(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】排水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/30 20060101AFI20220418BHJP
E03C 1/284 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
E03C1/30
E03C1/284
(21)【出願番号】P 2018143472
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】岩端 智大
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 理沙
(72)【発明者】
【氏名】中安 渉
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-324108(JP,A)
【文献】特開2004-183336(JP,A)
【文献】実開昭47-1730(JP,U)
【文献】特開2015-55137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/30
E03C 1/284
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水受け部の底部に設けられる排水装置であって、
上記水受け部側に開口される入口部を備えると共に自身の内部に封水を形成する本体部と、
上記本体部内の水に超音波を発振する超音波発振器と、
上記本体部の下流側に設けられる出口流路と、を備え、
上記本体部は、第1排水流路と、第2排水流路と、を備え、
上記第1排水流路は、上昇流路と、上記上昇流路の下流側に設けられる下降流路とを備え、上記上昇流路と上記下降流路との間の頂部により上記入口部の高さ以下の所定水位を規定するように構成され、上記第1排水流路は、上記本体部内の水位が上記所定水位を超えないように、上記第1排水流路内の水を上記出口流路に排水させるように機能し、
上記第2排水流路は、上記本体部内の封水水位を規定するように構成されると共にその流路の一部を絞る絞り部を備え、上記第2排水流路は、上記第1排水流路よりも大きな流路抵抗を有するように形成され、上記第2排水流路は、上記絞り部の単位時間あたりの排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が上記本体部内に流入する場合に、上記本体部内の水位を、上記封水水位より高く且つ上記第1排水流路により規定される上記所定水位まで少なくとも上昇させるように機能することを特徴とする排水装置。
【請求項2】
上記第2排水流路の上記絞り部は、上記第2排水流路の途中に設けられている、請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
上記本体部は、さらに、上記第2排水流路の入口部において複数の孔を形成し且つ汚れが上記第2排水流路に侵入することを抑制する侵入抑制部を備えている、請求項1又は2に記載の排水装置。
【請求項4】
上記侵入抑制部の上記複数の孔のうちの各孔の流路断面積は、上記第2排水流路の上記絞り部の流路断面積よりも小さく、且つ、上記第2排水流路の上記絞り部の最小の幅は、上記各孔の最小の幅以上である、請求項3に記載の排水装置。
【請求項5】
上記第2排水流路の入口部の流路断面は、扁平形状に形成され、上記第2排水流路の上記入口部の上記流路断面の長辺側部分が上記第1排水流路側に配置される、請求項1乃至4の何れか1項に記載の排水装置。
【請求項6】
上記第2排水流路の上記流路断面は、上記入口部から上記絞り部までの間において扁平形状から正方形形状に近づくように変化される、請求項5に記載の排水装置。
【請求項7】
上記第2排水流路の上記絞り部は、上記封水水位を規定する頂部よりも低く且つ上記頂部よりも上流側に配置される、請求項1乃至6の何れか1項に記載の排水装置。
【請求項8】
上記第2排水流路は、その上流側部分において上昇する第1傾斜部と、上記第1傾斜部よりも下流側に設けられると共に上記第1傾斜部より小さい傾きで上昇する第2傾斜部とを備え、上記第2排水流路の上記絞り部は、上記第2傾斜部上に配置される、請求項7に記載の排水装置。
【請求項9】
上記第2排水流路は、その入口部から上記絞り部までの流路の幅が徐々に小さくなるように形成されている、請求項1乃至8の何れか1項に記載の排水装置。
【請求項10】
上記第2排水流路の上記絞り部は、上記第2排水流路の入口部と出口部との中間部分よりも下流側に配置される、請求項1乃至9の何れか1項に記載の排水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水装置に係り、特に、水受け部の底部に設けられる排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、シンクの底面に設けられ且つ超音波発信器を備えている排水装置が知られている。この排水装置においては、使用者が排水装置の排水部の汚れを落とそうとする際、使用者は操作部のスイッチを入操作する。操作部の入操作により、排水部の排水弁が閉じられると共に給水弁が開かれて排水部内に水が給水される。排水部内に水が貯められた状態で超音波洗浄が行われ、排水部内の汚れが洗浄される。
【0003】
また、特許文献2に示すように、シンクの底面に設けられ且つ超音波発信器を備えている排水装置が知られている。この排水装置においては、使用者が超音波洗浄を行う際、使用者は操作部の操作ボタンを押し、排水装置の排水孔を閉止させる。排水孔が閉じられた状態でシンクに水が流されると、水が排水装置の排水容器に溜められる。排水容器に水が貯められた状態で超音波洗浄が行われ、排水部内の汚れが洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-324108号公報
【文献】特開2007-285097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の排水装置では、排水弁や排水孔が閉じられ排水部内に水が貯められている状態(例えば超音波洗浄中の状態)において水受け部であるシンクで水が使用された場合、その水は水受け部から排水部に流入するが、使用者が操作部の操作をしなければ水が排水部から水受け部に溢れ出てしまう懸念がある。このため、超音波洗浄中は水受け部において水を使用することが実質的に制限されてしまい、排水装置の使い勝手を著しく低下させてしまうという問題があった。
さらに、排水部において、封水水位より高い水位まで水を貯め、排水部のより上部まで超音波洗浄を行おうとすればするほど、水が排水部から水受け部に溢れ出やすくなり、水が排水部から水受け部に溢れ出てしまう逆流が問題となる。
【0006】
そこで、本発明は、封水水位より高い所定水位まで超音波洗浄を行う超音波洗浄性能の向上と本体部内の水が入口部から水受け部に溢れ出てしまう逆流の防止とを両立させながら、第2排水流路の汚れの詰まりを抑制させ且つ第2排水流路の排出性能の低下を抑制させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、水受け部の底部に設けられる排水装置であって、上記水受け部側に開口される入口部を備えると共に自身の内部に封水を形成する本体部と、上記本体部内の水に超音波を発振する超音波発振器と、上記本体部の下流側に設けられる出口流路と、を備え、上記本体部は、第1排水流路と、第2排水流路と、を備え、上記第1排水流路は、上昇流路と、上記上昇流路の下流側に設けられる下降流路とを備え、上記上昇流路と上記下降流路との間の頂部により上記入口部の高さ以下の所定水位を規定するように構成され、上記第1排水流路は、上記本体部内の水位が上記所定水位を超えないように、上記第1排水流路内の水を上記出口流路に排水させるように機能し、上記第2排水流路は、上記本体部内の封水水位を規定するように構成されると共にその流路の一部を絞る絞り部を備え、上記第2排水流路は、上記第1排水流路よりも大きな流路抵抗を有するように形成され、上記第2排水流路は、上記絞り部の単位時間あたりの排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が上記本体部内に流入する場合に、上記本体部内の水位を、上記封水水位より高く且つ上記第1排水流路により規定される上記所定水位まで少なくとも上昇させるように機能することを特徴としている。
本発明の発明者らは、鋭意研究することにより、特許文献1及び2のような排水装置とは異なり、第1排水流路及び第1排水流路よりも大きな流路抵抗を有するように形成された第2排水流路を備えた本体部を有する排水装置により、封水水位より高い所定水位まで超音波洗浄を行う超音波洗浄性能の向上と本体部内の水が入口部から水受け部に溢れ出てしまう逆流の防止とを両立させることを検討した。しかしながら、単に第2排水流路を第1排水流路よりも大きな流路抵抗を有するように形成したのでは、第2排水流路の汚れの詰まりが生じやすくなり且つ第2排水流路の排出性能が低下する懸念がある。
このように構成された本発明においては、第1排水流路は、上記本体部内の水位が上記所定水位を超えないように、上記第1排水流路内の水を上記出口流路に排水させるように機能している。これにより、本体部内の水位が上記所定水位を超えて、本体部内の水が入口部から水受け部に溢れ出てしまうことが抑制できる。さらに、第2排水流路は、上記本体部内に所定流量の水が流入する場合に、上記本体部内の水位を、上記封水水位より高く且つ上記第1排水流路により規定される上記所定水位まで少なくとも上昇させるように機能する。これにより、本体部内の水位を所定水位まで自動的に上昇させた状態において、封水水位より高い所定水位まで超音波発振器による超音波洗浄ができる。このように機能する本体部において、第2排水流路は、その流路の一部を絞る絞り部を備えている。仮に第2排水流路の全体にわたって絞り部を設ける場合には、汚れがつまりやすい部分が多くなるため、第2排水流路において汚れが詰まりやすくなり、汚れの排出性能が低下してしまう。本発明によれば、流路の一部を絞る絞り部により、本体部内に所定流量の水が流入する場合に、上記本体部内の水位を、上昇させやすくすることができると共に、汚れが詰まりやすい絞り部を第2排水流路の一部に形成させ、第2排水流路の汚れの詰まりを抑制することができ、第2排水流路の排出性能の低下を抑制することができる。よって、本発明によれば、封水水位より高い所定水位まで超音波洗浄を行う超音波洗浄性能の向上と本体部内の水が入口部から水受け部に溢れ出てしまう逆流の防止とを両立させながら、第2排水流路の汚れの詰まりを抑制させ且つ第2排水流路の排出性能の低下を抑制させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記第2排水流路の上記絞り部は、上記第2排水流路の途中に設けられている。
このように構成された本発明においては、第2排水流路の絞り部は、上記第2排水流路の途中に設けられている。これにより、第2排水流路の絞り部は、汚れの付着しやすい入口及び出口以外の部分において、流路を絞ることができる。従って、汚れが詰まりやすい絞り部を第2排水流路の途中の一部に形成させ、第2排水流路の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記本体部は、さらに、上記第2排水流路の入口部において複数の孔を形成し且つ汚れが上記第2排水流路に侵入することを抑制する侵入抑制部を備えている。
このように構成された本発明においては、上記第2排水流路の入口部において、複数の孔を形成し且つ汚れの侵入を抑制する侵入抑制部が形成されている。よって、侵入抑制部は、比較的大きな汚れの侵入を抑制すると共に、複数の孔により流路断面積の合計を比較的大きくすることができ、第2排水流路の単位時間あたりの排水量を比較的大きくすることができる。従って、第2排水流路の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記侵入抑制部の上記複数の孔のうちの各孔の流路断面積は、上記第2排水流路の上記絞り部の流路断面積よりも小さく、且つ、上記第2排水流路の上記絞り部の最小の幅は、上記各孔の最小の幅以上である。
このように構成された本発明においては、侵入抑制部の上記複数の孔のうちの各孔の流路断面積は、上記第2排水流路の上記絞り部の流路断面積よりも小さいので、第2排水流路内に流入する汚れの大きさが、侵入抑制部の複数の孔のうちの各孔の流路断面積より小さく、さらに絞り部の流路断面積よりも小さくされる。さらに、第2排水流路の上記絞り部の最小の幅は、上記各孔の最小の幅以上であり、第2排水流路内に流入する汚れが主に各孔の最小の幅以下の大きさとなるため、侵入した汚れが第2排水流路の絞り部を通過しやすくできる。これにより、第2排水流路の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記第2排水流路の入口部の流路断面は、扁平形状に形成され、上記第2排水流路の上記入口部の上記流路断面の長辺側部分が上記第1排水流路側に配置される。
このように構成された本発明においては、第2排水流路の入口部の流路断面積を比較的大きくした場合においても、扁平形状の流路断面の長辺側部分を第1排水流路側に配置することにより、第1排水流路のサイズを維持したまま、第1排水流路から外側方向への第2排水流路の拡張を抑制し、排水装置全体のサイズの増加を抑制することができる。従って、排水装置を比較的コンパクトに形成できる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記第2排水流路の上記流路断面は、上記入口部から上記絞り部までの間において扁平形状から正方形形状に近づくように変化される。
このように構成された本発明においては、第2排水流路の上記流路断面は、上記入口部から上記絞り部までの間において扁平形状から正方形形状に近づくように変化される。
よって、絞り部の流路断面を正方形に近づけることができ、絞り部を形成しつつも流路の高さ及び幅のうちの最小値を比較的大きく形成させ、絞り部の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記第2排水流路の上記絞り部は、上記封水水位を規定する頂部よりも低く且つ上記頂部よりも上流側に配置される。
このように構成された本発明においては、絞り部が封水水位を規定する頂部よりも低く且つ上記頂部よりも上流側に配置されるので、絞り部が封水中に配置される。よって、絞り部に汚れが付着しにくくすることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記第2排水流路は、その上流側部分において上昇する第1傾斜部と、上記第1傾斜部よりも下流側に設けられると共に上記第1傾斜部より小さい傾きで上昇する第2傾斜部とを備え、上記第2排水流路の上記絞り部は、上記第2傾斜部上に配置される。
このように構成された本発明においては、第2排水流路の絞り部は、第1傾斜部より小さい傾きで上昇する第2傾斜部上に配置されているので、本体部内の水位が所定水位から下降し、水頭圧が徐々に減少し、第2排水流路から排水される排水量が減少する場合や排水の終了に近づく場合であっても、第2排水流路の上記絞り部よりも下流側の汚れが第2傾斜部に沿って絞り部まで流下することを抑制できる。よって、絞り部に汚れが詰まることをより抑制することができる。さらに、本体部内の水位が所定水位から下降し、水頭圧が徐々に減少し、第2排水流路から排水される排水量が減少する場合や排水の終了に近づく場合であっても、第2排水流路は、第1傾斜部より小さい傾きで上昇する第2傾斜部を備えているので、第2排水流路の第2傾斜部からの排水が継続されやすく、汚れを第2傾斜部から出口流路に排出させやすくできる。よって、第2排水流路の汚れの詰まりをより抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記第2排水流路は、その入口部から上記絞り部までの流路の幅が徐々に小さくなるように形成されている。
このように構成された本発明においては、第2排水流路は、その入口部から上記絞り部までの流路の幅が徐々に小さくなるように形成されているので、第2排水流路内に流入する汚れが徐々に小さくなる流路の幅に沿って比較的スムーズに流れることができ、
第2排水流路において汚れが詰まりにくくできる。これにより、第2排水流路の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、上記第2排水流路の上記絞り部は、上記第2排水流路の入口部と出口部との中間部分よりも下流側に配置される。
このように構成された本発明においては、絞り部が第2排水流路の入口部と出口部との中間部分よりも下流側に配置されるので、第2排水流路の絞り部よりも下流側から絞り部に戻る汚れの量を比較的少なくすることができ、第2排水流路の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路の排出性能の低下をより抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の排水装置によれば、封水水位より高い所定水位まで超音波洗浄を行う超音波洗浄性能の向上と本体部内の水が入口部から水受け部に溢れ出てしまう逆流の防止とを両立させながら、第2排水流路の汚れの詰まりを抑制させ且つ第2排水流路の排出性能の低下を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態による排水装置を備えた水栓システムを正面から見た正面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による排水装置を備えた水栓システムを側面から見た側面図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿って見た断面図である。
【
図4】
図3の排水装置を拡大して示す拡大断面図である。
【
図6】
図4のVI-VI線に沿って見た断面図である。
【
図7】
図4のVII-VII線に沿って見た断面図である。
【
図8】
図4のVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【
図9】
図4のIX-IX線に沿って見た断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態による排水装置の待機状態において汚れを含む水が流入した状態を示す部分拡大断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態による排水装置の本体部に水の流入が開始された状態を示す部分拡大断面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態による排水装置の本体部にさらに水が流入し、流入した水が第2排水流路を介して出口流路に流出されると共に、第1排水流路の上昇部内の水位を上昇させる状態を示す部分拡大断面図である。
【
図13】本発明の第1実施形態による排水装置の本体部にさらに水が流入し、第1排水流路内の水位が所定水位まで到達した状態を示す部分拡大断面図である。
【
図14】本発明の第1実施形態による排水装置の本体部への水の流入が停止し、第2排水流路の入口より上方の水が第2排水流路を介して出口流路に流出され、第1排水流路内の水位が徐々に低下する状態を示す部分拡大断面図である。
【
図15】
図14に示す状態から、さらに第2排水流路の入口より上方の水が第2排水流路を介して出口流路に流出され、第1排水流路内の水位が徐々に低下する状態を示す部分拡大断面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態による排水装置において一連の洗浄動作の終了後に待機状態に戻った様子を示す部分拡大断面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態による排水装置を備えた水栓システムを側面から見た側面図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線に沿って見た断面図である。
【
図19】
図18のXIX-XIX線に沿って見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態による排水装置について説明する。
図1は本発明の第1実施形態による排水装置を備えた水栓システムを正面から見た正面図であり、
図2は本発明の第1実施形態による排水装置を備えた水栓システムを側面から見た側面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の第1実施形態による排水装置1は、水栓システム2に設けられている。水栓システム2は、キッチンに設けられるキッチンシステムである。水栓システム2は、洗面台システム、浴室に設けられる浴室システム、又は水が流入する後述する水受け部6を備えた他のシステムであってもよい。
【0020】
水栓システム2は、水を供給する水栓装置4と、水栓装置4から供給された水を受ける水受け部6とを備えている。水栓装置4は、給水源(図示せず)から供給される水、湯等を吐水する。水受け部6は、水栓装置4から吐水された水を下流側に排出するように形成される。
【0021】
次に、
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1実施形態による排水装置について説明する。
図3は
図1のIII-III線に沿って見た断面図であり、
図4は
図3の排水装置を拡大して示す拡大断面図である。
排水装置1は、水受け部6の底部6aに設けられる。
図4に示すように、排水装置1は、本体部8を備え、この本体部8は、水受け部6側に開口される入口部10と、入口部10の下流側に設けられるトラップ形状の流路である第1排水流路12と、第1排水流路12から分岐される第2排水流路26と、一定の大きさの汚れが第2排水流路26に侵入することを抑制する侵入抑制部30を備えている。入口部10は、底部6aの一部が底面6bよりも下方に窪むことにより形成されている。なお、本体部8には、水受け部6からの流路とは別の水の供給流路が接続されていてもよい。別の水の供給流路は、別の給水源(図示せず)に接続される。本体部8内に流入する水には、水受け部6からの流路とは別の水の供給流路から本体部8内に流入する水も含まれる。また、本体部8内に流入する水には、洗剤、シャンプー、ボディーソープ、食器の汚れ、水受け部の汚れ等のいずれかを含むような水、例えば生活排水も含まれる。
【0022】
排水装置1は、さらに、入口部10の上方を覆うように配置される蓋14と、本体部8内の水に超音波を発振する超音波発振器16と、本体部8内の水位を検知する水位検知センサ18と、超音波発振器16の作動を制御する制御部20と、本体部8の第1排水流路12の下流側に設けられる出口流路22と、本体部8内の流路上に設けられ且つ網目を有する網かご24とを備えている。
【0023】
蓋14は、底面6bと並べて配置され、底面6bと連続した底面を形成するように配置される。蓋14には、水やごみ等の小物体が流入する孔(図示せず)が形成されている。
超音波発振器16は、本体部8内の入口部10の下方に設けられている。超音波発振器16は、制御部20と電気的に接続されている。
水位検知センサ18は、入口部10近傍に設けられ、入口部10まで上昇した水位を検知することができる。水位検知センサ18は、制御部20と電気的に接続されている。
制御部20は、CPU及びメモリ等を内蔵し、水位検知センサ18から送信される水位検知信号を受信する機能を有すると共にメモリに記憶された所定の制御プログラム等に基づいて超音波発振器16の動作を制御する。
【0024】
網かご24は、入口部10の下方側の流路全体を覆うように形成される。網かご24は、底部6aの下方に窪んだ窪みの内部において入口部10の下方側に配置される。網かご24の上端は入口部10に配置されている。網かご24は、水を通過させる一方、ごみ等の小物体を通過させずに網かご24内に留めるようになっている。
【0025】
出口流路22は、第1排水流路12の下流端に接続され、鉛直方向下方に延びている。出口流路22は、さらに下流側の排水配管(図示せず)に接続される。出口流路22は、その一部が本体部8によって形成されていてもよい。
【0026】
侵入抑制部30は、第2排水流路26の入口部26aに形成されている。侵入抑制部30は、板状体に複数の貫通孔32を形成している。侵入抑制部30は、一定の大きさ及び形状の汚れ(例えば小物体状の汚れ)の侵入を抑制すると共に通過する汚れの大きさを制限できる。侵入抑制部30は網状構造に形成されていてもよい。侵入抑制部30は、第2排水流路26の入口部26aに配置されると共に第1排水流路12の底面とほぼ面一に配置される。複数の貫通孔32は、それぞれ正方形の四角孔を形成している。なお、貫通孔32は、円形、鼓形状など、他の形状であってもよい。
【0027】
次に、
図4乃至
図9を参照して、本発明の第1実施形態による排水装置の第1排水流路12及び第2排水流路26について説明する。
排水装置1の本体部8の第1排水流路12は、入口部10の下方に接続される接続部12aと、排水トラップを形成するように下流側に向けて斜め上方に上昇する上昇流路である第1排水流路上昇部12bと、第1排水流路上昇部12bと下降部12dとの間において排水トラップの第1排水流路上昇部12bと接続する折り返し部分である頂部12cと、第1排水流路上昇部12bの下流側に設けられ且つ頂部12cから下降する下降流路である下降部12dとを備えている。下降部12dは出口流路22と接続される。
【0028】
第1排水流路12は、第1排水流路上昇部12bから下降部12dに向けて折り返すトラップ形状の流路である。第1排水流路上昇部12bは下流側に向けて斜めに上昇するように形成されている。下降部12dは第1排水流路上昇部12bの下流端に接続され且つほぼ鉛直方向下方に延びるように形成されている。本体部8の内部の接続部12a、第1排水流路上昇部12b及び第2排水流路26において後述するように封水が形成され、封水水位W2(
図10参照)が規定される。また、第1排水流路12は、トラップ形状の流路の頂部12cにより入口部10の高さ以下の所定水位W1(
図13参照)を規定するように構成されている。所定水位W1は、網かご24の底面よりも高い位置、例えば網かご24の上部に規定されている。所定水位W1は、網かご24の上方に規定されていてもよい。第1排水流路12の頂部12cが、本体部8の入口部10の高さに設けられることにより、第1排水流路12により規定される所定水位W1は、本体部8の入口部10の高さとされる。第1排水流路12は、後述する単位時間あたりの第2排水量よりも大きな単位時間あたりの第1排水量を出口流路22に排水できるような第1の流路断面積D1に形成されている。第1の流路断面積D1は、第1排水流路12の流路断面積のうち最小の流路断面積である。
【0029】
第2排水流路26は、第1排水流路12の頂部12cより上流側に設けられた第2排水流路26の入口部26aから頂部12cより下流側に設けられた出口部26bまで延びるバイパス流路を形成する。第2排水流路26は、入口部26aから下流側に向けて斜め上方に上昇する上昇流路である第2排水流路上昇部26hと、入口部26aと出口部26bとの間において最も高い部分を形成し且つ折り返し部分を形成する頂部26cと、第2排水流路上昇部26hの下流側に設けられ且つ頂部26cから下降する下降流路である第2排水流路下降部26iとを備えている。
【0030】
第2排水流路26の入口部26aは、第1排水流路12の第1排水流路上昇部12bの下面に接続されている。入口部26aは、本体部8の入口部10の下方の底部の高さに位置している。第2排水流路26の出口部26bは、出口流路22の側壁に接続されている。出口部26bは頂部12cよりも低い位置に形成される。出口部26bは、第1排水流路12の下降部12dの側壁に接続されていてもよい。入口部26aは、第2排水流路26の流路の最も低い部分を構成する。入口部26aは、接続部12aの底面とほぼ同じ高さに配置される。入口部26aは、第1排水流路12の入口部とほぼ同じ位置又は近接して配置される。第2排水流路26は、入口部26aから出口部26bまで斜め上方に上昇する上昇流路である第2排水流路上昇部26hを形成する。
【0031】
第2排水流路26は、入口部26aと出口部26bとの間に最も高い部分を形成し且つ折り返し部分を形成する頂部26cを形成している。第2排水流路26は、自身の形状及び配置により封水水位を規定している。具体的には、第2排水流路26は、頂部26cにより本体部8内の封水水位W2(
図12参照)を規定するように構成されている。なお、第2排水流路26は、例えば第2排水流路26の中間部分又はその出口が流路の最も高い部分を構成することにより封水水位W2を規定するように構成されてもよい。また、封水水位W2は、第2排水流路26以外の構成により規定されていてもよい。封水水位W2は、網かご24より下方に規定される。封水水位W2は、第1排水流路上昇部12bの中央近傍又は下側部分に位置し、本体部8の中央近傍又は下側部分に位置している。第2排水流路26の頂部26cは、第1排水流路12の頂部12cよりも低い高さに設けられている。
【0032】
また、第2排水流路26の第2排水流路上昇部26hは、その上流側部分において上昇する第1傾斜部26fと、第1傾斜部26fよりも下流側に設けられると共に第1傾斜部26fより小さい傾きで上昇する第2傾斜部26gとを備えている。すなわち、第2傾斜部26gが水平方向に対してなす角度は、第1傾斜部26fが水平方向に対してなす角度よりも小さい。第1傾斜部26fは、第1排水流路12の傾斜と近い傾斜を有している。第2排水流路26の絞り部28は、第2傾斜部26g上に配置される。絞り部28は、第1傾斜部26fと、第2傾斜部26gとの境の境部分においても形成されている。
【0033】
また、第2排水流路26の第2排水流路下降部26iは、第2傾斜部26gよりも下流側に設けられると共に下流側に向けて下方に傾斜する第3傾斜部26mを備えている。
【0034】
また、第2排水流路26は、第1排水流路12の第1排水流路上昇部12bと、第1排水流路12の下降部12d及び出口流路22との間に挟まれた概ね三角形状の空間J内に設けられている。上面視で第2排水流路26は、第1排水流路12と重なり合うように配置され、第2排水流路26は、第1排水流路12よりも左右方向の内側に形成される。第2排水流路26は、第1排水流路12の下方の空間J内において第1排水流路上昇部12bに沿って上昇した後、下流側の出口流路22に向かって横向きに延びている。
【0035】
第2排水流路26は、さらに、その流路の一部を絞る絞り部28を備えている。第2排水流路26の絞り部28は、第2排水流路26の途中に設けられている。また、第2排水流路26の絞り部28は、第2排水流路26の入口部26aと出口部26bとの中間部分26dよりも下流側に配置されている。中間部分26dは、上面視で、入口部26aと出口部26bとの中間位置を含む中間部分として規定されてもよく、側面視で、入口部26aと出口部26bとの中間の高さ位置を含む中間部分として規定されてもよく、入口部26aと出口部26bとの距離の中間位置を含む中間部分として規定されてもよい。第2排水流路26の絞り部28は、封水水位W2を規定する頂部26cよりも低く且つ頂部26cよりも上流側に配置される。絞り部28の上端28a(
図7参照)も頂部26cよりも低い位置に配置されている。
【0036】
第2排水流路26の入口部26aから絞り部28の直前までの流路の高さは、ほぼ一定の高さH1である。第2排水流路26の絞り部28の流路の高さは、高さH1よりも低い高さH2である。第2排水流路26の絞り部28の下流側から出口部26bまでの流路の高さは、ほぼ一定の高さH1である。第2排水流路26の入口部26aの流路の高さに対する絞り部28の流路の高さの変化割合はH2/H1=C1により算定される。
【0037】
図5に示すように、第2排水流路26の入口部26aの流路断面は、扁平形状に形成されている。入口部26aの流路断面は、長方形形状である。第2排水流路26の入口部26aの流路断面の長辺側部分26eが、第1排水流路12側に配置され、第1排水流路12の第1排水流路上昇部12bの流路断面の長辺側部分となる下面12eと平行に延びている。第2排水流路26は、その入口部26aから絞り部28までの流路の幅が徐々に小さくなるように形成されている。第2排水流路26は、絞り部28の下流側において再び流路の幅が大きくなるように形成されている。第2排水流路26の入口部26aの流路の幅B2は、第2排水流路26の入口部26aと絞り部28との間の中間部分26dの流路の幅B3よりも大きい。第2排水流路26の入口部26aの流路の幅B2は、絞り部28の流路の幅B4よりも大きい。中間部分26dの流路の幅B3は、絞り部28の流路の幅B4よりも大きい。絞り部28の下流側の流路の幅B5は、入口部26aの流路の幅B2とほぼ同じである。第2排水流路26の入口部26aの流路の幅に対する絞り部28の流路の幅の変化割合はB4/B2=C2により算定される。第2排水流路26の入口部26aから絞り部28までの流路の高さの変化割合C1は、幅の変化割合C2より大きい。すなわち、流路の高さの変化割合に比べて、流路の幅の変化割合が大きくなっている。
【0038】
第2排水流路26の流路断面は、入口部26aから絞り部28までの間において扁平形状から正方形形状に近づくように変化される。第2排水流路26は、絞り部28において、流路の幅B4と流路の高さH2とがほぼ同じであり、概ね正方形形状の流路断面を形成している。なお、絞り部28は円形形状の流路断面を形成していてもよい。
【0039】
第2排水流路26は、絞り部28において、単位時間あたりに第2排水量を出口流路22に排水できるような第2の流路断面積D2に形成されている。第2の流路断面積D2は、第2排水流路26の流路断面積のうち最小の流路断面積である。第2排水流路26の第2の流路断面積D2は第1排水流路12の第1の流路断面積D1よりも小さい。よって、第2排水流路26は、絞り部28により第1排水流路12よりも大きな流路抵抗を有するように形成されている。第2排水流路26は、第2排水流路26の絞り部28の単位時間あたりの第2排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が本体部8内に流入する場合に、本体部8内の水位を、封水水位W2より高く且つ第1排水流路12により規定される所定水位W1まで少なくとも上昇させるように機能する。
【0040】
第2排水流路26の第2排水流路上昇部26hの下面26jにおける最下部26kと最上部26lとを結ぶ直線Gが水平方向に延びる水平線Iに対してなす角度α2は、第1排水流路12の第1排水流路上昇部12bの下面12eにおける最下部12gと最上部12hとを結ぶ直線Hが水平方向に延びる水平線Iに対してなす角度α1よりも小さい。最下部26kは、第2排水流路26の最も上流側の部分に位置し、最上部26lは頂部26cに位置している。最下部12gは、第1排水流路上昇部12bの最も上流側の部分に位置し、最上部12hは頂部12cに位置している。
【0041】
第2排水流路26の第2排水流路上昇部26hの下面26jにおける最下部26kから最上部26lまでの流路の長さL2は、第1排水流路12の第1排水流路上昇部12bの下面12eにおける最下部12gから最上部12hまでの流路の長さL1よりも短い。
【0042】
侵入抑制部30の複数の貫通孔32のうちの各貫通孔32の流路断面積D3(
図6参照)は、第2排水流路26の絞り部28の第2の流路断面積D2よりも小さい。また、第2排水流路26の絞り部28の流路の左右方向の最小の幅B4は、各貫通孔32の流路の左右方向の最小の幅B1以上である。なお、貫通孔32が円形である場合には、貫通孔32の幅B1は、直径により規定される。
【0043】
第1排水流路12及び第2排水流路26は、本体部8内の水位が所定水位W1を超えないように、本体部8内に流入する水を出口流路22に排水させる排水手段として機能する。少なくとも第1排水流路12は、本体部8内の水位が所定水位W1を超えないように、第1排水流路12内の水を出口流路22に排水させるように機能する。排水手段は、第1排水流路12及び第2排水流路26により、本体部8内の水位が所定水位W1に到達した場合、本体部8から出口流路22に流出する水の単位時間あたりの排水量が本体部8内に流入する水の単位時間あたりの流入量以上にされるように形成されている。排水手段は、第1排水流路12及び第2排水流路26により、本体部8内の水位が所定水位W1に到達した状態から、本体部8内に水が第2排水量を超える流入量でさらに流入されている間、本体部8内の水位を所定水位W1に維持するように形成されている。なお、本体部8内の水位を所定水位W1に維持する状態とは、本体部8内の水位の変動を抑制する状態である。本体部8内の水位を所定水位W1に維持する状態には、本体部8内の水位を所定水位W1に維持しようとする状態が含まれ、本体部8内の水位が多少変動したとしても本体部内の水位が所定水位W1近傍において概ね維持される状態が含まれる。
【0044】
また、第1排水流路12及び第2排水流路26は、本体部8内に流入する水により、本体部8内の水位を、第1排水流路上昇部12b内の封水水位W2より高く且つ入口部10の高さ以下の所定水位W1まで上昇させる水位上昇手段として機能する。少なくとも第2排水流路26は、絞り部28の単位時間あたりの第2排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が本体部8内に流入する場合に、本体部8内の水位を、封水水位W2より高く且つ所定水位W1まで少なくとも上昇させるように機能する。この水位上昇手段は、第1排水流路12及び第2排水流路26により、本体部8内の水位を封水水位W2より高く且つ所定水位W1まで上昇させる間、本体部8内に流入する水の単位時間当たりの流入量よりも本体部8から出口流路22に流出する水の単位時間あたりの排水量を小さくさせ、本体部8内に流入する水を出口流路22に流出させながら本体部8内の水位を上昇させるように形成される。
【0045】
次に、
図10乃至
図16により、上述した本発明の第1実施形態による排水装置の動作(作用)を説明する。
図10は本発明の第1実施形態による排水装置の待機状態において汚れを含む水が流入した状態を示す部分拡大断面図であり、
図11は本発明の第1実施形態による排水装置の本体部に水の流入が開始された状態を示す部分拡大断面図であり、
図12は本発明の第1実施形態による排水装置の本体部にさらに水が流入し、流入した水が第2排水流路を介して出口流路に流出されると共に、第1排水流路の上昇部内の水位を上昇させる状態を示す部分拡大断面図であり、
図13は本発明の第1実施形態による排水装置の本体部にさらに水が流入し、第1排水流路内の水位が所定水位まで到達した状態を示す部分拡大断面図であり、
図14は本発明の第1実施形態による排水装置の本体部への水の流入が停止し、第2排水流路の入口より上方の水が第2排水流路を介して出口流路に流出され、第1排水流路内の水位が徐々に低下する状態を示す部分拡大断面図であり、
図15は
図14に示す状態から、さらに第2排水流路の入口より上方の水が第2排水流路を介して出口流路に流出され、第1排水流路内の水位が徐々に低下する状態を示す部分拡大断面図であり、
図16は本発明の第1実施形態による排水装置において一連の洗浄動作の終了後に待機状態に戻った様子を示す部分拡大断面図である。
図10乃至
図16において、本体部内において水が貯留している部分を点線により図示している。
【0046】
図10には、水栓装置4から吐水がなされる前の待機状態が示されている。待機状態においては本体部8内の水位は第1排水流路12の第1排水流路上昇部12b及び接続部12a及び第2排水流路26において封水水位W2となっている。接続部12aと第1排水流路上昇部12bとの間の天井部12fが封水水位W2より下方に位置する(頂部26cより下方に位置する)ので、待機状態において、出口流路22と入口部10とが空気的に遮断され、臭気が出口流路22から入口部10に上がってくることが確実に防止されている。待機状態においては、水栓装置4は止水された状態であり、超音波発振器16も停止された状態である。待機状態において、使用者が汚れEを含むような水を水受け部6に流すと、この水が本体部8に流入する。例えば、
図10に示すように、汚れEが接続部12a、入口部10、網かご24等に付着した状態となる。
【0047】
図11に示すように、水栓装置4からの吐水が行われると、矢印F1に示すように、水が水受け部6の底面6bから蓋14を通って入口部10に流入する。矢印F2に示すように、入口部10に流入した水は、網かご24を通過してさらに流下する。次いで、矢印F3に示すように、網かご24から流下する水は、第1排水流路12の接続部12a内に供給される。矢印F4に示すように、第1排水流路12の接続部12a内に供給された水は、侵入抑制部30から第2排水流路26の入口部26aに流入する。侵入抑制部30において、複数の貫通孔32が形成されているので、比較的大きな形状の汚れEの第2排水流路26への侵入が抑制される。一方で、侵入抑制部30は、複数の貫通孔32により流路断面積の合計(各開口面積の合計)を比較的大きくすることができている。よって、第2排水流路26の単位時間あたりの排水量を比較的大きくすることができる。従って、第2排水流路26の汚れEの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0048】
矢印F5に示すように、第2排水流路26の入口部26aに流入した水は、第1傾斜部26fを上昇し、絞り部28を通過する。矢印F6に示すように、絞り部28を通過した水は第2傾斜部26gに沿って上昇し、頂部26cを超えて出口部26bに至る。矢印F7に示すように、出口部26bから流出する水は、出口流路22に排水される。第2排水流路26は、単位時間あたりに第2排水量を出口流路22に排水できる。
【0049】
絞り部28の単位時間あたりの第2排水量(又は一定時間あたりの総排水量)を超える単位時間あたりの流入量(又は一定時間あたりの総流入量)の水が本体部8内に流入する場合、水が第2排水流路26から流出しきれず、本体部8内に貯留する。よって、矢印F8に示すように、第1排水流路12及び第2排水流路26により、本体部8内に流入する水を第2排水流路26を介して出口流路22に流出させながら本体部8の接続部12a及び第1排水流路上昇部12b内の水位を自動的に上昇させる。このとき、使用者の操作がなくとも水位が自動的に上昇する。第2排水流路26は、その流路の一部を絞る絞り部28を備えているので、単位時間当たりの第2排水量を比較的低く抑制することができ、比較的少量の水によって第1排水流路上昇部12b内の水位を上昇させることができる。
【0050】
図12において矢印F9に示すように、さらに水が本体部8内に流入するとき、本体部8内に流入する水が、矢印F10に示すように第2排水流路26を介して出口流路22に流出されると共に、矢印F11に示すように本体部8の接続部12a及び第1排水流路上昇部12b内の水位を上昇させる。
【0051】
図13において矢印F12に示すように、さらに水が本体部8内に流入するとき、第1排水流路12の第1排水流路上昇部12b内の水位が第1排水流路12の頂部12cにより規定される所定水位W1まで上昇される。第1排水流路12内の水位が所定水位W1まで到達した状態においては、本体部8内に流入する水が、矢印F13に示すように第2排水流路26を介して出口流路22に流出されると共に、矢印F14に示すように第1排水流路12の頂部12cから下降部12dに流出される。
【0052】
図13において、第1排水流路12内の水位が所定水位W1に到達した状態から、本体部8内に水が第2排水量を超える流入量でさらに流入されても、本体部8内の水位は所定水位W1に維持される。このとき、所定水位W1は、入口部10の高さであり、網かご24の上部に位置する。よって、本体部8の入口部10以下の高さにある汚れEが付着しやすい流路部分、例えば入口部10、網かご24、第2排水流路26の入口部26a、中間部分26d及び絞り部28、侵入抑制部30、第1排水流路12の接続部12a、第1排水流路上昇部12b及び頂部12c等が概ね水に浸かっている。制御部20は、水位検知センサ18により水位が入口部10まで上昇した所定水位W1となっていることを判定する。水位が所定水位W1である状態で制御部20が超音波発振器16を作動させることにより、本体部8の概ね全体に超音波Kを発振して超音波洗浄を行うことができ、さらに本体部8内の汚れEが付着しやすい流路部分、例えば入口部10、網かご24、侵入抑制部30、第2排水流路26の入口部26a及び絞り部28等に超音波洗浄を行うことができる。
【0053】
このように、第1排水流路12及び第2排水流路26により、本体部8内の水位が所定水位W1を超えないように、本体部8内に流入する水を出口流路22に排水させている。これにより、本体部8内の水位が所定水位W1を超えて、本体部8内の水が入口部10から水受け部6の底面6bに溢れ出てしまうことを防止することができる。
第2排水流路26の単位時間あたりの第2排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が本体部8内に流入し続ける場合において、単位時間あたりの流入量が第2排水流路26の単位時間あたりの第2排水量及び第1排水流路12の単位時間あたりの第1排水量の合計値を超えない限り、本体部内の水位の上昇を封水水位W2から所定水位W1までの間に制御することができる。なお、第2排水流路26の単位時間あたりの第2排水量及び第1排水流路12の単位時間あたりの第1排水量の合計値は、水栓装置4の通常の使用態様において水栓装置4から供給される水の供給量が、この合計値を超えないような値として設定されている。
【0054】
さらに、本実施形態においては、使用者の従来の排水流路に設けられた排水弁等の閉止操作を不要とし、本体部8内に水が供給されることにより、第1排水流路12及び第2排水流路26の構成に基づいて、本体部8内の水位が所定水位W1まで自動的に到達し、入口部10及び網かご24等まで自動的に超音波洗浄を行うことができる。
【0055】
図13においては、矢印F13に示すように、水が侵入抑制部30の複数の貫通孔32から第2排水流路26に流入している。侵入抑制部30の複数の貫通孔32のうちの各貫通孔32の流路断面積は、第2排水流路26の絞り部28の流路断面積よりも小さいので、第2排水流路26内に流入する汚れEの大きさが、侵入抑制部30の複数の貫通孔32のうちの各貫通孔32の流路断面積より小さくされる。さらに、第2排水流路26の絞り部28の最小の幅B4は、各貫通孔32の最小の幅B1以上であるので、第2排水流路26内に流入する汚れEが主に各貫通孔32の最小の幅B1以下の大きさとなるため、この汚れEが第2排水流路26の絞り部28を通過しやすくすることができる。これにより、第2排水流路26の汚れEの詰まりをより抑制することができる。
【0056】
図13においては、矢印F13に示すように、水が本体部8の底部から第2排水流路26の入口部26aに流入している。第2排水流路26により、本体部8の入口部10の下方の底部に溜まりやすい比較的重い汚れを排出しやすくでき、排水装置1の汚れの排出性能を向上させることができる。
【0057】
図13においては、矢印F13に示すように、第2排水流路26からの排水が継続している。第2排水流路26は、その入口部26aから絞り部28までの流路の幅が徐々に小さくなるように形成されているので、第2排水流路26内に流入する汚れEが徐々に小さくなる流路の幅に沿って比較的スムーズに流れることができ、第2排水流路26において汚れEが詰まりにくくできる。
また、第2排水流路26の流路断面は、入口部26aから絞り部28までの間において扁平形状から正方形形状に近づくように変化される。よって、絞り部28の流路断面を正方形に近づけることができ、絞り部28を形成しつつも流路の高さ及び幅のうちの最小値を比較的大きく形成させ、絞り部28の汚れEの詰まりをより抑制することができる。
【0058】
図4及び
図13においては、矢印F13に示すように、第2排水流路26の第2の流路断面積D2が第1排水流路12の第1の流路断面積D1よりも小さくされている場合であっても、第2排水流路26が比較的緩やかな上り傾斜により形成され、頂部26cが頂部12cよりも低い位置に形成され、第2排水流路26に流入した汚れEを第2排水流路26を通って出口流路22まで排出するために必要な力が抑制でき、汚れEが第2排水流路26から出口流路22に排出されやすくできる。
また、
図4及び
図13に示すように、第2排水流路26に流入した水が第2排水流路26における最下部26kから最上部26lまでの流路を通る間に受ける圧力損失は、水が第1排水流路12における最下部12gから最上部12hまでの流路を通る間に受ける圧力損失と比べて小さくなる。よって、水が第2排水流路26を通過する際の流速の低下を比較的抑制することができる。汚れEが第2排水流路26から出口流路22により排出されやすくできる。
【0059】
図14及び
図15に示すように、本体部8内への水の流入がなくなる又は水の流量が低下されるとき、矢印F15及びF16に示すように、第2排水流路26の頂部12cより上方の水が第2排水流路26を介して出口流路22に流出され、矢印F17に示すように、第1排水流路12の接続部12a及び第1排水流路上昇部12bの水位が徐々に低下する。第2排水流路26は、水位が頂部12cより上方にある場合には、排水を継続している。本体部8内の水位が所定水位W1から下がるに連れて、水頭圧が徐々に減少し、第2排水流路26から排水される排水量が減少する。このように排水量が減少する場合や排水の終了の場合であっても、第2傾斜部26gは、第1傾斜部26fよりも小さい傾きで上昇するので、第2排水流路26の絞り部28よりも下流側の汚れEが第2傾斜部26gに沿って絞り部28まで流下することを抑制できる。また、F16に示すように、排水量が減少する場合、排水の終了間近の場合、及び排水の終了の場合であっても、第2排水流路26からの排水が継続されやすく、汚れEが第2排水流路26から排出されやすくなり、第2排水流路26の汚れEの詰まりがより抑制できる。
【0060】
また、絞り部28が第2排水流路26の入口部26aと出口部26bとの中間部分よりも下流側に配置されるので、第2排水流路26からの排水が弱まる又は停止した後に、絞り部28よりも下流側から絞り部28に流下する汚れEの量を比較的少なくすることができ、第2排水流路26の汚れEの詰まりをより抑制することができる。
また、第2排水流路26は、第2傾斜部26gよりも下流側に設けられると共に下流側に向けて下方に傾斜する第3傾斜部26mを備える。これにより、第2排水流路26からの排水が弱まる又は停止する場合に、汚れEが第2排水流路26内の第3傾斜部26mから第2傾斜部26g側に逆流することが抑制できる。
【0061】
図16に示すように、本体部8内への水の流入がなくなり、第1排水流路12の接続部12a及び第1排水流路上昇部12bの水位が第2排水流路26の頂部26cまで低下すると、第2排水流路26からの水の流出が終了し、排水装置1は待機状態に戻る。このとき本体部8内の水位は封水水位W2となっている。
待機状態において、絞り部28が封水水位W2を規定する頂部26cよりも低く且つ頂部26cよりも上流側に配置されるので、絞り部28が封水中に配置される。よって、絞り部28に汚れEが付着しにくく且つ汚れEが絞り部28に固着することを抑制することができる。
【0062】
上述した本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、第1排水流路12は、本体部8内の水位が所定水位W1を超えないように、第1排水流路12内の水を出口流路22に排水させるように機能している。これにより、本体部8内の水位が所定水位W1を超えて、本体部8内の水が入口部10から水受け部6に溢れ出てしまうことが抑制できる。さらに、第2排水流路26は、本体部8内に所定流量の水が流入する場合に、本体部8内の水位を、封水水位W2より高く且つ第1排水流路12により規定される所定水位W1まで少なくとも上昇させるように機能する。これにより、本体部8内の水位を所定水位W1まで自動的に上昇させた状態において、封水水位W2より高い所定水位W1まで超音波発振器16による超音波洗浄ができる。
このように機能する本体部8において、第2排水流路26は、その流路の一部を絞る絞り部28を備えている。仮に第2排水流路26の全体にわたって絞り部28を設ける場合には、汚れがつまりやすい部分が多くなるため、第2排水流路26において汚れが詰まりやすくなり、汚れの排出性能が低下してしまう。本発明によれば、流路の一部を絞る絞り部28により、本体部8内に所定流量の水が流入する場合に、本体部8内の水位を、上昇させやすくすることができると共に、汚れが詰まりやすい絞り部28を第2排水流路26の一部に形成させ、第2排水流路26の汚れの詰まりを抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下を抑制することができる。
よって、第1排水流路12及び第2排水流路26により、第2排水流路26の汚れの詰まりを抑制させ且つ第2排水流路26の排出性能の低下を抑制させながら、封水水位W2より高い所定水位W1まで超音波洗浄を行う超音波洗浄性能の向上と本体部8内の水が入口部10から水受け部6に溢れ出てしまう逆流の防止とを両立させることができる。
【0063】
また、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、第2排水流路26の絞り部28は、第2排水流路26の途中に設けられている。これにより、第2排水流路26の絞り部28は、汚れの付着しやすい入口部26a及び出口部26b以外の部分において、流路を絞ることができる。従って、汚れが詰まりやすい絞り部28を第2排水流路26の途中の一部に形成させ、第2排水流路26の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0064】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、第2排水流路26の入口において、複数の貫通孔32を形成し且つ汚れの侵入を抑制する侵入抑制部30が形成されている。よって、侵入抑制部30は、比較的大きな汚れの侵入を抑制すると共に、複数の貫通孔32により流路断面積の合計を比較的大きくすることができ、第2排水流路26の単位時間あたりの排水量を比較的大きくすることができる。従って、第2排水流路26の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0065】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、侵入抑制部30の複数の貫通孔32のうちの各貫通孔32の流路断面積は、第2排水流路26の絞り部28の流路断面積よりも小さいので、第2排水流路26内に流入する汚れの大きさが、侵入抑制部30の複数の貫通孔32のうちの各貫通孔32の流路断面積より小さく、さらに絞り部28の流路断面積よりも小さくされる。さらに、第2排水流路26の絞り部28の最小の幅は、各貫通孔32の最小の幅以上であり、第2排水流路26内に流入する汚れが主に各貫通孔32の最小の幅以下の大きさとなるため、侵入した汚れが第2排水流路26の絞り部28を通過しやすくできる。これにより、第2排水流路26の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0066】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、第2排水流路26の入口部26aの流路断面積を比較的大きくした場合においても、扁平形状の流路断面の長辺側部分を第1排水流路12側に配置することにより、第1排水流路12のサイズを維持したまま、第1排水流路12から外側方向への第2排水流路26の拡張を抑制し、排水装置全体のサイズの増加を抑制することができる。従って、排水装置1を比較的コンパクトに形成できる。
【0067】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、第2排水流路26の流路断面は、入口部26aから絞り部28までの間において扁平形状から正方形形状に近づくように変化される。よって、絞り部28の流路断面を正方形に近づけることができ、絞り部28を形成しつつも流路の高さ及び幅のうちの最小値を比較的大きく形成させ、絞り部28の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0068】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、絞り部28が封水水位W2を規定する頂部26cよりも低く且つ頂部26cよりも上流側に配置されるので、絞り部28が封水中に配置される。よって、絞り部28に汚れが付着しにくくすることができる。
【0069】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、第2排水流路26の絞り部28は、第1傾斜部26fより小さい傾きで上昇する第2傾斜部26g上に配置されているので、本体部8内の水位が所定水位W1から下降し、水頭圧が徐々に減少し、第2排水流路26から排水される排水量が減少する場合や排水の終了に近づく場合であっても、第2排水流路26の絞り部28よりも下流側の汚れが第2傾斜部26gに沿って絞り部28まで流下することを抑制できる。よって、絞り部28に汚れが詰まることをより抑制することができる。さらに、本体部8内の水位が所定水位W1から下降し、水頭圧が徐々に減少し、第2排水流路26から排水される排水量が減少する場合や排水の終了に近づく場合であっても、第2排水流路26は、第1傾斜部26fより小さい傾きで上昇する第2傾斜部26gを備えているので、第2排水流路26の第2傾斜部からの排水が継続されやすく、汚れを第2傾斜部26gから出口流路22に排出させやすくできる。よって、第2排水流路26の汚れの詰まりをより抑制することができる。
【0070】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば、第2排水流路26は、その入口部26aから絞り部28までの流路の幅が徐々に小さくなるように形成されているので、第2排水流路26内に流入する汚れが徐々に小さくなる流路の幅に沿って比較的スムーズに流れることができ、第2排水流路26において汚れが詰まりにくくできる。これにより、第2排水流路26の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0071】
さらに、本発明の第1実施形態による排水装置1によれば。絞り部28が第2排水流路26の入口部26aと出口部26bとの中間部分よりも下流側に配置されるので、第2排水流路26の絞り部28よりも下流側から絞り部28に戻る汚れの量を比較的少なくすることができ、第2排水流路26の汚れの詰まりをより抑制することができ、第2排水流路26の排出性能の低下をより抑制することができる。
【0072】
次に、
図17乃至
図19により、本発明の第2実施形態による排水装置を説明する。第2実施形態は、本発明による排水装置の第2排水流路を本体部の異なる位置に配置した例である。
図17は本発明の第2実施形態による排水装置を備えた水栓システムを側面から見た側面図である。
図18は
図17のXVIII-XVIII線に沿って見た断面図である。
図19は
図18のXIX-XIX線に沿って見た断面図である。
【0073】
第2実施形態による排水装置101は、上述した第1実施形態による排水装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0074】
排水装置101は、本体部108を備え、この本体部108は、水受け部6側に開口される入口部10と、入口部10の下流側に設けられるトラップ形状の流路である第1排水流路12と、第1排水流路12から分岐される第2排水流路126と、網かご24の下方に設けられる封水筒25とを備えている。封水筒25は、筒状に形成され、網かご24の下部近傍からさらに下方の本体部108の底部近傍まで延びている。封水筒25の下端は、後述する第2排水流路126の入口部126aより下方まで延びている。
【0075】
次に、
図18及び
図19を参照して、本発明の第2実施形態による排水装置の第1排水流路12及び第2排水流路126について説明する。
第1排水流路12は、トラップ形状の流路の頂部12cにより入口部10の高さ以下の所定水位W1(
図19参照)を規定するように構成されている。
第2排水流路126は、第1排水流路12の頂部12cより上流側に設けられた第2排水流路126の入口部126aから頂部12cより下流側に設けられた出口部126bまで延びるバイパス流路を形成する。第2排水流路126は、入口部126aから下流側に向けて斜め下方に下降する第2排水流路下降部126iを備えている。第2排水流路126の入口部126aは、封水筒25よりも外側の第1排水流路12の接続部12aの側壁面に形成されている。入口部126aは、第2排水流路126の流路の最も高い部分を構成する。第2排水流路126は、入口部126aから出口流路22に設けられた出口126bまで下方向きにほぼ直線状に延びる。第2排水流路126は、入口部126aにより封水水位W2を規定する。第2排水流路126は、例えばその流路の最も高い部分により封水水位W2を規定するように構成される。例えば、第2排水流路126の中間部分又はその出口が流路の最も高い部分を構成することにより封水水位W2を規定してもよい。また、封水水位W2は、第2排水流路126以外の構成により規定されていてもよい。封水水位W2は、網かご24より下方に規定される。封水水位W2は、第1排水流路上昇部12bの中央近傍又は下側部分に位置し、本体部108の中央近傍又は下側部分に位置している。入口126aは、第1排水流路12の頂部12cよりも低い高さに設けられている。第2排水流路126の流路断面は、円形形状に形成されている。
【0076】
第2排水流路126は、その入口126aにおいてその流路の一部を絞る絞り部128を備えている。絞り部128はほぼ横向きに延びると共に下流側に向かってわずかに下り傾斜を形成している。絞り部128は円管状に形成され、流路断面は円形形状に形成されている。絞り部128の流路の直径は、第2排水流路下降部126iの流路の直径よりも小さい。
【0077】
第2排水流路126の絞り部128は、単位時間あたりに第2排水量を排水できるような第2の流路断面積D2(
図18参照)に形成されている。第2排水流路126の第2の流路断面積D2は第1排水流路12の第1の流路断面積D1よりも小さい。よって、第2排水流路126は、絞り部128により第1排水流路12よりも大きな流路抵抗を有する。第2排水流路126は、第2排水流路126の絞り部128の単位時間あたりの第2排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が本体部108内に流入する場合に、本体部108内の水位を、封水水位W2より高く且つ第1排水流路12により規定される所定水位W1まで少なくとも上昇させるように機能する。
【0078】
第1排水流路12及び第2排水流路126は、本体部108内の水位が所定水位W1を超えないように、本体部108内に流入する水を出口流路22に排水させる排水手段として機能する。少なくとも第1排水流路12は、本体部108内の水位が所定水位W1を超えないように、第1排水流路12内の水を出口流路22に排水させるように機能する。排水手段は、第1排水流路12及び第2排水流路126により、本体部108内の水位が所定水位W1に到達した場合、本体部108から出口流路22に流出する水の単位時間あたりの排水量が本体部8内に流入する水の単位時間あたりの流入量以上にされるように形成されている。
【0079】
また、第1排水流路12及び第2排水流路126は、本体部108内に流入する水により、本体部108内の水位を、第1排水流路上昇部12b内の封水水位W2より高く且つ入口部10の高さ以下の所定水位W1まで上昇させる水位上昇手段として機能する。少なくとも第2排水流路126は、絞り部128の単位時間あたりの第2排水量を超える単位時間あたりの流入量の水が本体部108内に流入する場合に、本体部108内の水位を、封水水位W2より高く且つ第1排水流路12により規定される所定水位W1まで少なくとも上昇させるように機能する。
【0080】
次に、
図19により、上述した本発明の第2実施形態による排水装置の動作(作用)を説明する。
図19には、水栓装置4から吐水がなされる前の待機状態が示されている。待機状態においては本体部108内の水位は封水水位W2となっている。封水筒25が封水水位W2より下方まで延びているので、待機状態において、臭気が出口流路22から入口部10に上がってくることが確実に防止されている。待機状態においては、水栓装置4は止水された状態であり、超音波発振器16も停止された状態である。
【0081】
水栓装置4からの吐水が行われると、第1排水流路12の接続部12a内に供給された水は、第2排水流路126の入口126aから第2排水流路126を通って出口流路22に排水される。
【0082】
第2排水流路126の絞り部128の単位時間あたりの第2排水量(又は一定時間あたりの総排水量)を超える単位時間あたりの流入量(又は一定時間あたりの総流入量)の水が本体部108内に流入する場合に、水が第2排水流路126から流出しきれず、本体部108内に貯留する。よって、第1排水流路12及び第2排水流路126により、本体部108内に流入する水を第2排水流路126を介して出口流路22に流出させながら本体部108の第1排水流路12の第1排水流路上昇部12b内の水位を自動的に上昇させる。第2排水流路126は、その流路の一部を絞る絞り部128を備えているので、単位時間当たりの第2排水量を比較的低く抑制することができ、比較的少量の水によって第1排水流路上昇部12b内の水位を上昇させやすくできる。
【0083】
さらに水が本体部108内に流入するとき、第1排水流路上昇部12b内の水位が第1排水流路12の頂部12cにより規定される所定水位W1まで上昇される。第1排水流路12内の水位が所定水位W1まで到達した状態においては、本体部108内に流入する水が、第2排水流路126を介して出口流路22に流出されると共に、第1排水流路12の頂部12cから下降部12dに流出される。
【0084】
本体部8内に水が第2排水量を超える流入量でさらに流入されても、本体部108内の水位は所定水位W1に維持される。制御部20は、水位検知センサ18により水位が入口部10まで上昇した所定水位W1となっていることを判定する。水位が所定水位W1である状態で制御部20が超音波発振器16を作動させることにより、本体部108の概ね全体に超音波洗浄を行うことができ、さらに本体部108内の汚れが付着しやすい流路部分、例えば入口部10及び網かご24に超音波洗浄を行うことができる。
【0085】
このように、第1排水流路12及び第2排水流路126により、本体部108内の水位が所定水位W1を超えないように、本体部8内に流入する水を出口流路22に排水させている。これにより、本体部108内の水位が所定水位W1を超えて、本体部8内の水が入口部10から水受け部6の底面6bに溢れ出てしまうことを防止することができる。
【0086】
本体部8内への水の流入がなくなる又は水の流量が低下されるとき、第1排水流路12及び第2排水流路126により、第2排水流路126の入口126aより上方の水が第2排水流路126を介して出口流路22に流出され、第1排水流路上昇部12bの水位が徐々に低下する。第2排水流路126は、水位が入口126aより上方にある場合には、概ね単位時間あたりに第2排水量を排水し続けている。
【0087】
図19に示すように、第1排水流路12の接続部12a及び第1排水流路上昇部12bの水位が第2排水流路126の入口126aまで低下すると、第2排水流路126からの水の流出が終了し、排水装置1は待機状態に戻る。このとき本体部8内の水位は封水水位W2となっている。
【符号の説明】
【0088】
1 :排水装置
6 :水受け部
6a :底部
8 :本体部
10 :入口部
12 :第1排水流路
12b :第1排水流路上昇部(上昇流路)
12c :頂部
12d :下降部(下降流路)
16 :超音波発振器
22 :出口流路
26 :第2排水流路
26a :入口部
26b :出口
26b :出口部
26c :頂部
26d :中間部分
26e :長辺側部分
26f :第1傾斜部
26g :第2傾斜部
28 :絞り部
30 :侵入抑制部
101 :排水装置
108 :本体部
126 :第2排水流路
126a :入口部
126a :入口
126b :出口部
128 :絞り部
B1 :幅
B2 :幅
B3 :幅
B4 :幅
B5 :幅
D3 :流路断面積
H1 :高さ
H2 :高さ
W1 :所定水位
W2 :封水水位