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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】有機無機複合粒子、及び化粧料
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20220418BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220418BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220418BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
C08J3/12 101
C08J3/12 CEP
A61K8/25
A61K8/73
A61Q1/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017072496
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2018172578
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 慧
(72)【発明者】
【氏名】榎本 直幸
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 郁子
【審査官】石塚 寛和
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-095801(JP,A)
【文献】特開2000-327517(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002797(WO,A1)
【文献】特開平07-277925(JP,A)
【文献】特表2013-527204(JP,A)
【文献】特開2014-043566(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0008240(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28、99/00
A61K 8/25
A61K 8/73
A61Q 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ成分とセルロースが混合された球状の有機無機複合粒子であって、
前記シリカ成分が1~80重量%、前記セルロースが20~99重量%の範囲で含まれており、
平均粒子径(d)が0.5~25μm、真比重が1.0超~2.0g/cm、水に対する接触角が90°以下、BET法で求めた単位体積あたりの比表面積が5 /cm 以上60m/cm未満である有機無機複合粒子。
【請求項2】
弾性率が2~30GPaであることを特徴とする請求項1に記載の有機無機複合粒子。
【請求項3】
前記有機無機複合粒子の分散液を、超音波分散機を用いて60分間分散させたとき、分散後の平均粒子径(d)と、分散前の平均粒子径(d)の比(d/d)が、±0.05以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機無機複合粒子。
【請求項4】
前記シリカ成分が、前記セルロースのバインダー効果を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の有機無機複合粒子。
【請求項5】
前記シリカ成分が、5nm~1μmの平均粒子径(d)を持つシリカ系粒子であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の有機無機複合粒子。
【請求項6】
前記セルロースの平均粒子径(d)が、1nm~1μmの範囲にあることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の有機無機複合粒子。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の有機無機複合粒子が配合された化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な生分解性を有する球状の有機無機複合粒子、及びこれを含む化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、石油由来の合成高分子(プラスチック)は、さまざまな産業で利用され、現代の便利な生活を支えている。合成高分子の多くは、長期安定性を求めて開発されている。そのため、自然環境中で分解されず、様々な環境問題を引き起こしている。例えば、水環境中に流出したプラスチック製品が長い期間蓄積され、海洋や湖沼の生態系に大きな害を与えるという問題が発生している。また、近年、マイクロプラスチックと呼ばれる長さが5mm以下からナノレベルまでの微細なプラスチックが大きな問題となっている。マイクロプラスチックに該当するものとして、化粧用品などの小型の個人消費材、加工前のプラスチック樹脂の小さな塊、大きな製品が海中で浮遊するうちに微細化した物、などが挙げられている。
【0003】
近年では、洗顔料に、ざらざらした手触りを与えるため、洗浄効果を高めるために数百μm級のプラスチック粒子(例えば、ポリエチレン粒子)が用いられている。プラスチック粒子は、真比重が軽いため下水処理場で除去し難く、河川、海洋、池沼等に流れ出している。更にプラスチック粒子は、殺虫剤などの化学物質を吸着し易い。これらが魚介類に蓄積し、濃縮され、これらを通して人体に影響を与える虞がある。このことは国連環境計画等でも指摘されており、各国、各種業界団体が規制を検討している。
【0004】
このような背景から、自然環境中で微生物などにより水と二酸化炭素に分解され、自然界の炭素サイクルに組み込まれる生分解性プラスチックの開発が世界的に活発に進められている。例えば、粒子径425μm以上の繊維状の生分解性プラスチック粒子を研磨材として含む洗浄剤が知られている(特許文献1を参照)。また、特許文献2(特表2013-527204号公報)には、化粧品組成物への使用に適した1~44μmのポリ乳酸が開示されている。特許文献3(特開2014-43566号公報)には、微細な生分解性粒子として、数平均粒子径が1μm未満のポリ乳酸系樹脂微粒子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-136732号公報
【文献】特表2013-527204号公報
【文献】特開2014-43566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の生分解性プラスチック粒子は、粒子サイズが大きいと自然分解までに長い期間が必要である。粒子サイズが微細なものほど短い期間で自然分解するものの、微細な粒子は粒子同士の付着性が強く、流動性が低いという欠点がある。また、感触改良材として化粧料に配合した場合、肌との付着性が強くなる。そのため、好適な延び広がり性を要する感触改良材には適さなかった。また、従来の生分解性高分子は、水に浮くことや、有害な化学物質を吸着して濃縮しやすいため、環境問題を引き起こすという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、良好な生分解性を有するとともに、水に浮くことがなく、有害な化学物質も吸着しにくい有機無機複合粒子を提供することにある。このような有機無機複合粒子は環境問題を引き起こす懸念が少なく、さらに、良好な流動性を有している。そのため、プラスチックビーズと同様な用途に安心して使用することができる。そして、このような特性の有機無機複合粒子を感触改良材として化粧料に配合することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の有機無機複合粒子は、シリカ成分と生分解性プラスチックを含んでおり、有機無機複合粒子の平均粒子径(d)が0.5~25μm、真比重が1.0超~2.0g/cm、水に対する接触角が90°以下である。
【0009】
また、有機無機複合粒子の比表面積(BET法)を、5~60m/cm未満とし、さらに、有機無機複合粒子の弾性率を2~30GPaとした。
【0010】
さらに、有機無機複合粒子の分散液を、超音波分散機を用いて60分間分散させたとき、分散後の平均粒子径(d)と、分散前の平均粒子径(d)の比(d/d)が、±0.05以内であることとした。有機無機複合粒子は、シリカ1~80重量%の範囲、生分解性プラスチックを20~99重量%の範囲で含有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の化粧料は、上述したいずれかの有機無機複合粒子が配合されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明による有機無機複合粒子は、環境に流出しても水に浮くことがなく、また、非水溶性の有害な化学物質を吸着し難く、更に良好な生分解性を有しているため、環境問題を引き起こす懸念が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の有機無機複合粒子は、シリカ成分と生分解性プラスチックを含む球状粒子であって、平均粒子径(d)が0.5~25μm、真比重が1.0超~2.0g/cm、水に対する接触角が90°以下である。平均粒子径(d)はレーザー回折法で求められる。有機無機複合粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、転がり感、転がり感の持続性、均一な延び広がり性などの化粧料の感触特性が著しく低下する。一方、25μmを超えると、粒子粉体に触ったとき、ざらつきを感じるようになり、ソフト感としっとり感が低減する。また、平均粒子径(d)は2~10μmがより好ましい。
【0014】
有機無機複合粒子の真比重が1.0g/cm以下であると、水系環境に流出した際に水に浮くために、生分解性の速度が遅延してしまう。一方、真比重が2.0g/cmを超える場合、生分解性プラスチックの含有量が低いこととなり、所望のプラスチック粒子様の感触特性が得られにくくなる。なお、有機無機複合粒子の真比重は1.1~1.8g/cmが特に好ましい。
【0015】
水に対する接触角が90°を超える有機無機複合粒子は、水系環境に流出した際に水に浮きやすく、生分解性の速度が遅延する虞がある。また、有機無機複合粒子の水に対する接触角は80°以下が好ましく、70°以下が更に好ましい。なお、この接触角は、構成成分である生分解性プラスチックの性質に基づくものである。生分解性プラスチックが疎水性の場合は、有機無機複合粒子の接触角が90°を超えることが多い。この場合は、有機無機複合粒子に界面活性剤等を加えることで、接触角を90°以下にできる。接触角が90°以下の親水性の有機無機複合粒子は、生分解性の遅延が起きにくいことの他、ポリ塩化ビフェニル化合物や殺虫剤などの非水溶性の有害な化学物質を吸着しにくい。
【0016】
さらに、BET法で求めた単位体積当たりの比表面積は5~60m/cm未満であることが好ましい。有機無機複合粒子の比表面積が5m/cm未満であると、生分解性が劣ることがある。比表面積が60m/cm以上であると、ナノマテリアルの定義に適合してしまい、従来のプラスチックビーズと同様な用途で安心して使用することが難しい場合がある。比表面積は10~60m/cm未満が特に好ましい。
【0017】
さらに、有機無機複合粒子の弾性率は2~30GPaの範囲にあることが好ましい。弾性率は微小圧縮試験法で求められる。弾性率が2未満であると、パウダーファンデーション等の圧縮成型品の強度が低下する虞があり、配合量が制限されることがある。弾性率が30GPaを超えると、応力に対する歪が生じ難く、プラスチックビーズのようなソフト感としっとり感を付与できない。なお、弾性率は3~20GPaの範囲が特に好ましい。
【0018】
有機無機複合粒子を化粧料に用いる場合、化粧料の製造工程で粒子が崩壊し、当初想定していた機能が得られない虞がある。そのため、粒子の分散液に超音波を印加し、印加前後の平均粒子径の変化率が変わらないことが好ましい。そこで、有機無機複合粒子を蒸留水に分散させた分散液を、超音波分散機を用いて60分間分散させた。分散試験後の平均粒子径(d)と試験前の平均粒子径(d)の比(d/d)は、±0.05以内が好ましい。平均粒子径の比が-5%以上あるということは、粒子の強度が低いということであり、化粧料等の製造工程における機械的付加により、粒子が崩壊し、所望の感触改良効果が得られない虞がある。平均粒子径の比が5%以上であるということは、水中で生分解性プラスチックが膨潤するということである。そのため、化粧料等の製造後に増粘しやすく、品質安定性を担保できない。さらに、感触特性も変化する虞がある。なお、平均粒子径の比(d/d)は、±3%以内であることが特に好ましい。
【0019】
有機無機複合粒子は、シリカ成分を1~80重量%の範囲で、生分解性プラスチックを20~99重量%の範囲で含んでいる。シリカ成分が1%未満の場合は、シリカ成分が持つバインダーとしての効果が低くなり、また、微細な生分解性プラスチック同士の接点が多くなるために、再分離させることが困難となる。一方、生分解性プラスチックが20%未満の場合は、所望のプラスチックビーズ特有のソフト感としっとり感を付与できない。なお、シリカ成分5~80重量%の範囲、生分解性プラスチックを20~95重量%の範囲であることが特に好ましい。
【0020】
有機無機複合粒子の真球度は、0.85~1.00の範囲が好ましい。真球度は、走査型電子顕微鏡の写真から画像解析法により求められる。真球度が0.85未満であると肌上に塗布した際の転がり感の持続性が著しく低下してしまう。
【0021】
さらに、有機無機複合粒子には、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛の少なくとも一つを含む無機酸化物微粒子がシリカ系粒子の代わりに20重量%以下の範囲であれば含有してもよい。この範囲内であれば、有機無機複合粒子の内部に均一に無機酸化物微粒子を含有することができる。ここで、酸化鉄として、酸化第二鉄、α-オキシ水酸化鉄、四酸化三鉄が好ましい。また、無機酸化物微粒子の平均粒子径は、シリカ系粒子と同レベルであることが望ましい。そのため、100~1000nmの範囲が適している。
【0022】
以下に、本発明の有機無機複合粒子に含まれるシリカ成分と生分解プラスチックについて詳細に説明する。
<シリカ成分>
機無機複合粒子に含まれるシリカ成分として、珪酸バインダーやシリカ系粒子が挙げられる。珪酸バインダーとしては、アルカリ金属珪酸塩、有機塩基の珪酸塩等の珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリ(Naイオンの除去等)したものを使用できる。珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などが挙げられる。
【0023】
ここで、シリカ系粒子とは、シリカを含有する無機酸化物粒子であり、シリカ-アルミナ、シリカ-ジルコニア、シリカ-チタニアなどの複合酸化物、およびシリカが例示できる。シリカ系粒子の組成の違いによって有機無機複合粒子の製造条件を変更する必要はない。化粧料に配合することを考慮すると、シリカ系粒子には非晶質シリカが好適である。
【0024】
また、シリカ系粒子の平均粒子径(d)は、5nm~1μmであることが好ましい。特に10nm~0.5μmの範囲が望ましい。平均粒子径が1μmを超えると生分解性粒子のバインダー効果が低下する他、水中環境中でのシリカの溶解速度が低下し、その結果、良好な生分解性を損なうことがあることから好ましくない。平均粒子径が5nm未満の場合は、シリカ微粒子としての安定性が低いことから工業的な側面で好ましくない。
【0025】
なお、植物由来の原料から生成されたシリカ成分を用いることが持続可能社会の実現の観点で好ましい。また、欧米などの海外では環境との調和、安全性への拘りの観点でオーガニック化粧料のニーズが高まっている。ISO16128-1(Guidelines on technical definitions and criteria for natural And organic cosmetic ingredients and products Part1:Definitions for ingredients)ではその原料が定義されている。シリカ源として多用されている珪砂はミネラル成分の分類であるが、植物由来のシリカ成分であれば自然由来成分として分類されることから、当該ニーズに対応することができる。
【0026】
植物由来のシリカ成分は、イネ科植物に多く含まれており、米の籾殻やその稲穂から抽出することができる。例えば、特開平7-196312号公報に開示された焼成法や特開2002-265257号公報に開示された加圧熱水法などにより、高純度なシリカが得られることが知られている。このようにして得られた植物由来のシリカ成分を水酸化ナトリウムで溶解して珪酸ナトリウムを調製し、その後、常法に従って、シリカ粒子を調製することができる。
<生分解性プラスチック粒子>
有機無機複合粒子に含まれる生分解性プラスチックは、石油由来の物が工業的に多用されているが、生分解性があれば原料が何であるかは問わない。但し、持続可能社会の実現の観点では、生分解性プラスチックは、再生可能な有機資源であるバイオマスプラスチックであることが望ましく、化学合成で作られるポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリビニルアルコール、ポリアスパラギン酸、微生物で作られるプルラン、ポリグルタミン酸、ポリヒドロキシアルカン酸、植物や動物由来のデンプン、セルロース、アミロース、キチン、キトサンが挙げられる。特に植物由来のセルロースが品質、価格、流通量、および安全性の観点で好適である。
【0027】
また、生分解性プラスチックとして、平均粒子径(d)が1nm~1μmの生分解性プラスチック粒子が好ましい。このような微細な平均粒子径の生分解性プラスチック粒子により得られる有機無機複合粒子は、良好な生分解性を発揮することができる。0.1~0.5μmの範囲が特に好ましい。その他に、電子顕微鏡写真で計測される太さが1~500nm、長さが1μm以上のセルロースナノファイバーや、太さが10~50nm、長さが100~500nmのセルロースナノクリスタルも生分解性プラスチックとして好適である。
<有機無機複合粒子の製造方法>
次に、本発明の有機無機複合粒子の製造方法について説明する。本発明の有機無機複合粒子の製造方法は、シリカ成分を含有した液体に、生分解性プラスチックを含有した液体を混合し分散液を調製する工程Aと、この分散液中の固形分を造粒して有機無機複合粒子を調製する工程Bを含んでいる。
【0028】
以下、各工程を詳細に説明する。
<工程(A)>
シリカ成分としてシリカゾルを用いる場合には、シリカ系粒子を固形分換算で1~30重量%含むシリカゾルを準備する。このシリカゾルに、固形分濃度1~50重量%の生分解性プラスチック粒子の水分散液を加えて、スラリーを調製する。
【0029】
また、シリカ成分として珪酸バインダーを用いる場合には、固形分濃度が1.5~10.0重量%の珪酸バインダーを準備する。特に、2.0~5.0重量%が適している。固形分濃度が10.0重量%を超えると、珪酸バインダーの安定性が低下するため、経時によって微細なゲル状または粒子状のシリカが生成する。そのため、比表面積が増加してしまう。
<工程(B)>
造粒は、噴霧乾燥法、および乳化法を用いた従来公知の方法で行うことができる。
【0030】
例えば、スプレードライヤーによる噴霧乾燥法では、熱風気流中に1~3リットル/分の速度で噴霧液を噴霧することによって有機無機複合粒子を得る。このとき、熱風の温度は、入口温度で70~200℃、出口温度で40~60℃の範囲にあることが好ましい。入口温度が70℃未満だと、分散液中に含まれる固形分の乾燥が不充分となる。また200℃を超えると、生分解性プラスチックが分解する虞がある。また、出口温度が40℃未満であると、固形分の乾燥度合いが悪くて装置内に付着してしまう。より好ましい入口温度は、100~150℃の範囲である。
【0031】
乳化法では、前述のスラリーを界面活性剤を含む非水溶性の有機溶媒に混合して、乳化物を調製し、この乳化物を加熱して脱水し、有機無機複合粒子を得る。
【0032】
さらに、珪酸バインダーとして、アルカリ金属珪酸塩、有機塩基の珪酸塩等の珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリ(Naイオンの除去等)したものを使用できる。珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などが挙げられる。
【0033】
必要に応じて、シリカ以外の金属酸化物として、無機酸化物微粒子を噴霧液に含ませてもよい。無機酸化物微粒子の平均粒子径はシリカ系微粒子とほぼ同等であることが望ましい。すなわち、無機酸化物微粒子の平均粒子径は100~1000nmである。また、無機酸化物微粒子は、肌への塗布時の隠ぺい性、UV遮蔽性などの光学特性を有しているので、肌へ塗布した時に、シャリシャリ感を感じることなく、高いスライド感を有する感触特性と光学特性を演出することができる。
【0034】
さらに、有機系微粒子を含む有機無機複合粒子を大気圧下または減圧下、400~1200℃で加熱処理して、有機系微粒子を除去してもよい。これにより、さらに細孔容積の大きい有機無機複合粒子の調製が可能である
<化粧料>
以下に、有機無機複合粒子と各種化粧料成分とを配合して得られる化粧料について具体的に説明する。本発明は、これらの化粧料に限定されるものではない。
【0035】
化粧料に本発明の有機無機複合粒子を用いると、従来のシリカ粒子等の無機系単一成分からなる粒子と異なり、転がり感、転がり感の持続性、及び均一な延び広がり性だけでなく、プラスチックビーズ特有のソフト感としっとり感という、化粧料の感触改良材に求められる代表的な感触特性を得ることができる。
【0036】
各種化粧料成分としては、例えば、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の油脂類、ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等のロウ類、パラフィン、スクワラン、合成及び植物性スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、α-ヒドロキシ酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、ラウリル酸セチル、オレイン酸デシル等のエステル類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール類、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、トレハロース等の糖類、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン油、各種変性シリコーン油、環状ジメチルシリコン油等のシリコーン油、シリコーン系およびまたは他の有機化合物にて架橋させたシリコーンゲル、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、アニオン、カチオン、ノニアオン系各種界面活性剤類、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド類、ビタミン類、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、安息香酸エステル系、ウロカニン酸系、ベンゾフェノン系をはじめとした紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、変性又は未変性の粘土鉱物、酢酸ブチル、アセトン、トルエン等の溶剤、各種粒子径、粒子径分布および形状を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール光沢を有する雲母チタン、およびそれらの複合物、各種有機顔染料、水、香料などが挙げられる。ここで、前記の酸化チタンや酸化亜鉛等の無機化合物は、その表面に予めシリコーン処理、フッ素処理、金属石鹸処理などを施したものを用いてもよい。
【0037】
また、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂粒子を含んでいてもよい。
【0038】
さらに、美白効果を有する有効成分として、アルブチン、コウジ酸、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、ジ-パルチミン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、その他のアスコルビン酸誘導体、プラセンタエキス、イオウ、油溶性甘草エキス、クワエキス等の植物抽出液、リノール酸、リノレイン酸、乳酸、トラネキサム酸などを含ませることができる。
【0039】
また、肌荒れ改善効果を有する有効成分として、ビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、カフェー誘導体、リグナン、サポニン、レチノイン酸及びレチノイン酸構造類縁体、N-アセチルグルコサミン、α-ヒドロキシ酸等の抗老化効果を有する有効成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール類、混合異性化糖、トレハロース、プルラン等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等の生体高分子類、アミノ酸、ベタイン、セラミド、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール及びその誘導体、ε-アミノ化プロン酸、グリチルリチン酸、各種ビタミン類などを含ませることができる。
【0040】
さらに、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、Eleventh Edition2006)等に収載されている化粧料成分を使用することができる。
【0041】
このような化粧料は、従来公知の一般的な方法で製造することができる。化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、クリーム状、ジェル状、ムース状、液状、クリーム状などの各種形態で使用される。具体的には、石鹸、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、マッサージ、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、美白、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー、化粧下地等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイブロー、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、育毛用、フケ防止、かゆみ防止、洗浄用、コンディショニング・整髪、パーマネント・ウエーブ用、ヘアカラー・ヘアブリーチ用等のヘアケア化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、スリミング用、血行改善用、かゆみ抑制、体臭防止、制汗、体毛ケア、リペラント用、ボディパウダー等のボディーケア化粧料、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロン等、練香水、ボディーロ-ション、バスオイル等のフレグランス化粧料、歯磨き、マウスウォッシュ等のオーラルケア製品などが挙げられる。
【実施例
【0042】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
市販のシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SS-160、平均粒子径160nm、シリカ濃度20質量%)2kgをロータリーエバポレーターで濃縮して、シリカ濃度40質量%のシリカゾル1kgとする。このシリカゾルに、陽イオン樹脂(三菱化成社製、SK-1B。以下同様)を一気に加えてpHを2.5とした後、陽イオン交換樹脂を分離する。これにより、脱アルカリ処理(Naイオンの除去等)がなされ、シリカ系微粒子濃度39.3質量%のスラリーaが得られる。スラリーaに、セルロース系粒子(旭化成(株)製セオラス(登録商標)RC-N30)0.4kgと純水1.3kgを混合した高分子分散液を添加し、スラリーbを調製する。
【0043】
得られたスラリーbを噴霧液として、スプレードライヤー(NIRO社製、NIRO-ATMIZER)により噴霧乾燥する。すなわち、入口温度220℃、出口温度が50~55℃に設定した乾燥気流中に、2流体ノズルの一方からスラリーを2L/hrの流量で、他方のノズルから0.4MPaの圧力で気体を供給して噴霧乾燥し、250mesh篩(JIS試験用規格篩)でふるいにかけ、有機無機複合粒子を得た。有機無機複合粒子の調製条件を実施例ごとに表1に示す。
この有機無機複合粒子の粉体の物性を以下の方法で測定した。その結果を表2に示す。
(1)有機無機複合粒子、シリカ系粒子および生分解性プラスチック粒子の平均粒子径(d)、(d)、(d)の測定方法
レーザー回折法を用いてそれぞれの粒度分布を測定し、この粒度分布からメジアン径で表わされる平均粒子径(d)、シリカ系粒子の平均粒子径(d)および生分解性プラスチック粒子の平均粒子径(d)を求めた。レーザー回折法による粒度分布の測定は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950v2(株式会社堀場製作所製)を用いた。
(2)超音波分散有無による平均粒子径比
前記レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950v2にて有機無機複合粒子の平均粒子径を測定する際、該装置の分散条件を「超音波60分間」に設定し分散した後、粒度分布を測定し、この粒度分布からメジアン径で表わされる平均粒子径(d)を求める。(d)と(d)の超音波分散有無の平均粒子径比(d/d)とする。
(3)有機無機複合粒子の粒子密度の測定方法
有機無機複合粒子を磁性ルツボ(B-2型)に約30ml採取し、105℃で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを15ml採取し、全自動ピクノメーター(QUANTACHROME社製:Ultrapyc1200e)を用いて真比重を測定し、粒子密度とする。
(4)シリカ系粒子の変動係数の測定方法
走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM-7600F)により、倍率2万倍から25万倍で写真(SEM写真)を撮影する。この画像の250個の粒子について、画像解析装置(旭化成社製、IP-1000)を用いて、平均粒子径を測定し、粒子径分布に関する変動係数(CV値)を算出した。
(5)シリカ系粒子の真球度の測定方法
透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-8000)により、倍率2万倍から25万倍の倍率で写真撮影して得られる写真投影図から、任意の50個の粒子を選び、それぞれその最大径(DL)と、これに直交する短径(DS)との比(DS/DL)を測定し、それらの平均値を真球度とした。
(6)有機無機複合粒子の比表面積の測定方法
有機無機複合粒子の粉体を磁性ルツボ(B-2型)に約30ml採取し、105℃の温度で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m/g)をBET法にて測定し、有機無機複合粒子に配合したシリカと生分解性プラスチックの組成比(配合重量比)から換算される比重(例えばシリカ100%であれば2.2g/cm、セルロースが100%であれば1.5g/cm)で換算した単位体積当たりの比表面積とした。
(7)有機無機複合粒子の細孔容積、細孔径の測定方法
有機無機複合粒子の粉体10gをルツボに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却し、自動ポロシメーター(カウンタークローム・インスツルメンツ社製PoreMasterPM33GT)を使用して水銀圧入法により測定した。水銀を1.5kPa~231MPaで圧入し、圧力と細孔径の関係から細孔径分布を求めた。この方法によれば、約7nmから約1000μm迄の細孔に水銀が圧入されるため、多孔質シリカ系粒子の内部に存在する小径の細孔と、多孔質シリカ系粒子の粒子間の大径の空隙(おおむね多孔質シリカ系粒子の平均粒子径に対して1/5~1/2のサイズに計測される)の両方が計測される。大径を除く、小径の細孔の計測結果をもとに、細孔容積、最頻細孔径(D)、最小細孔径(D)、および最大細孔径(D100)を算出する。このとき、必要に応じてピーク分離ソフト(自動ポロシメーターに付属)が用いられる。
(8)有機無機複合粒子の組成分析方法
有機無機複合粒子の粉体0.2gを白金皿で精秤し、硫酸10mlと弗化水素酸10mlを加えて、砂浴上で硫酸の白煙が出るまで加熱する。冷却後、水約50mlを加えて加温溶解する。冷却後、水200mlに希釈しこれを試験溶液とする。この試験溶液について誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所(株)製、ICPS-8100、解析ソフトウェアICPS-8000)を使用し、有機無機複合粒子の組成を求める。
(9)接触角の測定方法
有機無機複合粒子1gを200℃で乾燥させた後、直径1cm、高さ5cmのセルに入れ、50kgfの荷重でプレスして成型物を得る。得られた成型物の表面に水を一滴たらして水に対する接触角を測定した。
(10)弾性率の測定方法
有機無機複合粒子の粉体から、平均粒子径±0.5μmの範囲にある粒子1個を試料として取り、微小圧縮試験機(島津製作所製、MCTM-200)を用いて、この試料に一定の負荷速度で荷重を負荷し、圧縮弾性率を測定した。さらに、この操作を4回繰り返し、5個の試料について圧縮強度を測定し、その平均値を粒子圧縮強度とする。
(11)多孔質シリカ系粒子の感触特性
多孔質シリカ系粒子の粉体について、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性、およびソフト感の7つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。さらに、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づき多孔質シリカ系粒子の感触に関する評価を行った。結果を表3に示す。
(12)パウダーファンデーションの使用感
多孔質シリカ系粒子の粉体を用いて表4に示す配合比率(重量%)となるようにパウダーファンデーションを作製した。すなわち、実施例1の粉体(成分(1))と成分(2)~(9)をミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、化粧料成分(10)~(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mm×4mmの角金皿に入れてプレス成型した。この様にして得られたパウダーファンデーションについて、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、(1)肌への塗布中の均一な延び、しっとり感、滑らかさ、および(2)肌に塗布後の化粧膜の均一性、しっとり感、やわらかさの6つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。また、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づきファンデーションの使用感に関する評価を行った。結果を表5に示す。
評価点基準(a)
5点:非常に優れている。
【0044】
4点:優れている。
【0045】
3点:普通。
【0046】
2点:劣る。
【0047】
1点:非常に劣る。
評価基準(b)
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
[実施例2]
市販のシリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SS-300、平均粒子径300nm、シリカ濃度20質量%)50gをロータリーエバポレーターで濃縮して、シリカ濃度40質量%のシリカゾル25gとする。このシリカゾルに、陽イオン樹脂(三菱化成社製、SK-1B)を一気に加えてpHを2.5とした後、陽イオン交換樹脂を分離する。これにより、脱アルカリ処理(Naイオンの除去等)がなされ、シリカ系微粒子濃度39.3質量%のスラリーaが得られる。スラリーaに、セルロース系粒子(旭化成(株)製セオラス(登録商標)RC-N30)10gと純水30gを混合した高分子分散液を添加し、スラリーbを調製する。
【0048】
得られたスラリーbを、ヘプタン(関東化学(株)製)1300gと界面活性剤AO-10V(花王(株)製)9.75gを混合した溶液中に混合し、乳化分散機(プライミクス(株)製T.K.ロボミックス)を使用して10,000rpmにて10分間乳化を行う。ここで得られた乳化液を、60℃で16時間加熱したのち、ブフナー漏斗(関谷理化硝子器械(株)製3.2L)を用いて定量濾紙(アドバンテック東洋(株)製No.2)で濾過する。その後、ヘプタンで繰り返し洗浄し界面活性剤を除去したのち、ケーキ状物質を得る。得られたケーキ状物質を、120℃で12時間乾燥する。この乾燥粉体をジューサーミキサー(日立製作所(株)製)で10秒間粉砕し、250mesh篩(JIS試験用規格篩)でふるいにかけ、有機無機複合粒子を得た。これを実施例1と同様に評価した。
[実施例3]
高分子分散液内のセルロース系粒子(旭化成(株)製セオラス(登録商標)RC-N30)の混合量を、0.17kgに変更した以外は実施例1と同様に有機無機複合粒子を調製し、実施例1と同様に測定した。
[実施例4]
高分子分散液内のセルロース系粒子(旭化成(株)製セオラス(登録商標)RC-N30)の混合量を、0.93kgに変更した以外は実施例1と同様に有機無機複合粒子を調製し、実施例1と同様に測定した。
[実施例5]
シリカゾルとして市販品(日揮触媒化成(株)製 SI-550、平均粒子径5nm、固形分濃度20質量%)0.02kgを使用し、エバポレーターによる濃縮を行わなかった以外は実施例3と同様に有機無機複合粒子を調製し、実施例1と同様に測定した。
[実施例6]
2流体ノズルの気体供給圧力を0.1MPaに変更した以外は実施例1と同様に有機無機複合粒子を調製し、実施例1と同様に測定した。
[比較例1]
高分子分散液内のセルロース系粒子(旭化成(株)製セオラス(登録商標)RC-N30)の混合量を、0.02kgに変更した以外は実施例1と同様に有機無機複合粒子を調製し、実施例1と同様に測定した。
[比較例2]
実施例1で得た有機無機複合粒子0.1kgにヘキサメチルジシラザン(信越化学工業(株)製:SZ-31、分子量:161.4)0.01kgとメタノール(特級試薬)0.37kgを加えた。この混合液を、ミキサー(日本コークス工業(株)製FM5C/I)を使用して出力5Hzにて10分間撹拌したのち、120℃で16時間加熱し、有機無機複合粒子を得た。これを実施例1と同様に測定した。
[比較例3]
シリカゾルとして市販品(日揮触媒化成(株)製 SI-550、平均粒子径5nm、固形分濃度20質量%)を使用し、エバポレーターによる濃縮を行わなかった以外は実施例3と同様に有機無機複合粒子を調製し、実施例1と同様に測定した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
[多孔質シリカ系粒子の粉体の感触特性]
各実施例と比較例により得られた粉体を用いて、実施例1と同様に感触特性を評価した。その結果を表3に示す。その結果、各実施例の粉体は、化粧料の感触改良材として極めて優れているが、比較例の粉体は、感触改良材として適していないことが分かった。
【0052】
【表3】
【0053】
[パウダーファンデーションの使用感]
表4に示す配合比率(重量%)となるように、各実施例と比較例の粉体(成分(1))を、他の成分(2)~(9)とともにミキサーに入れて撹拌し、均一に混合させた。次に、化粧料成分(10)~(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、均一に混合させた。得られたケーキ状物質を用いて実施例1と同様に化粧料を得た。
【0054】
【表4】
【0055】
次いで、このようにして得られた化粧料の使用感(塗布中の感触と塗布後の感触)について、実施例1と同様に評価した。表5に結果を示す。実施例による化粧料A~Cは、その使用感が、塗布中でも塗布後でも、非常に優れていることが分かった。しかし、比較例の化粧料a~cは、その使用感がよくないことが分かった。
【0056】
【表5】