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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】手摺
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
E04F11/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018082074
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2019190081
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】中村 憲通
【審査官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-278343(JP,A)
【文献】実公昭58-056280(JP,Y2)
【文献】特開2002-180632(JP,A)
【文献】実公昭59-042429(JP,Y2)
【文献】特開平10-088761(JP,A)
【文献】登録実用新案第3050733(JP,U)
【文献】実開平07-021877(JP,U)
【文献】特開平08-302948(JP,A)
【文献】国際公開第2012/143586(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定される手摺であって、
上記壁面から離間した位置において延びるバー部材と、
上記バー部材を上記壁面に固定する継手部であって、上記壁面に固定される金属製のフランジと、上記フランジに固定される第1の芯材と、上記第1の芯材をカバーするケースと、を備えた上記継手部とを有し、
上記継手部の上記第1の芯材は、上記フランジから立ち上がるように延び、上記第1の芯材の上記フランジから立ち上がる長さを変更することにより上記バー部材の上記壁面からの距離が調整可能に構成され、上記継手部は、さらに、上記バー部材との接続部分を補強する第2の芯材を備え、上記第2の芯材は上記第1の芯材に固定される、手摺。
【請求項2】
上記継手部の第2の芯材が上記第1の芯材に形成された孔に圧入されることにより、上記第2の芯材は上記第1の芯材に固定される、請求項に記載の手摺。
【請求項3】
上記継手部は、さらに、上記フランジをカバーするフランジカバーを備え、
上記フランジカバーは、上記第1の芯材が内側に配置される開口を形成し、上記フランジカバーの上記開口は、上記第1の芯材との間において上記第1の芯材の外側に配置される上記ケースの端部が挿入される隙間を形成し、上記ケースの上記端部の上記開口内への挿入量が可変に構成される、請求項1又は2に記載の手摺。
【請求項4】
壁面に固定される手摺であって、
上記壁面から離間した位置において延びるバー部材と、
上記バー部材を上記壁面に固定する継手部であって、上記壁面に固定される金属製のフランジと、上記フランジに固定される第1の芯材と、上記第1の芯材をカバーするケースと、を備えた上記継手部とを有し、
上記継手部の上記第1の芯材は、上記フランジから立ち上がるように延び、上記第1の芯材の上記フランジから立ち上がる長さを変更することにより上記バー部材の上記壁面からの距離が調整可能に構成され、
上記継手部は、上記第1の芯材が比較的長く形成されることにより上記第1の芯材が上記ケースから露出される場合に、この露出された上記第1の芯材をカバーする延長ケースを備える、手摺。
【請求項5】
上記第1の芯材は、金属製のパイプである、請求項1乃至の何れか1項に記載の手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺に係り、特に、壁面に固定される手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、壁面に固定される手摺の継手部として、握り部と連結されるエルボと、壁面に固定されるフランジと、エルボとフランジとを連結するための止めねじとを備えたものが知られている。
【0003】
また、特許文献2に記載されているように、壁面に固定される手摺の継手部として、壁面に固定されるブッシュと、ブッシュが挿入される円筒状の手摺バーとを備えたものが知られている。この手摺バーのコーナー部分は円管状のステンレス管を曲げることにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-158902号公報
【文献】特開2009-180047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている手摺においては、コーナー部分がエルボにより一体で形成されている。よって、壁面に対する握り部の前出寸法を任意に変更することができないという課題があった。
【0006】
この課題を解決するため、種々の前出寸法に対応するエルボを予め作成して用意しておくことが検討された。しかしながら、多数の寸法の異なるエルボを作成しておく必要があり、製造コストが増加する懸念がある。特にエルボが樹脂の一体成形品である場合には、寸法の異なるエルボに対しそれぞれ金型を用意する必要がある。また、エルボがコーナー部分全体を形成していることから、コーナー部分の強度を確保するためには、エルボの樹脂の厚みを厚くする必要がある。よって、さらに製造コストが増加する懸念がある。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載されている手摺においては、コーナー部分はステンレス管を曲げることにより形成されている。ステンレス管を任意の前出寸法まで曲げることは比較的大変な作業であり、コーナー部分の曲げのR寸法を小さくすることができないという課題や、曲げ加工後のステンレス管の前出寸法を短くすることが難しいという課題があった。また、手摺を取り付け現場で壁面に施工する際に前出寸法を微調整できないといった懸念もある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題や課題を解決するためになされたものであり、バー部材の壁面からの距離が調整可能に構成され、バー部材の壁面からの前出寸法を決定する自由度を向上させることができる手摺を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明は、壁面に固定される手摺であって、上記壁面から離間した位置において延びるバー部材と、上記バー部材を上記壁面に固定する継手部であって、上記壁面に固定される金属製のフランジと、上記フランジに固定される第1の芯材と、上記第1の芯材をカバーするケースと、を備えた上記継手部とを有し、上記継手部の上記第1の芯材は、上記フランジから立ち上がるように延び、上記第1の芯材の上記フランジから立ち上がる長さを変更することにより上記バー部材の上記壁面からの距離が調整可能に構成されていることを特徴とする。
このように構成された本発明においては、第1の芯材のフランジから立ち上がる長さを変更することにより、バー部材の壁面からの距離が調整可能に構成されている。よって、バー部材の壁面からの前出寸法を決定する自由度を向上させることができる。また、ケースは、第1の芯材をカバーし、継手部の外観を構成することができ、強度が求められる第1の芯材とは区別して配置される。ケースに強度を持たせる必要を無くすことができるため、ケースの厚みを薄くすることができ、ケースの製造コストを低減させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記継手部は、さらに、上記バー部材との接続部分を補強する第2の芯材を備え、上記第2の芯材は上記第1の芯材に固定される。
このように構成された本発明においては、継手部の第2の芯材は第1の芯材に固定されているので、第2の芯材によりバー部材と継手部との接続部分を補強でき、バー部材と継手部との接続部分の強度を向上させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記継手部の第2の芯材が上記第1の芯材に形成された孔に圧入されることにより、上記第2の芯材は上記第1の芯材に固定される。
このように構成された本発明においては、継手部の第2の芯材が上記第1の芯材に形成された孔に圧入されることにより、第2の芯材は第1の芯材に固定される。よって、圧入により第2の芯材を第1の芯材に強固に固定することができ、第2の芯材と第1の芯材との間のゆれ動きを抑制することができる。また、ねじによる締結により締結の緩みなどが発生することを防ぐことができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記継手部は、さらに、上記フランジをカバーするフランジカバーを備え、上記フランジカバーは、上記第1の芯材が内側に配置される開口を形成し、上記フランジカバーの上記開口は、上記第1の芯材との間において上記第1の芯材の外側に配置される上記ケースの端部が挿入される隙間を形成し、上記ケースの上記端部の上記開口内への挿入量が可変に構成される。
このように構成された本発明においては、フランジカバーの開口は、第1の芯材との間において第1の芯材の外側に配置されるケースの端部が挿入される隙間を形成し、ケースの端部のフランジカバーの開口内への挿入量が可変に構成される。よって、ケースの端部のフランジカバーの内部への挿入量を調整することにより、ケースの壁面からの前出寸法を調整可能に構成することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記継手部は、上記第1の芯材が比較的長く形成されることにより上記第1の芯材が上記ケースから露出される場合に、この露出された上記第1の芯材をカバーする延長ケースを備える。
このように構成された本発明においては、継手部は、第1の芯材が比較的長く形成されることにより第1の芯材が上記ケースから露出される場合に、この露出された第1の芯材をカバーする延長ケースを備える。これにより、第1の芯材が比較的長く形成される場合にも、ケース及び延長ケースにより、比較的簡単に第1の芯材をカバーし、継手部の外観を完成させることができる。よって、バー部材の壁面からの前出寸法を決定する自由度をより向上させることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記第1の芯材は、金属製のパイプである。
このように構成された本発明においては、第1の芯材が中空の金属製のパイプであるため、円柱状の金属棒に比べてコストを低減することができると共に、汎用的な金属製パイプを任意の長さに切断することにより第1の芯材の長さを比較的簡単に調節することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の手摺によれば、バー部材の壁面からの前出寸法を決定する自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態による手摺を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による手摺の継手部の分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による手摺の継手部の斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による手摺の継手部の中央断面図である。
図5】本発明の第1実施形態による手摺における変形例の継手部の中央断面図である。
図6】本発明の第2実施形態による手摺の継手部を示す斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態による手摺の継手部の中央断面図である。
図8】本発明の第2実施形態による手摺において変形例の継手部の中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態による手摺の構造について説明する。
図1は本発明の第1実施形態による手摺を示す斜視図であり、図2は本発明の第1実施形態による手摺の継手部の分解斜視図であり、図3は本発明の第1実施形態による手摺の継手部の斜視図であり、図4は本発明の第1実施形態による手摺の継手部の中央断面図である。
【0018】
図1乃至図4に示すように、手摺1は、壁面Wに固定される手摺であり、特に、トイレ、洗面台、浴室等の水回り環境に設けられる手摺である。手摺1は、壁面Wから離間した位置において壁面Wに沿って延びるバー部材2と、バー部材2を壁面Wに固定する継手部4と、を備えている。バー部材2は、使用者が握る握りバーを形成している。
【0019】
図2乃至図4を参照して、手摺1の継手部4について詳細に説明する。
継手部4は、壁面Wに沿って広がるように形成され且つ壁面Wに固定される金属製のフランジ6と、フランジ6に固定される第1の芯材8と、第1の芯材8をカバーするケース10と、フランジ6をカバーするフランジカバー12と、バー部材2内に延びる第2の芯材14とを備えている。
手摺1のフランジ6から見てバー部材2側を前方側とし、フランジ6から見て壁面W側を後方側とし、フランジ6の中心側を内側とし、フランジ6の中心側に対して半径方向の反対側を外側として説明している。
【0020】
フランジ6は、つば状に広がる部材である。フランジ6は、円環状に形成され且つ平板状に形成されるプレート部6aを備えている。プレート部6aには、プレート部6aの内側の内周口部6bが形成されている。プレート部6aには、さらに、フランジ6を壁面Wに固定するねじ15が挿通される孔6cが形成されている。プレート部6aは、ねじ15が孔6cに挿通されることにより、壁面Wに沿う向きに配置された状態で固定される。なお、フランジ6は、壁面Wに沿わない形状、例えばマウント式のフランジ形状に形成され、壁面Wに固定されていてもよい。
【0021】
第1の芯材8は、プレート部6aの内周口部6bに溶接されて固定される。第1の芯材8は、円筒状部材であり、金属製のパイプである。第1の芯材8は、長尺の汎用ステンレス鋼管を切断することにより任意の長さに形成することができる。このため、第1の芯材8は、任意の長さに非常に容易に形成され且つ非常に容易に長さ調整可能である。第1の芯材8は、フランジ6からバー部材側に向けて立ち上がるように配置される。第1の芯材8は、壁面Wに対して鉛直方向に延びている。第1の芯材8は、フランジ6から立ち上がるように延びている。手摺1においては第1の芯材8のフランジ6から立ち上がる長さL2を変更することによりバー部材2の壁面Wからの距離L1が調整可能に構成されている。距離L1は、バー部材2の壁面Wからのいわゆる前出寸法である。具体的には、距離L1は、壁面Wからバー部材2の軸心までの距離である。第1の芯材8の長さL2を任意の長さに調整することにより、距離L1を任意の長さに調整することができる。
【0022】
第1の芯材8の前側の側部には孔8aが形成されている。孔8aは、第2の芯材14を圧入した状態で第1の芯材8と第2の芯材14とが固定されるような、第2の芯材14の外径よりもわずかに小さな大きさに形成されている。
【0023】
ケース10は、樹脂によって形成され、バー部材2とフランジカバー12との間の外装部材を形成している。ケース10は、第1の芯材8の外側に形成されている。ケース10は、第1の芯材8に沿ってフランジカバー12から直線的に立ち上がる向きの第1直管部分10aと、第1の芯材8の先端より前方側においてバー部材2に向けて湾曲される湾曲部分10bと、バー部材2に向けて直線的に延びる第2直管部分10cとを備えている。
ケース10の第1直管部分10aは、予め決められた長さL3に形成されている。フランジカバー12からバー部材2までの距離L4が長さL3よりも短い場合には、ケース10は、後述する延長ケース111を追加しない状態で、第1の芯材8を内部に収容する。第2直管部分10cの先端部は、バー部材2内に挿入された状態でバー部材2と接続される接続部分を形成している。
【0024】
ケース10は、第1の芯材8をカバーし、継手部4の外観を構成する。ケース10は、強度が求められる第1の芯材8とは区別して形成できる。ケース10を比較的低い強度で形成できるため、ケース10の厚みを薄くすることができ、ケース10の製造コストを低減させることができる。例えば、ケース10を、エンジニアリングプラスチック以外の汎用樹脂材料により形成することができ、ケース10の製造コストを低減させることができる。さらに、ケース10を、意匠性の高い樹脂材料、例えば、光沢を有する樹脂材料や、色味を加えた樹脂材料によっても形成することができる。ケース10を形成する樹脂材料の選択肢を増やすことができ、ケース10の外観選択の選択肢を増やすことができる。なお、ケース10は、エンジアリングプラスチックにより形成されてもよい。
【0025】
図4に示すように、フランジカバー12は、円筒のキャップ形状に形成されている。フランジカバー12は、フランジ6の前方側及び外側を覆うようなカバーを形成している。フランジカバー12は、第1の芯材8が内側に配置される開口12aを形成している。開口12aは円形に形成されている。開口12aは、第1の芯材8との間において第1の芯材8の外側に配置されるケース10の端部10dが挿入される隙間を形成する。開口12aは、ケース10の第1直管部分10aの外径よりも大きな内径を形成する。ケース10の端部10dの開口12a内への挿入量は可変に構成される。ケース10の端部10dのフランジカバー12の内部への挿入量を調整することにより、バー部材2の壁面Wからの距離L1及び、継手部4のケース10の壁面から突出する距離L5が調整可能とされている。
【0026】
フランジカバー12は、フランジ6をカバーし、継手部4の外観を構成する。フランジカバー12は、強度が求められる第1の芯材8やフランジ6とは区別して形成できる。フランジカバー12を比較的低い強度で形成できるため、フランジカバー12の樹脂の厚みを薄くすることができ、フランジカバー12の製造コストを低減させることができる。また、フランジカバー12を、エンジニアリングプラスチック以外の汎用樹脂材料により形成することができ、フランジカバー12の製造コストを低減させることができる。さらに、フランジカバー12を、意匠性の高い樹脂材料、例えば、光沢を有する樹脂材料や、色味を加えた樹脂材料によっても形成することができる。フランジカバー12を形成する樹脂材料の選択肢を増やすことができ、フランジカバー12の外観選択の選択肢を増やすことができる。なお、フランジカバー12は、エンジアリングプラスチックにより形成されてもよい。
【0027】
第2の芯材14は、円筒状部材であり、金属製のパイプである。第2の芯材14も、汎用ステンレス鋼管を切断することにより形成できる。第2の芯材14は第1の芯材8に固定される。第2の芯材14は第1の芯材8に形成された孔8aに圧入されることにより、第2の芯材14は第1の芯材8に強固に固定される。第2の芯材14は、第1の芯材8に対して直交する向きに配置され、壁面Wとほぼ平行に延びている。第2の芯材14は、第2直管部分10c内に配置される。第2の芯材14は、バー部材2との接続部分の中心軸として配置され、バー部材2及び継手部4のそれぞれの構造を補強している。また、第2の芯材14は、第1の芯材8に強固に固定されているので、バー部材2に向けて曲がる継手部4全体の強度を向上させることができる。さらに、バー部材2と継手部4との接続部分が補強され、バー部材2と継手部4との接続部分近傍の強度を向上させることができる。すなわち、バー部材2と継手部4との接続部分の耐荷重性を向上させている。
【0028】
次に、図5により、本発明の第1実施形態による手摺における変形例の継手部を説明する。
図5は本発明の第1実施形態による手摺における変形例の継手部の中央断面図である。
第1実施形態による手摺1における変形例の継手部4は、上述した第1実施形態による手摺1における継手部4と構造がほぼ同じであるため、本発明の第1実施形態の変形例の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0029】
第1実施形態による手摺1の変形例の継手部4においては、ケース10の第1直管部分10aがケース10の湾曲部分10bとフランジカバー12の前面12bとの間に配置されている。ケース10は、フランジカバー12の前面12bより前方側に配置されている。フランジカバー12は、第1の芯材8が内側に配置される開口12cを形成している。開口12cは円形に形成されている。開口12cは、ケース10の第1直管部分10aの内径よりも小さな内径を形成する。よって、ケース10の端部10dがフランジカバー12の前面12b上に当接するように配置されている。バー部材2の壁面Wからの距離L1が、フランジカバー12及びケース10によって規定される基準寸法の距離である場合には、ケース10がフランジカバー12の前面12b上に配置されることにより、手摺1を施工する作業者が、比較的容易に且つ安定してバー部材2を基準寸法の位置に取付けることができる。
なお、ケース10がフランジカバー12の前面12b上に配置される場合であっても、ケース10の第1直管部分10aの長さを調整することにより、ケース10を任意の長さに比較的容易に長さ調整可能であることから、バー部材2の壁面Wからの距離L1及び、継手部4のケース10の壁面から突出する距離L5も調整可能に構成することができる。
【0030】
上述した本発明の第1実施形態による手摺1によれば、第1の芯材8のフランジ6から立ち上がる長さを変更することにより、バー部材2の壁面Wからの距離が調整可能に構成されている。よって、バー部材2の壁面Wからの前出寸法を決定する自由度を向上させることができる。
また、ケース10は、第1の芯材8をカバーし、継手部4の外観を構成することができ、強度が求められる第1の芯材8とは区別して配置される。ケース10に強度を持たせる必要を無くすことができるため、ケース10の厚みを薄くすることができ、ケース10の製造コストを低減させることができる。
【0031】
さらに、第1実施形態による手摺1によれば、継手部4の第2の芯材14は第1の芯材8に固定されているので、第2の芯材14によりバー部材2と継手部4との接続部分を補強でき、バー部材2と継手部4との接続部分の強度を向上させることができる。
【0032】
さらに、第1実施形態による手摺1によれば、継手部4の第2の芯材14が第1の芯材8に形成された孔8aに圧入されることにより、第2の芯材14は第1の芯材8に固定される。よって、圧入により第2の芯材14を第1の芯材8に強固に固定することができ、第2の芯材14と第1の芯材8との間のゆれ動きを抑制することができる。また、ねじによる締結により締結の緩みなどが発生することを防ぐことができる。
【0033】
さらに、第1実施形態による手摺1によれば、フランジカバー12の開口12aは、第1の芯材8との間において第1の芯材8の外側に配置されるケース10の端部10dが挿入される隙間を形成し、ケース10の端部10dのフランジカバー12の開口12a内への挿入量が可変に構成される。よって、ケース10の端部10dのフランジカバー12の内部への挿入量を調整することにより、ケース10の壁面Wからの前出寸法を調整可能に構成することができる。
【0034】
さらに、第1実施形態による手摺1によれば、第1の芯材8が中空の金属製のパイプであるため、円柱状の金属棒に比べてコストを低減することができると共に、汎用的な金属製パイプを任意の長さに切断することにより第1の芯材8の長さを比較的簡単に調節することができる。
【0035】
次に、図6及び図7により、本発明の第2実施形態による手摺を説明する。第2実施形態による手摺は、本発明による手摺のバー部材を壁面からの距離が比較的大きくなるように配置する継手部を備えている。図6は本発明の第2実施形態による手摺の継手部を示す斜視図であり、図7は本発明の第2実施形態による手摺の継手部の中央断面図である。
第2実施形態による手摺101は、上述した第1実施形態による手摺1と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0036】
手摺101は、バー部材2を壁面Wに固定する継手部104を備えている。
継手部104は、フランジ6に固定される第1の芯材108と、第1の芯材108をカバーするケース10と、フランジ6をカバーするフランジカバー12とを備えている。
【0037】
第1の芯材108は、フランジ6からバー部材側に向けて立ち上がるように配置される。第1の芯材108は、壁面Wに対して鉛直方向に延びている。第1の芯材108は、円筒状部材であり、金属製のパイプである。第1の芯材108は、長尺の汎用ステンレス鋼管を切断することにより任意の長さに形成することができる。このため、第1の芯材8は、非常に容易に形成される。第2実施形態における第1の芯材108は、第1実施形態における第1の芯材8よりも長く形成されている。よって、例えば公共の施設等でバー部材2の壁面Wからの距離L6を比較的大きくすることができる。第1の芯材108のフランジ6から立ち上がる長さL2を変更することにより手摺1の距離L6が調整可能に構成されている。距離L6は、バー部材2の壁面Wからのいわゆる前出寸法である。具体的には、距離L6は、壁面Wからバー部材2の軸心までの距離である。第1の芯材108の長さL2を任意の長さに調整することにより、距離L6を任意の長さに調整することができる。第1の芯材108の前側の側部には孔8aが形成されている。
【0038】
ケース10は、樹脂によって形成され、バー部材2とフランジカバー12との間に配置される外装部材を形成している。ケース10は、第1の芯材108の先端部108b側の外側に形成されている。第2実施形態におけるケース10は、第1実施形態におけるケース10とほぼ同様の構造及び寸法である。ケース10は、第1の芯材108に沿ってフランジカバー12から立ち上がる向きの第1直管部分10aと、第1の芯材108の先端部108bより前方側においてバー部材2に向けて湾曲される湾曲部分10bと、バー部材2に向けて延びる第2直管部分10cとを備えている。ケース10の第1直管部分10aは、予め決められた長さL3に形成されている。このように、ケース10は、予め決められた寸法で継手部4のコーナー部分の外装部材を形成している。フランジカバー12からバー部材2までの距離L4が長さL3以上の長さとなる場合には、ケース10は、後述する延長ケース111を追加しない状態で、第1の芯材108の先端部108b側の一部のみを収容する。第1の芯材108の長さL2は、距離L4が長さL3以上の長さとなるような所定の長さ以上の長さである。ケース10は、第1の芯材108の先端部108b側をカバーすることにより、継手部4の前方側の外観を構成する。
【0039】
継手部104は、さらに、第1の芯材108が比較的長く形成されることによりフランジカバー12とケース10との間においてケース10によってカバーしきれない部分の第1の芯材108がケース10から露出する場合に、フランジカバー12とケース10との間において露出された第1の芯材108をカバーする延長ケース111を備えている。
延長ケース111は、樹脂によって形成され、フランジカバー12とケース10との間に配置される外装部材を形成している。延長ケース111は、第1の芯材108の後方側の外側に形成されている。延長ケース111は、第1の芯材108に沿ってフランジカバー12から立ち上がる向きに直線状に延びる。延長ケース111は、円筒状部材であり、金属製のパイプである。延長ケース111は、長尺の汎用ステンレス鋼管を切断することにより任意の長さに形成することができる。このため、延長ケース111は、任意の長さに非常に容易に形成され且つ非常に容易に長さ調整可能である。
【0040】
延長ケース111は、ケース10の第1直管部分10aの外径と同じ外径を有している。延長ケース111は、ケース10の第1直管部分10aとほぼ面一の外面を形成する。延長ケース111は、ケース10と同じ樹脂材料により形成され、同様の色味や質感等の外観を有する。よって、手摺1を使用する使用者にケース10がフランジカバー12まで延長して形成されていると認識されやすくなる。
【0041】
図7に示すように、フランジカバー12は、第1の芯材108が内側に配置される開口12aを形成している。開口12aは円形に形成されている。開口12aは、第1の芯材108との間において第1の芯材108の外側に配置される延長ケース111の端部111aが挿入される隙間を形成する。延長ケース111の端部111aの開口12a内への挿入量が可変に構成される。開口12aは、延長ケース111の外径よりも大きな内径を形成する。延長ケース111の端部111aのフランジカバー12の内部への挿入量を調整することにより、バー部材2の壁面Wからの距離L6及び、継手部104のケース10の壁面から突出する距離L5を調整可能に構成することができる。
【0042】
第2の芯材14は第1の芯材108に形成された孔8aに圧入されることにより、第2の芯材14は第1の芯材108に強固に固定される。第2の芯材14は、第1の芯材108に対して直交する向きに配置され、壁面Wとほぼ平行に延びている。第1の芯材108が比較的長く形成されているので、第2の芯材14の壁面Wからの距離が比較的大きくされ、例えば公共の施設等でバー部材2の壁面Wからの距離L6を比較的大きくすることができる。
【0043】
次に、図8により、本発明の第2実施形態による手摺において変形例の継手部を説明する。
図8は本発明の第2実施形態による手摺において変形例の継手部の中央断面図である。
第2実施形態による手摺101における変形例の継手部104は、上述した第2実施形態による手摺101における継手部104と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の変形例の第2実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0044】
第2実施形態による手摺101の変形例の継手部104においては、延長ケース111がケース10とフランジカバー12の前面12bとの間に配置されている。フランジカバー12は、第1の芯材108が内側に配置される開口12cを形成している。開口12cは円形に形成されている。開口12cは、延長ケース111の内径よりも小さな内径を形成する。よって、延長ケース111の端部111aがフランジカバー12の前面12b上に当接するように配置されている。延長ケース111がフランジカバー12の前面12b上に配置される場合であっても、延長ケース111は任意の長さに非常に容易に形成され且つ非常に容易に長さ調整可能である。よって、バー部材2の壁面Wからの距離L6及び、継手部104のケース10の壁面Wから突出する距離L5も容易に調整可能に構成することができる。
【0045】
上述した本発明の第2実施形態による手摺101によれば、継手部104は、第1の芯材108が比較的長く形成されることにより第1の芯材108がケース10から露出される場合に、この露出された第1の芯材108をカバーする延長ケース111を備える。これにより、第1の芯材108が比較的長く形成される場合にも、ケース10及び延長ケース111により、比較的簡単に第1の芯材108をカバーし、継手部104の外観を完成させることができる。よって、バー部材2の壁面Wからの前出寸法を決定する自由度をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 手摺
2 バー部材
4 継手部
6 フランジ
6a プレート部
6b 内周口部
6c 孔
8 第1の芯材
8a 孔
10 ケース
10a 第1直管部分
10b 湾曲部分
10c 第2直管部分
10d 端部
12 フランジカバー
12a 開口
12b 前面
12c 開口
14 第2の芯材
101 手摺
104 継手部
108 芯材
108b 先端部
111 延長ケース
111a 端部
W 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8