(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】スタンプ用シート体及びこれを利用したスタンドフレーム
(51)【国際特許分類】
B41K 1/36 20060101AFI20220418BHJP
B41K 1/06 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B41K1/36 G
B41K1/06
(21)【出願番号】P 2018126492
(22)【出願日】2018-07-03
【審査請求日】2021-06-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 平成30年1月27日、28日(2018.1.27.28)開催した場所 ベトナム国ホーチミン市で開催された第5回ジャパンベトナムフェスティバルの「重ねおしスタンプラリー inベトナム」会場〔Cong Vien 23 Thang9(9月23日公園)所在地:Pham Ngu Lao,Dist1,HCM City〕
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】230117259
【氏名又は名称】綿貫 敬典
(72)【発明者】
【氏名】余越 誠
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-42660(JP,U)
【文献】実開昭54-136014(JP,U)
【文献】実開平3-121864(JP,U)
【文献】実開平6-49061(JP,U)
【文献】実開昭59-72971(JP,U)
【文献】特表2008-540182(JP,A)
【文献】特開平9-314970(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216873(JP,U)
【文献】特開2011-79150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0047843(US,A1)
【文献】米国特許第4762271(US,A)
【文献】米国特許第6382412(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 1/00-3/68
B41M 1/00-3/18
B42D 1/00-25/485
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート枠内に窓孔を備えた捺印ガイドシートと、
前記捺印ガイドシートの一端に第1折曲線を介して連設し、前記捺印ガイドシートの裏面に重ね合わせるスタンプシートと
前記一端と対向する他の一端で、前記捺印ガイドシートと第2折曲線を介して連設し、前記スタンプシートの裏面に重ね合わせる背面シートを備えるスタンプ用シートであって、
前記第1、第2折曲線を折り曲げて、前記捺印ガイドシートと前記スタンプシートと、前記背面シートとをこの順に重ね合わせた際に、前記捺印ガイドシートが凸状の湾曲を形成し、前記スタンプシート表面から離間させた構成としたことを特徴とするスタンプ用シート体。
【請求項2】
前記捺印ガイドシートの連設方向の長さが、前記スタンプシートの連設方向の長さより長く形成してある請求項1のスタンプ用シート体。
【請求項3】
重ね捺しに用いる請求項1又は2に記載のスタンプ用シート体。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のスタンプ用シート体の前記背面シートの先端辺に第3折曲線を介して連設した底面部を備え、
前記底面部の先端側と前記第1折曲線を連結させてなることを特徴とするスタンドフレーム。
【請求項5】
前記連結の手段が、
前記底面部先端中央に舌片と、前記第1折曲線近傍に開口部を設け、
前記舌片と開口部を係合して連結させてなることを特徴とする請求項4に記載のスタンドフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙の所定位置に正確に捺印するスタンプ用シート体および絵柄を色彩の異なるパーツに分けた複数のスタンプを重ね捺しして、版画のような彩色画を完成させる重ね捺しスタンプ用シート体とこのスタンプ用シート体を利用してスタンプ画を展示できるスタンドフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スタンプを台紙に捺印する際に、捺印印影を所定の位置に正確に押印したい場合、枠付きの捺印ガイド部材を用いる。枠付きの捺印ガイド部材(特許文献1)は、L字形状の平板に捺印ガイド枠を立設してなり、台紙の上に前記捺印ガイド部材をセットし、捺印ガイド部材のガイド枠にスタンプ本体を押し当てて、捺印位置の調整を行うものである。
【0003】
複数のスタンプを重ね捺しする場合には、各スタンプが台紙に対して所定の位置に捺すことができるようにするため、台紙に対して夫々のスタンプを合わせる必要がある。
【0004】
前記の位置合わせするために使用する捺印ガイド部材として、本出願人が製造・販売に係るスタンプラリー重ね捺し専用ガイド(非特許文献1)がある。これは、
図9に示すように台紙(イ)をセットする台紙載置部100の周縁に捺印ガイド枠101を立設してなり、また、前記捺印ガイド枠101の下端内面に台紙(イ)を固定する横溝部102を設けたものであり、前記捺印ガイド枠101の一辺101aの下端に横溝部102と連通する台紙差込用のスリット103を形成して、前記一辺101aの中央部を切欠して台紙取外部104をとしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】「重ね捺しスタンプラリー -商品-Shachihata Stanmprally[シヤチハタスタンプラリー]、〔平成30年6月20日(2018/06/20)検索、インターネット<URL:https://www.shachihata.co.jp/stamprally_service/product/overlaid_stamped.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、特許文献1の捺印ガイド部材は、L字形状の平板に捺印ガイド枠を立設してなり、台紙の上に前記スタンプガイドをセットし、スタンプガイドのガイド枠にスタンプ本体を押し当てて、捺印位置の調整を行うものである。
【0008】
しかし、前記スタンプガイド部材は、捺印台紙とは別に用意しなくてはならず、また、捺印位置を合わせる為に人の手で捺印ガイド枠の置き位置を調整しなくてはならなかった。
【0009】
また、前記した非特許文献1の捺印ガイド部材は、台紙載置部100に台紙(イ)をセットする。そして、その上からスタンプ(ロ)を捺印ガイド枠101にガイドさせながら捺印を行う。これにより、捺印ガイド部材にセットした台紙(イ)は複数のスタンプを重ね捺しても位置ずれすることなく多色刷りの版画のような彩色画を完成できるものである。
【0010】
しかし、スタンプラリーのように、多くのスタンプ設置箇所を巡り各箇所で図柄の一つのパーツのスタンプを捺印するものにあっては、参加者が捺印ガイド部材を用意することは期待できず、スタンプ設置箇所に備えておくこととなり、そのため捺印ガイド部材への台紙のセット及び、捺印後の取外しを行う必要があり時間が掛かるという問題がある。
【0011】
本発明はスタンプ用シート体にスタンプ捺印時の捺印ガイド機能を付与して、捺印ガイド部材を不要としたスタンプ用シート体を提供することにある。また、これを利用して完成された画を展示できるスタンドフレームとなるようにも構成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るスタンプ用シート体は、シート枠内に窓孔を備えた捺印ガイドシートと、前記捺印ガイドシートの一端に第1折曲線を介して連設し、前記捺印ガイドシートの裏面に重ね合わせるスタンプシートと前記一端と対向する他の一端で、前記捺印ガイドシートと第2折曲線を介して連設し、前記スタンプシートの裏面に重ね合わせる背面シートとを備えるスタンプ用シートであって、前記第1及び第2折曲線を折り曲げて、前記捺印ガイドシートと前記スタンプシートと、前記背面シートとをこの順に重ね合わせた際に、前記捺印ガイドシートが、凸状の湾曲を形成し、前記スタンプシート表面から離間することを特徴とするものである。
【0013】
前記捺印ガイドシートの連設方向の長さが、前記スタンプシートの連設方向の長さより長く形成してあることが好ましい。
【0014】
また、前記のスタンプ用シート体は、重ね捺し用に用いることができる。
【0015】
また、前記した背面シートの先端辺に第3折曲線を介して連設した底面部を備え、前記底面部の先端側と前記第1折曲線に連結させることでスタンドフレームとすることが出来る。
【0016】
また、前記スタンドフレームの前記連結の手段は、前記底面部先端中央に舌片と、第1折曲線近傍に開口部を設け、前記舌片と開口部を係合することであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスタンプ用シート体は、捺印ガイドシートがスタンプシートから凸状の湾曲となるように構成してあり、前記捺印ガイドシートが、前記スタンプシートの被捺印面となる表面から離間するものであるから、スタンプを被捺印面に捺印する際に捺印ガイド窓孔がスタンプをガイドして、被捺印面の所定位置に捺印できるものである。
【0018】
前記捺印ガイドシートの連設方向の長さを、前記スタンプシートの連設方向の長さより長く形成することで、容易に前記の捺印ガイドシートに凸状の湾曲を形成させることができる為、特殊な加工紙を使うことなく、例えば厚紙などの安価なシートを用いることが出来る。
【0019】
前記したように被捺印面の所定位置に捺印できるものであるから、絵柄を色彩の異なるパーツに分けた複数のスタンプを重ね捺しして、版画のような彩色画を完成させるスタンプラリーにあっては、分散した多くのスタンプ設置箇所を巡り各箇所で絵柄を構成する一つのパーツのスタンプを捺印して被捺印面の所定の位置に各スタンプを重ね捺しできるものである。
【0020】
しかも、本発明のスタンプ用シート体は、前記した構成であるから、構造が簡単で嵩張ることのないもので、スタンプ設置箇所を巡る際に持ち運びが容易である。また、スタンプ設置箇所に捺印ガイド部材を備えることを不要とするものでもある。また、スタンプによる捺印は被捺印面の上方にスタンプシートと一体とした捺印ガイドシートの捺印ガイド窓孔から行うので、台紙の捺印ガイド部材へのセット及び取り外しが不要であり速やかにスタンプの捺印ができるものである。
【0021】
また、前記した背面シートの先端辺に第3折曲線を介して連設した底面部を備え、前記底面部の先端側と前記第1折曲線に連結させてスタンドフレームとしたものは、前記スタンプを重ね捺して完成された図柄を展示できるものである。この場合、前記捺印ガイドシートがスタンプシートから凸状の湾曲となるようにされているので、前記捺印ガイドシートは立体感のある額縁を呈するものとなる。
【0022】
また、このスタンドフレームの連結手段が、前記底面部先端中央に舌片と、折曲線近傍に開口部を設け、前記舌片と開口部を係合することであること特徴とするものである為、接着テープを不要として、組み立てが容易なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態を示す一部切欠斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態をスタンプの捺印状態により示す一部切欠側面図である。
【
図4】本発明の実施形態をスタンプの捺印工程の一例により示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態を展開した状態により示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態を展開した状態から折り畳み第1工程により示す一部切欠正面図である。
【
図7】本発明の実施形態を展開した状態から折り畳み第2工程により示す一部切欠正面図である。
【
図8】本発明の実施形態をスタンドフレームとした使用状態により示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るスタンプ用シート体及びこれを利用したスタンドフレームの好ましい実施の形態を図面に基づき説明する。
【0025】
図1において、1は厚紙よりなる四角形のスタンプシートである。このスタンプシート1の4辺の任意の1辺には捺印ガイドシート2が第1折曲線11を介して前記スタンプシート1の被捺印面となる表面1aに折り重なるように連設されている。
【0026】
本発明のスタンプシート1は、厚紙に限られず、薄手の折紙、樹脂シート、特殊加工紙など、折曲線を折り曲げて、前記捺印ガイドシート2と前記スタンプシート1と、後記する背面シート3とをこの順に重ね合わせた際に、前記捺印ガイドシート2が、凸状の湾曲を形成し、前記スタンプシート1表面から離間するものであれば、特に限定されない。
【0027】
また、本発明のスタンプシート1は、四角形に限られず、四角形の角をまるく切り落とした略矩形、両端辺たる折曲線の長さを異ならせた台形など幾多の形態が考えられる。
【0028】
また、前記捺印ガイドシート2の第1折曲線11と対向する辺に第2折曲線21を介して前記スタンプシート1の裏面1bを覆うように背面シート3が連設してある。
【0029】
すなわち、前記スタンプシート体の構成は、第1折曲線11、第2折曲線21を折り曲げて、前記捺印ガイドシート2と、前記スタンプシート1と、前記背面シート3とをこの順に重ねあわせて形成されているものである。
【0030】
さらに、
図5の展開した状態を示す正面図に示すように前記捺印ガイドシート2の連設方向の長さ(L1)を前記スタンプシート1の長さ(L2)より長く形成してある。
【0031】
連設方向とは、スタンプ用シート体を形成する、スタンプシート1、捺印ガイドシート2、背面シート3が並んでいる方向をいい、具体的には、折曲線に対し垂直となる方向をいう。
連設方向の長さL1とは、捺印ガイドシートの一端である第1折曲線11から対向する他端である第2折曲線21までを垂直に結んだ直線距離をいい、連設方向の長さL2とは、スタンプシート1の一端である第2折曲線21から対向する他端であるスタンプシート先端辺41までを垂直に結んだ直線距離をいう。
【0032】
スタンプシート1の先端辺41と捺印ガイドシート2の一端21とを合わせるよう第1折曲線11を折曲げ、背面シート3を第2折曲線21でスタンプシート1の裏面に重ね合わせるように折曲げると、前記捺印ガイドシート2は連設方向の長さL1は、長さL2と比較し長いため捺印ガイドシート2の面とスタンプシート1表面とは、全面が密着せず、捺印ガイドシート2及び捺印ガイド窓孔2aが表側に凸状に湾曲することとなる。
【0033】
これにより、
図3に示すように、スタンプ(ロ)をスタンプシート1の被捺印面となる表面1aに捺印する際に捺印ガイド窓孔2aがスタンプをガイドして、被捺印面の所定位置に捺印できるものである。
【0034】
また、このようにスタンプ(ロ)を被捺印面の所定位置に捺印できるものであるから、スタンプラリーのように、多くのスタンプ設置箇所を巡り各箇所で絵柄を構成する例えば
図4に示す一つのパーツのスタンプ(ロ)を始め他のパーツのスタンプを捺印して
図8に示すような版画のような彩色画を完成させるものであっても、本発明のスタンプ用シート体を持ってスタンプ設置箇所を巡れば、捺印ガイド窓孔2aと同一規格のスタンプを設置してあれば被捺印面の所定位置に各スタンプを重ね捺しできるものである。
【0035】
しかも、本発明のスタンプ用シート体は、前記したような構成としたものであるから、構造が簡単で嵩張ることのないものであり、持ち運びが容易である。また、スタンプ設置箇所に捺印ガイド部材を備えることを不要とするものであり、スタンプによる捺印は被捺印面の上方にスタンプシート1と一体とした捺印ガイドシート2の捺印ガイド窓孔2aから行うだけなので、台紙を捺印ガイド部材へのセット及び取り外しが不要であり速やかにスタンプの捺印ができるものである。
【0036】
また、前記したスタンプ用シート体の背面シート3の先端辺に第3折曲線31を介して底板部4を設け、該底板部4の先端を折り重ねた前記スタンプシート1と捺印ガイドシート2との第1折曲線11による折曲部に連結して、
図8に示す側面視三角形状のスタンドフレームとすることができ、スタンプを重ね捺して完成された版画のような彩色画を展示できるものである。この場合、前記捺印ガイドシート2がスタンプシート体1から凸状の湾曲となるように構成しているので、前記捺印ガイドシート2は立体感のある額縁を呈するものとなる。
【0037】
また、前記スタンドフレームは、前記底板部4の先端を折り重ねた前記スタンプシート1と捺印ガイドシート2の折曲部に連結する手段を、該底板部4の先端中央に先細台形状の舌片5を基端両側に抜け止め用の楔状切欠部5a、5aを備えて連設して、他方折り重ねた前記スタンプシート1と捺印ガイドシート2の折曲部の中央にコ字状の切込線6aにより開口部6を形成して前記舌片5を係止させるものである。なお、前記開口部6は他方折り重ねた前記スタンプシート体1と捺印ガイドシート2の境の辺を折曲することによりコ字状の切込線6aにより形成されるものである。
【0038】
また、本発明のスタンプ用シート体及びスタンドフレームは、
図5に示す展開した状態の素板を作成して、
図6、
図7の工程で折りたためば容易に作成できるものである。
【0039】
なお、本発明におけるスタンプ用シート体は、折りたたんでスタンドフレームとして使用することが出来るが、スタンプ用シート体の第1折曲線11と第2折曲線21を切り取ってスタンプシート2を取り出し、ポストカードやイラストカードとして利用することも出来る。
【符号の説明】
【0040】
1 スタンプシート
11 第1折曲線
2 捺印ガイドシート
21 第2折曲線
3 背面シート
31 第3折曲線
4 底板部
5 舌片
6 開口部
41 先端辺