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特許7058869光イメージング用プローブ及び光学式測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】光イメージング用プローブ及び光学式測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
G01B11/24 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018085518
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019191050
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000240477
【氏名又は名称】アダマンド並木精密宝石株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大志
(72)【発明者】
【氏名】成田 憲士
(72)【発明者】
【氏名】舘山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】淺田 隆文
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045107(JP,A)
【文献】特開2017-187335(JP,A)
【文献】特開2006-064512(JP,A)
【文献】特開2011-007587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線の方向を変える複数の光路変換手段と、
中空円筒状で互いに径サイズの異なる内側透光性部材と外側透光性部材とを備え、
複数ある前記光路変換手段の少なくとも1つは、光線を複数の方向に分岐する機能を有し、
前記内側透光性部材と前記外側透光性部材とは略同軸上に配置されており、
前記内側透光性部材の外周面と前記外側透光性部材の内周面との間に被測定物を挿入し、
前記被測定物に対して、前記内側透光性部材側からと前記外側透光性部材側からの両方向から光を照射できることを特徴とする光イメージング用プローブ。
【請求項2】
前記内側透光性部材には、略チューブ状のケースが連結されるとともに、前記外側透光性部材が外側ケースを介して一体に固定されており、
前記内側透光性部材又は前記ケースの内部には、非回転状態に固定された固定側光ファイバーが配置されており、
前記固定側光ファイバーの先端側には、モータユニットにより回転駆動させられる回転側光ファイバーが配置されており、
複数の前記光路変換手段として第1~第4の光路変換手段が有り、
第1光路変換手段と第2光路変換手段は、前記回転側光ファイバーと一体に配置されており、
第3光路変換手段と第4光路変換手段は、前記外側ケースと一体に配置されており、
前記第1光路変換手段は、光線を略直角方向と回転軸方向に分岐し、
前記第2光路変換手段は、前記第1光路変換手段の前方であって略同一線上に位置し、前記第1光路変換手段から回転軸方向に放出された光線を略直角方向に角度を変換して、前記内側透光性部材の内周側から該内側透光性部材を通過して放出し、
前記第3光路変換手段は、前記第1光路変換手段から略直角方向に放出された光線を軸平行に光路変換し、
前記第4光路変換手段は、前記第3光路変換手段から放出された光線を略直角方向に角度を変換して、前記外側透光性部材の外周側から該外側透光性部材を通過して放出し、
中空円筒形状の前記被測定物の内周面からの戻り光を前記第2光路変換手段から前記回転側光ファイバーと前記第1光路変換手段を経由して前記固定側光ファイバーに導くとともに、前記被測定物の外周面からの戻り光を前記第4光路変換手段から前記第3光路変換手段、前記第1光路変換手段を経由して前記固定側光ファイバーに導くことを特徴とする請求項1記載の光イメージング用プローブ。
【請求項3】
前記第1光路変換手段は、複数枚の回転プリズムまたは偏光板から構成した偏光ビームスプリッタであることを特徴とする請求項2に記載の光イメージング用プローブ。
【請求項4】
前記第2光路変換手段を、中心軸に対して略直角で略平面からなる回転ミラーであり、中心軸を含む直角な投影面の少なくとも一部分は光線が当接しないように切欠いた形状としたことを特徴とする請求項2に記載の光イメージング用プローブ。
【請求項5】
前記第3光路変換手段および前記第4光路変換手段は、略円錐状であり、非回転に取り付けられたミラーであることを特徴とする請求項2に記載の光イメージング用プローブ。
【請求項6】
請求項1~5何れか1項に記載の光イメージング用プローブにより得られた、前記被測定物からの戻り光からコンピュータにより被測定物の形状データを得ることを特徴とする光学式測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略円筒形状機械部品等の内周面および外周面に、観察光を同時に照射し、被測定物の内外周面からの戻り光(反射光)を取り込んで機械部品の内外周面の形状観察および同軸度を測定するための光イメージング用プローブ及びこの光イメージング用プローブを用いた光学式測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばボールベアリング内輪の内/外周面は、各面の直径と真円度の測定に加えて両面間の同軸度を高精度に保つことが要求される。また、DVDなど光ディスク装置の回転主軸部に用いられる滑り軸受は、内/外径の同軸度や軸受内周面の直径が高精度に要求される。また、これらの精度が悪い場合は、DVDなど電子機器製品の性能が得られないことがあった。
【0003】
従来、これら機械部品等の加工精度の測定は、一般に真円度測定機等の接触式測定機を用いて行われていた。しかし近年、被測定物に傷を付けない目的から光学式の非接触式測定機が要求されている。非接触式測定法で被測定物内面の形状データを取得する画像診断技術(光イメージング技術)の一例として、例えばレーザ光や白色光等を照射してその戻り光から干渉縞を捉え、その波長(周波数)または位相差データをコンピュータ解析することで形状の数値データに変換し画像を得る方法等がある。
【0004】
しかしながら、これら機械部品の同軸度を非接触で高精度に計測するためには、内周面と外周面に同時に光線を照射し、これらからの戻り光を同時に捉える必要があるが、従来、このように同軸度が測定できる光プローブおよび光学式測定機が市場に提供されていなかった。
【0005】
機械部品等の表面に光線を照射して内面の観察または測定を行う技術を適用した観察装置の代表的な従来の構造は、例えば、特許文献1及び特許文献2に示されている。
【0006】
特許文献1には、第1照射部が第1の光線を略直角方向に照射し、第2照射部が第2の光線を先端で光線を略直角方向に放射し、かつミラーの角度を可変させて少しの範囲で光線の放射方向を変え、立体的にデータを収集し、内周面2箇所からの戻り光を得ている光プローブが示されている。
しかしながら、この光プローブは略直角方向に2カ所の計測は行えるが、被測定物の外周面および、内外周面間の同軸度を計測することはできなかった。
【0007】
特許文献2には、光ファイバー(1,2)に導かれた光線を集光レンズ(20)が前方に少しの角度を持って回転放射し、その光線を回転プリズムミラー(3)が側方に回転放射することで、側方については1点ではなく全周スキャンを行うことで三次元データを収集する光イメージング用プローブが示されている。
しかしながらこの構成では、略直角方向の1カ所の観察しか行えず、内/外周面の同軸度を計測することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第4864662号公報
【文献】特許第5961891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、観察光を略円筒形状機械部品等被測定物の内周面および外周面に同時に照射し、戻り光(反射光)を取り込んで内/外周面の寸法形状の測定、および内/外周面間の同軸度を測定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための一手段は、光イメージング用プローブ及び、この光イメージング用プローブを用いた光学式測定装置を次のように構成したものである。
光イメージング用プローブは、光線の方向を変える複数の光路変換手段と、中空円筒状で互いに径サイズの異なる内側透光性部材と外側透光性部材とを備える。そして、複数ある光路変換手段の少なくとも1つは、光線を複数の方向に分岐する機能を有し、内側透光性部材と前記外側透光性部材とは略同軸上に配置する。そして、内側透光性部材の外周面と外側透光性部材の内周面との間に被測定物を挿入し、被測定物に対して、内側透光性部材側からと外側透光性部材側からの両方向から光を照射できる。光学式測定装置は、この光イメージング用プローブにより得られた被測定物からの戻り光から、コンピュータにより被測定物の形状データを得るものである。
【発明の効果】
【0011】
円筒形状の被測定物の内周面および外周面に、同時に光線を照射し、被測定物の内/外周面からの戻り光(反射光)を取り込んで、被測定物の寸法/形状観察および内/外周面間の同軸度データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の光イメージング用プローブ前方走査時の第1回転角状態の断面図
図2】同プローブの第2回転角状態の断面図
図3】同プローブによる同軸度測定説明図
図4】同プローブの取得波形と透光性パイプ基準測定の説明図
図5】同プローブによる同軸度の説明図
図6】同プローブの軸方向スライド状態説明図
図7】同プローブによる三次元測定説明図
図8】同プローブによる透光性パイプ基準測定説明図
図9】同プローブの第2の実施例断面図
図10】本発明の光イメージング用プローブを用いた光学式測定装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施の形態の光イメージング用プローブの第一の特徴は、光線の方向を変える複数の光路変換手段と、中空円筒状で互いに径サイズの異なる内側透光性部材と外側透光性部材とを備え、複数ある前記光路変換手段の少なくとも1つは、光線を複数の方向に分岐する機能を有し、前記内側透光性部材と前記外側透光性部材とは略同軸上に配置されており、前記内側透光性部材の外周面と前記外側透光性部材の内周面との間に被測定物を挿入し、前記被測定物に対して、前記内側透光性部材側からと前記外側透光性部材側からの両方向から光を照射できることにある。
この構成によれば、円筒形状の被測定物の内周面および外周面に対して、同時に光線を照射し、被測定物の内/外周面からの戻り光(反射光)を取り込むことができる。
【0014】
第二の特徴としては、より具体的な態様として、次のように構成している。前記内側透光性部材には、略チューブ状のケースが連結されるとともに、前記外側透光性部材が外側ケースを介して一体に固定されており、前記内側透光性部材又は前記ケースの内部には、非回転状態に固定された固定側光ファイバーが配置されており、前記固定側光ファイバーの先端側には、モータユニットにより回転駆動させられる回転側光ファイバーが配置されている。そして、複数の前記光路変換手段として第1~第4の光路変換手段が有り、第1光路変換手段と第2光路変換手段は、前記回転側光ファイバーと一体に配置されており、第3光路変換手段と第4光路変換手段は、前記外側ケースと一体に配置されている。そして、前記第1光路変換手段は、光線を略直角方向と回転軸方向に分岐し、前記第2光路変換手段は、前記第1光路変換の前方であって略同一線上に位置し、前記第1光路変換手段から回転軸方向に放出された光線を略直角方向に角度を変換して、前記内側透光性部材の内周側から該内側透光性部材を通過して放出する。そして、前記第3光路変換手段は、前記第1光路変換手段から略直角方向に放出された光線を軸平行に光路変換し、前記第4光路変換手段は、前記第3光路変換手段から放出された光線を略直角方向に角度を変換して、前記外側透光性部材の外周側から該外側透光性部材を通過して放出する。そして、中空円筒形状の前記被測定物の内周面からの戻り光を前記第2光路変換手段から前記回転側光ファイバーと前記第1光路変換手段を経由して前記固定側光ファイバーに導くとともに、前記被測定物の外周面からの戻り光を前記第4光路変換手段から前記第3光路変換手段、前記第1光路変換手段を経由して前記固定側光ファイバーに導くことができる。
この構成によれば、観察光を第1から第4の複数の光路変換手段により、円筒形状の機械部品等の被測定物の内周面および外周面に、同時に光線を照射し、被測定物の内/外周面からの戻り光(反射光)を取り込むことができる。
【0015】
第三の特徴としては、光線を複数の方向に分岐する機能を有する前記第1光路変換を複数枚の回転プリズムから構成した偏光ビームスプリッタとしたことにある。
この構成であれば、光線を直角方向と前斜方向に安定して分岐することができ、また、軽量であるためモータユニットの回転負荷を小さく抑えることができる。
【0016】
第四の特徴としては、前記第2光路変換手段を、中心軸に対して略直角で略平面からなる回転ミラーとしたことにある。
この構成によれば、よりコンパクトな構造で、プローブから被測定物に対して観察光を側方に放射することができる。
【0017】
第五の特徴としては、前記第3および第4光路変換手段は、非回転に取り付けられた略円錐状ミラーであることにある。
この構成によれば、よりコンパクトな構造で、光線を被測定物に放射できる。
【0018】
他の特徴としては、少なくとも第一から第五の特徴の何れかを備える光イメージング用プローブにより得られた被測定物からの戻り光を、コンピュータで処理することにより、被測定物の形状データを得ることのできる光学式測定装置を構成したことにある。
この構成によれば、円筒形状の機械部品等の被測定物の寸法/形状観察および内/外周面間の同軸度データを得ることができる。
【0019】
次に本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1及び図2は、本発明における第1の実施例の光イメージング用プローブの構造を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように光イメージング用プローブは、金属等からなる内側ケース6と、透光性部材として、石英等熱膨張が少ない材料からなる内側透光性パイプ7が連結されている。また、同様に石英等からなる外側透光性パイプ10が、金属等からなる外側ケース13によって連結され、一体的に設けられている。
【0022】
非回転の固定側光ファイバー1は固定具14により内側ケース6に固定され、モータユニット8は内側ケース6に内蔵固定され、モータユニット8は回転側光ファイバー2を回転させる。固定側光ファイバー1と、回転光側光ファイバー2は対向するそれぞれの端面は直角かつ平滑に加工され、微小隙間を設けて対向し、光回転ジョイント3を構成している。
【0023】
回転側光ファイバー2のモータユニット8から遠い側には、例えば偏光ビームスプリッタ等、複数のプリズムや偏光板等から構成され、光線を複数の方向に分岐する機能を有する第1光路変換手段4が取り付けられている。そして、さらにその先端側には第2光路変換手段が取りつけられ、固定側光ファイバー1から導かれた光線は略直角方向に回転放出される。ここで「先端側」とは、プローブの先端により近い側を指している。軸受9は回転側光ファイバー2の回転を支持する軸受である。
【0024】
外側ケース13の内側には、円周上に傾斜を持つ反射面からなるミラー等からなる第3光路変換手段11と第4光路変換手段が取付けられている。第1光路変換手段4で分岐され、直角方向に放射された光線は、第3光路変換手段11により回転軸と略平行に光路変換されて、さらに、第4光路変換手段で再度光路は変換され、固定側光ファイバー1から導かれた光線は外側透光性パイプ10の外周面から、このパイプ10を透過して回転軸方向に放射される。
【0025】
図2はこの光イメージング用プローブのモータユニット8が回転して図1とは180度反対側に光線が放射されている状態を示している。
【0026】
本発明光イメージング用プローブの動作について図3から図8を用いて以下に説明する。
【0027】
図3は、略円筒形状の被測定物16の内/外周面に本発明光イメージング用プローブを挿入した状態を示している。図10に示す測定装置の光学ユニット本体85から放出された近赤外光等の光線は、固定側光ファイバー1を経て光イメージング用プローブに導かれる。光線は、光回転ジョイント3を通過して回転側光ファイバー2、第1光路変換手段4に導かれ、分岐された光線の内、前方に導かれた分は第2光路変換手段5から内側透光性パイプ7を透過して被測定物16の内周面16iに放射される。ここで「前方」は、プローブの先端側に向かう方向を指している。被測定物16の内周面からの戻り光は、内側透光性パイプ7、第2光路変換手段5、第1光路変換手段4、回転側光ファイバー2を経由して、固定側光ファイバー1から光学ユニット85に戻され、コンピュータ89により解析され、解析結果がモニタ90に表示される。84は偏光器、88は光干渉解析部、86はモータドライブ回路である。
【0028】
また、第1光路変換手段4から回転軸に対し略直角に分岐し放射された光線は、第3光路変換手段11と第4光路変換手段12で反射され、外側透光性パイプ10を透過して被測定物16の外周面16oに放射される。外周面16oからの戻り光は、外側透光性パイプ10、第4、第3光路変換手段12,11、第1光路変換および分岐手段4と回転側光ファイバー2と固定側光ファイバー1を経て、光学ユニット本体85に戻される。
【0029】
図4は戻り光のコンピュータ89による解析データの一例を示す図であり、縦軸は半径距離を示し、横軸は回転放射の回転角度を示している。図4中に6本の半径距離データが示されているが、データ(a)は内側透光性パイプの内周面の半径、(b)は同外周面の半径、(c)は被測定物16の内周面16iの半径である。続いてデータ(d)は外側透光性パイプ10の外周面の半径、(e)は同内周面の半径、(f)は被測定物16の外周面16oの半径を示すデータである。
【0030】
実際の測定においては、測定開始前に校正を行うが、この測定機においては、(a)内側透光性パイプの内周面の半径と(d)外側透光性パイプ10の外周面の半径は、予め、数値が保証されたリングゲージとのとの比較測定を行って透光性パイプの真の半径(図中、Rp1-in)を求めてコンピュータ89にデータを予め記憶させ、さらに中空形状のピンゲージの外径を測定することで、外側透光性パイプ10の外周面の真の半径(図中、Rp2-Outer)を求めてコンピュータ89にデータを予め記憶させている。
【0031】
ここで、図4の(a)から(f)の各データは光イメージング用プローブのモータユニット8および軸受9の半径方向の1~3マイクロメートル程度の軸振れの影響を受けて再現性が非常に乏しいものであり、そのままでは高精度な測定に使うことができない。
【0032】
そこで、図4において、被測定物16の内/外周面の毎回の測定は、内周面16iから内側透光性パイプ7の内周面までの距離(図中、R-inとRp1-inまでの半径距離)に予め校正で求めておいた内側透光性パイプ7の真の半径(図中、Rp1-in)を加えて求めている。
同様に、外周面16oの正しい半径測定値は、外周面16oから外側透光性パイプ10の内周面までの距離(図中、R-outerとRp2-outerまでの半径距離)に予め校正で求めておいた外側透光性パイプ7の真の外半径(図中、Rp2-outer)を加えて求めている。
【0033】
図5はこのようにして得られた被測定物16の内/外径測定データの一例である。
【0034】
図6に示すように、光イメージング用プローブは、図10の測定機の図83に示すZ軸昇降モータにより軸方向にスライドさせることで図7の内周面16iと外周面16oは三次元的に形状と寸法データが取得できる。図8は測定値の一事例である。
【0035】
本発明によれば、被測定物16の内/外周面の直径は、内/外透光性パイプ7、10を基準に行うことで、モータユニット8と軸受9の振れの影響を完全に除外し、ナノメートルオーダーで繰返し再現性が良好な光イメージング用プローブと測定機を得ることが可能になる。
【実施例2】
【0036】
図9は光イメージング用プローブの第2の実施例の断面図である。
第2の実施例においては、固定側光ファイバー21はモータユニット28の回転シャフトの中空穴の中に相対的に回転自在に挿入され、その先端には集光レンズ22aが一体的に構成されている。集光レンズ22aから放出された光線は第1光路変換および分光手段24に向けて放出され、光線は略直角方向と回転軸前方方向に分岐される。
【0037】
また、モータユニット28の回転シャフトと回転側光ファイバー22は、回転側ファイバー接続具23により連結され一体的に回転する。
これ以降の構成と動作は図1図8に示した第1実施例と同じである。
【0038】
このように、本発明の第2実施例によれば、光路中の減衰が少なく、より一層高精度な測定が行うことができる光イメージング用プローブを提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の光イメージング用プローブは、複数の光路変換手段により観察光を機械部品等の略円筒形状被被測定物の内周面および外周面に、同時に光線を照射し、被測定物の内/外周面からの戻り光(反射光)を取り込んで機械部品の寸法/形状観察および内/外周面間の同軸度データが得られる光イメージング用プローブを提供でき、工業用および医療用の測定装置や検査装置への活用が期待される。
【符号の説明】
【0040】
1、21 固定側光ファイバー
2、22 回転側光ファイバー
3 光回転ジョイント
4、24 第1光路変換手段(プリズム等)
5、25 第2光路変換手段(プリズム等)
6、26 内側ケース
7、27 内側透光性パイプ(キャップ)
8、28 モータユニット
9、29 軸受
10、30 外側透光性パイプ
11、31 第3光路変換手段
12、32 第4光路変換手段
13、33 外側ケース
14、34 固定側光ファイバー固定具
16 被測定物
22a 集光レンズ
23 回転側ファイバー接続具
80 測定台
81 Z軸スライダー
82 取付部
83 Z軸昇降モータ
84 偏光器
85 光学ユニット本体
86 モータドライブ回路
88 光干渉解析部
89 コンピュータ
90 モニタ
100 光線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10