(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】超音波に基づく気泡/中実検出装置、透析機、及び、検出装置のための方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20220418BHJP
【FI】
A61M1/36 103
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016051584
(22)【出願日】2016-03-15
【審査請求日】2019-03-01
(31)【優先権主張番号】10 2015 103 938.9
(32)【優先日】2015-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515143739
【氏名又は名称】ビー.ブラウン アビタム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
【住所又は居所原語表記】Schwarzenberger Weg 73-79, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【氏名又は名称】森 博
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ホルシュタイン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-115358(JP,A)
【文献】特開平07-163660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波に基づく気泡検出装置であって、
前記気泡検出装置の超音波受信器に、モニタされるべき媒体を介して超音波を送信する超音波送信器を備え、
モニタ及び/又は制限手段が設けられ、前記モニタ及び/又は制限手段は、前記媒体へのエネルギ入力をモニタすべく、及び/又は、前記媒体へのエネルギ入力を制限すべく適応し、
前記モニタ及び/又は制限手段である第2コントロールユニットは、超音波生成をモニタすることにより、前記媒体へのエネルギ入力をモニタ及び/又は制限すべく適応し、
前記超音波送信器は、第1コントロールユニットを介し制御信号により制御され、
前記制御信号は、前記エネルギ入力をモニタするために入力され、
電圧手段が設けられ、前記電圧手段の電圧は、前記超音波送信
器が超音波を発するために印加され、
ここで、前記電圧手段の2つの連続する充電動作の開始時間の時間間隔を示す、前記制御信号の連射間隔(A)がモニタされるか、及び/又は、
前記電圧手段の充電時間(B)がモニタされるか、及び/又は、
前記超音波送信器による、連射間隔(A)毎の刺激個数(C)がモニタされるか、及び/又は、
前記超音波送信器の超音波励起周波数(D)がモニタされるか、及び/又は、
前記制御信号の期間がモニタされる
ことを特徴とする気泡検出装置。
【請求項2】
前記制御信号は、前記第2コントロールユニットによりモニタされる請求項1記載の超音波に基づく気泡検出装置。
【請求項3】
前記超音波送信器及び前記超音波受信器のいずれもがピエゾ素子により構成され、前記電圧手段の電圧が前記超音波を発するために前記超音波送信器に印加される請求項1または2に記載の超音波に基づく気泡検出装置。
【請求項4】
前記充電時間(B)が増加すると、エラー信号を出力可能であるか、及び/又は、
前記連射間隔(A)が低減すると、エラー信号を出力可能であるか、及び/又は、
前記刺激個数(C)が増加すると、エラー信号を出力可能であるか、及び/又は、
前記超音波励起周波数(D)が変化すると、エラー信号を出力可能であるか、及び/又は、
前記期間が変化すると、エラー信号を出力可能である請求項1記載の超音波に基づく気泡検出装置。
【請求項5】
エネルギ入力に欠陥がある場合、前記エネルギ入力を、制限又は終了する手段が、起動される請求項1から4のいずれかに記載の超音波に基づく気泡検出装置。
【請求項6】
前記欠陥のあるエネルギ入力が、ハードウェア手段により制限される請求項5記載の超音波に基づく気泡検出装置。
【請求項7】
前記超音波受信器により受信される超音波が電気的受信信号に変換され得て、比較器を介して、第1基準値と比較可能であり、
検出結果を示す出力信号は、前記比較に応答する前記比較器の出力である、請求項1から6のいずれかに記載の超音波に基づく気泡検出装置。
【請求項8】
第2基準値が、前記第1基準値に加えて設定され、
前記第2基準値は、周期的に、かつ、あらかじめ定められる時間間隔毎に使用される請求項7記載の超音波に基づく気泡検出装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の超音波に基づく気泡検出装置を備え、
媒体が流通し得る流路が、前記超音波送信器と前記超音波受信器の間に配置されることを特徴とする血液処理装置。
【請求項10】
前記血液処理装置を規制・制御する第1コントロールユニットが設けられ、
前記モニタ及び/又は制限手段であって、患者のための保護手段を起動するものが設けられ、
前記モニタ及び/又は制限手段は、前記媒体へのエネルギ入力を、モニタ及び/又は制限する請求項9記載の血液処理装置。
【請求項11】
前記血液処理装置におけるエネルギ入力に欠陥がある場合、1つ又はそれ以上のポンプが停止されるか、及び/又は、1つ又はそれ以上のホース遮断クランプが閉鎖される、請求項9又は10に記載の血液処理装置。
【請求項12】
請求項1から8のいずれかに記載の超音波に基づく気泡検出装置
の作動方法であって、
モニタされるべき媒体を介して超音波を、
前記超音波送信器
が、前記気泡検出装置の超音波受信器に送信するステップと、
前記媒体へのエネルギ入力を、
前記第2コントロールユニットが、モニタ及び/又は制限するステップとを含む
作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体をモニタする、超音波に基づく気泡/中実検出装置に関する。
更に、本発明は、該検出装置を備える透析機、及び該検出装置を含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、透析機では、超音波に基づく検出装置(以下、「検出装置」という。)が、危険な空気栓塞から患者を保護するために使用される。
この目的のため、モニタされるべき体外血液回路の一部が、検出装置の超音波経路を通る血液ホースの形態で、案内され得る。
このため、検出装置は、その共振振動数の電気的励起により、血液ホースを通過する、超音波(US)のパルス又は波動を送信する、ピエゾ素子を含む。
ピエゾ素子の形態をなす、その装置は、更に、超音波パルスを電気信号に変換することもある。
この信号は、基準電圧と比較され、コンパレータによって評価されることもある。
コンパレータの出力側における信号は、超音波経路において「気泡あり」又は「気泡なし(即ち、流体或いは血液のみ)」のいずれであるかを通知するものとして利用可能である。
【0003】
カールスルーエ大学教授、オラフ・ドエゼル博士著の出版物「Magnetic resonance imaging methods in medicine. From technology to medical application.」(ISBN 3-540-66014-3)によれば、超音波パルスは、血液ホースを通り案内される患者の血液に損傷を与えることがある。
特に、熱衝撃及びキャビテーションにより、損傷を生じ得る。
熱は、血液に吸収される音の強度に比例して、局所的に生じる。
キャビテーションは、超音波パルスの真空状態において、気泡が圧力状態下で破裂して、組織内に生成される結果である。
【0004】
特許文献1(ドイツ国19738146B4号公報)は、共振振動数上又はその付近で動作し、強い出力信号を生成する超音波振動子を開示する。
この超音波振動子を使用すると、上述した血液中における損傷を生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対し、本発明の基礎的な目的は、装置側においてわずかな努力をするだけで、安全に使用できる超音波に基づく気泡/中実検出装置を提供することである。
本発明の他の基礎的な目的は、シンプルなデザインを有し、かつ安全に用い得る、超音波に基づく気泡/中実検出装置を提供することである。
さらに、本発明は、モニタされるべき媒体が安全に、装置側において簡単な態様で、モニタされ得る装置のための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
超音波に基づく気泡/中実検出装置に関する目的は、請求項1の特徴により達成され、透析機に関する目的は請求項11の特徴により達成され、また、方法に関する目的は請求項14の特徴により達成される。
【0008】
本発明によれば、超音波に基づく気泡/中実検出装置(以下、「検出装置」という。)、媒体中(特に、血液中)における空気を検出する超音波気泡検出システム又はデバイスが提供される。
検出装置は、媒体を介するか、又はそれを通じて、当該検出装置の超音波(US)受信器に超音波を送信する、超音波(US)送信器を有する。
有利なことに、媒体へのエネルギ入力は、超音波に基づき、モニタ及び/又は制限され、その目的ために、これに適応する、モニタ及び/又は制限手段が、設けられる。
【0009】
この解法は、媒体中への過剰なエネルギ入力が検知され、かつ防止され得るという利点を有する。
例えば、透析機のために、この検出装置が使用されると、過剰なエネルギ入力による損傷及び、その結果生ずる溶血等が、本発明の検出装置によって、防止され得る。
しかして、モニタされ、及び/又は検査される、媒体は、過剰なエネルギから、及び、過剰なエネルギ入力から、それぞれ保護され得るものである。
このように、モニタされるべき媒体へのエネルギ入力は、耐え得る程度に制限されるものである。
エネルギ入力をモニタする、他の長所は、エネルギ入力についての知識に基づき、超音波受信器により受信される超音波(の振幅及び時間経過)を使用すると、モニタされるべき媒体内の、目的物或いは未知の媒体の、性質を結論付けることができるということである。
例えば、既知の媒体(空気)がモニタされるべき媒体に関係するものとすると、その幾何学的性質(寸法、体積)は、受信される超音波により結論付けることができる。
【0010】
装置側では、単純に超音波生成をモニタすることにより、エネルギ入力がモニタされることになる。
この超音波生成は、制御信号により、順次行われる。
超音波送信器は、制御信号により、コントロールユニット(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を介して制御され得る。
エネルギ入力を簡単にモニタするために、コントロールユニットの制御信号は入力(tapped)され得る。
したがって、超音波生成をモニタすることにより、エネルギ入力は、装置側におけるシンプルな方法によりチェックされ、例えば、追加センサ等は必要とされない。
【0011】
好ましくは、入力された制御信号は、この場合モニタ及び/又は制限手段を構成する、第2コントロールユニット(マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)によりモニタされ得る。
このように、有利なことには、このモニタが第1コントロールユニットにゆだねられるのではなく、追加的な第2コントロールユニットにより実行され、その結果、第1コントロールユニットに欠陥があるような場合特に、システムの安全性を増すことになる。
第2コントロールユニットは、制御信号を、例えば目標制御信号と比較し、それにより、パターンマッチングを行う。
必要とあれば、第2コントロールユニットがエネルギ入力を適当な手段により制限することも考えられる。
【0012】
有利とするには、超音波送信器(トランスデューサ)及び超音波受信器(トランスデューサ)の各々は、少なくとも1つのピエゾ素子により形成される。
超音波を放射するために、電圧手段の電圧又はエネルギ蓄積装置のエネルギが、超音波送信器に印加され得る。
例えば、電圧手段は、超音波送信器と電気的に並列に配設されるインダクタである。
あるいは又はそれに加えて、電圧手段は、倍電圧回路(カスケード回路)であっても良い。
電圧手段は、さらにコントローラを切り替える原理に従う回路を含んでも良い。
【0013】
好ましくは、制御信号の連射間隔は、モニタされる。
連射間隔は、電圧手段の、2つの連続する充電動作の開始時間の時間的間隔である。
連射間隔が短くなると、媒体へのエネルギ入力が増えていると結論付けられる。
連射間隔は、例えば、モニタのための目標連射間隔と比較される。
【0014】
連射間隔に代えて、或いはそれに加えて、制御信号により予め定められる電圧手段の充電時間、又はエネルギ蓄積装置内へのエネルギが、モニタされても良い。
電圧手段の充電時間が増えると、より高いエネルギ入力を想定し得る。
特に目標充電時間を考慮すると、変化があったものと決定し得る。
【0015】
これに代えて、又はこれに加えて、各連射間隔毎に、特に制御信号により予め定められ、超音波送信器により出力される(矩形信号、パルスの)刺激個数をモニタすることが、考えられる。
そうして、刺激(個数)は、目標数値と比較され得る。
刺激個数が増えると、より高いエネルギ入力が想定されねばならない。
【0016】
また、これに代えて、又はこれに加えて、超音波送信器の、制御信号により予め定められる超音波(US)励起周波数をモニタすることが行われても良い。
そうして、その周波数は、例えば、目標超音波励起周波数と比較される。
より高いエネルギ入力は、例えば、超音波励起周波数を変えることによれば良い。
【0017】
これに代えて、又はこれに加えて、制御信号の期間をモニタしても良い。
【0018】
連射間隔の変化、及び/又は、充電時間の変化、及び/又は、刺激個数の変化、及び/又は、超音波励起周波数の変化、及び/又は、上記期間において、変化があると決定されると、特に第2コントロールユニットにより、エラー信号が出力され得る。
上記各パラメータの上述した変化は、第1コントロールユニットの、一時的か又は永続的な、誤機能(ソフトウエア及び/又はハードウエア上のエラー)により引き起こされ得る。
【0019】
本発明の他の構成では、エネルギ入力に欠陥がある場合、1つ又は複数の手段が、エネルギ入力を、制限し又は停止するために、起動される。
望ましくは、第2コントロールユニットによって、超音波送信器へのエネルギ供給を停止すること、ポンプを停止すること、或いはバルブを閉鎖すること等により、かかる手段は起動されると良い。
【0020】
例えば、かかる手段は、全体としてハードウエア手段であり、1つ又は複数の部品(電子部品、ハードウェア構成部品)により、欠陥のあるエネルギ入力が制限されるものである。
さらに、ハードウエア手段として、適当な飽和電流によるインダクタの構成(寸法取り、選択等々)を設けることもできる。
これに代えて、又はこれに加えて、電圧制限のためのZダイオード(ツェナーダイオード)が設けられても良い。
さらに、これに代えて、又はこれに加えて、ピエゾ素子群の動作中における、インピーダンスの適合、或いは、インピーダンスの不適合、を設定することも考えられる。
【0021】
本発明の更なる構成では、超音波受信器により受信される超音波は、電気受信信号に変換可能であり、比較器(コンパレータ)により、電気受信信号は、基準値(基準電圧、基準信号、アラーム閾値)と比較可能である。この比較結果に基づいて、例えば透析機中の検出装置の使用中、「気泡あり」又は「気泡なし」を示す出力信号が、比較器により出力されるものである。
【0022】
電圧手段は、電源回路を形成するため、電圧源とグラウンドとに接続可能であって良い。
電源回路は、スイッチ制御により開閉に適合でき、制御信号に応答して制御される。
【0023】
好ましくは、第2基準値(テスト閾値)は、第1基準値(アラーム閾値)に加えて設けられる。
そうして、第2基準値は、第1基準値に代えて、特に周期的で、比較的短く予め設定される時間間隔毎に使用できる。
しかして、第1、第2基準値は、比較器の入力において提供される。
第2基準値による比較的短期間の比較を行うことにより、一方では、検出装置の回路を機能させることに関する命令を発することができ、他方では、例えば、ホース中の液体のように、案内される媒体を検出装置に連結することに関する命令を発することができる。
検出装置がエラーフリーに動作するものとすると、コンパレータの出力側において、第2基準値を用いて、好ましくは、例えば「気泡あり」なる信号が送信されることになる。
もしそうでなければ、欠陥のある回路が設けられたか、或いは、媒体(例えば、ホース内に案内される液体)と超音波送信器、及び/又は、超音波受信機との間の結合が、許容不能な範囲内にあることになる。
例えば、許容不能でありながら良い(とされる)結合や音響的な短絡回路が、ありうるとすると、いずれにおいても、超音波送信器と超音波受信機との間の超音波が不正にならざるを得ない。
これは、例えば、超音波センサ、ホース及び超音波受信機の間を貫通する液体により、引き起こされる。
しかしながら、さらに実務では、検出装置のユーザが所謂超音波ジェルを、超音波センサ、ホース及び超音波受信機に至る伝送路に加え、それにより、誤警報とされるものを排除する、ケースも知られている。
これらのケースにおいても、超音波センサ及び超音波受信器の感度が弱められるものの、上述した方法により、検出を行うことができる。
しかして、参照値及びエネルギ入力のモニタの両方を含む安全なシステムは、結果的に極めて安全な態様で使用され得る検出装置となるものである。
【0024】
受信信号(時間、振幅)の評価を行うことにより、モニタされるべき媒体内における、媒体の(幾何学的)性質に関する命令が作成されるものである。
受信信号(時間、振幅)を異なる複数の基準値群と比較することにより、センサの訂正機能に関するだけでなく、センサとモニタされるべき媒体(ホースと液体)の適正な結合にも関する、命令が、既に上記において説明した通り、実現できるものである。
(伝送信号)である超音波の安全に関する知識は、受信信号を安全に得るための前提条件となる。
これは、当初述べた、超音波モニタを実行することにより、達成され得る。
【0025】
本発明によれば、先に述べた複数の態様のいずれかによる検出装置を備える、透析機又は注入装置が、提供される。
超音波送信器と超音波受信器との間に、媒体(血液又は注入液体)が内部を流れ得る、流路(ホース)が配設され得る。
この検出装置を使用すると、血液中への高いエネルギ入力による、あらゆるダメージが予防されるため、高い安全性が、透析機につながれた患者に、もたらされる。
【0026】
透析機及び検出装置の各部品を規制・制御するために、透析機の第1コントロールユニットが設けられ得る。
そうして、第2コントロールユニット(スーパーバイザ)は、患者を保護する手段を起動することができ、またそれに加えて、媒体へのエネルギ入力を、モニタ及び/又は規制できる。
このように、第1コントロールユニットの、欠陥あるいは動作不良は、第2コントロールユニットによって安全に検知され、その結果、適切な保護手段が起動され得る。
【0027】
欠陥のあるエネルギ入力が行われた場合、透析機中において、例えば、1つ又は複数のポンプが停止されるか、及び/又は、1つ又は複数のホース閉鎖クランプが閉じられる。
【0028】
本発明に係る超音波に基づく気泡及び/又は中実検出装置のための方法であって、先の各態様による方法は、
モニタされるべき媒体を介して超音波を、超音波受信器により、気泡/中実検出装置の超音波受信器に送信するステップと、
超音波に基づき、媒体へのエネルギ入力を、モニタ及び/又は制限するステップとを含む。
このように、超音波が血液に適用されても、血液のダメージは予防される。
【0029】
本発明の他の有利な展開は、更なる従属項の主題である。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、検査されるべき媒体を介して超音波を送信する超音波送信器と、この超音波が超音波受信機により受信されるのに適応しているものを備える、検出装置を開示する。従って、モニタされるべき媒体内へのエネルギ入力が、制限され、及び/又は、モニタされ、及び/又は、適応され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】超音波検出装置の超音波送信器への制御信号の概略図である。
【
図4】受信信号と受信信号を目標値と比較する、検出装置の比較器の概略図である。
【
図5】
図4の比較器への入力パラメータ曲線をそれぞれ示す。
【
図6】患者の血液中における、超音波
に基づくエネルギ入力の効果を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態を詳述する。
図1のように、透析患者の血液(つまり、ホース2を通って流れる血液)の形態をなす、媒体(ホース2)中における空気を検出するために、超音波
に基づくガス泡/気泡検出装置1(以下「検出装置」という。)が設けられる。
本目的のため、検出装置1は、ホース2中で超音波6を送信するピエゾ素子の形態をなす、超音波(US)送信器4を含む。
超音波6は、超音波(US)受信器8により受信され得る。
このように、超音波送信器4と超音波受信器8とは、超音波伝送路を形成する。
超音波を発するため、超音波送信器4と電気的に並列に配置されるインダクタ10を介し、電圧が超音波送信器4に印加される。
超音波送信器4とインダクタ10とは、スイッチ12によりグラウンド14に接続できる。
さらに、それらは電圧源16に接続される。
スイッチ12を開くことにより生成されるインダクタ10の自己誘導電圧は、超音波送信器4に必要な電圧を利用可能とする。
その後、超音波送信器4は、制御信号18によってコントロールされる。
制御信号18は、
図1に示されないコントロールユニットにより供給される。
超音波6は、超音波受信器8により受信され、受信電気信号20に変換される。
その後、受信電気信号20は基準電圧24と比較され、比較器22(コンパレータ)により評価される。
伝送路において「気泡あり」又は「気泡なし」(即ち、液体のみ)を示す出力信号28は、比較器22の出力26において供給される。
【0033】
図2では、
図1の発明に係る検出装置1の場合において、モニタされる制御信号18が示され、それにより、ホース2内で案内される血液への、超音波
に基づき、エネルギ入力が、順次、モニタ及び/又は制限されるものである。
図2によれば、制御信号18は、例えば、50~900[μs]に及ぶ、連射間隔(burst interval)Aを有する。
連射間隔Aの周波数は、例えば、1~15[kHz]となる。
図1のインダクタ10の充電時間Bは、例えば、5~20[μs]となる。
連射間隔Aは、連続する2つの充電時間Bの2つの開始時間の隔たりと等しい。
【0034】
充電時間Bの終了後、制御信号18を受けると、例えば、1~5[MHz]の、超音波送信器4の超音波励起周波数(D)を有する、C個の刺激が付与される。
例えば、8個の刺激(C=8)が与えられる。
2[MHz]の超音波励起周波数の場合、2つの刺激の間隔は、例えば、500[ns]となる。
C個の超音波刺激後、充電時間Bが再びスタートするまでの間に、中断時間Eが設定される。
この中断時間は、例えば、300~500[μs](即ち、481[μs]等)となる。
【0035】
今エネルギ入力をモニタするため、連射間隔A及び/又は充電時間B及び/又は超音波励起周波数(D)及び/又は刺激個数Cが、モニタされる。
エラー時に連射間隔Aが短縮されるとすると、血液を含むホース2内に、より高いエネルギ入力が行われると考えねばならない。
同様に、インダクタ10の充電時間Bが増えると、より高いエネルギ入力を考えねばならない。
さらに、起こり得るエラー時に前記定められた刺激個数Cが増加すると、血液中により高いエネルギ入力が行われると考えねばならない。
血液中へのより高いエネルギ入力は、超音波励起周波数(D)の変化によっても生じ得る。
例えば、制御信号を生成するコントロールユニットとして使用されるマイクロプロセッサの一時的又は永続的な不具合による、上記各パラメータの上述した変化は、ソフトウエア側又はハードウエア側において、生じ得る。
【0036】
図2の制御信号18は、スイッチ12で利用可能であると共に、スイッチからモニタを行うコントロールユニットに送信され得る。
エネルギ入力に関する更なる知識によれば、モニタされるべき媒体内にある目的物(本ケースでは、血液)(又は未知の媒体)の性質は、受信信号20(の振幅及び時間に関する信号の経過)により結論付け得るということになる。
本ケースにおける空気のように、モニタされるべき媒体が既知であれば、受信信号20により、その幾何学的配置(寸法、体積等)を結論付けることができる。
【0037】
図3では、検出装置1に加え、検出装置1を含む透析機30が、概略的に示されている。
透析機30は、第1コントロールユニット32及び第2コントロールユニット34(スーパーバイザ)を含む。
第1コントロールユニット32は、透析機30、及び同様に検出装置1の、各要素を規制及び制御するために役立つ。
第2コントロールユニット34は、特に透析機30をモニタするために役立ち、それにより、透析機30を使用する患者を保護する。
【0038】
第1コントロールユニット32は、マイクロプロセッサ36と共に、ホース2を介し、超音波受信器8に超音波を送信する超音波送信器4を制御する。
図3に示すように、受信信号20は、マイクロプロセッサ36及び第2コントロールユニット34に接続されるマイクロプロセッサ40へ送信される。
信号経路38を介し超音波送信器4を制御する、制御信号18をモニタするために、制御信号18は、信号経路42を介し超音波送信器4に入力され、さらに、透析機30の第2コントロールユニット34のポートに供給される。
その後、モニタされるべきパラメータA~Dは、前記ポート経由でチェックされる(
図2参照)。
第2コントロールユニット34により前記モニタポートにおいて、目標パラメータからのいずれかの偏差があると認められると、コントロールユニットが、ホース2内の血液のダメージを、防止し、停止し、或いは制限するための手段を起動すると良い。
手段は、例えば、1つ以上のポンプを停止し、及び/又は1つ以上のホース閉鎖クランプを閉じるもの等である。
【0039】
図4では、受信信号20を評価する方法に、
図1の制御信号28のシーケンスをモニタすることが組み合わされても良い。
この方法は、超音波送信器4又は超音波受信器8のエラーを検出し、また、センサ経路における結合変化を検出するために役立つ。
図4により、受信信号20は、比較器22又は別の比較器による、アラーム閾値(AS)と言い得る、基準値44と比較される。
既説されたように、受信信号20に基づいて、比較器22は、その出力26において「気泡あり」又は「気泡なし」を示す。
もしここで、比較器22の入力において、短時間で第1基準値44からテスト閾値(TS)として役立つ、第2基準値46に変化すると、受信信号20は、第2基準値46と比較される。
これにより、一方では、
図1に示される回路を機能させる命令が発せられても良く、他方では、ホース2と超音波送信器4との間、及び、ホース2と超音波受信器8との間における、それぞれの結合に関する命令が発せられても良い。
「気泡あり」が出力26において発せられず、第2基準値46が使用されるなら、欠陥のある回路が用いられていても良いし、あるいは、ホース2と超音波送信器4の間及び/又はホース2と超音波受信器8の間の結合が、許されない範囲にあっても良い。
【0040】
図5において、複数の曲線を用いて、第1基準値44及び第2基準値への比較が示されている。
図5に示されるグラフは、電圧Vを示す縦座標と、時間を[μs]単位で示す横座標を含む。
このケースでは、電圧は、0~2.5[V]の範囲にあり、時間は、-100~700[μs]の範囲にある。
第1基準値44は、0.5~1[V]の範囲の電圧を有し、第2基準値46は、2~2.5[V]の範囲の電圧を有するが、各基準値44、46は、略一定の状態にある。
図5による第1基準値44下回って位置する曲線48は、完全な動作中のホース2内に「気泡」が含まれている場合の
図1の受信信号20を示す。
この場合、第1基準値44及びそれと共に第2基準値46との比較の結果、比較器22の出力26が「気泡あり」を示す結果となる。
図5の第1基準値44と交わる曲線50は、完全な動作中のホース2内に「気泡」が無い場合の受信信号20を示す。
このケースでは、「気泡なし」が出力26で発行される。
第2基準値46と比較すると、「気泡あり」が表示されるであろう。
第2基準値46と交わる、別の曲線52は、欠陥のある結合がなされた場合の受信信号20を示す。
曲線52が第1基準値44と比較される場合、曲線52は第1基準値44とも交わるから、「気泡なし」との決定がなされるだろう。
しかしながら、第2基準値46が考慮されるならば、誤りのない受信信号20の曲線48、50は、第2基準値を下回って位置するから、「気泡あり」との結果は、完全な運転中に表示されるべきものとなる。
(運転が)不完全なケースでは、曲線52が第2基準値46の直線と交差するので、「気泡なし」が報告され、それに基づき、欠陥のある運転がなされたと結論付けることができる。
【0041】
図6により、縦座標上に
図1の超音波6のエネルギの強度Iを[W/cm
2]の単位で示し、横座標上に超音波6の照射時間tを[s]の単位で示す、グラフが示される。
強度Iは、0.01~100の間の対数で示され、照射時間は、0~10000の間の対数で示される。
そうして、安全領域54と、起こり得るダメージ領域56とが、線58により分離されて示されている。
強度と照射持続時間との積(I*t)が安全領域54内にある、即ち、その積≦50[Ws/cm
2]である場合、
図1のホース2内にある血液に何らダメージを生じない。
しかしながら、積がより大きく、ダメージ領域56内にある場合、血液のダメージが、例えば溶血の発生により、起こり得る。
【符号の説明】
【0042】
1 検出装置
2 ホース
4 超音波送信器
6 超音波
8 超音波受信器
10 インダクタ
12 スイッチ
14 グラウンド
16 電圧源
18 制御信号
20 受信信号
22 比較器
24 基準電圧
26 出力
28 出力信号
30 透析機
32 第1コントロールユニット
34 第2コントロールユニット
36 マイクロプロセッサ
38 信号経路
40 マイクロプロセッサ
42 信号経路
44 第1基準値
46 第2基準値
48 曲線(完全運転中に「気泡あり」)
50 曲線(完全運転中に「気泡なし」)
52 曲線(欠陥運転)
54 安全領域
56 ダメージ領域
A 連射間隔
B 充電時間
C 刺激個数
D 超音波励起周波数
E 中断時間