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  • 特許-配膳車におけるカート搭載構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】配膳車におけるカート搭載構造
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20220418BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
A47B31/00 H
A47B91/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018030943
(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2019141513
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】504288627
【氏名又は名称】株式会社井上製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】井上 茂
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-240379(JP,A)
【文献】米国特許第04285391(US,A)
【文献】国際公開第2008/018824(WO,A1)
【文献】実開昭54-121488(JP,U)
【文献】特開2017-026234(JP,A)
【文献】実開昭56-018740(JP,U)
【文献】国際公開第2007/115370(WO,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02712928(DE,A1)
【文献】特開2002-154543(JP,A)
【文献】特開2016-195717(JP,A)
【文献】特開2000-121240(JP,A)
【文献】特開平11-37636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
B62B 1/00- 5/08
B65G 69/00-69/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有し、移動する配膳車本体と、配膳車本体内のカート収容室に収容され、配膳を行うカートとを備えた配膳車において、配膳車本体の前側には、上面に前記カートの車輪を上方へ導く上り傾斜面および下面が床面に接地される水平面を有するスロープ部が設けられ、前記カートの車輪を、前記スロープ部の上り傾斜面上に走行させることで、該上り傾斜面をカートが駆け上がって、前記カート収容室内にカートが収容されると共に、該カートの下部フレームがカート収容室内の底面上を摺動するようになされており、前記スロープ部は、その全体が配膳車本体の幅方向に伸びる略方形状であって、配膳車本体の前側下部に回動自在に軸支され、且つ該軸支された箇所を支点として前記スロープ部が上方に回動して跳ね上げ自在となされている、配膳車におけるカート搭載構造。
【請求項2】
スロープ部の上面には上り傾斜面に続く水平面が形成されている、請求項1記載の配膳車におけるカート搭載構造。
【請求項3】
配膳車本体がモータ制御によって回転する駆動輪を備えた、請求項1または請求項2記載の配膳車におけるカート搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や老人ホーム等で食事の提供を行う際に使用する配膳車におけるカート搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
病院等においては、食事を提供する際には、主食、主菜、副菜、汁物等の食品が盛られた食器を載置してなるトレイを多段に収容する配膳車が使用される。
【0003】
より詳細には、病院等における調理加熱室で所定のメニューに基づいて前記食品が盛られた食器をトレイ上に配置し、該トレイを配膳車内に順次入れて、当該配膳車ごと病院等内の廊下を走行させて各部屋をまわり、前記配膳車内から前記食品が載ったトレイを取り出して配膳を行うのであるが、配膳数が多い場合には、前記トレイを多数収容し得る大型の配膳車が必要となる。
【0004】
しかしながら、大型の配膳車は病院等内での移動操作が難しく、全ての部屋をまわるのに時間と労力を要するという問題があった。
【0005】
そのため、このような問題に対処するために、配膳車を本体とカートとに分け、前記食品の冷蔵や加熱を行うための加熱・冷却設備を備えた重量のある配膳車本体については、移動させずに据え置きとし、配膳の際には前記トレイが多段に収容されたカートだけを移動するようにした配膳車も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-72738号公報
【文献】特開2012-65915号公報
【文献】特開2014-54487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した配膳車本体とカートとに分割された配膳車の場合、配膳の際の移動はカートのみで済むため、配膳車全体を移動させる場合に比べて、操作性が向上する。しかしながら、前記カートを配膳車本体に接続したり、収納したりする際の構造が複雑であったり、配膳車本体に対してカートを正確に操作して一体化する必要があるため、毎日の朝食、昼食および夕食の際の繰り返し使用によって、故障や不具合が発生し易いという問題があった。
【0008】
また、カートを配膳車本体の前面に当接させてカート内の食品を冷却・加熱する配膳車の場合、カート自体が外気と直接的に接触するため、カート自体の十分な断熱性を確保するために、カートの構成壁を分厚くする必要があり、そのためカート自体の重量増加を招き、これに伴ってカートの操作性が低下するという欠点があった。
【0009】
本発明の目的は、配膳車本体とカートとで構成される配膳車において、カートの操作性および断熱性を確保し、しかも機動性に優れた配膳を可能とする配膳車におけるカート搭載構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明は、車輪を有し、移動する配膳車本体と、配膳車本体内のカート収容室に収容され、配膳を行うカートとを備えた配膳車において、配膳車本体の前側には、上面に前記カートの車輪を上方へ導く上り傾斜面および下面が床面に接地される水平面を有するスロープ部が設けられ、前記カートの車輪を、前記スロープ部の上り傾斜面上に走行させることで、該上り傾斜面をカートが駆け上がって、前記カート収容室内にカートが収容されると共に、該カートの下部フレームがカート収容室内の底面上を摺動するようになされており、前記スロープ部は、その全体が配膳車本体の幅方向に伸びる略方形状であって、配膳車本体の前側下部に回動自在に軸支され、且つ該軸支された箇所を支点として前記スロープ部が上方に回動して跳ね上げ自在となされている配膳車におけるカート搭載構造である。
【0011】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載の配膳車におけるカート搭載構造について、スロープ部の上面には上り傾斜面に続く水平面が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の本発明は、前記請求項1または請求項2記載の配膳車におけるカート搭載構造について、配膳車本体がモータ制御によって回転する駆動輪を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配膳車本体の前側に設けられたスロープ部によって、カートが配膳車本体の前側から駆け上がって配膳車本体のカート収容室の床面上に載置されるため、カートの搭載が簡単に行え、そして、配膳車本体のカート収容室内に別途、カートを支持するための装置等を設ける必要がない。
【0014】
すなわち、本発明によれば、前記カート収容室内にカートを搭載するための特別な構造を必要としないため、配膳車本体の構造を複雑化させることもない。そのため、配膳車本体全体を容易に製造することができるという利点もある。
【0015】
この他、スロープ部が、配膳車本体の幅方向に伸びる略方形状であって、配膳車本体の下部に回動自在に軸支され、該軸支点から上方に跳ね上げ自在となされた本発明によれば、当該配膳車の移動時にはスロープ部を跳ね上げて移動させることができる。
【0016】
また、スロープ部の上面に、前記上り傾斜面に続く水平面が形成された本発明によれば、前述したカートの下部フレームが、配膳車本体2のカート収容室3の底面上を摺動するため、更に容易にカートを搭載することができる。
【0017】
更に、配膳車本体がモータ制御によって回転する駆動輪を備えた本発明によれば、配膳車本体にカートを複数台搭載する場合でも、移動が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る配膳車の正面図である。
図2】同配膳車におけるスロープ部の拡大図である。
図3】同配膳車における一方のカートの搭載状態を示す側面図である。
図4図3と同状態での平面図である。
図5】両カートの搭載状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1図3に示すように、本実施形態に係る配膳車1は、後述する二台のカート4A・4Bが収容されるカート収容室3を備えた配膳車本体2と、トレイTが多段に支持される前記二台のカート4A・4Bとを有する。
【0021】
そして、配膳車本体2の前側には前記各カート4A・4Bを配膳車本体2内に搭載するためのスロープ部5を有する。スロープ部5は、上面に前記カート4A・4Bの車輪6を上方へ導く上り傾斜面7を有し、下面が床面Fに接地される水平面28となされたものである。本実施形態では、前記スロープ部5は、配膳車本体2の幅方向に伸びる方形板状であって、上り傾斜面7の頂部に水平面10が延成され、更に水平面10の端部に起立壁部20が形成され、該起立壁部20が配膳車本体2の底部2aに回動可能に軸支されている。
【0022】
そして、前記各カート4A・4Bは、その車輪6を前記スロープ部5の上り傾斜面7上を走行させることで該上り傾斜面7を駆け上がって、前記カート収容室3A・3B内に収容されるようになされている。
【0023】
また、前記配膳車本体2は、前述したカート収容室3を有する他、下面の一端寄り部分に自在輪26Aを有し、同下面の他端寄り部分にはモータMによって回転される駆動輪26Bを備え、所謂、自走式となされている。この他、配膳車本体1は前記カート収容室3内を冷蔵するための冷却装置や過熱蒸気等の加熱媒体を発生させる加熱装置(いずれも図示せず)を有する。
【0024】
前記カート4A・4Bは、車輪6を有する底部フレーム8と、底部フレーム8の各隅部に立設された支柱9と、支柱9上に架設された上部フレーム11と、上部フレーム11と底部フレーム8との間における幅中央部分において、縦方向に列設された仕切り壁12を有する。仕切り壁12は、この種配膳車に一般的に組み込まれているものと同様、上下に隣り合う仕切り壁12間にトレイTを差し込むことで該トレイTが多段に支持される構造となっている。
【0025】
次に、図3図5に示すように、本実施形態に配膳車1の使用方法について説明すると、例えば一方のカート4Aを、配膳車本体2前側のスロープ部5を駆け上がらせることで、カート4Aが床面Fから離れて配膳車本体2のカート収容室3内に収容されると共に、カート4A・4Bの底部フレーム8が配膳車本体2のカート収容室3の底面RB上に当接するようになされている。その結果、前記カート4Aは、もう一方のカート4Bよりも上位の状態でカート収容室3内に収容される。更にもう一方のカート4Bについても、前記と同様に配膳車本体2前側のスロープ部5を駆け上がらせることで、カート4Bが床面Fから離れて配膳車本体2のカート収容室3内に収容される。その結果、二台のカート4A・4Bは配膳車本体2のカート収容室3内に搭載され、次に、スロープ部5をその軸支点CPから上方に回動させて跳ね上げた後、この状態で配膳車本体2下側のモータMを作動させて当該配膳車1全体を配膳場所近傍まで移動させ、次に、カート4A・4Bを配膳車本体2のカート収容室3内から引き出して、該カート4A・4Bを喫食者の所まで移動させて、カート4A・4B内に収容された食品載置状態のトレイTを取り出して配膳するのである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の配膳車におけるカート搭載構造によれば、配膳車本体のカート収容室を複雑化させることなく、容易にカートが搭載できるため、幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0027】
1 配膳車
2 配膳車本体
3 カート収容室
4A・4B カート
5 スロープ部
6 車輪
7 スロープ部の上り傾斜面
8 カートの底部フレーム
9 カートの支柱
10 スロープ部の水平面
図1
図2
図3
図4
図5