージに分化させた。その後、新しい培養培地に交替し、24時間テスト薬物を処理し、10ng/mL LPS(E.Coli、O55:B5)を4時間処理して細胞を刺激した。その後、上澄み液を取って、細胞から分泌されたTNFaの量をHuman TNFa Instant ELISA kit(eBioscience、BMS223INST)を用いて、製造会社が提供したプロトコルに従って測定した。
【0142】
その結果、全ての実験群において、LPSで炎症反応を誘発した対照群に比べて、TNFα分泌レベルが減少したことが明らかになった。特に、化合物374、461および500は、100nMおよび300nM濃度の全てにおいてLPSで炎症反応を誘発しない
レベルにTNFα分泌レベルが顕著に減少した。また、化合物530および532において、100nMから300nMに化合物の処理濃度を増加させる場合、TNFα分泌レベルが急激に減少した(図1)。
【0143】
前記実験結果は、本発明の化合物がブドウ膜炎において増加する炎症反応因子であるTNFαの分泌を非常に効果的に抑制することにより、ブドウ膜炎に現れる炎症反応を効果的に抑制することを示す。
【0144】
実施例2.反応T細胞増殖抑制効果の確認(in vitro)
本発明に係る化合物の免疫反応時における反応T細胞増殖抑制効能を確認するために、LPSで刺激されたヒト単核白血球細胞株(THP-1)における本発明の化合物255、280、374、416、476を反応T細胞と調節T細胞と共に培養した後の調節T細胞の増殖抑制効能を測定した。
具体的には、6週齢のC57BL6雄マウスを中央実験動物(株)から供給を受けて1週間馴化した後に実験に用いた。マウスから脾臓を分離した後、collagenase
D(Roche、11088866001)を処理してsplenocyteに分離した。CD4+CD25+regulatory T cell isolation kit(Miltenyi Biotec、130-091-041)を用いてTreg(CD4+CD25-)とTeff(CD4+CD25+)を製造会社が提供したプロトコルに従って分離し出した。eFluor670(Cell proliferation Dye eFluor670、eBioscience)で37℃で10分間Teff細胞を培養して細胞膜を染色した。96ウェルプレートにTeffとTregを2:1の比率で分株し、anti-CD3εとanti-CD28 mAb magnetic bead(T cell activation/expansion kit、Miltenyi Biotec、130-093627)を用いて3日間T細胞を活性化させてTreg suppression assayを行った。テスト薬物は、assayが行われる3日間同時処理された。Teff細胞膜にlabelingされたeFluor670の分割された量を測定してT細胞の増殖度を評価した。eFluor670-dilution plotは、フローサイトメーター(FACS LSR Fortessa、BD bioscience)を用いて測定した(FACS LSR Fortessa、BD bioscience)。T細胞増殖抑制能は、次のような数式によって計算した。
【0145】
【数1】
【0146】
その結果、全ての実験群において、反応T細胞増殖が抑制されることが明らかになった。実験に用いられた本発明の化合物は、200nMの処理時に最大2倍を越える反応T細胞増殖抑制率(suppression ratio)を示し、500nMの処理時に最大4倍に達する顕著なT細胞増殖抑制効果を示した(図2)。
【0147】
前記実験結果は、本発明の化合物がブドウ膜炎において過活性化した反応T細胞の分化を効果的に抑制することを示す。
【0148】
実施例3.調節T細胞機能調節効果の確認(in vitro)
本発明の化合物が免疫反応において調節T細胞の機能を調節するかを確認するために、化合物255、280、374、416、476の処理後、調節T細胞において免疫チェックポイント受容体CTLA4(cytotoxic T-lymphocyte-as
sociated protein 4)の発現レベルをフローサイトメトリーにより測定した。
【0149】
具体的には、6週齢のC57BL6雄マウスを中央実験動物から供給を受けて1週間馴化した後に実験に用いた。マウスから脾臓を分離した後、collagenase D(Roche、11088866001)を処理してsplenocyteに分離した。CD4+CD25+regulatory T cell isolation kit(Miltenyi Biotec、130-091-041)を用いてCD4+CD25-T細胞を分離し、5×10cells/wellのCD4+CD25-T細胞を6日間anti-CD3ε/anti-CD28 mAb bead(T cell activation/expansion kit、Miltenyi Biotec、130-093627)とマウス組み換えTGF-β2を6日間処理してiTregに分化させた。テスト薬物は、iTregに分化する6日間同時処理された。その後、anti-CD4/anti-CD25 mAb(eBioscience、25-0042-82、17-0251-82)を用いて4℃で20分間incubationしてlabelingした。細胞質内染色のために、Fix/permeabilization buffer(eBioscience、00-5523-00)を用いてpermeabilizationし、anti-FOXP3-Alexafluor488(eBioscience、53-5773-82)とanti-CTLA4-PE(eBioscience、12-1522-82)を用いてlabelingした後、FACS LSR
Fortessa(BD bioscience)を用いてフローサイトメトリーを行った。
【0150】
その結果、本発明の化合物の処理後、T細胞のCTLA4発現レベルが増加したことを確認した。特に化合物255、374および476化合物の場合、500nM以上の濃度において40%以上のT細胞がCTLA4発現が増加したことが明らかになった。化合物255は、1000nMの処理時、細胞毒性が激しくてデータ分析を進めることができなかった(図3)。
【0151】
前記実験結果は、本発明の化合物が調節T細胞の機能を向上させることによって、ブドウ膜炎に現れる反応T細胞の過度な活性が効果的に調節できることを示す。
【0152】
製造例10.EAU(experimental autoimmune uveitis)誘発動物モデルの確立
実験的自己免疫性ブドウ膜炎(experimental autoimmune uveitis;EAU)誘発動物モデルは、ブドウ膜炎に対する臨床学的モデルに考慮できる。前記EAU動物として、IRBP(interphotoreceptor retinoid-binding protein)で免疫化されたマウスが用いられた。
【0153】
具体的には、生後6~8週齢のC57BL/6マウス(Disease state:severe)に250μgのIRBP human peptide(651-670)および250μgの結核菌(Mycobacterium tuberculosis)をCFA(Complete Freund’s adjuvant)と1:1で混合した後、23Gニードルを用いてマウスの足蹠(footpad)の両側に各々0.1ml注射した。同日(Day 0)および2日後(Day 2)、アジュバント(adjuvant)として0.5μg/0.2mlのPTX(pertussis toxin)を腹腔内注射した。前記マウスを本発明に係る化合物(CKD4)の投与有無および投与経路(点眼または腹腔内投与)に応じて、下記表のように群を分離した(表2)。
【0154】
【表2】
【0155】
本発明の化合物(CKD4)投与群の場合、水相部に溶かした0.3%のCKD4化合物をDay 11から1日2回に点眼投与するか(点眼投与群)、または10または30mg/kgずつ1日1回に腹腔投与(腹腔投与群)した。Day 21に臨床的等級評価(clinical gradining)を行い、マウスを犠牲死させた後、眼球および標的臓器を摘出して後続実験を行った。
【0156】
実施例4.EAUマウスでの臨床的等級改善効果の確認(Clinical Grading)
Day 21にFundoscopic cameraでマウスの視神経周辺部を撮影し、ブドウ膜炎に対する臨床指標を観察した。ブドウ膜炎の重症度は、文献[Rodent Immunology Model Book;Chapter22;Fig.2]に記載されているように、Grade 0(正常)、Grade 0.5(非常に軽症)、Grade 1(軽症)、Grade 2(中等症)、Grade 3(重症)またはGrade 4(非常に重症)に評価した。
【0157】
その結果、EAUグループでは、臨床的等級がGrade 2に近く上昇したが、EAU+CKD4グループ(点眼投与群)では臨床的等級がGrade 0.5以下として顕著に改善されたことを確認した(図4および図5)。前記実験結果は、本発明の化合物の点眼投与がブドウ膜炎の治療に効果的であることを示す。
【0158】
実施例5.EAUマウスでの組織学的病変の改善効果の確認
ブドウ膜炎の発生時の炎症程度を調査するために、Day 21に摘出されたマウスの眼球をパラフィンブロックに製作した後、通常の方式でヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色を行った。
【0159】
その結果、EAUグループの網膜組織に、厚く浸潤した炎症細胞および肉芽腫性病変、網膜組織の浮腫およびシワのような炎症性病変が観察されたが、EAU+CKD4グループ(点眼投与群)では、このような炎症性病変が顕著に減少したことを確認した(図6)。前記実験結果は、本発明の化合物の点眼投与が、ブドウ膜炎が発生した眼球の炎症を効果的に除去することを示す。
【0160】
実施例6.EAUマウスでの免疫マーカーに対する免疫蛍光染色結果の確認
ブドウ膜炎の発生時の炎症部位への免疫細胞の浸潤有無を調査するために、実施例2で製作されたパラフィンブロックに対してCD3、CD4、B220(Abcam)、HD
AC6(Cell signaling)、Ace α-tubulin(Sigma)を対象に免疫蛍光染色を行った後、共焦点顕微鏡(LSM780、Zeiss)で撮影した。
【0161】
その結果、T細胞マーカーであるCD3(+)細胞はEAUグループでは相当に増加したが、EAU+CKD4グループ(点眼投与群)では正常マウスと類似したレベルに顕著に減少したことを確認した(図7)。その反面、B細胞マーカーであるB220もまたEAUグループでは陽性の所見を示したが、EAU+CKD4グループ(点眼投与群)では明確な変化を示さなかった(図7)。
【0162】
また、HDAC6は、CD4と高い一致度を示した。EAUグループで網膜組織内CD4(+)細胞は免疫細胞の浸潤が増加したが、EAU+CKD4グループ(点眼投与群)では、はっきりと減少して網膜下にのみ残っていることを確認した(図8)。一方、B220およびα-チューブリンの免疫蛍光染色の結果は、HDAC6とはかなり異なるパターンに観察された(図9および図10)。
【0163】
前記実験結果は、本発明の化合物の点眼投与が、ブドウ膜炎の炎症部位への免疫細胞の浸潤を効果的に抑制することを示す。
【0164】
実施例7.EAUマウスでの酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を通じた炎症性サイトカインレベル減少の確認
脾臓の単核細胞(mononuclear cell;MNC)を得るために、EAUマウスの脾臓をcell strainerで破砕した後、HISTOPAQUE 1083を用いてMNCを得た。flat-bottomed microtiter plates 96 wellにFBS(fetal bovine serum)を添加していないRPMI 1640培地下で5×10個のMNCを200μl/wellでシード(seed)した。30μg/mlの濃度でIRBP peptideで各ウェルを刺激させて37℃、5%、COにおいて72時間反応させた。その後、上澄み液を得て、IFN-γ、IL-17(Biolegend) ELISA setを用いて分析した。
【0165】
その結果、EAUグループでは正常マウスに比べてINF-γおよびIL-17Aのレベルがいずれも相当に増加したが、EAU+CKD4グループ(点眼投与群)ではINF-γおよびIL-17Aのレベルが顕著に減少したことを確認した(図11)。前記実験結果は、ブドウ膜炎での本発明の化合物の点眼投与が全身炎症性サイトカインレベルを効果的に減少させることを示す。
【0166】
実施例8.EAUマウスでのReal-time PCRを通じた炎症性サイトカインレベル減少の確認
Real-time PCRを行うために、先ず、摘出されたEAUマウスの眼球から網膜を分離し、トリゾール試薬(Trizol reagent)を用いて細胞を溶解させた。その次に、RNAサンプルに対してPrimeSctipt RT Master
(TAKARA)を用いてcDNAを合成した。その後、SYBR Premix Ex Tap(TAKARA)と各遺伝子(IL-1β、TNF-α、IFN-γ、IL-17、HDAC6)に特異的なプライマーを用いてStepOnePlusReal-Time PCR System(Applied Biosystems)によりreal-time PCRを行った。実験に用いられたプライマーの塩基配列は次の通りである(表3)。
【0167】
【表3】
【0168】
その結果、EAUグループでは、HDAC6数値が上昇しただけでなく、炎症性因子であるIL-1β、INF-γ、IL-17およびTNF-αのレベルも相当に上昇したことを確認した。しかし、EAU+CKD4グループでは、点眼投与群および腹腔内投与群の両方ともHDAC6および前記炎症因子の発現レベルが顕著に減少して、正常マウスレベルに回復したことを確認した(図12)。前記実験結果は、ブドウ膜炎での本発明の化合物の点眼投与が炎症部位の炎症性サイトカインレベルを効果的に減少させることを示す。
【0169】
実施例9.EAUマウスでのフローサイトメトリー(FACS)を通じた免疫細胞の変化観察
フローサイトメトリー(fluorescence activated cell
sorter;FACS)を通じて、網膜または流入領域リンパ節(draining lymph node)でのブドウ膜炎の発生時に浸潤する免疫細胞およびサイトカインの発現変化を確認した。
【0170】
具体的には、網膜または流入領域リンパ節組織を単一細胞に作った後、細胞表面マーカーであるCD4、CD19、CD45、CD11b、F4/80(Biolegend)などを染色し、細胞内マーカーであるIFN-γ、IL-17およびIL-1β(Biolegend)は細胞を固定させ透過化(permeabilization)して染色した。その次に、フローサイトメトリー(Flow cytometry、Canto II)により各マーカーの発現パターンを確認した。
【0171】
その結果、EAUグループのマウスの網膜組織ではINF-γ(+)/CD4(+)細胞の数が増加したが、EAU+CKD4グループでは点眼投与群(図13)および腹腔内投与群(図14;10および30mg/kgの両方とも該当)において顕著に減少したことを確認した(図13および図14)。同様に、EAUグループのマウスのリンパ節組織においてもINF-γ(+)/CD4(+)細胞の数が増加したが、EAU+CKD4グループでは点眼投与群(図15)および腹腔内投与群(図16)の両方とも前記細胞数が顕著に減少したことを確認した(図15および図16)。
【0172】
一方、EAUグループのマウスの網膜組織およびリンパ節組織の両方ともIL-1β(+)細胞数が相当に増加したが、EAU+CKD4投与群では点眼投与群において顕著に減少したことを確認した(図17および図18)。また、EAUグループのマウスのリンパ節ではCD11b(+)、CD19(+)およびF4/80(+)細胞数が各々相当に増加したが、EAU+CKD4投与群(腹腔投与群)では減少したことを確認した(図19図21)。
【0173】
前記実験結果は、本発明の化合物がブドウ膜炎での優れた免疫抑制効果を発揮することによって効果的なブドウ膜炎治療剤として作用できることを示す。
【0174】
以上で本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当該技術分野における通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好ましい実現例に過ぎず、これに本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は添付の請求の範囲とその等価物により定義される。
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【配列表】
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