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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】側溝ブロック
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/046 20060101AFI20220418BHJP
   E01C 11/22 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
E03F5/046
E01C11/22 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018013490
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019131994
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000187600
【氏名又は名称】松岡コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100179202
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 誠司
(72)【発明者】
【氏名】呉 偉軍
(72)【発明者】
【氏名】松岡 重吉
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-204540(JP,A)
【文献】特開2014-206028(JP,A)
【文献】特開2008-163690(JP,A)
【文献】特開2014-118769(JP,A)
【文献】特開平10-119023(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0057943(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/046
E01C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に排水路を有したボックス型の側溝本体部と該側溝本体部の上壁面に長手方向に形成された凸条部とを備え、該凸条部には上下方向に貫通し、前記凸条部の上面から離れるにつれてその幅が拡大するスリットが形成される側溝ブロックであって、
前記凸条部の長手方向における両端部は非スリット部分であり、該非スリット部分の内側に相当する前記上壁に、その内周面から切り込まれた中子逃がし溝が形成され、
前記中子逃がし溝は、前記側溝本体部の軸方向において前記スリットに連通しており、その縦方向面は前記スリットの斜面と面一である、側溝ブロック。
【請求項2】
前記上壁面のうち、前記凸条部の幅方向の一方側の面の幅は240mm以上であり、前記凸条部の上端の幅は120mmから160mmまでの範囲に含まれる、請求項1に記載の側溝ブロック。
【請求項3】
前記スリットの斜面に段差が設けられ、前記段差より下側の斜面と前記中子逃がし溝の縦方向面とが連続している、請求項1または2に記載の側溝ブロック。
【請求項4】
前記凸条部は前記側溝本体部の上壁面において中心から偏在しており、前記スリットの斜面であって前記側溝本体部の中心側の斜面に前記段差が形成されている、請求項3に記載の側溝ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は側溝ブロックの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排水のための側溝ブロックの一種として、特許文献1(特許第6150594号公報)の図3に示されるように、筒状の側溝本体の上壁に凸条8を突出させたものが提案されている。この凸条8には上下に貫通するスリット6が断続的に形成され、路面12の雨水はこのスリット6を介して側溝本体内の排水路5へ落とし込まれる。
このスリット6は下広がりのテーパ状であって、その幅が側溝本体の中心に向けて徐々に拡大している。スリット6の開口部から入り込んだ石や枝などの異物を確実に下方へ落とし込み、そこに詰まることを防止するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6150594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
側溝ブロックをコンクリートで成形する場合、その外周面を規定する外型とその内部の排水路の内周面を規定する内型が用いられる。ここで、凸条内部のスリットの賦形を考えると、スリットの周面を規定する中子が必要となる。スリットは下広がりであるため、外側へ抜く中子は採用できない。アンダーカットとなるからである。
従って、スリットを賦形する中子は内側に抜くものとなる。側溝本体の内側、即ち排水路内には内型が存在してこの中子に干渉するので、内型を側溝本体から引抜いた後、中子を側溝本体の内側へ抜くこととなる。かかる内型構造では、内型と中子とは相互に分離可能な別部材となり、型抜き作業にも手間がかかる。よって、側溝ブロックの製造コストを増大させる。
【0005】
ここに内型は周壁が複数のピースに分解されており、拡径モードと縮径モードとを有する。拡径モードにおいて周壁を構成する各ピースはその端縁が連続し、もって側溝本体の排水路の周面を規定する。縮径モードでは、周壁を構成する各ピースの一部が内側に折りたたまれて側溝本体の排水路の周面から離隔し、もって、内型を側溝本体からその軸方向へ取り出し可能となる。
【0006】
このような内型へ中子を一体化することも考えられる。この場合、下記の課題がある。即ち、スリットは断続的に形成されているので、中子の先端が側溝本体の内周面に干渉しないように中子を側溝本体の内側へ引き抜くためには、中子の取付けられた内型のピースを大きく、即ちスリットの高さより大きく、その内側へ移動させなければならない。
内型に許される限られたスペースにおいて、中子を取付けたピースを大きく移動させることが物理的(寸法的)に不可能な場合があるし、また、移動のためのストロークを確保するために内型の内部構造が複雑になるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされた。即ち、
内部に排水路を有したボックス型の側溝本体部と該側溝本体の上壁に長手方向に形成された凸条部とを備え、該凸条部には上下方向に貫通し、前記凸条の上面から離れるにつれてその幅が拡大するスリットが形成される側溝ブロックであって、
前記凸条部の両端部は非スリット部分であり、該非スリット部分に対応する上壁に、その内周面から切り込まれた中子逃がし溝が形成されている、側溝ブロック。
【0008】
このように規定されるこの発明の第1の局面の側溝ブロックによれば、非スリット部分に対応する、即ち、側溝本体部の両端部分の上壁に中子逃がし溝が形成される。スリットを賦形する第1の中子を、この中子逃がし溝を通すことにより、第1の中子と側溝本体部の内周面との干渉が緩和される。第1の中子が内型の可動ピースに取り付けられている場合、当該可動ピースに要求されるストロークは、この中子逃がし溝が無い場合に比べて、中子逃がし溝の高さ(何ら干渉なく第1の中子が通過できる高さ)分、短くて済む。よって、内型の設計自由度が増大し、その内部構造の簡素化が可能となる。内型の簡素化は側溝ブロックの低コスト化につながる。
【0009】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面に規定の側溝ブロックにおいて、前記中子逃がし溝は、前記側溝本体部の軸方向において前記スリットに連通しており、その縦方向面は前記スリットの斜面と面一である。
このように規定される第2の局面の側溝ブロックによれば、中子逃がし溝の縦方向面とスリットの斜面とが面一、即ち連続面とされている。これにより、スリットを賦形する第1の中子と中子逃がし溝を賦形する第2の中子とを一体物とすることができる。この第1の中子と第2の中子との一体物は、その斜面が面一となるので、簡素な構造となり、かつその耐久性が向上する。このことは、側溝ブロックの製造コスト削減につながる。
【0010】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、第2の局面に規定の側溝ブロックにおいて、前記スリットの斜面に段差が設けられ、この段差より下側の斜面と前記中子逃がし溝の縦方向面とが連続している。
このように規定される第3の局面の側溝ブロックよれば、スリットを構成する斜面に段差が設られ、その下側の斜面で規定されるスリットの部分(下側スリット部分)の幅は、上側の斜面の仮想延長面で規定されるスリットの部分の幅より拡大している(意図的な拡径部分)。ここに、第1の中子は当該スリット沿った形状を備える。即ち、第1の中子は、上側スリット部分を賦形する上側中子部分と下側スリット部分を賦形する下側中子部分とを備える。離型作業において、側溝本体部の内側へ第1の中子へ移動させたとき、その上側中子部分が下側スリット部分に位置すると、そこに十分なマージン空間が確保されて、中子と製品とが干渉し難くなり、その離型作業が円滑になる。
中子逃がし溝の縦方向面はこの下側斜面に連続しているので、中子逃がし溝は下側スリット部分と同じ形となる。よって、中子逃がし溝においても、第1の中子と製品との干渉が防止される。
このことは、側溝ブロックの製造コスト削減につながる。
【0011】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、第3の局面の側溝ブロックにおいて、前記凸条部は前記側溝本体部の上壁面において中心から偏在しており、前記スリットの斜面であって前記側溝本体部の中心側の斜面に前記段差が形成されている。
側溝ブロックにおいては、その用途や規格の要請から、凸条部を偏在させて上壁に一定の平面の確保が要求される場合がある。このように偏在された凸条部のスリットにおいて、側溝本体部の中心側の斜面に段差を形成することにより、側溝本体部の中心側に向けて下側スリット部分が膨出した形状となる。これにより、中子を取付けた内型のピースを、スリットの中心から多少なりとも内側へ偏移させることができる。側溝本体部の上壁において凸条部を偏在させたとき、そのスリット下において、側溝本体部の内部の外周側には十分なスペースを確保できない。そこで、このように当該ピースの内側への偏移を許容することは、内型の設計自由度を向上させる。
このことは、側溝ブロックの製造コスト削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の第1実施形態に係る側溝ブロックの斜視図である。
図2図2図1の側溝ブロックの施工例を説明するための説明図である。
図3図3(A)は図1の側溝ブロックの平面図であり、図3(B)は図3(A)の側溝ブロックを矢印IIIBの方向に見た正面図であり、図3(C)は図3(A)の側溝ブロックのIIIC-IIIC断面図である。
図4図4(A)は図3(A)の側溝ブロックのIVA-IVA断面図であり、図4(B)は図3(A)の側溝ブロックのIVB-IVB断面図である。
図5図5は側溝ブロックの製造時に用いる内型の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る側溝ブロック1の斜視図である。図3(A)は図1の側溝ブロック1の平面図であり、図3(B)は図3(A)の側溝ブロック1を矢印IIIBの方向に見た正面図であり、図3(C)は図3(A)の側溝ブロック1のIIIC-IIIC断面図である。側溝ブロック1は断面形状が略正方形のボックス型の側溝本体部2とその上壁に形成された凸条部13とを備えてなる。側溝本体部2の内部には、その長手方向に沿って雨水等の水を流すための排水路11が形成されている。側溝ブロック1は排水路11の上部に上壁12を有する。上壁12の上面には、側溝ブロック1の長手方向の全長に沿って連続して延在し、上壁12上面から上方へ突出するように形成された凸条部13が備えられる。凸条部13の中央部分には、凸条部13を上下方向に貫通するスリット14が長手方向に沿って形成されている(図3C)。上壁12の強度及び耐久性を確保するため、凸条部13の両端部は非スリット部分15とされる。スリット14によって、側溝ブロック1の外部と内部の排水路11が連通する。この例では、スリット14は連続しているがこれを断続的してその強度を確保することもある。このとき、スリットを分割する部分(非スリット部分)は、両端部のそれと同じ形状とする。
【0014】
図2図1の側溝ブロックの施工例を説明するための説明図である。図2の例では、側溝ブロック1の上壁12の上面のうち、凸条部13の幅方向の一方側の面12A上に境界ブロック20が載置され、他方側の面12B上にアスファルト舗装30が形成されるものとする。他方側の面12Bとアスファルト舗装30の間にはコンクリート製の基礎40が形成されるものとする。
アスファルト舗装30上を自転車で走行する場合には、通常、自転車と境界ブロック20との間に一定以上の距離が保たれる。図2に示す様に、境界ブロック20と凸条部13とが隣接するため、自転車のタイヤはスリット14に近づくことが抑制され、タイヤがスリットを踏むことが回避される。こうして、本願の側溝ブロック1は、アスファルト舗装30上での自転車の安全な走行に寄与できる。凸条部13の上端とアスファルト舗装30の上面は同じ高さに形成されることが好ましい。それにより、凸条部13の上端とアスファルト舗装30の間に段差ができず、アスファルト舗装30上を走行する自転車や自動車の走行の妨げとならない。図2においては上記説明した構成以外の土壌などは図示を省略している。アスファルト舗装30上に降った雨の一部は、スリット14を通って排水路11に入り、排水される。
【0015】
図4(A)は図3(A)の側溝ブロック1のIVA-IVA断面図であり、図4(B)は図3(A)の側溝ブロック1のIVB-IVB断面図である。図4(A)に示す本実施形態に置いては、側溝ブロック1の上壁12において、境界ブロック20が載置される面である一方側の面12Aの幅アは240mm以上に設定されている。境界ブロック20がJIS規格に準拠する両面歩車道境界ブロックである場合、境界ブロック20の底面の最大の幅は240mmである。そのため、本実施形態の側溝ブロック1の上面12Aに対して、JIS規格に準拠する境界ブロック20をはみ出すことなく載置することができる。なお、側溝ブロック1の上面12の一方側の面12Aの縁部が面取りされている場合、上記の幅アは面取り部分を除く部分の幅としてもよい。
【0016】
また、図4(A)に示す凸条部13の上端の幅イは120mmから160mmまでの範囲に含まれる。とりわけ、凸条部13の上端の幅イは約140mmであることが好適である。このように、凸条部13の先端が十分幅広に形成されており、先端部分の破損の可能性を低減できる。凸条部13の上端の幅イが上記の範囲を外れて大きくなり過ぎると、アスファルト舗装30上を走る自転車のタイヤがスリット14に近付き過ぎる虞がある。
また、スリット14は、凸条部13の上端の中心よりも一方の面12A側にやや寄るように形成されている。これにより、自転車のタイヤがスリット14を踏む可能性をより低減できるとともに、側溝ブロック1を成形する際に排水路11側に抜かれる型材が排水路11の内壁と干渉することを避けることができる。
【0017】
図4(A)に示す様に、凸条部13の上端面には、幅方向の両縁側からスリット14に向かう排水用の傾斜が設けられている。また、図4(B)に示す様に、非スリット部分15上端面にはスリット14と長手方向に重なる位置に溝が形成され、その部分の凸条部13の上端面には、幅方向の両縁側から溝に向かう排水用の傾斜が設けられている。溝は、スリット14に向かう排水用の傾斜を有してもよい。
【0018】
図4(A)に示す様に、スリット14は下方に向かうにつれて、即ち凸条部13の上面から離れるにつれて拡径している。これは、スリット14に小石や枝などの異物が詰まることを防止するためである。この例では、スリット14を規定する斜面17、18のうちの側溝ブロック1の中央側に位置する斜面17に段差19が設けられ、それぞれ同じ傾斜角度を持つ下側の斜面17aと上側の斜面17bとが規定される。対向する斜面18には段差が設けられず、その全面が均等な傾斜である。これにより、下側の斜面17aで規定される下側スリット部分14aの幅は、上側斜面17bの仮想延長面で規定されるスリットの幅より拡大している。
【0019】
非スリット部分15には中子逃がし溝20が形成される。この中子逃がし溝20の相対向する縦方向面21、22は、スリットの下側斜面17aとそれに対向する斜面18へそれぞれ面一に連続している。換言すれば、中子逃がし溝16の横断面形状は下側スリット部分14aのそれと同一である。
【0020】
上記において、スリットの斜面17に形成される段差19を、斜面18へ単独で若しくは加えて形成してもよい。段差19を形成する位置(高さ)は任意であるが、既述のように段差19が中子逃がし溝20の上端を規定するので、中子逃がし溝20の上に位置する凸条部13の部分(被スリット部分15)に十分な肉厚が確保されればよい。他方、離型作業の効率向上の見地からは、中子逃がし溝20の高さ(溝深さ)を大きくすることが好ましい。これらを検討し、段差19の位置は上壁12の上面の位置と略同じか、若干その下側とした。
この段差19は省略することもできる。この場合、中子逃がし溝20は、斜面17、18のぞれぞれ中腹へ連通することとなる。
【0021】
このような側溝ブロック1の製造時に用いられる内型100を図5に示す。
図5において、側溝ブロック1の外周面は外型(図示せず)で規定される。側溝ブロック1はその製造時には凸条部13を下側にした(裏返された)状態とする。
この内型100は、逆U字刑の固定ピース101と可動ピース102、103及び105を備える。図5は内型100の縮径モードを示し、この状態で外型内にセットされ、また離型される。この縮径モードから駆動アーム110を下方へ移動させて平板状の可動ピース102を下方へ移動させると、可動ピース102の上面の押圧部111、112がそれぞれ可動ピース103の揺動アーム113と可動ピース105の揺動アーム116を押圧して、各可動ピース103、105を所定の位置へ移動させる。これにより、側溝ブロックの排水路11の内周面が規定される(内型100の拡径モード)。
【0022】
側溝ブロック1の上壁12の内周面を規定する可動ピース102には中子120が立設されている。中子120は、スリット14を賦形する第1の中子121と中子逃がし溝20を賦形する第2の中子(図示せず)とを備える。これらは側溝本体部の軸方向へ連続的に形成されている。第1の中子121は下側スリット部分14aを担当する下側中子部分121aと上側スリット部分14bを担当する上側中子部分121bとからなる。
中子逃がし溝20を賦形する第2の中子は下側中子部分121aと同じ形であり、かつ両者は連続して一体的に形成されている。
【0023】
上型と下型との間にコンクリートを注入して硬化させ側溝ブロック1を形成した後、内型100を図5に示した縮径モードにする。このとき、可動ピース102の上昇に伴い、中子120は凸条部13から離隔され、その上側中子部分121bが下側スリット部分14aに収まる。ここに、下側スリット部分14aは意図的に幅が広めてあるので、両者の干渉ができる限り防止される。
中子逃がし溝20は下側スリット部分14aと同形であるので、同じく第1の中子121の上側中子部分121bとの干渉を避けられる。
【0024】
図の例では、内型の縮径モード、即ち離型時において、スリット14を賦形する第1の中子121の上側中子部分121bが下側スリット部分14a内に収納される。この下側スリット部分14aは中子逃がし溝20に連通して、かつ両者の横断面形状は等しい。よって、側溝ブロック1からその軸方向へ内型100を引き抜くとき、第1の中子121は、当該下側スリット部分14a及び中子逃がし溝20を、何ら干渉することなく、通過できる。
なお、中子逃がし溝20を賦形する第2の中子の形状は第1の中子121の下側中子部分121aと同形であり、離型時には第2の中子は排水路内へ引き込まれているので、これと製品との干渉は生じない。
【0025】
以上を換言すれば、第1の中子121の先端を側溝ブロック1の排水路11内まで収納する必要がない。即ち、可動ピース102に求められるストロークが小さくてすみ、よって可動アーム110の移動量も小さくなる。これにより、内型100の設計自由度が向上する。
また、下側スリット部分14aはその段差19により、側溝ブロック1の中心側へ意図的に膨出している(中子逃がし溝20も同じ)。これにより、第1の中子121を備える可動ピースが側溝ブロックの内側へ偏移することが許容される。図5から明らかなとおり、凸条部13が上壁12において偏在したとき、スリット14の下の空間(即ち、排水路11)において、側溝ブロック1の外周側には殆ど空きスペースがない。よって、その内側への偏移を許容することにより、内型の設計自由度が向上する。
【0026】
以上、段差のあるスリット120の例を説明してきた。段差のない場合であっても、非スリット部分15に中子逃がし溝を設けることで、内型の可動ピースに要求されるストロークを抑制できる。
スリットが断続的な場合においても、スリットを繋ぐ部分の内側には、非スリット部分15と同様に、中子逃がし溝を形成する。
この例では、スリット及び中子逃がし溝の各断面形状は軸方向へ同じとしている。これにより、内型を一方から抜くことができる。
側溝本体部2の外周の断面形状は特に限定されない。ここにボックス型とは、スリットを除いて上方に開口していないものを指し、その内部空間(排水路)の断面形状が正方形に近いものとする。本体部内の縦方向に十分な空間が確保できないときに中子逃がし溝の効果が有効になる。従って、排水路の縦横比は1.2(最大縦長/最大横長)以下とすることが好ましい。その下限は、側溝ブロックとして機能すれば、特に限定されない。
勿論、この発明の中子逃がし溝は、排水路の形状にかかわりなく、採用できることはいうまでもない。
【0027】
本発明は上記発明の実施形態やその変形例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0028】
1 側溝ブロック
2 側溝本体部
11 排水路
12 上壁
13 凸条部
14 スリット
17、18 斜面
19 段差
20 中子逃がし溝
21、22 縦方向面
100 内型
101 固定ピース
102、103、105 可動ピース
120 中子
121 第1の中子


図1
図2
図3
図4
図5